当てにならない経済評論家

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  毎度のことだけど、英国のEU離脱で日本のマスコミが騒いでる。英国に進出している日系企業のことを心配しているみたいだが、それは表向きの理由で、本当は「経済ショック」をネタにした視聴率稼ぎか、つまらない参院議員選挙の「穴埋め報道」なのかも知れない。ワイドショーやニュース番組は、御用学者や藝人を招いて英国のEU離脱批判しているけど、どうせスタッフが用意した脚本を喋っているだけだから、たいした分析でもないたろう。ギャラだけを気にする藝人はともかく、経済評論家や大学教授の経済予測なんて、どれだけ信用できるのか分かったもんじゃない。こうしたテレビ藝者は、離脱の結果が英国経済の成長を減速させたり、国際貿易を鈍化させると語っているが、実際にどうなるかは時が経たないと何とも言えないものである。しょせん、経済学は後の講釈だ。ヘーゲルも「ミネルヴァの梟は黄昏に飛翔する」と言っているじゃないか。無料放送を観ている一般国民は、こうしたご託を並べる知識人に耳を傾け、「へえぇ~、やっぱり偉い学者さんは言うことが違うねぇ~」と感心するが、寝転がって聞いた話を1年後あるいは2年3年後に検証するのか? 恐らく、あれやこれやで一週間も経てば、どんなニュースだったかすら忘れてしまうだろう。

  ちょっと考えてみれば、経済について語る知識人には怪しい奴が多い。よく元旦の新聞では、民間研究所のアナリストや大学教授が、「今年の世界と日本の経済を予測する」とかいう特集に登場し、「必見 ! 為替レートはこうなる !」あるいは「株価の動向を大胆予測 !」なんて述べている。しかも、たいていの学者は、「今年は世界で政治的混乱が起こり、激動の年となるでしょう」とか「日米関係がぎくしゃくし、波乱含みの一年になるでしょう」と語るが、いつだって大事件が起きるじゃないか。新宿の占い師やペテン師だって、来店するお客に「あなたの未来は不吉な影に包まれています」と告げながら、新たな不安を掻き立てるだろう。すると、こう告げられたお客は「あっ、やっぱり !」と驚く。そこで、予言者は適当な対処法や慰めの言葉を述べて料金を取る。ちゃっかり者の評論家や占い師は、悩みを抱えたお客様の心理を汲んで、依頼者が聞きたいことをそれとなく語っているだけ。そもそも、楽天家は他人のお告げを聞きに来ない。

  経済評論家という稼業なら、悲観的予測を述べておく方が得策だ。後々面倒なことにならない。好景気が訪れれば、「皆さん、私の予測が外れて良かったですね」と言えるからだ。もし、不景気になれば「ほら、私の言った通りでしょ」と自慢できる。だいたい、経済予測を訊かれて「今年は平穏無事になるかもね」と呑気なことを言う評論家がいるのか? たとえ予測がつかなくても、深刻な顔をして辛口の意見を述べておけば、甘いお給料がもらえるんだから。経済予測なんて「当たるも八卦、当たらぬも八卦」で、言語明瞭、意味不明が極意。「正直言って分からないなぁ」と口にする馬鹿は居るまい。もし、実際の経済状況を具体的に予測できるなら、経済評論家や大学教授なんかやってないで、為替相場や株式市場に乗り込み、有り金を全部はたいて大儲けすればいいじゃないか。それをしないのは自信が無いからだろう。他人のお金ならいいけど、自分のお金じゃ失うのが怖い。

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(左: 森永卓郎 / 金子勝 / 寺島実郎 / 右: 長谷川慶太郎)

  一般人は経済学者の意見など聞き流して忘れるのが常。依頼を受けた調査官でもあるまいし、過去の記事を保存して、年末に元旦の意見を総括したり、各学者の予測が合っていたかどうかを検証するなんてことはしない。興味半分で記事を読む一般人は、偉そうな説教を垂れる学者に、「アンタの予測は外れていたぞ」と批判しないし、それどころか、また翌年も同じ学者の経済予測を聞いて、「へぇ~、そうなのか。大変だなぁ」と頷(うなづ)いてしまうのがオチだ。テレビによく出ている森永卓郎などは、オモチャ・コレクションの評論だけをしていればいいし、TBSが贔屓にしている金子勝や寺島実郎の意見など、真剣に聞いているのは早起きの隠居老人くらいだろう。的確な経済予測はプロでも難しく、ちょっとはマシな経済評論家でも、時には予測を間違えることがある。昔、経済アナリストの長谷川慶太郎は、信頼できる日本経済の分析を行っていたが、その長谷川氏でも1990年代に「北朝鮮はまもなく崩壊する」とか、冷戦終結を以て支那共産党が倒れる、と予測していたのだ。こうした予言に対し、筆者は懐疑的であった。なぜなら、北朝鮮は支那の子飼いだし、その支那は核兵器を持つ軍事大国だから、容易に倒れるとは思えない。それに、北鮮というトラブル・メーカーを保存すれば、国際会議で北京政府の発言力が増すからだ。支那の政治家は北鮮に手を焼く日本人を見透かして、「オレが何とかしてやってもいいんだが。しかし、無料(タダ)じゃやらねぇぞ」と囁く。すると、日本人は藁にも縋る思いで「どうかお願いします」と頭を下げてお金を差し出す。でも、支那人と朝鮮人は裏で組んでいるから、「ニホンじん間抜けアルヨ !」と笑っているのだ。とにかく、支那は永遠に支那のままである。この暗黒大陸でデモクラシー革命が起こる可能性は低く、弾圧に屈しても恥じない庶民がいるだけだ。支那問題に詳しい宮崎正弘も、支那人の政治腐敗や経済政策の失敗を挙げては、共産支那の崩壊をちょくちょく宣伝し、それをネタにして本を書いていた。北京オリンピックや上海万博が終わると支那の崩壊が始まるんじゃないか、と臭わせていたのは記憶に新しい。宮崎氏は正直に反省すべきである。もちろん、断定をしたわけではないので、明らかな誤りではないが、北京政府の土台が揺るぐだろう、と予想していたんだから、「期待外れ」と評しても良かろう。

