子供の父親は犯罪者だった !

  6月10日のお昼時であった。食事を終えたので、ドイツのロック・バンド「アクセプト」のライブ映像を観ようと、テレビとDVDプレイヤーのスイッチをつけたところ、たまたまテレ朝の「ワイド・スクランブル」が放送されていたので、ちょっと観てみた。すると、この番組にデーブ・スペクターが出ていて、米国で起きたゴリラの射殺事件のことを紹介していたのだが、ある事実を意図的に外して伝えていたので、「また歪曲報道か !」と不愉快になった。オハイオ州シンシナティーの動物園で発生した事件は、新聞やテレビでも報道されたから、ご存じの方も多いのではないか。ただ、見逃した方もいると思うので、事件の概要をちょっと述べてみたい。

  黒人夫妻のディオン・ディッカーソン(Deonne Dickerson)とミシェル・グレッグ(Michelle Gregg)は、子供達を連れて、シンシナティー動物園に来ていたという。彼らが「ハランベ(Harambe)」というゴリラを観ている時、3歳の息子イザヤ(Isiah)がゴリラと遊びたいと言い出し、母親の警告を無視して、柵を乗り越えてしまった。すると、イザヤは数メートル下の囲いに落ちてしまい、ゴリラのハランベに捕まってしまったそうだ。この動物園では、客が柵越しに動物を眺めるような造りになっていて、デッカーソン一家はゴリラがうろつき回る姿を上から眺めていたのだ。ところが、小さな子供が檻の中に落ちたので、それに気づいた他の客が一斉に騒ぎ始めた。みんな大声を上げて子供の安否を心配したのだが、これが却ってゴリラの感情を刺激したようだ。観客の悲鳴に興奮したのか、動揺したハランベはイザヤの腕を掴み、檻の中にある水路の中を引きずり廻した。こうなると悪循環で、これを観た客がまた金切り声を上げたから、ハランベはますます不安になったらしい。動物の専門家によれば、通常だとゴリラは子供に危害を加えないもので、子供の泣き顔や様子を確認して遠ざかるそうだ。

  ディカーソン夫妻はもちろんだが、子供が檻の中に落ちたという一報を聞いて、動物園の飼育員や管理者に戦慄が走った。園長のセイン・メイナード氏は、ゴリラの様子を見て、幼児が攻撃されているわけではない、と思ったが、万が一のことを考えて、ハランベを射殺するよう命令したそうだ。こうなったのも、麻酔銃では効き目が出るまで時間がかかるから、その間にゴリラが異常な行動を取るやもしれぬ、と判断したからだ。そうした即断により、ゴリラの檻に落ちたイザヤが無事助かった事は喜ばしいが、殺されたゴリラが稀少動物であることが判明し、その貴重な死が惜しまれた。マスコミのセンセーショナルな報道を受けて、世間は射殺を命じた園長と子供を離してしまった親に、非難の矛先を向けるようになったという。というのも、アメリカ人は絶滅危惧種の動物を保護しようとする意識が高いし、テレビや雑誌でも、ゴリラは兇暴な野獣ではなく優しくて知能が高い動物と紹介されているから尚更だった。しかも、事件の映像を観る限り、子供に対して攻撃的とは見えなかったからである。それに、アメリカ白人だ決して口に出来ないが、子供をコントロール出来なかった母親のミッシェルは、典型的な黒人のダメ親に見えたから、白人の動物愛護者には我慢がならなかったのだろう。彼らはイザヤの両親を、子供をコントロール出来なかった廉で譴責していたのだ。

  「ワイド・スクランブル」でこの事件を解説したスペクター氏は、大変痛ましい事件であると述べ、米国ではイザヤの両親に法的な責任を問う動きまで出ていますよ、と伝えていた。しかし、彼は重要な点を省いていたのだ。それはイザヤの父、ディオンの素性である。実は、このオヤジがトンデモない奴だった。彼には強盗、銃器不法所持、麻薬密輸、住居不法侵入、治安紊乱、誘拐拉致などの前科があったのだ。呆れたことに、ディオンは10年にも亙って犯罪を重ねていたのである。悪いことをすれば罰せられるもので、実際2006年に麻薬密輸の廉で有罪判決を受け、一年間刑務所に服役していたという。(Laura Collins, Parents-of-four whose son fell into zoo enclosure sparking killing of Harambe the gorilla as it emerges father has a lengthy crinimal history, Daily Mail, 31 May 2016) 番組の中だと、スペクター氏はこの夫婦が「怠慢行為」で糾弾されているとだけ述べており、父親が数々の不法行為を犯した前科者であるとは紹介しなかった。テレ朝の情報番組だから、都合の悪い「部分」は隠蔽する方針なんだろう。在日朝鮮人が罪を犯せば、「通名」だけの報道をしていたんだから、「弱者」の黒人が窮地に陥れば、それを擁護してやるのは正義の味方「朝日」にとって当然であり、歪曲・隠蔽工作は「朝日グループ」の“義務”であり“使命”でもある。

