無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2018年10月

靖國神社を潰そうとする天皇陛下 ? / 国民の不満と戦後の日本

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房


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靖國を去った宮司

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(左: 天皇陛下  /  右: 「脱宗教化」を描いた風刺画)

  今月発売された「週刊ポスト」誌で、靖國神社の小堀邦夫宮司による発言もが大都なり、それが世間で話題となった。記事によると、6月に靖国神社で私的な会議が開かれたそうで、小堀氏はその席で「(天皇)陛下は靖国神社を潰そうとしている」と述べたらしい。(「靖国神社宮司の小堀邦夫氏が退任の意向 会議で『不穏当』発言」 、2018 年10月10日附産経新聞) 天皇陛下は国内外で慰霊活動を行ってきたのに、何故か靖國への御親拝がなかった。それで、小堀宮司は痺れを切らしたのであろう。確かに、天皇陛下による靖國参拝がずっと無い状態はおかしい。一般国民の素朴な感情として、「一度くらいは参拝なされてもよさそうなのに・・・」とつい思ってしまう。そして、英霊の遺族も陛下の御親拝を望まれているはずだ。

  何者かによって意図的に漏洩された会話だが、小堀宮司の「失言」を聞いた日本人の心境は複雑である。最高司祭とも言える今上陛下が在任中、一度も靖國神社に参拝せず、マスコミに遠慮しながら英霊と向き合わないのは異常で、戦歿者の遺族なら納得できない。だが、その一方で陛下が政治に巻き込まれ、支那人や朝鮮人の侮蔑に晒されるというのも嫌なものだ。国民から選ばれた総理大臣でさえ参拝できず、マスコミの非難を恐れているんだから、陛下が御親拝となればトップ記事になってしまうだろう。そして、支那人や朝鮮人は「待ってました」とばかりに、陛下を格好の餌食とし、国内の左翼勢力に援護射撃を要請するはずだ。天皇陛下の側近が恐れているのは、皇室の宗教的行動が世俗の権力闘争に使われてしまうことだろう。

  保守的国民の一部には、「なぜ陛下は散華した将兵の霊を無視するのか?」と不満を述べる者もいるけど、国民の大半が左翼思想に染まり、神道を狂信的宗教あるいは「軍国主義」の道具と見なしているんだから、陛下が問題なく毎年参拝できる訳がない。国民の90%くらいが御親拝支持を表明しているんなら別だけど、「靖國参拝って、右翼的よねぇ~」と考える国民が結構な割合で存在するから、問題はむしろ国民の方にあるんじゃないか。特に、大学教育を受けた国民には神道に対して否定的なイメージを持つ者が多い。医学部とか理工学部の学生で神道やキリスト教史を学ぶ者は少ないし、法学部や社会学部、教育学部といった文系学生になると、神道に対する敵意と言えるほどの憎しみを持っている。

  共産・社会党系の教授から洗脳された青年は、宗教を無知な大衆の「慰め」としか考えず、教養人の信仰とは思わない。真っ赤に染まったインテリにとったら、“高級”な人間とは空想に惑わされない合理主義者で、迷信に囚われる庶民は“低俗”な土人である。田原総一朗や青木理、大谷昭宏といった左翼ジャーナリストが、「天皇!」と吐き捨てる時の表情には、神道への侮蔑も含まれているのだ。彼らは日本について語る時、「我が国」とは言わず、突き放したような態度で「この国」と呼ぶ。帝国陸海軍の場合でも「旧日本軍」と呼んで「我が軍」とは言わない。彼らにとったら、敗戦前の日本は唾棄すべき侵略国で、愚かな因襲と忌々しい制度に満ちているのだ。

  とにかく、左翼は伝統的な日本が大嫌いで、我が国の歴史を撲滅したいと思っている。だから、日本社会の中核である皇室は諸悪の根源と思っているのだろう。共産主義とは人間改造を目標としているから、伝統的社会は素晴らしい革命を邪魔する障碍物に他ならない。ただし、現在の左翼には共産主義国家への憧れはないが、伝統に根づく日本への憎しみだけは、相変わらず「惰性」として生き延びている。彼らには、皇室を廃止した後どうするのか、これといった具体的なプランは無いけど、「差別の源泉となる皇室を潰せ!」という情念だけは残っている。つまり、「君主政を撲滅せよ」という悪名高き「32年テーゼ」が死んでいないのだ。信じられないけど、ソ連のモスクワ本店が倒産したのに、日本のコミンテルン支店は未だに健在だ。上司からの指令が撤回されず、「皇室憎悪」という怨念だけが未だに幽霊の如く漂っている。