Miyazaki Masahiro 2(左/宮崎正弘)

  確かに、宮崎氏が警告するような政治・経済の危機は支那にある。だが、たとえ北京政府の幹部が権力を維持できなくても、人民解放軍の高級将校が共倒れになるとは思えないし、仮にそうなっても、どうせ別のマフィア(軍閥/匪賊)が力をつけて天下を狙うようになるから、支那大陸は永久に独裁体制のままである。アジア大陸の国家はいくら近代化が進もうとも、本質的に古代生物が住みつく暗黒領域だから、如何なることがあっても本質的に変わりようがない。例えば、ロシアでは共産主義のソ連が崩壊し、西歐的デモクラシーの仮面を取り繕ったが、結局プーチンという新たな皇帝の登場で、伝統的な専制君主政に戻ってしまった。要するに、モンゴル帝國の後継者は常に独裁国家ということである。共産支那も鄧小平という新たな皇帝が誕生し、「社会主義市場経済」という奇抜な制度で覇権国となった。この老獪な国家主席は、支那人が本来持っているギャンブル精神を鼓舞することに努め、国家自体を巨大な賭博場に仕上げた。株式市場はまさしく国営カジノ。支那人が持つ金銭(ゼニ)への執着心には、プロテスタントの精神を研究したマックス・ウェバーも舌を巻くほどの勢いがある。

George Osbourne 1(左/ジョージ・オズボーン)

  英国のEU離脱を受けて、テレビ局は「さあ、大変だ。英国経済の混乱と景気後退が起こるぞ」と大はしゃぎ。しかし、テレビ藝人たちは「皆の衆、ていへんだ!」と騒いでいるが、具体的に言えば、どんな風に「大変」なのか?評論家の中には、離脱の結果を以て、英国のGDPが3.6%減少し、失業率が82万人くらい増え、ポンドが15%ほど下落するかも知れぬ、と心配する者がいた。また、幾人かの経済学者によれば、離脱手続きが済む2年後には、経済成長率が0.8%のマイナスとなって、ブリテン全体のGDPが5.6%も減少するらしい。英国の財政研究所(Institute for Fiscal Studies)によると、GDPの縮小と余計な対外債務のせいで、2020年までに政府の財政に200億から400億ポンドの穴が開くそうだ。(Phillip Inman, IFS warns Brexit would extend austerity for two more years, The Guardian, 25 May 2016) 英国財務省は離脱効果で一般家庭の暮らし向きは悪くなり、2030年までには一世帯当たり2,300ポンドも損をするだろうと予想している。ジョージ・オズボーン財務大臣は、離脱行為が景気の減速を招き、二年後にはGDPが3.6%くらい低下するだろうと警告していた。まぁ、キャメロン政権は「EUへの残留」を訴えかけていたから、首相に追随する閣僚や政府筋の研究機関が「離脱をすれば不景気になるぞ」と脅かしたのも無理はない。しかも、「在留派」のパトロンには、グローバリストである大企業や金融業界が潜んでいるし、「反離脱キャンペーン」を張る団体の背後にも、得体の知れない外国人の影がちらついているのだ。そもそも、EUからの離脱を思い留まれば、今まで通りの経済活動を続けられるんだから、何も新たに厄介事を抱え込む必要はあるまい。「残留派」にとっては、東歐からの移民より、目先の銭の方が大切なのだ。たとえ英国が黒人国家になっても、お金を持っていれば好きなところに逃避できるじゃないか。豪華なクルーザーでヴァカンスを楽しむ上流階級には、有色人種の隣人とか下働きの友人なんか居ないし、もし居るとすれば庭職人か便所掃除の女中くらいである。当り前の事だけど、英国経済の頂上に君臨するグローバリストにとったら、イギリス人労働者など、巨大な経済機構に組み込まれた小さな部品に過ぎない。移民について下界でギャアギャア騒いでいる低所得者を見ると、英語を喋るうるさい家畜としか思えないのである。

  日本のテレビ番組に登場する御用学者は、深刻な顔をして英国経済の先行きを心配しているが、EUから離脱することで一体どんな結末が現れるというのか? 一般国民からすれば、具体的にその悲惨な将来を示してもらいたい。ワイドショーなどによれば、EUからの離脱で英国はEUの単一市場から排除され、非EU加盟国に課される関税という壁にぶち当たり、輸出品の販売が難しくなるらしい。では、一体イギリス人は何を輸出しているのか? 具体的に言えば、1位が機械やエンジンの類いで、約639億USドル(約7兆290億円/1ドル110円)の輸出額を誇り、全輸出品の13.9%を占める。2位が宝石類となっており、輸出額は約530億ドル(約5兆8300億円)で全体の11.5%を占め、3位は自動車、4位は医薬化学品、5位は石油となっている。稼ぎが大きい輸出品の筆頭は自動車で、その額は約387億6千万ドル(約4兆2千636億円)になっているそうだ。(Daniel Workman, Highest Value UK Export Products, World' sTop Exports, June 16, 2016) 二番目の輸出品は加工されていないゴールドで、輸出額は約384億ドル。三番目が医薬品で約241億ドル、以下、ターボジェット機、原油、航空機の部品、石油製品、ウィスキーなどのアルコール類、次いで自動車部品となっている。英国の主要な輸出先はやはりEUで、全体の5割弱になっているそうだ。ドイツへの輸出額は308億ポンドで、日本円に換算すると5兆5440億円(1ポンド180円で計算)くらい。対フランスへの輸出額は約225億ポンド(約4兆500億円)で、対ネーデルラントだと約241億ポンド(約4兆3380億円)になる。EU以外だと、スイスに約455億ポンド、米国には約400億ポンド相当の輸出をしているそうだ。

