無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2020年06月

女帝の言葉は外国風 / 日本語だと格好悪い ?

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房


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カタカナ英語を使いたがる人々

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  「横文字(西歐語)」が好きな日本人は、だいたい二つ種類に分けられる。一つは、職業柄、「商売」の一環として、わざと外国語(カタカナ英語など)を使う人だ。例えば、手品師の「ピェール」は、「フランス生活が長いマジシャン」というキャラクターで客前に出る。彼は手品の最中、わざと「シル・ヴ・プレ(sil vous plaît)」と述べた後、「あっ、ついフランス語を喋ってしまいました!」とギャグを飛ばす。でも、お客さんは「いつもの冗談」と判っているから、ゲラゲラと笑って赦してくれる。「ハクション大魔王」みたいに、墨でクルッと髭を描くピェールだが、そのカード・マジックは絶品で、観客は奇抜なトリックに釘付けとなり、いつの間にか惹きつけられて行く。滑稽なメイクとは裏腹に、流れるような手さばきを見せるから、お客さんは自然と大拍手。ピェールのような一流マジシャンなら、横文字を口にしても異論は無い。

  もう一つのタイプは、大した知識も無いのに矢鱈と横文字を使う見栄っ張りだ。この典型例は東京都知事の小池百合子。彼女は日本人が相手なのに、ちょくちょく英語を交ぜてくるから、「何だこのオバはん ! ルー大柴かよ !」と突っ込みたくなる。 そこで小池語録を繙くと、過去の事例が次々と湧き出てくる。ノア・ウェッブスター(英語辞書の編纂者)も脱帽するが、「ワイズ・スペンディング(賢い支出)」、「ダイヴァーシティー(多様性)」、「ガヴァナンス(統治・管理)」、「コミットメント(誓約・献身)」、「サステイナブル(持続可能な)」といったカタカナ英語がズラリ。アラブ人相手でも英語を用いる東京都知事は、「私は国際派なのよ !」と鼻高々。でも、日本人相手の記者会見なんだから、日本語を使うべきだろう。どうして、必要も無いのに横文字を使い、その直後に「言い訳」のような「和訳」を述べるのか? ところが、小池都知事は英語だけじゃなく、ドイツ語にも堪能なようで、「メルクマーク(Merkmal / 指標)」とか「アウフヘーベン(Aufheben / 止揚)を口にして「インテリゲンチャ」を演出する。目立ちたがり屋の小池氏のことだ。「こっちを向いて !」と言うときも、フランス語風に「アトンション(attention) !」と呼びかけるんじゃないか? また、不都合な事を訊かれたら「パルドン(Pardon)?」と聞き直して逃げたり、「ケスクセ(あら、何かしら? / Qu'est-ce que c'est?)」と言って“とぼけたり”する可能性もある。だが、“得意”なアラビア語だけは、何らかの“事情”で封印しているようだ。

  小池都知事は日本国民のためにスピーチを行っているのか、それとも自分を売り出すためにコンサートを上演しているのか、筆者にはさっぱり解らない。彼女は人々が武漢ウイルスで困窮しても、あるいは移動制限で不自由になっても、お得意の英語でロックンロール。神妙な表情を浮かべながら、「ロックダウン ! (都市封鎖)」とか「オーヴァーシュート ! (患者の急増)」、「クラスター ! (集団感染)」といったカタカナ用語を並べ立てる。「誰にでも解るように、ちゃんと日本語で言えばいいじゃないか !」と言いたくなるが、日本語だけで述べたら野暮ったい。なるべく“スマート”に喋らないと、“インテレクチュアル”に思われないから。(あっ ! 筆者も、つい「ルー大柴モード」になってしまった。) こんな風に言うと、「タカ&トシ」のトシ(三浦敏和)から「欧米か!」と叱られそうだが、ユリコ様は宝塚のトップ・スター以上の存在だからOK牧場。(小池都知事ならガッツ石松のセリフを堂々とパクってもお咎め無し。)

  とにかく、仮にもユリコ女史は東京都知事なんだから、重要な発表であれば、ちゃんと「日本語」で話すべきだろう。だいたい、「ステイ・ホーム(Stay Home !)」って何だ? やけに居丈高じゃないか。普通の日本語ほ使って「家に居ろ !」とか、「自宅から出るな !」と言えばいいのに、カタカナ英語で「スティ・ホーム」なんて、人を小馬鹿にしている。我々は犬じゃないぞ !! ユリコ様(公方様?)は、給付金を配る時にも、「待て ! (Stay / Wait !)」とか「伏せ ! (Down !)」、「グルっと転がれ ! (Roll over !)」とでも言うのか? 小池氏のことだ、よく出来たら、オっちゃんオバちゃんに対しても、「グッド・ボーイ ! グッド・ガール !」と褒めそうだ。小池と同じく、役人も横文字が趣味のようで、「コンセンサス(合意)」、「コンプライアンス(法令遵守)」、「ウィンウィン(両方が得)の関係」などと言って偉そうにする。小池や官僚はエリート意識満々なんだろうが、一般国民だって教養はあるんだ ! コケにするんじゃない !

滑稽な日本の外国かぶれ

  だいたい、インテリ気取りの日本人は、何かにつけ外国語を使いたがる。例えば、マスコミは「アパートメント(or flat)」を「マンション(mansion)」と呼ぶが、アメリカ人が聞けば「一軒家の豪邸」を思い浮かべてしまうぞ。不動産屋が「マンション」と称して紹介するのは、たいてい「コンドミニアム(condominium)」みたいな物件である。新聞やテレビの報道記者は、日本語で「長屋」と言えばいいのに、白銀台とか高輪、恵比寿などに建つ高層ビルだから「マンション」と呼んで恥じない。それなら、「高級長屋」でいいじゃないか。分譲された一角に住んでいるだけなんだから。他にも、巷の賃貸物件を見ていると、様々なカタカナ名称があって何がなんだか判らない。例えば、「マカロニほうれん荘」はフィクションだけど、普通の貸しアパートなら「何とか荘」と呼べばいいはずだ。それなのに、奇妙な和製英語の「コーポ(corporate house)」、高台にある訳じゃないのに「ハイツ(heights)」と称する二階建ての貸家、フランス風に「メゾン(maison)」を附けるプレハブ住宅、ドイツ風に「ハイム(heim)」と名付けられた洋風長屋、インド総督が住んでいる訳じゃないのに「レジデンス(residence)」と呼ばれる集合住宅など、詐欺物件みたいな家ばかり。

  それでも、やっぱり日本人は横文字が大好き。特に、テレビや雑誌は奇妙な和製英語で溢れている。例えば、昔、マスコミや被服業界では「ハウスマヌカン(house-mannequin)」という言葉が流行っていた。筆者は洋服店の「マネキン(人形)」かと思ってしまったが、ブティックで働く「販売員」の呼び名と知って驚いた。実際は「女性の売り子」なんだから、「女子店員」でいいんじゃないか。ついでに言えば、「カリスマ美容師」という呼び名もあって、筆者は「新興宗教の床屋」かと思ったが、よく聞いてみると「腕のいい散髪屋」あるいは「人気の美容師」とのことだったので、「なぁ~んだ、そんな意味かい !」と呆れたことがある。だって、「カリスマ(charisma)」と言えば、神様から与えられた特別な能力とか魅力を指す言葉なので、一般的には宗教学または社会学の説明で使われる学術用語だ。

  最近のホテルでも似たことがある。例えば、よく「コンシェルジュ(concierge)」という言葉を耳にするが、宿泊客の要望や相談に応じる「世話係」なら、フランス語じゃなくて日本語の役職名を用いた方が親切だろう。病院だと「インフォームド・コンセント」なる外来語を使うが、「説明して同意を得ること」でいいじゃないか。市役所も「環境アセスメント(assessment)」なる言葉を使いたがるが、要するに「環境への影響を評価する」ということだろう。日本人が口にする変な英語は非常に多く、ホテルやレストランでの「クレーム」というのは、「苦情(complaint)」のことで、「主張(claim)」じゃおかしい。不可解な横文字は他にもあって、「歌手がブレークする」とか「今年ブレークした新人」という表現があるけど、どうして脚光を浴びるようになった藝人に対して「break(壊れる、途切れる、割る)」といった英語を使うのか? 筆者は未だに解らない。

  和製英語を口にするが、その意味や由来を知らぬまま使っている人は多い。例えば、二人並んで撮った写真を「ツー・ショット写真」と呼ぶらしいが、被写体が3人、4人、10人、36人、100人と増えたら、どう呼ぶのか? 筆者は修学旅行の時、約30名で集合写真を撮ったことがある。なら、こうした写真は「サーティ・ショット写真」というのか? 「ツー・ショット写真」と聞けば、普通は「二回シャッターを切る」と思うはずだ。この「ショット(shot / 弾丸・射撃)」は酒場でも使われる言葉で、小さなコップにテキーラを注いで飲む時、「1杯(one shot)」「2杯(two shots)」と数える。一方、英語と思っている言葉が、実はフランス語由来という場合もあるので、話す相手によって注意せねばならない。例えば、洋菓子屋の「シュークリーム」はフランス語の「ショアラクレム(Chooux à la crème)」が訛った言葉で、イギリス人が聞けば「ケーキ屋で靴墨(shoe cream)か!」と驚いてしまう。

