無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2016年11月

ユダヤ人に囲まれているバノン / 頭を改造されたアングロ・アメリカ人 (中編)





右翼の反ユダヤ主義者と罵られたバノン

  ベン・シャピロやマスメディアから叩かれるバノンとは、一体どのような人物なのか? 彼はカトリック信仰をもつアイリス系労働者階級の家庭に生まれ、その両親はケネディー大統領を支持する民衆党員であったらしい。ヴァージニア工科大学を卒業したバノンは、補助技術官として駆逐艦に搭乗し、4年間太平洋で勤務したのち航海士となったようだ。この頃、バノンの人生を変える転機が訪れた。1979年、イランのテヘランで人質事件が発生し、アメリカ大使館員が革命派に拘束される事態が起きたのである。当時、バノンは北アラビア海で待機していたという。兇悪事件の発生を受け、ジミー・カーター大統領は軍を使って人質救出を試みたが、その作戦は期待に反して失敗に終わってしまった。この無様な失態は日本でも大々的に報道されたので、レイム・ダックとなったカーターを覚えている方もいるだろう。民衆党員家庭に育ったバノンだが、この屈辱的結果を目の当たりにして、彼はロナルド・レーガン大統領の支持者になったという。

Steve Bannon 1Jimmy Carter 1Ronald Reagan 5








(左: スティーヴ・バノン / 中央: ジミー・カーター/ 右: ロナルド・レーガン)

  当初は「人権外交」を“売り”にしていたカーターだが、理性もへったくれも無い暴力の嵐が吹きすさぶ中東アジアで、厳しい現実に直面したから、圧倒的な武力で挑まなければ事態は解決できぬと分かったはずだ。(彼は名門アナポリス出身の海軍士官で、原潜に搭乗する技術屋だったが、どちらかと言えば、稼業の農園業に向いている人物であった。カーターは日曜に近くの教会で牧師を務める方が似合っていて、実際、彼はジョージアにある教会の説教壇に立っていた。) カーター支持の南部民衆党員も、バノンと同じ失望と幻滅を味わったので、「強いアメリカ」や「キリスト教に基づくモラルの復興」、「スタグフレーションの解決」を掲げるレーガンに魅了され、大勢の民衆党員がこぞって共和党に乗り換えるようになった。しばらくして、バノンはペンタゴン(国防総省)勤務となり、海軍作戦本部長の特別補佐官になったという。しかし、彼はそれで満足せず、職務の合間を縫って夜のジョージタウン大学に通い、国家安全保障を専攻して修士号を取得したそうだ。

  バノンは実に精力的な人物で、軍隊で一生を終えることを潔しとせず、ウォール街での人生を始めようとしたそうだ。しかし、金融業界で働くには学位が必要だということで、ハーヴァード・ビジネス・スクールに入学したという。刻苦勉励はバノンのモットーらしく、この疲れを知らぬ青年は目出度く経営修士号(MBA)を得た。ところが、ウォール街の金融業者は、三十歳前後の元軍人には冷たく、バノンは就職浪人になりかけていた。彼は投資金融会社の「ゴールドマン・サックス」にも職を求めたが、重役たちは渋い顔をしたらしく、不採用に傾いていたそうだ。ところが、同社のジョン・ワインバーガーとロブ・カプランの二人がバノンを気に入り、ゴールドマン・サックスに迎え入れたという。こうして銀行家となったバノンは、メディア界やエンターテイメント業に興味を覚え、映画スタジオなどの買収や仲介に取り組んだそうだ。

  それでも、バノンが求めていたものは企業の買収劇ではなく、社会問題を取り扱う政治劇、すなわちドキュメンタリー映画の制作であった。2001年の9/11テロに触発されたバノンは、『悪に直面して(In he Face of Evil)』というレーガン大統領に敬意を示すドキュメンタリー作品を世に送り、この作品が切っ掛けとなってピーター・シュワイツアー(Peter Schweizer)という政治学者と知り合うようになった。彼は続けて、共和党保守派の「ティー・パーティー」を称える『アメリカの為の闘い(Battle for America)』、金融崩壊の原因を辿った『ジェネリーション・ゼロ(Generation Zero)』、副大統領候補になったサラ・ペイリンを描く『不敗の人(The Undefeated)』などを手掛けたという。こうした一連の政治ドキュメンタリーを制作したバノンは、独自のウエッブ・サイトを創設しようと模索していたアンドリュー・ブレイトバートと親しくなる。ところが、誰も予期せぬ不幸が起きてバノンの人生がまたもや変転することとなった。まだ43歳と若かったアンドリューが2012年に急死となったのだ。バノンはブレイトバート・ニューズを引き継ぎ、同サイトを統括する責任者に就任したのである。(Joshua Green, This Man Is the MOst Dangerous Political Operative in America, Bloomberg Newsweek, October 8, 2016)

Andrew Breitbart 4Sarah Palin 1Karl Rove 2







(左: アンドリュー・ブレイトバート  /  中央: サラ・ペイリン / 右: カール・ローヴ)

  政界での新人であるドナルド・トランプを演出する選挙参謀になったバノンは、トランプに共感を抱きそうな潜在的支持層を取り込もうと考えた。これはジョージ・W・ブッシュの選挙参謀長を務めたカール・ローヴが取った手段と似ていて、鋭いローヴはクリントン政権下でしょげていた福音派キリスト教徒を鼓舞して、眠っていた保守票を大幅に掘り起こしたのである。方向性は違うがバノンも“埋もれた”保守派の票をかき集めようとしたのである。彼の標的はオバマ政権に怒りを覚える愛国派の白人層であった。2008年に多民族・多文化主義を前面に押し出す主流メディアが、こぞってチンピラ議員のバラク・フセイン・オバマを「人種統合の英雄」に祭り上げた。黒人であるが故にオバマを「有能」と見なす左翼白人と、白人をやっつけたい有色系国民が澎湃として投票所に殺到したので、一部の西歐系アメリカ人は苦々しく思っていたのである。

  「黒人ごときが栄光ある合衆国大統領になるなんて !」と憤る一方で、「遂にこの日が来たか !」と落胆する愛国的白人は、表面にこそ現れなかったものの、全米各地に存在していたのである。やはり、アメリカの最高指導者は威厳のある西歐系白人でなきゃ。レーガン大統領を敬愛するアメリカ白人なら、静かに心の底で賛同するはずだ。何と言っても、勲章をもらう軍人にしてみれば、尊敬できる立派な大統領からシルヴァー・スター勲章とかパープル・ハート勲章をもらいたい。重厚な雰囲気を醸し出すレーガンなら嬉しいけど、正体不明のマルキスト黒人で、一時的とはいえイスラム教徒に育てられた、「フセイン」というミドル・ネームを持つオバマなんかに表彰されたって嬉しくない。彼の名前を聞いて、イラクのサダム・フセイン大統領を思い出す軍人も多いはずだ。この点に関しては、日本人だって分かるんじゃないか。もし、敗戦後であっても帝國陸海軍の元将兵が勲章を頂くなら、大元帥陛下の昭和天皇か今上陛下というのが筋で、福田康夫とか鳩山由紀夫じゃ不愉快だから、「いや、結構。いらないよ!」と言下に断るだろう。自衛官だって勲章をもらうのが、菅直人からじゃ涙が出てくる。(誤解しないと思うけど、「嬉し涙」ではなく、「情けない」とか「悔しい」といった感情からの涙だよ。) やはり、いやしくも日本の軍人なら、叙勲式には天皇陛下がいらっしゃらないと、晴れの舞台と思えないし、だいいち胸がときめかない。蓮舫が自衛隊の最高司令官じゃ冗談にもならないぞ。支那人による叙勲なんて漫画でもあり得ない。