  英国は経常収支が赤字の国で、製造業より金融業で食っている。輸出より輸入に頼っているから、EU諸国にとって英国はお得意様だ。英国が輸入している第1位の商品は自動車で、167億ポンドの輸入額となっている。第2位は石油製品で184億ポンド、三位は工業製品で99億ポンド、以下、家電製品、医療・医薬品、発電設備やその部品と続いているそうだ。EU諸国の中で一番多く英国に輸出してるのがドイツで、560億ポンド(約10兆800億円)、次がネーデルラントで340億ポンド(約6兆1200億円)、三位がフランスで248億ポンド(約4兆4640億円)であるという。一般人は国際貿易に詳しくないから、ベルギーやイタリアとの貿易について分からないが、工業大国のドイツが英国に多くの商品を輸出しているのは誰でも理解できる。暗に「残留派」を応援している巷(ちまた)の評論家は、英国の離脱でイギリス国民が困るだろう、と予測しているが、BMW社やダイムラー社、フォルクス・ワーゲン社などの大手企業は、得意先の英国と揉めたくないから、何とかして良好な経済関係を結ぼうと必死になるだろう。したがって、EU企業の何社かは自国政府やEUの行政組織に働きかけ、穏便な貿易関係を結べるよう画策するだろうし、英国だってそれに協力するはずだ。それに、両国間の貿易に於いてイギリス人が得意客になっているということは、英国側に有利な立場があるということで、ブリテン政府は自分にとって都合のいい条件を引き出せる切り札を持っていることになる。「お客様は神様です」というのは日本の常識だが、ドイツやフランスの商人にとっても、この言葉は真理である。何と言っても、ブリテンのお客様に自社製品を“買っていただく”訳だから、お客様の御機嫌を損なわないよう配慮する一方で、ブリュッセルでふんぞり返っている役人を蹴飛ばし、商売繁盛に繋がる貿易ルールの改訂を作ってしまうだろう。政治家だってこうした動きには機敏だから、袖の下を貰えば事後承認でOKだ。ちなみに、EU以外で英国に最大の輸出を行っているのは支那であり、316億ポンドも輸出しているらしい。肝心の日本はちょっと疎遠で、74億ポンドの輸出額であるそうだ。

  ブリテン政府が取るべき方策を巡っては、各経済評論家が喧々諤諤(けんけんがくがく)の論議を展開しているから、ここでは彼らの議論に加わらない。どうせ、未来予測だから1年先だってどうなるか分からないし、3年先とか10年先の経済予測なんか誰も保障できないじゃないか。学者は細かい数字を互いに投げつけて、「オレの方がオマエより詳しいぞ」と自慢するのがオチだろう。そもそも、10年後に「先生の予測はハズれてましたよね」と責任を追及する一般人なんているのか? マスコミ御用達の経済学者なんか支那人と同じで、「あの時はあの時。今は今」と言い放って門前払いをするんだから、真剣に耳を傾けている方が馬鹿らしい。それよりも、英国がEU離脱をした後に取るべき方針を考えた方がいい。一つの可能性としては、アイスランドやノルウェーのように歐洲経済領域(EEA)を作って自由貿易を行うが、問題を引き起こす移民の動きだけは除外する、といった方策を取るかも知れない。あるいは、二国間で自由貿易協定(FTA)を結んでしまえばいい。EU加盟国という「縛り」が無くなれば、アメリカやカナダと経済條約を締結することができるから、英国はEUと北米を秤に掛けてルールを構築できる。しかも、英国は20億人近い人口を擁するブリテン連邦の盟主だから、EU諸国以外にも多くの消費者を狙うことが出来るはずだ。

  日本の世間は英国のEU離脱であたふたしているが、ビジネスとは畢竟「お金にまつわる取引」だから、当事者同士が交渉し、適当な所で妥協するはずだ。EU諸国と英国が経済的に絶縁するとは考えにくい。たとえ、両国間で険悪な雰囲気が漂っても、必ず法の網をかいくぐって商売をする奴が出てくる。常に利益を求める国際商人は、EUの役人が頑固なら政治家の尻を叩いて規則を変えるし、裏の手を使ってでも利益の拡大を図るだろう。テレビ局のお雇い評論家は、外国からの資金が英国から離れ、パリかフランクフルトに逃避するだろう、と予測するが、「本当にそうなるのか?」と疑いたくなる。確かに、ロンドンの「ザ・シティー」から幾つかの金融機関が撤退し、ヨーロッパのどこかに拠点を移すだろう。しかし、残留する企業や個人もいるはずで、彼らは引き続き英国で金融活動を続け、新たな利益を稼ぎ出すかも知れない。今回の離脱騒動でシティーの金融街が寂れて閑古鳥が鳴き、イングランドの金融ネットワークが衰退したり崩壊したりするのか? 意外なことに、経済学者の多くは、伝統ある「ザ・シティー」の衰退を明言していないのだ。たぶん、本音ではシティーの没落を信じていないのだろう。数年も経てば、再び外国からの資金が戻ってくるかも知れない。法的混乱のせいで一時的にロンドン市場が縮小するかも知れないが、長期的に見たらどうなるのか今のところ不確かである。考えてみれば、EUに加盟していないスイスだって金融の拠点だし、色々なスキャンダルがあっても世界各国の資金を集めている。それなら、経済的にも軍事的にも一定の力を有する英国が、二流国に転落して支那の属国みたいになることはないだろう。

