無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2017年05月

シャーロックは柔術が得意だった / イギリス紳士に求められる名誉と武力

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房


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面白くないフジテレビ

Jeremy Brett 12David Suchet 21







(左: ジェレミー・ブレット  / 右: デイヴィッド・スーシェ )

  この間、「チャンネル桜」を観ていたら、フジテレビの亀山社長が退任するというニュースを耳にした。低迷する現状の責任を取っての社長交替なんだろうけど、亀山氏の首を切ったところでフジテレビが復活するとは思えない。「楽しくなければテレビじゃない」とのキャッチ・フレーズを看板にしていた頃が懐かしい。今では「振り返ればテレビ東京」ではなく、テレ東の後塵を拝んでいる有様なんだから、泣きたくなるくらいの惨状であろう。藝能ニュースの又聞きだから確実な事は言えないが、フジのTVドラマは目を蔽いたくなるほど低視聴率らしい。ドラマ評論家によると、10%を下回るような作品が珍しくないという。(筆者はしばらく邦画のドラマを観ていないので、人気(?)ドラマに出ている役者の名前を聞いてもピンとこない。) それでも何とか放送しているんだから、こうしたドラマにも固定客がいて、毎回楽しみに観ている人もいるはずだ。たとえ、5%ないし2%になっても、何万人という視聴者数なんだから、モノは考えようである。

Tamura Masakazu 1Kusakari 3Kusakari 1








(左: 田村正和  /  中央と右: 若い頃の草刈正雄)

  筆者がフジテレビのドラマで思い出すのは、田村正和『乾いて候』といった時代劇なのだが、一般的には『古畑任三郎』なのかも知れない。ただ、個人的な好みで言えば、このドラマはそれほど面白くなかった。シーズン1は田村氏が主役だったので観ていたが、ゲスト俳優の鹿賀丈史と桃井かおりのエピソードだけは面白かったけど、他の回はどんなストーリーだったのかさえ覚えていない。ドラマの脚本家は三谷幸喜なのだが、キャラクター設定やドラマの筋は、明らかに『刑事コロンボ』からの拝借だと判る。ただし、田村正和を古畑役に据えただけマシである。やはり、主役を張れるだけの二枚目じゃなければ、大勢の観客を惹きつける作品にならない。もしも、主役を角野卓造や小林稔侍、古谷一行にしていたら、いくら有名俳優といえども作品じたいが地味になってしまうだろう。(田村氏に匹敵するのは若い頃の草刈正雄くらいかなぁ。特に、1970年代の草刈り氏は若い女性のアイドルだった。今でも、「あんなハンサム・モデルが亭主だったらイイなぁ~」と溜息をつく奥方も多いんじゃないか。でもいいじゃん、たっぷり生命保険を掛けているんだからさ。ただし、「えっ! 俺に別個の保険を掛けてたの?!」と驚く旦那さんがいたりして。現実は怖いよねぇぇ。)

ユダヤ人が演じる敏腕刑事

  三谷氏に真似された本家の『刑事コロンボ』には、薄汚なく冴えないユダヤ人が主役を務めていた。コロンボ刑事を演じたピーター・フォーク(Peter Falk)は、ユダヤ人の両親を持っていたので、イタリア系のようなユダヤ人俳優だった。ドラマではイタリア系の刑事となっている。フォーク氏はしつこい性格のキャラクターが実に良く似合っていた。彼自身、「乙女座のユダヤ人だから考え深いんだよ」、と述べていたそうだ。推理小説のドラマとして『コロンボ』を楽しむぶんには問題ないのだが、脚本家が描くプロットに時たま下層民の“妬み”や“僻み”見えてしまい、どうも気になってしょうがない。ほとんどの事件が専門職や管理職に就く“まともな”白人によって起こされ、その謎解きをヨレヨレのコートを着た南イタリア系の小男が行うのである。殺人を犯す者が白人男性なら、性格が冷酷で傲慢、場合によっては卑劣となっていた。もし犯人が白人女性だと、良心の呵責がない自分勝手なホワイト・カラーときている。まぁ、巧妙なトリックを使って完全犯罪を目指す悪党だから、もし黒人の殺人鬼にしたら「そんな知能犯はいないだろう」と視聴者が笑ってしまうし、「それならば」と現実を踏まえて、単なる黒人の兇悪犯にしてしまうと、肝心の物語じたいが成立しなくなる。「じゃあ、いっそのことユダヤ人にするか!」と頭を切り替えれば、今度は妙に生々しくなってしまい、危険なほどのリアル感が出てしまうので、ユダヤ人視聴者からの抗議が殺到するだろう。だから、当たり障りの無い白人に設定されてしまうのだ。

Peter Falk 2Richard Levinson 1William Link 2







(左: ピーター・フォーク  / 中央: リチャード・レヴィンソン  /  右: ウィリアム・リンク)

  それにしても、髪に“フケ”が溜まった、むさ苦しい「コロンボ」を誕生させた張本人は誰なのかと言えば、これまたユダヤ人の脚本家コンビであった。脚本を書いたリチャード・レヴィンソン(Richard Levinson)とウィリアム・リンク(William Link)によれば、コロンボのモデルはドフトエフスキーの小説である『罪と罰』に出てくる予審判事のポルフィリー・ペトロヴィッチ(Porfiry Petrovich)と、G.K.チェスタトン(Gilbert Keith Chesterton)が生み出したブラウン神父であるそうだ。でも、チェスタトンが描く神父と「だらしない格好」の刑事とではあまりにも違いすぎる。やはり、原作者の性格がキャラクター設定に反映されたのだろう。視聴者は誰がドラマを作ったのかをチェックすべきだ。これはよく知られた話だけど、1971年に放送された『コロンボ』の第一話は、若き日のスティーブン・スピルバーグが監督を務めたそうだ。

