黒木 頼景
成甲書房
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告発する元「性奴隷」
有り余るほどの財産を用いてハーレムを作り、『プレイボーイ』のヒュー・ヘフナー(Hugh Hefner)気取りで、様々な若い娘を侍らしていたエプシュタインだが、プレイガールの方は彼を嫌っていたようだ。お金の為に“サービス”を行っていたある少女は、彼の体をマッサージしながら時計の方ばかりを見ていたという。別の子は穢らわしい「御主人様」と寝ているとき、目を閉じながら現金のことばかり考えていたらしい。クリスマスを迎えるためにお金が必要だった16歳の少女は、マッサージの最中に「下着を脱げ !」と命令されてショックを受けたという。御機嫌なエプシュタインは更なる妄想に耽り、モデルを務める17歳の少女を相手にした時は、自分で買った下着を彼女につけさせ“ご満悦”だった。「特別奉仕」に身を捧げる少女たちは、傲慢不遜なエプシュタインを唾棄していたそうで、彼の毛むくじゃらな体や、卵形のペニスに嫌悪感を抱いていた。(もしかしたら、割礼を受けた“皮無し”ペニスのことかなぁ。でも、気持ち悪いから、あまり想像したくない。) 屈辱を耐える ハーレムの娘たちは、口々にエプシュタインのことを「変態野郎(pervert)」と呼んでいたそうである
一般の日本人だと、「エプシュタインはどうやって若い子を集めたのか ?」と疑問に思うだろう。それは実に簡単な手口だった。彼は手込めにした娘に、次の獲物をスカウトさせていたのだ。ハーレイ・ロビンソン(Haley Robinson)という18歳くらいの娘は、一度だけ“マッサージ”をさせられたが、それ以降、彼女が同じ事をすることはなかった。ロビンソンの拒絶反応を承諾したエプシュタインは、「それなら他の女を調達してこい。そうすりゃ、一人頭200ドルくれてやる !」と持ち掛けたそうだ。このゲス野郎は、「若けりゃ、若いほどいいぞ」とロビンソンに伝え、彼女は「18歳から20歳くらいの子を要望したのだな」と解釈した。200ドルのお金に目が眩んだ少女たちは、ロビンソンから「いいこと。彼には18歳って言うのよ。彼の体を揉めば揉むほどお金が手に入るんだから !」と告げられたそうだ。こう言い聞かせるロビンソンも内心忸怩たる思いがあったらしく、「まるでハイジ・フレイス(Heidi Fleiss)にでもなった気分よ」と漏らしていた。(このハイジ・フレイスという女は、かつて「ハリウッド・マダム」と称されていた売春組織の元締で、売春斡旋や脱税の廉で逮捕され、懲役刑を受けた前科者セレブである。服役後、彼女はテレビを始めとするマスコミに登場し、一時的に話題の人となった。)
若い娘を金で釣ったエプシュタインは、快楽に夢中で調子に乗っていた。彼がマッサージだけではなく、性交渉にまで及んでいたことは確かである。しかも、このユダヤ人は“奉公人”の一人を「性奴隷(sex slave)」と呼んでいたのだ。エプシュタインはユーゴスラヴィアから性奴隷を購入したそうで、ナーダ・マルシンコヴァ(Nada Marcinkova)という19歳の美女を囲っていた。スケベ親爺のエプシュタインを見ていると、ロシアやルーマニア、ウクライナから“白人”女性を仕入れてくるイスラエルの女衒(ぜげん)を思い出す。イスラエルの売春宿に「白い上玉」を届ける人身売買組織は有名で、狡猾なユダヤ人ブローカーは経済不況に喘ぐ東歐諸国を巡り、「お嬢ちゃん、フランスとかアメリカでモデルにならないかい? いい稼ぎになるよ !」と甘い言葉で口説き落とし、愚かな娘どもを引っ掛けると、白人娼婦を求めるユダヤ人業者に売り渡していた。つくづく呆れてしまうが、イスラエルでは白人女の方に高い“需要”があるので、仲介業者は西歐人に近い東歐娘を“供給”するそうだ。人種差別が無いはずのユダヤ人は、セックス産業においてはレイシストのようで、褐色のアラブ人女や、エチオピアの黒い女には興味が無いらしい。買春では彼らの本音が現れる。それにしても、イスラエルではスラヴ人がスレイヴになっていたとは、とても第21世紀の社会とは思えない。
軽すぎる刑罰
どんな悪行にも「潮時」という幕が訪れる。10代の少女を食い物にしていたエプシュタインは、ベッドの上でアクロバットを楽しんでいたが、実は危ない綱渡りをしていたのだ。18歳と称していた少女が、本当は14歳だったりするので、いくら同意の上とはいえ「淫行」になってしまうのだ。しかし、それは承知の上だった。実際、エプシュタインは16歳の少女を弄んだ後、彼女に向かって「誰にも話すんじゃないぞ !」と口止めをしていたんだら、明らかに確信犯だ。彼は飴(金銭)で少女たちを誘い、鞭(脅迫)で威嚇していた。だが、少女達やその親が警察に駆け込むようになったから、2005年、エプシュタインは警察の監視対象になってしまったという。 2006年にパーム・ビーチ署に逮捕されたエプシュタインは、2008年になると裁判にかけられ、早々と自分の有罪を認めることで懲役刑を軽くしようとした。
