雅子妃を貶す自称保守言論人

  平成26年10月29日にネーデルラント国王ウィリアム・アレクサンダー国王陛下を迎えて宮中晩餐会が開かれ、久々に皇太子殿下と妃殿下を拝見できて嬉しかった。雅子妃殿下は国民の一部やマスコミからさんざん叩かれ「国民の嫌悪の的」にされたことがある。保守的雑誌『WiLL』やチャンネル桜などに登場する西尾幹二には、もういい加減うんざりする。GHQ焚書書籍のデタラメは中川八洋先生がぐうの音も出ないほど批判しているから、ここでは触れない。

  西尾氏はかつて『WiLL』誌で雅子妃殿下への批判と皇太子殿下への諫言を述べる文章を書いた。( 『WiLL』 2008年 5月号、6月号、8月号を参照)  筆者は当時、西尾氏の一連の批判文を読んでバカらしく思ったし、非常識だと感じたものだ。一言で感想を述べれば、「西尾氏は雅子妃殿下が気にくわないのだろう」という結論になる。皇室を尊敬している振りをアピ-ルしている西尾氏だが、その本心は自分が作った「皇太子妃像」に当てはまらないから、雅子妃を貶(けな)していたのだ。

  西尾氏は雅子妃がご公務をサボってレストランで食事をしたり、ご友人とパーティーを開いたり、あるいは、愛子内親王殿下と遊び回ったりしたことに不満を漏らす。雅子妃が「環境適応障害」の鬱病(うつびょう)を理由にして、宮中行事を欠席なされたことを非難する。西尾氏は雅子妃が、反皇室勢力の「格好のターゲットとして利用され、予想以上に天皇制度の廃止論の危険水域」が上がっていると危惧を示す。( 「皇太子さまに敢えて御忠告申し上げます」 『WiLL』 2008年5月号 p. 42) そして西尾氏は妃殿下が病状を抱えたまま、126代の天皇陛下に寄り添う皇后陛下になることに言及している。西尾氏は続けて言う、

  皇后陛下がご病気の名において皇室は何をしてもいいし何をしなくてもいい、という勝手な薄明に閉ざされた異様な事態が出現することを私はひたすら恐怖している。

  こんな状態になれば、国内や支那の反日勢力が蠢動(しゅんどう)して皇室撲滅の反伝統主義者に乗っ取られるかもしれぬ、と西尾氏は言い出す。「皇族に人権を」という朝日新聞やNHKの声が高まり、国民が動揺するらしい。そこで西尾氏は仰天の言葉を発する。

  皇室がそうなった暁には、この私も中核から崩れ始めた国家の危険を取り除くために天皇制度の廃止に賛成するかもしれない。(p.43)

    ご公務を欠席なされる皇后陛下が誕生すれば、反日勢力と一緒になって皇室打倒に参加するぞ、と脅しをかけている西尾氏。へぇー。本音を明かしたのかな?

   たんに雅子妃の悪口を陳列するだけでは、一般国民に対してインパクトが弱い。そこで、国民に絶大な人気を誇る美智子皇后陛下を引っ張り出してきて、ぐうたらな雅子妃と比較する戦術をとった。西尾氏は皇后陛下を賞賛して書く。

  正田美智子という御名は皇統譜に輝かしい一ページを開いた。昭和天皇亡き後、「第二の敗戦」とも言われてきた平成の御代に、何とかご皇室を、そしてこの国を、ここまで持ちこたえさせてこられたのも、この方のおかげである。国の中心に魂のある存在がおられたからである。( 「皇太子さまへの御忠言 第2弾!」 『WiLL』 2008年6月号 p. 76)

  皇后陛下が果たされた役割に西尾氏は読者の目を向けさせ、そのご活動は「筆舌に尽くしがたい」と絶賛する。こうして皇后陛下を褒めちぎったうえで、それにつけても雅子妃は「ねぇーえ」と読者に思わせるよう誘導するのである。そして、西尾氏は、皇太子妃の報道を聞いたある一般家庭の母親の意見を引用する。「東宮ご夫妻は今度もまたご自分の都合ばかりで行動しずぎると思い、イヤな気がした」との感想である。( 『WiLL』 2008年8月号 p. 51)

