「中東専門家」のTVキャスター

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  今週、『文藝春秋』誌の5月号が小池百合子都知事の「学歴詐称」記事を載せたことで、インターネット界隈では結構な話題となっている。以前から小池氏の嘘に気づいている者からすれば、「まぁ、ダメ押しの鉄槌かなぁ~」といった感じだ。そもそも、日本で生まれ育った小娘が、いきなりエジプトに留学して大学の卒業証書を取るなんて有り得ない。

  昔、小池氏がまだテレビ東京のキャスターだった時、この“才女”は『サンサーラ』誌で評論家の山本七平(元帝國陸軍少尉)と対談し、まるでアラブ社会に詳しい「専門家」のような口ぶりで話していた。「無教会派(内村鑑三の孫弟子)」のキリスト教徒で、イスラエルにも詳しく、「イザヤ・ベンダサン」名義で『日本人とユダヤ人』を書いた山本氏は、普通の日本人とは違い、中東アジアに詳しかった。山本氏が「小池さんはエジプトにいらっしゃいましたね」と尋ねると、「はい、五年間。うち四年はカイロ大学に留学しました。ちょうと第一次石油ショックの頃です」と小池氏は答えていた。(「『神の国』を知らない日本人」、『サンサーラ』1990年11月号, p.176.) 

Yamamoto 734(左 /  山本七平)
  山本氏がイラクやリビアの政情を語り、イスラム社会の話をすると、小池氏も“留学”当時のエピソードを持ち出し、「私も“アラブ通”なのよ!」とアピールしていた。彼女が「カイロ大学1年生」の時である。同級生の一人が突然いなくなったそうだ。ところが、二年後、彼らは再会するが、小池氏は「どこに行っていたの?」と尋ねたらしい。すると、この同級生は「天国だ」と答えた。つまり、小池氏の知人はイラク出身のクルド人留学生で、反政府運動をしたことで「鉄格子が嵌まっている高い窓」の牢屋に投獄されていた、というのだ。(上掲記事、p.179.)

  小池氏が自慢げに語る「イスラム教の説明」なんて初歩的な知識で、ちょっとアラブ社会を勉強したことがある人なら誰でも知っている内容である。しかし、彼女は恥ずかしげも無く話していたから凄い。例えば、小池氏は大学教授みたいな口調で、「イスラム原理運動というのは『イン・シャ・アッラー』を大切にしようということだと思います」と述べていた。山本氏はこれに応えて、「“神の望むままに”ですね」と補足する。調子に乗った小池氏は、アラブ人の“いい加減さ”を説明するために、次のような「留学時代」の想い出を披露していた。

  私もカイロ大の卒業証書をもらう時、「イン・シャ・アッラー」「イン・シャ・アッラー」でさんざん待たされました。そのために帰国を延ばすハメになった経験があります。でもおかげでキャンセルした便が、タイで墜落して、結局命拾いできました。それだけなら単なる偶然で済ませられますが、その前にも同じ経験をしていますから、これは決して偶然ではない(笑)。・・・私、「イン・シャ・アラー」で二度も命が助かったわけです。まさに“神の望むままに”ですよ。(上掲記事、p.184.)

  令和の高校生や大学生がこうした対談記事を読めば、「えっっ! どれだけ顔(ツラ)の皮が厚いんだ?!」と驚いてしまうが、鋼鉄のハートを持つ御嬢様はお構いなし。まぁ、日本新党から出馬し、男(寄り添う権力者)を変えながら都知事にまで登り詰めたのも、ひとえに「アッラーの思し召し」なんだろう。でも、運命の女神(フォルトゥーナ)は気まぐれだ。総理大臣の手前に落とし穴を掘っていたのかも知れないそ。小池しなら、これも“アッラーが望んだこと”と言うかもしれないが、異教徒の日本人なら、これを指して“天罰”と呼ぶ。「カイロ大学首席卒業」の女帝だと、何と評するのか?