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(左: ドフトエフスキー  / 中央: G.K.チェスタトン  /   右: トレイシー・ネルソン )

  チェスタトンのブラウン神父は、米国のTVドラマ『名探偵ダウリング神父』のヒントにもなっていたくらい、歐米諸国では有名である。日本でもチェスタトンの著作は翻訳されているので馴染みの人も多いだろうし、NHKがこのドラマを放送したので、未だに覚えている人もいるんじゃないか。筆者も毎回観ていたので知っているし、とりわけシスター・ステファニー役を演じていたトレイシー・ネルソン(Tracy Kristin Nelson)が可愛かったので懐かしい。ドラマでは、この修道女が元不良少女という経歴を持っていて、ある事が切っ掛けで信仰心に目覚め、独身を誓う修道院に入った、という設定になっていた。彼女がダウリング神父と犯罪を捜査する時、違法賭博やギャング連中に詳しかったのも、こうした過去があったからである。ちなみに、トレイシーの父親は有名ミュージシャンのリッキー・ネルソン(Ricky Nelson)で、母親は女優と画家を兼ねていたクリスティン・ハーモン(Sharon Kristin Harmon)である。彼女は「NCIS」でギブス役を演じる人気俳優マーク・ハーモン(Mark Harmon)の姉である。彼女の母親、つまりトレイシーの祖母も女優であった。エリーズ・ノックス(Elyse Knox)がトレイシーのお婆ちゃんだったから、親子三代とも女優で、叔父さんもビッグ・スターという役者一家に生まれたことになる。

Tracy Nelson 31Rick & Kris NelsonElyse Knox 1Mark Harmon 2








( 左: シスター役のトレイシー  / 両親のリッキーとクリスティン・ネルソン   / 祖母のエリーズ・ノックス  /  右: 叔父のマーク・ハーモン )

  ユダヤ人の探偵で思い出すのは、アガサ・クリスティー原作の『名探偵ポアロ(Agatha Christie's Poirot)』である。ポアロ役は映画版の『地中海殺人事件』や『ナイル殺人事件』に出ていたピーター・ユスティノフ(Peter Ustinov)を思い出す人もいるだろうが、テレビ版のポアロを演じたデイヴィッド・スーチェ(David Suchet)を思い浮かべる人もいるだろう。ユスティノフは映画の『クォ・ヴァデス』や『スパルタカス』に出ていた俳優なので、印象に残っているかも知れないが、いったい何処の国民なのか分かりづらい。実際のところ、彼は英国で活躍したロシア系移民なのだが、その血統にはユダヤ人やエチオピア人が混じっていたという。日本では「英国人男優」と紹介されるが、彼の家系を見れば、何となく英国人じゃないということが解る。

Peter Ustinov 2David Suchet 3David Suchet as Lady BracknellDavid Suchet as Freud








(左: ピーター・ユスティノフ   /  「ポアロ」役のデイヴィッド・スーシェ /  女装のスーシェ / 右: 精神分析医「フロイド」役のスーシェ  )

  もう一方のスーシェ(「シューシェ」)にとって、ポアロは「当たり役」だった。英国のテレビで好評だったから、長いことポアロ役を務めていたし、本人も一番気に入っていたようだ。名前の発音だって役柄に合わせて、フランス語風にに変えていたくらいだ。しかし、彼の容姿はベルギー人にとったら屈辱的だった。ドラマの設定だと、ポアロはベルギー警察の元署長であったが、第一次世界大戦のとき、ドイツ軍がベルギーに攻め込んだので、英国へ亡命する破目になったのだ。そして、この避難先で探偵稼業を始めることになった訳である。でも、本当のベルギー人男優がポアロ役を射止めれば問題ないのだが、スーチェはユダヤ人の両親を持つブリテン系ユダヤ人俳優であった。

David Suche 5David Suchet in Executive Decision








(左: 「ポアロ」役のスーシェ  /   右: 「エグゼクティヴ・ディシジョン」でテロリストを演じたスーシェ)

  しかも、ヨーロッパ人らしからぬ外見を有していたので、ベルギー国民には不満の種だった。ピンと跳ね上がった口髭を持ち、額と頭は禿げ上がり、ずんぐりとしている上にお腹が出ている。これでは観ているベルギー人も野次を飛ばしたくなるだろう。テレビ局が「なんでベルギー人の探偵が、南アフリカから流れてきたユダヤ人なんだ?」との抗議を受けても当然だ。スーシェの父ジャックはリトアニア出身のユダヤ移民であったが、南アフリカに住んでいた。彼は開業医であったという。その父親、つまりデイヴィッドの祖父はあの“悲惨な”ユダヤ人定住区「ペイル(Pale of Settlement)」で暮らす賤民だった。デイヴィッドの母親ジョアン・パトリシアはアングリカン教会のキリスト教徒と見なされているが、血筋から言えばロシア系ユダヤ人の家族に属している。宗教がイギリス的でも肉体はユダヤ人という「ブリテン人」が多いから、日本人は彼らの素性に注意せねばならない。

嵌まり役を摑んだ英国人俳優

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(左: アーサー・コナン・ドイル   / 中央: アガサ・クリスティー   /   右: ジェリミー・ブレット版の「シャーロック・ホームズ」)

