無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

2022年03月

ウクライナ人なら歓迎する / 好まれる難民の条件

ウクライナは西歐への入り口

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  日本のテレビ局はウクライナ紛争が始まってから、ロシア軍の侵攻やウクライナ兵の反撃、あるいは地元国民の動向とか戦争の犠牲者について連日連夜、漫然と報道している。また、戦闘が激化するにつれ、祖国を離れる国民も増えてきたので、日本のメディアも現地の状況を伝えているようだ。しかし、日本のテレビは幾つかの事実を"わざと"無視する。たぶん、実際に起こった事の中には"不都合な事実"があるからだろう。

  地上波テレビは戦場となった地元を脱出するウクライナ国民を映し出す。だが、その中に紛れている非ウクライナ人を取り上げることは滅多にない。我々はヨーロッパ人みたいなスラヴ系ウクライナ人ばかり目にするが、ウクライナには結構「エイリアン」が混じっている。この国にはアフリカやアジアからの留学生が多く、彼らも危険を察知して脱出を試みていた。ウクライナ政府の統計によれば、外国からの留学生は7万6千人くらい居て、その内の約25%はアフリカ出身者でしめられているそうだ。特にナイジェリアやモロッコ、エジプトからの学生が大半である。その他の外人留学生といえば、インド人が筆頭で、2万人ほどい居るそうだ。これらの留学生は主に医学やエンジニアリンク、ビジネスなどを学んでいるらしい。

  それにしても、どうして彼らはウクライナで勉強しているのか? 各人の意識や目的は様々だろうが、アフリカ人やアジア人の若者は、そんなにウクライナが大好きで、ウクライナ語やロシア語を学んで現地の病院や会社に勤めたいのか? これはどうも違うようだ。BBCによれば、彼らにとってウクライナの大学は、ヨーロッパへの入り口らしい。(Soraya Ali, 'Ukraine : WHy so many African and Indian students were in the country', BBC News, 4 March 2022.) つまり、西歐で就職するための玄関口になっているようだ。何しろ、ウクライナの大学では比較的ハイ・クォリティーの教育が受けられ、そこで得た学位はヨーロッパでも通用するから、ソルボンヌやオックスフォードの代わりになる。しかも、入学条件が"緩い"から外国人も入りやすい。

  もっと呆れてしまうのは、多くの授業が英語で行われていることだ。彼らはウクライナ語ではなく"英語"で専門知識を習得するという。なるほど、ウクライナ語で職業訓練を受けたら、就職先はウクライナだになってしまう。たとえロシア語を習得しても、あのロシアで就職活動となれば気分が暗くなる。本心ではイングランドやアメリカに行きたい黒人学生でも、学費と生活費のことを考えれば、ウクライナで学んだ方がいい。ドイツやフランスといった西歐先進国の物価水準はビックリするほど高いから、比較的物価の低いウクライナは"お得"だ。それに、街並みだって歐洲の雰囲気が漂っているから、プラハやブダペストに居るような気分になる。

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(左 : 避難を始めたインド人留学生   /  右 : ウクライナの大学で勉強するアフリカ人留学生)

  しかし、ウクライナ紛争が勃発したので、アフリカ人やアジア人の留学生は勉強を中断することになったという。だが、「戦時難民」となった彼らは、避難先のポーランドやルーマニアで、「ウクライナ人」とは違った扱いを受けた。ナイジェリアやカメルーン、セネガル、ガボンからの黒人だと、ウクライナの大学からの支援や協力も得られないし、たとえ東歐諸国に逃れることが出来ても"厄介者"扱いだ。それに彼らの祖国も冷酷だから、政府がチャーター便を飛ばして自国民を救い出す、ということもない。日本政府だってロシア在住の邦人には冷たいじゃないか。外務省の役人は快適なオフィスから自国民に訓示を垂れるだけで、あとは「"自腹"と"自助努力"で脱出して下さい」と言うのみ。現金の引き出し制限があるのに、どうやって自分と家族の旅費を工面できるのか? 

  いくら可哀想な「避難民」といえども、非ヨーロパ人の有色人種となれば、東歐諸国で色々な差別に遭う。アドエモ・アビンボル氏はポーランド行きの列車に乗りたかったが、中々搭乗できなかったという。(Deena Zaru, 'Many nonwhite refugees fleeing caught in limbo at borders amid reports of discrimination', ABC News, 3 March 2022.) やはり、ウクライナ人の方が優先されるそうだ。彼は「俺達の命だって大切なのに」と嘆く。南アフリカのレソト王国から来たリカビソ・レコアサ氏はスロヴァキアとチェコを経由して、友人が住むドイツに逃れたかったが、スロヴァキアの国境を越えることが難しかった。なぜなら、スロヴァキアでもウクライナ人の方が最優先で、アフリカ人は全てのウクライナ人が通過してからじゃないと許可されないらしい。

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(左 : アドエモ・アビンボル / 右 : ジェシカ・オラクポ  )

  ナイジェリア人留学生のジェシカ・オラクポ氏も、ザンビア出身の友人と一緒にウクライナを脱出したそうだが、まるで"野生動物"のような扱いを受けたという。('Nigerian student says she andherfriend were treated like animals trying to flee Ukraine', CBC News, March 2, 2022.) たとえ人種差別を受けても、ウクライナを無事に脱出できた人はまだ良い方で、ポーランドへ逃れた三名のインド人学生は、現地のゴロツキみたいな五人組の男に殴られ、インド人学生の一人は病院送りになったそうだ。(Lorenzo Tondo and Emmanuel Akinwotu, 'People of colour fleeing Ukraine attacked by Polish nationalists', The Guardian, 2 March 2022.) ポーランドでも有色人種の難民に対する反感は強いようで、アフリカ人や中東アジア人の難民は毛嫌いされたそうだ。彼らは列車に乗ろうとした時、ポーランド人の男達から侮辱され、「さっさと国へ帰れ !」と罵られた。

白い肌のウクライナ人なら歓迎だ

  外国からの「難民」というのは、所詮「赤の他人」である。受け容れ国の住民からしたら「余計な負担」というか「手間の掛かる厄介者」でしかない。それでも、西歐諸国には親切な人がいるから、ある程度の難民が滞在できる隙間はある。でも、難民の種類や容姿によって扱い方は違ってくる。ウクライナ難民の中にはポーランドやルーマニアを通過して、ドイツやフランス、ブリテン、あるいはアメリカやカナダに逃れる人もいるが、彼らが激しい抵抗に遭うことは少ない。なぜなら、白色難民は好ましく、彼らが長期滞在や帰化申請をしても不愉快になることはないからだ。

  ケルト系やゲルマン系の人口減少に悩む歐米諸国にしたら、可愛らしい子供を連れた白人夫婦は歓迎すべき移民である。イラクやシリア、アフガニスタン、ビルマ、エチオピア、ルワンダ、モロッコ、リビアなどからの移民や難民はおぞましく、共存共栄なんて真っ平御免だ。近所に住み着かれたら治安が悪くなるし、自宅の価値も暴落するじゃないか。それに、もしアフリカ人やアラブ人の子供が公立の幼稚園や小学校に入ってきたら、自分の子供と一緒になるので、我が子の将来を考える親なら出来るだけ排除したい。城壁で囲まれた高級住宅地に住む上流階級なら心配無いけど、普通の市街地に住む下層中流階級にしたら一大事。有色難民は「侵掠者(インベイダー)」と変わりがない。ロシアの侵掠によって逃れてきた黒人が、避難先で「侵掠者扱い」となったらギリシア悲劇よりも悲惨である。

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(左 : アフリカ大陸からの難民   /  右 : アジフ大陸からの難民 )

  歐米のマスメディアにも多少の人種差別があるようで、ウクライナ人の戦争犠牲者には"より"多くの同情が集まるようだ。例えば、三大ネットワークの一つ、CBSのベテラン海外特派員は、ウクライナを特別扱いしていたそうで、「イラクやアフガニスタンとは違う。ここは比較的文明化された都市だ。歐洲の都市と似ている」と述べたらしい。(Janice Gassam Asare 「『青い目のの欧州人が殺されている」ウクライナ報道の人種バイアス』、Forbes Japan、 2022年3月8日) 

