無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2015年10月

米国保守派の分裂 バックリーの裏切り (前編)

ユダヤ人が鍵を握る分裂騒動

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(上写真/ウィリアム・バックリー)

  日本で「保守派ってどんな人物 ?」と聞かれたら、「常識人」と答えるのが一番簡単である。山本七平に倣えば、「日本教徒じゃないか」と言えばいい。難しく考えなくても、保守思想とは我が国の歴史や伝統を守ることだろう。ただし、忘れてはならないのは、日本人の遺伝子を保護することである。日本人の肉体を継承してこそ、大和魂を相続できるのだ。考えてみよ。日本人とは無関係の支那人や朝鮮人が帰化したからといって、さっそく靖國神社に参拝したり、宮城(きゅうじょう/江戸城)に向かってお辞儀するなんてあり得ない。また、パキスタン人やアラブ人が日本国籍を取ったとしても、急に江戸時代や鎌倉時代から続く伝統を咀嚼(そしゃく)するとは思えないし、むしろイスラム教を国教にしようとするんじゃないか? 日本人の行動様式(ethos)は「日本人」の子孫が受け継ぐもので、異邦人が日本の支配者になったら、「日本人らしさ」が失われてしまうだろう。日本の伝統的精神は日本人の血と肉に宿るのだ。朝鮮人の血と骨だと、日本への怨恨しか残らない。

  では、アメリカの保守主義者って、どんな人物なのか? 日本人が描く保守的アメリカ人なんて曖昧だろうし、そもそも考えたことがない人が大多数だろう。「日米関係は日本にとって非常に重大でぇ~す」と訴えている政治家だって、どのアメリカ人を味方にすべきかという計略がない。アメリカを批判する日本の保守派言論人でも、アメリカの言論界を具体的に説明してくれないから、一般人はアメリカ国内で何がどうなっているのかはっきりせず、明き盲(めくら)のままで迷ってしまう。日本の左翼勢力はもちろんのこと、保守論壇さえも一枚岩ではない。雑誌『正論』や『WiLL』に寄稿する知識人だって、「保守」を名乗るが本性が怪しい人物も多いじゃないか。例えば、佐藤優はロシアの犬だし、加地伸行は「チャンコロ屋」、中西輝政は冷戦終結で焦ったあげく、こそこそと岩波・朝日系列から脱けだし、『諸君!』や『正論』に鞍替えした転向学者である。アメリカの保守論壇でも偽装保守派が存在するし、内輪揉めが起これば、分裂騒動にまで発展するから、保守派言論人といっても十人十色、海千山千の策士までいるから複雑だ。

  第二次大戦後の米国で、保守系雑誌の旗艦と言えば、『ナショナル・レヴュー(National Review)』がまず頭に浮かぶだろう。この雑誌を創設したウィリアム・バックリー・ジュニア(William Buckley, Jr.)は、保守言論界のみならず、全米で知られたコメンテーターで、毀誉褒貶は色々あったものの、彼の功績が大きかったことは否定できない。左翼分子が描く「右翼保守」といったら、教養と所得が低い頑固な白人とか、「陰謀論」を振りかざす低学歴の扇動家といったところだろう。しかし、バックリーは違った。彼はアイリス系カトリック信徒で、主流のワスプ(WASP)ではなかったが、オイル・ビジネスで一儲けした父ウィリアム・シニアのもとで、比較的裕福な幼少時代を送ることができた。ピアノも弾けて、ハープシコードの演奏も中々上手だったという。裕福になった父親が息子に贈るのは、まず上流階級に昇るための教育だ。そこで、彼は息子のウィリアム・ジュニアを、英国にあるボーモント大学附属の寄宿学校(カトリックの高校)に入学させたのである。英国流の教育を受けたウィリアムは、つぎに陸軍士官学校へ進み、卒業して中尉に任命されたという。まるで、ジョン・F・ケネディーみたいだ。コネチカット州にある名門寄宿学校チョート(Choate)校を卒業して、海軍士官になったケネディーが、格下のアイリス系カトリック信徒からハーバード卒のエリート社会に入ったことを思い出せば分かるだろう。ちなみに、彼が演説中に口にした、「国家が何をするかではなく、諸君が国家に何をできるかを問え」という有名なフレーズは、チョート校の先生が若きケネディーに語った言葉である。(日本の中学校でよくある朝礼で、退屈なお説教を垂れる校長先生とは違うねぇ。) 10人兄弟のバックリーは、9人兄弟のケネディーと家族構成や宗教、成金の父親を持っていることまで似ているからおもしろい。

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(左: ウィリアム・バックリー / 中央: チョート校時代のケネディー / 右: 海軍時代のケネディー)

  僅かな期間だが、メキシコの大学に在籍したことがあるバックリーは、ジョージ・H・W・ブッシュの母校として知られる名門イェール大学に進み、政治学や経済学を学んだそうだ。在学中、彼は『イェール・デイリー・ニューズ(Yale Daily News)』の主幹を務め、若くして言論活動の経験を積んだことが、後の『ナショナル・レヴュー』を編集する時に活かされるようになった。しかし、バックリーがエリート・コースを歩む切っ掛けとなったのは、秘密クラブ『スカル・アンド・ボーンズ』に所属できたことが大きかったと思われる。クラブのOBたちが各界の要職に就いているんだから、その人脈は絶大で凡人には想像もつかない。マルタ騎士団のメンバーでもあったバックリーは、卒業後CIAにリクルートされ、メキシコへ派遣されたそうだ。たぶん、メキシコ留学の経験と流暢なスペイン語の才能を買われたのかも知れない。意外なのは、メキシコ勤務時代の上司が、あのエヴェレット・ハワード・ハント(Everette Howard Hunt)であったことだ。ハントはケネディー暗殺事件の重要参考人として知られるCIAのオペレーターである。(彼は死に際で暗殺の真相を語ったそうだ。どうせ死ぬんだから、最期に謀殺を白状したということか。) 二人は生涯の友人だったという。こうした経歴を持つバックリーが、保守派の拠点として創ったのが『ナショナル・レヴュー』である。

Everette Howard Hunt 1James Burnham 1Russell KIrk 1William Buckley 1








(左: エヴェレット・ハワード・ハント / ジェイムズ・バーナム / ラッセル・カーク / 右: ウィリアム・バックリー)

  1950年代から1960年代にかけての期間は、自由主義と共産主義がぶつかる冷戦の真っ最中で、言論界は左翼一色と言っていいくらい、リベラル派が優勢を誇っていた。そんな赤い時代に、バックリーは保守派知識人を集めて、反共思想を広めていたのだ。『ナショナル・レヴュー』へ寄稿した知識人の中に、ジェイムズ・バーナム(James Burhnam)やラッセル・カーク(Russel Kirk)がいたことを知れば、いかに魅力的なクォリティー・ペーパーだったかが分かるだろう。元トロッキー主義者であったバーナムは、保守派に転向し、共産主義を徹底的に批判し、ソ連への攻勢を強めるよう提言した硬派の知識人である。ちなみに、ジョージ・ケナン(George Kennan)が宣伝したソ連の「封じ込め政策」は、共産主義諸国を温存させようとする狡猾な騙しの手口であった。これが分かれば、なぜソ連シンパの岩波書店が、ケナンの本を翻訳してあげたのかが理解できよう。(ケナンとソ連とユダヤ人資本家の関係を解く鍵は、日露戦争後の日本にあったことは余り知られていない。この話はまた後で。)

Alan Bloom 1Robert Conquest 1Evelyn Waugh 2Ezra Pound 2








(左: アラン・ブルーム / ロバート・コンクウェスト / エヴリン・ヴォー / 右: エズラ・パウンド)

  一方のラッセル・カークは、日本でも有名な保守派の重鎮だ。エドマンド・バークの流れを汲むアングロ・アメリカの伝統を重視する思想家で、彼の名著『保守派思想(The Conservative Mind)』は今でも版を重ねるロング・セラーである。その他にも『ナショナル・レヴュー』に寄稿していた執筆者の顔ぶれを見れば、その豪華さに驚くだろう。例えば、『アメリカン・マインドの終焉』で知られるアラン・ブルーム(Alan Bloom)、ロシア専門家の歴史家ロバート・コンクェスト(Robert Conquest)、日本でも人気のあるカトリック作家エヴリン・ヴォー、同じくカトリック作家のトマス・フレミング(thomas Fleming)、詩人のエズラ・パウンド(Ezra Pound)が挙げられる。日本では知られていないが、サミュエル・フランシス(Samuel Francis)やリヴィロ・オリヴァー(Revilo Oliver)、ポール・ゴットフリード(Paul Gottfried)なと、アメリカの保守派なら知っている知識人が投稿していたのだ。日本人で馴染みのある執筆者を探せば、一番にジョージ・ウィル(George Will)が挙げられる。ABCテレビの『ディス・ウィーク』でレギュラー・コメンテーターとして出演していたウィル氏は、共和党の宣伝係をしていたことで知られているが、以前『ナショナル・レヴュー』誌の編集者を務めていたこともあるのだ。

