無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2018年11月

日本人の変質と非日系人の増殖

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房


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平成の終わりが日本消滅の始まり
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(左: 安倍晋三総理  / 右: 外国に逃れる難民 )

  11月27日、入管法の改正案しが衆議院を院を通ってしまった。これで日本の質的劣化への流れが加速されたことになる。一般の日本人は外国人労働者の受け容れを単に「労働力の輸入」とだけ考えているが、移民の輸入は異邦人、とりわけアジア人の遺伝子を日本人の遺伝子プールに“混入”することであり、アジア人の祖先を持つ子供が増える事を意味する。正直に言えば、アジア系混血児が全国で続々と誕生するということだ。本来、日本は先祖から受け継いだ国土と国民からなっているのに、歴代の政権は邦人拉致を無視しただけではなく、竹島や対馬、北海道、沖縄の領土侵食を蔑ろにし、国籍の無料配布をしたかと思えば、今度は大量の移民を導入しようと図っている。こんな調子だから、国を愛する一般人は呆れるどころか怒りと悲しみが込み上げてくるだろう。只でさえ、在日朝鮮人との混血児が着実に繁殖しているのに、さらなるアジア人との混血児が増えれば、日系日本人は祖国に住みながら異国にいるような気分になる。(渋谷駅では朝鮮語のアナウンスもあるから、「あれっ、ここ、釜山だったかなぁ?」と錯覚する日本人も出てくるぞ。)

  第19世紀の帝国主義時代、なぜ我が国が明治維新を達成し、富国強兵を掲げて独立を保てたかといえば、日本が“日本人だらけ”の国であったからだ。德川慶喜が大政奉還を行ったのは、水戸藩の尊皇思想を持っていたこともあるが、どの大名にも「日本人」という無意識の“常識”があって、朝廷が日本の中核であるのは当然すぎる前提であった。廃藩置県という荒技も日本ならではの大転換で、朝廷からもらった訳でもない領地を返上し、大名の身分さえ手放したのだから、ヨーロッパ貴族が聞けば戦慄を覚え、「恐ろしい革命だ!」と震え上がるだろう。ところが、意外な結末があった。何と、幕府の権力基盤を無くした德川慶喜が、後に公爵に叙せられ貴族院議員にまでなったのだ。ハプスブルク家の末裔だって、西川きよしみたいに目が飛び出てしまうだろう。支那や朝鮮なら、没落した元支配者は抹殺されるのが通例で、運が良くても片輪になって牢獄行き。権力を失った元皇帝が、優雅に囲碁や絵画、写真、弓道を楽しみながら余生を送るなんて有り得ない。南鮮の大統領も投獄か自殺という末路なんだから。

  東大や一橋大なんかに巣くっている大学教授は、「多様性と寛容性」を学生に説いて、「色々な人々が暮らす市民社会は素晴らしい」と刷り込んでいるが、実際の異人種混淆社会はおぞましく、誰もが互いに不信感を抱きながら、いつも危険と向かい合わせの生活を送っている。黒人や南米人とかアジア人が混在するシカゴやロサンジェルス、デトロイト、ニューヨークを観てみれば解るじゃないか。だいたい、左翼知識人というのは世間知らずで、現実を直視しない偽善者が多い。もし、本当に多民族社会が素晴らしいのであれば、なぜアフリカ人やヒスパニックがひしめく都市部の地価が下がっているのか? アメリカの大富豪はコネティカット州やニューハンプシャー州の森を切り開いて、お城のような豪邸を築き、牧場まで作って乗馬を楽しんでいる。言うまでもないが、豪邸の隣にイスラム教徒の長屋とか、ソマリア難民の収容施設なんか絶対無いぞ。(青山や目黒、恵比寿にアジア難民収容所を建設すれば、高額所得の住民が烈火の如く怒るだろう。彼らは「可哀想な外国人」とは思わない。自分の資産が第一。) バルカン半島のようになったヨーロッパ半島を観れば、人種的多様性に富んだ国家は脆弱で、同種族で暮らしている日本のような同質的国家の方が強くて幸せ、と解る。

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(写真  /  支那人労働者)