Ronald Reagan 6Obama 3Showa 1Kan Naoto 1








(左: ロナルド・レーガン / バラク・オバマ /    昭和天皇  /   右: 菅直人)

  八年にも及ぶオバマ政権で、愛国派の白人には不満のガスが充満していた。そこに、既成の政治家を押しのけて、全く政治経験の無いトランプが舞い降りてきて、「ヒスパニック移民の中には強姦魔や殺人鬼、強盗犯が多いんだ! 奴らを追い出せ!」と叫んだものだから、鬱積していた保守派の庶民は拍手喝采。これは、アマチュアの野球選手が、初出場のロヂャー・スタジアムで、いきなり大ホームランを打ったようなものだ。エスタブリッシュメントの政治家では決して言えない「タブー(禁句)」を堂々と口にしたんだから、不法移民に憤っていた白人がどれほと喜んだことか。しかし、CBSやABC、NBC、CNNといった左翼テレビ局は、有名な不動産王が信じられない暴言を吐いたと、蜂の巣を突いたかのように大騒ぎ。NBCに至っては、番組に出演していたトランプを即刻、光よりも、スーパーマンよりも、バックス・バニーやウッド・ペッカーよりも早く馘首。 (でも、瞬間移動が得意なサイボーグ009よりかは遅いかな。) それでも、保守的なアメリカ国民は動揺しなかった。却ってトランプ支持者を刺戟して、左翼メディアに反撥を覚える有権者を増やしてしまったのだから逆効果だ。

Ben Sales 1(左 / ベン・セイルス)
  でも、こんな事で挫けないのがアメリカの左翼である。トランプ当選を受けた後でも、いや、クリントン敗北という屈辱を嘗めたせいで、ますます過激にトランプを攻撃するようになった。そこで、彼の側近に目を附け、「バノンは人種差別主義者で、その上反ユダヤ主義者なんだぞ!」と宣伝していたのだ。案の定、ユダヤ系のベン・シャピロがトランプ陣営のバノンを批判するや、直ぐさま同胞のユダヤ人ジャーナリストたちが集中攻撃を仕掛けてきた。例えば、ベン・セイルスは有力なユダヤ人圧力団体である「名誉毀損防止同盟(ADL)」を率いるジョナサン・グリーンブラット(Jonathan Greenblatt)会長を尋ね、トランプが反ユダヤ主義に加担しており、「アメリカの中核的価値にとって敵である」とのコメントを引き出していた。(Ben Sales, Stephen Bannon: 5 things jews need to know about Trump's chief strategist, The Jewish Daily Forward, November 14, 2016) まったく、どの顔(ツラ)下げてこんな事を言えるんだ? 「アメリカの中核的価値(core American values)」にとっての脅威なら、真っ先に「ユダヤ人」じゃないか。日本に置き換えてみれば、辻元清美が国会で安倍総理に対して「日本の国防を蔑ろにしている」と非難するようなものだ。まともな日本国民ならテレビ画面に向かって、「お前が言うな!! ボケ、カス、マヌケ !!」と激怒するだろう。

Jonathan Greenblatt 1Warren Harding 1Donald Trump 2








(左: ジョナサン・グリーンブラット /  中央: ウォーレン・ハーディング /  右: ドナルド・トランプ)

  セイルスの同僚記者であるジョナサン・サルナも、トランプ攻撃に参戦し、不法移民排斥を目指す次期大統領を貶めている。彼は緊急移民法(Emergency Immigration Act)を以てロシアやポーランドからのユダヤ移民を邪魔した、1920年代のウォーレン・ハーディング大統領とトランプをダブらせているのだ。(Jonathan D. Sarna, That Other Time Jews Were Hated in America ─ and 3 Lessons To Learn from It Now, The Jewish Daily Forward, November 15, 2016) 現在のユダヤ系アメリカ人は承知できないだろうが、第20世紀前半のアメリカ国民はユダヤ移民なんて大嫌いで、自国がおぞましい容姿をした異民族に汚染されることを望んでいなかった。だから、特に人種差別主義者でもない白人でも、東歐やロシアからやって来るユダヤ移民には眉を顰めたし、異邦人の入国を制限する法律に反対しなかったのだ。今では公言できないけど、当時のアメリカ人の方がよっぽど「健全」だった。少なくとも、自分の祖国を異人種から守るという気概を持っていたのだから。

  マスコミ界にはユダヤ人ジャーナリストが雲霞の如く存在しており、「反ユダヤ主義」を耳にするや、大勢のユダヤ人記者がサメの如く群れてくる。例えば、「ワシントン・ポスト」紙のダーナ・ミルバンクは、「はっきり言おう。ドナルド・トランプは頑固者でレイシストだ」と書いていた。(Dana Milbank, Trump brings bigots out of hiding, The Washington Post, December 18, 2016) 彼はあるツイッターに「ミルバンクは反白人の寄生者で、頑固なユダヤ人至上主義者(kike supremacist)だ」と書かれ、「侮辱された」と怒っていた。この「カイク(kike)」というのは、ユダヤ人を指す侮蔑語である。昔、米国に来たユダヤ移民はエリス島で審査を受け、書類に記入するよう求められたが、文盲が多かったので、チェック項目に「X」ではなく「O」と記したそうだ。「X」はキリストが磔になった十字架を意味したので、ユダヤ人はこれを避けるため小さな丸を書いたのである。この小さな丸は「カイクル(kikel)」と言われたので、アメリカ人はユダヤ人を「カイク」と馬鹿にして呼ぶようになったそうだ。よく映画でネオ・ナチもどきの悪漢が、壁に「kike」と書いたりするけど、日本人はこの落書きを目にしても意味が分からない。我が国における英語教育の欠点である。

Dana Milbank 1Jack Jenkins 1Jeffrey Goldberg 2Bryce Covert 1








(左: ダーナ・ミルバンク /  ジャック・ジェンキンス / ジェフリー・ゴールドバーグ / 右: ブライス・コヴァート)

