いかがわしいメディアの世論操作

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(左: ヒラリー・クリントン / 右: ドナルド・トランプ)

  11月には大統領選挙だ。アメリカのマスメディアのみならず日本のテレビや新聞も、ヒラリー・クリントンが優勢でドナルド・トランプが苦戦、と報道している。もしかしたら、トランプは劣勢に追い込まれているのかも知れない。だが、それを報じるテレビ局や新聞社は信用に値しないのだ。我が国と同じく、アメリカの主流メディアはリベラル左派ばかり。報道陣や制作者で共和党支持者は少数派で、ほとんどが民衆党支持者か同党に好意をもつ者ときている。テレビ番組に登場する街中での一般人も、民衆党支持者か左翼的人物が大半で、民衆党支持者を特に狙ってインタヴューしているのか、と思えるくらいだ。そうじゃなくても、街頭インタヴューの映像には小細工がある。インダヴュー映像を後で編集し、意図的な印象操作を行えば、視聴者はクリントン支持者が圧倒的と思ってしまう。例えば、共和党に近い者やトランプ支持者を番組内で紹介する時は、わざと低学歴で視野の狭い老人とか、“いかつい”顔をした労働者、ネオ・ナチ風の下品な白人などの映像を選び、クリントン支持者には高級なスーツを着た黒人、家族連れの温和なヒスパニック系国民、知的でちょっと美しい白人女性、若くてハンサムな大学生、などを厳選すればよい。どうせ視聴者は、こうした狡猾な編集に気づかないから、テレビ局はやりたい放題だ。

  三大ネットワークとかCNNは言うまでもないが、アメリカ大統領選の趨勢を伝える調査機関がこれまた酷い。米国には世論調査を行う「ハート・リサーチ・アソシエーション / パブリック・オビニオン・ストラテジー社(Hart Research Association/ Public Opinion Strategy)」なる会社があって、調査の結果、クリントン優勢を伝えていた。ところが、この調査会社を率いるジェフリー・ガリン(Geoffrey Garin)社長は、ヒラリー・クリントンの資金管理団体(スーパー・パック/SuperPAC)である「プライオリティーズUSA(Priorities USA)」のトップ・アドヴァイザーを務めていたのだ。カラクリは簡単である。この「プライオリティーズUSA」がガリンの会社に仕事を依頼して、合計22万5百ドル(約2千425万円)を支払っていたのだ。ヒラリーの応援団からお金をもらい、自分もその応援団に顧問として勤めていたんだから、身内の関係であったことは明らかである。日本のテレビ局は大統領候補の討論会を紹介する時、よく両者の支持率なんかを報道するが、世論調査を行っている人物や調査の方法、インタヴューの対象者については伝えないのがほとんどだ。日本の一般視聴者は、極めて怠惰な、あるいは何らかの意図を持つテレビ局によって、米国の裏側を知らぬまま判断を下しているのである。こういった簡単なことすら隠すから、日本の庶民はテレビ局に対して怒りを爆発させるのだろう。

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(左: ジェフリー・ガリン /中央:  ヒラリー・クリントン/ 右: ハイム・サバン)

  ヒラリー・クリントンの支持者にはユダヤ人が多く、先ほどのガリン社長もそうだが、長年の献金者であるハイム・サバン(Haim Saban)も相変わらず彼女を支えている。サバンが所有するスペイン語放送局「ユニヴィジョンUnivision)」は、ヒスパニック系アメリカ人に好意的なテレビ局で、ヒラリーを熱心に掩護していることで有名だ。不法移民を排除しようとするトランプは、中南米系移民にとって不倶戴天の敵であるから、民衆党のクリントンをどうしても応援したくなる。もともと、ヒスパニック系国民には民衆党支持者が多いからしょうがないけど、トランプに対する評価は最低である。クリントンに対する全体の支持率は72パーセンドで、トランプ支持者はたったの14パーセントに止まっている。(Andrew O'Reily, Clinton holds 46-point lead over Trump among Hispanics, Fox News, August 11, 2016) 具体的な項目を挙げてみると、教育問題では73パーセントのヒスパニックがヒラリーを支持しており、トランプは19パーセントしか得ていない。外交方針だと70%対21%、健康・福祉問題では69%対22%、経済政策でも61%対31%で、何れの項目でもクリントンが優勢を誇っている。このような状況だと、接戦州(battle state)のフロリダではトランプが負けるかも知れない。ヒスパニック系住民が多いフロリダは大票田となっており、この州を落とすことはトランプにとって致命的である。