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(上写真   /  「難民」になったウクライナ人の親子 )

  BBCでも有色人種の感情を逆撫でするような報道があったそうで、ウクライナの元次長検事が"問題発言"を口にしたそうだ。ウクライナ紛争が彼の感情を揺さぶるのは、金髪の青い目をした歐洲人が殺されているからだという。確かに、アメリカやヨーロッパの白人視聴者からすれば、アフガニスタンでパシュトゥーン人やパキ人が何人死のうが構わない。派遣されたアメリカ兵だって、現地人はみんなゲリラ兵に見えるから、ちょっとでも怪しい行動を取れば、女子供老人でも容赦なく撃ち殺す。

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(上写真   /  殺されたら惜しいタイプのウクライナ人)

  異人種の命は同胞の命と対等ではない。例えば、アフガニスタンの辺鄙な村で、怪しい雰囲気の住民や奇妙な言葉を喋る山岳民族を4、5人殺したって、そんなのは「付随的損害(コラテラル・ダメージ)」だ。本部へ報告する価値すら無い。司令部の上官だって気にしないだろう。たとえ、誤解に基づく"虐殺"や"鬱憤晴らし"の乱射であっても、部隊の仲間が黙っていれば「問題」にならないし、「存在」すらしなかったことになる。アフガン人の命なんか単なる「数字」だ。「6名死亡」と「10名死亡」のどこに"違い"があるのか?  名前も分からない「挽肉死体」について、米国のFBIや陸軍が調査に乗り出すとは思えない。

  歐米諸国と同じく、日本でも人種に基づく難民差別や排外主義を非難する人はいる。だが、そもそも受け容れ国に「選択の自由」が無いことの方がおかしいんじゃないか? 左翼分子は人道主義(ヒューマニズム)とやらを持ち出して、難民拒否の人々を批判するが、どうして外人を引き取ることが「義務」になってしまうのか? 「人権」という概念には、「何時でも何処でも、好きな国へ入ることができる」という特典が含まれているのか? 「人権」というのは地球上に住む人間なら誰でも有している「権利」であるから、アフリカのブッシュマンでもパプアニューギニアの裸族、あるいは北朝鮮の貧民ですら持っている。

  しかし、普通の日本人は無条件で「難民」を受け容れることはない。だいたい、飛行機に乗ってやってくる「難民」なんて怪しいぞ。出身国で内戦や紛争が勃発したら、クルド人やビルマ人、ソマリア人でも迎え入れなければならない、と言うが、何割の日本国民がこうした外国人を受け容れるのか? NHKやTBSは昔から熱心に移民・難民の受け容れを主張するが、そこで働く一般職員が憐れな外国人を自宅に迎え入れたというニュースを聞いたことがない。 平穏な生活を大切にする庶民なら、こんな連中が来たら大騒ぎだ。「うちには年頃の娘がいるんだ ! 得体の知れない黒人なんか家に泊められるか !ドアホ !」と叱り飛ばすだろう。

  また、もしも20年くらい風呂に入ったことがないインド人が、突然「難民」としてやって来たら、自宅に泊めて風呂に入れてやるのか? 仮にもし、このインド人がトイレで大便をしたら、家族の者はその便器に坐ることは出来まい。さらに、この居候がリビングルームにあるソフアーに寝転がっていたら、家の主人は烈火の如く怒り、問答無用で叩き出したくなるだろう。 ウガンダ人やルワンダ人はもとより、支那人や朝鮮人の難民だって御免蒙る。もし、こんな外人が自宅に住み着いたら、家に帰るのが憂鬱になるじゃないか。もし1ヶ月でも毎日毎日、家に帰る度に彼らの顔を見るとなったら、嫌悪感とストレスで胃が痛くなる。一週間も経てば野球バットで滅多打ちにしたくなるだろう。マスコミに洗脳された日本人は気づかないが、日本へやって来る難民だって、ちゃんと避難先を選んでいる。いくらクルド難民が祖国に帰れないとしても、あの"おぞましい"支那や朝鮮には行かないだろう。やはり、豊かで心優しい日本人がいる国を選んでしまうのだ。

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(左 : 出稼ぎ人となるインド人  /  右 : タバコ好きのインド人)

   難民問題を研究する専門家や大学教授は、「日本は難民の受け容れ人数が少ない」と説教を垂れるが、誰を受け容れるかは受け容れ国の住民が決めることで、象牙の塔から見下すインテリが決定すべきことではない。例えば、長屋(「メゾン・ド・何とか」というアパートメント)で一人暮らしの女性が、ベトナム人男性を引き取ることはないし、たとえ「強姦したり、風呂場を覗かないから」と約束しても、その日本人女性は絶対に信じない。たぶん、「死んでもイヤ !」と拒絶するだろう。我々はこうした女性を「差別主義者」とか「排外主義者」と糾弾できるのか? これがもし、福山雅治とか竹野内豊なら大歓迎だ。食事や風呂の提供どころか、「えぇぇ~、ちょっと美容室とエステに行くから待っててね !」と頼み、自分の部屋に案内してしまうだろう。

隣人・同胞にするのは同じ種族

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(左 : 祖父母が生まれ育った西歐社会で同じように生きる西歐人の親子  / 右 : 異国のフランスで暮らす異人種のイスラム教徒 )

  移民や難民の身分で入国した者は、努力して現地に同化し、何年か経った後、ようやく帰化申請を許されるかも知れないが、地元民から「仲間」とは見なされない。確かに、ブリテンへ渡ったアフリカ難民やアラブ移民は、市民講座で英語を学び、イギリス文化に適合するよう努力する。不安な人は頼りになる友人をつくり、学位を取って安定した就職先を見つけることもあるだろう。場合によっては、イスラム教からキリスト教に改宗し、アングリカン教会の信徒になることも有り得る。家族ぐるみの改宗だってあるから、同じ出身国の仲間や親戚はビックリ。中には「裏切者」と言って侮蔑したりする者も出てくる。

  しかし、黒いアフリカ人や褐色のアラブ人は、どんなに頑張っても白いアングロ・サクソン人にはなれない。なぜなら、ホスト国の教育や本人の努力では肉体や遺伝子を変えられないからだ。なるほど、有色移民でも優秀なサッカー選手とかラップ・ミュージシャン、ヒップ・ホップ・ダンサー、アクション俳優になれば人々から称讃されるし、大学教授や高度な技術を持つ者、政府や民間で働く通訳、高齢者の尻を拭く介護師、病人を救う医者、銭儲けを教えてくれる経済アナリストになれば、社会に役立つ「良き外国人」と見なされるだろう。だが、才能や特技を有する本人ならともかく、その家族が同じように好かれるかどうかは甚だ疑問である。

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( 左  : 黒人のラップ・ミュージシャン  /  右 : 黒人俳優のダニエル・カルーヤ)

  フランスでは2006年のサルコジ法により、高度な技術や特定の才能に秀でた外国人を優先的に受け容れる体制になったが、これは恐ろしい缼陥(けっかん)を含んでいた。フランス人は所謂「選ばれし移民(immigration choisie)」を迎える代わりに、「押しつけられた移民(immigration subie)」を撥ねつけようとした。ところが、この方針転換には意外な"落とし穴"というか"死角"があった。つまり、招待する移民の配偶者や子供のことを考えていなかったのだ。日本人は単身赴任に馴れているが、外国人は家族で一緒に暮らすことを優先し、離れ離れの処遇を残酷と考える。

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(左 : 金メダルを獲得した黒人アスリート   / 中央 : 政治学者のイブラヒム・ケンディ   /  右 : 政治家のジェイムズ・ボウマン )

