無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2016年10月

難民は嫌だ ! / 拒否できない日本への圧力

支援団体は偽善者

  左翼は慈善活動に熱心だ。「右翼」的国民とは違って、心の底から優しくて、他人をいたわる気持ちで一杯なんだろう。ところが、こうした善い行いは「他人のゼニで !」が合い言葉になっている。哀れな移民や難民を保護するのは結構な事だが、「それは自分の財布で行ってくれ! 」と言いたい。アジアやアフリカからの難民を憐れむなら、まず自分の家庭で引き取り、食事や衣服はもちろんのこと、高額な医療費も自分の懐から出すべきだ。一般国民はこれらの外国人を受け容れたくないのだから、心優しい左翼活動家は自分の預貯金を切り崩して養うべきだじゃないのか? 彼らだってレストランで外食したり、上等なスーツを購入し、家族旅行だってするんだから、そのお金をすべて難民にくれてやればいいじゃないか。そうしないのは、自分のお金だと惜しいからだろう。左翼という偽善者はいつも国民の税金を使って、自らの政治目標を達成しようとする。困った人を見つけては親切の押し売りを行い、マスコミに訴えて税金で面倒をみろ、と凄(すご)む。公金で助けられた人々は、左翼活動家に涙を流して感謝する。左翼どもは、これがたまらなく好きなのだ。「あぁ、私って何て素晴らしい善人なのかしら」と自画自賛。もう、趣味とか道楽と言って良いレベルである。他人から多額の税金をむしり取って、自分だけ「救世主」のように振る舞うんだから、取られた方は腹が立つ。でも、左翼って、こんな事を平然と行えるから、ある意味すごい。

Refugees in Calais 2Refugees in Calais 1







(左: 「ジャングル」に暮らす外人たち / 右: 荒れ果てたカレーの光景)

  最近、フランス政府は悪名高い「ジャングル」と呼ばれる違法外人居住地帯の一掃を図ったという。百年戦争で有名な「カレー」には、少なくとも7千人以上の移民難民が居坐っていたそうだ。(Yaron Steinbuch, France starts to shut down ‘Jungle’ refugee camp in Calais, New York Post, October 24, 2016) 彼らの大半はアフガニスタンやスーダン、エリトリアからの不法侵入者で、異邦人に“寛大な”(すなわち「甘っちょろい」)英国に潜り込みたい不届き者である。異邦人の不法滞在で手を焼くんなら、さっさとイングランドへ“島流し”にしてしまえば良さそうなものだが、一応きちんとした文明国なので、フランス政府は隣国に厄介払いをできない。そこで、1,600人ほどその“不埒な”住民をバスに乗せて別の場所へ異動させようとしているのだが、搬送先でも悩みが尽きないという。フランスの地方議員であるパトリシア・シャノン氏によれば、フランス国民はこうした外人を別の地域に移すことに難色を示しているらしい。というのも、フランスには公的援助を援助を必要とする困窮者が800万人もいて、その他に人並みの居住を求める者が300万人もいるからだ。こうした自国民を差し置いて、不逞外人を優先させるなどもってのほか。しかも、大量の異邦人を移住させたら、彼らは何処へ散らばってしまうか分からない。「ジャングル」から追い出された犯罪予備群は、フランス各地に拡散し、ドイツのケルンで起こしたような強姦や窃盗を犯すかも知れないのである。(Coming soon to a quaint French village near you: Calais ‘Jungle’ refugees, RT, 24 October 2016) 「人道主義」を掲げるフランス人だって、私生活では「排外主義」を信奉しており、「俺たちの町内や街中だけは近づくんじゃねえぞ !」というのが本音である。毎日新聞にはこうした「現実」を認識していない記者が矢鱈と多い。

Refugees in Calais FranceRefugees in France








(左: フランスに住みつく難民や移民たち / 右: 異邦人に穢されたパリの情景)

  フランス人の偽善に触れた序でに、彼らの裏面にも言及したい。不法滞在者を異動させるのに1,200名の警官を動員したフランスは、余計な税金を使ったうえに、首都パリでも異邦人駆除に頭を悩ませていた。アフガニンタン人やスーダン人、ソマリア人、エリトリア人を「エオール・ガーデン(Eole Gardens)」という公園に集めたものの、大量の移民が住むことになって新たな問題が生じたのである。例えば、公園が有色移民で溢れたばかりか、芝生は荒らされ、至る所に糞尿が散らばる「オープン・トイレット」に変貌してしまったのだ。公園周辺のフランス住民は、聞き慣れない外国語を喋る異邦人に眉を顰めるけど、そうした外人は気にも留めず、仲間と群れて雑談に花を咲かせているという。

Janet Darley (Rabbi)Eritrea children 3







(左: ジャネット・ダーレイ / 右: エリトリア人の子供たち)

  フランス人はお得意の「人道主義」で憔悴していたが、そんな彼らをイギリス人は笑っていられなかった。英国には「シチズンズUK(Citizens UK)」という慈善団体があって、ここのメンバーは「カレーに蝟集する子供達が可哀想だ」とほざいて、親に伴われない子供たち約千名を英国に引き取ろうとしたそうだ。「Citizens UK」は既に235人の子供を英国に連れてきたという。この団体を率いるジャネット・ダーレイ(Janet Darley)というラビ(ユダヤ教の指導者)は、「フランス政府が安全にキャンプ地を解散できるよう、できるだけサポートして行きたい」と語っていた。(Alan Travis, Transfer of refugee children to the UK on hold as Calais is cleared, The Guardian, 24 October 2016) これではイギリス人じゃなくても、「また、ユダヤ人かよ !」とぼやきたくなるじゃないか。ユダヤ人はどうしてこうも望ましくない異邦人を引き込むのか ? そんなにアフガン人やスーダン人の子供が可哀想なら、彼らの祖国であるイスラエルに送ってあげればいいじゃないか。なんで嫌がるイギリス人の国に連れてくるんだ? イングランドに住むアングル人やサクソン人は同意したのか? こんな事をするからユダヤ人は、何百年もヨーロッパ各地で嫌われるんだ。
  
