ローマ帝國の道を歩むアメリカ共和国

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(左: ドナルド・トランプ / 右: ヒラリー・クリントン)

  間もなく新たな合衆国大統領が決定する。FBIの捜査が再始動されてトランプに勝利の兆しが見えてきたが、ヒラリー・ロダム・クリントンが優勢を保持したまま、今度は「ファースト・レイディー」じゃなく、「マダム・プレジデント」として再びホワイトハウスに住むかもしれない。ヒラリー応援団のABCテレビやCNN、ならびに左翼のアメリカ国民は、忌々しいトランプが消滅するぞ、と大喜び。民衆党員とマスメディアは祝福のシャンペーンを用意し、ファンファーレの準備までしてクリントン大統領を待ち望んでいるのだろう。黒人初の大統領に続いて、女性初大統領が誕生するんだから、リベラル派に染まった大衆は、歓喜の声を上げるんじゃないか。といっても、その歓声はアメリカ帝國の凋落を告げる晩鐘みたいだ。現在のアメリカを見ていると、蛮族をローマ市民に取り込んで没落したローマ帝國に重ね合わせたくなる。

  もちろん、第21世紀のアメリカはローマとかなり違うが、基本的には似ているから一概に否定できない。ローマ史を勉強した者なら、ローマの変貌に驚くだろう。小さな都市国家だったローマは、君主政から共和政に移行して隆盛を極めたものの、カエサルが現れてオクタヴィアヌス(後のアウグスティヌス)が君臨すると、共和政の衣をまとった元首政になってしまった。破竹の勢いで宏大な帝國となったローマを、オリエント君主のようなディオクレティアヌス帝が分割し、政治の中心はイタリア半島のローマから、ギリシア都市のビザンティオンに移動してしまった。新たなローマ(Nova Roma)となったコンスタンティヌス帝のポリス(都市)には、ローマ人のみならず、ギリシア人やフェニキア人、トラキア人、シリア人などが混在し、ローマ人の首都なのに、世界市民の雑居地区になってしまったのだ。

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(左: ユリウス・カエサル / アウグストゥス / コンスタンティヌス大帝 / 右: コンスタンティヌス11世)

  宗教だって昔の面影は遠のき、ローマ人の都はミトラ教をはじめとするオリエントの怪しげな信仰で満ちていた。その中の一つであるキリスト教が遂に国教となると、ローマ古来の神々は一掃されてお払い箱に。軍隊も例外ではなく、兵隊はローマ人よりゲルマン人の方が多く、大切な辺境の防衛は外人頼み。徐々に縮小した東ローマは、オスマン・トルコに包囲され、最後の皇帝コンステンティノス11世パレオロゴス・ドラガセスは、親衛隊を率いて決死の突撃を試みる。覚悟を決めたローマ皇帝は、剣を抜いて雲霞の如きトルコ兵の中に消えていったという。偉大なるローマの栄光は、あっけない悲劇で幕を閉じることになった。現在のアメリカ帝國は、ローマ史と比較したら“いつ”の時代に当たるのか、学者の間でも意見が分かれるだろう。ただ、衰退しているという点では一致するはずだ。

国民の質が変わってしまった

  鳩山由紀夫のような「宇宙人」は別にして、日本人は自国を日本人の国と思っている。両親や祖父母、曾祖父母、と御先祖を遡ってもみんな日本人で、武士や公家はもちろんのこと、国家元首である天皇陛下も代々日本人である。神様だって日本人らしく、神主や僧侶も日本人だ。最近ではアジア人との混血児が増えたが、普通の日本国民は、自分がどんな種族か意識しないくらい、日本人であることを当然と思っている。ところが、アメリカ人ときたら、どんな人種や民族でもお構いなし。白人でも黒人でも、合衆国の公民権(citizenship/国籍)を持っていれば「アメリカ国民」だ。イラクから来たムスリム移民、エチオピアからの難民、南鮮からの兵役逃れだって、帰化手続きを経れば立派なアメリカ人で、生活に必要な英語が拙くても大丈夫。イギリス人の言葉を喋れない者なんかいくらでもいるんだから。中南米から潜り込んできたインディオや奴隷の子孫は、スペイン語で押し通しているんだから図々しい。西歐系白人はぶつぶつ文句を垂れているが、現在のアメリカは哀しいくらい多民族社会になっている。国民的一体感を誇る我々なら、こうしたアメリカ人を「世界市民(コスモポリタン)」とか「地球人」と考えたくなる。皮肉屋だと「定住型根無し草」なんて呼んで嘲笑うだろう。