  イングランドの探偵小説といえば、まず誰でもアーサー・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle)の「シャーロック・ホームズ」を思い浮かべるんじゃないか。ドイルのホームズと比べると、アガサ・クリスティーのポアロはどうしても「格下」に見えてしまう。これは主にシャーロック・ホームズが英国紳士として描かれているからである。ポアロも冷静沈着で、鋭い洞察力と抜群の推理能力を持っているが、如何せん体型が中年太りのオっさんだから人気が出ない。一方、グラナダTVの『シャーロック・ホームズ』には、英国人男優のジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)が採用されていたのだ。彼はシェイクスピア劇で腕を磨いた実力派で、まさしくシャーロック・ホームズに最適の人物だった。彼の一挙手一投足は洗練されており、颯爽としたヴィクトリア朝ジェントルマンを彷彿させるような物腰だった。NHKの放送では、露口茂さんの吹き替えになっていたが、出来れば彼の肉声で番組を堪能した方がいい。(知らない人の為に言えば、露口氏は『太陽に吠えろ!』に出ていた「山さん」である。)

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(写真   /  「シャーロック・ホームズ」を演じるブレット )

  ジェレミー・ブレットはシャーロックを演じるために俳優になったような人物である。彼が上流階級のイギリス人に特有のアクセントで台詞を喋る姿が実にいい。一つ一つの言葉が耳に残るし、ドクター・ワトソンとの会話も軽快でユーモアに満ちていた。フロック・コートに身を包み、山高帽にステッキを持つブレットの出で立ちは“サマ”になっている。彼はしばしば難事件を解くために沈黙する。そして、謎が解けた瞬間にパッと見せる表情が、これまた絶品だ。依然として、何のことやら判っていないドクター・ワトソンに向かって、如何に自分が愚かだったかを語るシャーロックの演説は痛快である。スーシェの「ポアロ」も論理的思考と推理で事件の謎を解くが、答えを見つけて“はしゃぐ”姿は、太ったペンギンみたいだ。関係無いけど、ドラマの中では口髭を生やしたポアロが紅茶や食事を取るシーンが結構あった。しかし、彼が飲み物や食べ物を口にする度に、髭についたものをナプキンで拭き取る姿はイライラする。あんなチョビ髭なんか剃ってしまえばいいのに、とつい思ってしまうのだが、その髭がトレード・マークになっているから仕方がない。

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(左: 若い頃のジェレミー・ブレット   / ホームズ役のブレット  / 右2枚: ロバート・ダウニー・ジュニアと映画で「ホームズ」を演じるロバート )

  アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズは人気小説だから、これまでも色々な役者がTVドラマや映画でその役を演じていたものである。例えば、2009年と2011年には、アメリカ人男優のロバート・ダウニー・ジュニア(Robert Downey, Jr.)がホームズ役を演じていた。しかし、彼がこの英国人探偵を演じると、ことのほか安っぽく見えてしまい、全くと言っていいほどイギリス紳士に見えない。どちらかと言えば、シカゴかボルティモアにいそうなチンピラである。事実、彼はリトアニア・ハンガリー系ユダヤ人の父を持つユダヤ系アメリカ人であり、気品と威厳に満ちた役が似合わない。このユダヤ人役者は実生活でコカインやヘロインの中毒犯となり、警察沙汰を引き起こしたことがある。そもそも、彼の父親からして麻薬中毒者だったというから、親子共々懲りない藝人だった。父親のロバート・シニアは俳優業と監督業を兼ねた人物で、人気TVドラマ・シリーズ「トワイライト・ゾーン」では監督を務めていたそうだ。ところが、このオヤジときたら、トンデモない親で息子に大麻を勧めていたというのだ。いくらなんでも、幼い息子にマリファナを許す父親ってどんな奴なんだ? 子供の頃から違法タバコを吸っていたんだから、大人になったロバート・ジュニアが麻薬中毒患者になっても当然だろう。ハリウッドには幼児性愛者を始めとして、ホモとかシャブ中とか、サド、マゾ、変態とか、本当に悪質な連中が多い。

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(左: ロバート・ダウニー・シニアと息子のジュニア  /  右: チャーリー・チャップリン)

  こんなロバート・ダウニー・ジュニアがこなせる役といったら、せいぜいチャーリー・チャップリンの役が限度だ。(日本でも彼の『チャーリー』はヒットしなかった。) 喜劇王チャップリンはジプシーの出自だから、ユダヤ人俳優には打って付けの役柄である。チャップリンはその独特なユーモア感覚と、時折見せる陰鬱な表情から、「ユダヤ人じゃないか?」と一般のユダヤ人から思われていた。しかし、確実なところは不明だが、どうやら彼の両親は旅芸人のジプシーであったらしい。(Damien Gayle, Was Chaplin born in a gypsy caravan in the West Midlands?, Daily Mail, 20 March 2012) だからこそ、血統を恥じるチャップリンは、なかなか自分の過去を明かそうとはしなかったのだ。(筆者にとってチャップリンは思い出深い役者で、高校生の時学校をズル休みして有楽町の名画座に赴き、『キッド』や『ライムライト』を観ていた。特に、『街の灯』は印象深く、街頭で花を売る盲目の少女を演じていたヴァージニア・チェリルは、今でも忘れられない。とは言っても、良い子のみんなは真似しちゃ駄目だよ。学校は大切なんだから。)

Virginia Cherrill 3Virginia Cherrill 1Charlie Chaplin 4









(左と中央: ヴァージニア・チェリル  /  右: チャップリン)

共演女優は美人でなきゃ

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(左と中央: レイチェル・マクアダムズ  /   右: ケリー・ライリー)