  確かに、インド人の科学者やギニア人の研究者は、フランス社会に「利益」をもたらすゲストなのかも知れないが、その女房や息子、あるいは娘が"優秀"であるとは限らない。異文化圏から異人種を受け容れることは、国家の将来に深刻な影響をもたらす。例えば、「優秀」だからという理由で、マリ共和国から黒人の陸上選手を迎えたとする。オリンピックで金メダルを獲得すれば国威発揚となるだろう。ただし、彼が黒人を女房にすれば、息子や娘も両親と同じ黒人となる。たとえ、白人と結婚しても、生まれてくる混血児はアフリカ人の人相になってしまうから、配偶者の親が猛反対する。それに、もし異人種の女房がフランス文化に馴染めず、アフリカ出身の黒人だけと付き合い、モスクに通ってベールを纏う生活を続ければ、いつまで経っても「異邦人」のままだ。こういった場合、アフリカ人の妻はフランス語を習得せず、祖国の言葉を使い続ける。

  翻って、移民の二世や三世にも厄介な問題は多い。たとえ、母親と違う生活スタイルを選んだ子供であっても、周囲のケルト人やゲルマン人とは明らかに"違う"から、どうしても疎外感を抱くことになる。いくら流暢なフランス語を操っても、どことなく"異質"な感じは拭えず、彼らのアイデンティティーは「よそ者」だ。それに、アスリートやエンジニアの息子でも、親爺の「知能」や「能力」を受け継ぐわけじゃないから、バカ息子が生まれることも有り得る。立派な親爺を持つ"ロクでなし"は存在するし、高名な親と比較されてグレたりする息子なんて珍しくない。

  まぁ、親が知識人なら、その子もある程度は知能が高くなる。だが、そうじゃないケースだってあるだろう。例えば、科学者の倅(せがれ)であっても、学校で数学や物理のテストを受けたら平均以下、という移民の子供は少なくない。また、スポーツ選手の娘だからといって運動神経が良いとは限らないし、俊敏なボクサーからどんくさい息子が生まれる場合もある。競馬で毎回優勝するサラブレッドなら、その精子は高値で取引されるが、短距離走の金メダリストに輝いた黒人の精子を欲しがるヨーロッパ人女性はいないだろう。仮に"居た"としても、どこか精神に異常性を持つ白人女性だ。猫を愛するあまり、顔に刺青を彫って「キャット・ウーマン」になる白人もいるから、どんな変人がいてもおかしくはない。黒人女性だと直ぐ「黒猫」になれるから、運送会社のマスコットになれるんじゃないか。

  サッカーやバスケットが得意な親でも、祖国での教育レベルが低く、知的好奇心のカケラもない黒人が多いから、その子供が親と同じく「勉学での劣等生」になる確率は高い。「蛙の子は蛙」ということだ。しかも、フランスやネーデルラント、ブリテン、デンマークなどに移住した黒人の二世は、疎外感ゆえに不良となる者も多い。さらに、こうした悪ガキどもが白人警官に逮捕されれば、もっと複雑な問題になる。特に有色人種の子供は、その異質な容姿ゆえに、いくらフランス国籍を有していても、周囲のフランス人から常に「エイリアン」扱いだ。たとえ手錠を掛けられなくても、普段の行動がヤンチャだから、白人警官による職務質問の時に「外人」とか「移民」と見なされる。だが、本人はこの偏見に我慢できず、「俺はフランス生まれのフランス国民だ !」と叫んで、警官に向かって反抗的な態度を示す。

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(左 : 「男らしい」アラブ系移民  / 右 : アフリカ難民と親しく触れ合うマクロン大統領 )

  ビジネスやお見合いの時と同じく、知らない者同士が暮らす都会では、「見た目」が大切になってくる。「人は外見によらず」というのは、長く付き合ってからの判断だ。フランス国籍を持つマグレブ諸国出身の青年は、普通に街をブラついていても、ベテラン巡査から怪しまれる。時には、いきなり「身分証を見せろ !」と要求されることもあるし、「お前は何処に行くんだ?」という不条理な質問を受けてしまう。中には本能的に抵抗する者や、いきなり逃走する者までいるから、大袈裟な追跡劇に発展する場合もある。とりわけ、発砲逮捕になれば新聞沙汰であろう。不良のガキどもは特に"これ"といった罪を犯していないのに、急に走り出すから警官は犯罪者と思ってしまうのだ。たぶん、彼らには普段隠している"やましい"点があるんだろう。

  このような現実を考えてみれば、歐米や日本といった先進国は、異質な移民や難民を受け容れるべきではない。引き取る外国人は同質民族に限る。戦争が勃発して多くのウクライナ人が「避難民」となったが、受け容れ先のドイツやフランス、ブリテンでは激しい反対論は無かった。むしろ、ウクライナ難民を招き入れようとする人までいるくらいだ。中には自宅に招いてもよいと申し出る人までいるらしい。一方、ウクライナから脱出してきたアフリカ人やインド人は、「来るんじゃない !」と門前払いされて、「人種差別だ !」と怒っていた。彼らも途方に暮れているのに、喜んで迎え入れてくれるヨーロッパ人は皆無。仮にいたとしても、NPO法人が臨時のシェルターを用意してくれるくらい。

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(左 : ウクライナ人の少女  / 右 : 父親と一緒の幼いウクライナ人 )

  大学教授はともかく、常識を備える日本の庶民なら、「扱いの違い」に関して異論はなかろう。なぜなら、「好ましい難民」と「厭な居候」とは明らかに違うからだ。例えば、ウクライナ人の移民や難民なら、フランスやドイツだけじゃなく、アメリカやカナダに渡っても、現地に同化できるだろう。たとえ親がドイツ語とかフランス語、あるいは英語で苦労したとしても、幼い子供なら友達と遊ぶうちに言葉を覚えるし、「見た目」も変わらないから、幼稚園や小学校で差別されることはない。若い夫婦なら避難先に定住するかも知れないし、赤ん坊を産んでも何となく安心だ。近所の白人とは直ぐ仲良くなるし、「外人」や「異邦人」に見えないから、そのまま現地の社会に溶け込む。カナダにもウクライナ系住民は多いけど、彼らがアングロ系国民から毛嫌いされたという話は聞いたことがない。

避難先・移住先に溶け込めるタイプ

  映画ファンの日本人なら、こうした「現実」を直ぐ理解できるはずだ。例えば、映画『バイオハザート(Resident Evil)』シリーズでお馴染みのミラ・ジョヴォヴィッチ(Milica B. Jovovich)は、セルビア人の父親とロシア人女優の間に生まれた娘である。彼女の生まれはモスクワじゃなく、ウクライナのキエフ。もう一人有名人を挙げるとすれば、2019年に公開された『ゴジラ(Godzilla)』に出演し、「Dr. Emma Russell」役を演じたヴェラ・ファーミガ(Vera Farmiga)だ。彼女もイギリス系アメリカ人ではなく、ニュージャージー州で生まれたウクライナ人の娘である。二人の女優とも「異邦人」には見えず、普通の"アメリカ白人"に思えてしまう。

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( 左 : ミラ・ジョヴォヴィッチ /  中央 : ヴェラ・ファーミガ  /  右 : キャサリン・ウィノック )

  さらに、もう一人著名なウクライナ系役者といえば、カナダ人女優のキャサリン・ウィノック(Katheryn Winnock)を挙げねばなるまい。彼女は「Historyチャンネル」の大人気ドラマ『ヴァイキングズ(Vikings)』に出演し、一躍人気役者となった。ウクライナ系カナダ人ではあるが、スカンジナヴィアの時代劇に出ても違和感は無い。ヴィノックは伝説の王ラグナー・ロスブロック(Ragner Lothbrok)の妻、「ラガサ(Lagertha)」を演じたが、もし彼女が「スウェーデン人女優」と紹介されても不審に思う人はいないだろう。

  古代史を学べば判るけど、ノルマン人はロシアにも進出していたから、彼女のような「ロシア人」や「キエフ人」がいたとしても不思議じゃない。ノヴゴロド(Novgorodskaya Rus)を建てたラドガのリューリック(Rurik of Ladoga)は、たぶん北方種族のヴァリヤーグ(Varyag)を率いる族長であったはず。モンゴル的なロマノフ朝以前の「リューリック朝」を考えれば、ロシアに大勢のスラヴ人やゲルマン人の末裔がていも当然だ。