Sam Francis 1George Will 3Revilo Oliver 2









(左: サミュエル・フランシス / 中央: ジョージ・ウィル / 右: リヴィロ・オリヴァー)

「反ユダヤ主義者」のレッテルは恐ろしい

  保守派には意見の食い違いから袂を分かつ者が多い。ジョセフ・ソブラン(Joseph Sobran)とウィリアム・バックリーとの間に生じた軋轢は、アメリカ保守論壇にとって重要な意味を持っている。ソブランはバックリーにスカウトされて『ナショナル・レヴュー』の上級編集者になったという経緯があり、解任事件が起きるまでバックリーの頼もしい補佐役だった。しかし、対左翼攻撃において長いこと同志であった二人に、ユダヤ人を巡る問題で意見の相違が生まれたのだ。彼らの間に決定的な亀裂が入ったのは、湾岸戦争が勃発した1991年の頃で、ソブランはブッシュ政権の対イラク戦争をコラムで取り上げ、その背後で暗躍するネオ・コンサーヴァティヴのユダヤ人を批判し、イスラエルの国益を重視する米国の中東政策に疑問を投げかけたのである。すると、ネオ・コンを代表するユダヤ人の評論家ノーマン・ポドレッツ(Norman Podhretz)と彼の妻ミッジ・デクター(Midge Decter)がソブランに噛みついた。イスラエル・ロビーを背にしたポドレッツは、ソブランに「反ユダヤ主義」の傾向が見られる、と怒りを露わにしてバックリーに文句をつけてきたという。

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(左: ジョセフ・ソブラン / 中央: ノーマン・ポドレッツ / 右: ミッジ・テクター)

  自分の信念を貫くのが真の保守派なら、ジョセフ・ソブランはその名にふさわしいコラムニストであった。彼はイスラエルが合衆国にとり、心を苦しめる重圧(albatross)になっていると批判したそうだ。(Joseph Spbran, How I Was Fired by Bill Buckley, Voice of Reason) ポドレッツからの苦情を聞きつけたバックリーは、『ナショナル・レヴュー』の編集者たるソブランに自粛を求め、反ユダヤ的な姿勢を改めるよう注意した。しかし、圧力に屈することを嫌うソブランは、自分の見解に疚(やま)しいところはない、と反論し、逆にポドレッツの方が因縁をつけてきたんじゃないか、と怒って自説を枉げなかった。そこで、バックリーは友人で編集者のソブランを馘首(クビ)し、ユダヤ系雑誌『コメンタリー』の編集者たるポドレッツの面子を立てたという訳。しかし、今から考えれば、ソブランの意見の方が正しく、言論を封殺しようとしたポドレッツの方が間違っている。ジョージ・ハーバート・ブッシュから息子のジョージ・Wを経てオバマに至るまで、合衆国政府は中東アジアで警察官役を演じてきたが、一体どんな利益があったというのか? 大勢のアメリカ軍将兵が僻地で死んだり、手足を失う重傷を負ったが、それに見合うだけの国益があったとは思えない。政府は戦争の終結を明言せず、いたずらに対テロ戦争長引かせ、一般国民に負担を強いるばかりだった。爆風や火傷を免れた帰還兵でも、精神的ダメージを受けて廃人寸前になる場合もあるし、無事に帰国したのに自殺するなんていう悲劇が起きている。しかも、中東からの移民や難民を受け容れた結果、暗殺者が紛れ込んでいて、帰還兵を殺す計画さえあったのだ。幸い、FBIによって事前に摘発されたから良かったが、一歩間違えば、国内で復讐が達成されるところだった。

  合衆国政府は毎年巨大な経済援助をイスラエルに貢ぎ、軍隊まで差し出しているんだから、まさにイスラエルの衛星国だ。みんな口をつぐんでいるが、アメリカ軍は事実上「イスラエルの傭兵」になっている。ソブランは米国の介入が国益に沿っていないことを見抜き、その原因としてイスラエル・ロビーの存在を指摘し、アメリカ国民に警鐘を鳴らしたのである。ところが、ポドレッツは気に入らない。ソブランを「反ユダヤ主義者」として糾弾したのだ。イスラエルの国益を優先する在米代官なら当然だろう。したがって、『ナショナル・レヴュー』はネオ・コン雑誌に成り下がったと評するソブランは正しい。しかし、「反ユダヤ主義」のレッテルを張られたことは、額に「罪人」との烙印を押されたのに等しい。政官財の領域に加えて、学界やメディアにまでユダヤ人が深く浸透するアメリカ社会に於いて、そうした評判は村八分の状態を招く。セム人独特の仕置きは実に恐ろしい。陰険で執念深いユダヤ人は、困ったことにお金持ち。ソブランが活躍できる場所を潰して、生活ができなくなるようにすることだってできるのだ。雑誌やテレビ局はユダヤ人のスポンサーに弱いから、ソブランを追放することなんて造作もない。大抵の知識人なら、ハインリッヒ4世みたいに、雪の中でローマ教皇に許しを乞う「カノッサの屈辱」を甘んじて演じるだろう。でも、ソブランは跪(ひざまづ)かなかったから偉い。

イスラエル批判を諦めないブキャナン

Pat Buckanan 1(左/パット・ブキャナン)
  フランス革命を断行したジャコバン派とロシア革命を実現したユダヤ人は、血に飢えた左翼という点で共通している。アナトール・フランスが生きていたらユダヤ人をどう呼んだのことか。『ユダヤ人は渇く』なんてタイトルをつけたりして。さらに、怨み深くて猜疑心の強いユダヤ人は、大粛清を行ったスターリンにも似ていると言えるのではないか。愛国派言論人を憎むユダヤ人の矛先は、有名な保守派コメンテーター、パット・ブキャナン(Patrick Buchanan)にも向いてしまった。ブキャナンは米国のみならず、日本でも人気が高く、彼の著書は何冊か邦訳されているので、ガッツのある言論人と評しても異論はあるまい。彼は1992年に大統領選に出馬し、ジョージ・H・W・ブッシュに敗れたものの、かなり肉薄する選挙結果を残した。1996年にも再び大統領選に挑戦し、「アメリカ・ファースト」を掲げて善戦したのはご存じの通り。一時はライバルのボブ・ドールをニュー・ハンプシャー州の予備選で凌ぐという快挙を達成したこともある。その後は、CNNの名物番組「クロス・ファイアー」などに出演し、歯切れの良いコメントで人気を博していた。さすが、ニクソン大統領のスピーチ・ライターを務めていただけあって、話せば理路整然。立て板に水の熱弁は一流で、弁舌鋭く論敵をなぎ倒す。時折交えるユーモアのセンスも抜群だ。このブキャナン氏がユダヤ人、特にイスラエル・ロビーのシオニストに狙われたから、さあ大変。ブラック魔王にはケンケンが、アラレちゃんにはガッちゃんが附いていたが、ブキャナンには相棒がいなかった。頼みのニクソン大統領は墓の中。

ブラック魔王アラレちゃんRichard Nixon 1







(左 :ブラック魔王とケンケン / 中央: アラレちゃんとガッちゃん / 右: リチャード・ニクソン)