  アメリカのマスメディアはトランプの女性に対する差別発言とか、ヒスパニックやムスリム系移民への侮辱、合法的に所得税を払っていなかったなど、色々なスキャンダルを取り上げ、一斉に集中攻撃を繰り返してしているが、ヒラリーのスキャンダルについては口が重くなっている。彼女の選挙参謀であるジョン・ポデスタの電子メールがハッキングされて騒いでいるが、暴露したハッカーより、ろていしたメールの内容の方が重要なんじゃないか? 本来なら、ヒラリーがひた隠しにする電子メールの方が、女性差別発言なんかよりも遙かに深刻な問題なのに、マスコミは追求の手を緩めている。そのくせ、左翼評論家を動員してトランプの人格攻撃をさせているんだから、マスコミ各社はトランプの資質を問う前に自分のしたことを反省しろ、と言いたい。

野心のためなら国家秘密を売るヒラリー

  ヒラリー・クリントンに政治的野心があるのは誰でも知っている。以前、亭主のビル・クリントンが大統領候補になったとき、ポーラ・ジョーンズやジェニファー・フラワーズをはじめとする大勢の女性と不倫したスキャンダルに見舞われたが、ヒラリーは不貞の夫を必死に弁護していた。彼女自身、辣腕弁護士なんだから、いつでも高額の慰謝料をふんだくって、女にだらしない亭主のビルを棄てることが出来たはずである。しかし、ヒラリーはそうしなかった。何としてもホワイトハウスに住みたい、合衆国で最高の権力を保持する地位に就きたい、というのが彼女の願望だったからである。でも、いくら「ファースト・レディー」と呼ばれようが、所詮は大統領の女房に過ぎない。やはり、自分で大統領の椅子を手にしなければ・・・。ということで、亭主の任期が切れた後、リベラル左翼がごまんと住むニューヨーク州から上院議員選挙に立候補。長老のパトリック・モニハン上院議員が去った席に、後釜としてまんまと坐ることができた。しかし、人生は山あり谷あり、「まさか !」まであった。2008年、あともう少しのところで大統領の夢を逃してしまったのだ。

  ヒラリーは国務長官の職で満足できるような女じゃない。オバマの次を目指して腕を磨いていた。しかし、政治の世界では金がモノを言う。大統領の地位を狙うなら、どうしても巨額の資金が必要だ。となれば、地味に働いていては埒(らち)が明かない。手段を選ばすゼニ儲けが一番。汚い金を集めるのは初めてじゃないから、ヒラリーには伝手や智慧があった。一般の日本人だって、ちょっと思い出してみれば分かるだろう。ビル・クリントンは支那人を相手に儲けていた。彼は再選のためお金が欲しくて、非常に高度な軍事技術を北京政府に渡していたのだ。支那はクリントン政権から購入した軍事技術で、米国とのミサイル・ギャップを埋めることが出来たという。こんな訳で、国防総省はカンカンに怒ったらしい。だから、アメリカの高級軍人の中には、支那に国益を売り渡したクリントン夫妻を未だに恨んでいる者がいる。