  考えてみれば日本の学校教育は幾つかの点でアホらしく、重要な事柄がカリキュラムから抜け落ちている。例えば、人生で大切な「恋愛」と「金儲け」が教えられていないのは周知の事実だが、国防の重要性はもちろんのこと、税金の払い方も素通りで、司法についてもほぼスキップ状態。ほとんどの日本人は軍事を勉強しないことが世界平和に繋がると思っているし、最高裁判事にどんな人物が指名されているのか分からない。国民審査といっても一般人にとったらチンプンカンプンで、聞いたこともない裁判官に〇☓を附けて終わりだ。これで三権分立がある、と満足する国民が一体何人いるのか? 働くようになった国民は納税の義務を有するが、節税しようとしても複雑な税制に辟易するだけで、訳も解らず「お上」に搾り取られる。ビールだって一番搾りくらいなのに、日本人は二番、三番、四番の搾取に耐えている。タックスヘブンを使って脱税できるのは大金持ちだけ。会社員は所得税や市民税、社会福祉税、固定資産税、車検、酒税、燃料費の二重課税で所得の半分くらいを取られているのだ。

  ところが、下らない性教育や人権教育、反日運動、反戦思想、支那人や朝鮮人への特別配慮となれば話が違ってくる。左翼系の歴史教科書には、悲惨な百姓一揆とか、どうでもいい五日市憲法、土地を奪われた可哀想な朝鮮人など、反日思想がてんこ盛りである。(「学び舎」の社会科教科書「ともに学ぶ人間の歴史」は超弩弓の極左本で、嫌だけどいずれブログ記事で紹介したい。ホント、日本の教科書とは思えない凄い内容なんだから。) 日本の学校は反日細胞を養成する洗脳機関か、と思えるくらいだ。我が国の伝統的な信仰を斬り捨てる公教育なんて義務教育じゃない。もし、ギリシアや西歐諸国で子供達にギリシア神話を教えなかったら、古典文学は暗号の塊である。日本各地には昔から神社があって、地方の人々は様々な祭りを楽しんでいるが、学校に通う子供達は神道が何であるのか解らない。悠久の歴史を誇る皇室だって外国の制度みたいだし、なぜ大人が天皇陛下を敬っているのか理解できないはずだ。ちょっとひねくれた中学生だと、皇族のニュース報道を耳にすれば、「なんであの人達は偉そうにしているの?」と尋ねてくる。しかし、親も日教組教育を受けた世代なので、子供の質問に答えることができない。たとえ叱ろうとしても、知識が無いから諦める。一方、左翼がかった親だと、インテリを気取って皇室を馬鹿にするから、子供がその侮蔑的態度が伝播するのは当然だ。

「脱宗教化」に賛成したフランス人

  日本の学校教育が宗教を拒んでいるのは、大革命をしでかしたフランスやマルキスト学者の影響を深く受けているからだろう。左翼教員は歐米諸国の「政教分離」を金科玉条にしているが、これは国教会を設立しないとしたアメリカの国情とか、三十年戦争で宗派闘争に疲れたドイツをよく調べないからだ。英国から独立した米国は、アングリカン教会のような支配的教会を否定しただけで、キリスト教を公共の場所から排除した訳じゃない。建国の父祖はキリスト教倫理の重要性を充分に解っていた。もし、彼らが現在のようなキリスト教排斥の風潮を見たら腰を抜かして驚くだろう。ドイツだって未だにキリスト教国家で、聖書を取り除いたドイツ文化なんて想像できない。ユダヤ人やトルコ人などを「ドイツ国民」と認めるから、ややこしい問題が生じるのであって、国民の大部分がプロテスタントやカトリックならキリスト教的伝統に文句は無いはずだ。

