無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2018年09月

言論の自由と抵抗の勇気を持った東歐諸国

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黒木 頼景
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ナショナリズムが勃興したハンガリー

Victor Orban 2(左  /  ヴィクトール・オルバン)
  我々日本人はEUの政治を語る際、どうしてもドイツやフランスといった主要国を取り上げる事が多い。しかし、日本のマスコミがあまり言及しないハンガリーやチェコでは、庶民レベルで国家主義が台頭し、國體を守るべく移民・難民の排斥運動が盛んになっている。ハンガリーではナショナリストのヴィクトール・オルバン(Victor Mihály Orbán)が、1998年の選挙で勝利を摑み首相となった。2002年には下野することになったが、2010年の選挙で再び権力を恢復し、ハンガリーを率いる宰相の座に返り咲いた。彼は遠慮なく移民流入に反対し、アフリカや中東アジアからやって来る外人を「毒」と言い放ったから凄い。(Cynthia Kroet, "Victor Orban : Migrants are 'a Poison'", Politico, July 27, 2016) ドイツやフランスはもとより、オランダやブリテンの指導者が、こんな意見を口にしたら即刻、議員辞職か退陣である。

  オルバン首相の大胆な発言は過去にいくらでもある。例えば、彼は移民や難民に対して融和的な歐洲委員会に腹を立てており、ジャン・クロード・ユンケル委員長のプランを「狂気の沙汰」と酷評し、EU諸国に難民を振り分ける政策を「不公平」とも言い放った。(Willa Frej, "Here Are The European Countries That Want To Refuse Refguees", The Huffington Post , September 9, 2015と"Hungary's PM Orban calls EU refugee quota plan mad", EURACTIV.cm with AFP, May 9, 2015)  バラク・オバマ前大統領やアンゲラ・メルケル首相と違って、オルバン首相は“健全な”精神を持っているせいか、「不法移民は犯罪だ」と述べていた。アメリカでは不法移民を庇う「サンクチュアリ・シティー」があるので、不法入国者や違法滞在者を「犯罪者」と認識しない人が結構いる。こうした「リベラル・マインド」を有するアメリカ人からすれば、オルバンは極右分子、独裁者、権威主義者、非人道主義者に他ならない。でも、勝手に入ってくる外国人に「遵法精神」があるとは思えないから、「不埒な外国人」と規定してもあながち間違いじゃなかろう。

  オルバン首相には、もう一つ立派な意見があった。それは、ハンガリーがキリスト教に基づく国民国家である、と認識していたことだ。日本人が聞いても、こんな見解は当り前のように思えるが、左翼思想に染まった西歐諸国の政治家には勇気の要る発言である。もし、イスラム教徒のアフリカ黒人やシリア人、イラク人、アフガン人を前にして、「我が国は白人のキリスト教国だ!」と言えば、政治的自殺になってしまうだろう。たとえ、議員辞職にならずとも、マスコミからの集中攻撃は避けられまい。何しろ、テレビで放送される“問題”議員の弁解はせいぜい3分で、この「差別主義者」を糾弾する大学教授やゲスト・コメンテーターには、20分ないし40分、場合によってはCMを跨いで1時間も与えられたりするのだ。しかも、報道番組のディレクターや司会者がグルで、何食わぬ顔でレイシスト議員を吊し上げる手筈になっている。大抵の場合、予め「公開処刑」の台本が出来ていたりするから悪質だ。

Prague Czech 1Czech people 1








(左: チェコのプラハ  /  右: チェコ人の若者)

  オルバン首相は政権を発足させると、ハンガリーの国家的安全とキリスト教文化を護ると公言し、移民と外国からの干渉を排除することを政策に掲げたという。("PM Orban vows to preserve Hungary's Christian culture", Reuters, 7 May 2018) 彼の基本理念はまっとうで、オルバン政権はヨーロッパの伝統に深く根ざした、つまり昔から当然とされた「キリスト教に基づく民衆政国家」を建設すると謳ったのだ。オルバン首相曰わく、「キリスト教はヨーロッパにとって最後の希望」であるという。(Lucy Pasha-Robinson, "Europe is being overrun", The Independent, 21 February 2018) ハンガリーの宰相は、「ヨーロッパのイスラム教化」に対して闘うと誓い、大量移民、特にアフリカからの移民・難民に言及した。そして、彼は「我々にとっての悪夢が実現されてしまうぞ!」と警戒を呼びかけていた。