異人種が激増する英国社会

  今回のEU離脱騒動は、貿易摩擦ではなく英国に流入する移民や難民が問題であった。アフリカや中東アジアからの移民を扱うことでも手一杯なのに、そこへもってきて東歐諸国からの外国人労働者が加わったのだから堪らない。EUが創設される1993年以前なら、英国に入ってくる移民の数は年間10万人未満だった。 ところが、1993年から2014年にかけて、英国に於ける外国生まれの人口は、380万人から830万人へと増加したのである。また、この期間において、外国籍の人数は200万から500万人へと劇的に増えた。(Zack Beauchamp, Brexit isn't economic s. It's about xenophobia, Vox, June 24, 2016) しかも、EU拡大に伴って東歐諸国まで加盟国となったから、豊かな英国を目指して外国人労働者が大挙して押し寄せてきたのである。ポーランド人やブルガリア人、ルーマニア人などは白人といっても二級品で、素性の怪しい未熟練労働者が多いから、企業経営者にとっては便利な家畜でも、イングランドの庶民にとったら迷惑な住人以外の何物でもない。既にインド人やパキスタン人、アラブ系イスラム教徒で溢れるロンドンに、東歐からの下層民が加わり、そこから更にイングランド各地に散らばって行くんだから、地方のイギリス人は眉を顰めるどころか、顔全体が痙攣で引きつってしまうのだ。こうした一般国民の悲鳴を聞きつけて、デイヴィッド・キャメロン首相は、流入してくる移民の数を10万人以下に抑えると約束した。しかし、この公約はどうなったのか? 誰にでも予想がつくだろう。毎度お馴染みの公約破り。そもそも、最初から守れるはずもない空手形であった。英国に住みつく外国人の数は減少するどころか、逆に増加して最高値になっていたのだ。これじゃあ目も当てられない。2015年の統計によれば、純移民数は約33万人になっていたという。(Net Migration to UK hits new record high, Sky News, 27 August 2015)

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(左: 英国に住むイスラム教徒 / 右: 英国の陸上選手)

  英国を訪れた日本人なら驚くだろうが、ロンドンのような都市を歩けば有色人種ばかりに出逢うし、白人かと思えば奇妙な発音で英語を話す東歐出身者だったりする。ブリテン王国にはポーランド人やルーマニア人の労働者ばかりではなく、非EU出身者も大量に存在し、その数は年々増え続け、恐ろしいことに全部で322万人くらい居るそうだ。(Phillip Inman, Number of Eu workers in Britain remains above 2m, The Guardian, 17 February 2016) 外国人労働者が入ってくれば、彼らを低賃金でこき使おうとする企業は嬉しいが、「よそ者」を養う破目になったブリテン国民は腹の虫が治まらない。馬や牛と違って人間の場合、本人は元より扶養家族の医療福祉まで必要となる。しかし、雇い主の企業はそうした余計な負担を払いたくない。私生活まで面倒を見る事になれば、せっかく安く使える労働者が却って高くつくからだ。ということで、経営者はその厄介事を政府に押しつけ、困った政治家はその費用を国民から巻き上げる。無力な国民は重税に苦しむが、どうすることも出来ないから憐れだ。更に不幸が訪れるのは明らかで、彼らの自宅付近は治安が悪くなって安心感が失われ、さらに地価が下がるんだから、まったくもって泣きっ面に蜂である。思い切って引っ越しをしようとしても、自宅の販売価格が下落しているから、移住する費用が捻出できない。じゃあ、警備会社と契約するしかないのか? いや、毎月の支払いが大変だから、いずれ家計を圧迫することになる。結局、どっちに転んでも頭が痛い。だから、イングランド王国の庶民は、「何でオレたちばかりが割を食うんだ?」と不満が募る。

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(左: かつて多かったイギリス人の子供 / 右: 新しく増えたイギリス人の子供)

  翻って、自分の子供が通う小学校や中学校を眺めれば、とてもイギリス人とは思えぬ黒人や茶色の子供で教室はいっぱいだ。外見ばかりでなく宗教だって違っており、ユダヤ教、イスラム教、ヒンドゥー教、あるいは新興宗教と十人十色。イギリス人が税金で設立した公立学校なのに、まるで外国人が運営するインターナショナル・スクールみたい。そこではイギリス人を親とする白い肌の子供が、まるでお客様か部外者のように浮いた存在となり、英語が「第二外国語」のように話されている。アジア人やアフリカ人の子供は仲間同志で「母語」を喋り、先生からは外国語たる英語を「公用語」として習うが、その英語はへんちくりんな発音で話されている。皮肉なことに、ブリテン風アクセントで喋っている白い子供の方が外人のように見えてしまう。こうしたバイリンガルの学校では、イングランドの歴史が「外国史」の扱いで「国史」ではない。知らない王様が君臨する島国の過去など、パキスタンやトルコ、エジプト、シリアからの子供にとったら“どうでもいい”お伽噺で、アッラーを信ぜぬ不届き者の戯言(たわごと)である。イスラム教徒やユダヤ教徒が混じっている学校では、休日が日曜日であることすら問題となるから、クリスマスやイースター(復活祭)などを教師が祝ったら大問題だ。こう見て行くと、日本の小学校は実に呑気だ。誰もキリスト教徒が居ないのに、給食で「クリスマス・メニュー」があるなんてびっくり仰天。カレンダーもグレゴリオ暦を採用し、イエズス・キリストの誕生で紀元を数えている。現状が変化すれば、脳天気な日本人も事の重大さに気づくだろう。イスラム教徒の子供が増える学校では、いくら人気のある献立でも、トンカツ、酢豚、ベーコン入りシチューなどが宗教上の問題となる。たぶん、給食のメニューから無くなって行くだろう。もっとも、最近ではキムチが出る給食もあるそうだから、外国人におもねった献立が増えても不思議ではない。(昔の学校給食だと、教室の空気を臭くする朝鮮の漬け物が出ることはなかった。キムチのせいなのか、体質の問題なのか分からぬが、朝鮮人の口臭は強烈だ。)

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(左: ダイアナ妃 / ダイアナ妃を演じたナオミ・ワッツ / キャサリン妃 / 右: エミリー・ブラント)

  自分が住んでいる地域や学校で異人種の子供が増えるということは、やがて異人種間結婚も多くなるということで、アングロ・サクソンの血統が益々希薄となり、浅黒い混血児が増大するということだ。しかも、この不吉な傾向は外国人労働者と対峙する労働者階級で高く、外人を輸入した企業経営者やグローバリストの金融業者、リベラル派の白人政治家の間ではかなり低い。というのも、国際ビジネスで成功した富豪は、同等の者としか交流しないし、結婚相手はヨーロッパ系の裕福な女性か、若くて魅力的な白人美女が普通だからである。第一、子供の頃に通った学校をとってみても、上流階級の子弟が通う寄宿制のプレップ・スクールだったりするからだ。彼らは昼間ロンドンで働いていているが、仕事が終わって帰る先は郊外の豪邸か、緑豊かな田舎のカントリー・ハウスだったりする。通勤は黒塗りのリムジンで、庶民が使う地下鉄じゃないぞ。もともと英国は階級格差が著しいから、上流階級と労働者階級は収入面だけではなく、人種や容姿の点でも違っている。つまり、イングランドはブラジルみたいな人種的分離国家と思えばいい。簡単に言えば、上層の国民はダイアナ妃かキャサリン妃のようなアングロ系が多く、雑婚が多くなった中流階級でも、まだ女優のナオミ・ワッツかエミリー・ブラントみたいなイギリス人が結構残っているのだ。一方、労働者階級では何人か分からぬ混血人種が増え、「これってイギリス人?」と首を傾げたくなるような人物が主流になっている。