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(米国にやって来る移民のタイプ/ 左: 南米人 / アフリカ人 / インド人/ 右: 支那人)

  今のところ、アメリカ社会は「大統領選挙」というお祭りで盛り上がっており、大票田のフロリダが注目の的になっている。だが、この南部に位置する激戦州は、もはや西歐系アメリカ人の支配地域ではないのだ。西部のカルフォルニア州と同じく、ヒスパニック人口が激増し、各地区で彼らがキャスティング・ボート(スウィング・ヴォート)握っているというのだ。仮に、白人有権者が民衆党と共和党で半分になれば、過半数獲得への手段としてヒスパニック票が鍵となってくる。だが、いくら共和党が甘言を用いて勧誘したところで、彼らの大多数は民衆党支持者で寝返りは期待できない。ラティーノにとって合衆国の歴史とか理念なんてものはどうでももよく、自分の味方になってくれる後ろ楯が重要なのだ。人権とか平等思想、多民族共生主義を掲げる民衆党は、支持者拡大のためなら何でもやるし、白人の議員だって「白人のアメリカ」に未練はない。どうせ、彼らも東歐か南歐からやって来た移民の子孫で、ヨーロッパからの粗大ゴミと馬鹿にされた貧民の末裔だからだ。一方、中南米出身の移民やその子孫もアングロ・アメリカに親近感はなく、新天地でのより良き生活を求めて潜り込んできただけである。西歐系白人が主張する法と秩序なんか紙屑以下。なにせ河や海を渡ってくる不法侵入者が同胞なんだから。したがって、トランプを支援する西歐系白人なんか、仲間というより宿敵と考えた方がよい。何代経っても「よそ者」で、脛に何らかの傷を持つヒスパニック住民が、アメリカの栄光と伝統を守る外人(アングロ・アメリカ人)と仲間になるわけないだろう。

  ヒスパニック州と変わり果てたフロリダには、他にもヒラリー・クリントンにとって心強い盟友が住んでいる。一般の日本人はプエリト・リコと聞いてもピンとこないが、フロリダにはプエルト・リコ人が結構住住みついているのだ。キューバ難民なら知っている日本人でも、プエルト・リコ出身の住民には目が届きにくい。キューバやメキシコ、グァテマラ出身の移民と違って、プエル・トリコ人はすぐに有権者登録をできてしまう。というのも、カリブ海に浮かぶプエルト・リコは正式な州ではないが、米西戦争で併合された獲得地なので、自治権のある準州といった扱いになっている。だから、彼らが本土に移ってくれば、割と簡単に投票権が付与されてしまうのだ。(Sasha Isenberg and Steven Yaccino, Clinton's Florida Secret Weapon: New Puerto Rican Arrivals, Bloomberg, October 25, 2016)

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(左: 米国に住むプエルト・リコ人の親子 / 右: プエルト・リコ系の住民)

  フロリダに住んでいない日本人だと、「プエルト・リコ人票なんて大したことないだろう」と笑ってしまうが、民衆・共和党の候補者が拮抗する選挙区では、彼らの票が結果を左右してしまうのだ。例えば、オーランドでは新たに8万人のプエルト・リコ人が選挙登録を済ませたし、タンパでは3万人、ブロワードだと3万5千人も有権者が誕生したそうだ。ヒスパニック人口の増加は共和党にとって脅威である。四年前のオバマ対ロムニー選挙で、オバマは全ヒスパニック票の60%を獲得し、ロムニーが摑んだ票は39%に過ぎなかった。今回の世論調査では、トランプに投票すると答えたヒスパニック有権者は、なんと20%以下である。前回、800万票が投じられたフロリダ州で、オバマは7万3千票を余分に取ったから、大票田のフロリダを制することができたという。ブッシュ対ゴア戦でフロリダが決戦場になった事を思い出せば、共和党候補者にとって如何にこの州が貴重かが分かるだろう。ジェブ・ブッシがフロリダ州知事になったのは、兄貴のためだけじゃなく、自分が大統領候補になった時のことを考えての行動であった。

