無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2019年01月

ユダヤ人からの献金 / 政治家に金銭を渡す人々(後編)

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房

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気前の良いユダヤ人
Jews 2Fagin (Ron Moody)









  普通の日本人あがリカの民衆党と聞けば、庶民の味方をする政党と勘違いしてしまうが、その実態を探ってみると、大富豪が代議士を買収し、愚劣な平民を利用する連中と判る。確かに、個々の法案ではマイノリティーを助けたりするが、そんなのはチョコレートの“おまけ”みたいなもので、取るに足らぬ「ご褒美」である。低賃金に甘んじる黒人やヒスパニックの有権者にとって、複雑怪奇な金融とか外政は木星の嵐と同じで、彼らの日常生活には関係無い。というより、理解の範囲を超えているので、議会で何が討論されているのかさえ分からないのだ。たとえ教えてもらっても専門用語がズラリとならんでいるからチンプンカンプン。まさしく馬の耳に念仏といったところだ。1分もすれば飽きてしまう。

  デモクラシーでは「数が力」となっているが、その前に「金銭は実弾」となっている。どんなに固い「理想」を纏っていても、黄金の銃弾はその鎧(よろい)を貫く。でも、大抵の政治家は発射前に平伏すから、無傷のまま大喜び。額に値札を附けた議員なんて本当に情けない。ところで、献金額もさることながら、「誰がお金を渡しているのか?」ということも重要だ。淫乱キャバレー(sleazy joint)の踊り子になら20ドルや30ドルくらい投げ与えても大した意味は無いが、政治家に100万ドル単位の寄付となれば話は違ってくる。(ただし、表に出せない「袖の下」もある。まさか、裏金を証拠が残る小切手で払う馬鹿はいないだろう。でも、これは「いくら」なのか判らないから、ここでは除外するしかない。) ということで、誰が“なんぼ”渡したのかを知ることは、アメリカ政治を理解するうえで役に立つはずだ。

  2018年を振り返って、その献金者リストに目を通すと、「えっ!」と驚くような事実があった。なんと、上位リストの中に多くのユダヤ人が含まれていたからだ。(Open Secretsが掲載したリストを参考にしてみる。)

  まづ、第1位となったのは、共和党にジャブジャブと資金を流し込むカジノ王シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson)とミリアム(Miriam)夫人だ。「ラスヴェガス・サンズ」を運営するアデルソンについては、以前、当ブログでも紹介したので、ここでは詳しく述べない。(記事1記事2を参照。) このユダヤ人大富豪は、大統領候補にもなったミット・ロムニー元知事などを支援していたが、共和党の保守派を支持している訳じゃない。アデルソンが最も大切にしているのはイスラエルで、彼は「心の祖国」が安全になるようアメリカ兵を活用しろ、と述べていたのだ。

Sheldon Adelson 0001Tom Steyer 001Richard Uihlein 1








(左: シェルドン・アデルソン  / 中央: トマス・ステイヤー /  右: リチャード・ユーライン)

  第2位は、これまたユダヤ人のトマス・ステイヤー(Thomas Steyer)である。日本ではほとんど知られていないが、彼は投資会社「ファラロン・キャピタル・マネイジメント(Farallon Capital Management)」の創業者で、大統領選に出馬したいとの願望を抱いている。彼の母親はエピスコパル教会のキリスト信徒だが、父親は非宗教的なユダヤ人であるという。彼の経歴は眩しく、幼い頃はニューヨークの名門校「バックリー(Buckley)」に通っていた。かつて、この学校にはデイヴィッド・ロックフェラー・ジュニアやフランクリン・D・ローズヴェルトが通っており、トランプ大統領の長男、ドナルド・ジュニアも卒業生だ。そして、ジュニアの子供達、つまり大統領の孫になるドナルド3世、トリスタン、スペンサーも通ったそうだ。「バックリー」を卒業したスタイヤーは、これまた名門私立の寄宿学校「フィリップス・エクスター・アカデミー」に進学し、そこからイェール大学に入り、卒業後は二年間ほど「モルガン・スタンレー」に勤めた。彼は更に学歴を積むため、ハーヴァード大学ならびにスタンフォード大学のビジネス・スクールに入ったというから何とも凄い。