  ユダヤ人記者は同胞のジャーナリストに同情する心を持っているようで、ジャック・ジェンキンス(Jack Jenkins)はトランプ旋風で傷ついたユダヤ人仲間をいたわっている。ユダヤ人ジャーナリストのジュリア・ヨッフェ(Julia Ioffe)は、トランプのメラニア夫人について記事を書き、トランプ支持者から相当なバッシングを浴びたらしい。ネットにはアウシュヴッツのユダヤ人のように囚人服を着たヨッフェの合成写真が出回ったそうだ。(Jack Jenkins, The Surge of Trump-Fueled Anti-Semitism is Hitting Jewish Reporters who Cover Him, Think Progress, May 27, 2016) 『アトランテック』誌のジェフリー・ゴールドバーグ(Jeffrey Goldberg)も被害に遭ったようで、「トランプが当選したら、お前なんか強制収容所送りだ」との電子メールを受け取ったらしい。『シンク・プログレス(ThinkProgress)』記者のブライス・コヴァート(Bryce Covert)も侮辱的ツイッターを目にしたそうで、ユダヤ人の出自や家族のことまで馬鹿にされたそうだ。こうした脅迫や中傷メッセージを耳にすれば、日本の一般人は彼らを気の毒に思ってしまうが、アメリカにはこの手の「嫌がらせメール」なんて珍しくない。トランプ支持者だって左翼分子やクリントン応援団から、様々な侮辱的メッセージやネガティヴ宣伝を受けたのだ。選挙が白熱していたんだから当然だろう。

Julia Ioffe 1Julia Ioffe 3







(左: 合成写真囚人姿のヨッフェ  /  右: ジュリア・ヨッフェ )

  日本と同じくアメリカの左翼ジャーナリストも所属する組織は違えど、その毛根は地下で絡み合い、驚くほど固く結びついている。ユダヤ人ジャーナリストのマシュー・ローザは同類のユダヤ人、ビル・クリストル(William Kristol)がブレイトバートのサイトで「裏切り者のユダ(renegade Jew)」と呼ばれていたぞ、と騒いでいた。(Matthew Rozsa, Steve Bannon runs an anti-Semitic website, is a misogynist and will be one of Donald Trump's senior advisers, Salon, November 14, 2016)   とは言っても、共産主義者から保守派に転向したユダヤ知識人のデイヴッド・ホロウッツ(David Horowitz)もクリストルを批判していたんだから、あながち反ユダヤ主義者の誹謗中傷とは言えまい。ワシントン・ポスト紙でコラムニストを務めるアン・アップルバウム(Anne Applebaum)は「ポーランドのユダヤ人」と嘲笑されたそうで、ローザ同様ベン・セイルスも憤っていた。反トランプを鮮明にしていたABCはこの中傷表現を取り上げ、同局と提携するNHKもつい最近この件を報道していたから、覚えている日本人視聴者も多いだろう。

Bill Kristol 1Matthew Rozsa 1Anne Applebaum 4








(左: ビル・クリストル /  中央: マシュー・ローザ/ 右: アン・アップルバウム)

Mark Potok 1Richard Cohen 2(左: マーク・ポトク / 右: リチャード・コーエン)
  ただ、我々はABCに注意せねばならない。同局は有名な極左組織たるSPLC(南部救貧法律センター)を訪れ、そこの古株重役マーク・ポトク(Mark Potok)にインタヴューを行っていたのだ。PBS(米国の公共放送局)もポトクをゲストに招いて、トランプ批判を手助けしていた。ポトクは筋金入りの左翼ユダヤ人で、ちょっとでも反ユダヤ主義社のアメリカ人を見つけては一人一人非難し、KKKの人口が減ってきていても、組織を存続させるために無理矢理と言って良いほどの手段で、「極右白人」の数を増やしていたのだ。しかし、この「水増し詐欺」は保守派から暴露されてしまったから、傲慢なポトクはしばし沈没。現在SPLCの代表を務めているのは、これまた極左ユダヤ人のリチャード・コーエン(Richard Cohen)ときているから、もう何を言っても無駄である。

  米国の左翼メディアは反トランプ・キャンペーンを継続するために、裕福で有力なユダヤ人を味方に付けようと必死だった。そこで、彼らはバノンと別れた元女房のメアリー・ルイーズ・ピカード(Mary Louise Piccard)を引き込むことにした。法廷でバノンと泥仕合を演じたメアリー夫人は、亭主が反ユダヤ思想の持ち主であると語っていたそうだ。(Jesse Singal, Yes, Steve Bannon Asked Why a School Had So Many Hanukkah Books, New York Magazine, November 15, 2016) 例えば、彼らの娘が通うウェストランド・スクールには、図書室にやたらとハヌカ(Chanukah / Hanukkah)に関する本が多かったので、バノンは教師に理由を尋ねたという。(ちなみに、「ハヌカ」とは紀元前にユダヤ人たちがマカベアの叛乱を起こし、イェルサレムの神殿をセレウコス朝から奪還できたことを祝うユダヤ教の祭りである。) こんなクレームはキリスト教徒の親なら当然だ。多文化主義を子供に植え付ける左翼教師たちは、西歐系白人による建国を憎んでいるから、その西歐的アメリカ文化を中和(破壊)するために、黒人や南米人、あるいはアジア人の文化を導入するのである。特に、ユダヤ教の書籍を購入すれば、裕福なユダヤ人父兄の評判が良くなるので、積極的に本棚へと並べているのだ。

Mary Louise Piccard 1Jews Hanukkah 1Jews Ashkenazi 1








(左: メアリー・ルイーズ・ピカード / 中央: ハヌカを祝うユダヤ人 / 右: ユダヤ教徒)

  日本の学校で言えば、文化祭で日本の子供に暗い朝鮮のアリラン(朝鮮民謡)を歌わせたり、運動会で「男寺党(ナムサダン)」の格好をさせて、「チャンゴ(杖鼓)」や「プク(太鼓)」「チン(大きなドラ)」を演奏させるようなものだ。もし、こんな姿にさせられた我が子を見たら、日本人の保護者は激怒するに違いない。事によれば、校長や教頭は責任を取らされて辞任だろう。したがって、バノンがユダヤ人に媚びた学校を批判しても致し方あるまい。アメリカはイギリス系キリスト教徒が建てた国家なので、国語の時間にはシェイクスピアやドライデン、ジョン・ミルトン、エドマンド・スペンサー、ジョン・ダンといった英国人の古典を学ぶのが基本で、アメリカ人作家ならF.スコット・フィッツジェラルド、T.S. エリオット、ラルフ・W・エマーソン、ヘンリー・ジェイムズ、ウィリアム・フォークナーといったところじゃないか。でも、最近だとリベラル派の教職員が、黒人活動家のウィリアム・デュボワ(W.E.B.Du Bois)とか、ブッカー・T・ワシントン(Booker T. Washington)、フレデリック・ダグラス(Frederick Douglas)なんかをゴリ押しするから、白人の保護者たちは目眩がしてくるだろう。

 Du Bois 2 Washington 1Frederick Douglas 2koreans 41






(左: W.E.B.デュボア / ブッカー・T・ワシントン / フレデリック・ダグラス / 右: 昔の朝鮮人)