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(衰退するタイプの国民 / 左: 西歐人男性 / 中央: 西歐系女性/ 右: 怒れる西歐系の子供)

  ヒスパニック系住民がひしめくカルフォルニア州は、アングロ・アメリカの一部なんていうのは遠い昔のお伽噺で、今じゃラテン・アメリカの一部になっている。オレンジ郡にあるサンタ・アナという街は、メキシコかと思うくらい中南米化が進んでいるらしい。市議会のメンバー7名総てがラティーノ(南米系)という状態で、人口34万3人中、78%がヒスパニック系住民というから、もう目眩(めまい)がしてくる。(Adam Nagourney and Jennifer Medina, This City Is 78% Latino, and the Face of a New California, The New York Times, October 11, 2016) こんな状態だから、もともと左翼や革新派、叛逆者が多いカルフォルニアで、民衆党が多数派を形成するのは当然だ。悖徳の都たるサン・フランシスコに行けば、ゲイやレズビアン、性転換者などが堂々と街中を歩いているし、忌まわしい同性結婚も盛んで、髭面のオっさん同士が手を繋いでキスをしていたりする。彼らが寝床で何をするかなんて想像したくもない。現代でもソドムとゴモラが健在だから、滅ぼす方の神様も大変だ。(「ドラゴンボール」に登場する破壊神ビルスの手助けが必要となるだろう。)

多言語・多民族社会となったアングロ・アメリカ

  アメリカ合衆国はイギリス人の入植者によって建国されたのに、今では地球人を収容する高級長屋になっている。「税金」という家賃を払えば誰でも入居者になれるし、たとえ払わなくても入居可能となっているんだから、一文無しの居候が増えたって不思議じゃない。「どんな手段を使おうとも、一旦潜り込めれば何とかなるさ」という根拠のない話でも、これから河を渡ろうとするヒスパニック移民にとったら朗報だ。メキシコで燻る貧乏人が国境を潜ってくるのも無理はない。しかも、米国にはこうした不法侵入者を支援する団体や活動家がたくさんいるから、南米人は安心して不法行為を犯す事ができる。近年、不法移民はあとを断たず、2010年から2015年にかけて、146万人もの新たな人口が増えた。民族別に見てみると、実に51%がヒスパニック系で、人口増加分の45%が65歳以上の者で占められているという。

  移民人口が急増しているフロリダでは、ヒスパニック人口が18%も伸びたそうだ。これは非ヒスパニック系白人の6倍で、黒人の増加に比べて2倍以上になるという。(Mary Ellen Klas, Hispanic growth in Florida: Will it determine the election? , Maiami Herald, JUly 2, 2016) こうした増加の3分の1、すなわち約27万人はマイアミ・デイド郡やブロワード郡に集中していて、オレンジ、オスセロア、セミノールからポルクとヒルズボローにかけての地域で著しい。アメリカの映画やTVドラマを好きな日本人なら気がつくと思うが、物語の舞台がマイアミになると、ヒスパニック系のキャラクターが増えている。例えば、人気TVドラマシリーズの『マイアミ・バイス』とか『CSI : マイアミ』、『デクスター』などは、マイアミが舞台となっていた。当然、出演する役者もヒスパニック系が多くなり、ドラマの中でも登場人物がスペイン語を使うシーンは珍しくない。アリゾナを舞台にしたTVドラマ『ブレイキング・バッド』でも、ヒスパニック系の俳優が多数出演し、白人役者と同じような存在感を醸しだし、観ていて違和感が無かった。そして、特徴的なのは、ヒスパニック系キャラクターの人物設定だ。自然の流れで、ヒスパニックのギャングが登場するけど、ちゃんと正義感に溢れるラテン系の警官とか、道徳的に高尚なヒスパニック市民というキャラクター設定も忘れていなかった。つまり、「民族的配慮」というハリウッド的要素がふんだんに盛り込まれていたようである。

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(左: 密入国する南米人 / 右: ヒスパニックの若者)