  「寛容」とか「人権」に弱い北米や西歐諸国だと、権力を持っているのに勇気が無く、「宦官」にされたような政治家がよくいる。とりわけ、ユダヤ人の大口献金者には刃向かえず、仔犬より従順で、ネズミよりも臆病な連中が多い。しかし、オルバン首相は祖国を守るべく、ユダヤ人の大富豪ジョージ・ソロス(George Soros)をハンガリーから追い出した。この米国に住みついたグローバリストは元々ハンガリー生まれで、ナチス・ドイツに仕える下っ端を経て、英国に渡ってきた移民である。彼は「イングランド銀行を破綻させた男」として名を轟かせ、英国ポンドを梃子にして10億ポンド以上を稼ぎ出した。しかし、「強欲なユダヤ人」という評判を消したいのか、慈善事業にも精を出し、「オープン・ソサエティー財団(Open Society Foundations)」を創り「善人」をアピールした。だが、その目的は大衆操作で、各種の左翼団体に資金を流し、国家乗っ取りを謀っている。ソロスが首都ブタペストに「セントラル・ヨーロッパ大学(Central Europe University)」を創設したのは、純粋に若者を育成するためではなく、自分の言いなりになる手下を養成するためだった。ユダヤ人は学校教育を牛耳って異教徒を「乾分(こぶん)」にしようとする。

George Soros 33George Soros billboards








(左: ジョージ・ソロス  /  右: ジョージ・ソロスを批判するビルボード)

  オルバン首相がソロスに牙を剝いたのは、このユダヤ人が持つドス黒い腹を判っていたからだろう。というのも、オルバン氏は1980年代、つまり共産主義に反対する青年運動「フィデス(Fidesz)」を創った学生時代に、ソロスから援助を受けていたからだ。(後に、この「フィデス」は大政党となる。) 彼はソロスと親密に付き合っていたからこそ、ソロスの手口を分かっていたのだろう。オルバン氏は「ストップ・ソロス」というスローガンを掲げ、不法移民を促進する団体を規制すべく、一連の法案を議会で通したそうだ。そして、ハンガリー議会は不法移民を支援するNGOに対し、25%の懲罰税を課す法律を作った。(Keno Verseck , "Viktor Orban's campaign against George Soros mercenaries", Deutsche Welle, 4 August 2018)
 
  ソロスのような金融資本家は、ターゲットにした国家に研究所とか大学を創ると、有望な若者を洗脳し、やがて彼らが国家の金融政策や財政を担う官僚や議員になるよう、様々な角度から支援する。また、リベラル思想に染まった馬鹿どもが、NGOを創れるよう資金を提供し、異民族が侵入しやすいよう下拵えをするのだ。グローバリストにとって、国家を最優先にする民族主義者は邪魔者で、国境を破壊する世界市民主義者が最大の味方となる。異民族が大量に混在すれば、ハンガリー国民の結束は難しくなるから、グローバリスト勢力はせっせと移民・難民を引き入れるんじゃないか。ハンガリーはソロスに狙われた獲物で、このユダヤ人は多民族・多文化主義を以てナショナリストを引き摺り降ろそうとした。つまり、ソロンは「分断して支配せよ」を目論んだことになる。

大胆な発言をするチェコの元大統領  

  普通の日本人がチェコ共和国と聞いたら、何を思い浮かべるのか? 高齢者だとチェコ製の機関銃とか、「ロボット」を最初に言い出した作家のカレル・チャペック(Karel Capek)、あるいは作曲家のベドルジハ・スメタナ(Bedrch Smetana)くらいだろう。若い女性だとスーパー・モデルのエヴァ・ヘルツィゴヴァ(Eva Herzigová)とかペトラ・ネムコヴァ(Petra Nemcova)、「ヴィクトリア・シークレット」専属モデルのハナ・ソークポヴァ(Hana Soukupova)なんかじゃないか。一般の大学生だと小説家のフランツ・カフカ(Franz Kafka)とか作曲家のグスタフ・マーラー(Gustav Mahler)を挙げてしまうけど、彼らはユダヤ人だから西スラブ系のチェコ人とは言いづらい。ついでに言うと、トランプ大統領の元第一夫人イヴァナ・トランプはチェコ系アメリカ人。(ただし、彼女の父親はオーストリア系だったという。)