  副大統領だったアル・ゴアもそうだけど、クリントン夫妻の懐には支那からの資金が流れ込んでいた。何でも金銭で計算する支那人にとったら、お金で親密になれるビル・クリントンは好ましい人物である。テーブルや袖の下でお金の遣り取りを得意とする支那人だから、札束になびくビルとヒラリーは「物分かりのいい外国人」という訳だ。支那人のツボをよく弁えているビル・クリントンは、商務省に支那系アメリカ人のジョン・ウォン(黄建南 / John Huang)を配置していたのである。彼は福建省から米国へ移住してきたウォン・ツァイ(Huang Tizhai)の息子で、1993年にクリントンの差し金で商務省に送り込まれると、国際経済担当の次官補に就任した。1995年になると、民衆党全国委員会(DNC)に異動となり、外国の企業や人物から多額の違法献金を集めていたらしい。ところが後に、彼は選挙資金規正法違反で有罪となった。彼はインドネシアの実業家であるジェイムズ・リアディー(James Riady)なんかと親しく、米国への裏チャンネルを求めるアジアの大富豪を相手にしていたらしい。たぶん、相当な裏金を集めたんじゃないか。とすれば、外国政府筋のダミー会社からの献金だって考えられるだろう。特に、北京政府が様々な企業を迂回させて、民衆党に資金を提供していたと考えなければならない。

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(左: 黄建南   /   崔査理  /   鐘育瀚   / 右 :  ビル・クリントン/)

  民衆党に資金を流していた違法献金者の中に、アーカンソー州でレストランを営んでいたチャーリー・トリー(崔査理 / Yah Lin Charlie Trie)という支那人がいた。この崔は同州の知事を務めていたビル・クリントンの友人で、元知事との関係を最大限に利用して一儲けを企んでいたという。彼は外国人から違法な資金を集めて民衆党に注ぎ込んでいた。崔は度々ホワイトハウスに出入りしていたようで、外国人のゲストをクリントン大統領に引き合わせる役目を担っていたらしい。こうした来賓の中には、支那人の武器商人もいて、クリントンが裁判沙汰に悩んでいたとき、訴訟費用の助けになるよう、崔を介して45万ドルの小切手を渡していたそうだ。(Campaign Fiance Key Player : Yah Lin Charlie Trie, The Washington Post, March 4, 1998) しかし、このお金は後に発覚し、即刻返却されたらしい。これとは別に、崔にはアジア人の仲間がいて、黄建南(ジョン・ウォン)や鐘育瀚(ジョニー・チャン / Johnny Chien Chuen Chung)とつるんで約220万ドルの献金を集めたそうで、違法じゃないかと疑われた民衆党への献金総額280万ドルのうち、なんと79パーセントを占める金額だったという。

  上院の調査委員会によると、崔が莫大な献金を集めることが出来たのは、彼の背後にマカオで活躍する支那人の不動産王、呉立勝(Ng Lap Seng)がいたからだ。この怪しげな呉は北京政府と繋がっていた人物で、おそらく支那とクリントンを結ぶ要人の一人であったと考えられる。ここで、ある興味深いを紹介したい。1994年8月1日に崔が民衆党全国委員会に2万ドルの献金をしたときの話である。彼が献金を行った二週間前の記録によると、崔のレストランの帳簿には472ドルの運営資金しかなく、彼の個人口座にも、たった472ドルが残っているだけだったという。懐が寂しい崔が多額の献金を行ったなんて、どう考えてもおかしい。実は、お金持ちの支那人である呉が、友人の崔に2万ドルの小切手を渡していたのだ。崔の献金はこれだけではない。彼はビル・クリントンの誕生日にも10万ドルの“プレゼント”を渡していたのだが、その贈り物だって呉が崔に送金したものである。驚くことに、呉は1994年から1996年にかけて、約100万ドルを献金していたそうで、同時期、スカンピンだったはずの崔も20万ドル以上を民衆党全国委員会に貢いでいたのだ。(Charlie Tire's Tainted Money, The New York Times, July 30, 1997) 外国人から献金は違法なのに、クリントンや民衆党は黙認していたのである。これと比べれば、前原誠司が在日南鮮人のオバちゃんからもらっていた献金など可愛いもんだ。

Bill Clinton Ng Lap SengBill Clinton & Charlie Trie










(左: 呉立勝と一緒のクリントン夫妻 / 右: 崔査理と会うビル・クリントン)