  和製英語は「カタカナだから正しい英語」と思ってしまう虞(おそれ)がある。例えば、文房具の「ホチキス」も日本だけの呼称で、英語では「ステイプラー(stapler)」だ。昔、日本人が「ホチキス社(E.H. Hotchkiss Company)」から輸入したので、この名前が附いたらしい。遊園地の「ジェット・コースター(jet coaster)」も和製英語で、「ローラー・コースター(roller coaster)」が正しい。考えてみれば当たり前で、ジェット・エンジンなんか附いておらず、「ローラー」で滑走しているんだから、最初から「ローラー・コースター」でいいはずだ。

   日本人はある英語を別の英語で使うことも多く、改築(修理)を「リフォーム」とか「リニューアル」呼ぶが、正しくは「リノヴェイション(renovation)」と言うべきだし、「バージョンアップ」は「アップグレイド(upgrade)」、「バイキング料理」は「ビュッフェ(buffet)」、「ペット・ボトル」は「プラスチック・ポトル(plastic bottle)」と呼ぶべきだ。「メリット」や「デメリット」も日本的な使い方で、本来なら「アドヴァンテイジ(advantage)」とか「ディスアドヴァンテイジ(disadvantage)」と言う方が分かりやすい。

  日本人は色々な国から言葉を入れてしまったので、語源の種類が解らなくなっている。例えば、オランダ語から入った「コップ(kop)」だが、英語で言えば「カップ(cup)」となり、日本人の子供は何が違うのか解らない。水だと「コップ」一杯となるが、清酒だと「ワン・カップ」となる。(ガラス製の「グラス」でも、人によっては「コップ」と呼ぶからややこしい。) 野球やゴルフの試合で貰う「優勝杯」の時は「カップ」と言い、「優勝コップ」と呼んだら、景品で貰う「マグ・コップ」みたいだ。余計な事だが、白米を盛る「茶碗」は「カップ」じゃなく「ボウル(bowl)」である。日本人だとピンとこないが、この「ボウル」は「窪地」をも意味するから、「フットボールの競技場」を指すこともある。

  一般的には意識されないが、日本語にはヨーロッパ由来の言葉とカタカナ英語が併用されているので面白い。例えば、「輪ゴム」の素材は、オランダ語の「ゴム(gom)」で、口で噛むゴムは英語の「ガム(gum)」だ。しかし、歯茎を指す「ガム」は古英語の「goma」から来ているので別口となる。医療用語にはドイツ語が使われ、有名なのは医者が書き込む「カルテ(karte / krankenbericht)」である。「ガーゼ(英語 / gauze)」はフランス語(gaze)から来ているが、元々はパレスチナの地名で、ユダヤ人とアラブ人が血みどろの戦いを繰り広げる「ガザ(Gaza)」が起源であるらしい。確かに、たくさんのガーゼが必要だ。

  ついでに言うと、現在の中学生や高校生は、福沢諭吉や勝海舟が蘭学を志し、「オランダ語」を勉強していた事は知っているが、オランダに関しては意外と知識が無い。そもそも、「オランダ」は「州名」で「国名」じゃない。「ネーデルラント王国(Koninkrijk der Nederlanden)」は、「フリースラント(Friesland)」や「フローニンゲン(Groningen)」、「ヘルデルラント(Gelderland)」、「ドレンテ(Drenthe)」、「フレヴォラント(Fleboland)」、「リンブルク(Limburg)」、「ゼーラント(Zeeland)」、「ユトレヒト(Utrecht)」、「オーファーアイセル(Overijssel)」などの州で形成される連邦国家だ。ちなみに、南半球にある「ニュージーランド(New Zealand)」の国名は、元々オランダ語の「新しいゼーラント(Nieu Zeeland / Nova Zeelandia)」で、オランダの冒険商人であるアベル・ヤンソン・タスマン(Abel Janszoon Tasman)がこの島に到達したから、この名前で呼ばれたという。(第17世紀にアジア大陸に進出したオランダ人の活動は、「オランダ東インド会社」の歴史を調べてみれば分かる。) 最初は「南海の島(Staaten Land)」という名前で呼ばれていたが、後に本国の「ゼーラント州」に因んで「新しいゼーラント」と呼ばれ、さらに英語風となって「ニュージーランド」に変わったらしい。

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(左 : アベル・ヤンソン・タスマン   /  中央 : アントニー・ヴァン・ディーメン  /  右 : サイモン・ベーカー )

  ついでに言えば、オーストラリアの隣にある「タスマニア(Tasmania)」島は、元々タスマンの上司であるアントニー・ヴァン・ディーメン(Anthony Van Diemen)に因んで「ヴァン・ディーメン島」と呼ばれていたが、後に部下のタスマンに因んだ「タスマニア」という名前が一般的になった。 もう一つのトリビアを述べると、人気ドラマ『ザ・メンタリスト(The Mentalist)』で主役を務めたサイモン・ベーカー(Siomon Baker)は、タスマニア出身の俳優である。彼自身も米国のトーク・ショーで「タスマニア育ち」と答えていたから本当なんだろう。ニュージーランドやタスマニアを旅行する日本の大学生でも、国名の由来を知らない人は結構多く、イングランドの地名から取った名称と思っている。確かに、オーストラリアのシドニーやメルボルンには、「カンタベリー(Canterbury)」といった英国風の街があるから、イギリス系入植者が本国を真似たんだろうなぁ、と推測してもおかしくはない。でも、第17世紀や18世紀の頃は、オランダ人も海外で領土拡大を目指していたから、オランダ風の地名はあちこちにある。

  さらに脱線するが、NY州のマンハッタン島(ニュー・アムステルダム)にオランダ系の地名が多いのは、イギリス人と共にネーデルラント人が多く入植したからだ。有名な入植者と言えば、統治者となったピーター・スタイヴァサント(Petrus Stuyvesant)が挙げられる。彼の子孫には名士が多い。例えば、フランクリン・D・ローズヴェルト大統領の学友で、後に批判者となった下院議員のハミルトン・フィッシュ3世(Hamilton Stuyvesant Fish III)は、ピーターの末裔である。その他にもオランダ系の地名は多く、ナッソー(Nassau)とかハーレム(Haarlem)は誰でも判る。日本人旅行者も訪れるクィーズの「フラッシング(Vlissingen)」とか、ブルックリンの「ブッシュウック(Boswijck)もオランダ系の地名だ。「クリニッチ・ヴィレッジ(Greenwich Village)」の名前もオランダ語の「Groenwijck」からきている。

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(写真  /  ネーデルラントの風景)

  話を戻す。日本人が呼ぶ「オランダ語」と言っても、それが「標準ネーデルラント語(Standaardnederlands)」なのか「ホラント方言(hollandais)」、「フラマン語(vlaams)」あるいは「フリジア語(Frysk / Fries)」なのか判らず、高校生だと一つの「国語」と思いがちだ。(公用語は「一般教養ネーデルラント語(Algemeen Beschafdt Nederlands)」である。まぁ、山の手言葉を土台にした標準日本語みたいな言葉と思えばいい。) ネーデルラントの地理となれば更にあやふやで、フランス人が呼ぶ「低地国(Pays-Bas)」と聞いても、「オランダ(Hollande)」という州なのか、それとも連邦全体を指す「ネーデルラント王国」なのか、はっきりしないのだ。今の高校生や大学生は「バタヴィア」と聞けば、インドネシアの首都「バタヴィア」しか頭に思い浮かばないが、元々はネーデルラント王国の北部、つまり現在のアムステルダムやハーレム、フリースラント辺りを指す古い地名である。タキトゥス(Tacitus)などの古代ローマ人は、ここを「バタウィア(Batvia)」と呼んでいた。それで、この地域に住むゲルマン人を「バタウィア人」と呼んでいて、近くにはザクセン人も住んでいたから、オランダ人とイギリス人(アングロ・サクソン)が容姿や風俗の点で似ているのは当然である。(1795年から1806年にかけて「バタウィア共和国」というのも存在した。)