  異邦人に関する問題は日本にもあった。9月23日附毎日新聞の報道によると、政府は難民を装ったスリランカ人30名を民間のチャーター機に乗せて、強制送還を断行したそうだ。彼らの中には長期滞在者もいて、27年9ヶ月も居坐っていたというから、そうとう図々しい奴がいたものである。でも、こうした外人どもは日本が甘っちょろいと分かっているので、「人権」を楯にいつまでも滞在し、何度でも難民申請を繰り返し、担当役人が根負けするのを待っているのだろう。彼らは日本人が強行策には出ないと確信しているのだ。だいたい、なんで困ったスリランカ人がわざわざ日本にまで来るんだ? 本当の難民ならボロ船に乗ってインドに向かうのが普通じゃないのか? 以前、NHKは緒方貞子を使ってクルド難民を支援していたが、日本で難民申請を行うクルド人なんておかしいだろう。トルコ政府に迫害されたクルド人が、なぜ遠路遙々インドやマレーシア、フィリピン、朝鮮を避けて、日本にまでやって来るのか? 学校でイジメに遭っている日本人が、安全を求めてブータンやイェメン、カザフスタンに移住するのか? 難民だから素朴で正直とは限らない。観光客を装って日本に空路で入国し、頃合いを見計らって難民申請をする、狡賢い外人がとても多い。要するに、彼らは一番「甘っちょろい」国が日本である、と分かっているのだ。一般人はみすぼらしい難民を見て同情しているが、潜入先を探している偽装難民は計算高く、ドイツやブリテン、日本が最も「お人好しの国」と分かっているから、最初から狙いをつけてやって来るのである。

  今回、日本政府は珍しくスリランカ人を追い払ったが、丁寧な送還をしたせいで3,700万円もの費用がかかった。一般国民は関心が薄いけど、我々の税金はこうして無駄遣いされているのだ。それなのに、支援団体の左翼どもは、スリランカ人たちは公平な裁判を受ける「権利」を奪われた、と不満をもらしていた。じゃあ、その裁判費用は誰が負担するんだ? 法廷での通訳料を誰が払うんだ?  資産を持たない外国人は日本側に要求ばかりする。我々は損をする一方だ。もし、難民申請者が窃盗でもはたらいて逮捕されたら、その被害は誰が弁償するのか? 問題はそれだけでは済まない。「人権」とやらに配慮せねばならぬ日本の警察は、外人の容疑者を取り調べるために、スリランカの言葉を理解する通訳を雇う破目になる。ただでさえ尋問は骨が折れるのに、警察官は通訳を介した「まどろっこしい」取り調を行う事で、心身共にぐったりするし、裁判所だって通訳を介した尋問となるから、数倍の手間暇がかかって費用がかさむ。こうした一連の出費を誰が負担するのか? 支援団体が全額負担するのか? 難民申請者はスリランカ人だけでなく、アジア・アフリカの各国からやって来るから、日本側は数十種類の通訳を備えなければならない。これを税金でまかなうのか? 一般国民は招いてもいない外人のために、法廷や刑務所で余計な税金を使う状況になっている。無理と分かってはいるが、難民の出身国に全費用と迷惑料を請求したいくらいだ。

  ヨーロッパ諸国と比べたら、日本はまだまだ難民の弊害が少ない方である。シリア難民で揺れるEU諸国は、彼らに便乗する他の難民が到来して青ざめている。ギリシアのレスボス島は、ヨーロッパを目指す難民の上陸地点となってしまい、島の住民は悲鳴を上げて政府に助けを求めていた。ところが、そこに救世主ではなく、悪魔の手先が現れた。さぁ、どんな者なのか? 察しのいい方なら、もうお分かりですね。出ました、またもやユダヤ人! ハクション大魔王だって呼ばれなきゃ、じゃじゃじゃじゃ~ん、と飛び出ない。しかし、ユダヤ人ときたら呼ばれもしないのにギリシアに現れる。このユダヤ人達は「イスラ・エイド(IsraAID)」という支援団体に属していた。「バンドエイド」じゃあるましい、「エイド(支援)」の名を附ければいいってもんじゃないだろう。この団体に所属する“心優しい”ユダヤ人達は、海を渡って島に辿り着く難民達を介護すべく、医療セットを持ってレスボス島に駆けつけたそうだ。(Leora Eren Frucht, Hope and heartbreak: Israei medics aid grateful and grieving refugees in Greece, Haaretz, March 1, 2016) まったく、お節介というか余計な事をする連中である。

  ユダヤ人は「人道支援」とか「ヒューマニズム」というお題目がつく活動が大好きだ。哀れな外国人を見ると居ても立ってもいられないのだろう。アジアやアフリカからの難民を見ると、かつての自分たちを思い起こしてしまうのかもしれない。しかし、そんなに難民を助けたいなら、彼らを自国のイスラエルに引き取ればいいじゃないか。シリア難民ならすぐ隣のイスラエルに向かえばいい。なぜ、シリア人はわざわざ遠くドイツにまで足を運ぶのだろうか? 「イスラエイド」のボランティアたちは、イスラエル政府に難民を受け容れるよう要求すべきだ。ところが、このユダヤ人ボランティアは、難民をヨーロッパ諸国へと導くことに全力を傾けている。これを見たドイツ人やイギリス人たちは、怒髪天を突くどころじゃない。もう、殺してやりたいくらい、ユダヤ人ボランティアに怒りを覚えるのだ。西歐諸国の愛国者たちは、自国を難民から守ろうと必死なのに、寄生民族のユダヤ人どもは、難民の背中を押していたのだ。一方、イスラエルは難民を受け容れぬばかりか、パレスチナ難民を発生させている迫害国家である。歐米諸国に住むユダヤ人は、移民や難民を歓迎せぬ自国政府を責め立てて、もっと外国からの移住者を受け容れろ、と圧力をかけるのに、彼らの祖国イスラエルに対しては沈黙を守っている。歐米のマスメディアを支配するユダヤ人も、イスラエルの同胞に対して甘い態度を取っていて、地元政府の消極性を批判するが、排外的なイスラエルを非難することは控えている。