  世の中には「生まれながらの詐欺師」や「凡人を装うサイコパス」がいるけど、小池氏の場合は何なのか分からない。ただ、彼女の精神は物凄く頑丈だ。対談の中で、山本氏が「日本の中東学がオソマツなのは残念です」と言った時の切り返しが凄い。小池氏だって素人なのに、彼女は「私の知識も浅くて」とは言わず、「『コーラン』を読んでみるといいのですが、さすがに難解ですからね。全百十四章の逆から読むと取っ着きやすいでしょう」と“専門家”気取り。(上掲記事、p.187.) 神秘主義哲学の研究で知られていた井筒俊彦(いづつ・としひこ)博士が、コーランやイスラム思想について講釈するんなら分かるけど、TVキャスターの小池百合子が聖典の解説をするなんて笑止千万だ。筆者には裏取りが出来ないけど、小池氏は本当に『コーラン』を勉強したことがあるのか? もし、「首席卒業の優等生」ならアラビア語で聖典を読めるはずだが、それなら飯山陽の前で朗読し、原典の解説をしてもらいたい。

  小池氏は更にビックリ仰天の「中東解説」を披露していた。日本が「平和憲法を持つ国だというのはアラブ人の憧れでもあります」と紹介し、「特に知識層は『そうなればいい』と思っているのは確かです」と述べていた。もう、目眩がするほどの“出鱈目ぶり”だが、おそらく小池氏は心の中で、「一般人なんかアラブ社会に疎いから大丈夫。留学時代の話を持ち出せば、私の言葉を疑う人はいないわ!」と思っていたんじゃないか?

  竹村健一のアシスタント時代から、彼女のプロフィールには「カイロ大卒」と書かれていたが、筆者は真に受けず、「外国人向けのアラビア語講座をチョロッと受けたのかなぁ?」という印象しかなかった。アラブ人との交流がある人、あるいは中東アジアの政治やイスラム教を勉強した者なら分かると思うが、「カイロ大卒」をマトモに信じる人なんていないだろう。アラビア語の発音はもとより、アラビア語で学術論文を書くとなれば相当な学力が必要で、普通の日本人じゃ無理。たぶん、旧約聖書や中東問題に詳しかった山本氏も信じていなかったはずだ。

嘘の代償は国民が払う

  学歴に執着する一般国民やYouTubeの評論家は、小池氏の「学歴詐称」ばかりに注目するが、問題なのは、彼女がエジプト政府に“声明文”を出してくれる代わりに「何」を支払ったかだ。当時、幾人かの都議が小池氏を追及していたが、駐日エジプト大使館がフェイスブックに「カイロ大学の声明文」を掲載するや、たちまち腰砕けとなり、小池氏への攻撃を止めてしまった。もうアホとしか言いようがないが、都議の連中は「なぜ個人の卒業に関してエジプト政府がシャシャリ出てくるのか? これはおかしい。絶対に卒業は嘘だ!」と思わなかったのか? 

  『文藝春秋』で“隠蔽工作”を告白した小島敏郎(都民ファーストの会元事務総長)は、最初、小池氏に「カイロ大学から卒業証書を出してもらえば?」と提案したそうである。通常ならそうするが、卒業していなかった小池氏は、何らかの「解決策」を模索していたという。そこで、ジャーナリストのA氏に頼んでエジプト大使館に協力してもらったそうだが、エジプト政府が“無料(タダ)”で声明文を出すとは思えない。「何らかの見返りを要求されたんじゃないか?」と考える方が普通だろう。

  東京都は小国程度の経済規模を持つから、その首長となれば絶大な権力を有する支配者だ。直接あるいは間接的にエジプト側へ“利益”を提供することも可能だろう。かつて、小池氏は自民党を「ブラック・ボックス」と評したが、小池都知事の利権構造だって相当“黒い”はずだ。窮地を脱出するためなら、小池氏は何百億円だって都の公金を渡すだろう。どうせ、都議会は追及しないし、外国の政府が絡んでいるとなれば、追及の矛先は“国境沿い”で頓挫する。おそらく、マスコミや都議が出来るのは、小池氏の側近都議だった樋口高顕氏(現・千代田区長)への尋問、および彼がA氏に依頼をしたメール、A氏が小池氏に送った声明文の文面案、大使館への掲載にあたっての助言に関する質問くらいだろう。