Robert Rubin 1(左  /  ロバート・ルービン元財務長官)
  ステイヤーはスタンフォードに在籍していたものの、並立して「ゴールドマン・サツクス」に勤め、後に財務長官となるロバート・ルービン(Robert Rubin)のもとで働いたという。(ユダヤ人はユダヤ人と馬が合う、という典型例だ。) 1983年、スタイヤーはルービンの紹介で、大統領選に出馬したウォルター・モンデールを手伝ったそうだ。そして、二年間の勤務でゴールドマン・サックスを去ったステイヤーは、自分の投資会社をカルフォルニアに設立する。充分な資産を築いたスタイヤーは徐々に政治的野心に目覚め、大統領を目指すようになった。スタイヤーは民衆党のリベラル派らしく、気候変動とか地球温暖化を看板にして環境左翼の票を当てにしているが、その過去はドス黒い油に塗れていた。このユダヤ人左翼は、排出ガスによる環境破壊を危惧する善人を装っているが、個人的にはカナダのエネルギー会社に多大な投資をしていた。つまり、「オイル・サンド」に目を附けたステイヤーは、黒い砂で大儲けしようと企んでいたのだ。

Al Gore 2Al Gore house in Montecito









(左: アル・ゴア元副大統領  /  右: モンテチトにあるゴア氏の豪邸)

  お金持ちのリベラル派というのは、「やること」と「言うこと」が違っている。こうした矛盾を「矛盾」と感じないのはステイヤーだけではなく、アル・ゴア元副大統領も同じで、他人に対しては二酸化炭素の大量排出を警告しながら、自分の邸宅では“たっぷり”と電気を使っていた。アメリカの一般有権者はゴア氏の月額使用料を見てびっくり。一般家庭の何倍もの電気を消費しており、その言動と行動の違いに呆れてしまったそうだ。まぁ、彼の豪邸(マンション)を見れば、六畳二間のアパート暮らしじゃないことくらい直ぐ分かる。だいたい、上院議員のを父に持つお坊ちゃんが、日本人のように「節約グッズ」なんて使うのか? 

Al Gore house in MalibuAl Gore mansion $9 Millon in CA








(左: マリブにあるゴア氏の別荘  / 右: ゴア氏がカルフォルニアで購入した邸宅 )

  アメリカには偽善的環境保護派が多く、有名俳優にも「意識の高い」人物が多いらしい。例えば、メリル・ストリープとかロバート・レッドフォード、レオナルド・ディカプリオ、ベン・アフレック、オリヴィア・ワイルド、アレック・ボールドウィン、ナタリー・ポートマン、ベット・ミドラーなどが挙げられる。でも、彼らは映画撮影で散々エネルギーを浪費し、豪華なリムジンで移動していたじゃないか。そんなに排出ガスが嫌なら、走って撮影所まで行くべきだ。そう言えば、“ナチュラル”派のロバート・レッドフォードは昔、目を見張るようなプライベート・ジェット機で日本にやって来たが、どれくらい燃料を使っていたのか、ぜひ教えてもらいたい。

  話しを戻す。第3位は前回紹介したリチャード・ユーランイ。第4位は、ニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルーンバーグ(Michael Bloomberg)で、彼は言わずと知れたユダヤ人ビジネスマン。第5位も、これまた裕福なユダヤ人ビジネスマンのドナルド・サスマン(Selwyn Donald Sussman)ときている。彼は投資顧問会社「パロマ・パートナーズ(Paloma Parters)」の会長で、最初の妻ローリー・ティッシュ(Laurie Tisch)と離婚したあと、メイン州選出の下院議員シェリー・ピングリー(Chellie Pingree)と再婚した。(ローリーはレーガン政権で郵政長官を務めたプレストン・ロバート・ティッシュの娘。) しかし、この結婚も長続きせず、二人は2016年に別れている。

Michael Bloomberg 1Donald Sussman 1James Simons 2George Soros 7








(左: マイケル・ブルームバーグ  / ドナルド・サスマン  / ジェイムズ・シモンズ  /  右: ジョージ・ソロス )