  これは朝日新聞がよく使う手口で、自分に都合がいい、つまり自分の思想に合致した者の見解を「読者の意見」として披露する。すると多くの一般国民は、同じ庶民の意見に賛同し始める。数ある意見からある特定の人物を選出した動機を、読者は通常詮索しない。誰だか知らない読者の意見を一般化するのだ。西尾氏が雅子妃を嫌うのは、彼が勝手に妄想する妃殿下の性格や思想である。

  雅子妃は私からみるなら、アメリカナイズされた民主主義にとっぷり浸った、自己主張の強いタイプで、それ以外では少し配慮の足りない普通の女性、外国に憧れていて日本流儀を好きではないし、信じてもいない、やや軽佻浮薄な進歩的知識人傾斜の価値観の持ち主である。( 『WiLL』 8月号 p.42)

  宮中祭祀に参加されない妃殿下に腹を立てた西尾氏は、雅子妃の性質や思考を断罪するのだ。しかし、西尾氏の雅子妃批判はおかしくないか。小和田雅子女史は上品な家庭に生まれたが、一般家庭の出身で皇室に嫁がれるために教育された女性ではない。少々思慮が足りなくても「普通の女性」なのは当たり前だろう。一般人だったから、勉強して東京大学やハーバード大学に通って外交官になったのだ。皇太子殿下は進学校に通われて、天皇になるために勉強なさるのか? アメリカ好きで民主主義賛成の女の子など世間にはいくらでもいるだろう。日本の流儀が嫌いと妃殿下は公言なされたのか? これも西尾氏の推測である。

妃殿下に感謝すべき日本国民

 そもそも雅子妃は皇室に嫁ぐ義務はなかったのである。皇太子殿下のプロポーズを簡単に断ることができたはず。民間人であったら、外交官を辞めてイギリリス人と結婚し、英国籍を取得して日本を去ることだってできただろう。あるいはアメリカに行って、歌手や女優、大学教授、親善大使など何にでもなれたのだ。「自己主張の強いタイプ」と西尾氏が判断する小和田雅子嬢なら、はっきりと殿下の申し出を拒否したはず。それなのに雅子さまはご成婚を承諾なされた。皇太子殿下や宮内庁の役人が銃を持って雅子さまに婚姻を強要したのはない。日本国民としては、妃殿下に感謝することはあっても、ケチをつけることはないだろう。

  皇室に嫁ぐことなど一切想像していなかった小和田雅子嬢なのだから、宮中のしきたりや皇室の伝統行事に対して戸惑いや拒否感があって当然だろう。正月には和歌を詠めと命令されたって、一般家庭の娘が家族そろって元旦に和歌を詠むのか? そんな伝統重視の家庭が全国でどれくらい存在しているのか、ぜひ西尾氏に教えて貰いたいものだ。一般家庭で普通に育った女の子なら、皇室の生活や公式行事など3日こなしただけで音を上げてしまうだろう。周りの人間から一挙手一投足じっと見つめられ、失敗は許されない。緊張が続く公式行事を次々と押しつけられるのだ。外務省官僚など、自分の権力を他人に見せびらかしたくって、天皇陛下や皇太子殿下を遠慮無しに引っ張ってくるのである。信じられないことを平気でやってしまう役人が多いことを日本国民は知らないのだ。

  平成16年5月10日に皇太子殿下が記者会見で雅子妃の「キャリアと人格を否定するような動きがあった」と語られたのは有名だ。雅子妃がその経歴を充分に活かし、新しい時代を反映した活動ができぬことから発生したお言葉であった。雅子妃が思い描いたのはヨーロッパの王族のように、外国へ行ってチャリティー活動やボランティア仕事をするイメージだろう。こんな事は雅子妃の経歴からすれば、我々だって察しがつく。