  今のご時世、日本語で言える物事でも、英語で言うと「格好いい!」という風潮は実に多い。筆者は昔、小遣い稼ぎで子供に英語を教えていたことがある。その当時、雑談で日本語を用いたら中学生や高校生の女子に馬鹿にされたから、今でも悔しい。例えば、女子高生が穿いていた「ルーズソックス」が思い出せず、「蛇腹の靴下」と言ったら、ゲラゲラ笑われてしまった。子供だからしょうがないけど、日本語の語彙が不足している子供は多く、中には「“ジャバラ”って何?」と訊いてくる女の子さえいた。さらに、筆者が「襟巻き」とか「乳母車」と口にしたら、「先生、言い方が古いよぉ ~」と笑われ、「マフラー」や「ベビーカー」と訂正されてしまった。筆者はムっときたから、「じゃあ、エリマキトカゲはマフラー・トカゲなのか?」と反論したら、「それは別 !」と簡単にあしらわれてしまった。それでも腹立たしいので、「ベビーカーというのは和製英語で、正しくはストローラー(stroller)とかバギー(buggy)、プッシュチェアー(oushchair)なんだよ」と教えたら、「えっ、そうなの !」と驚いていた。(日本で「バギー」と言えば、山道や砂浜を走る四輪駆動車か、ゴルフ・カートを思い出すから意外なんだろう。食料品店で使う「ショッピング・カート」も、英語では「バギー」だ。もう、和製英語はなくしてもらいたい。)

  乳母車ついでに教えたのは、赤ん坊を指す俗語の「アンクル・バイター(ankle biter)」とか「スプログ(sprog)」といった英単語である。日本の公立学校だと「sprog(ガキんちょ)」や「lad(若者)」という単語は教えないし、固い表現を中心に教科書が作られているから、実際のイングランドやアメリカで戸惑う日本人は多い。例えば、普通の高校生だと「約束する」を「I promise you.」と訳してしまうが、アメリカ人なら「You have my word.」と言うだろう。今ではTVドラマ『24』の影響もあって、ジャック・バウアーの名セリフを口にする人も少なくない。外国語を習得するには、現地に住むことも有効な手段だ。筆者が米国の学生寮に入居した時、ベッドの掛け布団が必要だと気づき、近くの雑貨店に赴いたことがある。そこで、寝具コーナーの店員に「デュヴェイ(duvet)ありますか?」と訊いたら、「ああ、コンフォーター(comforter)ね !」と言われたので慌ててしまった。筆者が日本人だから「おしゃぶり(dummy)と間違がわれたのかも?」と思い、すかさず「あの、キルトやブランケットのような物」と言い直した。

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(左 : 「おしゃぶり」をしている赤ん坊  /  右 : ヘソを曲げた少女)

  でも、その店員は理解していたようで、ちゃんと掛け布団コーナーへと案内してくれ、筆者は無事買うことができた。それにしても、布団の名称が赤ん坊の「おしゃぶり」とは・・・。確かに、アメリカ人は「おしゃぶり」を「パシファイアー(pacifier)」と呼ぶから混乱しないが、日本人からすると焦ってしまう。ちなみに、腹話術の人形とかは、「ドール(doll)」でもいいんだけど、筆者は何となく「ダミー(dummy)」の方を使ってしまう。自動車の安全検証の時に用いる人形も「ダミー」なので、間違いとは言えない。でも、洋服を着せた人形だと「マネキン」なので、英語というのは本当に難しい。ちなみに、「ダミー」は「間抜け」も意味するから、本当に厄介な言葉である。(日本では人を騙すための「偽会社」という意味で「ダミー会社dummy company」を使う場合がある。) そういえば、人名が変な風に使われるから、これまたややこしい。例えば、「ゲロを吐く」というときに「ラルフ(ralph)」を用いるし、便所を指すときに「ジョン(John)」と言う時がある。「リチャード(Richard)」の渾名は「デック(Dick)」だけど、この言葉は「ペニス」も意味するから、アメリカ人はどう思っているのか。民衆党員なら、軽蔑を込めてチェイニー元副大統領を「デック」と呼ぶんだろうけどね。

  ここでは関係無いけど、日本で英語を勉強しても、いざアメリカで暮らすと米国式英語で混乱することがある。例えば、ニューヨークの軽食屋で、隣のアメリカ人がマフィンみたいなパンを食べているので、筆者が何かと訊いたら、「ビスケット(buiscuit)」と教えてくれた。日本で「ビスケット」は「森永のビスケット」みたいなお菓子だが、米国だと「クッキー(cookie)」となる。筆者はあまり違いを考えていなかったので、「そういえば日本人は両方使うよなぁ」と改めて考えたことがある。「コーン(corn)」も“ややこしい”英語で、米国だと「トウモロコシ」で、英国だと「穀物(grain)」を意味して、小麦などを指す。「コーン」は穀物から「粒」を連想するから、「コンビーフ(corned beef)」は「塩粒」で漬けた牛肉となる。トウモロコシが入っていないのに「コーンのビーフ」と言うから、日本の子供が首を傾げてしまうのは当然だ。イギリス人は「トウモロコシ」を「メイズ(maize)」と呼ぶから、日本の中学生は更に頭が混乱する。度量衡も英米で違いがあり、「1パイント(pint) 」のジュースは、米国で0.473リットルだが、英国だと0.568リットルなので気をつけないと損をする。クルマに給油をする時も、米国と英国では違っているから注意。1ガロン(gallon)は米国だと3.78リットルだが、英国だと4.54リットルなので、1ガロンありの値段を日本円に換算する時には、よく考えないとねぇ。

  英米人との会話では、英語の使い方で悩むことがある。日本人は「ポテト・チップス」みたいなのを「チップス(chips)」と呼ぶが、イギリス人なら「クリスプス(crisps /固く焼いた物)」で、アメリカ人が相手だと、そのまま直訳で「チップス」でいい。たぶん、イギリス人は煎餅みたいな感覚なんだろう。奇妙なことに、日本の「ポテト・フライ」は米国で「フレンチ・フライ(French fies)」と呼ばれるが、英国では「チップス」だ。英国を旅行すれば誰でも食べる「Fish and Chips」では、日本でいう「ポテト・フライ」が出てくる。「湖池屋のポテト・チップス」ではない。日英では変な共通点があって、イギリス人と日本人は便所を「トイレット(toilet)」と呼ぶが、アメリカ人は「バスルーム(bathroom / restroom)」と呼ぶので、日本的感覚からすると何となく奇妙だ。食堂で「バスルームはどこですか?」と訊けば、風呂を探しているみたいでおかしい。また、米国で「炭酸水」を注文する時は「ソーダ(soda)」でいいけど、英国だと「ポップ(pop)」だから頭が混乱する。筆者がアメリカ人の子供に「横断歩道」を指して「zebra crossing」と言ったら、「crosswalk」と言い直されたことがあるけど、英国なら「シマウマの渡り」で通じるようだ。

  その他、和製英語で紛らわしいのは、「トレーナー(正しくはsweatshirt)」という服の種類の名称で、北米だと「運動靴」と間違われてしまう。イギリス人やカナダ人は「トレーナーズ(trainers)」と呼び、アメリカ人は「ランナーズ(runners)」とか「スニーカーズ(sneakers)」と呼ぶ。英語らしいのに間違った英語というのも多い。例えば、銀行のATMで、「タッチ・パネル」というのがあるけど、本当は「タッチ・スクリーン(touch screen)」なので、「最初から正しく表記すればいいのに」と思ってしまう。「電子レンジ」も同じで、輸入当初から「マイクロウェイヴ・オーブン(microwave oven)」と呼んでいれば、紛らわしい混乱は無かったはずだ。和製英語で馬鹿らしいのは、「OL」という名称で、だいたい「会社で働く貴婦人」っておかしいだろう。「office worker」でいいのに、誰がこんな変ちくりんな言葉を考えついたのか? 「ヤクルト・レディー」も同じで、「ヤクルトおばさん」じゃ駄目なのか? たぶん、ヤクルトは化粧品の訪問販売をする「エイヴォン・レディー(Avon Lady)」を真似たんだろう。でも、「エイヴォン・マン(Avon Man)」に輝いた英国のトップ・セールスマンを真似て、男性販売員を「ヤクルト・マン」と呼んだら、「ひょうきん族」のキャラクターみたいで滑稽だ。(なんか、伊東四朗かアーノルド・シュワルツネッガーがやりそう。)

タカナ英語は「うどん屋の釜」

  日本人が西歐語を「格好いい」と思う気持ちには、幾つかの理由がある。誰でも思いつくのは、明治時代に“近代化”を目指した日本人が、“西歐の文明”を輸入して富国強兵に努めたことだ。誰もが知っているように、我々が言う「近代化」というのは「西歐化」に他ならない。新しい日本が模範とする先進国は歐米諸国のみ。聖人君子がいると思われた支那、そして儒教を崇めていた朝鮮は、停滞した古代国家、あるいは因習に凝り固まった劣等国。したがって、漢籍を売り物にしている支那学者なんて、カビ臭い書物に埋もれた腐儒、ないし役立たずの屁理屈屋といったところだ。朝鮮語に至っては、選択する外国語じゃなかった。平成の初めまで、朝鮮語を学ぶために大学へ進もうとする高校生は“ほぼ”皆無。もし居るとしたら、よほどの変人か朝鮮系の子供くらいである。あの“みすぼらしい”民族の言葉を習うなんて、プライドの高い日本人じゃ、死んでもできない。渡部昇一先生は、英語学を「男子一生の仕事」にする価値はある、と述べていたが、朝鮮語じゃ馬鹿らしいというか、牢屋に入ったような気分になるから論外。英語を除いて日本人が自主的・積極的に学ぶのはドイツ語かフランス語、あるいはイタリア語くらいまでで、貴重な時間とお金を費やすのは、魅力的な西洋語に限る。