  「アメリカの国益を優先しろ ! 」と叫ぶブキャナンが、湾岸戦争に異議を唱えても不思議ではない。米国は「世界の警察官」を自負して中東アジアに介入したが、明確な戦争計画も無ければ、国民が納得する大義も無かったのだから、軍人の家族が不満を募らせても当然だろう。例えば、ジョージ・W・ブッシュは、9/11テロ事件の科学的調査をしなかったし、積極的に物的証拠の隠滅を図ったのだ。しかも、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有している、と騒いでいたくせに、結局「化学兵器は探したけどありませ~ん。ゴメンちゃい !」では済まないだろう。息子を戦場に送り出した親なら、「一体、なぜアメリカ兵がイラクやアフガニスタンで何時までも戦っているんだ ?」と詰問したくなる。イラクやアフガニスタンのみならず、エジプト、リビア、ペルシア、シリアに悪党やテロリストが跋扈(ばっこ)するから、アメリカ軍は秩序回復に一肌脱ぐのだ、と政治家が訴えても説得力が無い。多少たりとも、ワシントンの事情を弁えている者ならば、どうせ議会に圧力を掛けるイスラエル・ロビーやユダヤ票を気にする議員が米軍を動かしているのだろう、と勘ぐるはずだ。ブキャナンは米国が中東地域に深く介入するよう、裏で太鼓を叩いているのは、イスラエルの国防省と「アーメン・コーナー(amen corner)」の連中だ、と喝破した。

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(左: ジェリー・ファルウェル / パット・ロバートソン / ラルフ・リード / 右: ジョン・ハギー)

  この聞き慣れない「アーメン・コナー」とは、イスラエルを熱心に支持するシオニスト・キリスト教徒のことで、特に共和党内で権勢をふるい、ユダヤ人と提携した福音派(Evangelical)のプロテスタントである。例えば、人気テレビ伝道師のジェリー・ファルウェル(Jerry Falwell)や、大統領選にも出馬したことのあるパット・ロバートソン(Pat Robertson)牧師、キリスト教連合(Christian Coalition)で指導的立場にあったラルフ・リード(Ralph Reed)などが挙げられる。しかし、彼ら以上に露骨なほどイスラエルの太鼓持ちになっていたのが、ジョン・ハギー(John Hagee)だ。「グローバル・エヴァンジェリズム・テレビ」のCEOを務めるハギーは、アメリカのキリスト教徒をイスラエル支持者にするため、「親イスラエル・クリスチャン連合(Christians United For Israel/CUFI)」を創設し、堂々とシオニズムの応援団長になっている。自称200万人のメンバーを有する、このクリスチャン連合は、2006年イスラエルの為に8,000万ドルもの献金を集めたという。イェルサレムが生まれじゃないかと思えるくらい、熱狂的なイスラエル・ファンのハギーは、「イスラエルを讃える夜(Night to Honor Israel)」というイベントを企画したことがある。ザ・ビートルズのファンも青ざめるくらい、ユダヤ人が大好きなハギー。彼自身270万ドルもイスラエルに献金したことがあるそうだ。(Stoyan Zaimov, Christian Zionism Growing Despite Skeptics of Evangelical Support for Israel, John Hagee Says, The Christian Post, November 11, 2013)

John Hagee 2Jewish Rabbi 6








(左: ジョン・ハギー / 右: ユダヤ人の群れ)

  こんなにイスラエルが大切なら、ハギーはユダヤ教徒みたいに、ペニスの皮を剝いているんじゃないか? もし、割礼(circumcision)が無いなら、男に入れあげた女郎みたいに、「イスラエル命」の刺青を尻に彫ったらどうだ? イスラエルを絶賛するハギーに感心したサン・アントニオのユダヤ人団体(B'nai B'rith)は、彼を「ヒューマニタリアン・オブ・ザ・イヤー(Humanitarian of the Year)」に選んで褒めてあげた。また、ハギーはその功績を認められ、「米国イスラエル・シオニスト団体賞(Zionist Organizatio of America'S Israel Award)」まで貰ったそうだ。水をワインに変えることができたが、貧乏なまま処刑されたイエズスより、金貨の袋を持つユダの方が大好きなハギーは、カトリック教会が大嫌い。昔から、反ユダヤ主義の傾向が強いカトリック信徒をハギーは敵視する。とりわけ、ヒトラーと協約を結んだ教皇ピウス12世は、ユダヤ人の妾(めかけ)ハギーにとって不倶戴天の仇。このテレビ伝道師はユダヤ人にゴマを擦る。教皇ピウスはドイツのカトリック信徒をナチスの協力者にしてしまった、と非難したのだ。一方、イスラエルのユダヤ教徒は、主イエズス・キリストが「処女マリア」から生まれたなんて信じていない。どうせ、アバズレ娘が、亭主ヨセフの目を盗んで姦通したんだろう、くらいにしか思っていないのだ。ユダヤ教では、イエズスは馬鹿げた妄想を口走る冒瀆のユダヤ人に過ぎない。しかし、ハギーはこうしたユダヤ人の常識を意図的に隠している。名目上「キリスト教徒」になっているハギーは、イエズスを信じるカトリック信徒より、キリストを否定するユダヤ人の方に親近感を抱くんだから呆れてしまう。ちなみに、CUFIを背後でしっかりと支えているのが、ユダヤ人のデイヴッド・ブログ(David Brog)である。日本人だと「この人誰?」と首をかしげるだろう。ユダヤ人なのにCUFIの重役を務めるブログは、何を隠そう元イスラエル首相エフード・バラクの“いとこ”なのだ。事実は小説よりも奇なり。いくらアメリカ人でも、ワシントンで弁護士を務めていたイスラエル人が、巨大なキリスト教団体のエグゼクティヴ・ディレクターなんて信じられない。たぶんハギーの聖書には、マモン(銭の神様)が天地を創った、と書いてあるんじゃないか?

David Brog 1Charles Lindberg 3Hamilton Fish 1Martin Gilbert 2








(左: デヴィド・ブログ / チャールズ・リンドバーグ / ハミルトン・フィッシュ / 右: マーティン・ギルバート)

  だいぶ横道に逸れてしまったので話を戻す。ブキャナンがユダヤ人シンパの保守派から嫌われる理由の一つは、彼のユダヤ人嫌いにある。例えば、『不必要だった二つの大戦』で示されるように、ヒトラーを悪魔の権化にせず、冷静にアメリカの国益を考え、チャーチルやローズヴェルトに批判を加える姿勢が、ユダヤ人の癪に触ったのだ。ユダヤ人の御機嫌を伺うアメリカの知識人は、ブキャナンに「孤立主義者」のレッテルを貼り、ユダヤ人を助けることを拒否し、ヒトラーの進撃を容認する親ドイツ派というイメージを作ることに躍起だった。当時、欧州戦争に介入しようとする勢力を批判したチャールズ・リンドバーグや、ナチ・ドイツに好意的であったジョセフ・ケネディー駐英大使は、アメリカの歴史学界で評判が良くない。日本でも有名なハミルトン・フッシュは、名家に生まれた立派な紳士だったのに、「孤立主義者」のレッテルを貼られているのだ。合衆国の憲政を蹂躙して、戦争を起こしたフランクリン・ローズヴェルトは断罪されて然るべきなのに、未だに評価が高いのは、ヒトラーに対して戦いを挑んだからである。学界やマスメディアを牛耳るユダヤ人に称賛されれば、合衆国憲法や建国の理念を踏みにじっても「英雄」とされるのだ。大英帝国を没落させたチャーチルも同じである。英国のユダヤ人史家マーティン・ギルバート(Martin Gilbert)は、飽きずに「偉大な」宰相について書きまくった。「救世主」チャーチルの誕生秘話はユダヤ人の中にあったのだ。

  ブキャナンがユダヤ人から嫌われる理由は幾つかあるが、彼らが最も激怒したのは、ドイツ人戦犯の擁護をしたことだ。ホロコースト生存者から、強制収容所の元看守では、と疑われたジョン・デミャニュク(John Demjanjuk)をブキャナンは無実と考えた。この事件は複雑で、説明すると長くなるから省略するが、簡単に言えば、アメリカ人となっていた元ウクライナ人デミャニュクは、ナチの絶滅収容所にいた悪名高い「イヴァン雷帝」ではないか、と疑われたのだ。無実を訴えるデミャニュクは、イスラエルに引き渡され、ポーランドのトレブリンカ収容所でユダヤ人を残酷に扱った看守として裁判にかけられたのである。しかし、イスラエルの最高裁判所は彼を別人と判断し釈放を決めたのだ。解放されたデミャニュクは、晴れて米国に戻ることができた。ところが、また疑惑が浮上し、今度はドイツに送られる羽目に。彼はソビブルの収容所で2万8千人のユダヤ人虐殺に手を貸した、という容疑で裁判にかけられた。結果は有罪で死刑判決。しかし、有罪の証拠となったのは、反対尋問を受けていない曖昧な故人の証言と、KBGから提供されたファイルであった。こんな出鱈目な材料で有罪判決を下したドイツの判事は頭がおかしい。おそらく、彼を無罪にしたらドイツ人の評判が悪くなるから、それを危惧した「政治的」判決じゅないのか? 普通なら証拠不十分で無罪になる。だいたいロシア人が差し出した書類なんか信用できるのか? KGBは捏造の常習犯だから、インチキ書類の可能性は拭えない。したがって、こんな証拠に信憑性は無いだろう。もっとも、高齢で病気を患っていたデミャニュクは死刑執行を受ける前に、91歳で亡くなったから、ドイツ人は内心ホっとしたんじゃないか。