悪い奴には幾つか種類があって、兇暴な馬鹿もいれば狡猾な知能犯もいる。エプシュタインは計算高いビジネスマンで、豊富な財力と幅広い人脈を使って、自分に課せられる刑罰をできる限り低く抑えようとした。まず彼がしたことは、優秀な弁護士を集め、如何にして法の網をくぐり抜けるかであった。こうした難題に最適なのは、やはり同胞のユダヤ人弁護士である。エプシュタインは高名なアラン・ダーショウッィツ(Alan Dershowitz)を雇った。一般の日本人はもう忘れているだろうが、ダーショウィッツはO.J.シンプソンの弁護を務めた「ドリーム・チーム」の一員だ。筋金入りの「親イスラエル派」で、ハーヴァード大学教授となっていたダーショウィッツが弁護士軍団に加われば、鬼に金棒、熊に蜂蜜、ポパイにほうれん草である。
大金で雇われたダーショウィッツは、敏腕弁護士がよく用いる手口でエプシュタインの罪を軽くしようと図った。すなわち、彼は証言者となった少女たちの信憑性を攻撃したのだ。お金に釣られて売春婦になるくらいだから、少女たちは叩けば埃(ほこり)の出る体で、脛に傷を持つ者だって少なくない。ダーショウィッツは彼女たちがアルコールやドラッグに溺れている点を突き、何名かが前科持ちであったり、非行少女であることも暴露した。こうした不都合な真実を指摘することで、ダーショウィッツは証人の中に嘘つきがいると示唆し、少女たちの話は信用できないと訴えたそうだ。(Andrew Marra, "Jeffrey Epstein craved big homes, elite friends, and investigators say, underage girls", The Palm Beach Post, August 14, 2006) 筆者には少女たちを厳しく尋問するダーショウィッツの顔が目に浮かぶ。昔から、ユダヤ人は法廷で異教徒を糾弾するのが上手だから、彼らの弁舌には相当な年季が入っている。
有罪を認めたエプシュタインは懲役刑を受けたものの、収容されたのはゴロツキで溢れる刑務所ではなく、穏やかな地元の勾留施設であった。しかも、刑期は18ヶ月ほどで、週に6日は保釈労働プログラムとやらで、自分のオフィスに赴いて働く事ができたという。(Paula McMahon, Feds deceived us about billionaire sex offender's sweetheart deal, teen victims say", The Sun Sentinel, February 11, 2016) これじゃあ、牢獄での服役というより、週末のお泊まりじゃないか。お金を与えて少女に淫らな行為をした奴は、刺青を彫った怖い南米人や殺人鬼の黒人がウヨウヨいる刑務所に放り込むべきだ。散々未成年を食い物にしてきたエプシュタインには、牢獄で“女に飢えた”兇悪犯と一緒に寝泊まりする方が相応しい。数人の囚人に取り押さえられ、肛門を犯されれば、さすがのエプシュタインも反省するだろう。アメリカの刑務所って、本当に凄い変態がいるから、少女を専門にしていた囚人は格好の餌食になるらしい。でも、悪党から「正義の制裁」を下されるなんて皮肉だ。
華麗なる有力人脈
悪い事をした奴でも、裕福なら有利になるのがアメリカの現実である。エプシュタインは色々な団体に寄付をしていたそうで、例えば、フロリダのバレー団体(Ballet Florida)に19万ドル(約2千万円)も渡していたそうだ。バレリーナには精神的治療を目的としたセラピーとか、怪我を治し体をほぐす“マッサージ”が不可欠なので、エプシュタインは熱心に支援していたそうである。このスケベ野郎は時代劇の悪徳商人みたいに、パーム・ビーチ署にも9万ドルを寄付していたそうだ。彼の逮捕後、この贈り物は返却されたというが、悪党は警察までも抱き込もうとするから狡賢い。警察官を仲間にしようとするくらいだから、政治家に献金することくらい当り前だ。エプシュタインはユダヤ人らしく民衆党贔屓で、ユダヤ人上院議員のジョン・ケリー(John Kerry)、ジョセフ・リーバマン(Joseph Lieberman)、チャールズ・シューマー(Charles Schumer)に献金していた。その他には、上院の大物であるヒラリー・クリントンやクリス・ドッド(Chris Dodd)、元ニュー・メキシコ州知事のビル・リチャードソン(Bill Richardson)などか見受けられる。