  自民党の議員は「入管法を改正しても大丈夫、日本は移民国家にならない」と嘯(うそぶ)いているが、一旦アジア人を受け容れてしまえば、“用無し”になった外人を退去させるのは事実上「不可能」である。例えば、5年の研修期間を過ぎた技能実習生は出身国に帰るよう促すというが、彼らを雇っている企業は「せっかく仕事を覚えたんだから、あと5年くらい残って欲しいよねぇ~」とねだるし、研修生の方も続けて滞在できるよう期間延長を申し出るはずだ。企業側からすれば、5年おきに外人労働者を雇うより、慣れた外人を使い続けた方が楽だから、10年でも20年でも使いたいと考える。彼らを雇う腹黒い経営者は、昇給やボーナスを伴わない廉価な奴隷を持ち続けたいだけだから、5年で外人を交替させるなんてとんでもない。外人労働者の方だって、いつまでも日本に居たいから、雇用主に頼んで長期滞在の許可申請を手伝ってもらうだろう。

  ここで恐ろしいのは、外人労働者が家族の呼び寄せを懇願するケースだ。支那やベトナム、インドネシア、フィリピン、トルコからやって来た労働者は、給料の一部を仕送りするより、一緒に住んだ方が給料の節約になると計算するし、社会福祉が充実した日本での子育てを希望するだろう。特に、「人権」という言葉に弱い日本政府だと、こうした「請願」を無視できず、なし崩し的に認めざるを得ない。おそらく外人の家族が続々と来日するはずた。この悪夢のような現象は、いわゆる連鎖移民(chain migration)である。一般国民は気付いていないが、附帯家族の流入で、日系日本人の負担は雪だるま式に増える。例えば、日本語を話せない配偶者のために語学教室が税金で設置され、子沢山のムスリム家庭やフィリピン人家庭に“たんまり”と子供手当が支給されるだろう。(英国では外人による福祉詐欺なんて当り前。中には、豪華な邸宅に住む難民がいたりする。) 病院だって外人患者で大賑わい。ディズニーランドのローラー・コースターより待ち時間が長くなり、日本人患者は半日くらい病院で過ごす破目になる。

  また、外人労働者が多く住みつく街となれば、地元の公立学校にも多くの異人種が通うようになるから、教師は予想もしない問題でてんてこ舞いだ。日本語さえ“まとも”に話せない子供に、数学や理科なんて端っから無理。学校全体の学力水準が落ちるのは目に見えている。裕福な家庭の子供は、私立学校に通って受験対策が出来るけど、低所得階級の日系人は公立学校で我慢するしかなく、せいぜい塾に通って「どうか受験に合格しますように !」と祈るだけ。昔は「国史」と呼ばれた「日本史」は、いつの間にか「外国史」になってしまい、誰の祖先を念頭に置いて勉強しているのか判らなくなる。歴史担当の先生だって困ってしまう。日本人だけのクラスなら、「元寇の時、鎌倉武士は勇敢に蒙古軍を叩きのめしました」とか、「モンゴル人の手先となった朝鮮人は卑劣で残酷でした」と話して、「我が国の武士はすごい !」と拍手喝采だけど、モンゴル系混血児や帰化鮮人の子供が居るクラスでは、異民族の生徒に気兼ねして“さらり”と流し、年号と北條執権だけ覚えて終わり。頼山陽みたいに称讃したら、「ヘイト・スピーチ」と糾弾されてしまうから、日本史を好きな先生はションボリするしかない。(でも、日本を憎む故に社会科の教員になる人もいるから、ここぞとばかりにアジア系の生徒に配慮する先生がいたりしてね。)

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(左: 支那人の子供たち  /  右: 東南アジアの子供たち)

  クラスの授業が混乱するのは頭の痛い問題だが、民族の違いを切っ掛けとするイジメの発生はもっと厄介だ。本能で生きる日系人の子供は、マレー人やフィリピン人、タイ人の子供とか、いかつい顔をした中東系の子供、南洋土人的容貌の混血児、縮れ毛の黒人などを“生理的”に毛嫌いし、仲間はずれにしたり、イジメの対象にしやすい。しかし、逆の場合もあって、朝鮮人や支那人、ベトナム人の子供が日系人の生徒をイジメる場合だってあるはずだ。こうなった時、担任教師はどう解決するのか? 子供同士のイジメというのは、いつも教師の面前で起こるとは限らない。教師が「人種を基にしたイジメはダメだぞ !」とキツくしかれば、表面上は従う姿勢を見せるかも知れないが、大抵は「うるせぇよぉ !」と子供達が反撥し、却ってイジメが増大する場合もある。なぜなら、叱られた日系人の子供は「なんでアイツらと一緒のクラスなんだ?!」と不満に思うし、「あんな奴らが居ない学校に転校したい」と愚痴をこぼすことだってあるからだ。