  最近では日本でも外国語の表示が増え、街中や店舗内で、支那語や朝鮮語の説明文というのをよく見かけるようになった。アメリカでは日本よりも先に多言語社会となっており、英語を話せなくても不自由なことは少ない。アメリカの国勢調査によると、2015年時点で、現地生まれ、合法移民、非合法侵入者などを含め、約6千470万人の住民が英語以外の言語を家庭で使っているそうだ。こうした人数は1990年以来、二倍になっているらしく、1990年当時、英語以外の言語を話していた人は3千180万人だったという。(Steven A. Camarota and Karen Zeigler, Nearly 65 Million U.S. Residents Sopke a Foreign Language at Home in 2015, Center for Immigration Studies, October 2016) では、いったいどんな言語を話しているのか? そこで、2010年から2015年にかけての資料を見てみると、第1位はアラビア語で、2015年時点で約115万6千人が話しており、34%の増加である。第2位はヒンドゥー語で約81万3千人、33%の増加。第3位はパキスタン人が話すウルドゥー語で、約48万1千人の使用者がいて、24%の増加である。以下、第4位となっている支那語は、使用者数ではアラブ人やインド人よりも多く、約333万人となっていて、19%の増加であるという。肝心のスペイン語は昔から多いので、使用人数は厖大でも伸び率は8%くらいで、意外なほど低い。それでも、2000年には約2千810万人、2010年だと約3千699万人、2015年でも約4千万人が話しているのだ。

元に戻れない世界帝國

  日本というのは企業ではなく、したがって倒産は考えられない。バブル経済の頃、我が国は「日本株式会社」と揶揄されたが、それは同族社会のようなものという認識であった。表面的にはエコノミック・アニマルの国という蔑称でも、実際は従業員と経営者が共に日本人で、株主までもが日本人という運命共同体の別称である。当時は、山本書店の経営者である山本七平の影響もあって、日本人とユダヤ人の類似性が論じられていたが、決定的に違っていたのは、ユダヤ人の「放浪癖」や「たかり性」が日本人には無かったという点だ。ユダヤ人は何時でも逃亡できるように、財産はなるべくコンパクトに纏めていたそうで、小さなダイヤモンドは箪笥と比べて価値があってし、持ち運びが便利であるから、ユダヤ人には宝石加工業者が多かった。また、彼らが教育熱心なのは勉強好きだからという点もあったが、有事に備えての対策という一面もあったという。なぜなら、頭に詰め込める知識の量は無限だし、移動も楽なうえに他人から奪われる心配もないと考えたからだ。日本人も貯蓄に励み、知識欲旺盛だが、それは海外逃避を前提とした行動ではない。左翼たちは常に日本を非難しているが、日本を憎む彼らですら、嫌いな日本から離れようとはしなかった。金貨を貯めて海外移住を考える日本人なんて、ほとんど居なかったし、居たとしてもパチンコで財を成した朝鮮人くらいなものだろう。

  国旗を蔑ろにする日本人は、星条旗に忠誠を誓うアメリカ人を見て「愛国主義者が多いなぁ」と感心するが、意外にもアメリカ人は国土への愛着が無い。「えっ、そんな馬鹿な !」と思う人もいるだろう。でも、良く考えてみるとうなづける点が幾つかある。まぁ、宏大な大陸だからしょうがないが、彼らには「一所懸命」という意識に欠けているのだ。封建制が無かったからかも知れないが、自分や両親、祖父母が生まれ育った郷里を守ろうとする熱意が薄いと言わざるを得ない。日本だと何百年、千年以上前からの神社とか仏閣などもあるし、樹齢何百年という巨木もあったりするので、先祖と文化遺産が共に暮らしてきたという実感がある。だから、お金儲けの宅地開発だからといって、古い神社や桜の木をなぎ倒して更地にするなど言語道断。それに、もし、生まれた時から住んでいる家とか、祖父母や両親から受け継いだ家屋を取り壊そうとすれば、いくら古ぼけた建築物とはいえ哀愁を感じてしまうだろう。日本人は建物にも「名残惜しさ」を感じてしまうのである。したがって、たとえ自分の土地じゃなくても、土地転がしや支那人不動産業者などがやって来て、親子代々住んできた祖国を荒らされると、無性に腹が立ってしまうのだ。

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(左: アフリカ系アメリカ人たち / 右: ヒスパニック系生徒たち)