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( 左 :  カイリー・バンベリー /  右 :「ラガサ」役を演じたウィノック)

  ちなみに、ウィノックは探偵ドラマの『Big Sky』に出演しているが、彼女の相棒というのが、これまた黒人女優のカイリー・バンベリー(Kylie Bunbury)ときている。彼女の母親はポーランド系の白人なんだが、父親がガイアナ出身の黒人だから、バラク・オバマみたいなクレオール黒人だ。彼女がウィノックみたいに「ヴァイキングの女房」を演じたら、きっと視聴者からのブーイングが起こってしまうだろう。さすがに、リベラル派のプロデューサーでも、色黒の混血児を準主役にすることはない。でも、イングランドのテレビ業界には筋金入りの左翼がいるから、英国の時代劇でも、黒人のプリンセスを登場させてしまうのだ。

  バンベリーの起用を目にすると、カナダやアメリカの視聴者は、「また、人種的配慮のキャスティングかよぉ~」と嘆きたくなるが、エンタメ業界の"掟"だから仕方がない。米国の人気TVドラマであった『マイアミ・バイス(Miami Vice)』と同じで、二人組の一方が白人だと、もう片方は必ず黒人となる。日本のテレビ・ショッピングでも、「抱き合わせ商法」というのがあって、買いたい品物に余計な「おまけ」が附いてくる。(ここでは関係ないけど、先日、「Beck'sコーヒー」店でコーヒーを注文したら、「パズル&ドラゴンズのカードを店員から貰った。でも、筆者はコレクターじゃないから、処分に困っている。小学生なら欲しがるかも知れない。)
  
  これは歴史的事実みたいなんだけど、新しい土地を求めたヴァイキングは、アイスランドやクリーンランドを経由してカナダに渡ったらしい。考古学者によれば、ニューファンランド島(Newfoundland)やラブラドール地方(Labrador)に住み着いたそうである。ちなみに、「ラブラドール・レトリバー」はこの地域原産の犬種であるらしいが、元々はイングランドやアイルランドにいたそうだ。ラブラドールとゴールデン・レトリバーはちょっと似ているけど、交配種が違うから別々の血縁になるという。でも、どちらも可愛いから日本では大人気。小学生くらいの子供だと、黒ラブよりもバター・スコッチ色のゴールデン・レトリバーを選んでしまうけど、大人はどちらでもいい。仔犬だと両方とも可愛いから関係ないんだろう。

  ところが、これが人間だと大違いで、日本人が養子を迎える際、やはり外見は重要で、嫌いな種族だと愛情が湧かない場合がある。それゆえ、何となく罪悪感が芽生えても、アフリカ人の黒ん坊よりも圧倒的に北歐のゲルマン人を選んでしまうのだ。難民をホームスティさせる時だって同じである。受け容れるゲストの人種や容姿は重要だ。いくら可哀想でもルワンダ人やベンガル人、あるいはアフガン人やイラク人では厭である。スラヴ系のウクライナ人やロシア人の方がよっぽどいいし、男性よりも女性の方が好ましい。年齢も若い方がいいから、出来るだけ10代や20代の女性を求める。日本人は本音に正直なのか、髭面のオッさんよりも青い瞳の少女や金髪を靡かせる乙女の方を選んでしまうのだ。

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(左 : 若いウクライナ人女性   / ウクライナ人の少女 / アフリカ人の少女  /  右 : イスラム教徒の教師)

  こうした選択をする日本人は、やれ「人種差別主義者」だとか、「性差別主義者」、「年齢差別主義者」と非難されてしまうが、私生活での共存なんだから相手を選んで当然だ。そもそも、難民の全てを庇護することはできないから、我々は否応なしに誰かを選ぶことになる。したがって、選ぶ時に「選択基準」があってもおかしくはない。逆に、各家庭に委託する難民を"無差別・無作為"に割り当てたら大変だ。不満を抱く人々が物凄い剣幕で怒鳴り込んでくるだろう。ポーランドやルーマニアでは、黒人の難民に対して嫌がらせが起きたというが、日本人でも隣近所にアフリカ難民やアラブ系移民が住み着いたら、町内会で問題となるはずだ。おそらく、役所に抗議の電話が殺到するぞ。外人に不慣れな親だと、「ウチの娘が通学途中に襲われたらどうするんだ !」と怒り狂ってしまうが、普通の日本人はこうしたヒステリーや不安が人種偏見に基づくとは思っていないのだ。

  昔は「怪しい人を見かけたら110番」というポスターまであったから、警察だって外見で人を判断していた。今は「人権教育」が浸透しているから常識的な注意勧告ができない。もし、子供から「どういう人が怪しいの?」と訊かれると、両親や祖父母は答えに窮する。まさか「変な容貌の外国人」とは言えないから、具体的な例を挙げることが出来ず、ただ「知らない人には近づいちゃ駄目」と言うしかない。スウェーデンにはリベラル思想にかぶれたアホな国民が多いので、"可哀想"なイラク難民を自宅に泊めたりする。しかし、無邪気な少年のフリをする難民もいるから、親がちょっと留守にした隙を狙って、彼らの白人娘を強姦する奴もいるそうだ。難民を気前よく受け容れるスウェーデンには、「人を見たら泥棒と思え !」とか「後悔先に立たず !」という言い回しが無いんだろう。

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(左 : 怪しく見えるがシカゴ市長になったロリ・ライトフット  /  右 : 不気味に見えるが憐れなアジア難民)

  歐米諸国から何と言われようが、日本は難民を引き取るべきではない。NHKや朝日新聞の左翼分子は、「日本政府はもっと難民を受け容れろ !」、「欧米並に人権を配慮しろ !」と言いたい放題。しかし、彼らは個人生活で難民を自宅に泊めたり、自分の貯金から難民への支援金を出したことがあるのか? 2千円とか1万円くらいじゃ義援金にならないぞ。高額所得が当たり前のNHK社員なら、500万円とか1千万円くらい寄付をしなきゃ。彼らからすれば、こんな金額は「はした金」と同じだから、ちょっと観光旅行や外食を控えればいいだけだ。

  ウクライナ国民は西歐の闇組織に利用され、祖国を失いかけている。だが、幸いにも彼らは西歐人に近いので、避難先の国で新たな生活を築くことができるだろう。いくら愛国心が強いとはいえ、瓦礫になった我が家へ戻って残骸整理となれば泣けてくる。祖国から逃げ出したロシア人も、戦闘が終結したからといって、経済的に疲弊したロシアに戻るのは気が進まないだろう。若いロシア人だと将来を悲観したくなる。今や、ルーブルなんて紙屑同然だ。羽振りが良かったロシア人でも、ルーブの暴落後に貧民になってしまった。「米ドルかユーロで貯金していれば良かった」と後悔しても"後の祭り"だ。賢いロシア人やウクライナ人は、純金や英国ポンドで資産を守っていたんだろうが、一般人はスイスの銀行で外貨預金なんかしていないはずだ。

  日本に住むウクライナ人やロシア人は、幾らか日本円で貯め込んでいるから、当分の間は祖国に戻らず、日本で暮らすことになるだろう。まぁ、スパイやマフィア、酌婦と売春婦はともかく、日本にやって来る東歐人やロシア人は、在日参政権を求める反日分子という訳でもないから、ある程度容認されるんじゃないか。これは半分冗談みたいな願望だけど、もしも北方領土に住むロシア人が「貧乏なロシアはイヤだ」と言い出したら、彼らの要望に応じて「日本への併合」を認めてもいい。日本は橋本内閣から安倍内閣まで、さんざんロシアに騙され続けてきたんだから、クレムリンが窮地に陥った時にこそ、奪還のチャンスがある。そもそも、クリミアの併合だって「住民投票」で決めたんだから、住民の意思で「日本への帰属」が決まれば、プーチン大統領も反論できまい。