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(左: 陽気な朝鮮人青年  /  左: ひょうきんな朝鮮人少女)

  男子のイジメは暴力的になることもあり、マスコミ沙汰になってしまうケースもあるが、女の子のイジメは別の意味でタチが悪い。一般的に女子のイジメは陰湿で、鈍くさい外見のアジア系生徒を目にすると、「変な顔をした混血児なんか気持ち悪い !」と黴菌みたいに扱うし、日系人と友人になりたいアジア系混血児が近寄ってくれば、「こっちに来ないでよ ! アンタなんか、見るからにダサイから、私たちのグループに入れないわよ!」と門前払いにする。PTAの母親達だって派閥を作り、気に入らない母親を除け者にしているじゃないか。(昔、筆者はファミレスでの井戸端会議を耳にし、その悪口談笑に辟易したことがある。) 部活の担任になるだけでも大変なのに、異民族の生徒を受け持つ教師は本当に大変だ。もし、孤独感を味わった混血児が不登校になれば、その子の面倒を見なければならないし、両親と話してもこれといった解決策は無いから、教師と保護者が同じ会話を重ねるだけで、後はお手上げだ。また、最悪の事態も要素できる。もし、イジメられた混血児が自殺すれば校長や教頭は愕然とし、どう対応したらいいのか戸惑う。大抵は「あってはならないことです !」と決まり文句を述べるだけで、謝罪しても勘弁して貰えないから、記者会見は針の蓆(むしろ)に等しい。

  ちょっと考えただけでも、様々な問題を予想できるのに、マスコミが話題にするのは、移民導入で日本人労働者の賃金がどうなるかだけである。来日する外人を技能実習生とか移民と呼ぼうが、複雑な感情を有する人間であることには変わりがない。政治家や官僚、マスコミは一括りに「労働力」と呼んでいるが、入ってくる外国人は、時に怒ったり悲しんだりするから、基本的に日本人と同じ人間だ。目先の銭を求める財界人や政治家は、外人労働者を単に「言葉を話す家畜」と思っているけど、外国人というのは生まれ育った国の風習に慣れ親しんだ人間、良いこともすれば悪いこともする人間なのだ。自民党は外人労働者のプラス面ばかりを前提にして法律を作っているが、移民だって十人十色。家族を大切にする者もいれば、家族を見棄てる者もいるし、真面目に働く勤労者がいる一方、陰に隠れて兇暴な犯罪者がいる。低賃金や劣悪な労働環境に耐えきれなくなった技能研修生(奴隷労働者)は、職場から逃亡するが、その先の人生はどうなるのか? 不法滞在者になった研修生が別の職場に就こうとしても、その身分は正式なものではないから、雇用主は足元を見て僅かな賃金しか払わない。となれば、逃亡したベトナム人やビルマ人は“まとも”な職業に就けず、生活の為に犯罪に手を染めるしかないと考えるだろう。事実、同国出身者の人脈を頼って犯罪組織に入るアジア人も多い。


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(左: フィリピン人の赤ん坊  /  右: フィリピン人の少女)

  一般の日本人は単純に、逃亡する外人労働者や犯罪に手を染めた外人なら、直ぐに強制退去にすればいいいじゃないか、と考えてしまうが、もし彼らが日本人とセックスをして子供を作っていたらどうするのか? たとえ不法滞在者や万引き犯でも、日本人女性と懇ろになって赤ん坊をもうけていたり、結婚を予定する関係になっていれば、役人は強制退去にできず、法務大臣が在留特別許可を乱発して、事実上の永住者にしてしまうことが予想できるのだ。計算高い外国人は結婚や妊娠・出産を利用して滞在許可を得ようとする。カタギの日本人は永住権とか国籍取得のために結婚を利用しようとか、子供を作ろうとは考えないが、アジア人は意外に平気で、「日本人と結婚した方が得」と思えば躊躇などしないし、「どうせ子供を持つんだから、日本で作った方がいい」と考えてしまうのだ。アメリカに潜り込む南米人は、密入国を犯罪と思わず、平然と不法滞在を続け、いつの間にか子供をもうけて、居坐りの根拠にしてしまう。「アンカー・ベイビー」というのは、出身国に強制送還されないための「錨(いかり)」であり、図々しい親がしがみつく柱となっている。