  リウッド版「シャーロック」でまあまあ良かったのは、アイリーン・アドラー役に抜擢されたレイチェル・マクアダムズ(Rachel McAdams)と、メアリー・モースタン役を演じた英国人女優のケリー・ライリー(Kelly Reilly)である。マクアダムズの方はハリウッド・スターだから日本でも有名だが、ライリーの方はあまり知られていない。筆者は個人的に好きなんだけど、彼女は作品に恵まれていなかった。例えば、米国に進出してABCの『ブラック・ボックス』の主演を果たしたが、これが大失敗でシーズン1を以て打ち切り。エグゼクティブ・プロデューサーにはアイリーン・ハイケン(Ilene Chaiken)と大御所のブライアン・シンガー(Brian Singer)が就いていたが、物語自体が暗くて魅力に欠けていたのだ。このユダヤ人制作者の二人が、主役のキャサリンにライリーを抜擢した事までは良かったが、彼女の恋人役に黒人男優のデイヴィッド・アジャラ(David Ajala)を起用したんだから、折角のドラマが台無しである。全く以て「馬鹿」としか言いようがない。多民族主義を宣伝したいことは分かるけど、英国人美女が恋する相手なのに、それが黒人なんて、これでは白人視聴者がワクワクするはずがないだろう。「X-Men」を手掛けたブライアン・シンガーは、ミュータント(変種の超人)や混血児が好きなんだろうが、お客さんの好みを考えるべきだ。

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(左: アイリーン・ハイケン  /  ブライアン・シンガー /  ケリー・ライリー /  右: デイヴィッド・アジャラ )

  最近ではBBCの『シャーロック』が好評で、主役のベネディクト・カンバーバッチ(Benedict T.C. Cumberbatch)は一躍トップ・スターとなった。でも、やはりジェレミー・ブレットの方が似合っている気がするんだけど、こんにちでは若々しいカンバーバッチの方に軍配が上がってしまうのだろう。「シャーロック・ホームス」には色々なバージョンがあるけど、三つのバージョンにはそれぞれ妖艶なアイリーン・アドラー(Irene Adler)が登場していた。印象深いのはジェレミー・ブレット版シャーロックに登場したアドラーだ。このキャラクターは『ボヘミアの醜聞』で見ることが出来る。オペラ座のプリマドンナを務めるアイリーン・アドラーは、かつてボヘミア国王とこっそり付き合っていた。しかし、ボヘミア国王はスカンジナヴィアの王女と結婚することになったのだ。そこで、アイリーンは王と一緒に撮影した写真を以て脅迫してきたのである。これが公表されれば婚約は破談となってしまう。そこで、困った国王はシャーロックを訪ね、そのスキャンダルになりうる写真を取り戻してくれと依頼したのだ。シャーロックはトリックを使って写真のありかを探り出すが、アイリーンを捕まえる事はできず、あと一歩のところで逃げられてしまう。結局、脅しを諦めた彼女は写真を返し、新たな婚約者と共に海外へ渡ってしまうのだ。

Benedict Cumberbatch 1Lara Pulver 2Gayle Hunnicutt 2









(左: ベネディクト・カンバーバッチ  / 中央: BBC版の「シャーロック・ホームズ」でアドラーを演じるララ・パルヴァー  /  右: ブレット版の「シャーロック」 でアドラーを演じたゲイル・ハニカット)

  このアイリーンを演じていたのが美人女優のゲイル・ハニカット(Gayle Hunnicutt)であった。彼女はテキサス生まれのアメリカ人女性であるが、英国の貴婦人役が良く似合っていた。アルフレッド・ヒッチコックじゃないけど、主役級の女優は美人にしないと映画が華やかにならない。ゲイル扮するアイリーン・アドラーは実に可憐だった。シャーロックが特別に「あの人」と呼ぶのも解る。普通の女性には心を動かさぬシャーロックも、アイリーンだけは心に引っ掛かる魅力があったのだろう。ちなみに、ダウニー版の映画ではレイチェル・マクアダムズが演じ、カンバーバッチ版では英国系ユダヤ女優のララ・パァルヴァー(Lara Pulver)が演じていた。パルヴァーは人気TVドラマ「スプークス(Spooks)」でMI-5の諜報員を演じた女優である。「スプークス」は確かBS-11で放送していたから、覚えている方も多いだろう。英国のスパイ・ドラマには、こういった重厚な作品があるものだ。日本の公安モノは子供ぽくって、観ている方が照れてしまう。やはり、日本の制作者が未熟なんだろうなぁ。

Gayle Hunnicutt 6Gayle Hunnicutt 7Gayle Hunnicutt 1








(写真  /  ゲイル・ハニカット)

格闘家だった名探偵

 Barton Wright 1(左  /  エドワード・ウィリアム・バートン・ライト)
  シャーロック・ホームズを観ていて気付くのは、この紳士探偵が格闘技をマスターしていたことである。日本の探偵モノ、例えば天知茂が演じた明智小五郎とか石坂浩二が演じた金田一京助など、推理力で悪党を捕まえるのだが、犯人との壮絶な挌闘シーンは無い。一方、シャーロックは宿敵モリアーティー教授に生死を賭けた戦いを挑んだことがある。ドラマでは瀧に架けられた橋の上で対決し、二人とも瀧壺の中へと落ちてしまうのだ。また、ホームズは酒場で聞き込みをしたとき、ゴロツキに絡まれたことがあるが、得意技で打ちのめしたこともある。ホームズが習得した技は、「バーティツ(Bartitsu)」と呼ばれる総合格闘技で、これが何と日本由来の武道なのだ。というのも、創始者のエドワード・ウィリアム・バートン・ライト(Edward William Barton-Eright)は日本に留学したことがあるからだ。彼は1895年(明治28年)頃、日本にやって来て、「寺島」という師範のもとで神傳不動流(しんでんふどうりゅう)を学び、講道館では柔術を習ったらしい。彼は3年間の滞在を終えて英国に戻ると他の武術を取り入れ、独自の武術を編み出したそうだ。この格闘技が「バーティツ」で、彼の名前である「バートン」と「柔術」を組み合わせて「バートンじゅうじゅつ」、略して「バーティツ」になったという。