Karel Capek 1Eva Herzigova 3Petra Nemcova 1Ivana Trump 1








(左: カレル・チャペク   / エヴァ・ヘルツィゴヴァ  / ペトラ・ネムコヴァ  /  右: イヴァナ・トランプ )

  歴史を振り返れば、チェコは大モラビア王国があった場所であるが、日本人にとったらボヘミア王国の方に馴染みがある。基本的にチェコ人はスラブ系民族とされているが、ルクセンブルク家やハプスブルクの支配を受けたせいか、肉体的・文化的にもゲルマン的色彩が強い。ヒトラーがズテーテン地方を併合しようとしたのも、そこにドイツ系住民が多く住んでいたからだ。1930年代だと、チェコスロバキアの全人口の内、約50%をチェコ人が占めていたが、25%くらいはドイツ人が占めており、スロヴァキア人はそれより少なく16%くらいだった。だから、ウィルソン大統領が述べたように「民族自決」を肯定すると、多数派住民の意向でドイツ帝国入りが賛成されてしまうのだ。(当時、ドイツを熱狂的に支持するドイツ系住民が沢山いたんだから。) しかし、大半の歴史家はミュンヘン協定を断罪し、ブリテンのチェンバレン首相とフランスのダラディエ首相を咎めている。これは戦後、ドイツを絶対悪にする風潮が蔓延したので致し方ないが、ドイツのと軍事対決を避けたかったブリテン国民も大勢いたので、一方的に両首脳を責めるわけには行くまい。

  脱線したので話を戻す。チェコは東歐圏にあるようでも、地理的にいえばドイツとオーストリアに挟まれ、ある意味、西歐圏に属しているとも考えられる。ただし、チェコには西歐的「リベラリズム」を拒否する率直な政治指導者がいた。第二代のチェコ大統領(2003~2013)を務めたヴァスラフ・クラウス(Václav Klaus)は、元々経済学者で、冷戦後に誕生したチェコ共和国で首相(1993~1998)を務めたこともある。彼はEU中心主義に懐疑的で、国家破壊となる移民の流入に反対していた。最近、この元大統領に、フランスのジャーナリストで「国民自由党(Parti National -Libéral)」の副党首を務めるグレゴワール・カンローブ(Grégoire Canlorbe)がインタビューを行った。彼はフランスの知識人としては珍しく、ケルト系白人が主体のフランスを真の祖国と考え、キリスト教の文化と遺産を重視する保守派である。もちろん、イスラム教徒の移民に対しても批判的で、人種議論でさえも避けることなく口にしているから、政治活動家としても立派だ。

Vaclav Klaus 22Václav Klaus Grégoire Canlorbe








(左: ヴァスラフ・クラウス  /  右: クラウスとグレゴワール・カンローブ)

  クラウス氏はインタビューを受けて、次の様に答えていた。

  私にとって、国民国家こそが民衆政治への唯一無二の道である。・・・・私の立ち位置は国民国家とその防衛、ヨーロッパ大陸との統合を阻止する闘いにある。(Grégoire Canlorbe, "Supply and Demand in Mass Migration : A Conversation with former Czech President Václav Klaus", Gatestone Institute, March 26, 2018)