  ユダヤ人はたかり先の歐米諸国には、「多民族・多文化主義を採用しろ! 外国人に対して国境を閉ざすな!」と喧しく要求するくせに、イスラエルが移民・難民を排除しても一向に非難しない。イスラエルには独自の文化や宗教を維持する権利があるから、歐米のユダヤ人はわざと素通りして沈黙を守っているのだろう。信じられないけど、イスラエル政府はエチオピアやスーダンからの移民・難民だと態度が冷たく、沙漠に収容所を作って閉じ込めているそうだ。そして、ある程度拘束したら僅かな手切れ金を渡して、アフリカに帰れと命令し、容赦なく追放している。国内でも黒人に対する差別が著しく、アシュケナージ(東歐系)のユダヤ人に至っては、「俺たちは白人なんだ! 」と言い放つ者がいるという。こうした白色ユダヤ人至上主義者にとったら、黒人との共存・混血などもってのほか。黒人なんかガス室で殺してしまえと言い出しかねない。いっそのことユダヤ版ゲシュタポでも作ったらどうか。とにかく、歐米の白人からしたら羨ましくてしようがない。「いいなぁ、ユダヤ人って。人種差別をしてもマスコミから叩かれないんだから」と、彼らは愚痴をこぼしたいが黙っている。もし、アメリカでユダヤ人みたいな態度を取ったら、一発で社会的地位を失ってしまうだろう。黒人指導者のルイス・ファラカンなら、配下に武闘派のイスラム教徒がいるから、堂々とユダヤ批判を表明できるが、白人が同じことをすればKKKと呼ばれてしまい村八分だ。(ユダヤ人と黒人の確執はすごいけど、長くなるのでここでは触れないことにする。) 一方、差別が当り前のイスラエルなら、国民が「黒ん坊ども、出て行け !!」と叫んでも問題はない。さすが、ユダヤ人の祖国には「言論の自由」がある。イスラエルにはパトリック・ヘンリーかトマス・ペインの墓でもあるんじゃないか。

難民条約はユダヤ人によって作られた

  日本や歐米諸国の一般人は、難民と共存したいなどと考えない。むしろ、「難民なんて嫌だ、出て行ってくれ」と思うのが普通だろう。それなのに、いつの間にか自国の政府が難民条約を締結している。おかしい。国民の大多数が望まないのに、難民を受け容れる枠組みが出来ている。やはり変だ ! 何か裏がある。そもそも、他国で迫害された外人が「難民」としてやって来ると、合法的に入国してきた外国人とほぼ等しい身分を有したり、一定期間を過ぎたら地元の国民と同じ権利を持つなんて納得できない。アジアやアフリカから来た難民が定住先で同じ国民のように扱われ、高度な医療や教育を受けるだけでも腹立たしいのに、住居を提供されたうえに職業訓練まで施されるなんて異常である。どうしてかくも鄭重な待遇を受けることができるのか? それは難民条約を作った者たちに原因があった。

  第二次世界大戦後、日本人の頭の中では国連(戦勝国の同盟軍)が正義の味方になっていた。というのも、学校の教師や進歩的知識人が国連を世界連邦政府と見なし、日本の国会よりも優位にたつ上級機関のように教えてきたからである。「権威」に弱い日本人はすぐ有名大学教授とか外交官、国際機関の職員を偉い人と考えてしまうので、彼らの素性を吟味することがない。何も知らない一般人は、偉い人たちが賞讃する国連の決定だから正しいと考えがちだ。しかし、国連の職員なんてどこの誰だか分からない。英語やフランス語を喋っているから高級人間と考えるのは間違っている。国連に勤務する奴なんて、学歴だけ立派な「持てあまし者」が大半なのだ。本当に優秀なら自国で貴族か軍人になっている。ただし、第三世界からの職員は故郷で出世を望めないから、出稼ぎ気分で国連に来る野心家がほとんど。特にアフリカ人の上級職員なんか、賄賂を稼ぐために働いているだけで、腐敗していない人物を見つけるのは、川辺ででダイヤモンドを見つけるくらい難しい。国連職員なんか能無しの集まりで、常任理事国が都合良く利用するために無駄飯を食わせているだけだ。

  だいいち、国連で働いた日本人を見てみれば分かるじゃないか。学校の「お勉強」はできても、判断力と実行力は幼児並というのが大半だ。例えば、国連難民高等弁務官として有名な緒方貞子には、日本の国益と国境を守るという意識がない。自分の面子のために難民を受け容れろ、と宣伝しているんだから呆れてしまう。国連で難民を扱った東祥三(あずま・しょうぞう)も国益意識が無く、政治家に転身しても、関心があるのは葉巻か銀座のクラブ、そして大好きなゴルフくらしい。創価大出身で壊し屋の小沢一郎を師匠と仰いでいるくらいだから、どんな頭の構造をしているのか察しがつくだろう。

  参議院議員になった猪口邦子は、もう論ずるのも嫌になるほどの無能学者だ。日本代表部の特命全権大使として、国連の軍縮会議に派遣されたものの、これといった成果は皆無。核保有国に対しただ軍縮のお願いだけをしただけ。これを税金の無駄遣いという。お願いするだけなら、「お願い猫」の置物を国連に配送すればいいじゃないか。紫か赤の鉢巻きをした猫の方が安上がりである。上智大学で彼女のゼミを取った学生は、どんな「国際関係論」を習ったのか? たぶん、上智の卒業証書は授業料を納めた領収書くらいの価値なんだろう。国連で働いていた経歴を持つ議員には、参院議員の山本一太がいる。彼はテレビ朝日のお気に入り政治家であった。選挙が近づくと自民党の代表としてゲストに招いていた。見るからに情けない顔の山本氏は、自民党のイメージを下げる効果があった。テレビを見ている茶の間のオバちゃんは、山本が喋るごとにうんざりし、野党の方に期待してしまうから、反自民を掲げる番組制作者の思う壺。さすが、テレ朝だ。左翼放送局は外交や経済問題に関しては頓珍漢だけど、こういった感覚だけは鋭い。

  とにかく、日本人からすれば国連なんてちっとも有り難くないのだ。そもそも、国連はグローバリストの手先だから、本来なら国家主権の敵として考えねばならないのに、脳天気な日本人は善人の集会と見なしている。国連には有害な部局が沢山あるけど、その中でも難民支援を行う機関には悪質な人物が多い。日本は愚かにも難民条約に加入したが、この条約が誰によって作られたのか、ほとんどの国民は知らないままだ。我々は日本にとって百害しかもたらさない条約がどうやって形成されたのか、その経緯をしっかりと認識すべきである。

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(左: 筆を持つ中央の人物がジェイコブ・ロビンソン /左: ヘッドフォンを持っているのがクヌー・ラルセン)

