大イスラエル構想

  第20世紀の西歐はある意味、ユダヤ人のせいで混乱したとも言える。歐洲に寄生していたユダヤ人が二千年ぶりにパレスチナへ戻ろうとしたから、アラブ人たちが激怒した。そりゃそうだ。カナンの地で日常生活を送るパレスチナ人を無理矢理退去させて、ヨーロッパ人に後押しされたユダヤ人が流入してきたのである。そうして、欧米人をお金で操ったシオニスト・ユダヤ人がまんまとイスラエルを建国してしまった。そのユダヤ人らが今度は「大イスラエル(Greater Israel)」を目指しいるのだ。この大イスラエル・プロジェクトとは、ナイル渓谷からユーフラテス川に跨るイスラエル帝國建設の構想である。まさか馬鹿な、と日本人なら思うだろう。しかし、アラブ人に囲まれて暮らすシオニスト・ユダヤ人にとっては、イスラエルを強大な国家に育てて絶対的安全を確保したい。

  イスラエルにオデッド・イオン(OdedYion)というジャーナリストがいて、1982年にイスラエルの外務省に関与していた。彼はシオニストが描く大戦略を『Kivunim』という世界シオニスト機関誌に掲載したのである。このヘブライ語で書かれた論文をイスラエル・シャハク(Israel Shahak)というヘブライ大学の化学教授が英訳して世界に発信してしまった。この人物はとても興味深いが、別の機械に紹介したい。少しだけ触れると、彼は元シオニストでイスラエル国防軍のエリート部隊に所属していたり、イスラエルの原子力委員会議長のエルンスト・デイヴッド・ベルグマンに仕えていた異色の経歴を持つ。決して怪しい人物ではなく、ただイスラエル政府の対外政策に反対する左翼イスラエル人であった。こういうイスラエル政治の内部を知る左翼は我々にとって有り難い。(Israel Shahak, “Greater Israel”: The Zionist Plan for the Middle East, GlobalResearch, April 29, 2013を参照)

  ではオデッド・イオンが披露する「大イスラエル」構想とは如何なるものか。それはイスラエルの勢力圏を中東アジアに広げようとする戦略である。西はナイル川に沿ってカイロからサウジ・アラビア北部を横断し、イラクのペルシア湾にまで達する線を東に引く。イラクの半分とヨルダン、シリア、レバノンを丸ご勢力圏に入れてしまう計画だ。ラビ(ユダヤ教の指導的立場の教師)のフィシュマン(Rabbi Fischmann)は天主からの約束の地は、エジプトのナイル川からシリアやレバノンを含むユーフラテス川にまで広がる、と述べていた。イスラエル建国の父テオドール・ヘルツェル(Theodor Herzl)も、イスラエルはエジプトの川からユーフラテス川に跨る国家である、と謳っていたのである。彼らの頭には旧約聖書の世界が浮かんでいて、諸々の民族の頂点に立つ選民という思想がその根底にあるのだ。

  これを誇大妄想と考えてはならない。強烈な宗教を持たない日本人には理解しがたいが、毎週会堂に集まって礼拝を行い、宗教指導者から説教を受け、毎日戒律に沿った生活を送る中東アジアの民は根本的に違うのだ。信仰のためには命懸けで戦うし、民族抹殺だって躊躇しない。戦で負ければ虐殺、掠奪、強姦、奴隷の人生が待っている。勝利者は異教徒に対して容赦ない支配者として振る舞い、改宗を拒む敗者には悲惨な運命が訪れるのだ。アジア大陸の民族は底知れぬ深い闇を心に秘めているから、執念深く残酷で冷酷無情の性格を有する。花鳥風月を眺めて和歌を詠む呑気な日本人とは、月とスッポン、陽子と太陽との違いがあることを忘れずに。

アラブ世界を細切れにせよ

  イオンらシオニスト・ユダヤ人にとって、イスラエルの優位を確保するにはどうしたらいいのか。ユダヤ人の地政学では、中東のイスラム世界が“バルカン化”することで、イスラエルを取り囲むアラブ諸国が細分化され弱小国となる。なるほど、うまい策だ。巨額の軍事費を投入してイスラエルを強国とするよりも、隣接するアラブ諸国を小さくすることで、相対的にイスラエルが優位を保つわけだ。それに、この奸計はヨーロッパ人が昔使っていた手口、「分断して支配せよ(Divid and Rule)」という手口と似ている。ライバル国の内紛や訌争を煽って内ゲバを起こせばよい。日本でも戦国武将がよく使った策略である。