  日本の知識人は赤い狂人が君臨するフランスを理想としている。ところが、この共和国は廃墟の上に建てられた雑居ビルのような国家で、東歐人やアフリカ人、アラブ人、ベトナム人などが流入し、ケルト人と混血して別の社会になっていた。かつて高度な文明を築いたガリア人の子孫は何処かに消え去り、新たな種族が残された文化遺産を自分のものと詐称しているだけ。謂わば、「居候」がいつの間にか「世帯主」になっているようなものだ。例えば、ギニアからの黒人がフランス語を流暢に話し、自信満々に「私はフランス人」と称しても、「確かにフランス人だよなぁ~」と納得する日本人は居ないだろう。もし居たら精神的に相当な重症患者である。流血の革命で国家的自殺を完成させたフランス人に健全な精神を求めても無駄である。公共の場所からキリスト教を一掃した人民に、民族的復活の兆しは無い。

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(左: フランス革命を描いた油絵  / 右: 「ライシテ」を示す挿絵 )

  フランスの政治を勉強すると、必ず「ライシテ(laïcité)」という言葉にぶち当たる。この用語は脱宗教化、すなわち一切の教会から国家を独立させ、宗教的要素を取り除いた世俗国家を正当化する「呪文」である。「ライシテ」という旗を立てた国家では、日常生活に染み込んだ伝統的制度が根こそぎにされてしまうのだ。例えば、教区司教が管理していた信徒の戸籍は役所に移され、未来の国民を育てる学校も神父の手から役人へ、と左翼の管轄となる。結婚するときも、教会の承認なんか無くてもOKだ。神様への誓いなんかどうでもよく、役所の書類にサインすれば即夫婦となれるし、永遠を誓った愛でも紙切れ一枚で無効にできる。民事婚(mariage civil)なら藝人やゲイでも立会人となれるし、離婚調停では弁護士という吸血鬼が仲介人となるので、「父と子と聖霊」を口にする神父はお払い箱。告解を聴いてくれる司祭の出番も無い。それどころか、フランスのキリスト教は空洞化に歯止めが掛からない。日曜日でも教会はガラガラで信徒は老人ばかり。古くからある教会だって神父と信者不足で閉鎖となり、建物までもが解体される有様。その一方で、移民が建築するモスクは激増し、イスラム教徒が大勢訪れて大繁盛。これじゃあ、パリがイスタンブールに見えてくる。

  日本では神道大学は珍しいけど、フランスではカトリック教会の学校なんて珍しくない。しかし、こうしたクリスチャン・スクールも革命の余波を蒙って青色吐息。チョーク・スリーパーを喰らったコナー・マクレガー(Conor McGregor)みたい。左翼分子が社会の隅々にまで浸透し、命令を下す地位(コマンド・ポスト)に就くフランスでは、赤い権力者が教会から学校を取り上げ、抵抗する司祭がいれば学校そのものを潰そうとする。例えば、ナントの市長やフランスの首相を務めたルネ・ワルデック=ルソー(Pierre Marie René Waldeck-Rousseau)は、修道会に対する敵意を剝き出しにしていた。彼は教会の永代財産が増加するのは危険だと言い放ち、共和国が収奪すべし、という主張を広めていたのだ。(ジャン・ボベロ 『フランスにおける脱宗教性の歴史』 三浦信孝 / 伊達聖伸 訳、白水社、2009年, p.104.)

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(左: 聖堂に参列するカトリックの聖職者  / 右: ヨーロッパの修道女 )

  修道院はヨーロッパの文化を豊饒にし、王国の骨格を創った「母」というべき存在なのに、左翼的フランス人はそれを廃絶しようと欲しているのだ。第19世紀末のフランスでは、中等教育を受ける男子の43%が教会運営の学校に通っていたらしい。今でも、名門校とされる寄宿制私立高校や大学には、プロテンタントやカトリックの違いはあるものの、キリスト教系の学校が多い。「リベラル派」を気取る政治家や高級官僚、大富豪でも、子弟の教育となれば真剣で、「聖パウロ」とか「聖アンドリュー」といった名前を冠したミッション系スクールに通わせている。また、宗教を馬鹿にするリベラル派でも、末期的な病気になれば、修道女が献身的に尽くしてくれる「ホスピス」に入ろうとするんだから、本当に図々しい連中だ。共産党が経営する病院にても入ればいいのに。(でも、共産党員ほど敬遠したりして。隠居のコミュニストになると、「あいつらは庶民に対して冷酷だから」と呟いたりするので面白い。)