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(左: アナベラ・ルウィン / ニール・マッコイ / ナタリー・エマニュエル / 右: エイドリアン・レスター)

  かつて、ブリテン連合王国はアングロ・サクソン系の白人が主流であった。しかし、近年この島国には有色移民が大量に繁殖してしまい、在来国民の遺伝子プールの中に外来種の遺伝子が数多く混ざってしまった。茶色いブリテン人が目立つのはそのせいだ。俳優や歌手といった藝人を見てみれば、呑気な日本人にも分かるだろう。例えば、歌手のアナベルラ・ルウィン(Annabella Lwin)はビルマ人とイギリス人の両親を持っているし、カントリー歌手のニール・マッコイ(Neal McCoy)はアイリス人の父を持っているが、母親はフィリピン人だ。いま人気沸騰中のTVドラマ『ゲーム・オブ・スローン(Games of Throne)』に出演したナタリー・エマニュエル(Nathalie Emmanuel)は、セント・ルシア系イギリス人の父とドミニカ人の母から生まれた混血児で、映画『ワイルド・スピード(Furious 7)』にも出演した女優である。

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(左: デイヴィッド・ヘアウッド / K.K.ダウニング / トニー・アイオミ / 右: オジー・オズボーン)

  NHKでも放送された『華麗なるペテン師たち(Hustle)』で主役を務めたのは、バーミンガム出身の黒人男優エイドリアン・レスター(Adrian Lester)だ。ユダヤ人の宣伝ドラマ『ホームランド』に出演したこともあるデイヴィッド・ヘアウッド(David Harewood)も、バーミンガム出身の黒人男優である。ちょっと筆者の趣味になるけど、バーミンガムといった「ジューダス・プリースト」のK.K.ダウニングとイアン・ヒルの故郷だし、同地からは「ブラック・サバス」のトニー・アイオミとオジー・オズボーンが出ている。日本のブリティッシュ・ハードロック・ファンにとったら、とても馴染みのある地域だ。それなのに、今じゃ黒人が普通に暮らしているんだから、呆れるというか何とも嘆かわしい。

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(左: シエナ・ミラー / ケイト・ベッキンゼール / キーラ・ナイトレー / 右: トレヴァ・エティエンヌ)

  日本の映画ファンなら英国人女優といえば、『ハリー・ポッター』に出演したエマ・ワトソン(Emma Watson)や、『G.I.ジョー』と『007』シリーズに出演したシエナ・ミラー(Sienna Miller)、吸血鬼映画の『アンダーワールド』や『パールハーバー』に出演したケイト・ベッキンゼール(Kate Beckinsale)などを思い浮かべるだろう。日本でも大ヒットした映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』を引き合いに出せば、英国人女優のキーラ・ナイトレー(Keira Knightley)を思い出す人が多い。しかし、同じ英国出身の俳優だからといって、真っ先に黒人男優のトレヴァ・エティエンヌ(Treva Etienne)を思い出す日本人は、捜せばいるだろうが、まずもっていないだろう。米国と同じく英国でも異人種間結婚が増え、有名藝人でも珍しくはない。例えば、人気男優のヒューグラント(Hugh Grant)は支那人女性のティラン・ホンと結婚し、娘タビサ(支那名シャオ・ズィー)と息子フェリックスを授かっている。グラント氏が交際した女優のエリザベス・ハーレー(Elizabeth Hurley)なら、イギリス人女性のファンも納得できるが、よりにもよって支那人の女と結婚するんだから、二枚目俳優の頭は謎である。それにしても、随分と時代が変わったものだ。

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(左: エリザベス・ハーレーと交際中だったヒュー・グラント / 中央: ティラン・ホン / 右: エリザベス・ハーレー)

  多民族主義が猖獗を極める英国では、黒人男優が白人女性と結婚するケースも多い。映画『猿の惑星』や人気ドラマ『MI-5(Spooks)』に出演したデイヴィッド・オイェロオ(David Oyelowo)は、白人女優のジェシカ・ワトソンと結婚し、二人の息子をもうけた。アメリカのハリウッドと同じく、英国のTVドラマでも黒人俳優と白人女優を恋仲に設定する脚本が多い。劇中で白人女性が何の抵抗もなしに、“自然な”筋書きで黒人男性と恋仲となり、気軽にセックスをするシーンを観て、イギリス人女性は異人種との交際や結婚を異常な行為とは見なさなくなる。人気女優がアフリカ人やインド人とベッドに入っているんだから、黒人のボーイ・フレンドを持っても恥ずかしいとは思わない。10代の馬鹿娘だと、親の反対などお構いなし。黒い恋人を持つことは「クール(格好良い事)」なんだから。「愛は盲目」と言うじゃないか。ただし、頭が空っぽの娘たちは、異人種と結婚してから異民族社会へ転落したことを悟る。それでも分からない白人女性は、混血児を出産してから現実を理解するようになるだろう。自分の両親と似ていない子供を産めば、ちょっとは「何かおかしい」ことに気づくはずだ。リベラル派のテレビ局が作るドラマは恐ろしい。

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(左: デイヴィッド・オイェロオとジェシカ・ワトソン / 右: オイェロオの家族)