  イオン・プランを見ていきたい。アラブ・イスラム世界はイスラエルにとって不倶戴天の敵であるが、西歐列強によって形成された一時的なトランプの館(temporary house of cards)」である。イギリス人やフランス人は現地人の要望や利益を無視して19ほどの国家を建設してしまった。そんな西欧人の勝手な思惑で国境線を引いたものだから、当然少数民族や遊牧民族の不満が爆発するし部族対立が絶えない。ゆえに、一見するとイスラム諸国は強国に思えるが、その内部に異分子対立を抱えた脆い構造をもつ。マグレブ諸国を見ても分かるだろう。アルジェリアではカビル山脈地域で二つの部族が対立して争っているし、モロッコとはスペイン領サハラを巡って揉めている。リビアはカダフィーのような独裁者がいて秩序が保たれていた。欧米の工作員に操られた反逆者がカダフィーを処刑したことを想い出せば、リビアの内部対立が激しいことが理解できるであろう。

  アラブ世界の雄藩エジプトだって例外ではない。確かにナセルとかサダト、ムバラクといった強力な大統領がエジプトを治めていた。しかし、その内部では少数派のスンニ派ムスリムが、大勢の非アラブ系アフリカ人と少数民族たるキリスト教のコプト派を支配しているのだ。エジプトはアフリカ大陸にあるから当然である。六日戦争などの中東戦争では、エジプトがイスラエルの宿敵で、空軍力ではイスラエル軍が優勢であったが、エジプトの陸軍は厄介であった。東にイラクが聳え立つから、西のエジプトを叩いておかねばならない。我々にもそれは理解できる。ちょうど、東から武田軍に攻め込まれた織田信長が、西国の毛利軍から背後を突かれたらようなものだ。強敵を前にして焦った信長が、どうにかして信玄を毒殺できないものか、と考えたくなるだろう。 

  比較的安定しているトルコは、他のイスラム諸国と違って宗教色が薄くなって世俗的政治色が強い。しかし、そんなトルコも、啓蒙主義的政策に反発するイスラム過激派の台頭に悩む。スンニ派のムスリム国民が多数派を形成するが、アラウィー派のシーア信徒やスンニ派のクルド人を抱えているので、何らかの宗教・民族対立が勃発してしまうのだ。アフガニスタンやパキスタンはムスリム・テロリストの温床になっているから、これからも安定することなく政治が混沌とし、永久に貧乏国のままだろう。

  アメリカを初めとする西歐のグローバリストによって、「中東アジアの民主化」はどんどん推し進められている。リビアのカダフィー大佐は、波乱軍によって文字通り血祭りにされ、虐殺されてしまった。チュニジアのジャスミン革命だって、混乱を招いて終わり。ベン・アリー大統領が失脚して、モハメド・ガンヌーシ(Mohamed Ghannouchi)首相が大統領になった。しかし、そのガンヌーシも政権を追われて、フランスに亡命しようとしたが、サルコジ大統領が拒否したのである。しょうがないから、サウジ・アラビアに向かって亡命生活をする羽目になった。次にフアド・メバザ(Fouad Mebazaa)が大統領に納まったが、内紛によりまたもや失脚。「ジャスミン」なんて耳障りの良い言葉を掲げても、結局、政府転覆と暴徒による掠奪が頻発しただけの、「異臭」革命に終わった。ジャスミン革命を契機としたアラブの春はエジプトにも波及し、ムバラク大統領も失脚して裁判に掛けられた。カダフィーのようになぶり殺しにされなかったが、車椅子に乗って法廷に現れるムバラク前大統領は惨めである。

  一番悲惨なのはイラクであろう。圧倒的な軍事力を誇る米国によって徹底的に破壊されてしまった。かつて栄華を誇ったサダム・フセインは穴蔵に隠れていたところを発見され、生け捕りにされたうえに裁判に掛けられてしまった。もっとも、どれが本当のサダムなのか我々には分からない。影武者も居ただろうから、本物が誰なのか不明のまま2006年、米国で縛り首の死刑に処せられた。イオンたちイスラエルのシオニストが1980年代に計画した通り、イラクは分割の道を歩んでいる。彼らの思惑では、イラクにシーア派とスンニ派の二国をつくり、クルド人のためにもう一つ国を用意して、三分割する予定であった。イスラエルはアメリカ軍を利用して、イラク国家の破壊と分断を実現させたのである。知らぬが仏。アメリカ兵は本当に「仏様」になってしまった。アメリカを牛耳るユダヤ人とイスラエルのシオニストの共同作業が実ったのである。