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(左: ルネ・ワルデック・ルソー  / 中央: エミール・コンブ   /  右: ジョルジュ・クレマンソー)

  内大臣を務めたエミール・コンブ(Justin Louis Émile Combes)もキリスト教系の学校を憎んでおり、宗教的教育施設を潰そうと躍起になっていた。この急進派議員は神学校を出ていたのに、修道院が経営する学校では子供たちの自由が損なわれると思っていたのだ。ところが、アルジェリアの教育を調べたコンブは、イスラム教やコーランに関しては融和的となり、協調的な態度を見せていた。おそらく、コンブにはキリスト教に対する個人的怨みでもあったのだろう。それはともかく、第19世紀のフランスでは、学校の設立を許認可制とする法律があったらしい。しかし、コンブはそれ以前に創設された宗教学校をも潰したかったので、法を遡及させることにしたという。当時、約125万人の子供たちが修道会系の学校に通っていたのだが、コンブは2500もの学校を閉鎖に追い込んだそうである。(上掲書 p.106.) そして、修道士や修道女を解散させるために軍隊まで動員されたというから念が入っている。

  1904年7月に採択された法律では、修道会による教育が全面的に禁止された。これにより、三万人もの修道士や修道女が亡命を余儀なくされ、イングランド、カナダ、ベルギー、イタリア、スペインに新天地を求めたそうだ。そこで、カトリック教会は一計を考えた。1903年に閉鎖された1万校のうち、5万8千校を俗徒責任者による運営形態にし、再開を試みたのである。この学校で採用される教師は「還族教師」、すなわち司教の許可を得て法衣を脱いだ聖職者、つまり共同生活を離れただけの修道士・修道女であったのだ。すると、これに気付いた左翼議員は、その抜け穴を塞ぐために「還俗教師」を禁止する法案を提出したという。しかし、ジョルジュ・クレマンソー(Georges B. Clemenceau)たちが、この法案は個人の自由に対する侵害であると見なし、上院で否決したそうだ。国王殺しの思想を引き継ぐ連中は、本当に執念深く、骨の髄まで真っ赤である。

  日本人は宗教に無関心なようで神道を未だに守っているから、敬虔な西歐人には奇妙に見える。(神道は「宗教」というより、「神様や自然にふれる心」とか「神聖なものを敬う気持ち」と考えた方がいいのかも知れない。) 確かに、キリスト教とは異なり、神道には平民が気楽に読める聖典とか教義が無いし、いつ神社に赴き、どんな礼拝形式を取ったらいいのか、という典礼も無い。第一、どうやったら神道の信者になれるのか、という条件が曖昧なのだ。神社の宮司が「洗礼」を授ける訳でもないし、「七五三」は入信式でもないから、一般人は神社の氏子にでもならぬ限り、自分の信仰を自覚しないものである。その割には、元旦になると大勢の日本人が初詣に出掛けて、お賽銭を投げたり家内安全を祈願するんだから、神道はかなり寛容だ。ただ、信仰心が薄い日本人でも、100円くらいで「家内安全商売繁盛」を祈るのは図々しいと思うから、千円札や一万円札を入れて、「神様、これで何とかして下さい」と頼み込む。(年頃の女子高生だと無謀にも、「山Pみたいなボーイフレンドが出来ますように !」と祈ったりするが、日本の神様は全宇宙の支配者じゃないから、その力には自ずと限界がある。それに、現実はそんなに甘くはないぞ。) 神様の方も庶民の懐具合を解っているので、無闇に臍(へそ)を曲げないから偉いもんだ。まぁ、足りない分は天皇陛下が熱心に祈ってくださるので、一般国民は時たまの参拝だけで済む。皇室の存在は本当に有り難い。

  週刊誌や保守派は今上陛下のお考えをあれこれ推測するが、陛下が靖國へお出ましにならない本当の理由は誰にも判らない。もしかしたら、側近や国民にも言えない理由があるのかも知れないし、宮内庁の誰かが引き留めている場合だって考えられるのだ。確かに、保守的な国民が苛立つのは解るけど、閣僚の参拝くらいで騒動が起きるんだから、そんな状況では陛下の御親拝なんて無理だろう。まず、朝日や東京、毎日といった新聞を惰性で取ってる国民が購読を止めて、左翼メディアを倒産にまで追い込み、反日報道はマイナスと自覚させることだ。ついでに、NHKに対する支払いも止めて、金満体質のNHK幹部にお灸を据えればもっといい。NHKは国民を強請(ゆす)ったことで受信料が増え、満面の笑みを浮かべているじゃないか。

