リベラル・マスコミの総攻撃

Donald Trump 18Megy Kelly 11








(左: ドナルド・トランプ / 右: FOXテレビのメーガン・ケリー)

  トランプ大統領誕生が迫ってきた ! ライバルのテッド・クルズが撤退を表明し、どうやら党大会でドナルド・J・トランプが共和党大統領候補の指名を正式に獲得しそうだ。去年の秋頃は、冷やかし程度のピエロと見なされていたトランプだが、予備選を戦い続けているうちに、共和党執行部に不満を持つ保守派の切り札(トランプ)となり、スーパー・チューズデーを制すると、政権奪還のための奥の手(トランプ・カード)になった。この不動産王は、今や騎虎の勢い。キャンキャン吠えるマスコミが止めようとしたって、虎の前の仔犬みたいだから、睨まれて尻尾を丸めるだけだろう。世の中何が起きるかわからないものだ。彼が大統領選という博奕のカードを取り仕切るディーラーになったんだから、政治の世界では常識が覆るという証明である。フランクリン・ローズヴェルトじゃないけれけど、これぞ本場のニュー・ディーラー。彼は政界の風見鶏かも知れないけれど、トランプ旋風はまだ止みそうにない。ただし、選挙は闇の中で行うギャンブルだから、何処に落とし穴があるか分からず、トランプ陣営としても迂闊には喜べないだろう。それでも、大衆が彼に飽きない限り、ホワイト・ハウスへの絨毯は不動である。

  日本の命運を握るアメリカの大統領選となれば、日本のマスメディアも黙っちゃいられない。民放地上波のワイド・ショーでも取り上げるくらいだから、一般国民も外国の選挙とはいえ多少の関心はあるようだ。しかし、その報道姿勢は左に偏っているし、ピント外れな意見が多い。とくに、日本に住むアメリカ人を用いての情報操作には注意すべきだ。例えば、デーブ・スペクターのような、左翼メディアのお調子者は信用できない。シカゴで生まれ育ったロシア系ユダヤ人とくれば、アメリカ社会における永遠の異邦人だから、アメリカの南部や中西部に昔から住む白人のお仲間とは言えないだろう。日本人はアメリカ人だから「アメリカ政治に詳しい」と思ってしまうが、現地の新聞やテレビで得た知識を日本語で話しているだけ、という場合が大半だから卓越した意見ではない。それよりも、多少興味があるのは、カルフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏の見解である。彼は共和党支持者らしいが、トランプには反対の立場を取っていて、トランプには一貫性が無く、暴言を吐くとんでもない奴だ、という意見だ。テレビ番組でも表明していたから本音だろう。モルモン教会の宣教師を兼ねるギルバート氏は、同じ宗派のミット・ロムニーの方を贔屓(ひいき)にしており、ロムニーが共和党主流派だと述べていたが、どちらかと言えばロムニーは共和党内でリベラル寄りの政治家である。民衆党のジョセフ・リーバマンやエドワード・ケネディーと親しかったジョン・マッケイン上院議員と一緒。最近、モルモン教会は中南米系の信者獲得に熱心なようだから、ヒスパニック移民を排除するトランプは、ギルバート氏の敵になるのだろう。

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(左: デーブ・スペクター / ケント・ギルバート / ミット・ロムニー / 右: ジョン・マッケイン)

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(左: ロヂャー・マホーニー / 中央: ホセ・ホレイシオ・ゴメス / 右: ヒスパニックの親子)

  これは、カトリック教会も同じで、メキシコを始めとする南米からの移民を、不法・合法を問わず、みんな歓迎するというスタンスを取っている。たとえ濡れネズミの如く潜り込んできた信者でも、閑古鳥が鳴くカトリック教会にとっては、大切なお客様。だって、「お客様は神様です」と言うじゃないか。ヒスパニック信者に揉み手すり手のロサンジェルス大司教ロヂャー・マホーニー(Roger Michael Mahony)枢機卿は、主イエズスの代理者(Vicarius Christi)というより、ヒスパニック・アメリカ人の代理人(Advocate of the Hispanic Americans)と呼んだ方が相応(ふさわ)しい聖職者である。彼の後任はヒスハニック司祭のホセ・ホレイシオ・ゴメス(José Horatio Gómez)なんだから、もうローマ・カトリック教会じゃなくて、ラテン・アメリカ教会と改名した方がいいんじゃないか。西歐キリスト世界が衰退するにつれ、教会の信徒を構成する民族が、イタリア系やアイリス系からヒスパニック系へと変わってしまった。だから、聖職者が南米人に味方するのも当然である。このような組織の変貌を見てみれば、構成要員が“質的に”しかも“種族的に”変化することが、いかに危険であるかが分かる。想像するのも恐ろしいが、日本の構成員にもアジア人が増えれば、その民意を汲む政治家がアジア的になってしまうということだ。最近、ギルバート氏は、朝鮮人の言い掛かりから日本を擁護する言論を発して人気を得ている。しかし、祖国の政治情勢については、ちょっと歪んだ考えになっているようだ。

Tejima Ryuichi 1(左/手嶋龍一)
  日本の左翼コメンテーターを批判してもしょうがないが、黙っていると害毒が拡散するので、多少なりとも批判しておく必要がある。愚劣な識者を挙げるとキリが無いけど、強いて挙げるとすれば、手嶋龍一が御用コメンテーターの代表格になるだろう。元NHKのワシントン特派員だから素っ頓狂なのは仕方がなが、トランプを単なる大衆迎合主義者と捉えるのは軽率だ。彼はBS朝日の「いま世界は」に出演し、トランプに明確な外国政策が無く、簡単な事をポンポンと並べているだけ、と酷評していた。そして、トランプは単純な論法しか持っておらず、外交政策は素人並で、大統領の資質を欠いている、とバッさり斬り捨てていた。さらに、手嶋氏はワシントン・ポストの権威を持ち出し、トランプを批判するのは俺だけじゃないぞ、と印象づけていたから小賢しい。しかし、アメリカの左翼メディアが共和党を批判するのは毎度の事じゃないか。そもそも、トランプは敵対的なマスメディアのインテリどもに向かって話していた訳ではない。現状に不満を持つ大衆を相手にしていたのだ。8年間のオバマ政権に対して怒り心頭の支援者を前にして、知識人が望むような金融政策や外交方針を説教せよ、とでも言うのか? 大統領候補者に握手を求める一般人は、杉良太郎に歓声を上げるオバちゃんと同じ。(ちょっと古くて御免なさい。いま人気のアイドルって誰だろう ?) 金利や通貨供給量、企業の設備投資、収支バランス、NATOに配備される戦略爆撃機の数なんかに関心がないし、そんな専門的な事案は聞いても分からない。そもそも、端っから聞く耳を持っていないのだ。トランプは遣り手のビジネスマンである。彼をひと目見ようと集まってくる聴衆、つまりお客が何を求めているかを第一に考えているのだ。だから、お客が不満に思っていることを「解決・解消します」と述べているし、従来の政治家が等閑(なおざり)にしてきた民衆を吸収しているからこそ、あれだけの人気を誇っているのである。

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(左: ドナルド・トランプ / 右: ロジー・オドンネル)