  簡単に言えば、1951年にできた難民条約は、法学者のジェイコブ・ロビンソン博士(Dr. Jacob Robinson)を中心としたサークルによって起草されたのである。そのメンバーを紹介すると、まず条約会議の議長を務めた、デンマーク代表のクヌー・ラルセン(Knud Larsen)がいた。サミュエル・ホアー卿(Sir Samuel Hoare)は英国代表で、ポール・ワイズ博士(Dr. Paul Weis)は国際難民機構(International Refugee Organization/IRO)を代表し、国連難民高等弁務官(UNHCR)も兼任する人物。米国の代表は法学者のルイス・ヘンキン(Louis Henkin)で、もう一人は、NGO(非政府組織)の代表を務めるネヘミア・ロビンソン(Nehemiah Robinson)で、ジェイコブ・ロビンソンの弟である。

  このような組織を聞いて、何か嫌な予感がする人は勘が鋭い。中心人物のジェイコブ・ロビンソンは1889年、リトアニア(当時はロシア領)に生まれたユダヤ人である。1914年にワルシャワ大学を卒業したロビンソンは、第一次世界大戦でロシア軍に入隊し、ドイツ軍の捕虜となった事がある。独立を果たしたリトアニアに帰還すると、ユダヤ人学校の建設に従事し、その後弁護士稼業を経て、リトアニア議会の下院議員になった。議会ではユダヤ人派閥の領袖となり、1926年の解散までリーダーを務めたそうだ。彼はリトアニア外務省の法律顧問を務めたことがあり、この役目を拝命したことからデンマークのクヌー・ラルセンと出逢い、以来親交を深めたという。第二次世界大戦が勃発すると、ロビンソンはヨーロッパを脱出し、ニューヨークにある世界ユダヤ人会議(WJC)の傘下でユダヤ人問題研究所(Institute for Jewish Affairs)を設立し、戦後はロバート・ジャクソン判事の上級法律顧問となった。ご存じのとおり、このジャクソンは合衆国政府がニュルンベルク裁判に派遣した米国側検事である。つまり、ロビンソンはナチ・ドイツを断罪するため、ジャクソン判事のもとで資料集めに奔走した人物になる。序でにいえば、ニュルンベルク裁判には英米からのユダヤ人が多く係わっており、民族の恨みを晴らすべく熱心に活動したというから、いかに軍事法廷が怨念と復讐心に満ちていたかが分かるだろう。

  ロビンソンと親しくなったラルセンは、デンマーク人なのにユダヤ人に同情的であった。大戦中、内務省の法律顧問官を務めていたので、国内のユダヤ人コミュニティーを助けていたという。当初からユダヤ人に対して好意的であったから、ラルセンが国連に派遣された時、ロビンソンと歩調を合わせて難民条約作りに励んだのも頷ける。ユダヤ贔屓はサミュエル・ホアーも同じだった。第二次大戦が始まる前の1938年、彼は内務省の大臣を務めており、オーストリアとドイツから逃れてくるユダヤ難民に何千という移民ヴィザを発給していたのである。この大臣は下院に対し、もっと多くのユダヤ人を受け容れるよう訴えかけていたそうだ。彼は同僚の保守党議員からの非難にもめげず、高学歴のユダヤ難民を受け容れることは、英国にとっての恵み(blessing)になると主張していた。時々、こういうアホが高位高官になるから、後に厄介となる負の遺産が出来てしまうのだ。ユダヤ人は身分や学歴に関係無く、弊害を生み出す確率が高い異民族である。学問をつけたユダヤ人なら尚更危険だ。左翼思想に磨きをかけたマルキストが大学教授になったり、裁判官、政治家、高級官僚になるんだから、被害の規模が大きくなるのも当然だ。これを考えれば、チンピラにしかならぬ低学歴のユダヤ人の方がまだマシかもしれない。したがって、ユダヤ難民を「恵み」と考えるなんて狂っている。貴族のイギリス人でも、歴史の知識に乏しい善意の馬鹿だと困り者だ。

  ロビンソンのサークルにポール・ワイズが入っていたのは象徴的であった。彼はオーストリア出身のユダヤ人で、ダッハウの収容所から解放された過去を持つ。だから、難民に対して人一倍熱心でも不思議ではない。このワイズはウィーン大学で国際法の博士号を取得したが、その時の指導教官はハンス・ケルゼン(Hans Kelsen)であった。法学を勉強した人なら分かるだろうが、ケルゼンは極左学者が崇拝する高名な法理論学者で、人定法の権威である。ケルゼンの法哲学を知りたい方は、まずフリードリッヒ・フォン・ハイエックの著書を読むべきで、そうすればケルゼンの理窟に惑わされず、左翼法学者の間違いに気づくだろう。(ここではケルゼンの法理論には触れないことにする。ただ、「実証法(ius positivum)」は「人定法」と訳した方が日本人には分かりやすい。) 幸運にもワイズは1939年に英国へ渡航できるヴィザを取得していたので、一旦はダッハウの集約収容所にぶち込まれるが、間もなく解放されることとなった。収容所を脱したワイズは、1942年に世界ユダヤ人会議に所属し、法務に携わる部署に配属となった。その時、彼の上司だったのがジェイコブとネヘミヤのロビンソン兄弟である。後に、国連で働くようになったワイズが、ロビンソン兄弟と一緒になって法律を作成することになったのだから、元上司に忠実な同志となってもおかしくはない。

  こうしてみてみると、難民条約は小さなサークルが密室で作成した法文であった事が分かる。だが、本当に恐ろしいのは、たった数名のよそ者が小難しい紙切れを作れば、先進国に住む数千万人の国民が従う破目になるということだ。最初から、如何にして難民を先進国に定住させるか、という前提で作成されたのだから、受け容れ国の意思、つまり反対する国民の主張は完全に無視されていたのである。だいたい、難民の面倒を見るわけでもないユダヤ人どもが、歐米諸国の一般国民に不愉快な難民を押しつけ、やれ共存しろ、福祉を与えろ、対等に扱え、と勝手な注文を付けてくるんだから、怒らない国民の方がどうかしている。ジェイコブ・ロビンソンはイスラエル外相のモシェ・シャレット(Moshe Sharett)を上司にしていたのだから、イスラエルが率先して難民を受け容れるよう説得するのが筋だろう。それなのに、イスラエルは除外して、有色移民を嫌がるカナダやオーストラリア、ニュージーランドにまで、難民を引き取れと圧力をかけるんだから、「お前は一体何様のつもりなんだ !?」と激怒する者が出てきてもおかしくはない。そもそも、ユダヤ人は長年に亙って西歐キリスト教国に寄生している異民族である。居候の分際なのに、さらに別の異邦人まで招き入れて、彼らを対等な国民にしろと要求するんだか、図々しいにも程がある。ユダヤ人が毛嫌いされるのも当然だ。