  結局のところ、国民の意識が変わらないと政治家の行動は変わらないし、大手マスコミが凋落しないと反日報道が減ることはない。だいたい、日本国民が左翼メディアに代金を払い、その資金が靖國攻撃の元手になっているんだから、自業自得の面がある。もし、国民の大多数が靖國神社に賛成で、どのテレビ局も陛下の御親拝を待ち望んでいる、という状況で、陛下が断固として拒絶なさるのであれば、陛下個人の問題となるだろう。しかし、原因は国民の方にある。評論家の一部は「A級戦犯が合祀されているからだ」と言うが、それでは他の将兵はどうなるのか? 生還した軍人はA級戦犯が祀られていようが、亡くなった戦友に再会するため靖國神社に赴く。このことを陛下が知らぬわけがない。政治家の靖國参拝で騒ぐのは、支那人や朝鮮人と日本の左翼勢力だけだ。こんな奴らに気兼ねする日本人は頭がおかしい。小堀元宮司は「洗脳された国民が靖國を潰す」と考えるべきだった。



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「殺しのライセンス」を持っていたMI-5の局員

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違法行為を容認したキャメロン元首相

  英国映画で随一のロング・ヒットを続ける「007」シリーズは誰でも知っている。英国海軍中佐でMI6(対外諜報機関)のジェイムズ・ボンドは架空のスパイだが、防諜機関たるMI5の局員も「殺しのライセンス」を持っていたことが明らかになった。というのも、最近、デイヴッド・キャメロン元首相の署名がある機密文書が暴露されたからだ。一部の人々は、「今更、それがどうした?」という感じもあるだろうが、やはり実物が表に出ると一般人は驚く。

  1989年、パトリック・ファヌーカン(Patrick Finucane)は家族がいる目の前で、連合王国支持派のブライアン・ネルソンという狙撃手によって射殺された。ファーヌカンはベルファストで活動する弁護士であったが、アイルランド独立を目指す共和派の幹部達を代弁していたから、ある意味、危ない橋を渡っていたと言えるのかも知れない。英国陸軍は彼の存在を疎ましく思っていたのか、準軍人的諜報員を使って“始末”することにした。そこで英国の諜報組織は、事前に首相の「承諾」というか、「許可(authorization)」を求めたのであろう。「要請」を受けたキャメロン首相は筆を執って、「ブリテンの国土に於いて訴追や裁判の恐れ無く、殺人、拷問および性的暴力に関与する許可を与える」と書いた。(Rebecca Camber, "David Cameron gave MI5 agents licence to kill in secret letter", Daily Mail, 4 October 2018)

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(左: デイヴィッド・キャメロン  /  右: TVドラマ「スプークス」の出演者)

  この「お墨付き」に関しては、元判事のマーク・ウォラー卿(Sir Mark Waller)も知っていたそうで、キャメロン氏は2012年に書簡を送り、諜報局のエージェントが法を破るのは長年に亙り行われてきた極秘の方針である、と述べていた。ちなみに、マーク・ウォーラー卿はかつて諜報局の長官を務めており、MI6やMI5、GCQHを監督する立場にあったという。ちなみに、このGCHQ(Government Communications Headquarters)とは、英国の諜報機関で、国内外の様々な情報を集め、通信傍受や監視、盗聴などを行いながら治安維持を図る組織である。一般の日本人には馴染みがないけど、日本でも放送されたBBCのスパイ・ドラマ『スクープス(Spooks)』や、007の映画を観た人なら覚えているかも知れない。米国のNSAと似たようなインテリジェンス機関と考えれば理解できるだろう。