  それにしても、射殺命令はハランベの飼育員にとって辛い判断だった。いくら子供の命を救うためとはいえ、我が子のように育てたゴリラを殺すのは忍びがたい。飼育員ジェリー・ストーンは、小さい頃から手塩に掛けて育てたハランベが、自分の目の前で抹殺されるのをじっと堪えて見るしかなかった。ストーン氏曰は語っている。「ハランベは私の人生にとって特別な奴なんだ。彼は私のハートなんだよ。まるで家族の一員を失ったみたいだ」と。(Laura Bult, Former caretaker mourns death of Harambe, gorilla killed after toddler fell into his cage, family thanks Cincinnati Zoo for quick action, New York Daily News, May 29, 2016) 日本のテレビ報道では触れられていなかったが、今回の事件で我々には考えさせられる点がいくつかある。時代が変化したのだから仕方のないことかもしれぬが、トンデモない家庭が激増しているから、様々な娯楽施設やイベント会場で予想外の行動をする人間が出てくるということだ。まともな家庭の子供なら、ゴリラと遊びたいと言い出して、がむしゃらに柵を乗り越えたりしないだろう。事実、この動物園は今まで平穏に運営されていたのだから、常識を守って見物する客が大半だったはずだ。それなのに、下層の黒人家族が来園し、悲惨な事件が起きてしまった。動物園側は、まさか三歳の子供がいきなり柵をよじ登って囲いの中に落ちるなんて、夢にも思っていなかったのだ。

  犯罪者の親だから、子供の躾が甘かったのは当然であるが、民間企業にとって恐ろしいのは、こうした非常識家族がどんどんやって来ることである。例えば、食堂や百貨店、遊園地などの経営者からしてみれば、奇抜な行動を取る劣悪家庭の子供は脅威だ。エスカレーターやエレベーターだけではなく、店内のあらゆる場所や器具で怪我をしたり死亡したりするかも知れない。親の言うことを聞かない子供だと、「 どうして、そんなことをするんだ?」と驚くような行動を取るし、下劣な親だと自分の落ち度を棚に上げて、施設の安全対策に難癖をつけてくることだってあるだろう。大型雑貨店やレストランの支店長を経験した日本人なら、ちょっとしたミスで“言い掛かり”や“クレーム”をつけてくる客に心当たりがあるんじゃないか。ヒステリーを起こす客が増えたことで、相手の神経を逆撫でせぬよう慎重な対応を計る店長や従業員の心労は、決して絶えることがない。関西でよく見かけるような朝鮮系の客に対処する従業員は大変である。彼らはヤクザまがいの“いちゃもん”をつけるし、周りの目を気にせずにドスを効かせた声で脅しまくるから、気の弱い日本人店員は心臓が縮んでしまうだろう。経団連のお偉方はアジア人移民を歓迎するが、柄の悪い朝鮮人が来店すれば、その「しわ寄せ」は現場で働く下っ端店員にくる。ヒラ社員は「どうして俺たちばかりが貧乏くじを引くんだ?」と不満を述べるし、もっと可哀想なのは、どうして下劣な客が増えだしたのか、その根本原因を知らない人達がいることである。

  常識外れの客が増えると、管理者は責任逃れを真っ先に考えるようになる。メイナード園長が即座に射殺を命令したのも、傷害事件が起きれば訴訟沙汰になることが目に見えていたからだ。敗訴となれば、巨額の賠償金を取られてしまう。それに、アメリカでは高額な賠償金を目当てに、被害者家族へ近寄ってくる弁護士がいるくらいだから、身ぐるみ剝がされる訴訟は何としても避けたい。したがって、いくら稀少動物であるとはいえ、ゴリラを宥(なだ)めて命を助けるより、さっさと殺す方が簡単だし安上がりである。たかり裁判で負ければ、動物園が閉鎖されることもあり得るから、動物愛護者が激昂してあれこれ文句を言おうが、メイナード園長の判断は正しかったと言えるだろう。日本の企業経営者も、日本的常識を弁えぬアジア人が増加することで、倒産寸前の事態に追い込まれることだってあるのだ。特に、奇想天外な思考を持つ支那人の家庭が増えたりすると、「まさか !そんな ! アホな ! あり得ない!」、という事件が起きるから、「いつかは自分の身に降りかかる」と覚悟すべきである。