  支那人だから悪党でもおかしくはないが、呉立勝にはもっと兇悪な犯罪者の臭いがしていた。呉は国連総会議長(UN General Assembly President)を務めていた故ジョン・アッシュ(John Ashe)と癒着していたのである。アッシュ議長はカリブ海諸島アンティグア・バーブーダ(Antigua and Barbuda)出身の外交官で、130万ドル(約1億5600万円)の賄賂を受け取った容疑で逮捕されてしまった。アッシュは用途を偽って多額の現金を米国に持ち込んだ呉から、50万ドル(約6千万円)以上の賄賂をもらう見返りに、マカオに国連関連施設を建設するよう、潘基文事務総長に書簡を送って便宜を計ることを約束したのだ。ただし、潘事務総長はそうした書簡の存在を否定している。(産経新聞2015年10月7日およびDiplomat pleads guilty in UN bribery scheme linked to Macau billionaire Ng Lap-seng, The South China Morning Post )

John Ashe 1(左 / ジョン・アッシュ)

  国連に勤める黒人職員だから、地位を利用した瀆職(とくしょく)なんて珍しくもない。アッシュは呉からの賄賂とは別に、80万ドル以上の裏金をもらっていたそうで、母国や国連絡みの事業を巡って、特別な「便宜」を図っていたという。彼は受け取った賄賂を、ニューヨークに構えた自宅の借金や、高級スーツ、ロレックスの腕時計、BMWのリース代などにあてていたそうだ。ところが、容疑者のアッシュに悲劇が起きた。脱税容疑で検挙されていたアッシュは無実を主張していたので、外交官特権が適応されるかどうか難しかったが、とにかくアメリカ当局からの取り調べを受ける予定になっていた。しかし、米国側検事からの取り調べを受ける数日前、彼はニューヨークのドブズ・フェリーにある自宅で死亡したのだ。当初、アッシュ(61歳)の死因は心臓発作ということだったが、後に訂正され、バーベルを持ち上げている際、誤って喉元に落としてしまい、それで喉が押し潰されてしまい窒息死に至ったそうだ。(Barbell accident kills former UN leader accused of corruption, The Guardian, 24 June 2016) 偶然の事故だから仕方ないけど、随分とタイミングのいい死亡である。彼の突然死により、アッシユ⇒呉⇒崔⇒クリントンという繋がりが切れてしまった。世間にはクリントン陣営による暗殺かと囁く人もいるが、もし暗殺者がいるとしたら、呉に関係する誰かかも知れないし、アッシュに喋られたら困る支那人の可能性だってある。以前、このブログでヴィンセント・フォスターの怪死を取り上げたが、クリントン夫妻の周辺では不審な死が結構多くあるから不思議だ。

ヒラリーの財布となるクリントン財団

  大統領選挙にはとにかくお金がかかる。大統領を目指していたヒラリー・クリントンが、上院議員や国務長官時代になり振り構わず資金を蓄えていたことは容易に想像がつく。特に、国務長官の頃は国家機密を扱っていたから、アメリカ人富豪のみならず、あまたの外国人が面会したがった。しかし、誰でも気軽に会えたわけではない。国務長官閣下に「お目通り」をするには、それなりの“料金”を要求されたのだ。といっても、直接マダム・セクレタリーに現金を手渡せないから、別のポケット、つまり「クリントン財(the Clinton Foundation)」に“寄附”という迂回策がとられていたのである。亭主のビルと娘のチェルシーが運営する財団なんだから、ヒラリーに献金していたのと同じ意味になる。ヒラリーと私的に面会したり電話で話した154人中、少なくとも85名が1億5600万ドルを献金しており、そのうち40名はそれぞれ10万ドル以上、その他20名は100万ドル以上を渡していたという。(Stephen Braun and Eileen Sullivan, More than half of private interests who met with Clinton at State department made donations, Business Insider, August 24, 2016) これだけでもすごいのに、この154名以外にも、合衆国連邦政府で働く職員や外国政府の使節と面会しており、少なくとも16名の外国政府代表がクリントン財団の慈善活動に1億7000万ドルの献金を行っているのだ。同財団には国際援助を行う「クリントン・グローバル・イニシアティブ(Clinton Global Initiative)」という部門があるので、女神のようなヒラリーに頼み事をする者は、そこへお賽銭を投げ込むのである。