  第6位はヘッジ・ファンドの「ルネサンス・テクノロジー」を率いるジェイムズ・シモンズ(James Harris Simons)で、ヒラリー・クリントンの支持者である。金融業界でのし上がったシモンズではあるが、元々はマネー・ゲームとは程遠い数学者であった。大学で数学の博士号を取得したシモンズは、研究員として防衛分析所(Institute for Defense Analysis)のリサーチ部門に勤め、MITやハーヴァード大学で数学を教えたこともあるそうだ。こうした経歴を経た後、彼は自分のヘッジ・ファンド会社を創設し、現在では現役を退き名誉会長に納まっている。第7位は紹介する必要も無い、ヘッジファンド業界の巨人、ジョージ・ソロス。第8位も、これまたユダヤ人。スティーヴン・シュワルツマン(Stephen A. Schwarzman)は共和党の大口献金者。彼は元「リーマン・ブラザース」のCEOで商務長官を務めたピーター・ピータソン(Peter George Peterson)と一緒に、かの有名な投資会社「ブラックストーン・グループ(The Blackstone Group)」を創設した。

Stephen Schwarzman 2Fred Eychaner 1Kenneth Griffin 1Anne Dias Griffin 2








(左: スティーヴン・シュワルツマン  / フレッド・アイチュナー  / ケネス・グリフィン  /  右: アン・ディアス・グリフィン )

   第9位は「ニューズウェッブ社(Newsweb Corp.)」の会長を務めるフレッド・アイチュナー(Fred Eychaner)で、これまた民衆党を支持するユダヤ人。創設者のアイチュナーは新聞、ラジオ、テレビ局を傘下に納めるメディア業界の大御所。第10位はケネス・グリフィン(Kenneth C. Griffin)で、彼はレーガン大統領に共感し共和党の支持者になった。グリフィンは「シタデル投資グループ(Citadel Investment Group)」というヘッジファンドを設立し、若手の投資家として知られている。彼の妻アン・ディアス(Anne Dias-Griffin)も投資家で、「タイガー・マネージメント社(Tiger Management Corp.)」のジュリアン・ロバートソン(Julian Hart Robertson, Jr.)と共に「アラゴン・グローバル・マネージメント(Aragon Global Management)」社を設立した凄腕だ。大学の頃から優秀だったアンは、「ゴールドマン・サックス」や「フィデリティー・インヴェストメント」のアナリストを務めていた。いつまでも他人の会社に勤めていないで、さっさと自分のヘッジファンド会社を設立するくらいだから、相当な遣り手だ。

                                                                                         支持政党             献金総額

 1 シェルドン・アデルソン (ユダヤ人)                     共和党                          $113,036,500 
 2 トマス・スタイヤー  (ユダヤ人)                     民衆党                          $50,773,518
 3 リチャード・ユーライン                                      共和党                            $39,095,229
 4 マイケル・ブルームバーグ (ユダヤ人)              民衆党                           $38,229,487
 5 ドナルド・サスマン(ユダヤ人)                     民衆党                            $22,876,300
 6 ジェイムズ・シモンズ(ユダヤ人)                    民衆党                            $18,918,210
 7 ジョージ・ソロス(ユダヤ人)                        民衆党                            $17,365,586
 8 スティーヴン・シュワルツマン(ユダヤ人)               共和党                             $12,814,000
 9 フレッド・アイチュナー(ユダヤ人)                    民衆党                            $12,173,500
10 ケネス・グリフィン                                          共和党                            $11,070,100

  こうして献金者リストのトップを見てみると、10人中8名がユダヤ人と判る。まともな精神を持つ西歐系アメリカ人なら、何となく嫌な気分になって眉を顰めるはずだ。もし、日本で献金者の上位10名が朝鮮系だったら、一般の日本人はどう思うのか? 政治に関心の無い国民でも、一瞬「えっ!」と言葉を詰まらせ、率直な感想を述べてはならないと察知するだろう。本当に呆れるくらい、アメリカの政界はユダヤ・マネーで溢れている。例えば、46歳の若さで亡くなったスティーヴ・モスティン(Steve Mostyn)は、ユダヤ人弁護士で、民衆党の資金管理団体「プライオリティーズ(Priorities) USA」に何百万ドルも注ぎ込んでいた。通信技術の設計・開発で有名な「クアルコム(Qualcomm)」の会長アーウィン・ジェイコブス(Irwin Mark Jacobs)も民衆党支持のユダヤ人。ハリウッドの大物プロデューサー、ジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)も民衆党を支援するユダヤ人なんだから、「アメリカは一体どうなっているんだ?」と言いたくなる。ちなみに、ジェイコブズもカッツェンバーグも、民衆党のドル箱たる「プライオリティーズUSA」に献金する常連であった。

Steve Mostyn 1Irwin Jacobs 2Jeffrey Katzenberg 2









(左:  スティーヴ・モスティン  / 中央: アーウィン・ジェイコブス  /  右: ジェフリー・カッツェンバーグ)