  「戦争が勃発すれば難民が生じる」というのは昔からよくあることだが、難民を受け容れるというのは、絶対的な義務でもなければ普遍的な道徳でもない。例えば、ジンバブエで内戦が起こったからといって、そこから逃れてくる黒人をドイツ人やイギリス人が受け容れる義務は無いし、ヨーロッパ諸国が排斥する方針を取ったとしても、それを国連職員が批判するというのは「お門違い」だ。誰を受け容れ誰を排斥するかは、各国が自主的に決めることで、国連の難民高等弁務官や左翼団体の運営者が、とやかく言うことじゃない。どうして歐米諸国の左翼は、第三世界の難民を排斥する「右翼」を非難するのか?  もし、ジンバブエやコンゴから難民が出たら、ボツワナやタンザニアが引き取ればいいじゃないか。あれだけ広い国土があれば、寝袋とテントで生き延びる事ができるだろう。

  日本人は戦禍を逃れて西歐に非難するウクライナ人を不憫に思っているが、我々が考えるべき事は、北鮮や支那といったアジア諸国から難民が到来した時の対応である。NHKや朝日新聞を始めとする左翼メディアは、必ず「日本政府は人道的支援をすべきだ !」と騒ぎ立てるぞ。しかし、日本のマスコミ人は本社ビルに難民を迎え入れることはせず、全ての厄介事を政府に丸投げする。ましてや、一般社員が難民を養うなんてことは絶対に有り得ない。たとえ、リベラル派の論説委員や御用学者でも、朝鮮難民やビルマ難民ともなれば玄関先で塩を撒く。「ウチは狭いし、家族がいるから無理」と断ったりしてね。「人道支援は税金で !」というのが、左翼インテリのモットーだ。「口は出すが、金は出さない」というのも左翼の行動原理。倫理道徳は書物の中だけにある。

  これは筆者の妄想だけど、麻布や恵比寿、田園調布なんかに「難民宿泊所」が出来たら大騒ぎになるだろうなぁ~。上流階級の国民は「環境問題」に敏感だから。でも、菅直人が選出された東京18区(府中市・武蔵野市)のリベラル住民は、アジア難民を温かく迎えるかも。まさか、「地球市民」を自称する善良市民が、憐れな外人を門前払いにすることはないだろう。でも、中には戸締まりを厳重にしたり、「難民反対 !」の垂れ幕を掲げる住民がいるかも知れないぞ。テレ朝の「スーパー・モーニング」は、こうした冷血漢を取材・報道するのかなぁ~。



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戦略家プーチンの気概と不幸しかないウクライナ

日本にはびこる単純な戦争評論

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(左 : ライフルが似合うプーチン大統領  /  右 : 世界経済を操るユダヤ人と大富豪)

  日本には行動や言論の自由があるから、誰が何を見て何を語ろうが個人の勝手だが、ウクライナ紛争に関するテレビや新聞の報道を耳にすると、目眩がして頭が痛くなる。色々な記事によると、フジテレビは性懲りもなく、橋下徹を頻繁に登庸しているそうだ。これじゃあ、誰だって「局のプロデューサーやディレクターは、日本維新の会と裏で繋がっているのか?」と疑いたくなる。

  そうじゃなくても、テレビ局は"便利"な御用藝人を出演させているそうで、学生運動で眼球を怪我したテリー伊藤や「国際政治学者」を名乗る三浦瑠璃、「ロシア専門家」と自称する慶應義塾の広瀬陽子を招いていたし、雑誌の方も素性が怪しい佐藤優とか元外交官の東郷和彦など、ウンザリするような面々を集めていた。こんな連中の論評を聞いてしまうと、日本には"まとも"な政治学者や情報アナリストは居ないのか、と思ってしまう。

  インターネット番組には、地上波テレビよりも"マシ"なものが幾つかあるけど、虎ノ門ニュースは初心者向けの雑談番組に過ぎないから、観ていて痛々しい。今回、スポンサーのDHCはナザレンコ・アンドリー氏を招いてウクライナ情勢の解説をさせていたが、彼のロシア批判だけを聞いていても、ウクライナ政府に盤踞する悪党や紛争の根本原因を把握できない。単に「ウクライナを支援しましょう !」で終わりだ。

Ihor Kolomoyskyi  155Zelensky 6231(左  : イゴール・コロモスキー/  右 : ゼレンスキーの番組ポスター)
  歐米諸国や日本のメディアは、ゼレンスキー大統領を自由とデモクラシーの英雄みたいに持ち上げているが、彼とイゴール・コロモスキー(Ihor Kolomoyskyi)との関係を解き明かす番組はほとんどない。このユダヤ人オルガルヒが「ネオナチ」グループに資金を流し、愚連隊を正規化していることには沈黙を守っている。だいたい、「虎8」の視聴者はゼレンスキーが主演したTV番組「国民の僕(しもべ) / Sluha Nardou」のスポンサーを知っているのか?

  このコメディー番組は、「1+1(odyn plyus odyn)」が制作・放映した娯楽作品で、局のオーナーはコロモイスキーだ。彼はワーナー社やヴァイアコムみたいなメディア組織、「1+1 media group」の大株主で、2+2やTET、PlusPlus、1+1 International、 Unian-TV、Bihudi、UNIANなどを傘下に収めている。('Kolomoisky to head supervisory board of 1+1 TV channel', The Kyiv Post, December 20, 2019.) 「国民の僕」で一躍、人気者となったゼレンスキーは、コロモイスキーの支援で政界に進出する。だが、この俳優が属する「国民の僕(Sluha Nardou)」という党名は、この番組名から取ったものだ。つまり、コロモイスキーが銭を与えてゼレンスキーを育て、政界に送って権力を得ていたのである。在日ウクライナ人は決して口にしないけど、ゼレンスキーはコメディアン(道化師)からペット(飼い犬)に鞍替えしたというわけ。

  対ロシア戦であるから、歐米諸国のマスコミが躍起になって「反プーチン・キャンペーン」を展開し、「赦されざる独裁者」と宣伝するのは当然だ。敵を"悪魔化"するのは昔からよくある。皆様もご存じ、三十年戦争のような宗教対立では、敵対するグループ双方が罵り合っていた。カトリック信徒はプロテスタントの連中を蔑み、天主の教会を破壊する叛逆者、あるいはキリストの教えを歪める異端者と侮蔑した。一方、プロテスタント信徒の方も負けてはおらず、カトリック教会を異教のローマ組織、あるいは偶像崇拝の輩(やから)、聖書に基づかない偽教会と唾棄した。

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( 左 : アドルフ・ヒトラー / 中央 : フランクリン・ローズヴェルト / 右 : ウィンストン・チャーチル )

  第二次世界大戦の時も同じで、ナチスが君臨するドイツは悪魔の帝國だ。アドルフ・ヒトラーはユダヤ人をガス室で殺害した屠殺人であったし、野蛮な思想に取り憑かれた狂人、ヨーロッパを蹂躙する独裁者であった。(ただし、ガス室殺人の証拠は無い。反対尋問に基づかない雑談が証拠になっているだけ。) しかし、ドイツと対立する英米も似たり寄ったりで、フランクリン・ローズヴェルトは共産主義に惹かれたピンク・リベラルで、共和政体の原理を蹂躙した独裁的大統領。自由の擁護者を演じたウィンストン・チャーチルはもっと卑劣で、共産主義者のスターリンと手を組んだ悪徳宰相。彼は前々からユダヤ人の金貨に魅了され、同胞のイギリス人を犠牲にしてもユダヤ人を救いたかった売国奴。マルバラ公爵のお坊ちゃんは、息子や亭主を失ったイギリス人から蛇蠍(だかつ)の如く嫌われても気にしなかった。だって、裕福なユダヤ人から餌を貰っていたブルドッグなんだから。

サバイバリストの大統領

  歐米諸国と同じく、日本でもウラジミール・プーチンは侵掠の常習者、冷酷無情な殺人鬼と見なされている。(TVアニメ『デビルマン』に出てくる「魔将軍ザンニン」よりも残忍という訳だ。) しかし、本当にプーチンは理性を失った狂人なのか? 確固たる根拠は無いけれど、筆者には何となく、そう思えない。ちょっと前、ブルッキングス研究所のフィオナ・ヒル(Fiona Hill)とクリフォード・G・ガディ(Clifford G. Gaddy)が、プーチンの経歴や思想を紹介する本を出していた。その中で興味深いのは、「サバイバリスト(survivorist)」の側面をもつプーチンの分析だ。