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(左: 昔のゲルマン人少女  / 中央: アフリカ系の「新ドイツ人」  / 右: トルコ系ムスリムの「新ドイツ人」)

  与党も野党も外人労働者を無色透明の家畜と考えて議論を進めているが、こうした契約奴隷だって赤い血が流れる人間なのだ。「契約期間が切れたから即座に帰郷します」という外人は極めて少なく、「せっかく日本にやって来たんだから、ずっと日本で働き、早いとこ家族を呼んで一緒に暮らしたい」と考える方が自然だ。昔、トルコ移民を受け容れたドイツは、期間限定で「こき使う」つもりだったが、予想に反してトルコ人は帰らなかった。それどころか、自分の家族を呼び寄せた挙げ句、堂々と「ドイツ国民」にまでなってしまったのだ。今では金髪碧眼のドイツ人はマイノリティーとなり、黒髪で黒い瞳のイスラム教徒やアフリカ人、ベトナム人、シリア人、イラク人が街中に溢れている。トルコ移民を招き入れた政治家や企業家は責任を取ったのか? 政治家の責任なんて大臣を辞めることくらいで、移民を排除することではない。責任者に責任が無いのがデモクラシーの特徴である。今のままだと、日本もドイツと同じ道を歩むから、日本という国土は存続しても、日系日本人の幸福は激減するだろう。たとえ、国家の構成員は増えても、各人の容貌が変わってしまうから、日系人は何となく憂鬱になる。やがて高齢者の日本人は、昭和の頃に撮った写真を眺めて、日本人が主流だった時代の日本を懐かしむに違いない。
  


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詐欺をはたらく軍事大国ロシア / 騙される安倍政権

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ロシアを甘く見る保守派の幻想

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( 左: 安倍総理とプーチン大統領/ 右: 2018年の合同演習 )

  先週、チャンネル桜の水島総社長が、自分のコーナーで北方領土問題について述べていた。水島社長は四島一括返還にこだわることが支那の対外侵掠を手助けする事になり、日本国内にはびこる「四島返還」で喰っている特殊利益勢力をも支えることになるのだ、と説教し、まづは二島返還で交渉を進めるべきだ、との趣旨で視聴者に語りかけていた。しかし、筆者はこの見解に同意できない。なぜならば、安倍総理がプーチン大統領に騙される危険性があるからだ。なるほど、日本はアメリカの属州だから、水島社長が言う通り、安倍総理の対露交渉は、合衆国政府による諒承があってのことだろう。ならば、それを許したトランプ大統領と、安倍総理と話をつけるプーチン大統領の「真意」は何処にあるのかを考えるべきだ。

  支那とロシアは一枚岩ではないが、日本に対する態度で共通している。つまり、日本を食い物にして肥え太ろうとする意思を持っている点だ。北京政府が日本企業を呼び寄せて、その資本や技術を吸い尽くそうとするのはよく知られている。クレムリンも同じで、北方領土を毛針にし、日本から大金をせしめようと謀っているので、我々は気を引き締めて用心しなければならない。日本人は平和条約の締結だ、と大はしゃぎしているが、ロシア人にとって約束は破るために存在する。だから、武力の背景無しにロシア人と交渉するのは愚かである。しかも、今回の件に関し、ロシアの在日エージェントに等しい鈴木宗男や佐藤優がプーチンの提案を支持しているから、なおさら胡散臭い。とりわけ、報道番組でロシアの提灯持ちを演じる鈴木宗男は、見るからにロシア諜報局の手下だから論外。