  小池氏の「学歴詐称」問題で考慮すべき点は、学歴の捏造じゃなく、彼女の出世や協力者がいたことである。小池氏の才能は、民衆政治の特質を心得ていたことにある。つまり、彼女は大衆操作のコツを会得していたのだ。「烏合の衆」というのは、小難しい行政とか立法府には興味が無い。政治家の「話」よりも「服装」とか「表情」の方に関心がある。ワイドショーのみが情報源の大衆となれば、金融、外政、軍事、技術などの話を聞いてもチンプンカンプン。それよりも、政治家の髪型とかネクタイなどの方に目が向く。演説の内容なんか全然頭に残らないから、政治家は“好印象”だけ与えることが出来れば「OK」だ。

  大衆政治の特徴は、無知蒙昧の群衆にある。彼らは「有権者」となっても、政治に関する知識や判断力がまるで無い。それゆえ、「候補者の名前なら知っているから投票した」とか、「他に知っている候補者がいないから、テレビで見たことのある有名人に投票した」という人がほとんど。だから、小池都知事は疫病が流行した時、毎日のようにテレビや記者会見に出演し、「頑張っている様子」を大衆に見せびらかした。どんな行政手腕なのかは関係無い。実質的な仕事は部下に丸投げだ。小池氏が熱心なのは「厚化粧」と「衣装選び」くらい。衆議院時代、彼女も「拉致被害者家族の集会」に参加したけど、邦人奪還に興味が無かったことは端から見ても一目瞭然だった。彼女は単に“世間の話題”になっているから出演しただけで、具体的な方策なんか全く考えていなかった。

  『文藝春秋』の暴露記事で重要なのは、「誰が小島氏を裏で動かし、マスコミに登場させたのか?」だ。もしかすると、やがて訪れる総選挙を懸念した自民党の幹部が、間接的に小島氏を操ったのかも知れないし、「小池氏に自民党内部をかき乱されたら一大事」と心配した有力者が、補選を利用して「小池潰し」に動いたのかも知れない。あるいは維新の会と連動した誰かが、乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)候補を落選させるため、雑誌を介した醜聞報道を企画したのかも知れない。だが、真相は闇の中である。ただ、あまりにもタイミングが良すぎるので、小島氏の真意を疑いたくなる。

  保守派国民は小池氏の「学歴詐称」ばかりに怒りを燃やすが、本当に懸念すべきは第三世界の性質と外国人の増加である。西歐諸国の名門大学だと、さすがに露骨な偽造証書を発行することはなく、もし「袖の下」で学位を与えたら、それこそ一大事。学長や理事長の首が飛んでしまうし、連日連夜の大騒動になってしまうだろう。だから、札束の山を目にしたからといって、大金持ちの馬鹿息子に易々と学位を授けることは出来まい。しかし、エジプトのような賄賂国家だと、政府から民間まで腐敗しているから、「コネ」や「カネ」で簡単に動く。卒業証書でも医療診断書でも、あるいは技能資格の証明書や公文書でさえ、お金を払えば入手可能だ。(一部の国民は小池氏は「カイロ大卒」じゃなく「ワイロ大卒」だろう、と揶揄している。)

  日本の大学には支那人留学生が大量に雪崩れ込んでいるが、そのうちの何割かは、偽造された卒業証書やビザを購入して“合法的な滞在者”となっている。支那人は日本に来ても本国の流儀を貫く。運転免許証や在留資格カード、クレジットカード、健康保険証など、支那人の同胞が造ってくれるから有り難い。恐ろしいけど、金を出せば何でも入手できてるから、現在の日本ではやりたい放題。日本にも個人や組織的な密造工場があるので、注文生産から大量生産まで色とりどり。日本国籍取得のためなら偽装結婚まで平気するのがアジア人。全国紙や地方紙を読めば分かるけど、いくらでも偽装結婚が摘発されているじゃないか!