  ギルバート氏は、トランプの発言や態度が「下品だ」と評していたが、この優秀なビジネスマンは計算尽くで口にしているんだから、ギルバート氏の批判は的外れである。ただ、ギルバート氏がそう評するのも分かる。去年の夏に開かれた討論会で、トランプは司会者の一人であったメーガン・ケリー(Megyn Kelly)をおちょくり過ぎて非難の嵐を招いた。正直なトランプはかつて、人気司会者でレズビアンのロジー・オドンネル(Rosie O'Donnell)に代表される極左藝人たちを、「犬、太った豚ども(fat pigs)、むかつく動物(disgusting animal)、のろま(slogs)」と呼んでいたことがある。ケリー氏はそのことに言及したのだ。そこで、辛辣な意見をぶつけてくるFOXテレビの女性キャスターに向かって、トランプは「あなたの目から血が流れているぞ」と言い返し、一発噛ませてギャフンと言わせようとした。この発言は、険しい顔をしたケリー氏が生理中なんじゃないか、ということを臭わせていたから、女性視聴者の反感を買ったという。まぁ、アメリカ人はこういう悪口をよく使うから、ぶっきらぼうなトランプは彼女を茶化すつもりで言ったんじゃないか。彼はケリー氏を「性的な魅力はあるが、頭が空っぽな人(bimbo)」と評していた。いかにもトランプらしい反撃である。左翼の女性やフェミニストたちが、トランプを性差別主義者だ、と呼ぶ所以(ゆえん)である。

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(上/グラビア写真のメーガン・ケリー)

  この辺で手嶋氏の批評に戻ろう。トランプが在日米軍を撤退させるぞ、と脅したのを受けて、手嶋氏は非現実的であり得ない、と反論していた。それはそうだろう。しかし、日本にとったら決して悪いことではない。なぜなら、自分の国は自分の軍隊で守るのが政治基本であるからだ。日本はコスタリカじゃないぞ。もちろん、米国を同盟国にしておくことは日本の死活問題であろう。ただ、他国に自分の命を預けたままというのは異常である。トランプは在日米軍の駐留費を全額日本政府が負担せよ、と言い出したが、それを拒否すれば、米軍が日本から撤退するという可能性も出てくるだろう。そうなったとき、ぬるま湯に浸かっている日本国民は真剣に国防を考えるようになるはずだ。いいチャンスである。これに反対する保守派言論人は怪しいぞ。保守派はさておき、日米安保反対のNHKなら大喜びの発言だ。手嶋氏のような現実派を装った左翼評論家は、いつまでも日本が米国の保護領でいることを望んでいるのだろう。もし、トランプ発言に反対なら、手嶋氏はどんな国防政策が日本にベストなのか? こういった種類の外交評論家は、政治家の失言にケチをつけるだけで、決して独自の意見を述べようとしない。なぜなら、自分の見解を公表すれば、その甘い認識、つまり子供じみた持論が発覚し批判の対象になってしまうからだ。

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(左: ヘンリー・キッシンジャー / 右: 日高義樹)

  NHKのワシントン・特派員上がりで、もうひとり愚劣なジャーナリストがいる。それは日高義樹だ。以前、テレビ東京で「ワシントン・レポート」という番組を持っていた人物だ。彼は度々ヘンリー・キッシンジャーを招いて、「キッシンジャー博士に訊く」、という特番の司会者になっていた。たいして英語が上手くないのに、わざと英語でインタビューを行い、「俺は英語が流暢に喋れるんだ ! 」という姿を見せびらかしていた。しかし、文法がはハチャメチャで、時制や複数・単数を間違ったり、三人称のときに使う動詞のSが抜けていたり、語彙が貧相だったりと、へんてこな会話だったので、筆者は番組を観ながら「日本語で質問して通訳してもらえばいいのに」と思ったものだ。非英語圏の外国人ジャーナリストが、通訳を用いることは普通だし、恥ずかしいことではない。日高氏は不得意な英語でインタヴューを行っていたから、キッシンジャーに対して突っ込んだ質問や辛辣な反論ができず、終始「へぇ~、そうですか」を繰り返す“お説ごもっとも”対応であったから、観ている方が情けなくなる。インタヴューとは日高氏の願望を満たすものではなく、視聴者にとって有意義な質疑でなければならない。日高氏を観ていると、フランス語を喋る“雄姿”をひけらかしていた舛添要一を思い出す。まだ東大の助教授だった頃の舛添が、『朝まで生テレビ』に出ていた時、隣の席にフランスのリベラシオン」記者のコリーヌ・ブレが坐っており、彼女が日本語で詰まると、ここぞとばかりにフランス語を使って彼女を助けていた。あの浮き浮きした顔は気持ち悪かったから、今でも覚えている。大橋巨泉もそうだったが、どうしてオッさんたちはこうも英語やフランス語を人前で自慢したいのか。本当に野暮天は気取り屋だ。

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(左: 全身刺青だらけのメキシコのギャング / 右: 「警察などクソ喰らえ(Fuck the Police)」と胸に刺青を彫ったヒスパニック犯罪者)

  だいぶ話が逸れたから元に戻るろう。日高氏は『トランプが日米関係を壊す』という本を出した。彼は著書の中で、トランプがメキシコとの国境沿いに高い塀を建設することに触れていた。この選挙公約に関して、日高氏は、「国際的に見て常識外れだ」と批判し、「隣国との友好を考えれば、政治家が国にすることではない」と叱っている。それなら、数千万人の不法入国者に国籍や運転免許証、学校教育、公共福祉を与えることは“常識”なのか? 米国への不法移民に、不法滞在ガイドブックを作ったメキシコ政府も“常識的”なのか? イスラエルは国境に壁を建設したが、そのことで国際的批判を招かなかったのはどうしてなんだ? 一体、何名の上院議員や下院議員がイスラエルの人種差別政策を非難したというのか? 日高氏は答えるべきだ。

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(左: デモを行うヒスパニック移民 / 右: 中南米系の受刑者)

  日高氏は、壁の建設を「とんでもない考えだ」と糾弾するメキシコ政府の反論を紹介しているが、そんなのは分かりきった反応だろう。メキシコの大統領だって大量のメキシコ人が密入国していることを知っているけど、「トランプ様の仰ることは、よくわかります」なんて言うわけないじゃないか。トランプは壁の建設に関し、南米人が米国に入ってくる時に高額な入国料を徴収して建設費用に充てろ、と言っていたが、それも一つの方法だろう。国境警備隊だけでは不法入国者を取り締まることは出来ないし、人員を増やせば彼らに与える給料や退職金、保険料、福祉などで莫大な税金が必要となる。しかも、不法移民や犯罪者を拘束すれば、留置所や刑務所が満員になってしまうのだ。彼らの食事代や光熱費、施設の維持費で莫大な税金が浪費されては堪ったもんじゃない。被害を受けた納税者は、1セントも賠償をもらえないんだぞ。これらを考えれば、鉄条網くらいは作りたくなるじゃないか。

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(左: メキシコとの国境沿いに壁を作るトランプ / 右: 拘束された不法入国者)

  「アメリカ通」を気取っているが、日高氏の歴史観はおかしい。このベテラン記者によれば、「アメリカは移民によって成り立っており、移民を否定することは、国の成り立ちを否定すること」になるそうだ。おいおい、本当か? アメリカ合衆国は、南米からの移民によってではなく、イングランドからの新大陸へと移住してきた臣民、すなわち国王陛下に忠実な入植者および定住者によって建設されたのだ。そして、彼らを指導したのは教養と財産を持つ紳士階級の西歐系白人である。ジョージ・ワシントンやトマス・ジェファソン、ジョン・アダムス、ジョン・ハンコック、ベンジャミン・フランクリン、ジョン・デッキンソン、アレグザンダーハミルトン、ジェイムズ・マディソン、ジョン・ジェイなどは、スペイン系南米人でもなければインディオとの混血児でもない。ブリテン風アクセントで英語を話す準貴族である。よく「移民の国アメリカ」という言葉を口にする人がいるが、その認識は的外れである。左翼の歴史家は賛成しないだろうが、アメリカはイギリス人が樹立した素晴らしい国家で、それを聞きつけた貧民が外国から集ってきて、“人並”の生活を持てるのではと希望を抱いた。その惨めな異邦人は、アングロ・サクソン社会の恩恵に浴しながら、中流階級の「アメリカ人」にしてもらったというのか実態である。