  クラウス氏が言うように、デモクラシーは民族的同質性の高い国家でないと成り立たない。歴史を振り返ってみれば分かる通り、有名なアテナイは小さな都市国家で、市民権は男子の自由人が所有し、世襲によって継承される地位であった。古代ギリシアの市民権は出生地主義ではなく、血統主義で決定され、両親ともにアテナイ市民の生まれであることを条件としていたのである。哲学者のアリストテレスでも市民権を持たず、アテナイに居住するだけの在留外人だった。現在の日本人とは違って、古代ギリシア人は外人に対して厳しい制限を課し、参政権の付与など論外で、外人による土地所有も認められず、それどころか人頭税の支払いまで義務づけられていたという。(ポール・カートリッジ 『古代ギリシア人』 橋場弦訳、白水社、2001年 p. 189) 日本人がデモクラシーのお手本にするポリス市民は、見ず知らずの異民族と混在する生活ではなく、自分にとって最も近くて愛すべき人間、すなわち、自分と似た者(家族 / oikeioi)や友人(philoi)と一緒に満足の行く生活を送りたいと望んでいたのだ。

  クラウス氏は全面的な外人嫌いではなく、大量の異邦人が祖国に流入することに反対していたのである。彼はこう述べていた。個々人の移民に対する慈悲が湧き起こるのは、ある移民が個人的に苦しむ時であって、群れを成す移民に対してではない。つまり、仏心には限度があるということだ。例えば、一匹狼のシリア難民が近所で倒れていれば、その飢えと渇きを癒やしてやろうという気にもなるが、雲霞の如き大群で流れ込んでくれば嫌悪感しか生じず、いくら困っていても助ける気にはならない。クラウス氏もソマリアやシリアからやって来る貧民を「敵」とは見ないしてないという。ただ、そうした難民を計画的に引きずり込もうとするEU委員会のエリートに怒っているのだ。EUのエリートたちはイスラム教徒のテロリストを歓迎している訳じゃないが、異邦人を呼び込んで「新たなヨーロッパ人」を創ろうと目論んでいる。

Immigrant Muslims 1Immigrants to EU 1







(写真  /  ヨーロッパにやって来る移民や難民)

  日本の庶民ならクラウス氏に賛成するはずだ。だいたい、安全な高級住宅街に住むエリート達は、下界での人種混交や治安の悪化には無関心で、高給を食みながら綺麗事を楽しんでいる。彼らは自分の子供を荒れ果てた公立学校に通わせず、高額な授業料と寄付金を払って寄宿舎学校に送るし、結婚相手も上流階級から選んでいる。高級官僚の奥方になる御令嬢は、裸踊りを得意とするフィリピン人やタイ人の女じゃないぞ。彼らは生ゴミと小便の異臭が漂う地下鉄などとは無縁で、運転手附きのリムジンでオフィスに向かい、ディナーは黒人やアラブ人で溢れる大衆食堂を素通りして、ソムリエが待機する高級レストランに赴く。ヴァカンスを過ごす保養地だって、クルド人やアフガン人がうろつく地方都市じゃなく、透き通った湖が見えるスイスの片田舎とか、眩しい陽射しが降り注ぐエーゲ海なんだから。

  ハンガリーとかチェコの国民が移民に対して露骨な拒絶反応を示すのは、西歐人のような人権教育とか多文化教育を受けていないからだろう。西歐人は偽善を装うことが教養人の証しと思っているが、東歐人は「下らない見栄」と吐き捨てる。確かに、チェコやスロヴァキア、ハンガリーの近くにはクロアチアやユーゴスラビア、ボスニア・ヘルツェゴビア、ブルガリア、マケドニアといった民族の火薬庫があるから、「みんなで仲良く」という建前だけでは暮らせないのだ。これらの国々では民族対立が激しく、気取った啓蒙思想など愚の骨頂で、血みどろの民族闘争が「現実」である。日本人が移民や難民の流入に鈍感なのは、日々の生活で流血の民族摩擦が無いからだろう。もし、学校や職場で種族ごとのグループ対立が頻発し、殴り合いの憎悪が巻き起これば、多民族共存を訴える政治家は落選しかない。そもそも、日本人が外国からの留学生や旅行者に親切なのは、歴史的に異邦人の存在が稀有であったからだ。しかし、これからは違ってくる。大量のアジア人が近所に流入すれば、心遣いよりも憎しみの方が増えてくる。移民や難民に反対する議員が現れてくることは結構なことだが、それは取り返しの付かない状況になったことの証しでもある。これは死に至る病に冒されてから名医が現れても嬉しくないのと同じ事だ。医学では「予防」が重視されているのに、政治では「手遅れ」が普通なんだから頭が痛くなる。



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ペンタゴンが発注したプロパガンダPR / ヤラセが氾濫するマスメディア(後編)

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ニュース報道の製造?