  英国ではパブリック・スクールやオックス・ブリッジといった名門大学に通う青年たちは、身体を鍛えるためにボクシングを習う気風があった。ジェントルマンは悪漢を腕尽くで押さえつけねばならぬ、との考えがあったのだろう。受験勉強だけが得意なクイズ王の如き青瓢箪は、国家を統治する支配者に非ず、と思われていたのだ。つまり、英国のエリートは日本の武士に等しかった。来日したライトは我が国の伝統武道である柔術や合気道に驚いたはずだ。当時の日本には恐ろしく強い達人がいたから、何も知らない英国人が見ればびっくり仰天だ。だいたい、素手の者が刀を持った相手に挑むなんて狂気の沙汰である。ところが、丸腰の人間が相手の刀を取り上げたり、その腕をへし折ったり、と見事な技を披露していたから、日本人を小馬鹿にしていた西洋人が敬意を払ったのも頷けよう。ちょっと横道に逸れるけど、忌々しい北鮮の金正恩を見ていると、腕十字を決めて骨をへし折りたくなる。ホドリゴ・ノゲイラの「アナコンダ・チョーク」や高阪剛の「チョーク・スリーパー」で失神させるのもいいが、どちらかと言えば、アーム・バーで関節を「ボキ」っと破壊したり、マウント・ポジションからの鉄槌やエルボー(ひじ落とし)で鼻骨を潰したい。あの“ふてぶてしい”正恩の顔を目にすると、何故か「バックハンド・ブロー」で殴りたくなるから不思議だ。出来ることなら、鼻血を出す金の顔に膝蹴りを食らわせたい。きっと気分爽快で、最高だろうなぁ。(マニアックで分かりづらいけど、主旨は理解してね。)

Ruth Benedict 1(左  /  ルース・ベネディクト)
  もう一つシャーロック・ホームズを見ていて気付くのは、彼が名誉を重んじる紳士であったことだ。敗戦後、ルース・ベネディクトが『菊と刀』を出版し、日本人は「罪」の意識が薄いと批判していたが、英国紳士だって「罪」よりは「恥」の意識の方が強かった。ホームズは紳士の名誉に敏感だったが、彼に信仰心があったのかは疑問である。そう言えば、ドラマの中でホームズが聖書を勉強したり、教会で賛美歌を歌うシーンなんか無かったし、そもそも、こういった場面は必要ない。彼は無神論者ではなかったが、かといって信仰篤いキリスト教徒でもなかった。これは別の機会に述べたいが、ルース・ベネディクトはユダヤ人の学閥に属していたのだ。読者の皆様は「また、ユダヤ人かよ!?」と呆れてしまうだろうが、日本の大学教授が間抜け揃いだから、一般国民が無知になってしまうのだ。肝心な事を教えないのが我が国の学者が持つ特徴で、マスコミの左翼記者と同じ体質を持っている。筆者も嫌になってしまうが、歐米諸国の裏事情というのはドス黒いんだよねぇ。まぁ、とにかく、シャーロック・ホームズはイギリス人の役者が似合っている、ということだ。




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嘘が常套手段のプロパガンダ報道

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世論操作が罷り通る現代

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(上記イラスト  /  レメーカーズの対独宣伝風刺画 )

  民衆政治の風向きは、大衆心理の動きで変わってくる。烏合の衆は理性で考えない。自分の感情と好みで一方的な結論を下すのが常。たとえ、判断材料が不充分だったとしても反省などはしないし、そもそも「適切」だったのか、なんて思わない。見たいものがあればお金を払ってでも「のぞき」見る。しかし、うんざりする退屈な話なら、たとえ命にかかわる重大事でも耳を閉ざす。マスコミはこうした群集の性格を理解しているから、複雑な事件は簡単なものに造り替えるし、聴衆が飛びつくものなら、何時間でも取り上げようとする。ただし、都合の悪い情報は最初から伝えずに、隠蔽するのが“いつもの”掟。ニュースはそのまま伝えるものではなく、程良く「料理」するものというのが、マスメディアの性質である。報道番組で大切なのは“真実”でなく“娯楽”の提供であり、楽しくなければニュースじゃない。でも、大衆操作を行う時だけは真剣になる。これだからマスコミは厄介だ。独裁国家での「官製報道」なら誰も端(はな)っから信じないが、自由な国家で行われる「政治宣伝」には不思議なくらい信憑性があって、容易に信じられてしまうから困ったものである。

  毎度のことで呆れてしまうが、日本のテレビ報道は局が違うのに、顔と味が同じという金太郎飴状態。例えば、北朝鮮問題を取り上げる番組は、「北鮮がミサイルを撃ちました!」とか「金正恩が次に取る行動は?」と慌てるだけで、日本人がどうするのかは問わないし、何をすべきか考えようともしないのだ。辺真一みたいな朝鮮人評論家を招いて、延々と北朝鮮の内情を話すだけ。これでは北鮮の宣伝番組を観ているようだ。日本の敵地攻撃能力がどれくらいなのか、を紹介する方がよっぽど視聴者の「ため」になるのだが、そうした情報は大衆に「余計な」智慧を与えるようなものだから却下。「日本人は黙ってミサイル攻撃を受けろ!」がTBSやフジテレビの本音なんだろう。でも、テレビ局にも核シェルターが無いので、自分たちも危ないはずだが、そこまで考えないのが脳天気な左翼の特徴だ。学生運動上がりの連中は、機動隊に殺されないという「確信」があったので、思う存分暴れることができた。もし、警察が機関銃や迫撃砲で対処したら、暴力学生でも「ちょっと待て、酷いじゃないか!」と青ざめたはずだ。甘えん坊の叛乱なんて、いかにも日本的である。