  異人種間結婚で有名なのは、美人モデルのヘレン・フラナガン(Helen Flanagan)で、彼女はサッカー選手のスコット・シンクレア(Scott Sinclair)と同棲関係を結び、マチルダという混血児の娘を出産した。新生児の誕生は誠に喜ばしいが、このような赤ん坊を見ると、イギリス国民はアングロ・サクソン系の遺伝子が無くなったと嘆く。彼らは祝福すべき赤ん坊の顔を見て「あっ !」と驚くが、それを表情に移さず、平常心を保ちながら、「まぁ、何て可愛らしいお嬢さんなんでしょう」と口にする。笑顔で本音を隠すことが出来るイギリス人は素晴らしい。さすがシェイクスピア劇の本場だけのことはある。とても日本人には真似の出来ない演技力だ。とにかく、劇的な英国社会の変質には事欠かない。例えば、英国で男の子の名前といったら、昔は「オリヴァー」とか「ウィリアム」「チャールズ」「エドワード」が一般的であった。しかし、最近では「ムハッマド」という名の男の子が増えているそうだ。日本人でも英国からの留学生を迎えたら、褐色の顔をした「ムハッマド」君とか「イブラヒム」君という場合も考えられる。米国ではオバマが大統領になったから、「フセイン」と呼ばれる国家元首がいるのだ。建国の父祖が全員死んでいて良かった。

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(左: スコット・シンクレア / 中央: ヘレン・フラナガン / 右: 彼らの娘マチルダ)

子供手当は手厚い

  それにしても、英国の日常生活では、本当に不愉快な場面が多くなっている。イギリス人の子供は英語もロクに喋れない異邦人と一緒にさせられ、憂鬱な学校生活を強いられている。一方、移民の子供は安全で快適な環境で成長し、祖国と比べれば遙かに教育水準の高い学校で学ぶことができるし、努力次第で進学もできて、卒業すれば就職や出世の見込みまである。彼らの親たちは更に幸福だ。例えば、ポーランド人など低能労働者多く、英国社会へ貢献しているというより、そこにぶら下がっていると評した方がいい。それなのに、彼らはイギリス人労働者と同じ子供手当を貰っているのだ。最近のことだけど、ポーランド政府は自国民の流失を食い止めるため、ひと月87ポンド(約1万5千660円)相当の子供手当を支給すると決めたそうだ。(Matt Dathan, Poland's £87 a-month child benefit could mean Britain has to pay out MORE to Polish workers under David Cameron's EU deal, Daly Mail, 10 February 2016) しかし、この福祉政策も、ポーランド国民の移住を引き留める解決策にはなっていなかった。それもそのはずで、肝心のポーランド自体に魅力が無いからだ。どうせ同じ補助金を貰うなら、憧れの英国で貰った方がいい。従来、英国の子供手当制度では、第一子に対して81.20ポンドが支払われ、第二子以下に対しては53.60ポンドが支払われてきた。これはポーランドの支給と比べたら、およそ四倍の額になるらしい。(Christopher Hope, £600,000 a week paid out in child benefit to parents overseas, The Telegraph, 4 October 2014)

  EU加盟国である英国は、自国民と外国人労働者を平等に扱わなくてはならないから、ポーランド人労働者にも同額の子供手当を渡さねばならない。しかし、両国で交換される労働者の数に不均衡があるのだ。外国で手当の対象となっている英国人の子供は3万4000名で、英国にいるポーランド人労働者の数は80万人にも上るから、その子供の数といったらイギリス人の比ではない。故郷に子供を残して英国で働くポーランド人は、貰った子供手当を送金するから、現地の物価や生活水準を考慮すれば、結構な金額となるだろう。ルーマニア人ともなれば、子供が1人とは限らず、2、3、4、5人の子持ち家庭が多いから、合計金額はさらに膨らんで行く。英国に亭主を送った女房は大金を手にして大喜びだ。一家で英国に住むポーランド人だって、複数の子供を持つ者が多いから、核家族のイギリス人より多くの補助金を貰っていることになる。英国では社会福祉が充実しているうえに、外国人でも格安の医療保険制度に加入できるから、貧乏国からやって来た移民は、いくら差別を受けても祖国に帰ろうとはしないのだ。こうした労働者を雇っている大企業の幹部や金融界の大富豪は、「EU残留」を支持しているが、イングランドの庶民と同じ生活をしている訳じゃないから、政府がどんな税金の使い方をしていようが知ったことではない。彼らは税金逃れの目的でタックス・ヘヴンを使っているし、政府が把握できない形で資産を保有しているから、平民のように重税感に喘ぐことはないのだ。それよりも、彼らは国境の壁を取り去って、地球規模でビジネスを展開したい。安い労働力があれば、「いつでも」「どこでも」「好きな場所」でこき使いたいが彼らのモットーだ。しかも、用済みになればポイッと政府に渡して後始末をさせるから質(たち)が悪い。一方、その費用を負担する庶民は不満が爆発して暴れたくなる。政治権力を持たない庶民は搾取される一方なのに、使い捨てにされた外人を押しつけられるんだから堪ったもんじゃない。これじぁ、どうしたって堪忍袋の尾が切れてしまうだろう。

「人権」は「国民の権利」ではない

  EU離脱を支持したブリテン国民にとって我慢がならないのは、移民や難民の道具となっている歐洲人権條約(European Convention on Human Rights)である。立憲君主政の代表格たる英国が、「差別や拷問をしてはならぬ」とか「信仰や表現の自由を保障しろ」、「個人のプライバシーを守り結婚を邪魔するな」、「子供に教育を与えるべし」なんて、他人から注意されるなんて噴飯物だ。アフリカやアジアの野蛮国じゃあるまいし、「人間の権利(人権)」などという低次元の概念など不必要である。文明国たる英国には相応しくない。イングランド王国には、国王陛下に忠誠を誓う「イギリス国民の権利」があり、この権利は先祖代々受け継がれ、巨木のようにイングランドの大地に根づいている。したがって、極左どもが唱える低級な「人権」など、イングランドの臣民にとったら有害としか言えぬ代物だ。歐洲人権條約の中でもとりわけ悪質なのは、第八條で謳われている「私的および家族的生活への権利(right to private and family life)」である。この條項のせいで、英国政府はせっかく捕まえた外国人の犯罪者を出身国へ送還すことができない。そうは言っても、裁判で有罪となった外国人を強制送還できないんだから理不尽だ。しかし、どんなに文句を垂れようが、英国の主権が実質的に歐洲の人権裁判所に移譲されているから仕方ない。