Chelsea Clinton 9(左 / チェルシー・クリントン)
  ところが、アメリカ人はその点あっさりしている。自分が住んでいる片田舎の街にメキシコ人やアラブ人、ソマリア人、支那人が蝟集すれば、直ぐさま見切りを付けてサッサと他所へ引っ越してしまう。住み慣れた家屋だって単なる建物としか思っていないから、壊しても失っても惜しくない。家具や食器まで附けて売却する者もいるくらいだ。また、口では人種平等を述べるリベラル派の白人でも、私生活では別の行動原理を持っている。有色人種が増え始めると引っ越しを考え、適当な理由を見繕って、不愉快な異邦人が“近寄れない”郊外に移ってしまうのだ。他人の子供なら、差別をせずに黒人やヒスパニックの児童と勉強しろ、とほざくリベラル派でも自分の子供は可愛いから、下品な有色人種がいない私立進学校を選んでいたりする。受け容れる学校側も、矛盾を矛盾としない態度を取っているから滑稽だ。貧乏な移民の子供が通えない名門校で、啓蒙思想を自慢する左巻きの先生は、「世間には可哀想な移民を差別するネオナチの白人がいるので、みんなは、そうした醜い大人になっちゃいけませんよ !」なんて教えている。それなら移民が溢れる公立学校に通ってみろ、と言いたくなるじゃないか。ヒラリー・クリントンは口では人種平等を唱えているが、自分が購入する豪邸は黒人が少なく白人が多い高級住宅地に建てていたし、娘のチェルシーは高い授業料がかかるスタンフォード大学を選んでいた。亭主のビルが知事を務めていたんだから、アーカンソー大学へ通わせて黒人たちと一緒にさせればいいのに、我が子は別らしい。そう言えば、亭主の浮気相手は白人女性ばかりだった。

Ronald Reagan 1Lyndon Johnson 1(左: ロナルド・レーガン / 右: リンドン・ジョンソン)

  ちょっと逸脱したので話を戻す。アメリカ人の保守派は、異質な民族の流入で、七転八倒もがき苦しんでいる。かつてはイギリス人やスコット人、アイリス系やドイツ系の西歐人が主流だったのに、種族別移民法を撤廃してからというもの、有色人種が怒濤の如く侵入してきた。1950年代までの白人社会のままであれば、政策や理念を討論しながら国家の方針を変えることができたが、異民族混淆社会になった今、真摯な議論で国政を変えることはできなくなってしまった。西歐系白人同士なら、国家を呪う反米主義や反軍思想、社会のモラルを破壊する左翼思想やマルクス主義を訂正することができた。ロナルド・レーガンが登場した時、南部の民衆党員が共和党に投票したのは、保守的な民衆党員が党派よりも国家を選んだからである。ジョンソン大統領以来の左翼リベラル路線に、キリスト教とアメリカの伝統を重視する南部の白人は嫌気が差したのだ。また、ベトナム戦争の後遺症を癒やすレーガン大統領の愛国思想に心を打たれた南部人は、南北戦争以来続く共和党への恨みを忘れて、偉大なる指導者の呼びかけに共鳴したのである。軍事的、道徳的、経済的に「強いアメリカ」を訴えるレーガンに、アメリカ白人の愛国心は再燃したのだ。

  しかし、第21世紀になってみると、アメリカ合衆国を構成する国民の“質”が変わっていたのだ。大学で左翼に仕上げられた西歐系白人は、いつの間にかヒスパニックやアジア、アラブ系の「新国民」に、自分の領土を浸食され、自分たちの投票で指導者を選べなくなっていた。デモクラシーでは多数決が原則なので、当選しようと欲する政治家は、有色人住民の意見も聞き入れなければならない。これは教養と財産を持つ中流階級の白人にとって脅威だ。例えば、白人が福祉予算の削減を望んでも、政府の補助金をせがむ有色人がいれば、議員は無視できない。数が増えた「マイノリティー」を否定すれば選挙に負けるから、共和党と民衆党の候補者はこぞって彼らの御機嫌取りに奔走する。もともと民衆党は下層民を包括する集団だからいいけれど、共和党は自立心を尊ぶ保守派を抱えているので、左翼政策を掲げると保守的党員から不満が吹き出てしまう。共和党は分裂状態になるのに、民衆党は結束を強めたうえに、新たな帰化人を取り込んで肥大化するから優勢となる。これをうらやむ共和党では、左翼路線に舵を取る裏切り者が出て来て、民衆党と協力するリベラル派、保守派もどきの隠れ左翼に反撥する保守本流、個人の自由を推し進めるリバタリアン派などで分裂状態となってしまった。こうした狭間に存在するヒスパニック党員は、独自の民族的派閥を形成し、共和党の重鎮に揺さぶりをかけているのである。これからはマルコ・ルビオのような民衆党的議員が増えてくるだろう。