John Demjanjuk 4John Demjanjuk 2Phil Griffin 1Pat Buchanan 2







(左: ジョン・デミャニュク / 若い頃のデミャニュク / フィル・グリフィン / 右: パット・ブキャナン)

  ナチを擁護するようなブキャナンに腹を立てたのは、ユダヤ人ばかりではなかった。保守派を自認するウィリアム・バックリーは、ホロコーストを否定するような真似をしたブキャナンを庇いきれないとして、彼との関係を断った。一方、リベラル派もブギャナンに業を煮やしていたから、攻撃ののチャンスを窺っていたようだ。そして、ついに絶好の機会が訪れた。アメリカの大手テレビ局MSNBCは、彼を番組のコメンテーターとして登用していたが、彼の人種や移民についての見解が目に余るので、解雇を宣言したのである。MSNBCのフィル・グリフィン(Phil Griffin)社長は、「ブキャナン氏の意見は国民的会話において適切とは到底言えないものであり、ましてやMSNBCにおいては尚更である」と語っていた。(James Kirchick, Pat Buchanan and His Enablers, Columbia Journalism Review February 23, 2012) もっとも、ブキャナンは日頃から、リベラル派メディアの神経を逆撫でするような言論を展開していたから、彼がクビになるのは時間の問題であったと言える。例えば、『超大国の自殺』を著したブキャナンは、南米移民が流入することで、アメリカ白人の血統が薄くなり、少数派に転落してしまうと警告していたのだ。主要メディアで人種的問題を強調することはタブーである。さらに、歯に衣着せぬブキャナンは、同性愛を不道徳だと断罪したり、ユダヤ人はアメリカの政治に多大なる権勢を揮っていると批判したから、左翼思想のマスメディアは激怒。メディア界を支配するユダヤ人に斬り込んだブキャナンは、返り討ちにされても当然である。巨大なゴリアテに挑んだダビデ王の逆ヴァージョンみたい。(旧約聖書「サムエル記」第17章を参照)

保守派言論人は困り者

  バックリーと揉めて『ナショナル・レヴュー』と訣別したブキャナンが創設したのが、『ザ・アメリカン・コンサーヴァティヴ(The American Conservative/TAC)』である。この雑誌を創刊した時に同志となったのは、スコット・マコーネル(Scott McConnell)とタキ・テオドラコプロス(Taki Theodoracoupulos)であった。マコーネルは『ニュー・ヨーク・ポスト』などに寄稿していた評論家で、TACの編集長を務めていた。しかし、一般人には化粧品で有名なエイヴォン(Avon)の創業者一族に生まれたことで知られている。もう片方のテオドラコプロスも負けずにお金持ち。彼はギリシアの海運王を父に持つお坊ちゃん。英国の有名雑誌『ザ・スペクテーター(The Spectator)』にも執筆していた人物で、公然とユダヤ人を批判するなど、怖い物知らずのコラムニストであった。今は自分の雑誌「タキズ・マガジン(Taki's Magazine)」を運営している。

Scott McConnell 3Taki Theodoracopulos 2









(左: スコット・マコーネル / 右: タキ・テオドラコプロス)

  『ザ・アメリカン・コンサーヴァティヴ』を財政的に支えていたテオドラコプロスには問題があった。彼は露骨な感情を文章にしてしまう癖があった。例えば、1997年にプエルトリコ・デー(Puerto Rican Day)を祝うパレードがニュー・ヨーク市で開催された時、彼はプエルトリコ人たちを「デブの、ずんぐりした、醜い、黒ずんだ、汚い、信じられないくらいうるさい連中」と酷評したことがある。さらに彼は、こんな奴らがアメリカに貢献したなんて褒めるルドルフ・ジュリアーニ市長は死刑に値するんじゃないか、と仄めかしたという。(David Firestone, Mayor Denounces Article That Had Slurs, The New York Times, June 28, 1997) さっそくジュリアーニ市長は、彼のコラムを掲載した『ザ・スペクター』誌に抗議したそうだ。まぁ、アメリカ白人なら心に秘めねばならぬ感想を口にしたのだからしょうがない。アメリカででは「沈黙は金、正直は損」というのが常識である。ただし、唯一の例外はユダヤ人。ニューヨークのユダヤ人街で、「クシュ(黒人)」と言えば、ゴリラか犯罪者を意味するんだから。

Richard Fuld 2(左/リチャード・フルド)
  しかし、こんな非難があってもめげないのがお金持ちのテオドラコプロス。彼はリーマン・ショックの時もひと騒動犯してしまった。日本人でも議会の公聴会に召喚されたリーマン・ブラザーズのCEO、リチャード・フルド(Richard Fuld)を覚えているだろう。あんな図々しい奴の顔は忘れたくても忘れられない。巨大な経済的損失をもたらしたのに、涙を浮かべて謝罪するどころか、高給スーツに身を包んで堂々と人前に現れたんだから。しかも、豪華なプライベート・ジェット機で公聴会にやって来たんだから、並の神経をもつ人物じゃない。これには流石のアメリカ国民も、怒りを通り越して呆れてしまった。テオドラコプロスは、このフルドを「幼稚園から一人で出てこられないくらい不器用で、猿みたいな顔をしたユダヤ人」と馬鹿にしたのだ。(Taki Theodoracopulos, Sachs of Gold, Chronicle Magazine, January 1, 2010) 彼のユダヤ人嫌いは有名である。合衆国がイスラエルの占領地域(Israel's occupied territory)になっているぞ、と発言したり、イスラエルのユダヤ人はパレスチナ人の女子供を虐殺している、と騒ぎ立てた。また、合衆国政府はユダヤ人に買収されており、米軍はイスラエルに飼い慣らされた番犬だ、とも述べていた。これは本当の事だから間違ってはいない。しかし、テオドラコプロスを色々と擁護してきた『ザ・スペクター』誌の同僚コンラッド・ブラックも、露骨なイスラエル批判を繰り返す友人を庇いきれなくなった、と嘆いていた。(Conrad Black, My Friend Taki has gone too far, The Spectator, 3 March 2001) やはり、ユダヤ人を敵に回す人物とは縁を切りたい、ということなんだろう。

  保守的アメリカ人は長年、共和党を支持してきたが、時を経るにつれ共和党も徐々に変質し、失望する支持者が増えてきた。スコット・マコーネルもその一人である。2004年、ジョージ・W・ブッシが再選を目指した時、マコーネルは意外なことに、民衆党の対抗馬であるジョ・ケリーを応援した。保守系雑誌『ザ・アメリカン・コンサーヴァティヴ』の編集者なのに、なぜ民衆党のリベラル派ユダヤ人を支持したのか? 答えは「消極的選択」にある。彼はネオコンどもと癒着して、米軍を不毛な中東戦争に派遣したブッシュが憎い。ケリーがリベラル派の政治家であることは重々承知の上だが、マコーネルはケリーなら中東の泥沼から米軍を救い出せるのではないか、と考えたのだ。しかし、これは甘い希望的観測であった。ケリーが大統領になっても米国の中東政策は変わらない。国務長官になったケリーの言動を見れば明らかだろう。イスラエルに居る方がくつろげるような奴に、ネタニアフ首相の逆鱗に触れるような真似はできない。ユダヤ人のケリーにとっては、イスラエルが文字通り「祖国」なのだから。