  一般の日本国民は呑気に暮らしているが、移民の増加で「日本国民の質」は確実に変化している。特に東京などの大都市では、支那人や朝鮮人はもちろんのこと、フィリピン人やベトナム人、タイ人、インド人、トルコ人、アフリカ人なども急激に増えている。もし、彼らが日本国籍を取得し、その子供達も帰化すれば、日本の政治は「帰化人」によって動かされてしまうだろう。そうじゃなくても、移民の子供達が「生まれながらの日本国民」になっているんだから、あと30年も経てばアメリカやヨーロッパの異民族混交社会と同じようになるはずだ。

  小池百合子がなぜ都知事になれたかと言えば、それは東京という大都市に「根無し草」や「無党派の流れ者」「政治に無関心な平民」といった烏合の有権者が多く住んでいるからだ。こうした人々は議員や官僚が何をしているのか知らないし、判断するだけの基礎知識も無いから、報道番組を視聴しても何が何だか解らない。候補者の“イメージ”だけで投票する人も多いから、元TVキャスターの小池百合子が笑顔で演説すれば、それだけで当選確実だ。こうした大衆は、小池氏の「公約」なんかに興味は無いし、何を掲げて選挙活動をしていたのかにも関心が無い。10年後か20年後になって「何か変。どうてこうなったのか?」と愚痴をこぼすだけ。一般国民は自分が選んだ議員の仕業とは思わない。

  アジア移民や帰化人が増える都市部では、やがて帰化系議員やアジア系の知事が多く誕生することだろう。彼らは民族で結束し、鉄板の票田を形成することになる。こうなれば創価学会と同じで、選挙の結果を左右する特殊団体だ。アジア系帰化人は日系人に対する「恨み」や「劣等感」で団結するから、呑気な日系人は知らないうちに反日の「法律」や「制度」で苦しむことになるだろう。小池氏のような政治家は、私利私欲のために国家の財産を売却するし、何の躊躇いもなく外国人に同胞を売り渡す。岸田文雄を見てみれば分かる通り、バイデン政権(米国の支配層)に隷従すれば大丈夫と思う議員は多い。たとえ、自民党内部や国内で不評を買っても平気だ。米国のパトロンが守ってくれるから、権力を維持することが出来る。

  現在、米国はソフトな全体主義に陥っている。ホワイトハウスばかりじゃなく、行政府や法曹界まで闇組織の触手に絡め取られている。FBIや裁判官までが闇組織の“エージェント”になっているんだから本当に恐ろしい。日本人は「司法の政治化」を対岸の火事と思っているが、日本でも警察や裁判所が「政治化」されている。例えば、安倍元総理の暗殺事件だって“迷宮入り”だ。「まさか、警察まで・・・」と驚いている日本人は、自分で調べてみればいい。

  以前なら、テレビや新聞は小池氏のスキャンダルを大々的に取り上げたはずである。しかし、現在のテレビ局や新聞社は、週刊誌で「学歴詐称」の暴露記事が出でも口をつぐんでいる。(広告収入が落ち込んだから、どこかの勢力からお金をもらっているのかも。) 一般国民は今回の暴露記事で小池氏が失脚すれば気分爽快だろう。だが、小池氏のような政治家は絶滅せず、むしろ次々と出てくるだろう。哀しいことだが、日本の政治が変わるのは戦争が起きた時である。国土が破壊され、大勢の国民が死んでから、抜本的な「政治改革」となる。今、1歳か2歳の幼児を抱える親は、自分の子供が何年生きると思っているのか? あと50年後には「人生90年」とか「100歳以上の長寿」が普通になるかも知れないのに、50年後ないし来世紀(第22世紀)になっても戦争が無く、「今のまま」と思っているのだ。こうした親が多いので、本当に頭が痛くなる。暗い話になってしまうが、現実は酷い面を持っている。


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