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(左: 娘のチェルシーと一緒のヒラリー / 中央: ビルとヒラリー・クリントン/ 右: ラジヴ・フェルナンド )

  ヒラリー様の寵愛を受けた献金者の中に、ラジヴ・フェルナント(Rajiv K. Fernando)という人物がいた。彼はヒラリーの采配によって、核兵器や軍備に関する方針を扱う「国際安全保証顧問会(International Security Advisor Board / ISAB)」のメンバーになれた。このフェルナンドはスリランカ移民の息子で、元々はシカゴの商品・金融先物取引所で働いていた人物である。コンピューターを駆使した金融取引を得意とするフェルナンドは、「チョッパー・トレイディング(Chopper Trading)」という貿易会社を設立し、この業界では遣り手で通っていたそうだ。オバマが住処としていた腐敗の街シカゴで商売を営んでいたフェルナンドは、政界に食指を伸ばし、2003年頃から民衆党にお金を注ぎ始めたらしい。ヒラリーが大統領候補を目指した2008年、彼はヒラリーのため奔走し、10万ドル以上も資金を集めてやったが、惜しくも彼女がオバマ上院議員に敗れると、今度はオバマのために働いたそうだ。2012年、オバマが再選を目指すと、50万ドルもの資金を掻き集めたという。(Lynn Sweet, Who is Raj Fernando, and why is the GOP attacking him? , Chicago Sun Times, June 25, 2016)

  オバマのために汗を流したとはいえ、やはり彼のゴマすり相手はヒラリーだった。ISABのメンバーになる前、彼はクリントン財団に10万ドルから25万ドルくらい寄附したそうで、これとは別に、「ウィメンカウント(WomenCount)」なる政治グループに3万ドルほど渡していたそうだ。この集団はヒラリーを直接支援していたというから、フェルナンドは別口でヒラリーに献金していたことになる。(Matthew Mosk, Brian Ross and Cho Park, How Clinton Donor Got on Sensitive Intelligence Board, ABC News, June 10, 2016)  これを知れば、なぜ軍事知識を持たぬ素人の貿易商が、安全保障を議論する会議のメンバーになれたかが分かるだろう。当初、フェルナンドはISABの人員リストには載っていなかったが、ヒラリー国務長官の首席補佐官であるシェリル・ミルズ(Cheryl Mills)がねじ込んで、フェルナンドの任命に漕ぎ着けたらしい。(彼女はビル・クリントン大統領の法律顧問として、ホワイトハウスで付き添っていたクリントン家の直参である。) 国務省で軍備管理と国際問題を担当するリチャード・ハートマン次官は、こうした「特別人事」に頭を痛めていたそうである。軍事の門外漢が国家機密を扱う会議のメンバーになったんだから、共和党のタカ派や民衆党の軍人がヒラリーを嫌っても当然だろう。(でも、こうした事情を日本のテレビ局は一切伝えないのだ。元外務省官僚で北米課長だった岡本行夫の解説など聞いたって、生々しいアメリカの政界事情なんて分からないぞ。)

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(左: シェリル・ミルズ /  ダニエル・エイブラハム /  ジョージ・ソロス  /  右:  フレッド・アイチュナー)