同胞のために条約を

  それにしても、なぜロビンソンたちはかくも難民に同情するのか? それは世界中の難民を可哀想に思っているからではない。このユダヤ人サークルは、同胞の将来を心配していたのである。千年以上も迫害されてきたユダヤ人は、いつまた迫害されるか分からない、という不安を抱いている。特に、ナチスの迫害を受けた直後のユダヤ人なら、再び迫害を受ける日が来る、と心配したはずだ。だから、自分たちが難民となっても大丈夫なように、あらかじめ難民の立場を有利にしておいたのである。これに気づけば、どうして難民が受け入れ先の国民と同等の権利を持つように設定されているのかを理解できるだろう。考えてもみよ。親子代々二千年以上、日本列島に暮らしてきた日本人と、カンボシアやスリランカ、ビルマ、ベトナムからの難民が、同等な権利を持つなんて常識外れだ。どうしてアジア人が難民として上陸すると我々と対等になるのか?  現在の日本は我々の祖先が必死の思いで築き上げた国家である。帝国主義時代には独立を守る為、多くの国民が血と汗を流したし、大東亜戦争では空襲や原爆攻撃で民間人が大勢殺され、南方戦線では将兵が餓死や怪我で苦しんだ。支那大陸では邦人の婦女子がソ連兵に強姦され、関東軍の将兵はシベリアに拉致されるという悲劇が起きた。しかし、我々の先人は瓦礫と化した国土を嘆きながらも、未来の子孫のため歯を食いしばって復興に努めた。こんにちの我々が享受している医療福祉や社会基盤は、亡くなった日本国民からの遺産である。

  我々は両親の子供であり、祖父母の孫、亡くなった曾祖父母の曾孫である。日本は日本人の国であり、我々が愛して止まない故郷なのだから、外部の侵入者から守らねばならない。しかし、歐米諸国に寄生するユダヤ人にとって、ヨーロッパや北米は生まれ故郷であっても、先祖から受け継ぐ自分たちの遺産ではないのだ。イングランド、ドイツ、フランス、アメリカ、カナダもユダヤ人が「我が国」と胸を張って呼べる国ではない。ドイツやフランスで迫害されれば、オランダかイングランドに逃れればいいし、そこが駄目なら、カナダかオーストラリアへ向かうし、そこでも追い返されれば、アメリカに潜り込むのがユダヤ人の行動パターンである。要するに、豊かな西欧先進国ならどこでもいいのだ。彼らには避難先の国家を守ろうという意識は無い。それよりも、現地の社会をユダヤ人にとって快適な場所に造り替えようとするんだから厚かましい。一旦定住すれば、寄生先の社会を支配するし、他国で迫害された同胞を積極的に招き入れようとする。難民条約で「人種や宗教、出身国」で差別してはならない、と釘を刺しているのは、同胞のユダヤ人が難民となった時に排除されないようにするためだ。かつて、アメリカやカナダ、オーストラリアは西歐系白人の移民を優先していたのに、ユダヤ人の策略と暗躍のせいで無差別の移民・難民政策を取るようになった。その結果は誰の目にも明らかだ。

  日本はこれから歐米諸国の轍を踏もうとしている。歐米諸国からの圧力で、日本も難民を受け容れざるを得なくなるだろう。だが、我々はこうした「国際社会」、つまり歐米諸国からの圧力を撥ねつけねばならない。人種差別主義者と非難されてもめげないことが肝要である。逆に、歐米の白人に毅然とした「拒絶反応」を見せつけるべきだ。事実、アメリカやヨーロッパには、移民・難民への反対政党が誕生し、声を上げられない人々の支持を得ている。日本人は移民や難民を断固排斥する理想の国として、今こそ彼らに模範を示すべきである。現在、一般国民は難民排斥者を「右翼」と呼んで蔑むが、やがてその右翼勢力から「そらみろ ! だから言ったじゃないか !」と反撃されるだろう。その時になって泣きべそを掻いたって遅いんだぞ。近い将来、成人した子供たちは「責任者出てこい!」と怒鳴るだろう。その時、物陰に隠れるような親にはなりたくないものだ。




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信頼できない世論調査 / 劣勢のトランプは逆転できるのか?

ヒラリー優位と言うけれど

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(左: ドナルド・トランプと娘のイヴァンカ / 右: ビルとヒラリー・クリントン)

  アメリカ合衆国の大統領選挙が間近に迫って、各メディアが民衆・共和のどちらが勝つかで騒いでいる。選挙権の無い日本人だと「ケセラ・セラ・フッァテヴァー・ウィル・ビー、ウィル・ビー、ケセラ・セラ~(Que Sera Sera Whatever will be, will be, Que Sera Sera)・・・」と歌うんじゃないか。幼い娘から「ママ、誰が大統領になるの?」と訊かれれば、「美人を装うヒラリーか、お金持ちのドナルドよ !」と母親は答え、「なるようになるわよ」と言い聞かせるだろう。アメリカ人にも「どうでもいいや。どっちがプレジデントになっても、俺たちの生活は良くならねぇんだから」と匙を投げている者がいるんだから、デモクラシーの選挙結果は予想しにくい。そのうえ、違法登録者から無党派層までいるんだから、アメリカ人の総意は支離滅裂だ。

  最近のアメリカ政治は予測が難しくなっている。なぜなら、従来の手法が役立たないからだ。とにかく、異邦人が次々と侵入し、アメリカ国籍を取得しているので、誰が本当のアメリカ人なのか分からない。二百年前から親子代々住んでいる者から、つい最近帰化した不法移民や、英語すら理解できない異邦人が、対等な有権者になっているんだから、アメリカ人とは「地球人」と定義した方がいいんじゃないか。菅直人が喜びそうな「地球市民」など、恐ろしいったらありゃしない。しかし、決戦の投票日は必ず訪れる。我が国のNHKは「民主党のクリントン候補が優位に立つ」と報じていた。( 「米大統領選 クリントン氏優勢で最終盤へ」NHK News 2016年10月21日) 各種の世論調査の平均値で、クリントンがトランンプを支持率で6.4ポイントもリードしているそうだ。また民放各局も概ねNHKと同じような報道をしていて、アメリカでは既にヒラリーが優勢という判断が多数を占めている。でも、NHKやテレビ朝日、毎日新聞の海外情報だから、我々はそうやすやすと鵜呑みにできない。というのも、我が国のジャーナリストは、大手メディアの報道を直輸入するだけの代理人だからだ。国内に目を向けてみても分かる通り、日経新聞の記者が財務省のお代官様より賜る資料を、そのまま読者に垂れ流しているじゃないか。いかにも、独自の調査で掲載した記事が、実は単なる官報の丸写しみたいな代物が多いんだから。