  一般の日本人は歐米の歴史や政治を学んでも、不思議とユダヤ人については調べない。日本の出版界は儲け主義を優先しているので、ユダヤ人に関する書籍は宗教を絡めた陰謀論や荒唐無稽なオカルト本が主流となっている。確かに、太田龍や宇野正美、赤間剛の本は娯楽的要素が多いから面白い。でも、真面目な日本人には耐えられない程の俗論である。日本の知識人はもっと現実的な視点からユダヤ人を研究すべきだ。イルミナティーとかユダヤ教徒の陰謀といったものではなく、政治家を買収する億万長者とか、国境を破壊するグローバリスト、経済の枠組みや社会のルールを変える者、金融制度を“合法的”にいじくる者などに焦点を当て、現実主義で論じるべきだ。訳の解らぬ宗教的黙示録よりも、100万ドル献金して1億ドル儲けようとするユダヤ人の方が、よっぽどリアルじゃないか。(アメリカ議会は向こう10年間で330億ドルの支援をイスラエルに与えようと画策しているそうだ。ユダヤ人のポケットにはいっているのかどうか知らないけど、マルコ・ルビオ上院議員たちは、「どんな」目的で国民の税金をイスラエルのユダヤ人に“献上”しようとしているのか? ちなみに、一般のアメリカ国民はこの「贈与」については全く知らない。それも当然で、主流メディアが一切触れないからだ。)

  そもそも、「中東でのハルマゲドン」を妄想するくらいなら、ワシントンで暗躍するイスラエルの工作員やアメリカ国籍を持つユダヤ人協力者を洗う方が遙かに有益である。彼らはムスリム・テロリストよりも遙かに危険だ。爆弾を抱えたアラブ人なら直ぐ「敵」と分かるが、高級なスーツを着てウォール街を闊歩する金融業者とか、連邦議会で財政・軍事政策を決めてしまう上院・下院議員だと、“いかがわしい”ユダヤ人と判っていても排除することはできない。歐米の保守派は「内なる敵(Enemies Within)」に敏感だが、国内にタカる異人種を攻撃するにしても人数的に劣勢だし、肝心のお金にも困っているから、場外で吠えるだけの負け犬となっている。これじゃあ、保険屋の謳い文句じゃないけど、「お金は大事だよぉ~」と唄いたくなるよねぇ。

  


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ティーパーティーを支持する大富豪 / 政治家に金銭を渡す人々(前編)

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共和党への献金
Congress 1Fundraiser Republican 1









  地上波や衛星放送を問わず、テレビのニュース番組は、トランプ大統領のスキャンダルとなればお祭り気分で報道するが、政党へ流れるお金になると急にトーンダウンし、滅多に報じることはない。しかし、政治家にとって大口献金者は神様みたいな存在で、支持母体とか派閥の親分と同じくらい貴重な後ろ楯である。それなのに、我が国の報道番組はCNNやABCのイヴニング・ニューズを翻訳するだけで、「誰がどの政治家にいくら渡したのか」は黙殺。肝心な点を中抜きにする「報道」なんか本当のジャーナリズムじゃないだろう。テレビ局だって制作費を下さるスポンサー企業は「お殿様」で、無料(タダ)で見ている視聴者なんかより遙かに大切なお得意様だ。局の重役達になると電通に参拝して、「どなたか気前の良い旦那衆はいませんか?」とお伺いをたてる。テレビ離れに苦しむ在京キー局は、中小企業にも頭を下げて、ちょっとでも広告費を稼ごうと必死だ。報道番組のプロデューサーも「世の中は先ず金だよ!」と判っているんだから、アメリカの選挙でどんな資金が動いているのか報道すべきなんじゃないか。トランプの揚げ足取りばかりを垂れ流す「報道」なんか下らなくて飽き飽きする。

  当ブログでは以前、ヒラリー・クリントンを始めとする民衆党候補者への献金者に触れたことがある。民衆党への巨額献金者には有名人が多いので、日本人でも氏名を公表すれば納得する人が多いだろう。しかし、共和党への献金者になると、ずっと知名度が低くて、名前を聞いても「誰?」と尋ねたくなる。とりわけ、保守派候補への献金者となれば、「どんな物好きなんだ?」と笑いがこぼれてしまうだろう。日本のみならず、アメリカやヨーロッパでも、保守系団体には資金が流入せず、危機感を抱く平民が個人献金をする程度。たまに、お金持ちが気前よく寄付してくれることもあるが、一般のアメリカ人は名前を聞いても誰なのか判らない。