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(左: 英国の街中に群れる移民たち / 右: 英国に増える黒人)

  外国からの移民を熱心に招いていた労働党政権は万死に値する。ところが、移民に厳しいはずの保守党も同じ穴の狢で、キャメロン首相に替わっても、移民・難民をめぐる状況は変わらず、外国人犯罪者は「人権」や「家族との生活」を楯に英国から去ることはなかった。例えば、2010年、233名の外国人が強制退去処分を受けたが、彼らはこの強制送還に反抗し、149名が人権法のもとで勝利を得たという。彼らのうち102名が第八條を引用して居坐りを可能にしたのである。(David Barrett, 102 foreign criminals and illegal immigrants we can't deport, The Guardian, 11 June 2010) また、35名の外国人は人権條約の第三條を利用して強制送還を免れたという。なぜにら、第三條は実質的に第三世界の外人を利する條項になっているからだ。いくらなんでも、祖国に送還されると拷問に遭ったり、殺害される運命にある西歐人は居ないだろう。確かに、デンマークやベルギー出身者の犯罪者は居るが、送還されたら、凄まじい拷問の末に絞首刑か銃殺刑なんていう虐殺はあり得ない。アフリカなら敵対者のペニスを切り取って、次々と紐に通してネックレスにする奴が居るから、第三條の必要性も分かる。(アフリカに住む野蛮人の間では、ペニスが戦利品と同じ意味を持つ。) しかし、外国人はこうした法律を悪用するから、EUの人権思想に反撥を抱くブリテン国民は意外に多いのだ。

  それにしても、本国送還を免除れた外国人犯罪者のケースは実に多い。例えば、ロッキー・グルングというネパール人の殺人鬼は、子供を持っていなかったけど、両親と共に暮らしていたので残留できた。あるスリランカ人の窃盗犯は、英国に恋人がいたから強制送還をされずに済んだそうだ。もっと腹立たしいのは、あるボリビア人のケースで、彼はペットの猫がいるため強制送還を免れたという。(確かに、猫は住み慣れた家を愛する。) 犯罪者ばかりではなく、難民に値せぬ外国人も大勢イングランドにしがみついている。他のヨーロッパ諸国と同様に、英国にも怪しい難民庇護申請者はたくさん居るが、「家族と一緒の生活」を持ち出して滞在を訴えたところ、何千名にも上る偽装難民が成功したそうだ。嘘つきのくせに嬉々として英国に住んでいるんだから、愛国的なブリテン国民は怒りが込み上げてくる。しかも、多額の裁判費用は税金から捻出されているのだ。つまり、これは税金が浪費されたということである。

  現在のブリテン政府は家族の絆を大切にするようで、たとえ犯罪をしでかした外国人でも、その肉親への配慮を忘れないようにしているらしい。ところが、堅気の西歐系白人に対しては冷たいようだ。不法移民対策法をめぐって、イングランド南東部にあるイースト・サセックス州である問題が起きた。ドミニク・ジェイムズ氏はミュージシャンで、2005年アメリカ人女性のケイティーと出逢って結婚し、2013年にはマデリンという娘が生まれたという。ケイティー夫人は配偶者ヴィザ(spousal visa)を取得した後、ご主人と共に2006年から2009年までスコットランドのエジンバラで過ごし、しばらく経ってからイースト・サセックス州のイーストボーンに移り住んだらしい。ところが、この夫婦に予想外の不運がもたらされた。彼らの自宅に内務省からの通達が届き、ケイティーの滞在を許可しないというのだ。滞在ヴィザの更新が却下されたので、彼女はアメリカに帰国せねばならないという。(Estbourne family at centre of immigration upset, Eastbourne Herald, 6 April 2016) こうした理不尽な通告を聞けば、イギリス人じゃなくても「どうしてだ?」と疑問に思うだろう。問題は、ジェイムズ家の所得であった。英国の法律では、ブリテン人の配偶者は年収1万8千600ポンド(約279万円/1ポンド150円で換算)相当の資金を有していないといけないらしい。彼女はこの金額を稼いでいなかったのだ。しかも、最近この要求額が増大し、2万2千400ポンド(約380万円/1ポンド170円)にまで釣り上げられたのである。そもそも、この法律は英国にやって来る“不適切な”外国人配偶者を防ぎ、社会福祉への依存を許さないための手段であった。

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(写真/ドミニク・ジェイムズとケイティー夫人、娘のマデリン)

  もちろん、娘を産んだケイティー夫人は、アジアやアフリカからの「たかり配偶者」ではない。彼女は愛情でイギリス人と結婚した「まともな」アメリカ人で、英国政府から支給される補助金や豊かな生活を目指して移住してきた訳ではない。ところが、彼女の夫ドミニクは売れないミュージシャン。政府から要求される所得を稼ぐ事ができなかった。音楽業界を知っている日本人なら分かると思うが、これと言った才能が無いミュージシャンの生活は苦しい。副業をしながら夢を追っていたり、女房が外へ働きに出て家計を助けるなんて話はざらにある。だから、「糟糠(そうこう)の妻」というのは珍しくない。(ここでは関係無いけど、有名になった途端に若い娘と懇ろになって、苦労をかけた古女房を捨てるミュージシャンは最低である。) 件(くだん)のケイティーは有名なIT企業のシスコ(Cisco)で働き、2014年には職場を米国のシアトルからエジンバラに移してもらったそうだ。(Thomas Burrows, American mother will be deported from UK, separating her from her two-year-old daughter, because her husband of nine years doesn't earn enough, Daily Mail, 6 April 2016)

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(左: ジェイムズ一家 / 中央: ムスリムの親子 / 右: インド人女性)