日本人なら簡単に騙せると思ったユダヤ人

  日本人は日本語を喋る西歐人を好み、彼らを歓迎してもてなす。西歐文化に興味があるなら、我々が英語やフランス語、ドイツ語、イタリア語などを習得すればいいのだが、それは大変なので日本語を喋ってくれる外人かいると嬉しい。しかも、反日的ではなく日本に好意的な態度を取る西歐人なら、異存は無いし積極的に交流したいと望んでしまう。例えば、弁護士のケント・ギルバートや英会話講師のジェフ・バーグランドなら問題ないし、ドナルド・キーン教授は日本の古典文学に詳しいから、日本人の方でも進んでキーン先生の話を聴きたくなる。また、日本人の行動様式に理解のある「アシスト」社のビル・トッテン社長、元フォーブス記者のベンジャミン・フルフォード氏みたいな人物なら日本に帰化しても異論は無い。関東の日本人からするとちょっと物珍しいけど、方言を喋る外国人も好ましい。例えば、プロレスのファンで大阪弁を話すイーデス・ハンソンや、山形弁を喋るダニエル・カールが庶民の生活や日本の伝統文化を語り、その魅力を宣伝してくれるのは嬉しい。ハンソン氏は宣教師の娘で、生まれもインドだから、東洋の文化に抵抗がなかったのだろう。昔は、英会話の番組で竹村健一と共演し、二人とも関西弁で会話していたから観ていて愉快だった。そういえば、竹村氏のアシスタントをしていた小池百合子が関西弁を話していたのかどうかは知らないけれど、「ビジネス・サテライト」みたいな番組だと、東京の言葉になってしまうのだろう。(関東のテレビ番組だと、兵庫の言葉はマズいのかなぁ。)

  それよりも不思議なことは、千昌夫と暮らしていた元夫人のジョーン・シェパード(Joan Shephard)氏は、東北弁を話していなかったことだ。もしかしたら、山の手ことばの方が良いと思っていたのかもしれないし、日本語を教えた先生が東京人であったのかも知れない。京都出身の先生なら、京ことばを教えたはずだ。ちなみに、シェパード氏は熱心な共和党支持者で、いかにもお嬢さん育ちのアメリカ婦人である。彼女は1986年に「海外共和党日本支部(Republican Abroad Japan)」に加盟し、同支部の副会長になっていたし、「国際共和党組織(Republican Abroad International)」の副会長にもなった事があるそうだ。たぶん、彼女は在日アメリカ人の在外投票などを推進し、共和党の票を伸ばそうとしていたのだろう。芸能活動するようなアメリカ人だと、民衆党支持者とか左翼思考の人物が多いが、シェパード氏が保守的な共和党員であったとは珍しい。テレ朝の『新婚さんいらっしゃい』で司会を務めていた印象からすると、ちょっと以外だが、結構政治に興味があったらしい。 

  日本語を習得する外国人と言えば、まず筆頭にユダヤ人を思いつく。歐米人にとって日本語は難解で、書き言葉になると三つの表記法(漢字、カタカナ、平仮名)がある上に、文部省漢字や現代・歴史的假名遣い、古語、に加え、漢籍の知識まで必要になるんだから、普通の西歐人が敬遠するのはもっともだ。CIAでも日本語とアラビア語を学ぶ白人局員はごく稀だという。そんな日本語を敢えて学ぼうとするんだから、ユダヤ人は好奇心旺盛というか、苦難をものともせぬ精神の持ち主と言える。昔から、異国に住みつく習慣を持っていたから、外国語の習得は苦にならないのだろう。浩瀚なタルムードやミシュナの研究を念頭に置けば、日本語の習得くらい造作もないことに思えてくる。そう言えば、キーン教授などを除けば日本学を専攻する知識人にはユダヤ人が多い。例えば、『源氏物語』の翻訳で有名な英国人のアーサー・ウェイリー(Arthur David Waley)は、本当の姓を「シュロス(Schloss)」と言い、良き日本の理解者である。第二次大戦中、米軍の心理戦に係わったハーバート・パッシン(Herbert Passin)は、コロンビア大学教授となって日本学を研究し、ヘブライ大学のベン・アミー・シロニー教授も日本学を専攻し、皇室を研究する学者になっていた。彼はその学問的功績を認められ、日本政府から勲章をもらっている。