  普通の学校なら、クリスマスや復活祭(イースター)、感謝祭(Thanksgiving Day)が主な祝日である。まぁ、カトリックの学校だと聖灰水曜日(Ash Wednesday)を祝うし、アイリス系カトリック信徒にとって聖パトリック日(St. Patrick's Day)は特別だ。プロテスタン教会にはない「聖灰水曜日」とは、四旬節の初めに行われるカトリック教会の祭日で、額に灰で十字を描いたりする。毎年日付が変わるので、日本人には分かりづらいが、今年2016年は2月10日であった。筆者が米国にいた時、朝ぼけっとしながら親しい神父に会うと、その額に灰を見つけたので、「あっ ! 今日は聖灰の水曜日だ」と気づいたことがある。日本モードの気分でいると、うっかりすることがたまにあるものだ。万霊祭(All Saints' Day/ 11月1日)とか「聖ジョージの日(St. George's Day / 4月23日)なら覚えるのが楽なんだけどね。ちなみに、来年の聖灰水曜日は3月1日となっている。

  脱線したので話を戻す。離婚調停における元夫人の証言によって、バノンが反ユダヤ主義的思想の持ち主なんじゃないか、という疑惑が深まったことがある。というのも、娘が別の学校、つまりアーチャー女学校(Archer School for Girls)に通っていた時、父親のバノンはそこの「質」に不満を持っていたそうだ。彼はユダヤ人の生徒が多い学校に娘を置くことに反対していたらしい。それに、こうした学友と一緒にさせることで、娘が「泣き言を口にするガキ(whiney brats)」になるんじゃないか、と心配したそうだ。(Elizabeth Chuck, Ali Vitali, Andrew Blackstein and Katie Wall, Trump Campaign CEO Steve Bannon Accused of Anti-Semitic Remarks by Ex-Wife, NBC News , August 27, 2016) バノンがこうした発言を本当にしたのか、実際のところ第三者には分からない。離婚した女房の一方的な証言だから、どの様な状況や文脈でそう発言したのか定かではないし、夫人が発言を歪めて伝えていたとも考えられるからだ。

  ただ、もし彼がそう発言したとしても、当然なのかも知れない。アメリカにも左翼家庭が異常に多くて、特に裕福なリベラル派の親に育てられた子供だと、米国の人種差別的社会や白人中心の歴史について批判的な態度を取るし、そうしたポーズを見せびらかす事が知的な証拠と思っている。なかでも、ユダヤ人家庭の子供だと、フランクフルト学派のような「批判哲学」を親から仕込まれているので、何かにつけ西歐的アメリカの文化や伝統に「ケチ」をつけるのだ。ことさら反ユダヤ主義的な人物でなくとも、祖国を愛する西歐系アメリカ人だと、「そんなに不満なら、家族揃ってイスラエルに移住しろ !」と言いたくなる。他人の国に寄生して、そこの伝統的風習を貶すことは、ユダヤ人にとっては普通のことで、彼らは旧約聖書時代から「反抗」や「革命」が大好きなのだ。(このユダヤ的伝統を説明すると長くなるので省略する。これに関してはE.Michael Jones博士が詳しい。) バノンが夫人に文句を述べたのは、ユダヤ人と左翼的アメリカ人の気質を熟知していたからだろう。

ユダヤ人スタッフで満ちていたトランプ陣営

David Bernstein 1Pamela Geller 1(左: デイヴィッド・バーンスタイン / 右: パメラ・ゲラー)
  ベン・シャピロや彼と同類ジャーナリストであるデイヴッド・バーンスタイン(David Bernstein)などは、根拠が薄いのにバノンを「反ユダヤ主義者」だと思っている。しかし、バノンの交友関係をのぞいてみると、どうも首を傾げたくなる。まず、有名なユダヤ人コメンテーターのパメラ・ゲラーが、ブレイトバート・ニューズに、バノンを擁護する記事を寄稿したのである。(Pamela Geller, As a Jew I stand with Steve Bannon, Breitbart, 15 November 2016) 彼女は著名なシオニストであるが、左翼のユダヤ人団体には批判的で、ADLやSPLCによるバノン叩きに公然と反論を試みていた。また、BBCのインタヴューでも、彼女はバノンを掩護していたという。

  バノンがユダヤ人全般に敵意を持っているいうのは信じ難い。日本人でもトランプ陣営に多くのユダヤ人が居ることに気づくだろう。例えば、トランプの娘イヴァンカ(Ivanka)はユダヤ人のジャード・クシュナー(Jared Kushner)と結婚し、正統派ユダヤ教に改宗したけどバノンと仲が良い。ドナルド・トランプ自身、この娘婿を高く評価しており、クシュナーの手腕と才覚に頼っている部分がある。トランプに19年も仕えた法律顧問のジェイソン・グリーンブラット(Jason Greenblatt)も正統派ユダヤ教徒で、AIPAC(米国・イスラエル問題会議)との太いパイプを持っているらしい。また、トランプ陣営でグリーンブラットと雙壁をなすのはデイヴィッド・フリードマン(David Friedman)だろう。彼は対イスラエル関係についての助言者で、親子代々共和党との関係を持っていた家庭の出身である。しかも、その父親は保守的なラビ(ユダヤ教徒の導師)であるらしく、以前、ロナルドレーガンを迎えた晩餐会を主宰したことがあるという。

Donald Trump & Ivanka 1Jared Kushner 1Jason Greenblatt 2David Friedman 2






(左: トランプと娘のイヴァンカ / ジャード・クシュナー / ジェイソン・グリーンブラット / 右: デイヴィッド・フリードマン)

  トランプ陣営の台所を預かった側近に、スティーヴン・ムチン(Steven Muchin)というアドヴァイザーがいる。彼は元ゴールドマン・サックスの重役で、トランプとは15年来の付き合いであるという。彼の父親もゴールドン・サックスに勤めていたというから、金銭感覚に優れているのだろう。ムチンは金儲けが得意なようで、トランプの選挙資金を集めたほか、選挙前には「ラット・パック・デューン・エンターテイメント」という会社を設立していたのである。この娯楽制作会社はヒット映画を手掛けており、代表作にジェイムズ・キャメロン監督の「アバター(Avatar)」や、ナタリー・ポートマン主演の「ブラック・スワン(Black Swan)」あるそうだ。

  トランプを金銭面で助けた別の側近に、ルイス・アイゼンバーグ(Lewis Eisenberg)というユダヤ人がいて、以前は「グラナイト・キャピタル・インターナショナル・グループ」で投資部門の主任を担当していたそうだ。しかも、彼は共和党ユダヤ人連合(RJC)の理事を務めており、ユダヤ人との架け橋を築いたほか、トランプの資金集めにも貢献したそうだ。ユダヤ人団体とのパイプ役を務めた、もう一人の人物と言えば、マイケル・グラスナー(Michael Glassner)が挙げられよう。彼は2008年にジョン・マッケインの陣営に加わり、副大統領候補のサラ・ペイリンに仕えたという。もっと遡れば、ジョージ・W・ブッシュの大統領選挙や上院議員のボブ・ドールが大統領選に出馬した時も選挙を手伝ったそうだ。グラスナーがイスラエル支持者というのは有名で、AIPACの南部支部で政治局長を務めたくらいだから、ユダヤ人とのコネクションが強くても当然である。(Josefin Dolsten, Meet the Jews in Donald Trump's inner circle, The Jewish Daily Forward, November 14, 2016)