  問題は佐藤の方だ。テレビやラジオはロシア問題となれば、すぐ“元外務省”の佐藤を番組に招いて、「佐藤さん、プーチン大統領の意図はどんなものなんでしょうか?」と尋ねるけど、彼の「分析」と「判断」を鵜呑みにするのは危険である。ロシアに関して素人の番組司会者は、佐藤がロシアの情報に通じていると感心するが、その情報源が誰で、どんなものなのか判らないので非常に怪しい。例えば、FVR(対外工作・諜報機関)の日本ハンドラーから内部情報をもらって、それをあたかも「独自の人脈から得た情報」と称すれば、普通の日本人は「さすが、すごいですねぇ~!」と驚嘆する。そりゃそうだろう。ロシア人スパイから直接仕入れたネタなんだから。もし、佐藤の評判を高めるため、ロシア人の担当者が本当の情報をリークしてやれば、外務省でも摑めない特ダネを持つことになるじゃないか。だいたい、外務省を追い出されたノンキャリの下っ端が、上質な情報源を持つわけないだろう。佐藤はイスラエルのコネとか、ロシアの友人から得た情報をチラつかせているか、確かめようがないので幽霊の存在を信じるのと同じだ。また、過去の小さな体験を適当に脚色し、神秘さを水増しすれば「いかにも」といった感じになる。口八丁手八丁で“事情通”の演技をすれば、何も知らない一般の日本人なんかチョロいものだ。

  話を戻す。プーチン大統領は乗り気の安倍総理を相手に、「歴史的快挙」となる平和条約の話を持ち掛け、歯舞色丹の二島を返還するだけで、莫大な経済協力を引き出そうと狙っているはずだ。それゆえ、本当に北方領土が返還されるのか、今のところ誰にも判らない。もちろん、日露の交渉が順調に運べば、見かけだけの返還はなされるだろう。しかし、両島の主権は曖昧にされたままだ。もし、日本の領土となれば、自衛隊や米軍の基地を設置しても構わないははずだが、騙すつもりのロシアはこれを承知しないだろう。プーチンが懸念しているのは、北方領土を戦略拠点とする米軍の動きだ。これはロシア海軍にとって重大問題となるから、必ずやプーチンは現地の非軍事化を要求してくる。それに、国内で支持率低下に悩むプーチンにとって、“獲得領土”、すなわち戦利品の割譲となれば、自身の評判を損なう結果になりやすい。ロシアの民衆はいくら善良でも弱い指導者となれば嫌いである。たとえ、残酷でも強力な独裁者の方がいい。スターリンが未だに根強い人気を誇っているのは、イワン雷帝とかピヨートル大帝がロシアの理想的な君主であるからだ。プーチンが米国の反撥を覚悟でクリミア半島の併合を実行したのも、ロシア民族の気質を解っていたからからだろう。

  そもそも、膨張主義はロシアの体質で、プーチンにとっては威厳の源になる。偉大なる皇帝を目指すプーチンにとり、ロシアの経済成長と軍事大国化は必須要件だ。ところが、プーチンは厄介な国内問題を抱え込んでいるから、領土の「削減」は人気を落とす元兇になってしまうだろう。只でさえ、この独裁者は年金の支給年齢を引き上げることでロシア国民の怒りを買っていのに、更なる失点を重ねることは自殺行為に等しい。とにかく、権力を集中するプーチンには課題が山積みだ。例えば、クリミア併合による米国の経済制裁を何とかしなければならないし、原油価格の下落でロシア経済はダメージを受けているから、打開策を模索しなければならない。その一方で、国内の軍需産業を育成するんだから実に大変だ。こうなれば、日本を利用して資金を稼ぐしかない。便利な馬鹿を利用して、ロシア経済を活気づかせ、自分の権力基盤を維持したいと考えても当然。たとえ、日本に歯舞色丹を“返還”となっても、主権を渡す訳じゃないから、プーチンとその側近は「いつでも取り返せる」と思っている。

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(左: 9K720イスカンデル  /  右: ボレイ型原子力潜水艦)