  例えば、共和党や保守系団体に1,000万ドル以上(2018年)も献金したティモシー・メロン(Timothy Mellon)は、「パン・ナム・システムズ(Pan Am Systems)」のオーナー会長であるが、普通のアメリカ人だと「メロン一族」と教えられても、いったい「誰のお坊ちゃん」なのかは直ぐに答えられない。ただ、父親の名前を聞けばピンとくる人もいるだろう。ティモシーの父ポール・メロン(Paul Mellon)は、裕福なビジネスマンだが、商売人というよりアート・コレクターとか馬主、あるいは慈善家として知られている。ポールは純血馬をこよなく愛していたというが、彼自身もサラブレッドなんだから同種愛みたいだ。まことに羨ましい限りの人生だが、この御曹司が優雅な生活を送れたのは、父親が財務長官のアンドリュー・W・メロン(Andrew William Mellon)であったからだ。驚くことに、このメロン財務長官は三人の共和党大統領に仕えていた。すなわち、ウォーレン・ハーディング、カルヴィン・クーリッジ、ハーバート・フーバーの三政権で、実に1921年から1932年まで務めていたのだ。メロン家には他にも有名人が多く、ウィリアム・メロン(William Larimer Mellon)は「ガルフ石油(Gulf Oil Corporation)の創業者だし、リチャード・メロン・スケイフ(Richard Mellon Scife)はメロン銀行の後継者であると共に、共和党系シンクタンク「ヘリテージ財団」への主要スポンサーでもあった。(リチャードは母親サラ・コーデリア・メロンの血筋で一族となっている。「メロン銀行」はトマス・メロンが創業者。)

Andrew Mellon 2Paul Mellon 1Richard Mellon Scaife 2








(左: アンドリュー・メロン  /  中央: ポール・メロン   /   右: リチャード・メロン・スケイフ )

  話しを戻す。我が国でもそうだけど、米国の大富豪はなぜか保守主義が嫌いで、国際主義とか人権、平等、環境の方が大好きだ。でも、そのスローガンは大衆操作のためで、自分の利益を最大化へと導くグローバリズムが根底にある。雲よりも高いタワーマンションに住む支配者は、ペントハウスから金銭をばらまいて下界の大衆を動かそうと謀る。たぶん、彼らにとったら長屋に住む労働者など、大きな口を開けて餌をねだる池の鯉に見えてしまうんじゃないか。 

Richard Uihlein 1(左  / リチャード・ユーレイン )
  ここ数年、アメリカ政界を眺めていると、「おやっ!」と思う人物が共和党の常連献金者となっていた。それは連邦選挙の候補者や共和党の資金管理団体(Super PAC)に2,500万ドル以上も献金していたリチャード・E・ユーライン(Richard Ellis Uihlein)である。昨年(2018年)に行われたイリノイ州の知事選ではユーラインと現職知事との間で一悶着あったから、名前くらいは覚えている人もいるだろう。ユーライン氏は地元の共和党知事であるブルース・V・ラウナー(Bruce Vincent Rauner)に過去260万ドルを献金しており、知事の資金管理団体である「リバティー・プリンシプル(Liberty Principle PAC)」と「イリノイ政策研究所(Illinois Policy Institute)」を通して1,200万ドル以上渡していたそうだ。しかし、二人の間に亀裂が生じてしまった。ラウナー知事が税金で補助される妊娠中絶法案に署名してしまい、共和党保守派からの批判を受けてしまったのだ。

Bruce Rauner 1Jeanne Ives 1Jay Robert Pritzker 2









(左: ブルース・ラウナー  / 中央: ジーニー・アイヴス /  右: ジェイ・ロバート・プリツカー)