  今のところ、青山繁晴や小池百合子は、大して上手くもない英語を口にして、「どう? 格好いいでしょう !」と上機嫌だが、アジア移民が増えれば、英語は気取り屋の玩具じゃなく、必要な手段となってくる。なぜなら、インド人やマレー人、フィリピン人の出稼ぎ労働者が増大すれば、職場で交わされる共通語は英語しかないからだ。しかし、日本で使われる英語は、アジア人用の低級英語に過ぎないから、職場で飛び交う英語はゼンジー北京かケイシー高峰レベルの外人語。アジア移民の子供と一緒にされる日本人の子供もいい迷惑だ。アジア人の子供は日本の学校に通っても、親とのコミュニケーションは祖国の言語となるから、カタコトの日本語を話す“バイリンガル・キッズ”が増えるだけ。しかも、こうしたバイリンガル児童が話す言葉は、ダログ語とかマレー語、ベトナム語だから、日本人の子供は“格好いい”とは思わない。一方、既に移民大国となったブリテンでは、300種以上の外国語が公立や私立の学校で話され、全小学生の20%に当たる、約90万人の児童が英語以外の言語を話しているそうだ。(Elizabeth Bailey and Emma Marsden, "Hundreds of languages are spoken in the UK, but isn'talways reflectedin the classroom", The Conversation, August 21, 2017.) 

Aoyama 221(左  /  笑顔の青山議員)
  外国語を流暢に話して喜んでいる「国際派」の知識人は、多言語社会をどう思っているのか? そういえば、我らが青山繁晴先生はラジオ番組で、お得意の「米語」について話していた。あろうことか、国際派の青山先生は訪米した時、アメリカ人の入国管理官から怪しまれたそうだ。曰わく、「お前は日本の旅券を持っているのに、どうしてそんなに英語が上手いんだ?」と疑われ、詳しく尋問されたそうである。うぁぁぁ~、すごぉぉぉ~い ! さずか、青山先生は我々と違う! アメリカ人の入管職員がビックリするほど上手な「米語(ベーゴ)」を話したなんて! いゃゃ~ぁ~、羨ましいなぁぁ~。アメリカ人が「アメリカ人?!」と勘違いするほどネイティヴな発音なんて ! でも・・・、もしかしたら、単に「怪しい東洋人」に思えたから尋問されたのかも知れないよ。大変失礼だけど、アメリカ人の入管職員が先生の「米語」を理解できなくて、「何だ ! こいつ、ゴチャゴチャ喋りやがって!」と不機嫌になる場合もいるからさぁ。でも、そんなことはないだろう。だって、ベーゴをスラスラ喋る青山先生を誤解するアメリカ人なんか・・・居るはずがない。青山先生は自慢していたけど、普通にハワイでブラブラしていると、現地人から「アメリカ人」と間違われるそうだ。先生の「米語」はハワイ人が誤解するほどの「ネイティヴ」発音なんだって ! でも、現地の白人は、先生を「日系人」と思っていたからじゃないのか?

Sadiq Khan 1(左  /  サディク・カーン)
  話を戻す。日本でも「研修生」とか「留学生」の名目で、ドンドン「移民」が押し寄せてくるから、やがてブリテンやフランス、ドイツのように異人種の坩堝(るつぼ)と化すだろう。そうなると、東京や大阪といった大都市圏では、外国系の市議や知事が誕生するかも知れない。悪夢の到来はもう少し。1960年代までのブリテン人(ゲルマン系やケルト系の白人)で、ジャマイカ人やインド人の市議会議員や市長が誕生すると予想する人は少なかった。しかし、現在のロンドン市長は茶色人種のサディク・カーン(Sadiqu Khan)で、彼の両親は1968年に移住してきたパキスタン人。日本だって東京に支那人や朝鮮人、インド人、フィリピン人、ベトナム人が増えれば、アジア系の都知事が誕生する可能性はある。何しろ、東京は行政能力よりも知名度や人気度で都知事が選出されるので、候補者にはある程度の知名度が必要だ。たとえ、財政や金融に精通していても、地味な人物なら当選は難しい。でも、小池百合子みたいに口達者な女優タイプだと、枕営業と綺麗事だけで当選してしまうのだ。

Koike Yuriko 76(左  /  若い頃の小池百合子)
  いずれにせよ、小池百合子がカタカナ英語を好むのは、知的な雰囲気を漂わせたいだけで、都民の利益を考えているからではない。彼女の演説や公約は「うどん屋の釜」と同じ。「ゆ(湯)うだけ」で「中身が無い」のだ。この厚化粧知事は、鏡の前で帽子や宝石を身につけ、店員に「どう見えるかしら !」と尋ねているオバタリアンと変わりがない。こういったインテリ風の女は、ちょいと洒落た「布きれ」でも、「素晴らしいスカーフ(scarf)ですね !」とか、「御洒落なショール(shawl)」、「ゴージャスなストール(stole)」と呼んでやれば喜ぶ。たとえ、ヘンテコな絵柄でも「有名デザイナーによる特注品です」と言えば満足するんだからアホらしい。表面だけで物事を判断する人物は、イタリアに住む支那人が作った革靴でも、「ミラノでも指折りの職人が作ったハイヒールです」と囁けば、2倍の値段でも買ってくれる。目利きのようなフリをして、「やっぱり、作りが違うわ !」と言って蘊蓄(うんちく)を述べるから、本当にチョロい。小池氏のような英語屋は、目を大きくして「ファビュラス(fabulous / 素晴らしい)」とか、「マーヴェラス(marvelous / 素敵)」、「インクレディブル(invcredible / 信じられない)」と言いそうだ。ピエールなら“お決まり”の「トレヴィアぁぁ~ン」だろうなぁ~。

  小池百合子が嘘つきでも人気があるのは、上品な物腰で真剣な話をするからだ。しかし、その口の中には黒い舌が二枚ある。都合の悪い質問を受ければ、笑顔でヒラリと躱(かわ)し、「持ち帰って後ほどお答えします !」と煙に巻いて終わり。昨日は昨日で、今は今。「ケ・セラ・セラ」と唄って、バイバイだ。本人に罪悪感が無いから、矛盾した発言でも、荒唐無稽な提案でも、一向に恥じることはない。これだから、都民は何回だって騙される。上昇志向の小池百合子にとって、都政の舵取りなんか退屈である。彼女は鮫のように華やかな舞台を求め、孔雀のように自分を飾り立てる。オリンピックがどんな形であれ、世界中の観客に英語で語りかけ、「私って最高 !」と自己満足に耽るのが小池の夢だ。このオバはんなら、「ジャパニーズ・ドリィィーム」と言うかも ! ただし、我々にとったら「ナイトメアー(nightmare / 悪夢)」なんだけど・・・。

  次回は小池氏の再選について述べてみたい。



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劣等感に悩む日本人

Aoyama 001  日本人は子供から大人まで、様々な階層が英会話に夢中になるが、英語の発音だけは苦手なようで、ネイティヴ・スピーカー並の発音に憧れているのか、「アメリカ人と対等に話したい! 」と“こだわる”人が多い。それゆえ、一般の日本人はイギリス人やアメリカ人のように話す“バイリンガル”を尊敬するようだ。未熟な若者ならまだしも、いい年をした中年までもが英会話学校に通い、大金を払ってるんだから情けない。仮に、目標が達成されても、会話の内容がお粗末で、チンピラ黒人より“ちょっとマシ”といった程度だ。本人の努力は尊重するけど、たとえ格好のいい“英語屋”になっても、そんなのは“せいぜい”フィリピン人かインド人の類いである。テレビ広告では「イーオン」とか「ECC」が盛んに「夢」を語っているが、あんなのは「幻想」で、実際のイギリス人やアメリカ人にとって、英語を話す東洋人なんて珍しくもない。なぜなら、カイロの青空市場で骨董品を売るエジプト人や、ダマスカスの喫茶店でコーヒーを運ぶシリア人、香港で観光客に近づく支那人でも、ちゃんと英語を話せるからだ。非英語圏の外人が英語を話すなんて当たり前。アムステルダムやロンドンで爆弾テロを計画するイラク人でさえ、一端の英語を喋っている。英語で“上級国民”に昇進できるのは日本だけだ。