  戦争ニュースには報道規制と世論操作が付き物だ。アメリカ軍にはかつて苦い経験があった。ベトナム戦争の時、米軍が報道規制を敷かなかったので、敵軍の銃弾に斃れる兵隊や大怪我を負って担架に載せられる兵卒の映像が、連日のように流され、アメリカの輿論は一気に反戦ムードに包まれてしまったのだ。なにしろ、自分の大切な息子や夫、恋人が片腕をなくしたり、失明や火傷、半身不随の姿で帰国すれば、帰還兵を迎える家族は心臓が潰れる思いだろう。民衆政国家は、怒りで開戦に踏み切るが、泥沼の消耗戦には堪えられない。アメリカの国防総省が検閲をしなかったばかりに、民間のジャーナリストが勝手に彼方此方で取材を行い、どんどん悲惨な映像を本国に送ってしまった。彼らは国益よりも視聴率を優先し、銃後の国民に与える影響なんかお構いなし。だから、ペンタゴンはやりたい放題の報道を許してしまったベトナム戦争を反省し、ペルシア湾岸戦争の時には、徹底した報道規制を加えたのである。

  世論操作のための政治プロパガンダと言えば、1991年の湾岸戦争が直ぐに思い出される。歴史に名を残したいジョージ・H・W・ブッシュ大統領が、石油メジャーとイスラエルの国益を忖度し、国内で心理戦を仕掛けた可能性は高い。(開発を続ける独裁者が君臨し、統一されたイラクは、「大イスラエル構想」にとって邪魔な存在だった。) 1990年10月、ナイラ・アッ=サバーハ(Nayirah Al-Sabah)というクウェート人少女が、合衆国議会の公聴会で衝撃的な事件を述べた。彼女の証言によれば、クウェートの病院に銃を持ったイラク兵が雪崩れ込み、保育器の中にいた赤ん坊を取り出し、冷たい床に放置して死に至らしめた、というのだ。この証言を千載一遇のチャンスと捕らえたPR会社の「ヒル&ノールトン(Hill & Knowlton)」は、彼女の話を各メディアに流し、これを受け取ったテレビ局はこぞって少女の話を放送していた。

Nayirah 1George Bush 2








(左: ナイラ・アッ=サハーバ  / 右: ジョージ・H・W・ブッシュ )

  しかし、ナイラの話は著しく事実を歪めた偽証だった。彼女は実際にイラク兵の横暴を目撃したのではなく、単なる噂話を述べただけで、真実ではなかった。クウェートが解放された後、ニューヨーク・タイムズ紙のジョン・マッカーサー記者がこのヨタ話を嗅ぎつけ、ナイラがクウェート大使サウド・アッ=サバーハの娘であると暴露したから、アメリカの輿論はホワイトハウスの戦争目的に疑念を抱き始めたのである。また、「ヒル&ノールトン」はクウェート大使館が大金を使って雇った宣伝広告会社であることも判明し、ナイラ証言の流布が戦時プロパガンダであったこともバレてしまったのだ。ただし、湾岸政争の時、イラク兵が病院の医療器具を強奪したことは確かなようで、その時保育器も一緒に盗んだから、新生児を入れる保育器が無くなって困ったというのが、どうも事の真相らしい。ナイラはその話に尾鰭をつけて証言したというのが本当のところだろう。ここで注目すべきは、彼女は「宣誓」の下で証言したのではない、という点だ。宣誓証言でなければ偽証罪に問われる危険性が無いので、“いいかげん”な噂話でも気楽に陳述できる。彼女は「何人の赤ん坊」が死んだのかは述べなかったが、渡された台本には「15名の新生児が亡くなった」と書かれていたそうだ。

