親友オピの壮絶な死

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(写真  / オピ )

 このドラマに人気がある理由の一つは、サムクロウにおける仲間への純粋な愛(fraternity)が伝わるからだ。シーズン5/エピソード3「Laying Pipe」は見た後も心に残る感銘的作品である。

  ジャクスとオピ、チブス、ティグの四人は或る事件で刑務所に入れられ、究極的選択を迫られる仕置きに掛けられるとこになった。それというのも、以前ティグが黒人ギャングの大元締ポープの娘を謝って殺してしまったのだ。娘を殺されてポープはティグを拉致し、既に捕まえておいたティグの娘を彼の目の前で焼き殺してしまった。
 

 悲嘆に沈み怒りを押さえられないポープは、次に刑務所を訪れジャックスに「お前等のうちの一人を差し出せ」と迫った。彼への頼みではなく命令である。ポープはすでに刑務所の所長や看守を買収しており、リンチの手はずは整っていた。

  仲間が監禁されている部屋に戻ったジャックスは、三人にポープの非常な命令を告白する。もちろんジャックスはポープの命令に従う気は更々ない。だが、彼には仲間を生け贄にする気は毛頭ないから、最後は自分が名乗り出ようと決心する。時は容赦なく刻まれてゆく。ついに、処刑召喚役の看守等が部屋にやってきた。ジャックスが前に出ようとした瞬間、オピが筆頭看守の顔に頭突きを食らわす。激怒した看守はオピを連れて行ってしまう。他の三人が抵抗しても所詮囚人である。オピの名を呼ぶことしかできない。

Jax & Opie death 1












(写真  /  オピの私刑を見つめるジャックス)
  
  監禁室の硬化ガラスで仕切られた別の部屋がある。ジャックスら三人はガラス越しに、その薄暗い処刑室に連行されたオピと処刑人としての囚人三名を目にする。これから起こる戦慄の恐怖を覚悟したオピを三人は、ただもがいて見るだけしか出来ない。無表情の看守がパイプを一本床に投げると、オピはそれを手にして三人の囚人に立ち向かう。生け捕りにされた狼の如く牙をむき闘うオピ。しかし、多勢に無勢。一人の囚人に羽交い締めにされ、パイプを取り上げられ殴られてしまう。よろめくオピは膝を床につけ、ガラス越しに仲間を見る。その時、処刑人がパイプを振り上げ、渾身の一撃をオピの頭部に加える。彼の頭から血しぶきが。オピの巨体が崩れ落ちる。

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(写真  /  撲殺されるオピ)

  ジャックスとチブスは絶叫する。ティグは背を向け見てられない。「オピ」の名を叫んで狂ったように身をかきむしる。胸が張り裂けるほどの衝撃がジャックスに走る。無二の親友が目の前で惨殺されたのである。体中の細胞・血管すべてが沸騰するほどの怒りを胸に刻みつけたジャックスは、看守に「お前は必ず見つけ出して俺が殺す」と告げるのであった。

  エピソード6でジャックスは憎き看守を見つけ出す。ジャックスとクラブの仲間で看守の家に押し入り、まづその妻を射殺する。家の中で彼らに囲まれた看守は命乞いをするが無駄。屠殺される前の家畜みたいに怯えるだけである。看守をじっくり痛振るジャックスは置物の水晶のスノーボールを手にし、それで看守の頭を殴打するのだ。オピを殺された怨みを込めて激しく何度も殴りつける。鮮血が飛び散って既に看守は絶命しているが、ジャックスには怒りを静めることが出来ない。仲間が激昂したジャックスを止めたのだ。

  子供の頃から一緒に育ってきたジャックスとオピには他人が割り込めない友情があった。サムクロウとはゲルマン民族が言う「兄弟部隊(Band of Brothers)」と同じである。如何なる状態にあっても共に生死を賭けて闘う兄弟を意味する。自らの命を犠牲にしても助ける兄弟愛を、このドラマは言葉ではなく生きざまで表現している。愛が深いゆえに怒りも深いのだ。

復讐を忘れた日本人


 現在の日本人は、これが偉大な明治人の子孫かと疑いたくなるほどの体たらくである。北朝鮮にに加えられた国辱・屈辱に対して怒りが無い。我が国の女子供が有無を言わさず拉致されたのに、三十年以上も放置してきたのみならず、未だに話し合いでの円満解決を目指しているのだ。欧州の戦士民族たるゲルマン人についてグスタフ・フライタークはこう語っている。

  彼らは相互に助け合うべく解きがたく結ばれ、いかなる危険にさいしても互いに代行する義務、それに、身内   の者達の殺害を復讐する聖なる義務を負っている。 (Gustav Freytag 『ドイツ社会文化史』 井口省吾訳 名古屋大学出版会 1996年 p.122)

  日本人に侮蔑と怨念しかもたぬ賤民の北鮮に、我が国は大金を献上するから拉致被害者を返してください、と懇願しているのだ。もし、数人でも釈放されたら欣喜雀躍して金王朝に土下座して感謝するであろう。数兆円の税金など経済支援や植民地賠償金だと思えばいいじゃないか、というのが政治家の本音であろう。どうせ全員奪還なんて夢物語だし、戦争禁止の属国だからしょうがない。お金で穏便に解決した方が大人である、と考えてしまうのだろう。北鮮への武力報復など微塵も考えていない。北鮮人のポケットに入って札束の臭いをかいでいるマスコミや政治家が、適当に幕を引いて終わりにしてしまうのではないか。

  拉致された邦人を奪還した後にとる復讐計画なんて誰も考えていないはずだ。恐怖で絶叫できなかった被害邦人への神聖な義務を忘れてしまった日本人は猿より劣る。山猿だって仲間が攻撃されれば助けるのだ。拉致計画者の金王族と朝鮮労働党を皆殺しにしなければ、我が国の誇りは恢復できない。北鮮人の鮮血が半島から溢れて海へ流出しなければ日本は尚武の国ではない。




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