  この裏切りに憤慨したユーライン氏は、共和党の対抗馬であるジーニー・アイヴス(Jeanne Ives)州下院議員に小切手を渡し、彼女は250万ドルの政治献金を手にした。(Maggie Severns, "The biggest Republican megadonor you've never heard of", Politico, March 19, 2018.) そして、州知事選に名乗りを上げたアイヴス議員は、共和党の予備選に出馬するが、僅差でラウナー氏に負けてしまった。こうして知事選は共和党のラウナー知事と民衆党のジェイ・ロバート・プリツカー(Jay Robert Pritzker)候補との闘いになった。(このプリツカーは大変なお金持ちで、アメリカのビジネス界では知らぬ者は居ないくらいだ。彼とその一族については過去の記事を参照。) 一期目を果たしたラウナーは再選されると思いきや、意外と新人のプリツカーに差をつけられ、得票数で見るとラウナーが39.2%しか獲得できず、プリツカーが54.2%を獲得して勝者となった。

Kevin Nicholson 1Josh Hawley 1Chris McDaniel 1Roy Moore 2








(左: ケヴィン・ニコルソン  / ジョシュメハウリー / クリス・マクダニエル /  右: ロイ・モアー)

  ここでユーライン氏が支援した他の政治家を紹介しよう。連邦上院議員選に出馬したケヴィン・ニコルソン(Kevin Nicholson)は、ユーライン氏から700万ドル以上をもらっていたそうだ。同じく上院議員選に出馬したジョシュ・ハウリー(Josh Hawley)は、200万ドルを受け取り、ミュズーリ州のクリス・マクダニエル(Chris McDaniel)州司法長官は50万ドルをもらっていた。ウェスト・ヴァージニア州から出馬したパトリック・モリゼイ(Patrick Morrisey)州司法長官は25万ドル、スキャンダルで話題となったアラバマ州最高裁のロイ・モア(Roy Moore)首席判事は10万ドル以上の献金を受けていたという。2016年の大統領選でも支援を受けたテッド・クルズ(Ted Cruz)上院議員は、再選にあたりユーライン氏から30万ドルの資金を得ていたそうだ。ただし、2016年の大統領選挙では、当初ユーライン氏はウィスコンシン州のスコット・ウォーカー(Scott Walker)知事を支援していた。しかし、ウォーカー知事が脱落したので、クルズ議員に乗り換え、そのクルズが脱落するるや、共和党の候補者となったトランプに賭けることににしたそうだ。ユーライン氏はトランプの資金管理団体「グレイト・アメリカPAC」を通して献金を行い、トランプが当選すると、就任式用に50万ドルを寄付したという。

Patrick Morrisey 1Scott Walker 1Ted Cruz 1Donald Trump 14








(左: パトリック・モリゼイ  / スコット。ウォーカー / テッド・クルズ /  右: ドナルド・トランプ)

  ユーライン氏は気前よく大金を渡していたが、その成果は芳しくなかった。クルズ上院議員は再選され、ハウリー候補も当選を果たしたものの、他の候補者は惨敗だった。マクダニエル候補は予備選で敗退し、モリゼイ候補は民衆党のジョー・マンチンに敗れてしまった。期待されたモア候補も本選で民衆党のダグ・ジョーンズを倒すことはできず、苦杯を嘗める結果となってしまった。選挙は一種のギャンブルだが、ユーライン氏の勝率はそんなに高くない。賭ける馬がイマイチだった。

大手酒造メーカーの子孫

  それにしても、保守派候補を応援するユーラインとは、一体どんな人物なのか。彼はエリザベス夫人と共に自分の会社「ユーライン社(Uline Inc.)」を運営する最高責任者であるという。この「ユーライン社」は、パッケージ(包装)を主体として関連部品の販売や配送までを幅広く手掛ける大手企業で、約6千名の従業員を抱える流通・販売業者であるらしい。リチャードの父親がオフィス器具を扱う「ジェネラル・バインディング社(General Binding Corporation)」の創業者だから、息子も似たような業種の企業を創設したのだろう。

Joseph Schlitz 1(左  /  ジョセフ・シュリッツ)
  一代で北米に支店を広げたリチャード・ユーラインは、よく知られた一族の出身で、ミルウォーキーに本拠を構えるビール会社、「シュリッツ(Schlitz)」を経営していた人物の子孫である。この会社は元々ドイツ系アメリカ人のアウグスト・クラグ(Georg August Krug)が創業した「クラグ酒造」で、彼が亡くなるとアン・マリー・クラグ(Anne Marie Krug)夫人が後継者となり、彼女はドイツ移民のジョセフ・シュリッツ(Joseph Schlitz)と再婚する。創業者の寡婦が結婚したことで、「クラグ酒造」は「ジョセフ・シュリッツ酒造会社(Joseph Schlitz Brewing Comapny)」と 改名することになった。しかし、ジョセフが亡くなると、会社の経営権はアウグスト・クラグの甥に当たるアウグスト・ユーライン(Georg Carl August Uihlein)に移ることになった。新社長の父はヨゼフ・ベネディクト・ユーレイン(Josef Benedikt Ühlein)で、母親はカトリーナ・クラグ(Katharina Krug)であるという。母のカトリーナはゲオルグ・クラグ(Georg Krug)の娘で、先代のアウグストにとっては妹になる。したがって、アウグスト・ユーレインはゲオルグ・クラグの孫で、アウグスト・クラグの甥に当たるという訳だ。