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(左: ジョン・ハンコック / ベンジャミン・フランクリン / ジョン・ディキンソン / 右: ジェイムズ・マディソン)

  英国の臣民が建てた共和国に、東歐や南歐のヨーロッパン人が流れ込み、彼らに引き続いてユダヤ人やアジア人メキシコ人たちが押し寄せたから、「移民の国」に見えるだけだ。これらの移民は国家を建設する能力などありはしない。非西欧系のアメリカ人は、有能なイギリス人が創った独立国に、あとからコソコソと雪崩れ込んできた“よそ者”と呼んだ方が適切である。ヨーロッパで厄介者だった貧民や、賤民であったユダヤ人、中南米から職を求めて潜り込んできたヒスパニックに、立派な政治制度を樹立したり、経済や法制度を維持する才能は無いのだ。もし、国家補建設するだけの力量があったのなら、なぜ彼らの出身国でその才幹を発揮しなかったのか? 日高氏には答えられまい。そう言えば、オバマが大統領選に出馬した時、雑誌『ボイス』に「マッケイン候補の圧勝」とに書いた日高氏は、どんな釈明文を書いたのか? 競馬の予想屋だってもっと真面目な分析をするんだぞ。アメリカの子供だって、老いぼれのマッケインが勝つとは予想しなかったのに、それが分からなかった日高氏は、本当にアメリカ政治の専門家なのか?

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(左: 知的に見えないヒスパニックの家族 / 右: メキシコ人男性)

保守派の応援団なら完全無視 ? !

  NHKやTBS、朝日新聞、共同通信などのマスメディアは愚劣だが、日本の女性は昔から“しっかり”している。二カ月くらい前になるが、あるアメリカのサイトで「ランダム・ヨーコ」(本名/馬田陽子)さんという日本人女性を知った。彼女は日本人なのにトランプを熱心に応援している、ということで米国のトランプ支持派の間で、ちょいと話題になった人物だ。トランプ支持の日本人女性ということで、ジェイコブ・ステインブラットとジェニングス・ブラウンが「ヴォカティヴ(Vocativ.com)」というニュース・サイトで取り上げていた。(Jacob Steinblatt and Jennings Brown, Meet the Japanese You Tube Star Obsessed with Trump Senpai, Vocativ.com, March 17, 2016) ところが、筆者がうっかりしていただけで、彼女はもう月刊誌『正論』に登場していたのだ。ユーチューブに投稿された彼女の動画は、一部英語のものがあるけど、日本語の字幕が附いているので日本人にも分かるようになっている。英語で動画を配信しているから、アメリカ人も興味を覚えるし、日本に対する好感度が上がるだろう。それに、若くて綺麗な女性だから観ていて愉快なんじゃないか。トランプを非難する外人ならたくさんいるが、彼を熱烈に擁護する日本人は稀である。アメリカのトランプ支持者は、国内でも共感者を得る事が難しいのに、外国からの掩護となれば、意外性もあってことさら嬉しい。やはり、可愛らしい女性からの応援メッセージは格別だ。

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(写真/ランダム・ヨーコ)

  動画での説明によれば、ヨーコさんは2012年に支那大陸で起きた日系企業への暴動を目にし、それが政治や国家に目覚める切っ掛けになったそうだ。彼女の御尊父は戦争や外交に詳しい保守的な人物ということだから、彼女は左翼教育から守られていたのかも知れない。ヨーコさんの精神が健全だからかも知れないが、その動画が注目を浴びたのは、彼女の英語がネイティヴに近い発音で話されていたからだ。彼女自身の紹介によれば、15歳の頃からアメリカ文化に親しんでいたという。たぶんアメリカ滞在の経験があるのだろう。よく異国で暮らした経験のある日本人は、滞在中か帰国後に日本人としての意識を持つようになるから、彼女もそうした日本人の一人なのかも知れない。ヨーコさんがトランプ支持する理由の一つに、日米安保に関するトランプの発言があったという。米軍の撤退をちらつかせるトランプは、日本の国防にもプラスになる、と彼女は判断しているのだ。米国に依存したままの現状より、独自の戦力を持つ方が日本の為になるという解釈である。確かにそうだ。自民党だって国防軍を復興すべく自主憲法の制定を党の綱領に掲げたのに、半世紀が過ぎても一向に実現されないんだから、誰だって呆れてしまうだろう。日本の軍事に関心があるヨーコさんは、選挙中だからこそトランプから利益を引き出せ、と提案しているのだ。大統領職に就任すれば自由なことは言えなくなるので、大盤振る舞いする選挙中に、日本にとって有利な言質をとってしまうのがいい。そうすれば、日本政府は彼の公約を楯に譲歩を引き出せるかも知れないのだ。要は、米国の利益と国内優先を掲げるトランプを応援しながら、彼を日本の味方につけ、日米関係を維持しつつ、日本の国益を増す方向に持って行け、という意見である。この考え方は素晴らしい。  

  ヨーコさんに比べて、手嶋氏や日高氏の見解ときたら、乙女の愚痴と変わらないじゃないか。か弱い少女ならまだしも、いい年を越えたオッサンでは気持ちが悪い。孤軍奮闘するランダム・ヨーコさんの方が、テレビ局でふんぞり返っている評論家より、数百倍も日本の事を考えている。手嶋や日高はトランプを道化のように考えているが、トランプは彼らが思っているような間抜けではない。彼は特殊利益とウォール街の献金で雁字搦めになっている共和党議員を見透かしているのだ。トランプは共和党にイライラしている保守層に、彼らが「欲しい物」を与えて、自分の支持者にしてしまったのだ。左翼分子はトランプをアホ呼ばわりするが、彼は巨大な富を築いたビジネスマンだ。黒人を集めてギャーギャーわめいていたオバマと違うぞ。オバマに企業敬遠の経験があるのか? 単なる間抜けでは大勢の従業員を抱えた会社の経営は無理だ。「アメリカ第一主義」を掲げて中東戦争から足を洗うと言い出したのは、戦争の犠牲と利益を計算したら、民衆にとってマイナスになると判断したからである。「アメリカ・ファースト」という標語は、「本店が一番大切」であることを意味している。日本や韓国から米兵の引き揚げを仄めかしたのも、維持費用と軍事的効率を秤にかけたからだ。彼は合衆国の株主たる一般有権者に対して、国家経営の赤字を解消します、もっと皆様の負担を軽くる一方で、利益の増大を図ります、と宣言しているのだろう。つまり、合衆国のCEO(最高経営者)を演じているのだ。

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(左/ドナルド・トランプ)