  あまりユダヤ人とは知られていない有名人に、マーシャ・クラッカワー(Marsha Krakower)やジュリー・ドレフュス(Julie Dreyfus)がいる。クラッカワー氏はNHKの英語講座で講師を務めていたし、聖心女子大学で教授になっていたから、かつて高校生や大学生だった日本人で覚えている方も多いんじゃないか。ジュリー・ドレフュス氏はNHK「フランス語講座」の講師というより、映画『キル・ビルVol.1』や『イングローリアス・バスターズ』に出演した女優と紹介した方が分かりやすいだろう。ドレフュス氏は日本人のルーム・メイトを持っていたし、才能豊かなユダヤ系フランス人女性だから、短期間でも日本語を習得できたのかも知れない。一方、彼女たちとは正反対なのが、GHQに務めていた極左ユダヤ人のベアテ・シロタ・ゴードン(Beate Sirota Gordon)である。現在のマッカーサー憲法の第二十四条で、「婚姻は、両性の合意にのみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とあるのは、ベアテの草案が基になっているのだ。このベアテはロシアから流れ着いて日本に親子で住みつき、戦争中に米国籍をとってアメリカ人になったという、典型的な根無し草タイプのユダヤ人である。彼女の上司は、これまた同じく極左ユダヤ人のチャールズ・ケーディス(Charles Kades)であった。占領軍研究者のみならず、一般人にもよく知られているケーディス中佐は、実戦経験のある軍人ではなく、弁護士上がりの事務型士官で、日本の戦後体制を形成する上で大変有害な人物であったことは間違いない。ニューディール政策の熱心な支持者だったケーディスは、日本の社会主義化を望み、赤嫌いの吉田茂を疎ましく思っていたようだ。このFDR大好きのユダヤ人が、日本の将来のためと考えて推薦したのは、何と社会党の片山哲であった。「クズ哲」が理想的総理大臣なんだって。馬鹿らしい。(ケーディスとベアテについて説明すると長くなるので、別の機会に述べる。)

  こうしてみると、日本にやって来るユダヤ人には、善良なタイプと有害なタイプがいるので、注意して接触せねばならない。表面上、デーブ・スペクターは日本語を流暢に喋り、日本のポップ・カルチャーにも詳しいから、何も知らない一般人は彼に好意を抱く。しかし、このユダヤ人には別の顔があって、日本のマンガやドラマに興味を示すが、日本の歴史や政治に対して憎しみの炎を燃やしいるのだ。例えば、彼は「南京大虐殺」があったと考えていて、日本兵が支那大陸で多くの民間人を虐殺したと信じていた。南京問題を取り上げた『たかじんのそこまで言って委員会』に出演した時、「虐殺信奉派」として発言していたのだ。スペクターは何の信仰も持っていないと公言していたから、来世や霊的な事柄に関心が無いのは分かるが、日本の総理大臣が靖國神社に参拝することについて、同番組内で反対論を展開していた。安倍首相が靖國を参拝すると、支那や南鮮を刺戟することになり、両国関係が険悪化するから辞退すべきだ、という主旨である。だいたい、支那人や朝鮮人が騒ぐからといって、英霊が眠る神社に参拝しないなら、日本は実質的に両国の冊封国であることを意味し、日本国民は支那や朝鮮の歴史観で自国の過去を見ることになる。デーブは日本の国益を考えているような振りをしていたが、実際はナチ・ドイツと組んだ大日本帝國を許せないだけだ。これはユダヤ人のヘンリー・キッシンジャーが日本を心底憎んでいるのと似ている。アメリカの国益や価値観と相容れない共産支那でも、日本と敵対する毛沢東や周恩来の方がよっぽど好ましく、兇暴な日本を封じ込めることができるなら、人民解放軍の存在は「魔法の蓋」となるのだろう。日本のマンガやアニメを褒め、日本人の妻を娶ってるスペクター氏だが、心の底では日本を残虐で野蛮な暴力国家と見なしている。ユダヤ人というのは恨みで凝り固まった民族だ。彼らを眺めていると、執念深い支那人や朝鮮人と瓜二つであることが判る。