Donald TrumpHillary Clinton 2








(左: ドナルド・トランプ / 右: ヒラリー・クリントン)

  日本のテレビや新聞と同じく、アメリカのマスメディアも真っ赤に染まっていて、報道姿勢が左翼偏向している場合が度々ある。CBSやCNN、ABC、MSNBCといったテレビ局や、「ニュー・ヨーク・タイムズ」紙や「ワシントン・ポスト」紙、「ハッフィントン・ポスト」紙などの新聞社もすべてが民衆党寄りで、ジャーナリストの大半がリベラル派の民衆党支持者ときている。米国のABCニューズが行った世論調査では、クリントン対トランプの支持率は、50%対38%で、クリントン候補の方が12パーセントもリードしているという。(Clinton Vaults to a Double-Digit Lead, Boosted by Broad Disapproval of Trump, ABC News Poll: 2016 Election Tracking No. 1, October 23, 2016) 二桁のポイント差というのはすごい。この調査によれば、大卒の白人女性では、62%がヒラリーを支持しており、ドナルドの支持者は30%に留まっている。信じられないが、32ポイント差でクリントンが優勢だ。トランプ嫌いのヒスパニック有権者だと、63%対25%でヒラリーが優位を保っているが、これは素直な動向である。他方、黒人有権者になると更にポイント差が拡大し、クリントン支持が82%、トランプ支持はたったの3%だ。えっ、何だこれ? 健康食品の塩分表示か、と勘違いしてしまう程の数字である。

  ところが、 白人男性になると事情が違ってくる。トランプの支持者は白人男性に多く、白人女性だと保守派が目立つ。内訳を見てみると、大学の学位を持っていない白人男性は、クリントン支持者が29%であるのに対し、トランプ支持者は60%でかなり高い。しかし、大卒者の白人男性だと42%対42%で接戦となっている。一方、大学の学位を持たない白人女性では、クリントン支持が42%で、トランプ支持は51%に留まっているが、大卒になると逆転し、62%がクンリント支持で、トランプ支持者は30%でしかない。全有権者を見てみると、有色人有権者は圧倒的にクリントン・民衆党支持に回っており、白人層は民衆・共和党支持でほぼ半分になっている。白人男性がややトランプ支持に傾いているが、白人女性はやはりクリントンに好意的である。日本のテレビ局に登場する御用コメンテーターが、クリントン支持者は高学歴の知的白人層に多く、トランプ支持者は低学歴の白人労働者に多い、と解説するのはこうした理由によるものだ。ただ、アメリカの大学ではリベラル派の教授が多数を占め、陰に陽に左翼教育を施しているから、白人の学生が赤く洗脳されていても無理はない。大学に行くと馬鹿になる、というのは日米共通である。

トランプ勝利を予言する異端者

  各調査機関が「ヒラリー優位」を報じているので、日米両国の一般人は既にクリントン候補が当選するというムードに包まれている。ところが、この趨勢に反して、トランプ優勢を発言する学者がいるのだ。ストーニー・ブルック大学(Stony Brook University)で政治を研究しているヘルムート・ノーポース(Helmut Norpoth)教授は、次期大統領選でトランプが勝つと予想しているそうだ。彼は過去の大統領予備選や選挙パターンを分析し、かなり高い確率、すなわち87%の確率でトランプが選出されると予測しているのである。(Helmut Norpoth, Primary Model Predicts Trump Victory, Political Science & Politics, Vol. 49, 2016) こんな予想を聞けば、アメリカ人のみならず、日本人でも「まさか、そんな !」と驚くだろう。しかし、ノーポース教授は過去の大統領選挙では、予備選挙を制した者が大統領になっているし、何年かおきに民衆党政権から共和党政権へ、共和党から民衆党へと政権交代のサイクルがあるから、あながちトランプが負けるとは限らない、と推測しているのだ。確かに、現在のバラク・オバマ、ジョージ・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ロナルド・レーガン、ジミー・カーターを思い出してみると、みんなニューハンプシャー州の予備選を勝ち抜いているのである。ヒラリーはサウス・カロライナ州では勝っていたが、ニューハンプシャー州の予備選ではバーニー・サンダースに負けていた。トランプはその両州で勝っている。それに、同じ党の大統領が任期を二回務めれば、次は別の党に政権が移るのは珍しくない。一期で終わったカーターの場合は、スタグフレーションとイランの人質事件が余りにも酷すぎた。また、ジョージ・ハーバート・ブッシュ(父)が一期で退任したのは、前任者のレーガンが二期大統領を務めたからである。

Helmut Norpoth 1(左 / ヘルムート・ノーポース)

  ノーポース教授が世論調査より予備選挙を重要視するのは、有権者が実際に“足を運んで”投票するからである。教授によると、テレビ局や新聞社の世論調査は、電話とか街頭、何らかの方法で集めた群衆を対象に質問しているだけで、自ら会場に赴いて投票する場合とは異なるからだという。なるほど、アンケート調査であれば、回答者は口を動かすだけである。「私はヒラリーに投票するわ」とか「トランプなんて嫌いよ」、「う~ん、やっぱりクリントンかな」といった発言を口にするけど、いざ投票日になって会場に出掛けるかどうか分からない。日本人でも投票日に雨が降ったり、寒かったりすれば面倒くさく感じるし、仕事で疲れていたりすると、自宅でゴロ寝して一日中テレビを見ている。とりわけ、恋人とイチャイチャしていると、投票場ではなく寝床に向かってしまうだろう。したがって、世論調査の結果はある意味、有権者がとる「実際の行動」を反映していないのだ。(Kevin Tampon, SUNY professor says Trump with at least 87 percent certain; other polls bunk, Syracuse.com, October 19, 2016) つまり、口で言ったことを必ず実行するかどうか、ノーポース教授は怪しいと睨んでいるのだ。