  「シュリッツ」を引き継いだアウグスト・ユーレインは、兄弟のエドガー・ジョセフ(Edgar Joseph Uihlein, Sr.)、ロバート(Robert Uihlein, Sr.)、エルウィン(Erwin Uihlein)と一緒に会社を経営することにしたそうだ。禁酒法時代が終わると、シュリッツは事業拡大を続け、一時期は「バドワイザー」で知られる「アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)」社に次ぐ業界2位の地位を築いていたという。ところが、競争の激化と品質低下のせいで同社は凋落の道を辿ることになり、1982年、ライバルの「ストロー社(Stroh Brewing Company)」に買収されてしまうのだ。ところが、この「ストロー社」も栄枯盛衰は免れず、同業者の「バスト社(Pabst Brewing Company)」に吸収されてしまった。ちなみに、この「パブスト社」はドイツ系のジェイコブ・ベスト(Jacob Best, Sr.)が第19世紀に創業した酒造メーカーで、息子のフィリップとジェイコブ・ジュニアが継承し、社名を「フィリップ・ベスト酒造(Phillip Best Brewery)」に改めたことがある。後に、娘婿であるフレデリック・パブスト(Johann Gottlieb Frederick Pabst)が、義父で社長のフィリップから会社を買い取り、看板を「パブスト酒造」に改めたそうだ。(フレデリックはフィリップの娘マリーナと結婚していた。) そして、彼の息子であるフレデリック・ジュニアは、アウグスト・ユーレインの娘であるアイダ(Ida Uihlein)と結婚した。会社というのは閨閥で繋がっている事がよくある。

Frederick Pabst father & sonFrederick Pabst & Ida Uihlein & children








(左: フレデリック・パブストシニアと息子のジュニア  /  右: フレデリック・パブスト・ジュニアとアイダ・ユーレインと子供たち)

  「人生、楽あゃり苦もあるさ~」というが、法人も同じで、アメリカだと企業買収は日常茶飯事だ。このパブストも時代の波には勝てず、企業買収の対象になってしまった。M&Aを仕掛けたのは、次々と酒造メーカーを買収するポール・カルマノヴィッツ(Paul Kalmanovitz)というビジネスマン。この敏腕商人はポーランドからやって来たユダヤ移民で、財力を貯えると、1950年にロサンジェルスの酒造メーカー「マイヤー社(Maier Brewing Company)」を買収し、1970年には「ラッキー・ラガー(Lucky Lager)」、次いで80年代になるとワシントン州の「オリンピア(Olympia)」、およびテキサス州の「パール(Pearl)」、そして「パブスト」を傘下に納めたという。しかし、ユダヤ人の手に落ちた「パブスト」は、ギリシア系ビジネスマンの懐に移ることになった。ギリシア移民としてアメリカにやって来たチャールズ・ディーン・メトロポロス(Charles Dean Metropoulos)は、「パブスト」を2億5000万ドルで買収し、カルフォルニアに本拠を構えたそうだ。

August Uihlein 1Jacob Best SrCharles Dean Metropoulos 1Eugene Kashper 1








(左: アウグスト・ユーレイン  / ジャイコブ・パブスト / チャールズ・ディーン・メトロポロス /  右: ユージン・カシュパー)

  アメリカというのは本当に資本制社会で、老舗企業といえども単なる投資の対象でしかない。2014年、「バブスト」は「ブルー・リボン・インターミディエイト・ホールディングス(Blue Ribbon Intermediate Holdings)」に売却された。この会社はユージン・カシュパー(Eugene Kashper)という投資家によって運営されている。彼はソ連からやって来たユダヤ移民で、「パブスト」を手に入れると社長を経て会長になった。彼は買収にあたり、ジョン・ゲイリー・シャンズビー(John Gary Shansby)とチャールズ・エッサーマン(Charles H. Esserman)が経営する投資会社「TSG Consumer Parters」と組んでいた。アメリカ社会を眺めていると、本当に感慨深い。ドイツ系移民が興したビール会社は、様々なビジネスマンの手を経て最終的にユダヤ人のポケットに入ってしまうのだ。