  こうした無意識的な憎しみを宿すスペクター氏は、日本人の思考や言語にまでイチャモンをつけていた。例えば、かなり昔だが、テレ朝の『朝まで生テレビ』に出演した時、彼は日本人を女性蔑視の国民と決めつけ、その理由として挙げていたのは、「娘を嫁にくれてやる」という表現であり、日本人男性は女性を「物」扱いにしているんだ、と非難していた。確かに、日本人は「嫁にもらう」と言うが、それは結婚した女性をその実家から自分の家族に迎え入れるという意味で、支那人や朝鮮人のように妻を「レンタル子宮」と考えているからではない。支那や朝鮮で「夫婦別姓」なのは、結婚しても妻を「よそ者」と考えているからで、事によったら夫の財産や地位を狙う簒奪者と危惧しているからだ。一方、日本の「妻」は夫の家の一員となる。例えば、天璋院篤姫(てんしょういんあつひめ)は島津家から德川家に嫁いできたが、薩長側が德川慶喜(けいき)を切腹させようとした時、その助命嘆願を薩摩側にしたくらい、德川家の一員になっていた。もし、天璋院が支那人の姫で、紫禁城に送られた工作員なら、満洲族滅亡を喜んで画策したことだろう。もちろん、溥儀を助けるような真似はしない。逆に、西太后の墓を暴いて、金銀財宝を盗むんじゃないか。そう言えば、蔣介石と結婚した宋美齢は、西太后の宝石を靴の装飾品にしていた。泥棒しても恥じないんだから、支那人の女は心臓の造りが我々とは違うのだ。

  日本人は日本語が得意なアメリカ人に会うと、その人にアメリカ政治や歴史について質問をし、彼の答えに納得してしまうことがある。しかし、そのアメリカ人がどんな学校で如何なる教育を受けたのか、また、どのような家庭で育ち、どんな思想を持っている人物なのかを詮索しないから迂闊である。考えてみれば日本人だって、みんなが永田町や霞ヶ関の動きについて精通している訳じゃないし、明治や江戸時代についても詳しく知っているとは言えまい。また、ペラペラと日本語を話すからといって、言葉の由来や慣用句について正確な知識を持っている訳じゃないだろう。それと同じで、英語を流暢に話すからといって、スペクター氏が英語の語源に詳しい訳じゃない。英単語の「妻(wife)」は古英語の「wif」から由来し、古フリージア語で「vif」と言い、ドイツ語だと「Weib」である。昔だと「ワイフ」と言えば、「妻」のほかに「婦人」や「女性一般」を指すこともあったようだ。そして、「ワイフ」は「包まれた者」とか「ヴェールを被った者」という意味があり、一種の「物」扱いにされていたのである。これは政略結婚を思い浮かべれば容易に判ることで、古代じゃなくても中世もしくは近世までのヨーロッパだと、ある貴族が他の貴族へ娘を嫁がせ、和議や同盟を結んだりしたものだ。その結婚式では花嫁は豪華なヴェールに包まれた婦人となり、家財道具や持参金、女中、側近の者と共に相手方に嫁いでいた。古代ゲルマン社会でも、女は男に従属する存在だったから、「ワイフ」は「ヴェールで包まれた花嫁」で、ある種「もらったり、くれてやったり」する道具となっていたのだろう。したがって、日本人だけが女性を「物扱い」にしていたのではなく、西ゲルマン語圏のヨーロッパ人も女性を一種の所有物と見なしていたのだ。

  筆者はたまたま『朝まで生テレビ』を観ていたので、スペクター氏が日本語にケチをつけたのを聞いて、「あ~ぁ、間抜け外人がまたいい加減な事を言ってやがる」と思ったものだ。彼は日本語の表現や発想を「けしからん」と批判していたが、「ワイフ」という英単語に秘められた語源にまでは知識が無かった。まぁ、ロシアから流れて来たユダヤ人がシカゴに住んだからといって、西歐系知識人になる訳でもないし、ゲルマン語の世界観を身につける訳でもない。ユダヤ人は「イディシュ語」で充分だ。それにしても、こんなユダヤ人藝人なんてどうでもいいが、番組に出演していたコメンテーターで、誰もデーブに反論できなかったとは情けない。でも、テレ朝のディレクターが集める評論家や学者だから、無知蒙昧やイカサマ師であっても不思議ではないし、札付きの左翼番組だから、“わざと”馬鹿や左翼知識人を招いたのだろう。したがって、いちいち腹を立てても無駄である。