  また、「トランプが優勢」あるいは「僅かながらリード」と報じる世論調査もあるから、一概にクリントン圧勝とは言えないだろう。例えば、正確な調査で定評のある「インヴェスターズ・ビジネス・デイリー/TIPP」によれば、トランプ支持は42.1%で、クリントン支持は39.7%であるという。(Mary Kay Linge, Trump leading in poll that has best track record over last three elections, New York Post, October 23, 2016) 別の有名な調査機関である「ラスムーセン・リポート」によると、トランプに投票する人は43%で、クリントンへ投票すると答えた41%を僅かに上回っている。(Rasmussen Reports, White House Watch, October 21, 2016) 今回の選挙で特徴的なのは、両候補者が受けている支持者からの「熱意」である。共和党員の78%がドナルドに投票すると答えており、その応援者の中でも、67%の人が「熱烈に」彼を支持しているのだ。一方、ヒラリーも民衆党員の77%から支持を受けており、黒人の73%からも支持を受けているという。ただし、彼女を「熱烈に」支持すると答えているのは、58%くらいだそうだ。(Bob Unruth, Most accurate poll:  Trump leads Hillary by 1, World Net Daily, October 19, 2016) つまり、トランプの支持者には“確信的”な信奉者が多く、クリントンを支持する者には、やや「熱気」に欠ける者が見られるということだろう。バーニー・サンダースが起こした「熱風」をヒラリーは持っていないのかも知れない。

  今ひとつ熱狂的な支持を欠くヒラリーではあるが、やはり全米に亙る民衆党の地盤は固くて、ロイターの分析によれば、クリントン勝利の確率は95%にも上っているそうだ。「ニューヨーク・タイムズ」紙もクリントンが過半数以上の選挙人数を獲得して勝つと予測しており、93パーセントの確率をはじき出している。西部のカルフォルニア州や東部のニューヨーク州といった大票田は、長いこと民衆党の牙城となっており、共和党の候補者が切り崩すことが難しい地域となっている。しかも、注目されるウィスコンシン州とかコロラド州といった接戦州も、民衆党が飛躍的に勢力を伸ばして押さえてしまった。選挙人数が多いフロリダ(29人)、ペンシルヴァニア(20人)、オハイオ(18人)、ミシガン(16人)も、最近では民衆党候補が優勢となっている。もし、トランプがこうした「バトル・グラウンド」を落とせば、大統領選には勝てない。現在のアメリカは伝統的に共和党色が強い州(赤)と、何が何でも民衆党という州(青)が固定化しているし、近頃では、赤い州が段々と青に染まって「紫」の州になってしまったという。つまり、共和党の州が民衆党化しているということだ。こうした惨状を鑑みて、共和党のベテラン選挙参謀だと、民衆党が根強い東部諸州、すなわちニューヨーク州やメイン州、マサチューセッツ州などで宣伝活動するのは時間と資金の無駄だから、最初から無視という作戦をとるそうだ。こうした不毛な州よりも、接戦州に選挙の力点を置き、集中的に資金を投入するほうが賢いという。要するに、選挙人の過半数を取る事だけに集中すべし、という考え方なんだろう。

国民の「質」が変わったアメリカ

  アメリカ社会を支えてきた白人中流階級は、現在危機的な状況にある。もともと、米国の白人層は民衆・共和で半々に分かれており、大卒の専門職や公務員、筋肉労働者になるとリベラル派が増大し、保守派は伸び悩むか縮小するかの傾向にある。しかも近年、所得格差が開いたことにより、中流階級の保守的な白人が没落し、福祉の充実や政府介入の経済を求める者が増えてしまった。低所得白人の増加と連動するかのように、非白人系国民の台頭が著しくなり、ますます民衆党の票田が補強され盤石になっている。しかも、ラテン・アメリカやアジア、アフリカ諸国から大量の移民や難民が流入しているんだから、有色人種に味方する民衆党が人気を博してもおかしくはない。シリアとかアフガニスタン、エチオピア、メキシコ、コロンビアなどの第三世界からやって来た移民が、アメリカ国籍を取得したからといって、いきなり共和党を支持するのか? 下層の帰化人が頼るのは、絶対とまでは言わないが、ほぼ確実に民衆党である。いくらなんでも、教養と財産を持つ共和党員、あるいは合衆国の歴史を尊ぶ西歐系白人と、貧困に喘ぐキューバやイラク、あるいはメキシコから潜り込んできた賤民が、一緒にアメリカの理念と伝統を守りましょう、なんて言わないだろう。どちらかと言えば、敵対するのが普通である。肉体と精神、生まれや育ち、趣味と思考が異なる人間が、ひしめきあうように暮らすアメリカ社会では、日本人が育(はぐく)んできた「民族的絆」とか「国民的一体感」という意識は一切無い。統一を象徴するばすの星条旗に対する態度さえ違っているのだ。そうした赤の他人で構成されるアメリカ国民が、国家の命運を託す大統領を選ぶんだから、考えただけでもゾっとするじゃないか。

Hillary Clinton 5Donald Trump 1








  大統領選でどちらの候補が当選するのか、賭博屋(ブッキー)でも迷っているんだから、一般の我々なら予測不可能だ。通常のサイクルなら、二期続いた民衆党政権からの揺れ戻しで、共和党のトランプが勝つはずである。しかし、マスコミによる執拗なネガティヴ・キャンペーンにより、トランプ陣営は窮地に立たされている。しかも、トランプが「八百長の投票が行われている」と発言したことで、中産階級の反感を買ってしまった。実際、選挙登録の不正は行われていて、地方紙などでもちょろっと報道されていたから、政治学者や研究家の間では常識である。でも、一般のアメリカ人はそんな事実を信じたくないし、自分の国がアフリカ並と認めたくないから、「トランプはまたいい加減な事を言ってやがる」と馬鹿にしているのだ。これはトランプの致命的なヘマである。大衆は「清廉なアメリカ」を信じたいのだ。醜い現実には目を背けて、輝かしいアメリカの栄光だけを見たいのである。つまらない人生を送っているのが大衆なんだから、ジャイアント馬場の「プロレス」みたいな八百長を見せておけばいいのだ。(ジャイアント馬場がゆっくりと上げる16文キックに、わざとぶつかって倒れる外人レスラーは可笑しかった。)