  ジョージ・ハーバート・ブッシュの嫡男ジョージ・Wは、9/11テロを口実にイラク戦争を起こしたが、このドラ息子も政治プロパガンダを用いていた。ペンタゴンはPR会社の「ベル・ポティンガー(Bell Pottinger)」を5億4千万ドルで雇い、偽のテロリスト・ビデオを作るよう依頼したそうだ。(Crofton Black, Abigail Fielding-Smith and Jon Ungoed-Thomas, "Lord Bell ran $540m covert PR ops in Iraq for Pentagon News", The Sunday Times, 2 October 2016) 「ベル・ポティンガー」社はアルカイーダに関するビデオ映像を制作し、それがあたかもアラブ系のテレビ局から流れてきた映像のように見せかけていた。また、制作スタッフは低品質の爆撃映像を収録し、ニュース映像のように偽装したし、軍が襲撃した建物の中で「演劇」を撮影し、それをアルカイダが作った「宣伝ビデオ」と称して放映したそうだ。「ベル・ポティンガー」の元社員であったマーティン・ウェルズ(Martin Welles)氏によると、社員は特別な指示を受けて映像を作成し、だいたい10分くらいの「作品」に仕上げたらしい。

Martin Wells 1(左  / マーティン・ウェルズ )
  英国の「ベル・ポティンガー」社は合同心理戦部隊(Joint Psychological Operation Task Force / JPOTF)の下で動いていたという。米国の法律は、政府が自国民に対してプロパガンダを仕掛けぬよう禁止しているので、ペンタゴンはそれを回避すべく、外国の会社を利用したのである。つまり、英国のPR会社が“勝手”に作った映像を流すぶんには構わない、ということだ。契約期間は2007年から2011年までで、この宣伝活動はホワイトハウスとデイヴィッド・ペトレイアス将軍(Gen. David Petraeus)が非公式に承認した作戦であったらしい。また、ペンタゴンは2009年、PR会社の「レンドン・グループ(The Rendon Group)」を雇い、従軍するジャーナリストを監視させ、軍隊にとってポジティヴな報道かどうかを査定させていたそうだ。さらに驚くべきことだが、2005年には、ワシントンに本部を置くPR会社の「リンカン・グループ(The Lincoln Group)」を雇って、イラクに関する新聞記事を流通させたという。しかも、その記事は米軍が書いたものであった、というから唖然とする。("Pentagon paid PR firm $ 540m to make fake terrorist videos", Middle East Monitor, October 2, 2016) もう八百長というか、捏造のオンパレードだ。一般のアメリカ人がどう考えるか分からないが、日本人はこれを「ヤラセ記事」と呼ぶ。

白人を「黒人」にする広告

a-112(左  / 赤い丸で囲まれた人物が被害者の生徒 )
  アメリカの偽造・捏造は民間にも蔓延(はびこ)っており、そこに人種が絡んでいるからタチが悪い。フランスのリヨンに「エミール・コール」という私立学校があって、最近、米国のロサンジェルスに分校を建設することになったという。そこで、生徒募集の広告を作ったのだが、そこに掲載した写真に問題があった。フランス人生徒の集合写真に黒い“修正”が加えられており、数名の白人生徒が「黒人」にされていたのだ。(Adrien Giraud, "Accusée de < blackwashing>, l'école Émile Cohl supprime la publication d'une photo promotionnelle ratée", Rue89Lyon, 10 septembre 2018) アントワン・リヴィエール(Antoine Riviére)教頭は、意図的な操作を否定し、被害を受けた生徒に謝罪した。これはカルフォルニアのコミュニケーション部門が勝手にしでかした事で、フランスの本校は知らされていなかったようだ。アメリカ支部のスタッフは、デジタル加工で白人生徒の顔を黒くし、「人種的多様化」を演出することで、アメリカ人生徒にアピールしたかったのだろう。つまり、白人ばかりの写真だとアメリカの有色人生徒が集まらないから、「多民族のクラス」を捏造して、好感を持たれるよう画策したのだ。

a-113










(写真  / 「黒人」にされた白人生徒たち )

  さぁ~すが、アメリカのリベラル派は人種主義を解っている。黒人は黒人に対して共感し、黒人がいる学校に興味を持つという訳だ。ということは、白人生徒は白人生徒のクラスを好み、白人の学校を選んでもいいとなる。もし、黒人生徒が人種偏見を持っていないのであれば、フランス白人ばかりのクラスでも気にしないはずだが、左翼的アメリカ人は「黒人は黒人に惹かれる」と解っていたので、あえて危険を犯し、写真に修正を加えていたのだろう。結局、リベラル派は心の底で人種主義を信じていたのだ。それにしても、「黒い顔」にされたフランス人生徒は気の毒だ。まさか、宣伝用に撮った写真に「修正」が加えられていたなんて、想像していなかったのである。