  南米移民を一掃すると宣言したトランプは、薄汚いよそ者に腹を立てる「本店の従業員」や「お客様」を念頭に置いている。零細企業でも大企業でも、会社のトップが昔からの贔屓客を大切にするのは当然だろう。もし、トランプが単なるアホなら、なぜ他の候補者はトランプが約束する、メキシコ移民の排斥やイスラム教徒の入国禁止を先に言わなかったのか? 彼が一躍脚光を浴びたのは、「メキシコからの不法移民は麻薬を持ち込み、強盗をはたらいたかと思うと、強姦をしでかすような悪党である !」と喝破したからだ。リベラル・メディアのNBCは、トンデモ発言を述べたトランプを、即座にレギュラー番組から外したが、却ってその仕置きが保守派のトランプ擁護論を招いてしまった。つまり、やぶ蛇になったということだ。トランプは常日頃から南米移民に腹を立てている草莽に目をつけ、共和党主流派から疎まれる白人党員を攫っていったからすごい。トランプは頭のいい目利きだから、あれほどの支持者を獲得できたのである。彼は我慢を重ねる一般党員、すなわち、普段大声を出さないが、心の底で鬱積が溜まっている顧客をとらえ、そのニーズに耳を傾けたのだ。マスコミの批判なんか屁のカッパ。怒れる民衆の代弁者になったからこそ、左翼からの集中砲火をもろともせず、高い人気を維持できたのである。彼に文句を垂れている営業保守派は、もっと早くトランプのお株を奪うような移民排斥案を公言すべきであったのに、上品ぶって格好をつけていたから、トランプに出し抜かれたのである。

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(左: 陽気なメキシコ人男性 / 右: 列車の上に寝泊まりして米国に密入国する南米人)

  日本のワイドショーでは、しきりにトランプの支持者を、社会に不満を持つブルー・カラーの白人労働者とか、外人排斥論を叫ぶ右翼、南米人を差別する白人至上主義者、などと紹介しているが、それはABCやCBS、NBC、CNNといった左翼メディアの受け売りであろう。各テレビ局がワシントンD.C.に派遣している特派員など、どうせ現地の新聞である「ニューヨーク・タイムズ」や「ハッフィントン・ポスト」を読むか、テレビをつけて「フェイス・ザ・ネイション」や「ディス・ウィーク」などの討論番組を観て、その論調を和訳しているだけだろう。それなのに、いかにも独自取材を行いました、と嘯(うそぶ)いているから、視聴者は白けてしまうのだ。「これがアメリカ国民の意見です」とか言っても、オフィスで働くアメリカ人スタッフに尋ねて、それを街頭取材と称しているんじゃないか。TBSには専属の一般人回答者がいたんだから。特派員が慎重な表情を浮かべて、「現地の一般国民がもつ感覚を申しますと・・・」なんて紹介するレポートは怪しいぞ。一般のアメリカ人に尋ねたと言っても、どこで見つけて、いかなる質問内容だったのか、人種や民族、職業、年齢、知識など回答者の情報が隠されているから、迂闊に信用できない。

Jesse Ventura 1Jesse Ventura 2









(左: ジェシー・ヴェンチュラ / 右: 「シールズ」時代のヴェンチュラ)

  日本の特派員たちは、トランプを支持する保守派有名人を“ちゃんと”足を運んで取材しているのか? 例えば、元海軍特殊部隊シールズ出身で、ミネソタ州知事になったジェシー・ヴェンチュラ(Jesse Ventura)や、保守運動の大御所フィリス・シュラフリー(Phyllis Schlafly)、南米移民を批判する『アディオス・アメリカ』を出版した人気コラムニストのアン・コールター(AnnCoulter)、ニクソン大統領の元スピーチ・ライターで、大統領候補にもなったパトリック・ブキャナン(Patrick Buchanan)などに、直接インタヴューをして、彼らがなぜトランプを支持するのか尋ねたことがあるのか? 日テレやフジテレビ、テレ朝などの特派員が、真摯な態度で保守派の主張を聴き、その政治哲学まで遡って取材しているとは到底思えない。日本だとすぐ、ヴェンチュラ元知事はプロレスラー上がりと紹介されるが、エリート部隊のフロッグマン(爆破などを行う潜水兵/frogman)で狙撃の名手と紹介されないだろう。これでは片手落ちである。極秘作戦に投入される部隊に属していたから、彼の判断力は鋭いし、その意見も独特なアングルから引き出されるので、聞いていて面白い。だが、彼は核心を突く質問を逆に投げかけるから、日本の記者は慌てふためくだろう。取材する記者に教養が足りないと、折角のインタヴューがつまらなくなる場合がある。

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(左: アン・コールター / 中央: フィリス・シュラフリー / 右: パトリック・ブキャナン)

  日本ではまず紹介されないフィリス・シュラフリーだが、彼女はアメリカの保守論壇では有名な人物である。彼女は女性解放運動が盛んな1970年代に、ベティー・フリーダンたちの“いかさま”論調をコテンパンにやっつけたから、今でもオールド・フェミニストの天敵だ。シュラフリーは幸せな結婚をし、子供を生み育てて忙しいはずなのに、法律を学んで政治や言論活動まで手を広げていたんだから、良妻賢母の鑑であった。アメリカの古き良き伝統を守るシュラフリーは、キッシンジャーの戦略論まで批判していたし、大統領を目指す共和党保守派の星、バリー・ゴールドウォーターを積極的に支援していた。今でもイーグル・フォーラムを運営し、多彩な活動を繰り広げている重鎮である。日本の地上波テレビ局は、こうした現地の知識人を一切紹介しないんだから、偏向報道を指摘されても反論できないだろう。意図的なのか、それとも純粋に馬鹿なのか、情報公開がないのでその実態は分からない。ただ、現地の事情を知らない一般視聴者は、怠惰な特派員の報告だけでアメリカを判断しているんだから、本当に気の毒だ。

  日本でも有名なパット・ブキャナンが自身のブログでトランプについて語っていた。悪態をつくジャーナリストをニクソン政権で相手にしていたブキャナンだから、リベラル派のテレビ局や新聞社の偏向報道について良く分かっている。なにせ、彼がホワイトハウスで働いていた時代は、ベトナム戦争も泥沼状態で、早く撤退したい頃だったから、マスコミの報道姿勢には苦い経験がある。ブキャナン氏は、大統領選挙について連載記事を書いていた有名なジャーナリスト、セオドア・H・ホワイト(Theodore Harold White)の言葉を引用している。

  アメリカにおける報道機関の権力は根本的なものである。報道陣は公で議論されるべき課題を設定し、その勢いを増す政治権力は如何なる法の制約も受けない。その権力は人々が何について話すのか、何を考えるのかを決めるのだ。すなわち、この報道の権力とは、他国なら暴君や司祭、官僚に付与されている権威である。

  ブキャナンは「トランプの人気の秘密は何なのか ?」という疑問に答えている。それは、毎日マスコミが披露する「政治的正しさ(Political Correctness)」を源泉とする規範への侮蔑である。(Partick Buchanan, Why Liberal Media Hate Trump, December 3, 2015) トランプはマスコミが掲げる「道徳的権威」や「居丈高な命令」を意図的に無視する。大胆にも「お前らの指図は受けないぞ !」という態度を取るから、各マスコミのディレクターやスタッフから憎まれるのだ。ちょっと前の日本で言ったら、自民党の総裁がNHKの論説委員が述べる御神託に、真っ向から反論するようなものである。日本のテレビ局はトランプを紹介する時、枕詞のように“暴言王”と口にするが、アメリカの保守的民衆は左翼マスコミの検閲報道にウンザリしており、マスメディアの譴責を気にせず、思ったことをずけずけと言うトランプに拍手喝采を送っていたのだ。「南米移民など麻薬の密売人かレイプ魔だ」と喝破するトランプは清々しい。ホワイト・カラーの中間管理職に就いているアメリカ白人も、本当はトランプと同じ事を言いたいが、周囲の目が気になって本音を言い出せない。ホワイト・カラーの中には、同僚や友人に隠れて支援者になっている人物がいるらしい。したがって、テレビ局が中継する演説会場に押し寄せる支持者の中で、白人労働者が目立つのは、高度専門職や管理職に就いている白人が堂々と会場に行けないからである。