  本来なら、移民政策や軍事・外政、金融・財政問題、福祉・教育などの緊急課題を討論すべきなのに、トランプがセクハラしたという昔話や、「不倫をしたんじゃないか」といった噂話を取り上げて騒いでいるのだ。合衆国軍隊の最高司令官を決める選挙と下半身問題が同じレベルとは恐れ入る。トランプが楽屋裏で卑猥な話をしたことが、選挙を左右するような重要事項なのか? 国家機密を外国人に売り渡した容疑のあるヒラリーはお咎め無しで、不法移民から庶民を守るトランプの方が悪党なんておかしいだろう。だいたい、「不法」入国した者に恩赦を与えて、外国の犯罪者を正式な「国民」にするなんて、ヒラリーは気が狂っている。日本ではNHK本社に「不法」侵入したら、直ちに警備員に捕まって警察に引き渡されるんだぞ。いくら蓮舫に頼んだって、前科者になってしまうのだ。アメリカの主要メディアは根っからトランプが嫌いなようで、絶対に当選させないと意気込んでいる。

  政界だと一寸先は闇だから確実な事は言えないが、左翼メディアが伝える世論調査のままなら、トランプが劣勢、クリントン優勢なんだろう。アメリカ国民ではない日本人には直接関係無いが、我々にはこの事態から学ぶべき点は多い。つまり、選ばれる候補者よりも、「選ぶ」有権者の“質”が重要なのだ。アメリカ大陸に共和国を築いたブリテン系建国者の子孫が少数派に転落し、どこからともなくやって来た非西歐人が主流派になってしまったことは刮目すべき事実である。建国者の子孫を憎む黒人奴隷の末裔や、カルフォルニアとかテキサスといった失地を回復しようとするヒスパニック系移民、イスラム教を信奉する中東アジア人、金銭が命の支那移民、根底から文化と人種が異なるアフリカ難民、などの異民族が投票権を握っているんだから、西歐系アメリカ人は目が眩んでしまうだろう。しかも、徹底した左翼教育のせいで、西歐的アメリカ社会を守るはずの白人が、自らの社会を壊しているのである。最悪なのは、それが倫理的に正しいと考えていることだ。あたかも、自分の血液が邪悪と思っている者が、手首を切って血管に宿る悪霊を追い出そうとしているようなものである。

  アメリカ白人にとっての「ホームランド」は国家ではない。情けないことに、自分が生まれ育った州や郡、村でもなければ、近所の野球場ですらないのだ。せいぜい、自宅がある敷地、二階のベランダ、裏庭くらいなものである。玄関から一歩外に出れば、不気味なアフリカ人やアラブ人、東南アジア人がうろうろしているのだ。それにもかかわらず、「同胞」とは思えない奴らが同等の選挙権を持っている。これでは愛国的民衆党員は、こっそりトランプに投票したくなるだろう。世論調査で分からないのは、こうした「裏切り者」がどの程度いるのかだ。口ではまさか「トランプに投票する」とは言えないから、「ヒラリーに投票するわ !」と表明する白人がいたりする。また、投票場で「やっぱり、トランプにしよう」と寝返る可能性だってあるだろう。ただし、今回の選挙ではヒラリーに入れてしまう共和党員もいるから、混迷を深める激戦乱戦となっている。結局、みんなの本心が分かるのは投票所だけなのだ。

Eric Trump 1Ivanka Trump 1Donald Trump 4








(左: 息子のエリック・トランプ / 中央: 娘のイヴァンカ・トランプ / 右: トランプの家族)

  アメリカ社会におけるマスコミの影響力は甚大で、主要メディアがこぞって「トランプはもう終わりだ。劣勢を巻き返せない !」と宣伝するから、判断を保留している者は「やっぱりヒラリーに投票しようかな」とか「トランプじゃ危ないよね」と考えてしまう。左翼のテレビ局員やジャーナリスト、評論家たちは、ヒスパニック移民やムスリム居住者を排斥するトランプを憎み、あらゆる手段を使って当選を妨害しようとしている。テレビ画面を通して毎日のように、「トランプは人種差別主義者で、女性蔑視の常習者だ !」と呪文を唱えているんだから尋常ではない。呆れてしまうけど、こうした世論操作が堂々と行われているんだから、左翼分子がマスメディアを独占することが如何に恐ろしいか分かるだろう。トランプの息子であるエリック・トランプが選挙参謀としてテレビ番組に出演し、窮地に立つ父親を掩護していたが、怒濤の勢いで押し寄せる「反トランプ」軍団には太刀打ちできまい。娘のイヴァンカが加勢しても難しいだろう。真田信繁・幸昌のような最期はないだろうが、ドナルドとエリックがどう反撃できるかが勝負の分かれ目だ。(でも、トランプ陣営は「サイゴン陥落」を前にした米軍みたい。)

John Mappin 1(左 / ジョン・マッピン)
  筆者の直感ではトランプ勝利なのだが、根拠があるようで無いような判断ときているから心許ない。なにせ競馬や花札、パチンコなど一切ギャンブルをしたことがないので、賭け事には全く自信が無いというのが正直なところだ。したがって、外国のブックメーカーでお金を賭けている人は、筆者の予想を信じない方がいい。下手に信用すると危険を冒すことになる。くれぐれもご注意を。世論調査機関を信じてクリントンに賭けておいた方が安心かも知れない。しかし、世の中には支那人並にギャンブルが好きな豪傑がいるようで、英国の大富豪ジョン・マッピン(John Mappin)氏は、これまでにも多額のお金をトランプ勝利に賭けて、相当な額を儲けていたらしく、最終盤の大統領選挙には3万5千950ポンドを賭けているそうだ。これだから、お金持ちは羨ましい。たとえ、賭けに外れてもグリコのオマケに当たらなかったようなものだから、痛くも痒くもないだろう。大富豪じゃないけど、日本にもトランプ案件で儲けた人がいる。彼の勝利を予測した本で副島隆彦やあえば直道は、既に印税を稼いだはずだから、もしハズレても損は無いだろう。特に、副島氏は数々の予言を外してきたスペシャリストだから、今回の「大予想」を外したって平気だ。即座に言い訳を書いて、また一儲けするんじゃないか。(いいな、有名人って。) たぶん、ガッカリするのは以前紹介したランダム陽子さんくらいかな。筆者はトランプの方が日本にとって「まし」と考えている。しかし、主観的かつ希望的観測に基づく見解なので、日本国民には胸を張って主張できない。ただ、アメリカ社会には違った予測をする人がいるという事実を知ってもらいたいだけである。




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