倒壊ビルはどこに消えたのか

  9/11テロに関する書物や動画は腐るほどある。ブッシュ政権への政治的不満もあって、左翼も9/11テロの公式報告が胡散臭いと声を上げている。ベンジャミン・フルフォードやデイヴッド・レイ・グリフィン等から八百長テロじゃないか、といった批判本も出版されたし、『911ボーイングを捜せ』といったDVDも制作されたから一般人にも興味を持つ人が多い。もっとも、大半が興味本位の陰謀論書籍だったりするから、論拠のいかがわしさが拭えない。
  その一方で、アメリリカのベテラン建築家により結成された真相究明団体、『Architects & Enginners for 9/11 Truth』の主張は傾聴に値する。会長のリチャード・ゲイジが呼びかけた優秀な建築家や物理学者が、倒壊映像を見て疑問を呈したのには頷ける。飛行機が突入していないWTC7が、火災で一瞬にして崩壊したのだから誰だって驚く。ただし、ゲージ氏が言う制禦爆破(control demolition)の主張は受け入れ難い。彼らとはひと味違う見解を披露したジュディー・ウッド博士の著書『タワービルはどこへ行った( Where Did the Towers Go?)』( by Dr. JUdy Wood, the New Investigation,2010)は一読の価値がある。
  9/11テロに関するウッド博士の科学的解明がなぜ日本で邦訳されないのか不思議である。確かに、500ページの分厚い本だからかもしれぬが、内容がいい加減でもないし、多くの証拠写真を提示して説明しているので一般人にも咀嚼できる。彼女の講演もYouTubeで視聴可能であるから、英語が分かる人は一度聞いてみたらよい。ここでは、全部紹介できないので刮目すべき点を二三挙げるだけにする。

  (1) WTC 1の105階あたりで助けを求めて窓から身を出している人々が、服を脱いで手を振っていたのを報道カメラは録画していた。火災で暑かったらスプリンクラーの水で濡れたままの服を着ていた方がいいだろう。ウッド博士は炎が熱くてたまらないはずなのに上着やズボンを脱いでしまった人々を疑問に思った。(『上掲書』pp.31-32) 言われてみれば確かに、ガソリンが燃えている所に近づいたら、厚手の布を被った方が熱くない。肌を露出するの方がよっぽど熱い。ウッド博士は何らかのエネルギー照射のせいではないかと疑っている。つまり、電子レンジの中に居るような状態だったから服を脱ぎ捨てたのではないか、と。実際、この原理を使った暴民鎮圧装置(Active Denial System)が製造されている。荒れ狂った暴民はマイクロ波で痛くてうずくまるから放水より効果がある。ビルに取り残された人々も痛くてたまらず服を脱ぎ、死ぬのが分かっていても飛び降りてしまったのだろう。各人が肉眼で確認してみるべきだ。ビルから飛び降りて死亡する映像をインターネットで観ることが出来る。

 (2) ウッド博士の著書で一番注目すべき説は何と言っても第8章で解説されるビルの粉塵化(dustifiction)である。ビルが倒壊した後の残骸がなぜ少なかったのかが論ぜられている。ABCニューズの有名アンカーであった故ピーター・ジェニングスが、現場取材をしていたジョージ・ステファノポリス(クリントン大統領の元補佐官)に尋ねた。すると彼は「消えてしまったようです」と答えた。崩壊後の現場写真を見ればコンクリートの固まりがあまりにも少なく、鉄筋が見事に粉々になっていることが確認でき首を傾げたくなる。133ページには鉄骨の柱が粉末になってゆく連続写真が載っているから読者は驚く。コンクリートや鉄骨の柱が粉末化したからこそ、落下速度が数秒だったのである。ダイナマイトや爆弾では説明できない現象だ。

 (3) どうしても解せないのは、ビル周辺に路上駐車してあった自動車が黒こげに焼かれていたことである。倒壊直後、ビル周辺にいた人々が灰を被った姿は映像に残されている。しかし、そのコンクリートの灰を人間が被っても生きていたのに、クルマは黒こげになってしまったことを高名な物理学者はどう説明するのだろうか。ウェスト・ブロード通りに停車していた消防車や乗用車が、まるでバズーカかRPG(榴弾砲)で攻撃されたような残骸となっていた。(『上掲書』pp.233-239参照)バグダッドやソマリアの戦闘地域みたいな状況になっていたのである。クルマをセメントの粉で燃やすことは出来ない。ジェット燃料はビル内部で燃えてしまったから、どこから燃焼物が降ってきたのか。ブッシュ政権は残骸の粉塵をクルマにふりかけて黒こげになる検証実験をしていない。人間の肌にふりかけても燃えないのに、金属の車体には化学反応を起こすコンクリート粉とは一体何か。
     
  ウッド博士はビル倒壊にはハッチンソン効果を使った何らかの最先端技術が使用されたのではないか、と推測している。実際どのような装置が使われたかは当分解明されないだろう。合衆国政府ではなく、軍需産業の誰かが用意した未公開装置なのかもしれない。全くの謎だ。だが、未公開の秘密装置が使用されたと仮定する方が筋が通る現象ばかりだ。ラスヴェガスの奇術師だって科学知識を応用したマジックを見せることがある。タネ証しをされるまで不思議でたまらない。常識に反する手品にトリックがあるように、ビル崩壊にも仕掛けがあったのではないか。
  ブッシュ大統領は事前にテロ攻撃を知っていたのか。大筋は講義されていたのかもしれない。しかし、口が軽くておっちょこちょいのブッシュに、犯行一味が計画の全貌を詳細に話したとは思えない。組織犯罪者にとって常識だが、必要な事は知っておくべき者だけに知らせる(need to know)原則を取っている。計画の全貌は少数の者しか知らないだろう。実行部隊の者は各自の役目だけ果たして消えたのではないか。

  犯罪小説でよくあるように、事件によって最大の利益を得る者が一番怪しい。事件調査の指揮者が犯行グループの仲間だったら証拠はこれからも出てこないだろう。だからこそ我々は物的証拠を検証すべきなのだ。




人気ブログランキングへ