Mike Tyson 1Dennis Rodman 1Ted Neugent 1Obama 3








(左: マイク・タイソン / デニス・ロッドマン / テッド・ニュージェント / 右: バラク・オバマ)

  それはさておき、意外なことだが、ボクサーのマイク・タイソンやバスケットボール選手のデニス・ロッドマンまでが、トランプの支持者なんだから笑ってしまう。たぶん、テレビ番組で親しくなったからだろう。マイク・タイソンの脳味噌で政治が理解できるとは思えない。頭のヒューズがとんでるデニス・ロッドマンは、へそ曲がりで目立ちたがり屋だから、天邪鬼(あまのじゃく)のトランプに共感したんだろう。でも、銃規制反対論者のミュージシャン、テッド・ニュージェント(Ted Nugent)がトランプ支持者なのは、何となく分かる気がする。日本ではこうした応援団を紹介したのか? オバマが大統領候補になった時は、どんなつまらない藝人でも取り上げたくせに、気に入らない候補者だと無視するなんて、えこひいきが過ぎるのではないか。確か、オバマに似ている漫才師か何かの藝人をバラエティー番組に登場させ、「イエス、ウィ・キャン(Yes, we can.)」と物まねをさせていた。また、小浜(おばま)市の住民にまでインタヴューをしていたぞ。これだから、日本のマスメディアは偏っていると言われても否定できまい。

トランプを忌避するユダヤ人

Chauncey DeVega
(左/チョウンシー・デヴェラ)
  トランプには危険な臭いがする。これが反トランプ陣営の共通認識であろう。マスメディアの主流を形成するユダヤ人や左翼白人、ヒスパニック系のジャーナリストは、彼らを敵視する低学歴の白人男性を嫌っているのだ。彼らからすると、こうした下層白人どもは、大学で“高尚な”学問を身につけていない、酒場の荒くれ者にしか見えない。しかし、こうした支持者は学校で“赤”や“ピンク”に染まっていないから、却って健全なのだ。トランプの支持者は、移民や難民に福祉という形で税金を食い潰されたり、ウォール街のグローバリストを税金で救済する破目になった白人中間層である。だが、“知的優位性”を誇る左翼ジャーナリストにとって、トランプを掩護する知識人はもっと許せない存在である。リベラル・メディア・サイトの「サロン(Salon)」で、チョウンシー・デヴェガというジャーナリストが、トランプ旋風の記事を書いていた。彼の解説によれば、トランプとブキャナンは典型的な右翼煽動主義者で、アメリカの間違ったポピュリズムにおいて瓜二つの同類らしい。(Chauncey DeVega, Donald Trump leads an insane white cult ─ and Pat Buchanan just explained how it works, Salon, December 24, 2015) 両者とも先祖代々からの国民を自負する白人(nativist)であり、有色人種の存在を嫌う外人排斥者(xenophobic)であるという。似たもの同士の彼らは、ポスト公民権運動時代において疎外感を味わう白人に同情を寄せ、疎外された白人の人種偏見に共感し、怒り狂った民衆を扇動する右翼ポピュリストであるそうだ。この二人は「ノウナッシング」やジョージ・ウォーレスみたいな者と見なされている。

  ここでちょっとこの二つを説明しておく。アメリカには異分子排除の歴史がある。第19世紀後半には「アメリカ独立党」があって、世間からは「ノウ・ナッシング(Know Nothing)」との別名を与えられていた。そこの党員は、部外者から仲間や組織の事を訊かれても、「知らない(I know nothing.)」と答えたので、「ノウ・ノッシング」と呼ばれたそうだ。当時、ヨーロッパから非プロテスタント系の移民が増えたので、「ノウ・ナッシング」党はカトリック教徒であるアイリス系移民を警戒し、その増加に対して警鐘を鳴らしながら、プロテスタントのアメリカを守ろうとしていたのである。当時のアイリス人といえば、馬鈴薯の不作で餓死寸前になった貧農か、酒場で飲んだくれる“だらしない”連中といった印象が強く、律儀に働く職人とか学術に秀でた民族とは見なされていなかった。西歐諸国では、裕福で堅実な商人や医者とか法律家といった高度専門職、高級軍人とかにプロテンタント信徒が多く、カトリック信徒といえばイタリアとかポーランドの百姓というイメージがあったから、古株のアメリカ人は後者を移民として歓迎しなかったのである。

George Wallace 1(左/ジョージ・ウォレス)
  それから月日が流れ、今度は黒人が台頭する1960年代になると、黒人隔離政策を維持しようと奮闘するジョージ・ウォレス(George Wallace)が現れてきた。彼は人種隔離制度を擁護した南部民衆党の政治家として有名である。アラバマ州知事になったウォレスは、白人と黒人が同じ学校に通うような事態を毛嫌いし、白人社会への黒人の流入に断固反対し、連邦政府と激しく対立したことでも知られている。テレビ番組が公民権運動を特集すると、黒人統合に反対るため州兵を動員する白人政治家の映像を流すことがあるから、記憶にある方も多いだろう。ついでに言えば、長いこと上院議員を務めていた故ストローム・サーモンド(Strome Thurmond)も、黒人の選挙権を拡大する1964年の公民権法や1965年の投票法に強く反対していた。彼は元々サウスカロライナ州の民衆党員だったが、党執行部が黒人贔屓になったことに反撥し、共和党へ鞍替えすることにしたという。彼はバリー・ゴールドウォーターを支持していたことでも知られている。保守的な南部民衆党員が、共和党に流れることは度々あって、レーガン大統領の頃にリベラル路線を嫌った白人有権者が、親子代々民衆党員であるにもかかわらず、共和党員になったという話は珍しくなかった。リンカン大統領以来、共和党に恨みを抱く南部民衆党員って結構多かったんだから。(ちなみに、黒人嫌いのサーモンド議員には、混血児の隠し子がいて、彼の死後“長女”の存在が明らかになった。エシー・マエ・ワシントン・ウィリアムズという娘は、22歳のサーモンドが、実家で女中だった黒人のキャリー・バトラー<16歳>に産ませた子供だったという。若気の過ちとはいえ、何十年もの間ずっと隠していたんだから、心苦しかったんじゃないか。)

Barry Goldwater 1Strom Thurmond 8Richard Nixon 2








(左: バリー・ゴールドウォーター / ストローム・サーモンド / 娘のエシー・マエ・ワシントン・ウィリアム / 右: リチャード・ニクソン)

  1960年代までのアメリカでは、まだ白人の勢力が強かった。ウォレスはリンドン・ジョンソンが退任したのをうけ、民衆党を抜けて「アメリカ独立党」の大統領候補になり、かなり注目を浴びる存在であったという。一方、民衆党はヒューバート・ハンフリーを擁立したので、本来なら民衆党へ流れるはずの反共和党票が割れてしまい、結局、共和党候補者であったリチャード・ニクソンが漁夫の利を得ることになった。かくてニクソンは念願の大統領となる。大統領選に敗れはしたものの、ウォレスは再びアラバマ州知事になれたから、比較的幸運である。ニクソンなんか大統領選でジョン・F・ケネディーに敗れてから不遇の時代が続いたんだから。ケネディーに敗れたあと、カルフォルニア州知事選に出馬したが、民衆党の対立候補であったパット・ブラウン(Edmund Gerald“Pat” Brown, Sr.)に負けてしまったから不運だ。これでは副大統領も形無しである。ちなみに、パット・ブラウンの息子はあのジェリー・ブラウン(Edmund Gerald “Jerry” Brown,Jr.)で、大統領選挙に出たこともあから、日本人でも覚えている方が多いだろう。カルフォルニア州知事であった彼は、1992年の大統領選に出馬したが、予備選でビル・クリントンに敗れたので、仕方なく小さな自治体に職を求め、オークランド市長に納まった。それから再び知事選に挑戦し、シュワルツネッガー知事の後任として、カルフォルニア州知事に返り咲いた。話を戻すと、ウォーレスは性懲りもなく、また大統領選に出馬することにした。もう執念の鬼である。しかし、1972年に悲劇が起きた。彼はアーサー・ブレマー(Arthur Bremer)に撃たれて重傷を負い、幸い死ぬことはなかったが、その代わり下半身不随になってしまった。彼は晩年になると人種差別を後悔し、キリスト教にも目覚め、憎んでいた黒人との和解を求めていたらしい。