  この極秘文書が暴露されたことで、過去に起こったミステリアスな事件が再検討され、「もしかしたら諜報機関の仕業かも?」という疑念が生まれるようになった。例えば、四半世紀前に話題となったスティーヴン・ミリガン(Stephen Milliagn / 45歳)議員の怪死である。1994年2月7日、ジョン・メイジャー政権の注目株だったミリガン議員は、テムズ川近くにある自宅の台所で死んでいるのを発見された。これは自殺ではなく、不運な事故死と判断されたのだが、その死に様が目を蔽いたくなるほど醜悪なものだったという。発見当時、ミリガン氏は丸裸であったが、女性用のストッキングとサスペンダーを身につけ、頭には黒いポリ袋を被っていたのだ。そして、首には電気コードが巻き付けられ、口の中にはオレンジが一房入っていた。検死の結果、ミリガン氏は首に巻いたコードを絞めた時の圧力で窒息したらしい。遺体を目にした捜査関係者は、この独身議員が自慰行為というか、独りで性的興奮を求めているうちに、偶然、窒息死する破目になったのだろう、と考えた。検死を行ったジョン・バートン医師によれば、自殺や他殺の痕跡は無かったという。考えられる原因は、「無謀な冒険」、あるいは「やり過ぎた遊び」にあったそうである。

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(左: パトリック・ファヌーカン  / 中央: ジョン・メイジャー  /  右: スティーヴン・ミリガン)

  いゃ~、人間、いつ、如何なる場所で、どんな死に方をするのか判らないものである。ミリガン氏も、まさか、こんな運命が待ち受けていたとは思わなかったはずだ。一応、元大英帝国の下院議員なんだから、せめて死ぬ時くらいは、ちゃんと服をまとい、畳の上で「お迎え」を待ちたいものである。(街中のタクシーだって裸の中年男じゃ素通りするぞ。ただし、藝人の「小島よしお」なら別だけど。) 筆者はSMに疎いので、専門家や愛好者に訊くしかないんだけど、性的変態は自分の首を絞めて窒息状態スレスレの恍惚感を楽しむそうだ。しかし、ミリガン議員が本当にSM趣味を持っていたのかどうかは不明である。彼の友人や同僚によると、ジャーナリス上がりのミリガン議員は、よく教会に通っていたキリスト教徒で、鋭い知性を持ち、ユーモアに溢れる人物であったらしい。

事故に見せかけた殺人

  ミリガン議員の死亡は偶然に起きた「悲運」として片付けられたが、武器商人のジェラルド・ジェイムズ(Gerald James)は別の意見を持っていた。彼は兵器会社の「アストラ(Astra)」を経営していたが、サダム・フセイン治下のイラクに武器を流したことで会社を潰してしまったらしい。その後、武器市場の裏を知るジェイムズは、本を書いて世間に警告を発する「事情通」に転身したそうだ。この告発者によると、自ら首を締めて死亡に至る事故は、秘密諜報部員がよく使う手口であるらしい。(Guy Adams, "Did MI5 under orange-in-mouth Tory MP?", Daily Mail, 5 October 2018) というのも、変態行為での事故死だと、愚かしいスキャンダルということもあって、適切な捜査と綿密な検死が行われない場合が多いからだ。通常、亡くなった人物の遺族や友人は、恥ずかしさのあまり、なるべく早く幕引きを行いたいと考え、事を荒立てずにそっとして欲しい、という心理が働く。したがって、故人の名誉を尊重する遺族は、死因を徹底的に突き止めようとは思わない。(確かに、故人の性癖を知れば、遺族はマスコミを避けたがるし、一刻も早く忘れたいと願うはずだ。) 警察も破廉恥な遺体を目にすれば、「こりゃ、自業自得だなぁ~」と思ってしまうし、所属政党の面子も考えてしまうから、大抵の場合、形式的な捜査をして「一件落着」となる。