  ヒラリーの資金集めに協力した富豪はたくさんいるので全員紹介できないが、何人か挙げてみたい。例えば、ダイエット食品製造で有名な「スリム・ファスト(Slim-Fast)」の創業者ダニエル・アブラハム(S. Daniel Abraham)というユダヤ人ビジネスマンがいる。彼は「ユダヤ人連盟(Jewish Federation)」という団体と親しく、ワシントンD.C.に「中東平和センター(Center for Middle East Peace)」を創設したり、「バースライト・イスラエル(Birthright Israel)」という組織や、テル・アヴィヴ大学、ベン・グリオン大学を熱心に支援している企業家であるという。こういう親イスラエルのユダヤ人がヒラリーの背後にいるんだから、米国の中東政策がイスラエル寄りになるのも無理はない。ヒラリーにはユダヤ人支持者が多く、ヘッジ・ファンド界の帝王ジョージ・ソロスや藝能界の大御所デイヴィッド・ゲェフェン(David Geffen)、メディア界の大物フレット・アイチュナー(Fred Eychanar)、そして、大手投資ファンド運用会社のブラックストーン(Blackstone)の創業者スティーヴン・シュワルツマン(Stephen Schwarzman)などである。シュワルツマンはクリントン財団に25万ドルから50万ドルほど寄附したそうで、他のブラックストン重役8名が、37万5千ドルから80万ドルくらい同財団へお金を流していたという。また、ブラックストンはクリントン財団が行っている海外援助組織にも数百万ドルを貢いでいたそうだ。ちなみに、このブラックストーンは、シュワルツマンと元商務長官のピーター・ピーターソン(Peter G. Peterson)が設立した有名な会社である。かつて、日本でもピーターソンはよく取り上げられた政界の人物で、若い人ならリーマン・ブラザーズの経営者(CEO)会として覚えているんじゃないか。ちょっとしたトリビアになるけど、会社名は「シュワルツ」がドイツ語の「黒」を意味し、「ピーター(ペトロ)」が「岩または石」を表すから、その二つの意味に因んでつけられたという。聖書の中で、キリストが一番弟子のサイモンを「ペトロ」と呼んだことはよく知られている。

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(左: デイヴィッド・ゲフェン / スティーヴン・シュワルツマン /   ピーター・ピーターソン  /  右:  フマ・アベディン)

  ヒラリーには様々側近がいて、資金集めに協力していた。その一人に、異彩を放つ女性補佐官のフマ・アベディン(Huma Abedin)がいる。彼女はパキスタン人の母親セレハ・マフムードとインド人サイード・ザイヌール・アベディンのもとに生まれた娘で、ユダヤ人と結婚したイスラム教徒である。彼女の亭主とは、元下院議員でニューヨーク市長選挙に出馬しようとしたアンソニー・ウィナー(Anthony Weiner)である。このウィナーはどうしようもない女好きのユダヤ人で、女房が身籠もっていたのに、2011年シアトルに住む21歳の女子大生と仲良くなって、セックス・スキャンダルを起こしてしまった。でも、そんなことで懲りないのがスケベ亭主。2013年、またもや22歳のシドニー・レザースという娘に惚れてしまい、自分の裸体を撮って携帯電話で送ってしまったところ、この映像が暴露されてしまったのだ。つい、若い娘に自分の肉体を自慢したかったのだんだろうなぁ。でも、世間ではこういう奴を「バカ」と呼ぶ。彼は市長選にも失敗し、破廉恥な写真が世に出たこともあって、愛想が尽きたアベディンは彼と離婚したそうだ。

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(左: アンソニー・ウィナー / 中央: マスコミに暴露された携帯の写真 / 右: ウィナーとアベディンと子供の家族写真)

  話を戻すと、アベディンはクリントン財団のアドヴァイザーを務めるダグ・バンド(Doug Band)とつるんで、バーレン王国のサルマン王太子とヒラリーの面会を画策したそうだ。最初、ヒラリーは面談を求めるサルマンを拒否していたが、「クリントン・グローバル・イニシアティヴ」に320万ドルを献金すると、ヒラリーは会談に応じたのである。さすが、札束のビンタは効果的だ。この面会があってから間もなくすると、国務省はバーレーンへの武器売却を許し、急速に伸びた武器の輸出額は6億3千万ドルに上ったという。何とも分かりやすい構図である。