Edmund Pat Brown 1Jerry Brown 1Arthur Bremer 2








(左: パット・ブラウン / 中央: ジェリー・ブラウン / 右: アーサー・ブレマー)

  非白人ジャーナリストのデヴェガは、トランプの政治姿勢のみならず、彼の人格まで嫌いなようで、トランプをファシストの原型(proto-fascist)と呼んでいた。デヴェガによれば、トランプは個人崇拝に基づく指導者であるという。曰く、第21世紀のアメリカにおける小ムッソリーニ(petit Mussolini)であるそうだ。無知な大衆がトランプを崇めて、危険なリーダーに祭り上げているという解釈だ。確かに、トランプはその強烈な個性を活かして聴衆を魅了している。だが、デモクラシーでは一般人を虜(とりこ)にする者が多数票を獲得するんだから、人気者が国家指導者になっても不思議ではあるまい。醒めた眼で見れば、今のところ保守的国民に持て囃されるトランプだが、もし左派国民が彼の熱心な支持者となれば、輿論に敏感なトランプのことだから、左翼政策に舵を切るだろう。まだ假定の段階だが、彼にとっては再選が最優先課題だから、支持層の保守派を喜ばせるためなら、長期的な国益でさえも犠牲にすることだってあり得る。また、ビジネス交渉のプロだから、トランプはイデオロギーに囚われず、損得計算で外交を行うし、平然と国民に対して嘘をつくかも知れない。大衆政治において「嘘」が潤滑油ということを分かっているからだ。しかも、彼のように大衆の性質を熟知しているビジネスマンは、一般人が強くてたくましい家長を望んでいることを察知している。たとえ独裁者であっても、陽気で気前が良ければ、大衆の心を掴めると分かっているのだ。そもそも、有権者になる試験も課せられない民衆が、好き勝手に投票するんだから、「デマゴーグ(民衆の煽動者)」が大統領になるのも当然じゃないか。スペインの哲学者ホセ・オルテガの名著『大衆の叛逆』を読めば分かるだろう。だいたい、“右翼”の政治家に限って「ポピュリスト」と決めつけるのはおかしいじゃないか。統治理論を云々しなくとも、「ポプルス(民衆/人民)」から支持を受けるのを肯定するのが民衆政治の本質なんだから、「ポピュリスト」という悪意がこもったレッテル貼りは変だ。

James Kirchick 1(左/ジェイムズ・カーチック)
  左翼メディアを支配するユダヤ人もトランプが大嫌いだ。例えば、ジェイムズ・カーチックがユダヤメディアの「タブレット」誌に反トランプの文章を寄稿していた。彼はユダヤ人で同性愛者(ゲイ)であると告白しているが、アメリカに於いて自らを「少数派」と認識したことはないという。(James Kirchick, Donald Trump Is Turning Me Liberal, Tablet, March 14, 2016) 普通のアメリカ人や日本人なら、「へぇ~、そうなの ?」と驚いてしまうが、カーチックはアメリカ人口の数パーセントしか占めないユダヤ人で、しかもゲイなのに、多数派の一般人と同じように分類されると思っているのだ。こうしたクルクルパーのジャーナリストだから、共和党保守派グループの「ティー・パーティー(Tea Party)」を「隠れファシスト(crypt-fascist)」と見なしている。彼も認めているように、右派の大衆運動は「ポピュリズム」と称されるが、左派の大衆運動はそう呼ばれないという。日本の左翼だと、こうした草の根運動を「市民運動」と称するから、物は言い様だ。左翼分子は様々なレトリックを用いて我々の頭を混乱させようとする。カーチックはトランプをクリスチャン・ベール主演の「バットマン」映画に引っ掛けて、“ファシズムのダーク・ナイト(dark knight of fascism)”と呼んでいたそうだ。ユダヤ人って、何かと言えば、敵対者を「ネオ・ナチ」だ、「ファシスト」だ、「差別主義者」だと貶めるが、自分が批判されると相手を「反ユダヤ主義者」とわめき散らす。こう言えば相手が黙ってしまうのを分かっているからだろう。実に嫌らしい奴らだ。

  ユダヤ人のカーチックは、トランプの演説に集まる大衆を目にすると、ナチス時代のニュルンベルクに集まった聴衆を思い浮かべるらしく、右腕を斜め前方に上げる白人どもを連想してしまうらしい。アメリカに住みつく1,100万人の不法移民を排除しようと提案するトランプの姿は、ナチ・ドイツから大勢のユダヤ人を追放したヒトラーとダブるみたいだ。左翼やユダヤ人は、白人の知識人や政治家が、白人の利益を強調したり、白人の結束を訴えると、「ビゴット(bigot)」すなわち、頑固者、偏屈者、排他主義者と非難する。だが、アフリカ系やヒスパニック系のアメリカ人が同じ事を言っても、そう呼ばないから不公平だ。カーチックにとって、トランプは悪徳の結晶である。先祖代々の家系を誇るネイティヴィズム、有色人種を毛嫌いするレイシズム、大衆を煽るポピュリズム、公然とした虚言癖などは、善良な人々にとって不安の種だという。特に、善良で知的なユダヤ人は、トランプのような人物から狙われるそうだ。なぜならば、懐疑的精神と人道主義の伝統を重んずるユダヤ人は、歴史的に「ノウ・ノッシング」風の反ユダヤ主義者たちに嫌われてきたからだという。そこで、恐怖を感じるカーチックは、トランプを「暴民の候補者だ」と評している。彼は暴民たちがやがて反ユダヤ主義者に変貌すると恐れているそうだ。粗野な白人から狙われると怯えているカーチックは、ユダヤ人が「アメリカの良心」とでも言いたいのか? こんな馬鹿らしい事を平気で公言するから、ユダヤ人はヨーロッパやアメリカで嫌われるんだ。アメリカ合衆国はユダヤ人のために建国された訳でもないのに、まるでユダヤ人がアメリカの主人公だと思っている。それというのも、無知で乱暴な西歐白人に社会規範や倫理道徳を教えるのは、ユダヤ知識人の使命(vocation)だと思っているからだ。日系アメリカ人でこんな事を考えてる奴はいないだろう。

  カーチックはデマゴーグに操られた暴民が、やがてユダヤに牙を向くだろう、と恐れている。彼は政治学者マシュー・マクウィリアムズ(Matthew MacWilliams)の言葉を引用し、「トランプの支持者は権威主義になびく傾向がある」と述べていた。これはフランクフルト学派のユダヤ人学者マックス・ホルクマイマーが西歐人を断罪するために作り上げた理論とソックリで、西歐精神の破壊を彷彿させる言葉である。カーチックはトランプ支持者のことを、礼儀正しさや同情心、主義一貫性といった要素を排除する“力”あるいは“強さ”といったものを賞讃する人々で、法の支配に敬意を払う連中ではないと斬り捨てていた。たぶん、下品で馬鹿丸出しのトランプに、盲目的なエールを送る下層白人を観たから、道徳的優越感を覚えたんだろう。だがその一方で、団結心を強める白人たちを眺めて、不気味で巨大な権力を感じたそうだ。まるで、イジメられっ子が街角で不良を見つけ、本能的に物陰に隠れて「アーメン、そーめん、味噌ラーメン」と祈りながら、小便をちびるような心理状態なんだろう。