  我々の身の回りにはフェイク・ニュースや詐欺的宣伝が本当に多い。偏向報道や捏造映像は問題だが、省略報道も赦せない。CNNは「報道しない自由」を行使して、事件のキー・ポイントを伝えなかったことがある。少し前に、米国のニューメキシコ州で子供を虐待する親が逮捕されるという事件があった。主犯格のルーカス・モーテン(Lucas Morten)とシラジ・イブン・ワハジ(Siraj Ibn Wahhaj)は、タオス郡にある建物の中に、1歳から15歳までの子供11名を監禁し、水や食事を与えず衰弱させたという。ワハジはまた、ジョージア州に住む3歳の息子アブドゥル(Abdul Ghani Wahhaj)を拉致したことで指名手配されていたそうだ。建物の中には子供達の他に、三名の女性がいて、監禁された子供達の母親であった。タオス郡の警察が建物の中に突入したとき、ワハジはAR15ライフルと弾倉5個、拳銃4丁で武装していたそうである。子供達が閉じ込められていた部屋の中はとても不潔で、幼い被害者らは、かなり衰弱していたようだ。(Ann Claire Stapleto, Susannah Cullinane and Holly Yan, "Five charged with child abuse after 11emaciated children found in trailer", CNN, August 6, 2018)

Lucas Morten & Siraj WahhajSiraj Wahhaji arrested women








(左: ルーカス・モーテン  / シラジ・イブン・ハラジ  / 右 3名: 捕まった容疑者の女性たち  )

  CNNの報道だけを聴いたアメリカ人は、異常な精神を持った大人による拉致監禁事件とだけ考えるだろう。しかし、この報道には肝心な点が抜け落ちていたのである。警察に保護された13歳の少年は、ブルックリン在住のイマム(イスラム教の指導者)であるワハジの息子で、父親から武器の扱い方や戦闘用格闘技を習っていたのだ。つまり、「ジハード(聖戦)」の訓練を受けていたという訳。というのも、ワハジは危険思想の持ち主で、彼の父親は1993年に起きたWTCビルの爆破に何らかの関係を持っていたのだ。そして、彼は別の息子にも「非イスラム信徒」への戦い方を教えていたそうだ。CNNの記者は地元警察の保安官ジェリー・ホグリーフ(Jerry Hogrefe)から事情を聴いていたのに、記事にはこの事実を載せなかった。たぶん、イスラム教徒への偏見に繋がると判断したのだろう。だが、事件をどう判断し、どんな解釈をするのかは一般国民の自由である。報道機関が予めニュースを検閲し、“調理”された事件内容を流すのは情報操作に他ならない。小規模な保守系メディアがバラしたから、一般のアメリカ人は事件の真相を知り得たのだが、もしインターネットが普及していなければ、事件は闇に葬られたはずだ。リベラル・メディアというのは番組内で綺麗事を口にするが、舞台裏では汚いことを平気で行う情報統制機関である。

Siraj Wahhaj & son Abudul.2Siraj Wahhaj compound 3








(左: 救出されたアブドゥル・ワハジ  /  右: 子供達が監禁されていた建物)

  大手メディアというのは膨大な取材費を有し、世界各国に特派員を派遣できるから、様々な特集で視聴者を魅了できるが、その本質は世論操作にある。有名テレビ局だからといって、信用度が高いとは限らない。むしろ、世論操作が巧みで、狡猾な仕掛けで視聴者を騙す巨大組織と思った方が無難だ。脳天気な一般人は、どのように操られたのかが分からないから自覚が無い。日本の学校でマスコミの「闇」を教えないのは、案外、教育界とマスコミが共犯関係にあるのかも知れないぞ。両者を繋ぐ「赤い絆」といっても、山口百恵のドラマとは違うからね。(分からない人はインターネットで調べてください。)




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