  そもそも、イギリス語という言語は、ブリテン島に渡ったゲルマン人が喋るドイツ語の一種(方言)に過ぎない。それなのに、「英語」とくれば、日本人は劣等感の塊だ。たぶん、中学生の頃から英語の試験に晒され、点数で序列をつけられてきたからだろう。そのうえ、憧れのイギリス人やアメリカ白人から発音を馬鹿にされてしまうから、精神が歪んでしまうのも当然だ。この精神病はは中高年になるほど酷い。昔、総理大臣になった宮沢喜一は訪米し、たまたまACBの「This Week」に出演したが、この卑怯者が英語で喋ると、まるでシンガポールの政治家みたいだった。宮沢本人は同世代の老人に向けて、「俺の英語力は凄いだろぉぉ~」と自慢たっぷりであったが、司会者のデイヴッド・ブリンクリー(David Brinkly)の方が遙かに素晴らしく、イギリス紳士のように優雅で、ローの人のような威厳に満ちていた。それゆえ、対談を見ている日本人の方が恥ずかしくなる。(たぶん、親分の池田勇人も草葉の陰から「あのバカ野郎 !」と怒鳴ったんじゃないか。ちなみに、宮沢は議員になる前、池田の秘書をしていた。同じく、池田の元秘書で政治評論家になった伊藤昌哉も、宮沢をボロクソに貶していた。)

  NHKのワシントン支局長を務めていた日高義樹も“見栄っ張り”で、“お得意”の英語を口にすると有頂天だった。彼はテレビ東京で冠番組を持っていて、しばしばヘンリー・キッシンジャーにインタヴューする機会があった。しかし、稚拙な語学力であったため、キッシンジャーの意見に反論できず、丁稚の小僧みたいに「そうですか!!」と相づちを打つだけ。これなら、番組名を「ワシントン・レポート」から「ごもっとも対談」に変えた方がいい。本来なら、有能な通訳をつけて、厳しい質問を浴びせかければ良かったのに、日高氏は自分の英語力を披露したいがため、一生懸命“苦手”な英語を使っていた。でも、文法は滅茶苦茶、論理的な切り返しもできない。それゆえ、視聴者が知りたい本音は引き出せず、キッシンジャーの独演会に近いものだった。(筆者はこの番組を毎回録画していたので、日高氏がどんなミスを犯していたのか、今でも検証できる。) 会場には日本人の在米ビジネスマンも来ていたが、彼らがどう思っていたのか興味がある。たぶん、心の底でせせら笑ってたんじゃないか。何しろ、コネ入社が横行するNHKだ。局員の評価なんて伸縮自在、蜂蜜よりも甘いんだから。おそらく、日高氏は「特別な能力」でワシントンに派遣されたのだろう。

  以前も述べた通り、筆者は自分をイギリス人と勘違いしていないから、英語は外国語に過ぎず、意思疎通の道具だと思っている。もちろん、イギリス人やアメリカ人にとったら、御先祖様から継承する大切な遺産で、微妙な言い回しや思考の発達に欠かせない言語である。手段以上のものであることは間違いない。しかし、日本人はイギリス人じゃないから、国語(日本語)を粗末にしてまで学ぶ価値は無いと思う。日本の小学生や中・高校生にとって、英語より日本史を学ぶ方がよっぽど重要だ。たとえ、数学や理科で多少苦労する子供でも、歴史だけはしっかりと勉強すべきである。なぜなら、歴史教育は国防意識を涵養するうえで欠かせない科目であり、もし子供達が我が国の過去を知らないと、自分がどんな国家に生まれ、どのような恩恵を受けているのかが解らないからだ。それに、国家の名誉も判らない奴が、愛国心を持って戦うことができるのか?

  でも、やはり、英会話が不得意な事に劣等感を覚える人は多い。例えば、藝人の松嶋尚美は英語を学んでも、全く身につかず、劣等感を抱いているそうだ。そこで、息子と娘をインターナショナル・スクールに入れて“バイリンガル”にしたいそうである。でも、そうして育った子供は、中途半端な日本人にしかならず、歐米人から蔑まれる「植民地の土人」程度だ。考えてもみよ。単に、御主人様の命令を理解できる「召使い」が、「尊敬の対象」になるのか? フランスの貴婦人(ケルト系白人)は、いくら冗談やゴマすりが上手いベトナム人の道化がいても、「対等の人間」とか「友人にしたい外国人」とは思わないぞ。ソルボンヌ大学を卒業したって、ベトナム人はベトナム人のまま。フランス語を聴いて「お坐り」をする犬と同じだ。

  日本人はとかく英語に価値を置きすぎで、日本語を習得をおろそかにする傾向が強い。試しに、イギリス人やアメリカ人で、日本語を話せる者がどれくらい居るのかを考えてみれば、英会話ブームが如何にアホらしいかが解るはずだ。昔、藝人の山田邦子が面白いエピソードを話していた。信じられないけど、彼女は「アメリカ人=白人」と思っていたそうだ。「じゃあ、黒人は?」と訊きたくなるが、そうした発想は彼女の頭に無かった。また、山田氏が国際線の飛行機に乗っていた時の逸話が絶品だ。(どうも、山田氏は友人と一緒に坐っていたらしい。) 彼女がアメリカ人のスチュワーデスから「何か欲しい飲み物は?」と訊かれたので、「アイ・アム・オレンジジュース」と答えたそうだ。すると、その客室乗務員は心配そうな表情を浮かべ、「いいえ、あなたは人間ですよ !」と諭したらしい。たぶん、山田氏は英語が分からず、安直な翻訳をしたのだろう。

  筆者は昔、ハワイ旅行をしたオバはんから土産話を聞いたことがある。団体旅行の中高年女性らが、現地の商店に赴き、それぞれが好みのアイスクリームを注文したそうだ。すると、一人の婦人が「バニラ・アイス」を頼んだところ、アメリカ人の店員が差し出したのは、何と「バナナ味」のアイスクリームであった。購入者の日本人は、「注文と違うじゃないか !」と不機嫌になったが、英語で叱りつけることも出来ず、その場は我慢し、仕方なく「バナナ味」のアイスを舐めたという。たぶん、オバちゃんの発音が悪く、「バニラ」が「バナナ」に聞こえたのかも知れない。だが、中高年の奥方には話題が尽きないもので、勘定の時に「いくら」払っていいのか判らなったそうである。そこで、一応、「足りない」と言われないために、20ドル紙幣を差し出して、レジ係の店員に取ってもらい、米ドルの「おつり」を貰ったそうだ。

  「オバタリアン、何処に行ってもオバタリアン」というのが中年女性の特徴で、海外で困った場面に出くわしても、笑いながら大胆なことをする。件(くだん)のオバちゃん等は、アメリカ人の店員から「値段」を言われても、何を喋っているのか聞き取れなかったので、当てずっぽうで「代金」を推測したというから凄い。さすが、日本のオバちゃんは度胸が据わっている。ただし、こんな肝っ玉かあちゃんでも子供扱いされたことが悔しく、日本に帰ってきてから、「あ~ぁ、英会話が出来たらなぁ~」と嘆いたらしい。通訳ガイド抜きの「冒険」をしたら、とんだ「逸話」を残してしまうなんて、日本のオバタリアンは本当に愉快だ。(綾小路きみまろが喜びそうな逸話である。)

「米語(ベーゴ)」の達人

  脱線したので話を戻す。青山繁晴議員も、英語に関し何らかの“劣等感”を抱いているのか、日本人相手の会話なのに“ちょくちょく”英語を挟んでくる。彼が好んで言及する「CIA」とか「FBI」の話になると、急にアクセントを強くして、「シっ・アイっ・エー!!」とか「エッフ・ビィー・アィッ !」と発音してしまうのだ。彼は“わざと”「コケイン」と発音し、直ぐさま「あっ、コカインか!」と言い直す。もう見え見えの演技だが、青山氏は「つい、うっかりして得意の米語で発音してしまった !」と聴衆に教えたいのだ。番組を聴いている一般人は、「えっ、何で“そこだけ”ルー大柴になっちゃうのぉ~?」と驚く。父親がアメリカ人というモデル藝人の「シェリー」や、DJの「ハリー杉山」だって、日本人が相手なら日本式に喋るぞ。青山先生は「米語の達人」を宣伝したくてウズウズしているようだ。(筆者がここで紹介する「シェリー」は、アイドル歌手だった「シェリー」とは別の女性。ついでに言えば、彼女の本名は「安部玲子」で、実の父親はフランス人。明石家さんまが若い時、一緒に司会をしていた女性と言えば、思い出す人もいるんじゃないか。一方、杉山氏は英国人ジャーナリストのヘンリー・ストークスを父親とする混血児。ストークス氏は『大東亜戦争は日本が勝った』、『戦争犯罪国はアメリカだった』の著者。)