Koike Uriko 2(左  /  小池百合子)
  東京都知事の小池百合子にまつわる報道も同じだ。正直なところ、「いつまで豊洲問題を続けているんだ?」というのが庶民の意見だろう。だいたい、地下水の有毒物質なんて魚市場の商売には影響ないのに、あたかも汚染された水で魚を洗っているかのような印象をテレビ局は与えていたのだ。ちょっとここで筆者の感想を述べれば、最初から築地市場の段階的改修にすれば良かったのに、と愚痴をこぼしたくなる。商売人なら分かるけど、場所を移すのは結構なリスクで、お客の「流れ」が変わってしまうから一大事だ。築地ならお客さんが銀座から“ぶらり”と足を運んでくれるけど、豊洲になれば橋を渡って長い道のりを歩かねばならない。そうなったとき、オッちゃんやオバちゃんたちが豊洲まで来てくれるとは到底思えない。だいいち、東京ガスの跡地を決めた時点で地下水の問題は分かっていただろう。豊洲が選ばれたのは、土地取引でのキックバックと、更地での建設の方が楽だからとの理由じゃないのか。


Hosokawa 2Ozawa Ichiro 1Koizumi Junnichiro 4Abe Shinzou 1








(左: 細川護煕   /  小沢一郎 /   小泉純一郎 /  右: 安倍晋三)

  結局、巨額な損失は庶民にのしかかり、問題の先送りは小池百合子の宣伝材料になっただけだ。小池都知事は「都民ファースト」を叫んでいるけど、実際は都民より自分の方が「優先」なんじゃないか。確かに「都民が一番」なんだろうけど、一等席の前に特別席(アリーナ)があるように、本音では「ユリコ・ファースト」が前提なんだろうね。小池氏は踏み台を選ぶのが上手いから、東京都民も権力奪取の道具にされるかも知れないぞ。彼女は政界進出のために「ビジネス・ワールド・サテライト」のキャスターを務め、日本新党の細川護煕を手始めに、新進党・自由党の小沢一郎に乗り換え、小沢と手を切ったら自民党の小泉純一郎に近づき、色目を使って添い寝をした。失敗したのは総裁選の時で、安倍を見限って石破に乗ったが、その石破が泥船だったので、彼女の立場も沈んでしまったのである。国政での出世がないと悟った小池氏は、脚光を浴びる都知事の椅子を狙い、得意の笑顔と饒舌で、気紛れな都民を手玉に取れた。次は都議選での勝利で、目指すは安倍首相の後釜なのかも知れない。

又聞きが目撃証言となった

  日本のマスコミによる情報操作がひどいのは誰にでも分かるが、歐米のマスコミはそれを更に上回っている。先進国というのは大量の情報が交差する大衆社会なので、政治を牛耳る者は何とかして一般人を思った方向に導こうとする。特に、戦争が起きた時は著しい。身近なところでは9/11テロであるが、その前には湾岸戦争での捏造報道があった。イラクのクウェート侵攻を制裁するため、米国は広告会社の「ヒル・アンド・ノールトン(Hill & Knowlton)」を用いて、ニセ情報を世間に流し、紛争介入を正当化しようとしたことがある。1990年9月5日、ロンドンの「デイリー・テレグラフ」紙にイラク兵が起こした残虐事件の記事が掲載され、西側諸国の一般人は衝撃を受けた。ある「アメリカ人」の証言によれば、イラク兵が保育器を奪うため、中にいた未熟児を放り投げたというのだ。後に、この人物はナイラ(Nayirah)という少女であることが判明し、彼女は米国議会に設置された公聴会に出席し、こう述べたという。

  私は銃を持ったイラク兵が病院にやって来て、15名の赤ん坊がいる部屋に入って行くのを見ました。彼らは保育器の中から赤ん坊を取りだしてその器具を奪うと、赤ん坊を冷たい床の上に放置したまま、立ち去って行きました。(Tom Regan, "When contemlationg war, beware of babies in incubators", The Christian Science Monitor, September6, 2002.)

Nayirah 1Craig Fuller 1George Bush 3








(左: ナイラ  / 中央: クレイグ・フラー /  右: ジョージ・H・W・ブッシュ)

  ところが、彼女は実際にその暴虐を目撃したのではなく、ある友人からその話を聞いて証言したのである。つまり、直接、自分の肉眼で見たのではなく、又聞きの噂話であったのだ。そして、現場に居なかったこの少女は駐米クウェート大使の娘であった。しかも、この話に尾鰭を附けて大々的に宣伝したのが、「ヒル・アンド・ノートン」社で、このPR会社は「自由クウェートを求める市民(Citizen for a Free Kuwait)」という亡命団体から1千70万ドルをもらって雇われていたのだ。さらにに注目すべきは、ここの最高責任者を務めていたクレイグ・フラー(Craig Fuller)社長が、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の元側近だったことである。ブッシュ大統領がまだレーガン政権時代の副大統領であった頃、フラー氏はその首席補佐官を務めていたのだ。何てことはない、ブッシュ大統領はイラク攻撃をしたいが為に、巧みな演出で世論を煽り、軍事行動の正当性を得ようとしていたのである。「敵を悪魔にして自分を正義の味方にする」というのが戦争の定石だが、ブッシュ氏はそれを実践したという訳だ。