Steve Mnuchin 2Lewis Eisenberg 3Michael Glassner 2









(左: スティーヴ・ムチン / 中央: ルイス・アイゼンバーグ / : 右マイケル・グラスナー )

  こうして具体的に見てみると、トランプ陣営には要職を占めるユダヤ人が多く、「ユダヤ人嫌い」のバノンとも仲良くしていたことが分かる。バノンが気に入らなかったのは、ユダヤ人という種族全体ではなく、アメリカの文化や社会を誹謗するリベラル左派のユダヤ人であった。しかし、アングロ・アメリカを取り戻したい愛国者にしたら、希望の星であるドナルド・トランプにも、グローバリストのユダヤ人と同類の異人種が取り憑いているんから、どうしたって心が晴れない。大統領選挙という国家的お祭りで彼らがどう踠(もが)いても、ウォール街の金融業者やリベラル派の大富豪が張り巡らした“網”の中、つまり巨額な資金と強固な人脈という枠組みの中で悶絶しているだけなのだ。第20世紀初頭くらいまでは、ユダヤ人の権勢は全米を掌握するものではなかったが、ロシアでのポグロムやドイツでのホロコーストによる移民や難民が増加するにつれ、合衆国内にユダヤ人の基盤が出来てしまった。彼らはその長い迫害史の中で、「親族の結束」や「民族の団結」の重要性を悟り、この意識を遺伝子に刻み込むことで生存と繁栄を勝ち得てきたのである。

  考えてみればユダヤ人とは恐ろしい民族である。肉体を使って決闘すればアングロ・サクソン人に負けてしまうのは明白なので、人道主義や反戦平和を提案し、相手の精神を腐らせてから乗っ取りを謀るのだ。事実、米国や英国へ移住した“みすぼらしい”ユダヤ人は、現地人が真似できない勤勉さとガリ勉を積み重ね、次第にメディア界、アカデミック界、ジャーナリズム界、エンターテイメント界、さらに金融・官僚・産業・政治の世界へと浸透したから、ある意味すごい。サマー・キャンプや親睦パーティーで人生を楽しむ現地人の子供は、がむしゃらに勉強するユダヤ人の子供と競争すれば負けるに決まっている。貧しくとも文明国に潜り込めば成功を掴めると確信しているから、ユダヤ人は嫌われても続々と西歐世界にやって来るのだ。彼らは何はさておき、蜂か蟻のように働いてお金を貯めれば、寄生先の異教徒を支配できると分かっている。どれほど馬鹿にされようが必死で蓄財に励み、同胞の人脈を駆使して政治や経済を牛耳り、マスメディアを独占して現地人を見返してしまうのだ。これに異を唱える者は、精神的な集団リンチを加えられ、「ネオ・ナチ」とか、「反ユダヤ主義者」という烙印を尻に焼き付けられてしまう。一般の日本人は気づかないが、アメリカやヨーロッパの一般国民だけでなく知識人までもが、ユダヤ人が構築した思考の枠組み(framework)の中で暮らしているのである。

後編に続く。



ブログランキングへ

頭を改造されたアングロ・アメリカ人 (前編) / トランプの懐刀は極右白人 ?




裏切り者からのトランプ攻撃

Donald Trump 6Hillary Supporters 1








(左: ドナルド・トランプ / 右: ヒラリー・クリントンの支援者)

  先の大統領選挙で予測を大きくハズし、満座の席で赤恥を掻いたせいなのか、アメリカの主流メディアは悔し涙で居ても立ってもいられないのだろう。どうにかして、トランプ次期大統領を貶したい。何かケチをつけるネタはないものかと探していたところ、「あった! これだ、これ。うヒャヒャヒャぁ~、いけるぞ ! 」と大はしゃぎ。どんなネタを見つけたのかと思いきや、トランプの上級顧問になったスティーヴ・バノン(Stephen Bannon)を問題にしていたのである。つい最近、「チャンネル桜」に出演していた有本香さんが言及していたので、名前だけは知っている人もいるだろう。でも、バノンの名前をを聞いたことがない人もいると思うので、ちょっとだけ彼について紹介したい。

  選挙参謀としてドナルド・トランプの勝利に貢献した、と一躍脚光を浴びたスティーヴ・バノンは、ウエッブ・サイトで運営される「ブレイトバート・ニューズ(Breitbart News)」の代表取締役を務める人物である。このサイトは創設者のアンドリュー・ブレイトバート(Andrew Breitbart)に因んで名づけられた。以前、このブログで彼のことを紹介したので、覚えている方もいらっしゃるだろう。今は亡きブレイトバート氏は、既存の左翼偏向メディアに真っ向から刃向かう叛逆児であり、オバマが隠したい過去を録画したテープを暴露すると公言した。ところが数日後、突然の心臓発作で還らぬ人となってしまったのである。酒場からの帰り道で突如倒れたというから、もしかしたら証拠の残らない毒を酒に盛られたのでは、という噂話が立った。それくらい、彼は危険な事に首を突っ込んでいたということだ。その後、彼が“発見”したはずの録画テープはどこかに消えてしまい、遺族でさえその行方は分からないという。あれだけ自信たっぷりに公言していたので、おそらくブレイトバート氏は超弩級の映像を入手したのだろう。我々としては、闇に包まれたオバマの学生時代が明るみにされなくて非常に残念である。

Andrew Breitbart 1Steve Bannon 2








(左: アンドリュー・ブレイトバート / 右: スティーヴ・バノン)

  ABCやNBC、CNNといった極左メディアが「極右」と呼ぶブレイトバート・ニューズは、世間で思われているほど過激ではない。そりゃあ、旋毛(つむじ)まで左巻きの左翼国民が読めば、「何だ、この右翼サイトは !」と不快に思うだろうが、教養のあるアメリカ人が全体に目を通せば、「なるほどねぇ」と感心する内容である。米国の大手メディアの報道だけを鵜呑みにする日本人は、「へぇ~、極右白人が読むサイトなんだ」と勝手に想像してしまうだろうが、実際は主要メディアが敢えて触れない話題を取材しているに過ぎない。つまり、NHKや朝日新聞のように、事実をねじ曲げて伝えているのではなく、大手が無視する「不都合なニューズ」を取り上げているだけだ。日本に置き換えてみれば、岩波の『世界』や朝日の『アエラ』を愛読している“進歩的”インテリが、文藝春秋の雑誌『諸君 !』を読んで「何じゃ、この右翼雑誌は ! 軍国主義者や国粋主義者の学者ばかりじゃないか !」と驚くのに等しい。現在の高校生や大学生が、廃刊された『諸君!』や『国民新聞』を読めば、その「右翼的」内容に目を剝くだろうだろう。しかし、意外と興味を抱く者もいるはずだ。