しかし、エプシュタインの友人で一番の著名人と言えば、英国のアンドリュー王子だろう。このヨーク公爵はエプシュタインと親密であったが、彼の裁判に呼び出されることはなかった。しかし、「黒い疑惑」に包まれることになったのは確かだ。というのも、エプシュタインの娼婦となっていたヴァージニア・ロバーツ(Virginia Roberts / 30歳)が世間に顔と名前を晒し、アンドリュー王子を含めたお客との過去をバラしたからである。当時17歳だったロバーツ氏は日記をつけており、それをマスコミに公表したから話題になった。とりわけ注目されたのは、エプシュタインが彼女に言い付けた“おもてなし”である。つまり、エプシュタインは彼女に、「1万ドルやるから、ヨーク公と寝ろ !」と持ち掛けたのだ。(Adam Withnall, "Teenage sex slave Virginia Roberts claims she was paid £ 10,000 by Jeffrey Epstein to have sex with Prince Andrew", The Independent, 4 January 2015) ロバーツ氏によれば、アンドリュー王子は彼女が17歳だと判っていたらしい。ただ、本当に性交渉があったのかは証明されていないから、不確定な「疑惑」のままだ。アンドリュー王子は容疑を全面的に否定している。
危険な火遊びに夢中だったエプシュタインは、有能な弁護士軍団を率いて刑事裁判を乗り切ったが、民事裁判で痛手を蒙ることになった。彼は餌食にした20数名の女性たちに訴えられ、その内の三人に対し、合計で550万ドル(約5億8千850万円)の示談金を支払う破目になったそうである。三名の「元少女」たちの名前は公表されず、匿名で報道され、「L.M」には100万ドル、「E.W.」には200万ドル、「Jane Doe」には250万ドルが支払われたという。(Jane Musgrave, "Epstein paid three women $ 5.5 million to end underage-sex lawsuits", The Palm Beach Post, October 3, 2017) ただし、三番目の「ジェイン・ドウ」は正体を現し、彼女がヴァージニア・ロバーツであることが判った。(Philip Sherwell, "Prince Andrew sex abuse allegation theown out by judge", The Telegraph, 7 April 2015) 権力の座から転げ落ちたエプシュタインには、次々と非難の矢が打ち込まれ、被害者たちに対しては防戦の一方だ。当時14歳だった女性は、エプシュタインが14歳と判っていてセックスを行った、と告発していたし、世間から叩かれたエプシュタインも未成年との淫行を認めざるを得なかった。
ただし、彼は自分を「性的な罪を犯した違反者(sex offender)」であると主張し、決して少女たちを狙った「捕食者(predator)」ではないと言い張ったそうである。(Amber Sutherland, "Billionaire Jeffrey Epstein : I'm a sex offender, not a predator", New York Post, February 25, 2011) 要するに、彼は不謹慎な事を行った愚か者であるが、社会に恐怖を与える性犯罪者ではない、と言いたかったのであろう。エプシュタインの弁明は、買春をした教師の言い訳に似ている。例えば、よく地方の高校とか中学から東京に出張した教師が、渋谷の女子高生と「援助交際」をするけど、それが後にバレたとき、「つい魔が差してしまい、申し訳ない」と謝罪するだろう。ところが、こうしたスケベ教師は「お金を払って未成年とセックスをしました」と謝罪するが、少女を襲って強姦したわけじゃないから、自分を「性犯罪者」とは思わない。まぁ、「運が悪かった」と歎くくらいだ。
数学を得意としたエプシュタインは、倫理・道徳より司法取引やゼニ勘定で罪を償った。あれだけ派手に女遊びをして、たった18ヶ月の“お勤め”なんだから、一般のアメリカ人なら「やっぱり金持ちは罰せられることはないのかぁ」と溜息をつくだろう。もし、名も無き一般白人が同じ事をしたら、もっと重い罰則を受け、出所してからも茨の道は確実だ。性犯罪の前科だと、いつまでも罪が消えず、家族はバラバラになるし、職探しをしても雇ってくれないから、失業者になることが多く、侘しい路上生活が待っている。その点、“はした金”を払って事件を終熄させたエプシュタンは違う。別に一文無しになった訳じゃないから、反省は無い。彼はある友人に「パーム・ビーチは反ユダヤ主義が強いから、俺に対しての陰謀があるんだ」と語っていたそうだ。(前回紹介した記事「The Fantasist」を参照。) まったく、芯から腐っているユダヤ人には附ける薬が無い。こういう奴はイスラエルに追放すべきななんじゃないか。でも、エプシュタインはナチスと同じ迫害だ、と言うかもね。米国で豊かな暮らしをするユダヤ人にとったら、アウシュヴィッツもイェルサレムも変わりがなく、どちらも嫌な場所なのかも知れないぞ。
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