悪魔のようなドイツ兵

  偽情報で敵を「悪魔」にした実例は、第一次世界大戦で行われた心理戦である。連合国側の戦時プロパガンダで最も成功を収めたのは、「手を切断されたベルギーの子供たち」であろう。1914年の暮れに、身体の一部を切り落とすという残虐行為があったらしい。当初、この事件は政府のプロパガンダとは関係のないところで発生したのだが、英米側にとってドイツ兵の残虐性を広めるには好都合の出来事であった。ウィルソン大統領と政府の好戦派は、この悲惨な事件を以て米国の世論を動かすことが出来るのではないか、と踏んでいたそうだ。そして、戦争が勃発すると、続々と痛ましいニュースが飛び込んでくるので、アメリカの参戦をせかす者も増えてきた。1915年から16年になると、「ベルギー支援協会」がベルギーの子供たちを救済すべく、一般のアメリカ人に訴えかけ、ドイツ軍の侵攻に苦しむ子供のために古着や食糧を送ろうと提案したらしい。(米国の参戦にはサミュエル・ウンターマイヤーなどのユダヤ人シオニストが暗躍していたのだが、これについては別の機会で述べてみたい。)

Francesco Nitti 1(左  /  フランチェスコ・ニッティ)
  「手を切断された子供」の話は世界中に広がり、イタリアでも大いに宣伝されたそうだ。当時の財務大臣で、後にイタリアの首相となったフランチェスコ・ニッティ(Francesco Nitti)が、このプロパガンダ報道がもつインパクトについて述べていた。終戦後、こうした悲劇に心を痛めたアメリカの大富豪が、問題となった哀れな子供に是非会いたいと、密使を派遣してきたそうだ。ところが、誰一人としてその子を発見できなかった。そこで、ニッティーと英国のロイド・ジョージ首相が、この報道と他にもあった幾つかの事件について、それぞれの信憑性を詳しく調べてみることにした。すると、いずれのケースも作り話であると判ったそうだ。(アンヌ・モレリ『戦争プロパガンダ 10の法則』 永田千奈 訳、草思社、 2002年、p.94)

  戦時プロパガンダには何でもありで、他にも信じられぬ事件が報道された。例えば、ドイツ軍は従軍看護婦にも重傷を負わせると言われたし、アホらしいけど、ドイツ人は囚人の死体を解体し、潤滑油の原料にしてしまうという話もあったらしい。その他、捕虜の顔に双頭の鷲の刺青を彫る、捕虜の舌を切り落とす、といった捏造まであったのだから唖然とする。ドイツ軍に関する「残酷物語」には拍車がかかって、「ドイツ軍は“わざと”病院に爆弾を落とす」、あるいは「教会を狙って爆撃する」といった報道まであったそうだ。これを聞くと何となく、「30万人の南京大虐殺」という虚構や、「ナチスはユダヤ人の死体から脂肪を取って石鹸を作った」というヨタ話とダブってくるじゃないか。もう聞くのも馬鹿らしくなってくるけど、怪物の如きドイツ兵は、藝術の街や記念建造物を焼き払って祝杯を上げたとか、乳児の喉を切り裂き、女を捕まえては乳房を切り落として笑い声を上げる、といったホラー・ストーリーまであったのだ。(上掲書 p.95) もしかして、英米のプロパガンダ部局は支那人でも雇ったのか? まるで「撫順戦犯所」で製造されたフィクションとソックリだ。

  プロパガンダ用の残酷劇には様々なヴァージョンがあったそうで、先ほどの「手を切断された子供」の話にもフランス版があったという。1915年ルイ・エ・ヴィレンヌ県で「宗教週報」に掲載された、無名作家による「手を切断された少女の祈り」という作品があったそうだ。

  ノール県にある病院で、6歳の少女が跪き祈っているが、その両手は包帯でぐるぐる巻きにされていた。彼女は「神様、私にはもう手がありません」と小さな声でお祈りをしているのだ。というのも、あるドイツの兵隊がその子に対し、「ベルギーやフランスの子供に手は必要じゃない。ドイツの子供だけが手を持てばよい」と述べ、彼女の手を切り落としてしまった。少女は激痛に苦しむが、ドイツ兵は笑っている。この鬼畜は、ドイツの子供じゃないから痛みを感じるはずがない、というのだ。彼女は「神様、ママは気が変になってしまいました。私は独りぼっちです。パパはドイツ兵に連れて行かれました。パパからは手紙が来ません。きっと銃で撃たれたのでしょう・・・」と語っていた。

  このお涙頂戴話にはイギリス版もあったそうで、ある慈善家の貴婦人がパリにあるベルギー難民所を訪れたそうだ。彼女はその中に10歳くらいの少女がいるのに気がついた。この少女は部屋が暑いのに、両手をみすぼらしいマフに突っ込んでいたという。ある時、その子が母親に向かって「鼻をかんで」と頼んだ。これを聞いた貴婦人は、「まあ、あなたのような大きな子供が自分で鼻をかめないなんて!」と笑いながらも、厳しく叱ったそうだ。しかし、その子は何も言わなかった。だが、沈んだ表情の母親が感情を押し殺して口を開いたという。「マダム、この子は両手をなくしたのです」と。すると、その貴婦人は非常に驚き、目を見開いて「えっ、なんですの? もしや、あのドイツ兵が?」と尋ねた。少女の母親は泣き出し、答えはその涙で充分だったという。
 
  いやぁ~、イギリス人ってのは実に感動する話を作るのがうまい。彼らは人間の心理をちゃんと把握しており、不特定多数の第三者でも、いつの間にか耳を傾け聞き入ってしまう。イギリス人が作るドラマに定評があるのもうなづける。大東亜戦争中、日本側のプロパガンダ放送に従事していた池田徳眞も、イギリス人の才能には舌を巻いていた。彼らの「藝術作品」に比べたら我々の「戦争プロパガンダ」なんて子供の絵本並である。日本の軍部は宣伝戦の重要性を理解していなかったから、英文科の学生を「役立たず」と思い込み、厄介払いでもするように、前線に送ってしまったそうだ。これだから小室直樹先生が歎いていたのも分かる。日本人は本当に戦争音痴だった。