Bill Kristol 1John MacCormack 1








(左: ビル・クリストル / 右: ジョン・マコーマック)

  ユダヤ人ゆえなのか、カーチックはネオコン(共和党に潜り込んだ左翼ユダヤ人)がトランプを嫌う理由も述べていた。トランプは中東戦争に懐疑的で、「イラクの自由作戦(Operation Iraqi Freedom)」を批判していたから、ネオコンのユダヤ人たちは、トランプの態度が癪に触ったのだという。ネオコンの知識人は言うことを聞かないトランプに我慢がならず、どうにかして彼を引き摺り降ろしたかった。『ザ・ウィークリー・スタンダード』誌の編集長を務める、ビル・クリストル(Bill Kristol)が、ABCの政治番組で頻りにトランプを共和党の候補者として相応しくないと宣伝していたことからも窺われる通り、彼らの焦りは相当なものだった。もし、トランプが大統領になれば、イスラエルの国益を優先する政策や、ロシアやシリアに対する政治的圧力を躊躇うかも知れない。とりわけ、あのように傲慢な男なら、シオニストの命令にすら刃向かう可能性があるのだ。いずれアメリカ軍にイランを攻撃させたいイスラエル首脳とアメリカのシオニストにとって、ヒラリー・クリントンの方が遙かに便利で扱いやすい。既にハイム・サバンの手下になっているヒラリーは、イスラエルのネタニヤフ首相に臣従しているのも同然だから、ネオコンの連中は小癪なトランプよりヒラリーを応援したくなるのだ。

  ビル・クリストフの『ザ・ウィークリー・スタンダード』誌は、表向き“保守思想”のオピニオン雑誌となっているが、その実態は共和党ユダヤ人の応援機関誌で、民衆党のリベラル路線をちょっとだけ右にずらして、「保守派」のポーズを取っているに過ぎない。彼の小姓で同誌の編集員を務めるジョン・マコーマック(John MacCormack)も、怒らせたら怖いクリストル親分に追随し、トランプ批判に精を出している。彼はトランプが最高司令官たる大統領職に相応しくない、と貶めていた。例えば、トランプがオバマ大統領の出生証明書が怪しいと疑ったり、大量破壊兵器が無かったのにイラク戦争を始めたブッシュ大統領を非難したりから、トランプはトンデモない奴だと語っていた。しかし、このブログでも触れたように、オバマの過去は謎だらけで、普通のアメリカ人とは似ても似つかない。オバマは多くの事を曖昧にし、保守派の懐疑論者を煙に巻いていた。他の事なら徹底的に追求するマスコミなのに、オバマに関しては甘い対応を取るんだから、“ちょいと”妙どころか“かなり”変だ。また、ブッシュ批判だって当り前だろう。マスコミだって散々叩いたんだから。

Rafael Cruz 1














(左の写真でオズワルドの右に立っている男が「ラファエル」と推測されて人物 / 右の写真で眼鏡を掛けているのが「ラファエル」と確認されいる)

  マコーマックは、トランプがテッド・クルズの父親を持ち出した事にも触れて、陰謀マニアだと扱き下ろしていた。これは何かと言うと、テッドの父親であるラファエル・クルズ(Rafael Cruz)が、リー・ハーヴェイ・オズワルドと関係があったのでは、とトランプが言及したからである。しかし、これもトランプが話したことを一部だけ抜き取って、嘲笑の種にしているだけだ。『ナショナル・エンクワイァー(National Enquirer)』という雑誌が、オズワルドの写真を持ち出し、隣に立って並んでいる男性が、ラファエルじゃないかと推測する記事を出した。確かに、キューバ人のラファエルはカストロに対する抗議行動をしていたから、政治活動をしていたオズワルドと面識があったのかも知れない。真相は闇の中だが、トランプはラファエルがオズワルドの共犯と断定していたわけでなく、『ナショナル・エンクワイァー』の記事を引用したに過ぎない。それなのに、マコーマックは記事を知らない聴衆に対して、「テッド・クルズの父親をJFK暗殺の関係者に仕立てたトランプ」と説明し、トランプが如何に馬鹿げたデマゴーグかを印象づけていた。これでは、マコーマックの方が大衆煽動者じゃないか。批判するなら、トンデモ記事を出した雑誌社を非難すべきだ。

Robert Kagan 1(左/ロバート・ケーガン)
  そういえば、ちょっと前まで共和党支持者だったロバート・ケーガン(Robert Kagan)も、トランプが嫌いでヒラリー・クリントンの方を支持している。彼らがトランプの外政に懸念を抱くのはもっともである。強靱な意思を尊ぶトランプは、ロシアのプーチン大統領を「強力な指導者」と褒めていたから、イスラエルの利益に反するような取引をプーチンと結ぶ危険性だってあるのだ。トランプの独自外交について、元「シンク・プログレス(Think Progress)」のザイド・ジラニ(Zaid Jilani)は、シオニストの懸念を述べていた。ちなみに、ジラニは「アメリカン・プログレス・センター(Center for American Progress)」というリベラル派のシンク・タンクに在籍していたが、シオニスト贔屓の政治家を「イスラエル第一主義者」と呼んだ廉(かど)でクビになっている。これは本音を喋ると失業するという“見せしめ”だ。(表向き「言論の自由」はあるが、実質的に無いのが、現実のアメリカである。)

Zaid Jilani 1Hillary Clinton 1Benjamin Netanyahu 4








(左: ザイド・ジラニ / 中央: ヒラリー・クリントン / 右: ベンジャミン・ネタニヤフ)

  トランプ大統領誕生に顔を歪めるユダヤ人には、口に出したくない深刻な不安がある。それはパット・ブキャナンたちが反対する多文化主義や、アン・コールターなどが反対する移民政策を、ユダヤ系アメリカ人が積極的に推進しているからだ。ユダヤ人は自らが安心して暮らせるアメリカ社会にすべく、世界中から多種多様な移民や難民を迎え入れて、異質な顔をしたユダヤ人が目立たない、雑種混淆社会にしたいと願っている。西歐系白人ばかりのアメリカだと、中東アジア的容姿のユダヤ人は社会から浮き上がった存在になり、排除の対象になりやすい。だから、外人を引きずり込むと同時に、黒人と白人の結婚やセックスを奨励し、白人中心のアメリカ社会を撲滅しようと考える。これがアメリカ白人の激怒を招くのだ。異教徒嫌いのユダヤ人からすれば、中南米移民を追い払い、アラブ系のイスラム教徒を入国させないようにするトランプは、本来好ましいはずなのに、どこか好きになれない。現在はともかく、近い将来の脅威と映ってしまう。ユダヤ人とってイスラム教徒が居ない社会は素晴らしいが、宗教的多様性がなくなるということは、やがてキリスト教徒が強くなり、異文化排除の矛先がユダヤ人に向くかもしれぬ予兆を示している。要するに、ユダヤ人は西歐系アメリカ人が団結して、彼らだけの共同体を創ることが嫌なのだ。それならば、イスラエルに帰ればいいのに、いつまでもアメリカに居坐るユダヤ人の方が悪いんじゃないか。