  青山氏が使うのは英語は「米語(ベーゴ)」らしく、ブリテン島のイギリス人やスコット人が話す伝統的な「アングル人の言葉」じゃない。しかし、青山氏が度々口にする「米語」とやらは、アメリカ人でも「えっ !」と驚くような“特殊性”を持っている。例えば、青山氏が我々に注意した人名の発音だ。彼は「みのもんた」が司会を務める「よるバズ」という雑談番組に出演し、通訳としても有名な小西克哉の隣に坐っていた。番組の中で小西克也がCIA長官のポンペオに言及すると、青山氏は彼の発言を遮り、「小西さんもご存じの事を、敢えて、皆様のために申し上げると、余計な事ですが、ポンペオというのは止めてほしい。“パンピィーオ”ですから ! 違う人に聞こえちゃうから !」と訂正したのだ。

  まぁ、青山氏はなんて「優しい人」なんだろう ! アメリカ英語(or米語)を分からない人のために、“わざわざ”“余計な事”に言及するなんて・・・。でも、この時、横で聴いていた小西は、苦笑しながら「違う !!」と反論していたが、“暴走機関車”の青山氏は“ご自慢”の「米語」を振りかざし、止まる気配が無かった。迷いが一切無い青山氏は、目の前のゲストに向かって、「パンピぃぃ~オですから !」と間違いを正していた。でも、「英語」に詳しい小西教授は、「困ったなぁ~」という表情で、「違う、違う、ポンペイオ ! ポンペイオですから !!」と何度も否定していた。しかし、小西克也は自信たっぷりの青山氏には勝てない。なぜなら、隣で興奮している“インテリジェンス”の専門家は、何度も何度も、ラングレー(CIA)やクワンティコ(FBI)の高官と「ベーゴ」で話した経験を持っていたからだ。(ただし、誰もその場面を録画・録音していないから、実際どうなのか判らない。)

  筆者は米語の達人じゃないから、偉そうなことは言えないが、アメリカの大学に留学した時、アメリカ人の教授とアメリカ人の級友がいる授業を受け、アメリカ人だらけの学生寮に住み、アメリカ人のルームメイトを持っていたから、多少、アメリカ式発音の英語が分かる。だから、青山氏の発音レッスンには納得できない。でも、彼の「ベーゴ」発音は強烈で、一度聴いてしまうと中々忘れられず、しっかりと脳裏に刻まれてしまうのだ。先月、FOXテレビでローラ・イングラム(Laura Ingraham)の「The Angle」を観ていたら、丁度、Mike Pompeo(マイク・パンピィ~オぉ~)長官のインタヴューが行われていたので、イングラム氏の発音は“どう”なのかと、注意して聴いてみた。すると、やはり、彼女も「ポンペイオ」と呼んでいたのだ。しかも、はっきりと発音していたから、日本人が聴いても容易に識別できる。しかし、筆者の頭の中には、青山氏の「パンピィ~オぉ~」という声が鳴り響いてしまい、それが何回も繰り返されたので、もう爆笑の渦から抜け出せなかった。結局、筆者はイングラム氏とポンペイオ長官が、どんな会話をしたのか全く記憶が無い。

Laura Ingraham 3Mike Pompeo 2








(左 : ローラ・イングラム  /   右 : マイク・ポンペイオ)

  しかし、この発音レッスンには後日談がある。青山氏は「よるバズ」に出演したあと、視聴者から多くの反論を受けたようで、「虎ノ門ニュース」に出演した時、自身の発音問題に触れ、その失態を必死で誤魔化そうと図っていた。青山氏はよほど恥ずかしかったのか、「ポンペイオ長官の名前の発音には3種類ある !」と言いだし、何と、アメリカ国務省にも質問したというのだ。普通の日本人なら、「えっっっ~ ! そんな下らない事を一々国務省のアメリカ人に訊いちゃうのぉ~ ! 」と呆れてしまうが、これこそ、まさしく「議員特権」である。米国式発音に“こだわる”青山氏は、国務省の役人に対し、「正式には何と発音するんですか?」と尋ねたそうだ。にわかに信じられないが、青山先生がそう言うだから本当なんだろう。 ところが、世の中には不届き千万な人がいて、一部の日本人は「ホントかよぉぉ~? いつもの法螺(ホラ)話じゃねぇのかぁ~?」と小馬鹿にしたそうだ。まさか、自民党所属の参議院議員が、ありもしない架空の問答を捏造する訳ないじゃないか。たぶん、真顔で国務省の役人に質問したのだろう。

  それでも、青山氏には“心苦しい”点があるのか、人によってはアメリカ人でも「パンピーオ」もしくは「パンペーオ」、「パンペイオ」と言うので、「ポンペイオ」と発音しても良いらしい。青山先生は「癪だけど、NHKが発音するように、虎ノ門ニュースでもポンペイオでいきましょう」と述べていた。何か、苦し紛れの妥協というか、降参を認めない敗北宣言みたいで滑稽だった。ところが、自身の英語能力を守りたいのか、青山氏は入念な自己弁護に徹していた。曰わく、「日本人だと“POM”を“パン”と読むことには抵抗があるから、“ポン”でいいと思います」と付け加えていたのだ。さらに、青山氏は厳密な英語発音は日本語表記だと難しいところがある、と述べ、居島一平さんが“ちょっと”不審な目で見つめると、「そんなこと言ったら、トランプだって間違いですよ !  正確にはトゥランプだから・・・」と熱弁をふるっていた。でもさぁ~、こうした弁解を聴くと、「そんなに片意地張らなくてもいいじゃん ! 素直に御免なさい、と謝っちゃえば済むのに・・・」とつい思ってしまう。

  筆者はベネッセ・グループの「ベルリッツ(Berlitz)」という英会話学校を知らなかったが、世間では有名な英会話スクールらしい。一般国民は疑惑の態度を示していたが、青山氏は自分の英語能力を自慢し、ベルリッツの評価段階で、「レベル10」と明確に述べていた。(チャンネル桜で放送する「青山繁晴の答えて、答えて、答える」における発言。) そこで、「ベルリッツ」の評価基準を調べてみた。すると、「レベル10」にある人は、「プロ級」レベルで、「ネイティヴ・スピーカー並」に話せる、と書かれているじゃないか !! 青山先生、凄い ! 凄すぎる !! 筆者なんか「レベル1」か、せいぜい「レベル2」程度だ。それにしても、共同通信の記者っていうのは、語学の達人が揃っているのか? ただし、青木理(おさむ)みたいな奴もいるから、全員がネイティヴ並に米語を話せる訳じゃないだろう。となれば、青山氏だけが「卓越した敏腕記者」という事なのかな? 「世界ふしぎ発見」のスタッフに調べてもらいたい。

  「米語」の達人たる青山氏、といえども、状況によっては「英語(ブリテン式)」発音を用いるそうで、ラジオ番組ではアーティストに「気遣い」を示し、英国式の発音で喋る時もあった。青山氏はFMラジオで「On the Road」なるレギュラー番組を持っている。番組の中で彼が、「Badfinger」というバンドの「Day After Day」(曲)を紹介した時、青山氏はいつもの「米語」で「ベェーッド(bad)」と発音せず、英国式に「バッド(bad)」と発音していた。なぜなら、「バッドフィンガー」が“イギリス”のバンドであるからだ。さぁ~すが、由緒正しき「武士(?)」の家系は違う。鈴木健二も感心する程の気配りだ。でも、このバンド(元々は「The Iveys」)はウェイルズの「スワンジー(Swansea)」で結成されたから、往年のファンは「ウェイルズのロック・バンド」と思っている。青山氏は英国人に敬意を払っているそうで、「ジェネシス」の名ドラマー「フィル・コリンズ(Philip D.C. Collins)」を紹介する時も、米国式の「カリンズ」じゃなく、英国式の「コリンズ」で紹介するそうだ。筆者は「日本人のリスナー相手なんだから、普通にコリンズでいいじゃん」と思ってしまうのだが、 「ベーゴ」に執着する青山氏にとっては、ハッキリさせねばならぬ「違い」らしい。

  「ベルリッツのレベル10」を自称する青山議員だが、時たま“意外”な間違いをする。まぁ、“うっかりミス”なんだから、そんなに目くじらを立てなくても、と思ってしまうが、一般視聴者は厳しい。例えば、虎ノ門ニュースで「タックス・ヘブン(租税回避地)」を話題にした時、青山氏はそれを「税金天国」と呼んでいた。しかし、目の前に居る「アメリカ人弁護士」のケント・ギルバート氏から、「天国(heaven)じゃなくて回避(haven)」ですよ !」と指摘されるや、青山氏は大慌て。(「まったく、もう、変な人だなぁ」といった“笑み”を浮かべるギルバート氏は、親切にも「逃げ場」ですよ、と教えていた。) しかし、「リスク・マネージメント(危機管理)」の「専門家」でもあるのか、青山氏の「ダメージ・コントロール」は素晴らしく、「税金天国」を即座に打ち消し、「え~、ですから、逃げ場としての天国みたいな場所」と言い直していた。すごぉぉぉ~い切り返し! さぁぁ~すが、青山先生はそこら辺の通訳とは、ひと味もふた味も違うぞ。青山氏は、くれぐれも「天国と誤解せぬよう」我々に注意を促していた。ところが、摩訶不思議。青山先生は「米語の達人」であるはずなのに、なぜか手元にあるラップトップ・パソコンで「haven」の意味を検索し、まるで初めて知った中学生のようにジッと液晶パネルを見つめていたのだ。どうしたんだろう?