  民衆党と共和党の違いが無くなった現在では、保守派言論人にも異変が起こっている。『ザ・アメリカン・コンサーヴァティヴ』の編集者だけが狂ってきたのではない。『ナショナル・レヴュー』の編集者もおかしくなっていたのである。例えば、元編集長だったヴィク・アリソン(Wick Allison)は、2008年の大統領選挙で共和党のジョン・マケインではなく、民衆党のバラク・オバマに投票するつもりだ、と公言していた。(Wick Allison, A Conservative for Obama,  D Magazine, October 2008) もちろん、オバマはアリソンにとって理想的候補者ではない。しかし、ブッシュ大統領による巨大な財政赤字や対テロ戦争への疲弊感から、民衆党のオバマに変えた方がいいんじゃないか、とアリソンは思ってしまった。なぜなら、マッケインが当選すれば、「民衆政治にとって安全な世界」をつくるという名目で、悪漢退治の戦争を継続するだろうと踏んだからだ。今となっては、こうした期待は裏切られたと分かるが、当時のオバマ・フィーバーを考慮すれば、やむを得ないのかも知れない。しかし、オバマの謎めいた出生や、テロリストの師匠ウィリアム・エアーズを冷静に調べれば騙されなかったはずだ。もっとも、共和・民衆の両党が選出した候補者が、どちらもクズでは投票することすら馬鹿らしくになってしまう。ナメクジとゴキブリのどちらがディナーにふさわしいか、と質問されて答える奴はおらんやろう。大木こだまなら「チッチキチー」と言って終了だ。

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(左: ヴィク・アリソン / ジョン・マッケイン / ジョン・ケリー / 右: ジョージ・W・ブッシュ)

  それよりも、保守派国民にとっては、アリソンが抱いたオバマに対するの妄想の方が驚きである。彼はオバマの本を読んで、「思慮深く、実践的で、賢明な男だ」と評した。(Wick Allison, A Conservative for Obama, D Magazine, October 2008) これだけでも笑ってしまうのに、アリソンは何とオバマを“現実主義者(realist)”と褒めたのだ。なぜ、保守派であるはずのアリソンが、こうした幼稚な幻想を抱いたのか? それは、ジョージ・ブッシュの8年間が余りにも酷かったからからである。アメリカの国益が直接脅かされているとは思えない戦争を、だらだらと続けていることに“うんざり”していたのだ。アリソンは共和党の理念に幻滅し、「保守主義は死んだのかも知れない」とつぶやく。彼はオバマを積極的に支持したというより、共和党に嫌気がさして、民主党に安らぎを求めたそうだ。現実を見れば、グローバリストが民衆・共和の両党を牛耳っているんだから、どちらの候補者が大統領になろうとも、“世界の警察官”たる米国の役割に終わりはない。合衆国政府は依然として、イスラエルの管理下にあり、ユダヤ人の意向に刃向かう政治家は、手ひどい「仕置き」に掛けられる。鬼よりも怖い形相をしたユダヤ人の前で跪き、涙を流して慈悲を乞う、といった立場に追い込まれるのだ。今は亡き民衆党のジェイムズ・A・トラフィカント(James A. Traficant)下院議員や、「スーパー・セネター」と呼ばれたジェシー・ヘルムズ(Jesse Helms)上院議員は、イスラエル・ロビーからこっぴどく叩かれた政治家として有名である。トラフィカントは刑務所送りにされて政界を引退したし、ヘルムズは危うく落選しそうになって、ユダヤ人に詫びを入れたのだ。

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(左: バラク・オバマ / ウィリアム・エアーズ / ジェシー・ヘルムズ / 右: ジェイムズ・トラフィカント)

  保守派のアメリカ人が共和党に不満を抱くようになったのは、党内でユダヤ人の力が強くなったことに大きな原因がある。アメリカの伝統を守り、国民の自由と安全を大切にするはずの政党が、合衆国を世界規模の覇権国に変貌させ、いかがわしい理由で終わりなき戦争を煽っているんだから当然だ。保守系雑誌にもユダヤ人が多く紛れ込み、本来の保守思想をズタズタに切り刻んでいる。だから、パット・ブキャナンやサミュエル・フランシスのような西欧系アメリカ人は、ユダヤ人の「ネオ・コンサーヴァティヴ派(Neoconservatism)」に対して、「伝統的保守主義(Paleoconservatism)」を強調したいのだ。彼らはエドマンド・バークの流れを汲む真正保守を掲げており、民衆党のユダヤ人が共和党に持ち込んだ“まがい物”に反発していたのである。だが、彼らには全米ネットワークを経営できるような資金は無い。古代ローマの詩人ユヴェリナス(Decius Iunius Iuvenalis)は、ローマ帝國の民衆が「パンとサーカス(Panem et Circenese)」のみに現(うつつ)を抜かし、大切な政治に無関心だ、と嘆いたが、現代アメリカの愛国者なら、アメリカ帝國の大衆は「ジャンク・フードとハリウッド映画」で満足し、誰が最高執政官になっても気にしないのだ、と愚痴をこぼすだろう。パット・ブキャナンがいくら建国の父祖を引用し、「アメリカ・ファースト」を叫んだって、馬の耳に念仏、支那人に論語、朝鮮人に科学だ。バラバラな雑種民族の有権者は、死んでしまったギリス白人とは縁もゆかりも無いんだから。

後編」につづく。





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アメリカの保守派論客アン・コールターが抱える弱点

ユダヤ人の尻尾を踏んだアン・コールター

Ann Coulter 3








(左/アン・コールター)

  「触らぬ神に祟りなし」はアメリカでもあるようだ。しかし、この神はユダヤ人。お金が物を言うアメリカ社会では、「武士は食わねど高楊枝」なんて言っていられない。アメリカでの「自由」とは、「財産」あっての自由である。月の光で勉強する文士なんて居やしない。アメリカがヨーロッパ人にとって魅力的だったのは、信仰上の「自由」が保障されるからではなく、身分社会で生まれた貧乏人でも、新大陸に渡って一稼ぎすれば、他人に媚びず中流の暮らしが出来たからだ。西歐人が「私有財産」と「同意に基づく課税」に敏感なのは、お金があってこその独立を理解しているからだろう。宵越しの銭を持たなくても幸せだった江戸の庶民とは違うのだ。特に保守派の知識人は、敵に回す人間の方が多いから、生活を維持するだけの充分な収入が必要となる。新聞記者が「サラリーマン根性」から抜け出せないのも、独立して筆一本の暮らしが出来ないからだ。黒岩涙香(くろいわ・るいか)や陸羯南(くが・かつなん)三宅雪嶺(みやけ・せつれい)とは比べものにならない凡庸なジャーナリストだと、社長や編集長に黙って従うしかない。ちょっとした相続財産でもあれば、俺もさっさと会社を辞めてやるのに、と思う記者は結構いるんじゃないか?

  リベラル派が多数を占めるアメリカ社会では、日本人と同じく、左翼マスコミと闘う保守派文士の生活は楽ではない。大学教授にでもなれば、学外で好き勝手な言論を吐くことができる。しかし、その大学は左翼の寡占状態。ピンク知識人、赤い活動家、爆弾テロリストなら問題ないが、西欧世界の伝統を重視する白人の保守的アメリカ人はなかなか教授になれないし、要職にだって就くことが出来ないのが現状だ。となれば、保守派知識人はベスト・セラーの本を出版するか、雑誌に投稿して小銭を貯めながら地方巡業で稼ぐしかない。こうした保守論壇で異彩を放つのがアン・コールター(Ann Coulter)だ。黒人活動家やフェミニスト、民衆党リベラル派を敵に回して、遠慮無くずけずけと物を言う彼女の姿勢は、左翼社会に不満を募らせる庶民から絶賛を浴びるようになった。男性の保守派が言えば世間からのバッシングを受けるような意見でも、女性の保守派が言えば、多少の反論は巻き起こるが、謝罪会見にまで発展することはから大丈夫。まぁ、女だから許される風潮があるのかも知れない。

Ann Coulter 5Ayn Rand 1Michelle Malkin 2Donna Brazile 2








(左: アン・コールター / アンイ・ランド / ミッシェル・マルキン / 右: ドナ・ブラジル)

  アメリカでもリベラル思想の知識人というのは、掃いて捨てるほど居るから、真っ赤な頭の女性論客というのは珍しくない。ところが、白人女性で共和党支持を表明し、筋金入りの保守派論客となればその数は知れている。アン・コールターはその数少ない保守論客の内の一人だが、彼女が人気を博しているのは、中高年のオバちゃん学者ではなく、若くてスラりとした体型を誇る金髪美人であるからだ。もし、コールター女史がアイン・ランド(Ayn Rand)みたいなロシア系ユダヤ人とか、ミッシェル・マルキン(Michelle Malkin)の如きフィリピン系アメリカ人、民衆党全国委員会の総裁であるドナ・ブラジル(Donna Brazil)のような黒人女性なら、テレビ番組に引っ張りだこになることはないだろう。視聴者は醜女(しこめ)より美女の方を好むし、心理学者の見解によれば、美人が語る見解の方がより大きな説得力があるそうだ。従来だと保守派文士の容姿は、中の下くらいが普通だった。ところが、予想に反してバービー人形みたいなブロンド美女が現れたから、人気が出たのも無理はない。(映像メディア時代の現在だと、やはりテレヒ映りは重要だよね。)