  こんな瀆職を犯しているヒラリーだから、私的な通信手段で電子メールの遣り取りをしていたのも理解できる。通常、国家機密を扱う国務長官なら、盗聴を防ぐ通信回路を使うはずだが、ヒラリーは敢えてそれを使わなかった。政府の高官なら必ず二つの通信システム、すなわち「防諜インターネット・ルーター(Secret Internet Protocol Router Network/ SIPRNet)」か、「世界統合情報通信システム(Joint Worldwide Intelligence Communications System / JWICS)」を使うことになっている。ところが、驚いたことにヒラリーは、「プラット・リヴァー・ネットワーク(Platte River Network)」という民間企業のサーバーを使っていたのだ。このプラット・リヴァー社はコロラド州デンヴァーにある零細企業で、パパ・ママ・ショップといった程度の会社で、普通のアパートメントで運営されていた。ちょっと信じられない話だけれど、サーバーがバスルームにあるクローゼット中に置かれていたというのである。(Hugo Daniel, Hillary's email firm was run from a loft apartment with its servers in the BATHROOM, Daily Mail ,18 August 2015) セールス担当のデイヴィッド・デカミリス(David DeCamillis)や会社の数名しかヒラリーとの契約を知らなかったというが、その程度の秘密なら外国の諜報員には筒抜けである。もう目眩がするほどの不始末である。

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(左 : ジョン・ヒッケンルーパー知事/  中央: デイヴィッド・デカミリス /右: ジェイムズ・コミー長官 )

  このプラット・リヴァー・ネットワーク社はコロラド州知事のジョン・ヒッケンルーパー(John Hickenlooper)と親密だったようで、ヒラリーにこのサーバーを紹介したのはヒッケンルーパー知事だったという。FBI長官のジェイムズ・コミー(James Comey)によれば、ヒラリーと私的な電子メールを遣り取りしている人々は、ほとんとほの場合ハッキングを受けているらしい。つまり、外国の諜報機関がこうした不用心な通信を傍受しているということだ。でも、なぜヒラリーは、こんな初歩的なミスを犯したのか? それは第一に、政府の通信手段を使うと総ての通信記録が残ってしまうので、「まずい」と考えたからだ。表に出てはマズい内容だったから、危険を冒してまで私的な電子メールにしたのだろう。ヤバくなれば通信記録を「消毒」してしまえばいい。考えたくないけど、外国人に国家機密を売り渡していたのかも知れないし、違法な取引をしていたから、国防省の通信システムを仕えなかったのかも知れない。もっと穿った見方をすれば、わざと外国人に傍受させることで、間接的に国家機密を教えていたとも考えられるのだ。直接ヒラリーが売り渡すとマズいから、「そっちで勝手に盗んでちょうだい」とでも言いたかったんじゃないか? ハッキングされている事を承知の上でメールの遣り取りをしていたんだから、ヒラリーは確信犯である。一般のアメリカ人は「まさか」と信じないだろうが、政府の極秘作戦(Black Operation)にも馴れていたヒラリーだから、外国人との汚い裏取引をしていても不思議ではない。ヒラリーの支援者や取り巻き連中を見れば分かる通り、彼女は政府の枠を超えたグローバル・ネットワークや国際金融組織の方に与しているのだ。彼女の熱烈な贔屓筋になっているメディア界の所有者たちも、合衆国の利益より、特定の組織や集団に係わる利益の方に関心があるから、敢えてヒラリーのスキャンダルには触れないでいるのだろう。

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(左: 人口が増えて行くアメリカ人のタイプ / 中央: 少数派に転落するタイプの白人 / 右: 絶滅種になってしまうアメリカの子供 )