  「ネイティヴ・スピーカー」並に「米語」を話す青山氏でも、時には中学生のように発音や綴りを間違える。例えば、青山議員は虎ノ門ニュースに出演し、在留資格を持つ外国人の説明をした時、「特定活動」の意味と定義が解っていなかった。彼は大学教授や藝能人を「特定活動」の範疇に入れていたのだ。でも、青山先生が指していた法務省の一覧表では、ちゃんと「教授」や「興行」の項目があり、「特定活動」なるものは、「外交官等の家事使用人、看護師、介護福祉師候補者等」と説明されていた。よって、大学教師や歌手、俳優は別の範疇に属するはずだ。ところが、もっと驚いたことに、青山氏は、「特定活動」の用紙に筆記体で「designated activity」と書いており、この英単語を見ながら、「デザイネイテド・アクティヴィティー」と読んでいた。これには筆者もビックリ。今時、普通の受験生だって、「designated」を「デジグネイテド」と発音するはず。それなのに、青山先生ときたら・・・。おそらく、青山氏は「デザイン(design)」の綴りに釣られてしまい、発音を混同したのだろう。(もしかしたら、「designated」という英単語を知らなかったりして・・・。いや、青山先生に限って、そんなことは絶対に有り得ない。たぶんね ! 以前、当ブログで紹介した、キーファー・サザーランドのTVドラマ、「デジグネイテド・サヴァイヴァー(Designated Survivor)」を読んでくれた人は解っていると思うけど。) また、青山先生は水道法について解説していた時、「コンセッション」に言及したが、自分で印刷物に書き込んだ「コンセッション」の綴りが間違っていた。青山先生の「consession」は間違いで、正しくは「concession」と書く。でも、先生はアメリカ人みたく「カンセッション」と発音していた。さすが、青山先生だ !

  青山氏は「米語」の達人ばかりではなく、米国の政治や軍事にも詳しい。所謂「アメリカ通」だ。しかし、頻繁に訪れる「国防総省」については何か“変”。「米語」で発音しているんだが、どうも納得できない。青山氏によると、我々が発音する「ペンタゴン(Pentagon)」は間違いで、「ベーゴ(米語)」では「ペェナゴーン」と言うそうだ。また、日本は「ジャパン」じゃなく、「ジャペぇぇ~ン」と発音するらしい。何となく、ルー大柴の「スタンド」が現れてきそうだ。(「金粉」が腕から湧き出る青山先生だから、「ゴールド・セネター」というスタンド名だったりして。まさか、「パープル・ブルー・マウンテン」というスタンド名にする訳にもいかないし・・・。原作者の荒木飛呂彦先生も笑ってしまうだろう。だいいち、「紫の青」って、「やや紫」という色になるのか?)とにかく、小堺一機や関根勤を前にしたギャグならいいけど、青山氏は真剣に述べていたから厄介だ。

「多才な能力」を披露する政治家

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(左 : 「よるバズ」に出演した青山議員  /  右 : ラジオ番組を収録中の青山議員とアシスタントの女性)

  もしかしたら、青山先生は郷ひろみの「二億四千万の瞳」を上手に歌えるのかも知れないぞ。たぶん、モノマネ藝人の「古賀シュウ」よりウマいはず。こうなると、神無月さんが青山先生のモノマネをする日も近い。昔、タモリは「徹子の部屋」に出演し、イタリア語やフランス語に加え、支那語や朝鮮語のモノマネをして黒柳徹子を笑わせていたから、青山先生も「徹子の部屋」に出演し、「本場の米語」を披露したらどうか。そうすれば、独立総合研究所の講演会は超満員となり、お金がザクザク入ってくるぞ。ついでに、青山氏ご自慢の「現代アート」も紹介すればいい。青山氏は「個展」を開いて、奇妙な色紙や弁当箱を何十万円の値段で売っていたけど、あまり買い手がいないようだから、テレビでもっと宣伝すべきだ。ホント、青山先生はルネッサンスの巨匠を彷彿とさせる、「万能の藝術家」なんだから。

  「レベル10」の英語力を誇る青山先生は、拙い英語を喋る日本人にとても厳しい。青山氏はまだ陣笠議員なのに、ラジオ番組で安倍総理の英語を容赦なくこき下ろしていた。でも、青山先生は叱るだけじゃない。ちゃんと、ご自身の「お手本」を披露していた。「ザ・ボイス」に出演した青山先生は、安倍首相の英語演説を取り上げ、喋り方というか発音が駄目で、ブズブズに切れており、「うまくない」と批判していた。そこで、青山先生は番組のリスナーに対し、ご自身の「生演説(朗読)」を読み聞かせ、「どうだ ! 俺の米語は!」と大変ご満悦であった。(青山氏のニコニコ顔が目に浮かぶじゃないか。) なるほど、青山議員は安倍首相よりも早口で喋っていた。けど、アメリカ人を真似た中高年みたいで、「こんなもんなのかぁ~?」と拍子抜けするような朗読であった。たぶん、筆者の聴力が劣っているからなんだろうが、何回聴いても「ジャングリッシュ(日本的英語)」にしか思えない。

  ラジオ番組で「米語」を語る青山は活き活きしており、安倍総理だけじゃなく、歌手の佐藤竹善(さとう・ちくぜん)さんもバッサリ斬っていた。筆者は聴いたことがないが、佐藤氏は「イーグルス」の名曲「One of These Nights」をカバーしたそうだ。すると、「発音」にうるさい青山氏は、佐藤氏が「nights」の複数形部分をハッキリと発音していないから、「ズッコケ」ちゃうらしい。興奮する青山先生は、こんなの「有り得ない」と嘆いていた。(筆者には佐藤氏が誤魔化しているとは思えないんだけど。) 有頂天の青山氏は、「たぶん、周りで言ってくれる人が居ないんじゃない?」と馬鹿にしていたが、その言葉はそのまま青山先生にも贈りたくなる。おそらく、青山先生の周りに居る人、例えば事務所の秘書とか、番組スタッフ、出版社の編集員も判っているんだろうが、激怒されるのが怖くて誰も指摘できないのだろう。「触らぬ神に祟り無し」だから。

  青山先生は「米語」だけじゃなく、様々な「才能」に溢れている。サーフィンを始めたら、直ぐに波の上で楽しむことができたと言うし、支那に行くと直ぐ北京語や上海語を喋れるようになるし、南米に行っても“たちまち”スペイン語を習得してしまうそうだ。しかし、日本に帰国するや、全部忘れてしまうらしい。それでも、現代アートに秀でた青山先生は、ポップ・ミュージックやロック音楽、さらにクラッシック音楽まで、幅広く知識を有しており、各ミュージシャンについて詳しい情報を暗記しているという。例えば、ラジオ番組で「チャカ・カーン(Chaka Khan)」を紹介したとき、彼女の名前は「チャカ」じゃなく「シャカ」なんだと教えていたし、彼女の名前は「赤」とか「炎」を意味するアフリカ語に由来するとまで述べていた。すごぉぉ~い。さすが、青山先生は博識だ ! アフリカ人の言語にまで精通しているなんて !

  青山先生の頭脳はフラッシュ・メモリーみたいに大容量で、ミュージシャンの細かな情報まで蓄えている。例えば、歌手のボニー・タイラーが喉にポリープが出来ていたのに、そのまま唄っていたとか、エリック・クラプトンが高層ビルの53階に住んでいたとか、熱心なファンと同じくらい詳しい藝能記事を知っていたのだ。でも、まさか、手元に置いてあるラップトップ・パソコンで「ウィキペディア」を覗いている訳じゃないよねぇ~。だって、先生の説明はウィキペディアの「文言」とソックリなんだもん ! まるで、Wikiの文章を朗読しているみたいだ。ラジオ番組だから、何をしてもバレない、と思っているのだろうか。いや、そんなことはない。青山先生はミュージシャンのプロフィールやエピソードを全部「記憶」しているというから、そんな詐欺はしないだろう。なにせ、千人分の質問を全て暗記できる程の記憶力を持っているんだから。青山先生は「天才バカボン」に出てくる「ハジメ」ちゃんみだいだ。何しろ、青山先生は驚愕の神童であった。生まれたての赤ん坊なのに、盥(たらい)の上に立ったという。これなら、藝能ネタくらい1億件でも2億件でも覚えられるさ !