  ジェイムズ家は低収入世帯だが、ケイティー夫人は政府からの補助金に頼らず、ちゃんと働いて税金を納め、中流階級の誇りを捨てず堅気の生活を送っていたのだ。それなのに、滞在ヴィザの更新を拒否され、娘と離れて暮らす破目になってしまったという。亭主のドミニクはこの現状をインターネットを通じて世間に訴えかけたところ、イーストボーン選出の国会議員キャロライン・アンセル氏が救いの手を差し延べた。彼女は内務省に働きかけ、ケイティー夫人のヴィザが延長されるよう奔走したそうだ。ジェイムズ夫妻は移民担当大臣のジェイムズ・ブローケンシャイアーに特例措置を求めているという。

  それにしても、なぜこんな馬鹿げたことが起きたのか? それは政府が「人種差別」という批判を恐れたからである。通常なら、大臣の裁量で延長許可が下りるはずだ。しかし、それをすれば有色移民からの批判が巻き起こるし、移民法を恣意的に枉げた非難されかねない。英国にはインドやパキスタン、トルコ、支那、ケニアなどからの女性が「婚約者」とか「許嫁(いいなづけ)」という名称でやって来る。彼女たちは英語を話せないどころか、イギリス文化も分からず、意識や肉体も英国人とは異質な存在で、英国に住む男性の為だけに配送される性的輸出品となっている。例えば、異国のイングランドで働くイスラム教徒のパキスタン人男性を、国許の両親が心配すると、適当なパキスタン人女性を見つけて、可愛い息子のもとに送り出す。同じ信仰を持つイスラム教徒の娘だから親戚や兄弟も賛成するし、生まれてくる孫もすんなりとイスラム教徒になるから安心だ。こうした「写真花嫁(picture bride)」は英国で問題となり、イスラム教徒に対する嫌悪感を増大させる結果となっている。問題はこれだけではない。イスラム教徒だと、こうした花嫁を複数迎入れる危険性がある。一番目の妻と離婚したら、二番目、三番目の妻を迎入れてしまうのだ。英国では重婚が禁止されているから、形式上離婚したかのように見せかけるが、実質的に離婚はしていない。なぜなら、政府からの手当を騙し取るための方便だからである。それに、離婚したって元女房が出国するわけじゃない。離婚しても同居しているんだから一緒である。イスラム教徒の夫婦は一般的に子沢山だし、離縁しても女房たちは英国に居続けるから、「母子家庭への補助」を“合法的”に貰えてしまうのだ。こうした詐欺でアジア人やアフリカ人どもは福祉を食いつぶし、イギリス国民の税金で楽しく暮らして行けるのである。アメリカ人妻のケイティー・ジェイムズとは大違いだ。

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(左: 英国にやって来る有色移民 / 右: アフリカ系黒人の子供たち)

  普通のイギリス国民なら、こうした現実を目の当たりにして激怒するだろう。不愉快でケシカラン有色移民がのうのうと暮らし、好ましい西歐系白人女性が追放されるなんて許せない。しかし、現実は有色人種に有利になっている。例えば、難民に化けた不法入国者のケースがある。アブドゥル・ラフマン・ハロンというスーダン人(40歳)は、フランスから海峡トンネルを通って英国側にやって来た。英仏海峡を繋ぐトンネルを通行するなんて危険極まりない事で、このスーダン人のために列車が停止する事態となった。この無謀な密入国を企てたハロンは、ケント州のフォークストーンにある出口の所で逮捕されたという。ところが、ハロンは裁判にかけられると、難民庇護を申請する「憐れな外国人」に変身したのである。案の定、彼は仮釈放で自由の身となり、難民支援団体の助けもあって、間もなく難民庇護を受けることができた。(Anil Dawar, Deportation? No, a warm UK welcome for Sudan migrant who ran through Channel to Britain, The UK Express, January 5, 2016) 内務省は彼の庇護申請について口を閉ざしているが、たぶんスーダンが内戦状態にあるから、ハロンはそれを利用し、祖国送還となれば命を失う危険があると訴えたのだろう。これは庇護申請者がよく使う手口である。

  英国独立党(UKIP)のスティーヴン・ウールフ(Steven Woolfe)やマイク・ホーケム(Mike Hookem)が警告していたが、このように安易な庇護申請の受理が横行すると、どんなに危険な方法を使っても一旦英国に潜り込めば大丈夫、という考えが不法入国者に浸透し、密入国者を勇気づけることになる。そうじゃなくても英国の裁判所は外国人犯罪者に甘いから、益々いかがわしい外国人はその点を突いてくる。例えば、カリブ海諸島からやって来た黒人が麻薬(コカイン)所持で捕まった事件があった。しかし、この犯罪者は女房子供を英国で持っていたので、「家族と離れるのは嫌だ」とごねたところ、あろう事か強制送還を免れ、引き続き滞在が許されたという。だから、密入国者や不法滞在者は強制送還されぬよう、なるべく早く結婚し、子供をもうけるようにするのだ。中流階級のイギリス白人なら、こんな不良外国人と結婚しないけど、有色人種のブリテン国民なら下層階級者も多いし、同種の誼(よしみ)で親密となり、結婚や出産となるケースも増えてくる。例えば、アフリカ黒人の男が逮捕されたら、ブリテン国籍を持つジャマイカ系の女房がいたりする。アラブ人犯罪者のケースだと、英国に帰化したシリア系かエジプト系の女房を持っていたり、場合によっては英国生まれの子供がいたりするから、有無を言わさずに追い出すことができない。しかも、こうした中東アジア人の背後には、イスラム教団体が附いているので、祖国での政治的迫害や家族との絆を口実にして、同胞の強制送還を断念させようとする。ところが、肌の白い西歐系アメリカ人が追放されそうになった時、白人団体が助けることはまずない。仮に存在したとしても、こうした組織は「極右団体」か「白人至上主義者」とのレッテルを貼られるから、裁判所や政府機関、マスコミが相手にしないのだ。アフリカ黒人やイスラム教徒の団体なら、「エスニック・グループ」として承認されるのに。西歐諸国では白人への差別が酷い。

  英国のEU離脱については後編に続きます。
  

  


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