  マスコミの圧倒的な支持を受けたヒラリーは、世論調査で優勢を示しているが、本当のところは誰にも分からない。テレビや新聞の報道は、圧倒的にヒラリーに有利だし、トランプはとんでもない暴言王にされたまま、不利な状況に追い込まれている。アメリカの大統領選挙では、有権者の総得票数ではなく、選挙人の獲得数で決まるから、いくら共和党の有権者から熱烈な支持を受けていても、バトル・グラウンド(接戦州)で苦戦を強いられるかも知れない。それに、リベラル派のメディアが一斉に攻撃を加えたから、トランプに投票することをためらう人も出てくるかも知れないのだ。よく、街頭インタヴューなどで、「私はヒラリーに投票するわ」と答えている白人女性でも、本当はトランプに賛同していたりするから、額面通りに世論を信じることはできない。もし、白人の有権者が「トランプの方がいい」と発言すれば、「あなたはヒスパニック移民への偏見を持っているの?」と非難されてしまうから、白人有権者の中には本音を隠している人も多いのである。民衆党支持者の中にだって、オバマに投票しなかった白人党員だっていたなじゃないか? したがって、現在のところ、ヒラリーが圧倒的に有利と主流メディアは報じているが、本番の投票日に裏切る有権者が出てくるかも知れないのだ。

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(上写真/西歐系・アフリカ系・ヒスパニック系・中東アジア系が混血しながら国民になって行くアメリカ社会)

  大統領選挙を調べてみて気づく恐ろしい点は、アメリカ人の質が激変したことである。1980年代までのアメリカなら、レーガン・デモクラットのような保守的民衆党員が存在し、左翼的になった民衆党を嫌って伝統的な白人のアメリカを望む南部人がいたので、共和党が巻き返すだけの余地があった。しかし、中南米やアジアからの有色移民が増えたことで、民衆党支持者の数が飛躍的に伸びてしまい、共和党に集まる保守的白人層の勢力が少数派になってしまったのだ。ただでさえ、共和党内には、ジョン・マッケインのような左派の偽装保守が増殖し、民衆党と歩調を合わせる議員が多い。アングロ・アメリカを主張する白人は、益々マイノリティー化してしまい、自分の国が異質な民族に乗っ取られるという危機感が募っている。泡沫候補と見られていたトランプの人気は、こうした危機感を持つ白人層から来ている。歴代政権のだらしない移民政策に怒った庶民の反感と叛乱が、トランプ旋風の原動力となっていたのである。

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(左: 昔のアメリカ人家庭 / 右: 主流となる新たなアメリカ人)

  選挙の予想は競馬の予想と似ているから、結果が出るまで分からないが、マスコミの予想に反してトランプが大統領になるかも知れない。従来のアメリカなら共和党の候補が勝つ。オバマの八年間で、白人中流階級はウンザリしているからだ。それに、まともなアメリカ白人なら、たとえ表だって賛成できなくても、トランプが言っている不法移民の排除に頷くから、投票日にはこっそりとトランプに投票するはずだ。それでもトランプが負けるなら、もう共和党保守派は立ち直れないだろう。なにせ、オバマが当選した時のショックといったら凄まじく、共和党内部でも、黒人かヒスパニック系の候補を出さないと勝てないんじゃないか、と考える人が多かった。ヒラリーが大統領になれは、不法入国してきた移民は恩赦とか特別処置などで、続々と合衆国の公民権(citizenship)を取得できるようになるから、さらに有色人種が増えてしまうだろう。そうなれば次の大統領選挙や上下両院の選挙、州議会選挙、市長選、地方検事選挙など、あらゆる選挙で民衆党の圧勝となる。こうなれば民衆党の天下だ。共和党から鞍替えする連中も現れてくるはずだ。哀しいことだが、アメリカを建国した白人の子孫は、やがて祖先から受け継いだ故郷を失い、「白いマイノリティー」という身分に零落(おちぶ)れてしまうだろう。こう考えれば、トランプはアメリカの衰退を一時的に食い止める希望であることが分かる。多くの日本人は、泥仕合になってしまったアメリカの大統領選を高みの見物で眺めているが、アメリカの悲劇は日本でも起こりうる現象なのだ。アメリカでトランプが人気を博しているのは、絶望的なくらいアメリカが有色移民に浸食されている証拠である。ただ、日本の現状を憂う筆者にとっては、トランプが登場するだけマシなアメリカが羨ましい。





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