  社会党が没落した時代に育った大学生は想像できないだろうが、昔の大卒者とか官庁の役人などは、朝日新聞を購読し、『世界』を読んで「上流知識人」を気取っていたのだ。馬鹿の一つ覚えみたいに学歴をひけらかすオッちゃんたちに限って、朝日新聞の論調を疑わず、久米宏のごとく斜(はす)に構えて政治や経済を語っていたのである。アホらしい説教を聴かされる若い者は堪ったもんじゃないが、勤めている会社の上司だったりすると辛抱して相づちを打つしかなく、早く家に帰って趣味に没頭したい気持ちを押さえて我慢していた。こういう過去を思い出せば、CBSやニューヨーク・タイムズ紙といったアメリカのメディアが伝える話を額面通り受け容れることが、如何に危険であるかが判るだろう。先頃、たまたまフジテレビの報道番組「ユア・タイム」を見ていたら、ニューズ解説をしている左翼のモーリー・ロバートソンが、バノンを右翼的白人に好まれるサイトを運営する人物と紹介していた。筆者はよくブレイトバート・ニューズを読んでいるので「右翼サイト」とは思わないが、何も知らない日本の一般視聴者が聞けば、白人の危険人物がトランプの側近になっている、という印象を持ってしまうだろう。それにしても、素直な日本の庶民って何度でも左翼に騙されてしまうから気の毒である。

  とまぁ、アメリカのメディア業界を批判しているとキリが無いのでここで止めるが、バノンを批判する敵陣の中にベン・シャピロ(Benjamin Shapiro)がいたことは注目すべき事実である。このシャピロという小僧は、といっても既に32歳の青年なのだが、バノンと同じくブレイトバート・ニューズの編集部に所属していた。つまり、バノンがトランプ陣営に加わるまで同僚だった、ということだ。毎度の事で申し訳ないが、ベン・シャピロは正統派ユダヤ教徒で、ロシア系ユダヤ人の息子である。ついでに言えば、結婚相手のモー・トレダーノはモロッコ系ユダヤ人のイスラエル国民ときているから、ベンが公私共にイスラエル支持者なのも頷けよう。彼はまだ若いのに色々な組織で経験を積んでいる。「おやっ?」と少々奇妙に感じる人もいるだろうが、それは彼が早熟の秀才だからだ。いかにもユダヤ人の神童といった感じのシャピロは、カルフォルニア大学(UCLA)に17歳で入学し、最優秀(summa cum laude)との評価をもらって20歳で卒業したという。彼は入学当時から本の構想を考えていたらしく、処女作の『洗脳されて(Brainwashed)』を卒業した時に出版したというからすごい。(実は、筆者も購入していた。) その後、23歳の時にハーヴァード・ロー・スクールに進学し2007年に卒業したという。

Ben Shapiro 1Ben Shapiro 3








(左: ベン・シャピロ   /   右: 幼少時代のシャピロ)

  シャピロは学業と同時進行で著述業にも勤しんでおり、ハリウッド業界の内幕を暴いた『プライムタイム・プロパガンダ(Primetime Propaganda)』や、左翼知識人を批判した『いじめっ子たち(Bullies)』を出版した。こうした業績を以て保守論壇で認められたシャピロは、ついにブレイトバートの編集部に迎えられたのである。新進気鋭の若手保守論客として脚光を浴びたから、色々なテレビ番組に招かれることもあった。さらに、CPACなど保守派の大会にも登場していたから、アメリカの保守派国民にはちょいと知られた人物である。ところが、今回の大統領選挙では、シャピロが支援した候補者というのがテッド・クルズであったから、トランプを推すブレイトバートの面々とひと悶着を起こす結果になったのである。

ヨーロッパの遺産を継承する極右白人たち

  そもそも、シャピロがトランプ支持者の同僚と揉めるようになったのは、ブレイトバートの編集方針が「オルタナティヴ・ライト(Alternative Right / 以下「オルタ・ライト」と略す)」側に傾いたからである。では、この「オルタ・ライト」とは何か? 簡単に言えば、「ヨーロッパ系アメリカ人が白人であることに誇りを持つ」思想と運動であり、それを主張する人々を指す。スティーヴ・バノンはこうした勢力を否定せず、暗に彼らからの支援を利用した節がある。だから、ABCやCNNなどの左翼メディアから、極右勢力やKKK(クー・クラックス・クラン)と繋がっているんじゃないのか、と騒ぎ立てたのだ。こうなればユダヤ人が経営する赤いメディアは放っておけない。バノンを標的にしたネガティヴ・キャンペーンは日増しに激化し、それに呼応して白人の右派勢力が応戦するという形になったのである。西歐的価値観を守ろうとする白人は、米国に蔓延(はびこ)る異人種を憎み、嘗てのアメリカを取り戻そうと息巻くので、当然ユダヤ人に対する敵愾心が強い。

  たまたま今回の大統領選挙では、元ルイジアナ州下院議員のデイヴィッド・デューク(David Duke)がトランプ支持を公言し、それと並行して同州の上院議員選挙に出馬したことから、左翼メディアは更に反トランプの色彩を強めたのである。特に、CNNには根っからのシオニストで、デューク氏を心底憎むウォルフ・ブリッツァー(Wolf Blitzer)がいたから、反ユダヤ主義を掲げる政治家や活動家に対しては容赦が無かった。(アメリカのメディアはデュークを報道する度に、「元KKK」のデュークと紹介していたのである。) ユダヤ人支配に警鐘を鳴らすデュークが指摘するように、ブリッツァーは強大な権力を有するイスラエル・ロビーのAIPACと昵懇である。1986年にブリッツァーが国賊のユダヤ人スパイであるジョナサン・ポラード(Jonathan Pollard)との単独インタヴューを実現できたのは、彼のユダヤ人脈によるものである。

David Duke 3Wolf Blitzer 1Jonathan Pollard 2






(左: デイヴィド・デューク / 中央: ウォルフ・ブリッツァー  /  右: ジョナサン・ポラード)

  極右白人が奉じる「オルタ・ライト」と聞けば、普通の日本人は恐怖心を覚えてしまうが、それは我々が中学や高校で左翼思考を脳幹の中枢にまで叩き込まれた上に、大学でも更なる磨きをかけられているからである。たとえ、大学に進学しなくとも、日々の生活でテレビ番組を観ているから、自然と左巻きの思考に感染しているのだ。したがって、広い世間を見渡すと、気づかない人が余りにも多いの困る。以前、ロシア専門家の瀧澤一郎(たきざわ・いちろう)先生が、大学なんかに入らなかった人の方が健全な精神を持っている、と発言していた。つまり、なまじっか東大なんかで講義を受けてしまうと、頭が真っ赤に染まってソ連礼讃となるから、ある意味、警戒心の無い若者が大学へ進学するのは危険である、と喝破していたのだ。

  まさに正論。なぜ、日本では大卒の馬鹿が多いのかと言えば、受験勉強しかしなかった高校生が、世間知らずのまま左翼教授に洗脳されて、気がつけば「健康な気違い」に仕立てられているからだ。これを疑う大学生もいるだろうが、それなら東大に盤踞していた江口朴郎、勝田守一、神立誠、宗像誠也、渡辺洋三、松島栄一、とりわけ悪名高い大河内一男や日高六郎などを調べてみるがいい。彼らが共産党の「アカハタ」で何を言っていたのか、きちんと検証すべきだ。それに、他の大学にも巣くっていた赤い教授たちを個別に調査すべきだろう。ただ、こうした非常識な大学教師を数えだしたら、何冊の名簿を作成できるか分からない。でも、彼らの論文を読むとなれば、相当な時間の浪費となるから、予め覚悟しておいた方がいいだろう。