  圧政が繰り返されるロシアの歴史は実に陰鬱で、混迷の時代は長く、度重なる侵掠なんか、ちっとも珍しくない。むしろ、膨張主義がロシア史の本質だ。凄惨な戦争は毎度の事で、日本みたいに「戦国時代」という時代区分も無い。外国では戦争状態が当たり前。「平和」というのは梅雨時の晴れ間のようなものだ。天主のヤハウェから苦しめられたヨブじゃないけれど、ロシア人は祖国がいつも神様から試練を受けていると考えている。日本の庶民だと厭になってしまうが、ロシア人はめげることなく、苦難の歴史を乗り越えてきた。モンゴル人の支配にも耐えてきた民族だから、羆(ヒグマ)の心臓か、ゴリラ並の生命力を宿しているのだろう。何しろ、真冬に水浴びをする連中だから、ロシア人というのは強靱な肉体と不屈の精神を持っているのかも知れない。

  歴代の為政者や軍人と同じく、ウラジミール・プーチンも、ロシアの国家的試練を受け容れ、逃れられない運命を認識しているようだ。言うまでもないが、ロシアの社会や政治は厳しく、力が尽きて消滅する個人や家族もいれば、不運に見舞われて廃車となる負け犬も存在する。だがその一方で、国家の保護を受けずに戦い抜き、逆境に打ち勝つ者もいるようだ。ひょっとしたら、ロシア人は天然の"サバイバリスト"なのかもしれない。つまり、最悪の状態を常に想定し、その準備を怠らない民族がロシア人。全国民とは言わないが、一般的にロシア人は経歴や年齢を問わず、サバイバリストのメンタリティーを持っている。

Grigori Rasputin_1916(左  / グリゴリー・ラスプーチン )
  日本でもグリゴリー・ラスプーチン(Grigorii E. Rasputin)の暗殺事件は有名だ。この「怪僧」は青酸カリを口にしても死ななかったし、銃弾を二発喰らっても死ななかった。しかし、額に弾丸を撃ち込まれれば即死だ。殺し屋は胸じゃなく頭を狙う。それにしてもラスプーチンは凄い。一般の日本人でも、格闘家のセルゲイ・ハリトーノフやイゴール・ボブチャンチンを思い出せば、「ロシア人って、ホントしぶといよなぁ~」と判るはず。

  話を戻す。対ドイツ戦での悲劇や戦後の貧しさ、食糧不足に悩んだレニングラード時代、そして共産党支配の国家体制を知っているプーチンは、戦争の悲惨さだけではなく、国家の安全保障にも敏感だった。特に、食糧安保に関しては現実的な考えを持っていた。2003年6月の記者会見で、プーチン大統領は次のように述べていた。

  私の両親は昔、必死で家庭菜園を守ろうとした。彼らは朝から晩まで、せっせと働き、私も作業を手伝わされたものだ。だから、食料を確保することの大切さが痛いほどわかるのさ。(フィオナ・ヒル & クリフォード・G・ガディ『プーチンの世界 「皇帝」になった工作員』濱野大道 / 千葉敏生 訳、 新潮社、2016年、pp.103-104.)

  ソ連崩壊の1991年、レニングラードで資源と食料の物々交換という仕事に当たったのは、対外関係委員会の会長を務めていたウラジミール・プーチンであった。彼は民間の仲介業者を取引相手にしたのだが、これがとんでもない間違いだった。商社から届けられたの物資は、合意された量じゃなく、ほんの一部に過ぎなかったらしい。(ロシア人は日本の商人を見倣え !) さらに、配送もいい加減で、方向違い。例えば、サンクトペテルブルクに届くはずだった食料が、何とモスクワに配達されていたのだ。あの怜悧なプーチンでも、計画が上手く行かず、ドジを踏むことすらあった。彼の大失敗は政治的なスキャンダルにまで発展したそうだが、当時のロシアは運良く暖冬だった。もし、極寒の年であったら、どうなっていたことか ! ニッコロ・マキャヴェッリなら、「運命の女神を味方に附けた奴」と評するだろう。

  こうした失敗を経験したプーチンは貴重な教訓を得たという。

(1) 大惨事が起きた時に、ロシアの生存や富、発展を担保してくれるのは天然資源である。したがって、戦略物資の備蓄は不可欠だ。
(2) 不安定で予測もできない状況においては、民間企業など当てにならない。なぜなら、普通の企業は社会に対する義務感を有していないからだ。民間企業は目先の利益だけを考える。それゆえ、国家の指導者は大権を保持すべし。一定のコントロールを行使できる権力は必要だ。

  戦時中を想定すれば解る通り、国内外の計算ミスや急変する状況はいつでも有り得るし、想定外の出来事が起こったら大変だ。やはり、緊急時に備えることは大切である。そこで、保険を確保する必要性も出てくる。2012年の大統領選挙中に、プーチンは報道機関の代表者達に、次のことを語った。

  我々の課題は、生存可能な有機体を作り上げることだと思う。つまり、生命力があり、変化し続ける世界に適応できる国家という有機体をロシアに作り上げることだ。しかし、現代世界には、この有機体の成長を妨げるあらゆる脅威が潜んでいる。こうした外部からの衝撃に備え、我々の主権を完全に保障するためには、国家が安定した発展を続け、数十年先に及ぶロシア市民の幸福を確保することが必須となる。(上掲書 p.107.)

Alexander Grigoryev 3( 左 / アレクサンドル・グリゴリエフ )
  プーチンは国家の財政基盤に関しても関心が高く、どうやら諜報員の養成課程で米国のウィリアム・キング(William R. King)とデイヴィッド・クレランド(David I. Cleland)が出版した『戦略的計画と政策(Strategic Planning and Policy)』を読んだ節がある。キングとクレランドが強調した戦略的計画の本質とは、不慮の事態や予期せぬ出来事に対する準備であった。最悪のシナリオにどう備えるのが最善なのか? 彼らは企業経営における計画を考えた。しかし、プーチンはこれを国家運営に当て嵌めた。2001年、プーチンはKGB時代の親しい同僚であるアレクサンドル・グリゴリエフ(Alexander Andreyevich Grigoryev)に戦略的備蓄のプロジェクトを任せ、彼を「国家備蓄局(ゴスレルヴ / Gosrezerv)」の長官に任命したという。

  国家備蓄はソ連時代および崩壊後にコッソリと裏で進められ、プーチン政権でさらに強化された。グリゴリエフとプーチンはエリツィン大統領を嫌っていたようで、「エリツィン時代に戦略的物資のほんどが盗まれてしまった」と嘆く。おそらく、プーチンはオリガルヒの簒奪を念頭に置いていたのだろう。2004年には大規模な備蓄を強調するためか、「国家備蓄局」は「連邦国家備蓄局(Rosrezerv)」へと改名された。

Alexei Kudrin 1(  左 / アレクセイ・クドリン )
  戦略家のプーチンは物資の備蓄だけではなく、財務の分野に関しても安全保障を考えるようになった。彼はサンクトペテルブルク時代の盟友で、経済学者のアレクセイ・クドリン(Alexei Kudrin)を財務大臣に指名した。クドリンとプーチンの目標は、国家の財務負担を減らし、世界経済が及ぼすロシアへの影響を抑えること。そして、重大な経済不況を乗り切るべく、充分な財政的備蓄を築くことである。こうすれば、ロシアは単に"生き残れる"だけじゃなく、"自立国家"として生き残ることができるのだ。確かに、国家の存続には財政的基盤が必要で、他国との経済関係に従属していれば、国家の独立なんて無い。