  FOXテレビは一応、ABCやCBS、NBC、CNNといった民衆党支持で、リベラル思想に凝り固まったネット・ワークと一線を画し、やや保守的な共和党路線を取ることで注目されてきた。それに、社主のルパート・マードックか誰の発案か分からないが、メイガン・ケリー(Megyn Kelly)やサンドラ・スミス(Sandfra Smith)、ジェナ・リー(Jenna Lee)といった美脚の女性キャスターを揃えることで、番組を華やかにする方針を取っている。英国の新聞「ザ・サン(The Sun)」を買収したマードックは、女性のセミ・ヌードを掲載して販売部数を増やそうとしたから、もしかするとオーナーの指示かも知れない。それはともかく、他のテレビ局との差別化を図り、なおざりにされていた共和党支持の視聴者を引きつけるため、FOXテレビはアン・コールターに目をつけた。歯に衣を着せず民衆党の政治家を辛辣に批判しするコールターの態度は、視聴者にとって新鮮だったし、ユーモアを交えて左翼ゲストに反論を加える姿は爽快である。しかも、様々な雑誌にコラムを投稿し、テレビで活躍するコールターが書く本は、毎度ベスト・セラーとなったから、彼女の人気はうなぎ登り。保守派の大会に彼女が出演すると、オッさんの政治家や評論家の中で一際目立つから、主催者側は次回も登壇を頼みたくなる。やはり、目玉のゲスト・スピーカーには“華(はな)”が必要だ。

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(左: メーガン・ケリー / 中央: サンドラ・スミス / 右: ジェナ・リー)

  アン・コールターは黒人やイスラム教徒、ヒスパニックに対して言いたい放題なのに、しょっちゅうテレビ番組に招かれる。普通ならいくら美人でも、テレビ局から追放されてしまうだろう。出演依頼が激減するかゼロになってもおかしくはない。でも、それが起きないのはなぜか? 答えは簡単。コールターがユダヤ人批判をしないコラムニストだから。左翼思考が濃厚なテレビ業界といえども、共和党支持の保守派論客がテレビ出演を続けるのは不可能ではない。民衆党に飽き飽きしている視聴者だってゴマンといるからだ。しかし、ユダヤ人が牛耳るテレビ局で、イスラエル・ロビーやユダヤ人を徹底的に批判する事はタブーである。いくら人気者であっても、ユダヤ人の民族性や狡猾さを指摘して、ユダヤ人がアメリカの政界・財界・官界を支配している、と警告する者は粛正されてしまうのだ。フォックス・テレビで人気があったグレン・ベック(Glenn Beck)は、ジョージ・ソロスを番組で取り上げたから、契約切れという形式をもってクビになった。別に視聴率が下がったからではなく、ユダヤ人富豪の黒い経歴やお金の流れを追求したからだ。社会主義やカール・マルクス、バラク・オバマを批判する程度ならいいが、左翼の元兇たるユダヤ人にまで拡大したのは失敗だった。テレヒ番組に出演したければ、ユダヤ批判という地雷を踏まぬことが鉄則である。アン・コールターはユダヤ人を批判しないどころか、逆にユダヤ人贔屓で、イスラエルを支持するという矛盾した愛国主義者なのだ。アメリカの伝統や歴史を真に愛する保守派なら、必ずユダヤ人の害悪に気づくはずなのに、彼女は巧妙にそれを避けてきた。したがって、彼女の出世には「秘訣」があったという訳だ。

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(左: アン・コールター / 中央: ジョージ・ソロス / 右: グレン・ベック)

  そんなアン・コールターは思わぬミスを犯した。最新作『さらば、アメリカ ! (Adios Ameca !)』を出版したコールターは、中南米移民やムスリム難民などが犯す事件や殺人、強盗、強姦に対して警鐘を鳴らし、怠慢な合衆国政府を辛辣に批判する。移民の流入に反対を表明したドナルド・トランプを支持する彼女は、他の大統領選候補者が移民対策に及び腰だから、常に業を煮やしていた。どいつもこいつも保守を掲げる政治家なのに、討論会に参加すれば、口先ばかりの経済政策と教育・医療改革ばかり。焦点となる移民流入を防ぐ手段となれば曖昧模糊を決め込んでいる。アメリカ社会の根底が揺らいでいるのに、大統領を目指す連中は、自分がどれほどイスラエルを支持しているか、を宣伝するのに躍起になっていた。みんな「私はユダヤ人有権者の味方ですよ」、といったおべっかに終始するから、一般の共和党員は嫌になってしまう。そこでコールターはツイッターで致命的文章を書いてしまった。ある討論会で、テッド・クルズやマイク・ハカビー、マルコ・ルビオは、「大統領になったらアメリカはどんな風になるのか」という質問なのに、皆イスラエルのことばかり熱心に語っていたのだ。酒が入っていたのか、コールターは、「この人達はいったい糞ユダヤ人ども(fucking Jews)が米国に何人いると思ってるのかしら」とツイッターに書いてしまった。(Jewish Publication Could Drop Ann Coulter After ‘F--ing Jews’Scandal, Haaretz, September 20, 2015) アメリカ人口の数パーセントしか占めぬユダヤ人に対して、どの候補者もユダヤ人にゴマを擦ることてで頭がいっぱい。こんな体たらくなら、「移民の被害を受ける白人共和党員のことは考えないのか !」、と怒るコールターの気持ちも理解でるなぁ。

  普段からユダヤ人に対して好意を示しているアン・コールターだけに、このツイッターは瞬く間にネットに流布し、「反ユダヤ的」との見出して話題となった。彼女は取材に訪れた記者に対して、自分のツイッターは文脈を無視して切り取られ、センセーショナルな表題で焚きつけられたのだ、と弁解し、自分が今まで如何に熱心なイスラエル支持者であるかを、そして、ユダヤ人の敵に対してどれくらい反駁してきたかを述べたという。それでも、鬼のようなユダヤ人は許さない。それというのも、彼女は長年、ユダヤ人の雑誌『ジューイッシュ・ワールド・レヴュー(Jewish World Review)』にコラムを載せてもらっていたからだ。好き勝手な言論をかばってやったユダヤ人からすれば、「さんざん面倒をみてやったのに、何だあのツイッターの文面は ! “糞ユダヤ人ども”だって ? この恩知らずの白人女め ! 」と言いたくなるじゃないか。さっそくシオニスト団体は、コールターが準レギュラーのように出演するフォックス・テレビに圧力を掛け、彼女を“干してしまえ”と脅したようだ。(Barring apology, right-wing Zionist demand Fox News fire Ann Coulter for f--ing Jews tweet, The Jerusalem Post, September 22, 2015) さすが、冷酷非情なユダヤ人。刃向かった白人に対する「仕置き」は素早い。主人の手を噛んだ飼い犬はとことん懲らしめなきゃ。ユダヤ人の鞭はアメリカ社会の隅々に配置されているから怖いぞ。

  アン・コールターが有名なテレビ藝者になれたのも、ユダヤ人という大金持ちの「旦那」がいたからである。そりゃそうだろう。大手メディアのテレビ局で、黒人やヒスパニック、イスラム教徒などをコテンパンに批判しても、出演依頼が絶えないなんておかしいじゃないか。彼女は冗談交じりのムスリム批判を繰り広げていたのだ。例えば、9/11テロ以降、アメリカ人が旅客機に乗ろうとすれば、身体検査や荷物検査で数時間待たされることが普通になってしまった。苛立つアメリカの白人客は口にこそ出さないが、「どうして俺たちがこんな長蛇の列で待たなきゃならないんだ? あのイスラム教徒のアラブ人やアフリカ人だけを調べればいいじゃないか !」と心の底で思っている。そんな鬱憤を察知していたのか、彼女はテレビ番組にもかかわらず、「イスラム教徒のアラブ人は絨毯(カーペット)に乗って空を飛べばいいのよ」と笑いながら語っていたのだ。普通の男性評論家がこんな発言をすれば、いくら冗談でも抗議の電話が殺到し、即刻テレビ業界から追放されるだろう。でも、日本人ならコールターの身分を理解できるんじゃないか。暴言を吐く芸能人でも、創価学会や朝鮮系企業、暴力団などの強力な後ろ楯がついていれば、少々の不祥事だってもみ消してもらえるし、ワイドショーのニュースにもならない。テレビ局だって、公明党議員という尖兵を擁する創価学会やパチンコ業界を率いる朝鮮人、ヤクザと昵懇の藝能事務所が相手だと、揉め事を起こしたくないだろう。ただし、親方の機嫌を損ねた藝人は、簡単に「お払い箱」になってしまうから注意が必要だ。