  それに雅子妃が外国(なるべく欧米諸国)をご訪問されて、日本の外交官を装った諜報員が人脈を作りやすくする方が国益に沿う。アジアの貧乏国と違って欧米諸国は、日本にとって貴重な情報源となる。お金持ちで各界に顔がきく上流階級には上等で貴重な情報が集まる。幅広い人脈をもつ貴族階級や新興中流階級の起業家は、我が国にとって旨味のある標的であろう。特に上流階級入りを渇望する起業家の奥方などは、「ロイヤル」と名がついたパーティーに出席して貴婦人の気分を味わいたい。有力でお金持ちの中流奥方を日本の外交官がパーティーで籠絡(ろうらく)すれば、旦那にアクセスできるチャンスがでてくる。どうせ女盛りを過ぎた中年女房など高級ドレスを着たって誰も相手にしないから、日本の皇族に挨拶されたら舞い上がってしまうだろう。貴族みたいに扱われたオバはん女房連中は、日本人を自宅に招いて旦那に会わせてくれるだろう。警戒心のない女房連中や、寂しがり屋の高齢貴婦人らを最大限利用すべきだ。もちろん、殿下や妃殿下が「皇室外交」をすべし、と言っているのではない。両殿下はあくまでも親善訪問を目的とされ、随行する側近や武官が対外政略を行えばよい。雅子妃も嬉しいし、我々も貴重な人脈作りができるから満足である。

 皇太子殿下が雅子妃を「一生掛けて守る」と発言なされたことが問題になった。しかし、我々はご成婚前から雅子妃が困難にぶつかることは予測していた。多くの日本国民は、美智子皇后陛下の例もあったから、民間の妃は苦労するだろうし、意地悪い側近連中が陰口をたたくだろう、と考えていた。だから、どうしても小和田女史と結婚を要望なさっていた殿下は、渋る雅子さまに対し、何があっても将来の皇太子妃の盾になる、と確約したのではないか。殿下も雅子妃が宮中行事に不向きなことは、充分承知なさっていただろう。それに下品なマスコミが根掘り葉掘り嗅ぎ回ることも予測されていたはずだ。こんなの常識で分かるじゃないか。西尾氏は、殿下がそんな簡単な予測もできぬ間抜け皇太子と思っていたのか? 西尾氏は、自分が馬鹿皇太子より判断力と愛国心が優っていると自惚れていたから、殿下に諫言(かんげん)すると言いながら、実は叱りつけていたのだろう。

民間人である実家の苦労


  普通の家庭に育った日本人女性なら、皇太子殿下に求婚されたら、戸惑うどころか萎縮して怯えてしまう。皇室という最高で神聖な家に嫁ぐなど、考えただけでも重責過ぎるし、神経がもたない。平凡でも気楽で自由な生活を望むのが、我々日本の庶民である。殿下の求婚を当初断っていた小和田雅子嬢の勇気ある決断に、我々平民は感謝すべきだろう。もし、小和田女史が拒否して、後には誰もお妃候補がいなかったら、殿下はどうするのか。殿下は男としての感情をもつこと厳禁なのか。一目惚れや恋いこがれる女性を求めてはいけないのだろうか。皇室に頼りきっている我々が、殿下の恋愛にまで口を挟んで文句を言うのか。まともな日本人なら恥ずかしくて沈黙するだろう。

  国民の中には美智子皇后陛下のご実家である正田家がいかに苦労したかを、知っている者がいるだろう。御尊父の正田英三郎・日清製粉名誉会長は、ご成婚後言葉遣いにまで警戒心をもたれたし、政治家のパーティーには出席しないようにしていた。そればかりか、バーや料亭にも足を運ばなくなり、夜の8時には帰宅するようにしていたという。昔はお酒が好きだったのに、クラブ通いを止めてしまったそうだ。ご成婚後、美智子妃殿下はお里帰りを控えるようになり、23年間にたった5回ほど。正田夫妻は東宮様(現在の皇太子殿下)をしみじみと抱いたことがない。御所を訪れるのは、お誕生日と正月くらい。あとは、正田富美子夫人が美智子妃に電話を掛けるくらいだった。美智子妃殿下のお気遣いも驚くほどであった。宮内庁の侍従にモノを頼むときも、必ず、「お暇でしたら」とか「お仕事がなかったら」といったお言葉を挿入していらした。妃殿下に仕えるのが仕事の侍従たちにそれほど神経を使われていたのである。だから里帰りをしたいと申し出たときに、宮内庁がいい顔をしなければ、皇太子殿下に何かご迷惑を掛けるのではと危惧していらした。( 「美智子妃のご実家正田家の「栄光のなかの孤独」 『週刊新潮』 昭和57年9月2日号 )