  水島社長は支那を牽制するために、ロシアと提携することを主張しているが、ロシアと支那は軍事面で強力関係にあるから、一概に対立関係にあるとは言えまい。今年九月にロシア軍と人民解放軍が「ヴォストク(Vostok / 東)」というコードネームで知られる軍事演習を行った。五日間に亙って行われたこの合同演習には、約30万の兵力と1千機の航空機、3万6千輛の戦車が動員され、1981年の「ザパド(Zapad / 西)」以来の大規模演習になったらしい。(Franz-Stefan Gady, "Russia, Chinese Troops Kick off Russia's Largest Military Exercise Since 1981", The Diplomat, September 12, 2018) 日本の軍事オタクなら、ここぞとばかりにロシアの兵器をじっくりと観察したはすだ。例えば、陸上を移動する短距弾道ミサイルの「9K720イスカンデル(Iskander)」は、固形燃料推進で、「M」「K」「E」といったヴァリエーションがあり、「イスカンデルM」の射程距離は約400から500kmと目されている。(西側の呼称は「SS-26 Stone」) 海軍だと、核弾道ミサイルを搭載したボレイ型(Borei-class / ドルゴルキー級Dolgoruky-class)原子力潜水艦があったし、超長距離地対空ミサイル・システムの「S-400トリウームフ(Triumf)」も投入されていた。それに、「アルマータ(Armata)」シリーズのT-14戦車もあったから、自衛隊のアナリストにしたら興味深い演習だ。

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(左: T-14戦車  / 右: セルゲイ・ショイグ将軍 )

  ということで、九月に行われた「ヴォストク」は刮目すべきシュミレーションであったが、西側の軍事アナリストにとっては、さほど驚くような軍事演習ではなかった。なぜなら、ロシア軍は四年周期で演習を行い、西部(Zapad)・東部(Vostok)・南部(Kavakaz)・中部(Tsentr)の各地区で行っているからだ。今回、「ヴォストク」が注目を集めたのは、演習の規模を拡大し、そこに外国の軍隊を参加させたからである。だが、我々にとって重要なのは、クレムリンが北京と組んでユーラシア大陸を支配しようとする構想である。ロシア国防相を務めるセルゲイ・ショイグ陸軍大将は支那との合同演習に関して、「我々はレギュラー・ベースでこのような演習を行うことを合意した」と述べていた。("Russia says war games with China will be routine", The Military Times, September 12, 2018) 一方、支那軍も合同演習には積極的だ。北京政府の意向を受けた支那メディアは、この軍事演習に投入した第三世代の「99式戦車(ZTZ-99)」を自慢げに報道していた。毎回ウンザリするけど、日本のワイドショーは下らない藝能記事なら熱心に報道するが、日本への脅威となる支那の軍事力に関しては消極的である。これは視聴率を稼げないという理由もあるが、隠蔽工作の根源には局内に北京の指令を受ける人物が存在し、これに加えて支那で商売をするスポンサーがいるということだ。テレビ局の自主規制と検閲は、スポンサーからの圧力という要素も大きい。

支那とロシアの微妙な関係

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(左: ロシアと支那の軍人  / 右: 支那軍人と握手するプーチン )

  確かに、ロシアと支那は反目する点が多いけど、軍事面では態度を変えて協力するようだ。水島氏は長い国境線を接する支那とロシアが対立していると述べていたが、支那人がロシアの政治を操れるとは考えにくい。悪党どもは経済面で競争相手になっていても、ちゃっかり水面下で助け合う場合がある。支那人はロシアが日本に食指を伸ばしても平気で、ロシアが日本の税金を巻き上げようとするんなら、自分たちは“もっと”ふんだくってやろうと考えるし、極悪人のロシアと対立するより、甘っちょろい日本や東南アジア、アフリカを先に侵蝕しようと目論む。日本がロシアと経済的な協力関係を築いたからといって、ロシアが支那人を日本から駆逐するわけではない。むしろ、ロシアと支那は2,600マイルの国境を平穏に保ちたいと考えている。 何はともあれ、両国とも敵に対する防禦で忙しい。ロシアはシリアとウクライナに軍事介入をしたせいで米国の批判を受けているし、拡張するNATO軍にも備えねばならず、出費が嵩(かさ)んで大変だ。支那の方はもっと切迫しており、トランプ政権の経済制裁が思った以上に深刻で、国内景気も減速となり意気銷沈どころか青色吐息。習近平は終身独裁官を目指すどころか、自分の将来すら危ない状態だ。