  イスラエル軍は1982年にレバノン侵攻を果たしているから、次の標的はシリアとヨルダンである。ヨルダンのハシミテ王室は今のところ安泰だから、先にシリアを狙ったのではないか。シリアは昔からロシアから軍事支援を受けているし、タルトゥス(Tartus)にはロシアの海軍基地もある。地中海を航行するロシアの潜水艦には、シリアの軍事拠点は欠かせない。だから、ロシアはシリアを見捨てることが出来ない。ロシアのプーチンを打倒しようとしているユダヤ人からすれば、アサドとプーチンを一緒に葬ろうと考えたのではないか。シリアの海岸地域にはアラウィー派がいて、アレッポ周辺にはスンニ派が多数いる。そして首都ダマスカスにはシーア派がいるのだ。異なった宗派に立脚するアサド政権を、反政府軍や外国人テロリスト、ムスリム・ゲリラが乱入して揺さぶりをかけている。当然、テロリストの中にはイスラエルのモサドやアメリカのCIAに操られた勢力がいるだろう。信仰に酔った馬鹿なイスラム教徒を焚きつければ、彼らは欧米諸国で暴力沙汰を起こすから、反イスラム討伐戦争を提案しやすくなる。シリアは紛争でボロボロになるだろう。フランスのみならず、英国や米国でもイスラム過激派のテロ事件が多発すれば、西歐諸国の国民もその重い腰を上げてくれるんじゃないか。戦争が始まれば景気が良くなるから、軍需産業や金融投資家はまた一儲けできる。「頑張れ、テロリスト諸君 !」と内心でつぶやいているのでは?

  日本には自由な報道があるようで、実際は情報鎖国のままだ。テレビや新聞は日々の事件をせわしく報道するだけで、事件の背後にある巨大な闇を伝えようとはしない。現在の大衆社会は情報が氾濫しているので、かえって物事の本質が掴みづらい。特にイスラエルの戦略や欧米に潜む狡猾なユダヤ系住民の情報は全く報道されない。大富豪のユダヤ人が誰にいくら献金したのかとか、どの政治家のパトロンになっているか、日本人は知らないのだ。たとえば、米国のユダヤ人大富豪は政治家を子分にしている。カジノ王のシェルドン・エイデルソン(Sheldon Adelson)は共和党に巨額献金を行い、オバマ大統領の尻さえ叩ける。メディア界の大御所ハイム・サバン(Haim Saban)は、民衆党に金をばらまき、ヒラリー・クリントンもゴマ擦りに忙しい。ユダヤ人は民衆・共和の両党を区別しないで支配している。ユダヤ人の利益が優先課題なのだ。アメリカ兵が何万人死のうが知ったことではない。エイデルソンもサバンも共に熱心なシオニスト。サバンときたらイスラエエルとアメリカの二重国籍者である。こんなユダヤ系人物は他にもたくさんいるのだ。しかし、日本人のほとんどは彼らの名前を聞いたことがない。知っているユダヤ人大富豪はジョージ・ソロスくらいだろう。

  日本のメディアは危険な領域に近づかない。一般人なら、毒舌の漫才師やベテラン俳優でも芸能事務所の大御所には言及しないことを知っている。本当にヤバイことには触れないのだ。覚醒剤や大麻を使用しても芸能界に復帰できるが、有力な芸能事務所の内情を暴露すると抹殺されて永久追放になる。命さえ危ないかも知れない。暴力団と癒着している事務所もあるくらいだ。外国の政界だって、本当に危険で報道できない暗部がある。もともと日本の民度は高いから、本当の事が分かれば日本人は、賢く行動できると思う。筆者の意見が信じられない人は独自に勉強してもらいたい。日本人が愚かな行動を取るのは、嘘や誤報を伝える奴がいるからだ。常識を持って判断すれば日本人はまともな選択をする。ユダヤ人の暗躍については、また別の機会に述べたいと思う。



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