Gerald James 1(左  /  ジェラルド・ジェイムズ)
  ジェイムズの説明を聞けば、イギリス人じゃなくとも、「なるほど、そうだよなぁ」とうなづき、「ひょっとしたら政府の諜報員に殺されたのでは?」と疑ってしまうだろう。確かに、ミリガン議員には殺されるだけの理由があった。当時、彼は武器調達を担当するジョナサン・エイケン(Jonathan Aitken)大臣の秘書を務めていたから、武器取引に関する政府の極秘事項や汚い遣り口を知っていたのだ。ジェイムズによると、死亡する少し前、ミリガンは保守党の重鎮達と激しい口論を交わしていたという。もしかすると、激昂したミリガンは、元ジャーナリストであったから、表に出せない政府の行為を世間にぶちまけてやる、と脅したのかも知れない。「サンデー・エクスプレス」紙が事件の六日後に報道していたが、ミリガン議員が死亡した当日、警察が駆けつける前に、不審な男が議員の自宅から出てくるのを目撃されていたのだ。同紙によれば、この不審者は防衛省からの人物で、現場に政府の極秘文書が残されていないかどうかをチェックするために訪れたそうである。ところが、防衛省はそんな人物を派遣した覚えはない、と否定した。そのため、事実は未だに不明である。

  とにかく、ミリガン氏の死亡には疑問が多い。英国の「インディペンデント」紙は、ミリガン議員の「元ガールフレンド」に取材し、インタビュー記事を1994年2月9日附の新聞に載せていた。彼女はミリガン氏の死亡を他殺と考えていたそうである。ミリガン氏はチズウィックのブラック・ライオン・レーンにある自宅のキッチンで倒れていたのだが、彼の性癖からすると、その場所は彼らしくないそうだ。台所はすきま風が入りやすく、床はタイル張りだし、窓から室内がよく見えるので、ミリガン氏は好まなかったそうである。まぁ、言われてみれば、外から覗かれる可能性が高い台所で、変態プレーを楽しむというのは、ちょっとおかしい。第一、有名議員なんだから、もし通行人とか藝能記者に見られたら一大事となるはずだ。普通なら、窓の無い奥の部屋とか、誰も近寄らない地下室などで、恥ずかしい変態プレーを楽しむんじゃないか。でも、世の中には開放感を味わいたい変態もいるから、どちらとも言えないものである。

別の不審な自殺死体

James Rusbridger 1(左 / ジェイムズ・ルスブリッジャー )
  もう一つ気になる事件があった。ミリガン議員が亡くなってから九日後、元MI6局員でジャーナリストになったジェイムズ・ルスブリッジャー(James Rusbridger / 65歳)が、デヴォンにある貸家で死んでいたのだ。ところが、彼の死に様が普通じゃなかった。床にうつぶせで倒れていたルスブリッジャー氏は、ガス・マスクを被り、緑のつなぎ服を着て、厚手のゴム手袋をはめ、防水加工の長いコートを羽織っていたのだ。屋根裏からは長いロープが伸びており、彼の首と足首に結ばれていた。そして、彼の周りには、縄で縛られた男女の写真があったという。これは、彼がSMの趣味を持っていたことを示している。つまり、彼も変態プレー中に誤って死んでしまった、ということだ。

  しかし、ルスブリッジャー氏には、やりかけの仕事があった。死亡する数日前、彼はローカルTV局に、「ミリガンの死について調査するつもりなんだ」と語っていたそうである。彼の取材と死亡は無関係なんだろうが、その死がミリガンの「事故死」とあまりにも近かったので、何となく謀殺の疑いが湧き上がってしまったのだ。検死官がルスブリッジャーの遺体を調べた結果、その死因は自殺と判明した。天井に結びつけたロープで自分の首と足首を縛り、体を宙づりにして楽しむ趣味など、普通の生活を送る人間には解らないが、SM愛好者には「普通」なんだろう。サディストの女性に鞭で打たれると快感を覚えるオっさんも居るらしいから、異常な世界に非常識な人物が居ても不思議ではない。自民党や立憲民主党ばかりではなく、財務省とか文科省にも変態趣味の人物が居たりしてね。(政界には元パンティー泥棒の議員とか、赤ちゃんプレーで女性に近づく議員などが居るから、SMが趣味の議員が存在してもおかしくはない。)