  一般の日本人は米国の主要メディアの解説を鵜呑みにして信じてしまうが、「オルタ・ライト」を自分で調べてみれば、別段目くじらを立てる程の過激思想でもないことが分かるだろう。例えば、オルタ・ライトの提唱者たちは、アメリカを再びヨーロッパ系白人の国家に戻し、自分たちの肉体や祖先、文化、伝統、信仰、歴史を自慢できるようにすべし、と訴えているのだ。というのも、第二次世界大戦後、人種平等思想がアメリカ社会で拡大し、黒人やアジア人、さらにヒスパニック系やマグレブ系イスラム教徒までが、西歐系白人と対等になってしまったのである。元々、北米はブリテン聯合王国の植民地で、入植者達が本国の同胞と袂を分かって建国した共和国である。当然、構成員はイギリス人やスコット人を基本としており、移住者といってもフランス人やアイリス人、オランダ人、ドイツ人などが主流だった。合衆国の政治を司る議員や官僚がアングロ・サクソン系なのは当然で、地方の教会や議会でも、元イングランド臣民が多数を占めていたのである。幕末や明治に米国を訪れた日本人だって、これくらいの事は弁えており、勝海舟や福澤諭吉、高橋是清、新渡戸稲造、内村鑑三などが出逢ったアメリカ人は主に西歐系白人で、ヨーロッパ人ばかりが議事堂や礼拝堂に顔を揃えても、特別「変だなぁ」と疑問に思わなかったはずだ。

George Washington 1Thomas Jefferson 1Ulysses Grant 1Theodore Roosevelt 1








(左: ジョージ・ワシントン  /  トマス・ジェファソン / ユリシーズ・グラント /  右: セオドア・ローズヴェルト)

  現在、アメリカ白人はおろか日本人が歴代大統領を眺めても、その変化に目を奪われるだろう。初代のジョージ・ワシントンからジョン・アダムズ、トマス・ジェファソン、エイブラハム・リンカン、ユリシーズ・グラント、セオドア・ローズヴェルトの肖像画を見れば、みんな西歐系白人であることが分かる。仮に、当時のアメリカ人に日本からの留学生が「将来は黒人大統領が誕生するだろう」と予言したら、「おい、この東洋人は頭がおかしいぞ」と皆から笑われたに違いない。もっとも敗戦前、いや1980年代に至っても、「人種平等」の理想を掲げる日本人でさえ、こんな馬鹿げた発想は無かったはずだ。日本人は現在の多民族・多文化主義を勉強する際、ケネディー大統領のリベラル政策やマーティン・ルーサー・キング牧師の公民権運動、リンドン・ジョンソン大統領の「偉大なる社会(Great Society)」にばかり注目するが、それを裏から後押ししたユダヤ人や白人マルキスト、ソ連の工作員、左翼系進歩主義者などを調べようとする者は少ない。

JFK 3Martin Luther King 1Lyndon Johnson 1









(左: ジョン・F・ケネディー / 中央: マーティン・ルーサー・キング/ 右: リンドン・B・ジョンソン)

  我々は左翼メディアの社説を拝聴するのではなく、なぜオルタ・ライトの知識人たちが、リベラル派知識人に攻撃されているのかを考えねばならない。一般に「極右」と呼ばれる新保守派は、ヒスパニックの不法入国とか、黒人による南部旗(Confederate Flag)への侮辱、イスラム教徒による強姦を暴いているだけではないのだ。彼らはアングロ・サクソン系国民が築いた社会を根本的に転覆させようとする勢力や思想を抉り出しているのである。したがって、オルタ・ライト派の白人はこうした問題意識を持っているから、必然的にユダヤ人と衝突してしまうのだ。西歐人と種族的に異なるユダヤ人は、明らかにアメリカの國體(こくたい)と自らの肉体が一致しないので、いくら愛国者とか保守派を名乗っていても、心の何処かに疎外感と違和感を抱いている。その遺伝子的亀裂が、最終的には西歐系アメリカ人と袂を分かつことになるのだ。要するに、意気投合しない者同士というか、両者は生理的に反りが合わないのだろう。

ユダヤ人の泣き言

Walther Darre 1(左 / リヒャルト・ウァルター・ダレ)
  先ほど紹介したベン・シャピロは、一応「なぜブレイトバート・ニューズを去ったのか」という理由を述べている。彼が信奉する“真の”保守思想とは、制限された統治機構や天賦の権利、個人的責任感のみが国家を救うという哲学であった。(Ben Shapiro, The Breitbart alt-right just took over the GOP, The Washington Post, August 18, 2016) シャピロによれば、こうした信条は人種や民族に結びつけられたものではないという。ところが、オルタ・ライトの活動家や賛同者は、種族に基づくナショナリズムを主張していたから、ユダヤ人の血を引くシャピロは反撥していたのだ。若い世代に属する白人のナショナリストが、アングロ・サクソン人を筆頭とする西歐人の血統と国土を強調すれば、米国に住むユダヤ人がナチズムやリヒャルト・ウァルター・ダレ(Richard Walther Darré)の「血と土(Blut und Boden)」を思い出すのも無理はない。だが、西歐世界における国家というものは、多かれ少なかれゲルマン系民族の魂と絆による結晶である。ユダヤ人は認めたくないだろうが、ドイツとかフランス、オランダ、デンマーク、スウェーデン、イングランドというのは、歴史的に見てゲルマン種族が作った国家である。したがって、アメリカ合衆国というのも西歐世界の延長であり、ゲルマン部族の一派が新大陸に建てた共和国なのだ。

white kids 3white woman 75








(写真 / 西歐人の家族と女性)

  左翼思想を批判する保守主義者を名乗ったシャピロであるが、保守的白人の一派が従来の共和党ないし保守派知識人とは一線を画するようになると、居心地が悪くなったそうだ。オルタ・ライトの知識人たちは、臆することなく白人としての矜持を示したし、白人を糾弾する黒人や有色人種に媚びる自虐的白人に対して、敢然と立ち向かうようになったのである。彼らからすれば「白人が白人国家の主人公になって何が悪いのか?」と尋ねたいし、「白人は美しい肉体を持ち、優れた知能も有する立派な種族なんだぞ!」と誇りたい。そして、「人種混淆など間違っている。白人は有色人種と別々に暮らす権利を持っているんだ」と叫びたいし、「アメリカは西歐人が建てた国家だから、受け容れる移民はヨーロッパ人に限るべし」と言いたいのだ。フランクフルト学派のユダヤ人や過激思想の黒人から、長年に亙って逆差別を受けた白人や人種を理由とする抑圧を受けてきた若者は、リベラル派のマスメディアによる洗脳や政治家たちの説教にウンザリしていたから、遠慮無くオルタ・ライトの思想に共感し始めたのである。ブレイトバートの成功と躍進は、こうした不満を蓄積した白人層に支えられているのだ。