ユダヤ人ネットワーク

  日本の一般人は面白がって、デイブ・スペクターは妙に日本語が上手くて情報通だから、日本に派遣されたCIAのエージェントじゃないのか、と疑ったりする。これは映画俳優のスティーブン・シガールにも掛けられた冗談半分の容疑で、日本語が得意なユダヤ系アメリカ人で、彼が制作する映画でもCIA局員を演じたりするから、ちょっとからかってみたくなるのだろう。ただ、ユダヤ人のCIA局員は本当に我が国に来ていた。CIAの初代東京支局長を務めたポール・C・ブルム(Paul Charles Blum)である。陸軍の縄張り意識が強かったせいか、マッカーサー元帥は日本に於いてCIAの活動を認めなかったけれど、CIAは構わず日本語が上手なブルムを派遣したそうだ。元戦略情報局(OSS)出身のブルムは当時、国務省勤めの大使館員(attaché)の肩書きをもち、東京渋谷の神山町に住んでいた。彼はコロンビア大学で日本語を学んでいた時、若き日本研究者のドナルド・キーン氏と出会っていたので、日本に着任してからもキーン氏と交際を続けていたそうだ。ブルムは朝日新聞論説主幹の笠信太郎や共同通信社の松方三郎、東大教授の東畑精一、左翼学者の蠟山政道らと定期的に座談会を設けるなど、多くの日本人と交流を深め、吉田茂首相とも私的に会うことが何度かあったという。ブルム邸は麻生邸の近くにあったから、吉田首相は歩いてブルムの家に通ったそうだ。吉田首相の娘である和子さん(麻生太郎の御母堂)が、麻生家に嫁いだから、彼女に会うため娘婿の家にちょくちょく立ち寄っていたのだろう。吉田首相はブルムと気が合ったのか、彼を大磯の別邸にも招いたそうだ。ブルムは美術コレクターとしても有名だが、彼の人脈は結構広く、吉田首相ばかりか元スイス駐在武官であった藤村義朗・海軍中佐や山本権兵衛の孫娘である山本美喜子とも親しかった。(ブルムについては長くなるので、ここで省略する。)

  デーブのユダヤ人的特徴と言ったら、語学の才能というより彼の人脈であろう。彼は日本のテレビ番組にちょくちょく出演し、ハリウッドの映画情報やゴシップ記事、アメリカ社会の仰天事件などを紹介しているが、彼は独占的な映像を日本のテレビ局に売りつけて儲けている。日本人の藝能評論家だと、海外の面白映像を入手できる人脈は無いし、そもそもこうした独占契約を結べる程の能力が無い。ユダヤ人が支配するハリウッドで情報を入手しようとすれば、いくら英語が得意な日本人であるよりも、同種族のユダヤ人であることの方が有利だ。ユダヤ人は意識的・無意識的に仲間を助け、同胞と取引をする習性があり、これは歴史的経緯からも明らかで、蜘蛛の巣よりも複雑で頑丈なネットワークが世界中に張り巡らされている。つまり、日本人はいくら優秀でも「アウトサイダー」と見なされ、「インサイダー」のユダヤ人にはかなわない。

  イスラエルの諜報機関員(モサド)が世界中で諜報活動をできるのは、各国でユダヤ人社会が形成され、都会はもちろんのこと辺鄙な場所でもユダヤ人がいたりするので、活動拠点を確保しやすいからである。しかも、一般人なのに見ず知らずのユダヤ人に意外と協力的で、現地に不慣れな情報員を手助けしてくれたりするのだ。例えば、パリやウィーンといったヨーロッパの都市で、極秘作戦を行うモサドの局員は、現地に溶け込んで暮らしている「サヤン」に協力を仰ぐ。「サヤン」とは日本で言うところの忍者の「草」みたいな存在で、隠密行動の協力者である。工作員が何処かのアパートメントやホテルに侵入する時、現場の下見や見取り図、合い鍵、必要な備品、足のつかないクルマなどを用意してくれるのだ。これは諜報活動の研究者の間では常識で、ユダヤ人の秘密活動が円滑に進むのも、国境を越えた民間人ネットワークがそのままイスラエルの財産となっているからだろう。それにひきかえ、日本の外務省から派遣される大使や駐在職員なんか、現地で独自の情報網を築くことなどできないし、逆に外国人諜報員から買収されてしまうのがオチだろう。内部情報だって筒抜けだし、裏切り者が至る所にいるから、外国の諜報局員は日本人の外交官なんて信じない。日本の大使館員の情報活動なんか、現地の新聞を読んだりテレビを観る程度。何せCNNが主要情報源なんだから、エリート外交官の実力なんて少年探偵団と変わらないのだ。

  ちょっと脱線したので続きは後編をどうぞ。



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