左翼教授ばかりの大学

Jonathan Haidt 1(左/ジョナサン・ハイト)
  トランプを唾棄するのは、何もテレビ局員やジャーナリストだけに限らない。大学教授もトランプが嫌いで、野蛮人とか無教養人、差別主義者などと評して軽蔑している。日本の大学と同じく、アメリカの大学も赤い教授が圧倒的に多い。心理学者のジョナサン・ハイト(Jonathan Haidt)は、心理学者が集まる年次総会(Society for Personality and Social Psychology/SPSP)で、千人近くの人々にどのような政治思想をもっているのか尋ねたことがあるという。そうすると、約80パーセントの人が自分を「リベラルないし左翼」とし、2パーセントの人が「中道または穏健派」と規定していたそうだ。しかし、「保守派ないし中道右派」と自己識別した人は皆無だったという。(Jonathan Haidt, New Study indicates Existence of Eight Conservative Social Psychologists, Heterodox Academy, January 7, 2016) ハイトの他に、ヨエル・インバー(Yoel Inbar)とヨリス・ランマー(Yoris Lammer)という研究者が、同様なアンケートをSPSP学会で行ったそうだ。彼らは参加者に電子メールを送り、291名から返事を受け取った。その回答を見てみると、85%の者が自らを「リベラル派」と称しているのに対し、たった6%の者だけが「保守派」だったというから、ハイトの調査とほぼ一致していることが分かる。

  彼らの他にも同様な興味を持った学者がいて、ビル・フォン・ヒッペル(Bill von Hippel)とデイヴィッド・バス(David Buss)がSPSPの学会員900名に調査協力を依頼し、彼らのうち約37%、つまり335名から返事を受け取ったという。ヒッペルとバスは、進化論や同性愛結婚、銃規制、妊娠中絶問題と併せて大統領選挙についても尋ねたそうだ。政治思想について答えてくれた326名中、291名(89.3%)が自らを「中道左派ないし左翼」と答え、わずか8名(2.5%)のみが「中道右派」と称していたそうだ。次に、前回の大統領選挙で誰に投票したのかという質問で、オバマに投票したと答えた人は322人中305(94.7%)名で、ロムニーに投票した人は4名(1.2%)だけ。残りの13名(4%)は他の候補者を選んだそうだ。それにしても、ロムニーを選んだのが、たった1パーセントくらいとは驚きである。アメリカは確か“二大政党制”を取っていると言われていたよなぁ。そういえば、フィラデルフィアのある黒人主体の選挙区では、96ないし98パーセントの有権者がオバマに投票し、ロムニーの獲得票数はほぼゼロに近かったというニュースを聞いたことがある。黒人だらけの地区では圧倒的にオバマが優勢だった。黒人有権者はオバマが黒人だから投票したのである。レイシズムは白人の専売特許ではない。黒人にだってレイシストがうようよいるのだ。

  回答書を分析したヒッペルとバスは、それらのデータを分類して回答者の政治的嗜好を分類してみたという。すると、327名の参加者中、中道左派から極左寄りの者が314名(96%)もいて、中道なしい穏健派は12名(3.7%)、中道から右寄りの者は1名(0.3%)であったという。右派が1パーセントにも満たず、ほぼゼロというのは異常である。カルフォルニア大学(UCLA)の高等教育研究所(Higher Education Research Institute)による調査でも、大学教員のリベラル色が鮮明に現れていた。(Scott Jaschik, Survey finds that professors, already liberal, have moved further to the left, Inside Higher ED, October 24, 2012) 大学教員の政治的分類は以下の通り。

調査年度    2010-2011                2007-2008
    
極左                     12.4%                          8.8%          
リベラル                50.3%                        47.0%
中道                     25.4%                         28.4%
保守                     11.5%                         15.2%
極右                      0.4%                          0.7% 

この他にも興味深い調査結果があって、教授達の政治色は次のようになっている。

           極左    リベラル     中道     保守    極右

公立大学          13.3%            52.4%             24.7%               9.2%         0.3%
私立大学           16.2%           51.5%             22.3%               9.8%         0.1%

  公立や私立を問わず、左翼思考の教授は、60ないし70パーセントを占めており、保守派の教授はごく僅かで、その保守的傾向だって怪しいものだ。実際の状況を精査してみれば、保守派の教授は1割どころか、1パーセントにも満たないだろう。

Hillary Clinton 6bernie sanders 1Carly Fiorina 2








(左: クリントン / 中央: バーニー・サンダース / 右: カーリー・ブィオリーナ)

  こうした左翼的傾向は、教授たちが行った政治献金にも反映されている。連邦選挙委員会の資料から得られるデータを基にして、トップ50のリベラル・アーツ・カレッジに属する教授47名を調査したところ、46名の教授が20,875ドル(約229万円)をヒラリー・クリントンに、8,417ドル(約92万円)をバーニー・サンダースに献金していたことが分かった。(Kelly Riddell, 99% of top liberal arts professor campaign donations go to Democrats: report, The Washington Times, October 27, 2015)  47名中たった1人、ハミルトン・カレッジで歴史を教えるロバート・パケット教授が、共和党の女性候補者だったカリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)に、150ドル(1万数千円)を献金したという。2012年の大統領選挙におけるアイヴィー・リーグの教授陣とをとってみると、彼らが行った献金額の96%はオバマに渡ったそうだ。キャンパス・リフォームという団体がアイヴィー・リーグ8校を調査したところ、大学の職員や教員からオバマが得た献金額は121万1千267ドル(約1億3300万円)であったが、対立候補のロムニーが受け取った額は、たったの11万4千166ドル(約1千210万円)に過ぎなかった。(David Davenpor, Apparently 90 % of Harvard Faculty Can Agree on Something : Giving to Democrats, Forbes, May 7, 2015)

Donald Trump 2Ted Cruz 3Jeb Bush 11









(左: トランプ / 中央: テッド・クルズ / 右: ジェブ・ブッシュ)

  2015年の8月から12月にかけてハーバード大学の教授や講師、研究員81名が行った政治献金は、合計で約13万1千ドルであった。そのうち、ヒラリー・クリントンに渡ったのが2千700ドルで、37名による献金であったという。バーニー・サンダースは、3千290ドルの献金を受け、ブッシュとルビオとクリスティーの三人が、合計8千850ドルの献金をもらったそうだ。共和党のテッド・クルズとドナルド・トランプへの献金はゼロだった。(Melissa C. Rodman and Luca A. Schroeder, Faculty Overwhelmingly Donate to Clinton, The Harvard Crimson, February 10, 2016) もともとリベラル派大学として有名だから、共和党への献金が皆無でも驚かないが、こうした左翼教授に洗脳された学生が、政治家や弁護士、官僚、ジャーナリストになっているんだから、高学歴・高収入ののアメリカ人に反トランプが多くて当然だろう。何かハリウッドの映画業界を見ているようだ。

  長々と書いてしまったげど、公共の電波を使っているワイド・ショーは、これくらいの解説をしたっていいんじゃないか。スポンサーからお金を貰っているんだから、「ミヤネヤ屋」とか「ワイド・スクランブル」は充分な取材ができるはずだ。それをしないのは、視聴者を間抜けな中学生程度と馬鹿にして、自分たちに都合良く洗脳しようとしているからじゃないのか。NHKで「週間子供ニュース」を担当していた池上彰を民放が使っているのは、一般国民を小学六年生くらいに見なしているからだろう。知識人を気取る番組制作者は、裏で「一般視聴者なんてよぉ、お笑い藝人のコメントで充分なんだよなぁ」と馬鹿にしているんじゃないか。いっぺん、「スッキリ」で加藤浩次の隣にランダム・ヨーコさんを置いてみたら、もっとスッキリした番組になるかも知れないぞ。




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