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(左: エドワード・ケネディー / 中央: ジェイコブ・ジャヴィッツ / 右: エマニュエル・セラー)

  アン・コールターは最新刊『さらば、アメリカ !』を引っ提げて、中南米からの不法移民による犯罪を告発し、彼らに免罪符を与えようとする連邦議員を手厳しく批判している。しかし、彼女は移民問題の核心、すなわち移民を米国に引き込むユダヤ人への批判は避けてきた。彼女は1965年の移民法で、故エドワード・ケネディー上院議員を非難しているが、それよりも更に悪質なユダヤ人団体やユダヤ系議員には、奇妙なほど沈黙を守っている。彼女はヒスパニック移民とリベラル派議員に対しては、激しく糾弾するが、ユダヤ人のエマニュエル・セラー下院議員やジェイコブ・ジャヴィッツ上院議員まで遡って攻撃することはない。米国への移民を調べれば、ユダヤ人が果たした役割に嫌でも気づくはずなのに、コールターはユダヤ人が跋扈(ばっこ)する領域に足を踏み入れなかった。明らかな巨悪の前で怯む「保守派の寵児」を目にすれば、誰だって「おい、どうしたんだ? 」と野次りたくなるじゃないか。もし、警察官が街頭で覚醒剤を捌く「シャブの売人」だけを捕まえて、その供給源である暴力団を見逃すような真似をしたら、国民は「何グズグスしてんだよ !」と怒るだろう。ちょっと世間通の人ならば、「警察署長とヤクザの親分はゴルフ仲間じゃないのか?」と疑うだろう。現実には、暴力団事務所への「ガサ入れ」を事前に教えて、「貸し」をつくる警官だっているんだ。世の中は持ちつ持たれつ複雑である。アン・コールターの経歴を知れば、日本人でも納得できるはずだ。

ヒスパニックと結託するユダヤ人

Mark Diamond 2(左/マーク・ダイアモンド)
  ユダヤ人が移民改革法の背後で暗躍していることは、大手のユダヤ・メディアが伝えているから秘密でも何でもない。例えば、アメリカ・ユダヤ委員会に属するラビのマーク・ダイアモンド(Rabbi Mark Diamond)は南米からの移民を引き込むため、穢らわしいキリシタンと手を組んで、一緒に移民流入賛成の音頭を取っていた。このラビに付き随っていたのは、カトリック教会のアレクセイ・スミス神父、監督派教会のメアリー・グラスプール牧師、その他、長老派教会やメソディスト教会の聖職者たちである。しかし、不思議なのは、なぜキリスト教会の聖職者がユダヤ教のラビと協力して移民流入を推し進めるのか、という点である。ユダヤ人は白人国家を多民族主義で破壊したいから理由は明白。一方、キリスト教徒の指導者が張り切るのは、自分が如何に善人であるかを示すためだろう。豊かな国で優雅に暮らす聖職者は、スリルの無い退屈な生活に飽きている。密入国を果たすため、川を渡る途中で溺れた子供や、仲介業者の餌食になってお金を巻き上げられる難民親子をテレビで観れば、一肌脱いで助けたくなる。しかも、新たな信徒獲得のチャンスだから鼻息が荒くなるのも当然だ。世俗主義にまみれた白人どもは、日曜日になれば礼拝堂ではなく、野球スタジアムかコンサート会場に向かい、高価なチケットを購入するくせに、神聖な教会には一銭も払わない。それなら、教会に集まる密入国者やヒスパニックの方がマシだろう。信徒不足に悩む聖職者にとって、神様の国よりディズニーランドを選ぶアメリカ人なんてどうでもいいのだ。

Robert Gittelson 1(左/ロバート・ギッテルソン)
  ユダヤ人は表面上、保守派を名乗る共和党員でも、その中身は民衆党リベラル派と大して変わらない。包括的移民法改革を考える保守派(Conservatives for Comprehensive Immigration Reform)を組織したロバート・ギッテルソン(Robert Gittelson)も、そうしたユダヤ人の一人だ。彼は繊維産業で成功を収めたビジネスマンで、出稼ぎ外人を受け容れる上限枠に関心があった。連邦議会上院は、1年で20万人と提案していたのだが、ギッテルソンは、この人数は少なすぎると異議を唱え、実際の相場では最低でも30万人くらいは必要だろう、と考えていた。しかし、彼の本心は移民の生活より、自分の利益の方にあった。この“善意溢れる”ユダヤ人は、中南米からの安い労働者を求める産業界の声を代表していたのである。ユダヤ人にとって、西欧系白人の国家がどうなろうが知ったことではない。それに、アメリカは第二次世界大戦の頃、ユダヤ難民を拒絶した前科がある。恨みなら千年経っても忘れないユダヤ人だ。伝統的にユダヤ人を侮蔑してきた西歐人が、白人だけの豊かな国家を維持して、幸せに暮らすなんて我慢がならない。数年前亡くなったギッテルソンは、共和党の移民改革法案を「聖書に反している」し、「残酷なものだ」と評していた。(Rex Weiner, Jews Unite Behind Push for Immigration Reform, The Jewish Daily Forward, June 26, 2013) 彼の視点は祖国を愛するアメリカ人ではなく、隣国を憎むメキシコ人の側にあったのだ。

Angelica Salas 1(左/アンジェリカ・サラス)
  「敵の敵は味方」というのは、政治学の定理である。ユダヤ人にとって西欧系白人が敵ならば、彼らを敵として恨むヒスパニック勢力は味方となる。「ロサンジェルス移民人権連合(Coalition for Humane Immigrant Rights of Los Angeles)」を率いるアンジェリカ・サラス(Angelica Slas)は、移民問題でユダヤ人と手を組んだ。豊富な資金と政界に強力な人脈を持つユダヤ人と結託すれば、ヒスパニック団体にとって「鬼に金棒」、頑固な白人議員に対しては「葵の御紋」となるのは確実。サラスは札付きの左翼活動家で、2006年には大規模なデモを組織し、大勢の仲間を集めて、ロサンジェルスの大通りを闊歩(かっぽ)しながら、「我々の仲間を滞在させろ(Let my people stay !)」と叫んでいたらしい。移民促進を図る勢力の背後には、さらに巨大な悪党がいた。その一つがフォード財団である。ヘンリー・フォードが創ったこの組織は、ケネディー政権で有名な、あのマクジョージ・バンディーを迎え入れてから、その方針がすっかり左翼路線に切り替わり、リベラル勢力の巣窟になってしまった。アメリカ社会を根底から改造したいフォード財団は、移民を入れようと躍起になっているアメリカ・ユダヤ委員会(AJC)の下部組織、ブリッヂング・アメリカ・プロジェクト(Bridging America Project)に2年間で約100万ドルを与えていたのだ。

  アメリカに数多くある悪徳財団を述べたら長くなるので省略するが、大富豪が金欠の左翼活動家に資金を流していることはあまり報道されない。例えば、ユダヤ人大富豪で「オープン・ソサエティー財団」を創設したジョージ・ソロスは、ヒスパニック団体に巨額な献金をしていたし、タイズ(Tides)財団にも350万ドルの活動資金を流していたのだ。このタイズは反戦活動家のドラモンド・パイク(Drummond Pike)が作った慈善団体で、左翼組織として知れ渡っていた。左翼は仲間同士でお金を回しながら増殖する習性がある。オバマが大統領選挙に出た時、不正事件を起こしていた極左団体のエイコン(ACORN)は、保守派のメディアでちょっと伝えられたが、裏でオバマ支持に奔走していたことは余り報道されなかった。エイコンは明らかに極左活動家の住処(アジト)なのに、慈善活動家の仮面を被るパイクは、何と100万ドルの献金を渡していたのである。大富豪のユダヤ人と極左のアメリカ人、下劣なヒスパニックが、舞台裏で連携していることに、一般のアメリカ白人は気づかない。マスコミがユダヤ人に支配されていると、いかに恐ろしいかを示す一例である。