  音楽にも詳しい青山議員は、ラジオ番組で言いたい放題。亡くなった歌手のホイットニー・ヒューストンを紹介する時も、わざわざ「米語」で発音し、口を尖らせて「フゥィットニー・ひ~ストゥン」と呼んでいた。米語にうるさい青山氏は、人気ミュージシャンのブルース・スプリングスティーンが話す英語にケチをつけ、「彼の発音は好きじゃない。舌が短い !」と嫌っていた。さらに、女優のリース・ウィザースプーンが歌手になると、冷徹にこき下ろす。青山先生曰わく、「声が出ていない、声に張りが無い !」と手厳しい。タイガース時代の沢田研二についても容赦なく、「音程の取り方が悪い ! そもそも、歌い方が駄目 !」と辛口評論。しかし、ビートルズだけは例外で、彼らの名曲を紹介して上機嫌。アシスタントの前で、その美声を披露。青山先生は、かすれた声で歌っていた。青山氏の追っかけファンなら感謝感激だ。でも、ファンじゃない人が聴けば、下手くそな裏声で、音痴の鼻歌にしか思えない。

  国際政治や軍事・外政に詳しい青山先生は、何と日本の文化にも精通しているそうだ。現在、青山先生は自民党の保守派勢力を集めて皇室の維持にも努めている。ただ、何故か青山氏は「男系」という言葉が嫌いで、「父系に変えましょう」と我々に呼びかけていた。先生曰く、「男系とか女系という言葉を使うと国際的に問題となるから、父親の系統で継承される皇位」と表現した方がいいらしい。また、“国際派”でアメリカにも多くの“友人”がいる青山氏は、外国人にも日本の文化を理解してもらおうと、お得意の「米語」で日本の皇室伝統を説明し、その際、「父系」を「ファ~ザーズ・ライン」と翻訳したそうだ。テレビ東京の対談番組に出演した時、青山先生は官邸キャップの篠原裕明を前にして、「王室を持たないアメリカ人でも、“father's line”と言えば一発で理解できます !」と豪語していた。まぁ、「ファ~ザーズ・ライン」でも間違いじゃないが、まともな大人であれば、「paternal line」 とか「patriliny」、「paternal-line ancestry」という言葉を使って説明するんじゃないか。

  イングランドの「英語」では、「父上」を「pater」と呼ぶし、「家長(族長)」は「patriarch」で、「ローマ貴族」や「世襲貴族」は「patrician(patricius / patricii)」と言うから、アメリカ人でも簡単に理解するはずだ。しかも、アメリカ人にはキリスト教徒が多いから、「アブラハム→イサク→ヤコブの系譜を思い出してくれ」とか、「古代フランク族のサリカ法(Lex salica)でも、王位継承は男子に限られていたじゃないか」と言えば、アメリカ人だって「あぁ、そうだなぁ~」と言って納得してくれるだろう。たとえ、メロヴィング朝のクローヴィス(Chlodovechus)とかサリカ法典を知らなくても、日本人の前で「西歐史を知らない !」とは言えないから、「日本の皇室もそうだったのか !」と頷くはずだ。それにしても、青山先生の「米語」は直訳過ぎる。まさか、「ペイトリオティズム(patriotism / 愛国心)」を知っている青山氏が、「父や祖父から受け継ぐ土地や世襲財産(patrimony / patrimonium)」を意味する英単語を知らないことはないよねぇ~。きっと知っているはずで、アメリカ人の子供でも解るように、わざと「ファ~ザ~ズ・ライン」と述べたのだろう。(ちなみに、「母系」は「マザァ~ズ・ライン」であるそうだ。「maternal line」でも良さそうなのに。一般の主婦だって「マタニティー・ドレス(maternity dress)」とか、「産休(maternity leave)」いう英語を知っている。) まぁ世間には色々な意見があるけど、本当に、青山議員は親切だ。

  今や、国際社会で活躍する商人や国会議員には、「英会話」能力が必要条件となっている。青山議員によれば、通訳を介して国際会議に臨むと、約三倍の時間が掛かってしまうそうで、国会議員たる者は、必ず「英語力」を身につけるべきなんだって。「米語」の達人たる青山氏は、アメリカに行っても、東南アジア(ASEAN)の会議に出ても、必ず人気者となる。なぜなら、青山議員は国際会議に出席すると、ご自慢の「米語」で熱弁をふるうからだ。さぁぁ~すが、青山先生は外交手腕に長けている。先生の自慢話によると、参加者の外人はみんな青山議員の発言を解ってくれるし、誰もがその英語スピーチに感謝するそうだ。会議が終わると大使や公使などが青山氏のもとへ近づいてくるというから、実に羨ましい。そこで青山氏は大胆な提言をする。日本の国会議員の一部には、英語を苦手とする者がいるので、「ちゃんと勉強しなきゃ駄目だ !」と叱り飛ばし、選挙に出る奴には予め英語の試験を課せ、とまで述べていた。

  青山先生のお説教は更に加熱する。ASEAN諸国の政治家が喋る英語なんて、CNNのキャスターが口にする英語に比べれば、遙かに遅いから、一般の国会議員でも解るはずだ、と。ただし、国際社会で揉まれてきた青山先生は別。CNNのキャスターだと、マシンガン・トークみたいに早口だから、「僕くらいの英語力じゃないとダメだけどね・・・」と青山先生は暗に自分の「米語力」を自慢していた。他者に厳しい青山議員は、「英語が苦手だから」という理由で日本語で外人と話す政治家には賛成できず、「ゆっくりでもいいから英語で話せ」、と勧める。しかし、青山先生でも時として“ゆっくり”とした英語を話すそうで、アメリカ人がはっきりと理解できるよう、青山先生は敢えて“遅い”英語を喋ってあげるんだって。いやぁぁ~、青山先生は本当に優しい。

  さすが、ペンタゴンの軍人と秘密の会話ができたり、CIAの知り合いと「米語」で語り合ったりするだけの人物だけある。(ただ、不思議なのは、どうやって相手のアメリカ人がCIAの局員だと判ったのか? 普通、高度な軍事・外交情報を扱うCIA局員は身分を隠しているはずなのに。もしかしたら、落合信彦みたいな人脈を持っているのか? そういえば、以前、筆者が『SAPIO』誌の編集者に「落合さんはCIAに友人がいるんですかぁ?」と尋ねたら、笑いながら誤魔化していた。筆者も敢えて追求せず、「まぁ、秘密ですよねぇ~」と笑いながら応対したのを覚えている。まったく、ハッタリ屋を相手にする編集者も大変だ。)
  
  青山先生が伝える数々の「奇蹟」を信じない人もいるだろうが、いくらなんでも参議院議員になった“国士”が嘘をつくとは思えない。おそらく、全て本当の事なんだろう。青山先生が秘蔵する「心霊写真」だって、国務省の高官と話す「米語」だって、高価な値段を附ける「藝術作品」だって、南米で強盗を倒した「武勇伝」も、お金や名誉も要らぬという「愛国心」も、どれもこれも全て「真実」だ。「法螺(ホラ)だろう」と馬鹿にする奴には罰(バチ)が当たるぞ。いつも夜遅くまで仕事をこなし、睡眠時間が僅かで「死にそうだ」と苦しむ先生が、国民を騙す訳がない ! たとえ、「話を膨らませた」としても、きっと表に出来ない「裏の事情」があるんだろう。青山先生は「死を覚悟した護国の鬼」なんだから、ゼニのために政治家をやっているんじゃないぞ。たとえ、講演会で何百万円もの利益が出たとしても、青山先生はそれを着服せず、きっと何らかの政治活動に廻すはずだ。「日本の尊厳と国益を護る会」だって、我々の文化や皇室伝統を守るために結成されたのであって、青山氏が目立つため、自民党の執行部が利用するガス抜き集団、保守派の票田を確保するための別働隊、なんかじゃないぞ。青山議員の「志(こころざし)」は立派なんだから。

  でも、こうして青山先生について書いてみると、何となく、段々と虚しくなるのは“何故”なんだろう。もし、阿藤快さんが生きていれば、「何だかなぁ~?」の神髄を教えてくれるんだけど・・・。「天才バカボン」の原作者である赤塚不二夫(あかつか・ふじお)先生なら、「これでいいのだ !」と言って気にしない。ところが、筆者には疑問が残ってしまう。「モヤモヤさまぁ~ず」じゃないけど、何か胸にモヤモヤが溜まってしまうのだ。「チャンネル桜」のキャスターあたりが、青山先生の真実を解説してくれれば助かる。

  次回の「特別編」では、これまた「英語」が得意な小池百合子について述べてみたい。


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