ドイツを憎むユダヤ

Louis Raemaekers 5Raemaekers German 3Louis Raemaekers 2










(上記イラスト  /  ドイツ兵を悪魔に見立てたレメーカーズの風刺画)

  第一次世界大戦に於ける宣伝戦では、映像や視覚を利用したプロパガンダ作戦が功を奏したそうだ。英米側で注目すべき人物に、挿絵画家のルイス・レメーカーズ(Louis Raemaeker)というオランダ人がいた。ただし、彼は一般的に「オランダ人」と紹介されるが、その正体はオランダに居住するユダヤ人である。フーヴァー研究所もそうなんだけど、彼の経歴を載せる記事は、どれもこれも「オランダ人」としか紹介せず、その民族性にまでは言及しないのだ。唯一の例外は戦時中カウンター・インテリジェンスに係わった、ドイツ人のゲルハルト・クラウゼ博士(Dr. Gerhard Krause)くらいだろう。

Louis Raemaekers Picture(左  / ルイス・レメーカーズ )
  ルイス・レメーカーズは1869年、南部ネーデルラントのルーモント(Roermond)に生まれ、父のヨセフス(Josephus Christianus Hubertus Raemaekers)は本の印刷を手掛ける出版業者だった。母のマルガレータ(Margaretha Amalia Michels)は、夜間学校の教師をしていたそうだ。美術が得意だったルイスは、アムステルダムにある日刊紙「テレグラフ(De Telegraaf)」に就職し、編集長から好き勝手にイラストを書いていいとの許しを得ていたらしい。しかし、1914年に歐洲大戦が勃発し、彼は外務大臣のジョン・ラウドン(John Loudon)に引き抜かれて、反ドイツのイラストを制作するよう依頼されたそうだ。

  レメーカーズはドイツ人を貶める漫画や風刺画を大量に描き、政府から多くの勲章を授与されたうえに一財産築いたらしい。しかし、彼の「力作」はドイツのカイゼルを激昂させたようで、彼の首には1万2千マルクの懸賞金が掛けられたそうだ。こんな訳で身の危険を察知したレメーカーズは、1916年になるとロンドンへ旅立ち、英国の戦時宣伝局を取り仕切っていたチャールズ・マスターマン(Charles Frederick Gurney Masterman)の庇護を受ける事となった。その後、後釜のジョン・バカン(John Buchan)男爵がレイメーカーズの監督官になったらしい。彼らが拠点にしたウェリントン・ハウス(Wellington House)では、様々な対独戦時宣伝の計画が立案され、多くのアジビラや偽情報が製造されたという。偽の残虐報道で有名な「ブライス報告(Bryce Report)」も、こうしたプロパガンダの一環で作成されたものである。

George Vreel 1Charles Masterman 2John Buchan 1James Bryce 1







(左: ジョージ・クリール  / チャールズ・マスターマン   / ジョン・バカン  /  右: ジェイムズ・ブライス )

  レイメーカーズのイラストは、ドイツ人に対する憎しみに満ちており、ドイツ兵は残忍冷酷なサディストで、野蛮人を代表するモンゴル人かフン族の再来であるかのように描かれていた。異民族を破壊する「匈奴」、巨大な人食い人種、平気で子供を屠るカイゼル、歯を剝き出しにしたゴリラ、死に神の如きドイツ兵、殺人を繰り返す悪魔など、レメーカーズはやりたい放題の風刺画を量産し、世界中にばらまいていたのである。ウッドロー・ウィルソンがプロパガンダ局長(head of the U.S. Committee on Public Information)に選んだジョージ・クリール(George Creel)も、このユダヤ人画家に感心していたそうだ。レメーカーズは精力的で、しかも才能に恵まれていた。彼のイラストは英国や米国、フランスなどの新聞や雑誌に転載され、敵国ドイツに対する世間の憎しみを増幅させていたという。ちなみに、大戦の時ネーデルラントは中立国だったから、政府の要人はドイツに対する一方的な罵倒に消極的だったが、「世界市民」のユダヤ人レメーカーズには関係無かった。本当にユダヤ人のドイツ嫌いは年季が入っている。

Ream SeductionReam Kultur 2Ream Germany 2









( 上記イラスト  / レメーカーズの反ドイツ風刺画  )

  高度な情報化社会になると、プロパガンダが“より”巧妙になってくるから、一般人の我々は自衛のためにも、普段から注意を怠らぬことが必要となる。特に、無料放送の報道番組は危険だ。確かに、テレビ局から垂れ流される政治宣伝は稚拙だけど、繰り返し放送されるから一般国民は、知らず知らず「洗脳」されてしまうのだ。プロパガンダの鉄則は、丹念に何度も繰り返す事にある。残念ながら、「嘘も百回繰り返せば真実となる」は今でも有効だ。昔、土井たか子は「憲法九条学者」と笑われたが、「平和! 平和! 戦争は駄目!」と諦めずに繰り返していた。そのせいか、護憲思想が世間に染み込んでしまった。また、民主党政権が誕生する前には、政権交代で明るい日本が訪れる、とマスコミは大いに煽っていた。しかし、現実は陰惨な時代の幕開けで、応援団のマスコミはその責任を回避し、知らぬ顔を決め込んでいたんだからズルい。今では思い出したくもない憂鬱な時代であった。左翼偏向のマスコミが健全な限り、これからも詐欺的な報道が続くだろう。結局、庶民は昔流行った「自己責任」を覚悟すべきなんだろうなぁ。




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