  地上波テレビしか観ていない日本人は気付かないが、ロシアと支那は経済的にも相互関係にある。ロシアは原材料の輸出国で、支那は大量に石油や天然ガスを必要とする輸入国だ。結果的に、支那は2010年以来ロシアにとって重要な得意先となっている。(Alexander Gabuev, "Why Russia and China Are Strengthening Security Ties", Foreign Affairs, September 24, 2018) 水島社長が言うように、ロシア人は支那人の入植(人口侵略)を嫌っているが、だからといって支那と軍事的な敵対関係になろうとは思っていない。これはヤクザ的な見方をすれば解る。例えば、日本という「獲物」を狙っているロシアン・マフィアとチャイニーズ・マフィアがいたとする。猜疑心に満ちた両者は、度々反目するが、実利で歩調を合わせることもある。たとえ、世界戦略で反りが合わなくても、特殊利益で協定を結ぶことは可能だ。もし、ヘロインを扱うロシア人が、コカインを輸出する支那人を嫌い、「あの野郎どもは、俺たちのシマを犯してやがる !」と激怒し、アメリカの警察にコカインの流通経路を密告しても、ロシアの極道が「善良な市民」という訳ではない。また、ヨーロッパの麻薬市場を牛耳るユダヤ人マフィアを撃退するために、ロシアと支那のマフィアが同盟を組み、武器や資金の調達で助け合うこともあるだろう。

  悪党は余程のことが無い限り、相手を殲滅しようとは思わない。たとえ、ロシア人が自分の縄張りを守ることがあっても、それは支那人マフィアを撲滅することには繋がらないし、自国の損害を考慮すれば、全面対決は得にならないと判断するはずだ。それよりも、同類の支那人を上手く手懐けてロシアの国力を温存し、日本から巻き上げたお金で経済発展を画策する方が利口である。ロシアが共産主義を捨てたからといって、ロシア人が日本人みたいに誠実になる訳じゃない。この野蛮人は正義よりも武力を重んじ、強い者が支配者になって当然と考える。いかにもモンゴル人の血が流れるロシア人らしい発想だ。そもそも、流血を伴う戦争で勝ち取った北方領土を、単なる端金(はしたがね)で日本に返すなど言語道断。もし、プーチンが主権まで譲渡すれば、反プーチン勢力の権力が増大し、せっかく築いた独裁基盤が揺らぐことにもなりかねない。だから、日本人には「たとえ二島でも北方領土が戻ったことは慶事だ」と思わせておく方がよい。いざとなれば、軍事行動で日本人を追い払えばいいから、ロシア人はお金だけもらって知らん顔だ。

  水島社長と同じく、ロシア認識で甘いのが馬渕睦夫大使だ。馬渕大使はプーチンをグローバリストに対抗するナショナリストと評して、ロシアの国柄が変わったかのように述べていたが、それは誤解を招きやすい。確かに、プーチンは歐米諸国に巣くうグローバリスト勢力に反抗しているが、それはロシアの覇権を維持したいからである。アメリカの政界にはユダヤ人が跋扈し、天然資源が豊富なロシアを乗っ取ろうと狙っていた。しかも、ロシア国内にはユダヤ人のオリガルヒがいたから、歐米のユダヤ人がこの新興勢力と提携すれば、ロシアはユダヤ人の植民地になってしまう。プーチンがユダヤ系大富豪を石油業界やマスメディアから駆逐したのは、ユダヤ人の手口を熟知していたからだ。つまり、プーチンは自分の縄張りを守っただけ。これを以てナショナリズムと称するのは勝手だが、ロシアが正常な国家になって帝国主義を捨てたわけではない。ロシアは窮地に陥れば領土を返還するが、再び力を附ければ失った領土を奪いに来るし、新たな領土を求めて侵掠を開始する。「一歩後退、二歩前進」がロシアの法則で、これを前提とせず、日本人工作員の宣伝を信じて「プーチンは共産主義時代の政治家ではない」と考えるのは間違いだ。昔から、ロシア人は偽情報を流して外国人を攪乱させることに長けている。安倍総理は上手く外政をやっているつもりだろうが、側近や外務省の中にはロシアの手下が隠れているから注意すべきだ。「安倍外交は素晴らしい」と喜んでいる保守派は、安倍氏が行おうとしている愚行の中身をよく確かめてみるべきだろう。
  


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