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(左: ドラモンド・パイク /エリック・ガルセッティ / アントニオ・ヴィラレゴサ / 右: ベティー・ハン)

  今やカルフォルニアはメキシコの一部か、と思われるほどヒスパニック系住民が溢れている。移民が増えて、有権者の体質が変化すれば、選ばれる政治家の性質も変わってしまう。現在のロサンジェルス市長は、エリック・ガルセッティ(Eric Garcetti)というユダヤ・メキシコ系アメリカ人である。彼の前任者はアントニオ・ヴィラレゴサ(Antonio Villaraigosa/ 本名Antonio Ramon Villar, Jr.)という札付きの左翼であった。ヴィラレゴッサの父親はメキシコからの移民だったから、息子のアントニオがヒスパニック移民に同情するのは当然だ。「類は友を呼ぶ」という格言は正しい。移民で溢れるロサンジェルスで、ガルセッティのようなユダヤ人とメキシコ人の混血児が市長になれば、アンジェリカ・サラスのようなヒスパニック左翼は伸び伸びと活動ができる。彼女は進歩派ユダヤ人同盟(Progressive Jewish Alliance)やユダヤ労働委員会(Jewish Labor Committee)、ベンド・ザ・アーク(Bend the Arch)といったリベラル派団体と癒着して、移民促進を手伝ってもらう代わりに、中東におけるイスラエルの立場を支援したのだ。豊かなアメリカ社会に同胞を呼び寄せたいヒスパニック系アメリカ人にとって、遠く離れた中東アジアで何が起ころうが知ったことではない。ユダヤ人有力者の歓心を買うためなら、イスラエル支持に投票することくらい安いものだ。こうして、ユダヤ人とヒスパニックが水面下で密約を結び、南米からの移民を増やしているのだから恐ろしい。

  ユダヤ人とヒスパニック癒着してが旨い汁を吸うならば、そこに支那人が参入してもおかしくはないだろう。ロサンジェルスに拠点を構えるアジア大平洋アメリカ法律センターで、政策担当者を務めるベティー・ハン(Betty Hung)は、有名なユダヤ人団体である反毀損同盟(Anti Defamation League)と共同戦線を張ることにした。約300万にもいるアジア系アメリカ人を味方につけることができれば、数で劣るユダヤ人にも利益がある。選挙になれば、ユダヤ人が推薦する候補に、ヒスパニック票とアジア票が加算されるのだ。そうなれば、イスラエルに有利な外交政策を実現することができるから、シオニスト組織のユダヤ人幹部は大喜びだ。支那人を始めとするアジア人移民にとって、合衆国政府の中東政策がどうなろうと平気だし、イスラエルを助けるためにアメリカ兵が中東アジアで何人死のうが関係ない。彼らは手足を爆弾で吹き飛ばされたり、顔面に炎を浴びて苦しみながら帰還する負傷兵に一片の憐憫も感じないのだ。アジア移民は国籍を取っても、白人や黒人の将兵を仲間と見なさないから、彼らは依然として異邦人である。

Mark Hetfield 2(左/マーク・ヘットフィールド)
  ユダヤ贔屓のアン・コールーターは、中南米移民を引き入れるヒスパニック団体を非難したが、移民・難民を積極的に引きずり込むユダヤ人団体ヘブライ移民支援協会(Hebrew Immigration Aid Society/HIAS)については遠慮して黙っていた。この組織は創立125周年を迎える老舗で、昔は主に東欧からのユダヤ移民を支援しており、ヒトラーが台頭してくるとユダヤ難民の引き込みに熱心だったというい。ジャーナリストのダラ・リンドがHIASの最高責任者マーク・ヘットフィールド(Mark Hetfield)にインタヴューをしていたが、その内容は西欧系アメリカ人なら憤慨するに違いない。彼の話によれば、HIASのメンバーはヨーロッパからのユダヤ難民を受け容れてくれるよう、合衆国政府に必死で頼んでいた。しかし、合衆国政府は他国がユダヤ難民を受け容れたので、門戸を閉ざしてしまった。これが契機となって、落胆したアメリカ在住のユダヤ人は、同胞のためだけに受け容れを叫んでいてはダメだ、と悟ったらしい。そこで、保護されるべき難民すべてについて、人権擁護の立場で発言せねばならぬ、と作戦を変えたという。(Dara Lind, We used to take refugees because they were Jewish.Now we take them because we're Jewish, Vox Media, September 25, 2015) ユダヤ人がユダヤ難民を助けてくれと懇願しても、それは身内贔屓と見なされるから、どのような難民でも民族・人種に関わりがない、普遍的人権の問題にすり替えれば、渋い顔の合衆国政府を動かせるんじゃないか、と閃いたそうだ。つまり、1人のユダヤ難民を助けたければ、世界中の難民を10人、あるいは100人もちだせば「人類愛」からの要求となるから、大統領としても無碍(むげ)に断る訳にも行くまい。

  HIASを率いるヘットフィールドは、よそ者の心(the heart of a stranger)を分かっている、と自慢していた。なぜなら、彼らユダヤ人はエジプトに居た時「よそ者」であったからだ、という。日本人なら「おぉぉい、ちょっと待て ! いつの話をしているんだ? 」と言いたくなるだろう。預言者モーセがユダヤ人を引き連れて、エジプトを脱出した時代に言及するなんて、時代錯誤じゃないか? チャールトン・ヘストンの代表作『十誡』という映画なら日本人も覚えているが、現在の移民政策で紀元前の話を持ち出すなんて非常識だ。ヘットフィールドによれば、HIASが難民を助けていたのは、彼らがユダヤ人であったからだが、現在は彼らが難民の苦痛を知るユダヤ人であるからこそ、様々な地域から来る難民を支援しているのだという。最近だと、このHIASはシリア難民まで米国に引き入れたいそうだ。それなら米国のユダヤ人は、シリアの隣国イスラエルに、難民受け容れの圧力をかければいいんじゃないか。わざわざ、地中海や大西洋を越えて北米に来るより、ゴラン高原を越えてイスラエルに雪崩れ込む方が簡単だろう。しかし、米国のユダヤ人は神聖な祖国イスラエルをシリア難民で汚したくない。「ヒューマニズム」を謳うイスラエルは、ユダヤ人が主体の人種主義国家であるから、愛国的なユダヤ人はアラブ人やシリア人、イラク人、エチオピア人といった異民族を排除せねばならない。場合によったら迫撃砲で蹴散らしても良いと考えている。ナチスに迫害されたユダヤ人が、祖国イスラエルでナチズムを再現する光景は愉快だ。移民排斥を訴えるアン・コールターは、大好きなイスラエルのナチズムを称賛すべきだ。

  アメリカの保守派には立派な人物もいるが、ユダヤ人のお金と権力に屈する人物がいるから残念である。しかし、我々もアメリカ人を笑ってはいられないだろう。日本のテレビ局は左翼ばかりか、朝鮮や支那の資本家に支配されており、誰も支那人や朝鮮人の犯罪に迫る言論を述べることができない。それというのも、支那人や朝鮮人を本気で糾弾する評論家や学者は、危険人物としてブラック・リストに載っているからだろう。また、支那で商売をする企業が番組スポンサーになっていれば、北京政府から睨まれるのを恐れるから、番組制作者は安全な評論家しか招かない。御用学者もそれを承知しているから、当たり障りのないコメントでお茶を濁す。出演料をもらえれば、どんなおべっかでも口にできる連中だから、一般視聴者は不満だろうが我慢するしかない。一方、テレビ局は「嫌なら観るな」と言うだけだ。こんな状況じゃ、テレビや新聞を見ない若者が増えても当然だろう。池上彰や古舘伊知郎で満足する奴なら、頭の程度は知れている。多少世の中を知りたい者は、インターネットを駆使して、欲しい情報を集めるしかない。今ではスポンサーの縛りを気にせず自由に発言できるのは、インターネットとミニコミ誌くらいだ。「言論の自由」は「スポンサー・フリー」でなけりゃ無理だよね。




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