  これはある意味、兵営国家の発想だ。独自に行動できる軍隊、つまり自国の軍隊だけで戦争を遂行できる国家こそが独立国なのである。日本の自衛隊はいつも「米軍頼み」で、兵器や装備の点でも貧弱だ。おまけに「占領憲法」という拘束衣で雁字搦めときている。でも、国民の大半が日本の再軍備を「気違いに刃物」と思っているんだから救いようがない。とりわけ愚劣なのが、法学部で洗脳された上級国民だ。有名大学を卒業したお坊ちゃまは、自尊心の塊だから始末に困る。頭の中を覗いてみれば、真っ赤な脳味噌がぎっしり詰まっている。

  愚痴をこぼす訳じゃないけど、クルクルパーのピンク・リベラルが日本のインテリで、利権漁りを本業とするのが国会議員。衆院議員ともなれば、国家の独立を考えるはずなのに、独立の肝(きも)となる核武装には全く興味がない。(総理大臣になった岸田文雄と防衛大臣だった河野太郎が典型例。) 国家の自由と命運よりも、一票乞食相手の宴会とか運動会で忙しい。支援者の結婚式となれば祝電か出席。老人が集まる葬式となったら一大イベントで、ここぞとばかりに涙を浮かべ、同情を示しながら挨拶回り。呆れてしまうけど、これが日本の現実だ。野党の政治家はもっと酷く、「日米安保反対 !!」と叫びながら、アメリカ様に"おんぶに抱っこ"の状態である。こんな日本は一人前の独立国家じゃない。

  脱線したので話を戻す。国家が経済的な自立を失ってしまえば、主権を奪われた状態と同じくなる。たとえ、戦争で生き残っても、外部からの圧力や統制を受け続ける状態、つまり自分で自分の運命を決められない属国状態なら、生き残っていても意味は無い。ソ連崩壊後の1990年代、西側諸国はロシアが抱える債務、国際通貨基金(IMF)からの援助、世界銀行による融資への依存状態を利用し、弱体化したロシアを牛耳ろうとした。1994年、ロシアがバルト三国から撤退したのは、政府が外政問題で譲歩せざるを得ない状況に陥ったからだ。

  プーチンは大統領に就任して以来、自国産業の発展や財政問題に精力を注ぎ、ロシア経済の急成長を目指した。石油や天然ガスの輸出に加え、鉄鋼や機械への需要、製造業の育成などで、徐々にロシア経済は強くなり、国家の債務は減少した。外貨準備高も2008年半ばで6,000億ドルに増えたというから凄い。10年間せっせと外貨準備を築き上げたことで、2008年から2010年にかけての世界金融危機をも乗り越えることができた。また、ロシア政府と財務省は「予備基金」と「国民福祉基金」を設立し、堅実な財務能力を磨くことができた。プーチンは長年に亙って財務の健全化に努めてきたクドリンに感謝の意を表したという。
  
  先ほど述べた「サバイバリスト」に関しては、受動的な点と能動的な点がある。主に、"運頼み"で大惨事を切り抜けるのが、受動的なサバイバリストだとすれば、生存の確率を高めるために、適切な対策を取るのが、積極的なサバイバリストである。プーチンは苦い経験を通して実践的な知識を身につけたそうだ。インタビューを受けた時のウラジミール・プーチンは、折に触れてレニングラードで過ごした子供時代や個人的な体験を語っていたという。

  治安の悪い街で育ったプーチンは、自分の力だけを頼りにする術(すべ)を学んだらしい。学校でのウラジミール少年は問題児であったらしく、彼はソ連の少年団である「ピオネール」へ入ろうとしたが、少年団の方から断られたという。不良少年になったウラジミールは、やがて近所のガキ供と連(つる)むようになった。悪ガキの日常とくれば、犯罪か喧嘩沙汰しかない。インタビューの中でプーチンは、初めての喧嘩で得た教訓を幾つか列挙した。人生初の喧嘩に臨んだウラジミールは、情けないほどボコボコにされてしまい、みんなの前で赤っ恥をかく破目になった。しかし、彼はこの敗北で貴重な教訓を得る。プーチンは言う。

  その1 。私が悪かったということ。よく覚えていないが、私の方からイチャモンをつけ、喧嘩を吹っかけてしまった。相手は直ぐ殴ってきたけど、これは自業自得だ。
  その2 。どんな相手であっても、そういう態度を取ってはならない。誰にでも敬意を払うべし。
  その3 。どんなに自分が正しくとも、どんな状況でも、強くなければならない。そうでないとやり返せない。
  その4 。攻撃や侮辱に対しては、いつでも直ぐさま反撃できるようにしておかねばならない。直ぐにだ ! 勝ちたければどんな戦いでも、最終決戦のつもりで最後まで戦い抜くこと。引き返すことはできず、最後まで闘うこと以外の選択肢は無い、という覚悟でだ。(上掲書、pp.116-117.)

  後に諜報局員となるプーチンは、それが有名な鉄則であることをKGBで教えられたという。しかし、彼は既に少年時代の喧嘩で学んでいた。

最後まで戦い、絶対に勝利を摑む

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( 左 : 「狂人」のプーチンが率いるロシア軍 /  右 : 「操り人形」にしか見えないゼレンスキー大統領 )

  こうしたプーチンの思考様式を前提にすれば、今回、なぜプーチンがウクライナ侵攻に踏み切ったが解るだろう。NATOから攻撃されたり、バイデンから侮辱されれば、怯まずに反撃しなければならないし、たとえ不利な戦争でも戦わなくてはならない。売られた喧嘩は必ず買うのがプーチンの流儀だ。そして、いったん開戦となれば、途中で引き返すことはできない。たとえ血みどろの激戦になろうが、ロシア軍は最後まで戦い抜く。歐米諸国がロシアを破滅させるつもりなら、その前に敵を核兵器で殲滅するのがロシアの行動原理だ。

  これがプーチンの考えと開戦を決めた理由の全部とは言えないが、多少なりとも彼の決断に影響を及ぼしたんじゃないか。ジョー・バイデンの背後に控える闇組織は、東歐諸国の防衛というよりも、ロシアを戦争に引きずり出すために、わざとNATOの拡大を言い出したのかも知れない。建前上、「ロシアの脅威からウクライナを守るため」と称するが、こんなのは単なる口実で、本音はプーチン政権の打倒だろう。それゆえ、ウクライナは端っから「捨て駒」だ。可哀想だけど、ウクライナ兵の命は、どうなっても構わない「消耗品」である。

  筆者が贔屓にする在日ウクライナ人で、政治学を専攻するグレンコ・アンドリー氏は、無駄と解っていながら祖国を守ろうと必死である。3月11日、彼は日テレの「情報ライブ・ミヤネ屋」に出演し、停戦の実現に向けて具体的な案を述べていた。彼は「NATOや自由民主主義諸国が連帯して、ロシアに対応するしかないんです」と訴えていたが、肝心の米国が最初からウクライナを見放していたんだから、アンドリー氏の訴えは虚しい。内縁の亭主(ヒモ)にすがりつく、憐れなキャバレーの酌婦みたいだ。愛国心の強い在日ウクライナ人は、野蛮なロシアの侵掠を非難するが、本当に酷いのはウクライナを犠牲にして巨大な利権を得ようとする歐米の方であろう。

  プーチン政権の転覆とロシアの天然資源を狙う連中は、ウクライナ人が何人死んでもお構いなし。場合によっては、「ロシア軍の仕業」と見せかけて、無辜のウクライナ人を虐殺することだって有り得る。たぶん、CNNやBBCとグルになって、大規模な反プーチン運動を展開するんじゃないか。自分達の策略を隠蔽し、「ロシア軍の戦争犯罪」にしてしまえば、戦争の泥沼化を実現できる。それに、歐米の軍需産業は大喜びだ。共犯の石油メジャーも原油の高騰で大儲けできる。

  しかし、歐米諸国と日本の庶民は大迷惑。1バーレルが200ドルとか300ドルに跳ね上がれば、食料品や衣料、家電、燃料などの価格上昇は止めようがない。1リッターが200円とか230円を超えたら、日本の庶民は悲鳴を上げてしまうだろう。米国では1ガロン4ドル17セントの高値をつけてしまったが、カルフォルニア州ではもっと高くなったようだ。何と、1ガロン5ドル44セントに達したという。(Soumya Karlamangla and Erin Woo, 'Why California Gas Prices are Especially High', The New York Times, March 9, 2022.)