  ブレイトバートから追い出されたシャピロは、早速、大手リベラル派の「ワシントン・ポスト」紙に駆け込み、いかにオルタ・ライトの連中が偏見と差別に満ちた愚者なのかを嘆いていた。こうした行動を見た白人保守派は、「やっぱり、あのユダヤ小僧は俺たちの仲間じゃなかったんだ」と分かったらしい。悔し涙を浮かべるシャピロは「ワシントン・ポスト」紙だけでなく、「ナショナル・レヴュー」誌のドアも叩いて、「私は反ユダヤ主義というのは左翼たちが拵えた産物だと思っていたが、どうやら間違っていた」という反省記事を載せてもらったのである。(Ben Shapiro, Trump's Anti-Semitic Supporters, National Review, May 18, 2016) その中で、彼はオイタ・ライトのクズどもから嫌がらせメールを受け、家族までもが反ユダヤ主義の標的になってしまったと訴えかけていた。シャピロはユダヤ人を憎む白人右翼どもが、トランプ支持者の中核になっているとの愚痴をこぼし、彼らがトランプを反ユダヤ主義のリーダーに祭り上げている、と警告していたのである。おそらく、ユダヤ難民を同胞とするシャピロの目には、「排外主義」を掲げるオルタ・ライトは「心理的脅威」と映ったに違いない。

  確かに、不法移民の排除を訴えるトランプは、ヒスパニック移民やムスリム難民を毛嫌いする白人層に歓迎された。しかし、それはトランプが根っからの排外主義者だからではなく、不満を募らせる白人のサイレント・マジョリティーが大勢いることを直感で見抜き、躊躇(ためら)っている彼らを代弁したから人気を博したのである。元来、共和党は保守的な白人中流階級を基盤とするはずなのに、いつの間にか民衆党と変わらぬ半左翼の政党になってしまった。トランプはこの変化を見逃す程の愚者ではない。彼は怒れる白人の意見を掬い上げたのだ。ここにトランプの慧眼があった。金太郎飴みたいな日本の評論家は、トランプ支持者を窮乏化する白人労働者とか低学歴の下層白人と定義したが、実は祖国の変質と存亡を危惧する中流白人層がトランプを陰ながら支援していたのである。単なるネオ・ナチや天然馬鹿がトランプ旋風に浮かれていたのではない。

Richard Spencer 1Peter Brimelow 2Jared Taylor 1







(左: リチャード・スペンサー / 中央: 娘と一緒のピーター・ブリメロー / 右: ジャード・テイラー)

  騙されたくない日本人は米国の主流メディアに盲従せず、シャピロや他のユダヤ人左翼が糾弾していた、オルタ・ライトの知識人を自分の眼で確かめてみるべきだ。試しに、シャピロが批判していたオルタ・ライトの代表格であるリチャード・スペンサー(Richard Spencer)や、シャピロが白人至上主義者と呼ぶピーター・ブリメロー(Peter Brimelow)、目の敵にしている若手の保守派でブレイトバートの元同僚ミロ・ヤノポロス(Milo Yiannopoulos)、白人の利益を擁護し移民排除を訴えるジャード・テイラー(Jared Taylor)などが書いた記事や本を読んでみればいい。それから、これは筆者の推測だけど、シャピロにはスケベ心があったから、わざと保守派コラムニストのアン・コールター(Ann Coulter)を「ブラック・リスト」から外していたんじゃないか。彼はコールーターと対談したこともあり、個人的に良く知っている間柄である。コールターはヒスパニック移民の流入に反対するため『アディオス・アメリカ(¡ADIOS AMERICA !)』を書いたし、熱心なトランプ支持者なので急遽『トランプを信頼する(In Trump We Trust)』という本まで出版していたのだ。こうした言論活動を見れば、彼女がオルタ・ライト派に近いことは明らかなのに、シャピロはコールターをやり玉に上げていなかったのだ。たぶん、ブロンド美人は除外したかったのだろう。

Milo Yiannopoulos 2Ann Coulter 3Pat Buckanan 1







(左: ミロ・ヤノポロス  /  中央: アン・コールター /   右: パトリック・ブキャナン)

Samuel P Huntington 1(左 / サミュエル・ハンティントン)
  ところが、シャピロはコールターと同じタイプの論客でも、中高年の白人男性には厳しかった。彼はユダヤ人が嫌う保守派の重鎮、パトリック・ブキャナン(Patrick Buchanan)をも批判していたのだ。ブキャナンが書いた『病むアメリカ : 滅びゆく西洋』や『超大国の自殺』は日本語に翻訳されているので、本当にブキャナンは危険な人物なのか否か、自立したい日本人であれば自分の頭で判断すべきだろう。ブリメローやテイラー、ブキャナンたちはアメリカを西歐文明の国家と認識するが故に、そのアイデンティテイーを変質させる、ないし破壊する移民政策に真っ向から反対したのだ。日本でもよく知られている故・サミュエル・ハンチントン(Samuel Huntington)も晩年に『分断されるアメリカ』(日本語訳)を上梓したが、その原題は『我々は誰なのか(Who Are We?)』であった。この高名な民衆党系学者は、大量に流入するヒスパニック移民を問題とし、自国のアングロ・アメリカ的文化を守ろうと筆を執ったのである。

  だが、保守派を装うベン・シャピロには、これらの愛国的知識人が反ユダヤ主義に同調する白人優越論者に見えてしまうのだ。アメリカのアングロ・サクソン起源を容認できないシャピロは、イギリス系建国者たちの系譜に属さないと自覚しているので、西歐的アメリカを愛し、左翼分子から祖国を取り戻そうとするスティーヴ・バノンを許せない。シャピロは彼がブレイトバート・ニューズをトランプの“プラウダ(Pravda)”に変えてしまったと憤っている。(Ben Shapiro, 3 Thoughts On Steve Bannon As Ehite House ‘Chief Strategist’, The Daily Wire, November 14, 2016) ちなみに、「プラウダ」とはソ連の御用新聞で、支那の人民日報や朝鮮に媚びる朝日新聞みたいなものと思えばよい。シャピロはバノンが創設者のアンドリュー・ブレイトバートの理念を踏みにじり、オルタ・ライトの連中に売り渡してしまったのだ、と述べていた。そして涙目のシャピロは、バノンがブレイトバートを乗っ取り、その「保守主義」をヨーロッパで猖獗(しょうけつ)を極める極右ナショナリズムに変えたばかりか、人種主義や反ユダヤ主義を掲げるネオ・ナチどもと歩調を合わせている、と喚(わめ)いていた。おそらく、シャピロはオルタ・ライトの中にフランスの国民戦線(Front national)やドイツの為の選択肢(AfD)がもつ反ユダヤ主義の臭いを嗅ぎ取ったのだろう。

次回に続く。 


人気ブログランキングへ
記事検索
最新記事
アクセスカウンター

livedoor プロフィール
黒木頼景の本
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