正田夫妻と美智子妃殿下の神経はボロボロになりかけていたのではなてか。普通の日本人ならノイローゼに罹ってしまうだろう。こんな苦労をするくらいなら、一般家庭の親は娘を皇室へと送ることはしない。小和田夫妻だって理解していたはず。だから、皇太子殿下のプロポーズを親子で喜ぶことは、どう考えてもまず無いといってよいだろう。我々は悠仁親王殿下の将来が心配になる。お妃選びが困難を極めるであろうから。

  雅子妃が気に入らないなら、西尾氏が適当な女性を捜して連れてくるのか? 仮に西尾氏や宮内庁の役人が連れてきた女性を殿下がお気に召さなかった場合、殿下は独身のままである。側室制度もダメとしながら男子皇孫を望んだ我々がどうこう言えるのか。皇室の厳しい生活を知り、どの日本女性も敬遠して、殿下が60、70、80歳になっても独身のままだったら、日本国民はどう思うのか。結婚できずに寂しい30、40、50、60、70代を過ごされる皇太子殿下のお気持ちはどうなるのか。自由にカラオケ・ゴルフ・セックスを楽しんでいる一般国民に、殿下がお選びになった女性を、ああだ、こうだ、と批判する権利があるのか? 西尾氏は殿下のささやかな幸せをも嫌いらしい。

  私は皇太子殿下が愛子さまをあやして傍らでピョンピョン兎跳びをしているお姿をテレビで拝見し、見てはいけないものを見てしまった憂慮の年に捉らわれた。 ( 『WiLL』 2008年8月号 p. 36)

  「見てはいけないものを見た」なら、早く寝て忘れろ。そんなに嫌ならテレビを消せ! 殿下が新聞・テレビ局・マスコミを呼びつけて、カメラに映して放送してくれと頼んだのではない。殿下は一人の父親として素直にお喜びになっただけであろう。愛子内親王殿下がお生まれになって本当に良かった。殿下のご尊顔に笑みがこぼれるのがそんなに嫌か、西尾よ! 殿下がいつも厳めしい龍顔(りゅうがん)であれば満足なのか? 年中ご公務で忙殺される殿下が、ご家庭で平凡な幸せを噛みしめたら不満なのか、西尾よ! お前なんかに生まれたときから運命が決まっている殿下のおこころが分かるのか? 日本の庶民なら殿下のお気持ちを察して反省するはずだ。お前みたいに皇室を尊重しているかのように偽装して、殿下の内面までずけずけと踏み込む野郎を下種(ゲス)というのだ。自由に反論できない殿下をいたぶって楽しいのか? 

  反省すべきは我々日本国民である。雅子妃がご公務を欠席されたことを咎めているが、妃殿下が外部に現れないと皇室が衰退するのか? 皇太子殿下や天皇陛下がご健在であるだけで我々は幸せだ。天皇陛下はマスコミが英霊を戦争犯罪人扱いしようとも、決して臣民を見捨てることはなさらない。支那人のために英霊を切り捨てた中曽根康弘とは違うのだ。ひがみ根性の大衆が雅子妃を公務さぼりの常習犯としている一方で、国民は天皇陛下が靖国神社に御参拝できないようにしているではないか。自衛隊の特殊部隊を慰問したり、退役将校を晩餐会に招いたりさせないようにしている国民は正常なのか。藝人を叙勲対象にしても、自衛官はそれ以下の扱いにする国民は立派なのか。反日報道を繰り返すNHKに受信料を払ったり、朝日新聞を長年に亘り購読してきた国民に罪は無いのか。西尾幹二に賛成して雅子妃を批判する国民はよく考えろ。 



人気ブログランキングへ