  とにかく、ミリガン議員の死亡が自殺なのか他殺なのか、それとも事故死なのか判らない。ただ、変態行為に見せかけて殺害するという手口は見事だ。首吊り自殺とか服毒自殺だと謀殺の疑惑が生まれやすいが、SMプレー中の事故死なら、他殺の線が薄くなることも有りうる。例えば、山崎拓・元副総理みたいなスケベ議員がいたとして、北朝鮮の工作員に殺されたとする。(山崎氏は愛人と彼女の母親を伴って、「三人」のプレーをするのが夢であったらしい。一般女性なら「えっ、何それ??!!」と驚いてしまうが、独自のエロ本を作る人物には普通の事なのかも知れない。) 死亡現場は渋谷の“いかがわしい”ラブ・ホテルの一室で、丸裸の議員がロープを首に巻いて、ダッチワイフの上で死んでいたら、駆けつけた警察官は何らかの「事故」と思うだろう。しかも、こうした「怪死」となれば、自民党執行部や官房長官から政治的な圧力が掛かるから、「ほどほどの捜査」で幕引きとなる。(特に、衆院選や参院選が間近だと、首相官邸から「捜査中止」を仄めかすメッセージが届く。こうなれば、受け取った警察側も、「恩に着るから、どうかひとつ、ね ! 宜しく頼むよ !」という“お願い”には逆らえない。)

  英国のマスコミは、「キャメロン氏が諜報機関に免罪符を渡した」と非難していたが、外国の政治家や軍人、研究者にとっては別に驚くほどの事ではない。諜報活動の専門家じゃなくても、MI5やMI6の現場オフィサーが密かに殺人を犯していることくらい公然の秘密である。むしろ、謀殺や拷問を行っていなかったら、そちらの方が驚きだ。外国のスパイやテロリスト相手に遵法精神に則った捜査では不充分だし、時には法律を無視する手口が有効な場合もある。国家の利益や国民の安全を確保する為には、残酷な取り調べとか自殺に見せかけた口封じだって必要だ。そして、このような汚れ役を担う人物は、高貴な精神を持ったエリートでなければならない。単に暗殺や拷問を行うだけなら、マフィアの殺し屋とか傭兵で間に合う。しかし、政府による違法活動は別だ。世間から決して認められず、称讃もされないが、愛国心と自己犠牲の精神を以て国家に尽くす人物しか、真の諜報員になれない。

  翻って、我が国の諜報組織はどうなのか? 日本には公式な防諜・対外工作機関は無いけれど、何らかの代替組織くらいはあるだろう。ただし、総理大臣が「殺しのライセンス」を与えているかどうか、は定かではない。普通の国だと、軍隊の中から適材を選び、潜入諜報員とか特殊工作員に仕立てるが、日本の自衛隊員がスパイになって暗躍するなんて、ちょっと想像できない。たとえ、「殺しのライセンス」を与えたとしても、その諜報員が暗殺現場を目撃されたり、外国の諜報員に殺害されたら大騒ぎになる。もし、ひょんな事から遺体が警邏中の巡査や一般人によって発見されたら、身元がバレる虞(おそれ)があるし、勘の鋭い事件記者が嗅ぎ回ると厄介だ。仮に要人暗殺や極秘作戦を実行する部隊があったとしても、政治家が愛人とか外国のスパイに漏らしてしまう虞もあるから不安だ。左翼の国民党や立憲民主党が政権を取れば、支那や北鮮に通じた議員が防衛大臣や国家公安委員長になったりするから、機密情報は外国に筒抜けとなる。そして、政府筋のネタを握った外人スパイが、“わざと”マスコミにリークすれば、蜂の巣を突いたように世間が騒ぐから、日本の防諜組織は存続できなくなる。

  日本に謀殺や拷問を許された諜報機関があるのかどうか、平民の筆者には分からない。ただ、「存在して欲しい」という願望はある。まさか、本当に無かったら、そっちの方がショックだ。国家の安全と秩序を確保するためには、時として非情な手段を用いなければならぬ時があるし、テロ時代の今にち、まどろっこしい法的手続きに縛られれば、未然に防げる事件でも手遅れとなってしまうだろう。日本にはロシア人や支那人、朝鮮人および日本人の協力者がウヨウヨいるから、事故に見せかけて「抹殺」することも時には必要だ。国防意識の高い英国には、ジェイムズ・ボンド並のスパイがいるけど、脳天気な日本だと司会者の大木凡人(おおき・ぼんど)くらいしか思いつかない。日本で頼りになるスナイパーといったら、さいとう・たかを先生のゴルゴ13くらいだから、何とも憂鬱になる。民間企業は「ゴキブリ・ホイホイ」を開発したのに、政府にはスパイ・キャッチャーすら無いんだから、どおりで売国奴が野放しにされている訳だ。



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