  そう言えば、大手飲料メーカーの「シーグラム」社もユダヤ人の手に落ちた企業である。この会社は元々イギリス系カナダ人のジョセフ・シーグラム(Joseph Emm Seagram)が創業したことで知られている。ところが、1928年、シーグラム家の後継者が、ロシア系ユダヤ移民のサミュエル・ブロンフマン(Samuel Bronfman)に売却したことから歴史が変わってしまう。父親のサミュエルが亡くなると、息子のエドガー・M・ブロンフマン・シニア(Edgar Miles Bronfman, Sr.)が二代目経営者となり、三代目は彼の息子であるエドガー・ジュニア(Edgar Bronfman, Jr.)が就任した。ところが、彼は飲料会社よりエンターテイメント業界の方に興味があるらしく、シーグラムの株をデュポン(DuPont)やヴィヴェンディ(Vivendi)に売却し、次第に経営権を失って行ったそうだ。

Joseph Emm Seagram 1Samuel Bronfman 2Edgar Bronfman Sr. 003Edgar Bronfman, Jr








(左: ジョセフ・シーグラム  / サミュエル・ブロンフマン / エドガー・ブロンフマン Sr. /  右: エドガー・ブロンフマン Jr.)

  ブロンフマン家の御曹司エドガー・ジュニアは、念願叶ってエンターテイメント業界に進出し、ワーナー・ミュージック・グループの会長を務めることができた。ちなみに、彼の父エドガー・シニアは世界ユダヤ人会議(World Jewish Congress)の総裁を務めており、冷戦時代末期には、クレムリンの支配者たちと交渉し、ユダヤ人がソ連から抜け出し、アメリカへ移住できるよう手助けしたそうだ。まったく、ユダヤ人は他人の国に仲間を引き込むことが大好きだ。ブロンフマンのせいで米国のユダヤ人は更に増えてしまった。西歐系アメリカ人にしたら、とんでもない迷惑人種だが、ブロンフマンは1988年、東ドイツのエリッヒ・ホーネカー(Erich Honecker)議長から「人民の友勲章(Stern der Völkerfreundschaft)」を受賞し、1999年にはビル・クリントン大統領から「自由勲章(Medal of Freedom)」をもらったそうだ。

Edgar Bronfman Sr. & Bill ClintonErich Honecker 1Fidel Castro 1Nikita Khrushchev 1







(左: エドガー・ブロンフマンとビル・クリントン  / エリッヒ・ホーネッカー / フィデル・カストロ  / 右: ニキータ・フルシチョフ )

  だいぶ話が逸れてしまったが、リチャード・ユーラインは大富豪にもかからわず、まともな常識を備えていた。彼の父親は息子に資本制の重要性と社会主義の悪を教えていたそうだ。父のエドガーはソ連のニキータ・フルシチョフやキューバのフィデル・カストロを非難していた。(John J. Miller, "Outside the Box", National Review, May 24, 2018.) 製造業を営んでいたエドガーは、第二次世界大戦の時、海軍パイロットになっていたから、ソ連やキューバの社会主義に対して警戒感を持っていたのだろう。ユダヤ人の家庭だと逆に社会主義は善で、民衆を苦しめる資本制度は悪と教えられているから、小さい頃からリベラル派に染まる子供が多い。一方、“アメリカ的”な親に育てられたリチャードは、良家のお坊ちゃんが集まる名門校、マサチューセッツ州アンドーヴァーにある「フィリップス・アカデミー(Phillips Academy)」に通い、そこからスタンフォード大学に進学したという。意外なことに、大学では歴史を専攻したそうだ。

  共和党の献金者といえども、大金を渡すからには何らかの「見返り」や「利益」を求めているに違いない。しかし、少なくともリチャード・ユーラインは、アメリカの国益と将兵を犠牲にして、外国や自社の利益を優先している訳じゃないだろう。民衆党の献金者にはアメリカよりもイスラエルの権益を優先する奴らがウジャウジャいるから、そいつ等と比べればユーライン氏はまだマシな方である。次回は民衆党のユダヤ人献金者について紹介したい。



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