  現在の結果を目にすれば、プーチンはウクライナのNATO加盟を認め、東部二州の独立も断念すれば良かったと言える。しかし、これはロシアの國體というか民族性を考えない結果論だ。もしプーチンがウクライナとアメリカに譲歩し、隣国におけるNATOの核配備を諒解したら、プーチンは内部からの物凄い反撥を喰らって失脚するだろう。歐米の闇組織は、絶対にプーチンが譲歩せず、ウクライナ東部も断念しないと確信していたはず。バイデンが何度も繰り返し「ロシア軍が進撃してくるぞ !」と述べていたのは、彼のスポンサー達が事前に「ウクライナ紛争」を決めていたからだ。彼らは復讐心に燃え、「絶対に落とし前を付けてやる ! 俺達の利権を奪った野郎は赦せない ! あの忌々しいプーチンを倒してやるぞ !」と意気込んでいたんじゃないか?

  ユダヤ人のオリガルヒは、酔っ払いのエリツィンを利用し、資本制の自由市場へと移行したロシアを支配できた。ところが、プーチンが出てきて卓袱台(ちゃぶだい)返し。ロシアン・マフィアのボスとソックリなプーチンは、自分の領土(シマ)から異人種を叩き出し、新たな皇帝としてロシアに君臨した。一方、追い出されたユダヤ人は恨み骨髄だ。せっかく手にした富を手放す破目になったから、プーチンを殺してやりたいほど憎んでいる。プーチンはしきりに「ウクライナの非ナチ化」を叫んでいるが、本当は「ウクライナの非ユダヤ化」、あるいは「非オリガルヒ化」を臨んでいるんじゃないか? マスコミが話題にする「ネオナチ」なんて、問題の争点ではなく、単なる馬鹿の集団、つまり便利なチンピラに過ぎない。

  少年時代の経験が頭の片隅に残っていたのか、プーチンは西側の闇組織と徹底的に戦う覚悟を決めたのかも知れない。当初、日本の軍事評論家は「キエフには侵攻しないだろう」と考えていたが、プーチンは首都攻略を目論んでいた。おそらく、全力を以て「ケリ」を附けなければ、何時までもイチャモンは続く、と思っていたのだろう。つまり、歐米の黒幕どもは狡猾な暴力団と同じで、一度でもロシアが「譲歩」とか「弱い態度」を示せば、容赦なく波状攻撃を加えてくる。だから、乾坤一擲の勝負に出て、ウクライナをロシアの勢力下に入れなければならない。プーチンだって戦争のリスクを予想していたはずだ。

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(左 : プーチンを「人殺し」と呼ぶバイデン   /  右 : 反ロシアの急先鋒たるヴィクトリア・ヌーランド)

  なるほど西側の経済制裁はロシアにとって致命的となるから恐ろしい。でも、ロシアが軍事的に劣勢な立場に置かれれば、やがてプーチンの権威は失墜し、武闘派の政治家が台頭してくるだろう。ロシア人は経済的豊かさよりも、軍事的優位性の方を好む。もし、歐米諸国に屈服する「弱いロシア」になれば、さすがに独裁者のプーチンでも安泰ではない。つまり、ウクライナに譲歩しても、歐米に挑んでも、どちらの選択肢を採ってもプーチンの立場は厳しくなる。それなら、一か八かの戦争に賭けた方がいい。ヤクザだって、組の事務所に弾を撃ち込まれれば、必ずやり返す。報復しないヤクザは、仲間から馬鹿にされるし、敵対する組からも侮られる。

  とにかく、プーチンの決断にはロシア人への信頼があるのかも知れない。彼の同胞は経済的に苦しくなっても、敵を倒そうと考える。現在のロシアはどうか判らないが、昔気質のロシア人なら、「国家の独立のため」と思って困窮生活を我慢するだろう。 第二次世界大戦でもロシア人は艱難辛苦に耐え抜き、強敵のドイツ軍を相手にても最後まで奮闘した。プーチンのみならず、ロシアの軍人や政治家も、こうした列強の誇りを持っている。彼らは「どんな犠牲を払っても、ロシアは最後に勝利を摑む」と信じているんじゃないか? 「隷属状態でも豊かさと平和が一番 !」と考える日本人とは対蹠的だ。

  今回のウクライナ紛争がどうなるのか依然として判らない。もしかすると停戦合意となって、ロシア軍が撤退するかも知れないが、交渉が決裂すれば戦闘は長期化するだろう。補給が切れたロシア軍は戦闘不能になってしまうから、もしかすると敗北の結末だって有り得る。それに、たとえウクライナ政府を屈服させることが出来ても、歐米諸国による経済制裁や金融制度からの排除は続くから、ロシア経済は崩壊の危機に瀕する。それゆえ、ロシア国民がどの程度、経済的窮乏に耐えられるかが、今後の鍵となるだろう。

  一方、ウクライナ人はどっちに転んでも不幸になる。ロシアに占領されれば、物凄い粛清の嵐が巻き起こるだろう。反ロシア的な人物はシベリア送りか死刑になる。だから、ウクライナ人は観念するか、逃亡するかのどちらかしかない。仮にゲリラ戦を続けるにしても、戦場と化した祖国は焦土となり、元の生活に戻るのはほぼ不可能だ。おそらく、ドイツやフランス、ブリテン、ポーランドに逃れた避難民は戻ってこないぞ。パルチザンとしてロシア軍に抵抗するのもいいが、もし、ロシア軍が攻撃のレベルを上げたら、一般のウクライナ国民にも相当な犠牲者が出るだろう。

  もし、マスコミが言うように、プーチンが「狂人」となれば、ウクライナ西部を無人地帯にするため、放射能汚染で廃墟にすることも考えられる。仮に、原発の破壊や核兵器の使用が不可能なら、炭疽菌かウィルスをまき散らし、避難民が戻れないバイオハザード地域にしてしまえばいい。ドローンでもラジコンのセスナ機でもいいけど、上空から炭疽菌を散布すれば、キエフなどの主要都市には住めなくなる。まぁ、いくら強権的なプーチンでも、ここまで残酷な事はしないと思うが、バイデン政権が徹底的にロシアを追い詰めれば、プーチンが非常手段に訴えることも有り得る。プーチンはウクライナ人をロシア人の同胞のように考えていたから、最初から殲滅作戦を採らず、攻撃の手を緩めていたのだ。

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(左 : ロシア軍の攻撃で被害者となるウクライナ人  / 右 : ウクライナを脱出した避難民の親子 )

  日本のマスコミは絶対に解説しないが、今回の戦争でプーチンが苦戦を強いられるのは、真の敵がウクライナではないからだ。いくらウクライナ軍を攻めても、本丸は西ヨーロッパやアメリカにあるんだから、ウクライナ人を皆殺しにしても戦争は終わらない。果てしなく続くだろう。ひょっとすると、プーチンが失脚することもあるだろうが、そうなってもウクライナ人が勝利を摑むことはあるまい。たとえロシア軍を撃退できても、ボロボロになったウクライナは当分の間不幸な常態となる。

  米国の軍事アナリストは、ウクライナ軍の勝利を予想しておらず、むしろ「何時キエフが陥落するのか」という点に関心を寄せている。日本人でもウクライナ軍の形勢を不利と考えているようだ。しかし、ウクライナ人は抵抗を諦めないだろう。なぜなら、最後まで闘えば心の整理がつくからだ。たとえ、ロシア軍に屈服しても、ウクライナ人は民族のプライドだけは守ることができる。日本人も彼らに学ぶべきだ。ただし、ウクライナ人は離散(ディアスポラ)の民族になるかも知れない。特に、子持ちの若いカップルだと、歐米での明るい未来(生活)の方を選びたくなる。可哀想だけど、在日ウクライナ人も祖国に帰るより、日本に住み続けた方が幸せなのかも知れない。翻って、愛国心が強いグレンコ・アンドリーやナザレンコ・アンドリーは、何時ウクライナへ戻ってしまうのか? 



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