  ヒスパニックが同胞主義を取るなら、アフリカ系党員も同族主義を取ってしまう。黒人上院議員のオバマが大統領選挙に出馬となった時、国務長官を務めたコリン・パウエルやコンドリーサ・ライスも、党の垣根を越えてオバマ支持に回ってしまったのである。こうしたレイシズムを垣間見た白人党員は、「やっぱり黒人は黒人なんだな」と実感したらしい。共和党政権で要職を務めた有名人が、所属政党への忠誠を棄てて、黒い同胞に擦り寄ったのだから、明らかに同族贔屓が存在していたのだ。閣僚経験者でもこの有様なんだから、一般のヒスパニックやアフリカ系、ムスリム系の有権者が、種族を基準として支持政党を決めたっておかしくはない。共和党の政治家がどんな政策を掲げようが、中南米やアジアからの帰化人とその子孫は民衆党支持者になってしまうのだ。彼らには米国の軍事外交とか金融政策なんて興味が無い。だいいち、説明したって分からないから、聞く耳を端っから持っていないのだ。ここに、大金持ちの狙いがある。グローバリストにとって、白人の保守派はあれこれ抵抗するから厄介だ。それよりも、はした金で簡単に買収できる下層民の方が好ましい。黒人やヒスパニックを保守派の白人に対抗させておけば一石二鳥だ。どうせ、彼らと大富豪たちは住む世界が違うから、民衆党の議員が福祉をばらまいたって構わない。高額所得者たちは税逃れの手段をマスターしているし、子飼いの政治家を使って更なる儲けが出来るから、アメリカという一つの国家がどうなろうが平気なのだ。

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(左: コリン・パウエル / コンドリーサ・ライス / バラク・オバマ / 右: ジョン・マッケイン)

  マスコミの報道によれば、ヒラリー・クリントンが選挙人獲得数で「優勢」を誇っているそうだから、「かなりの確率」で彼女が次期大統領になるんだろう。(FBIの調査がどの様な影響を与えるかは定かではないけど、クリントン陣営にとっては、相当な痛手になっているようだ。) しかし、待ちに待った初の大女性統領なのに、その歓迎ムードが薄いというのはどうしたことなのか? 彼女の来たるべき勝利は「トランプが嫌いだからヒラリーに投票した」という消極的選択が大半なので、魂を揺さぶるような感動が無いのだ。それでも、左巻きのマスコミはオバマの時と同じく、女性への偏見を打ち砕いた偉大なる一歩と賞讃するはずだ。「民衆党万歳!!」と凱旋式を挙げるんじゃないか。注目すべきは、負け犬となった共和党の方である。党内でティー・パーティーなどか推したトランプへの糾弾が一斉に噴き出すはずだ。惨敗を喫した議員からは、恨み骨髄の仕返しが湧き起こるに違いない。特に、エスタブリッシュメントを象徴するブッシ家やウォール街の手先たち、黒人やヒスパニックの党員たちからも、白人中心の党運営に非難の矛先が向けられるだろう。共和党員の間で凄惨な内ゲバや粛清が行われる可能性だってある。そうなれば、共和党は大幅な路線変更となって、さらなる「民衆党化」が進むだろう。党内のリベラル派が主導権を握り、ジョン・マッケインやミット・ロムニー、ポール・ライアン下院議長みたいな連中が黒人やヒスパニック、ムスリム国民に媚びた政策を打ち出すはずである。これに反撥する白人党員は離脱するか、冷や飯組、あるいは窓際族になるかのどちらかであろう。(ここでは触れないが、最高裁判事の任命もからんでいるので、今回の大統領選挙は法曹界にとっても重要なのだ。)

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(左: 「マイノリティー」になるヨーロッパ系アメリカ人 / 右: 「マジョリティー」になるアフリカ系アメリカ人)

  日本人は対岸の火事と眺めているが、こうした祖国喪失は日本でも起こる。時間的に遅れて到来するだけで、異民族流入による国民の変質は刻一刻と迫っているのだ。超大国アメリカの衰亡を目の当たりにしても、日本人は「オレたちは大丈夫」と高を括っているんだから実に呑気である。我が国でもアジア系国民が激増し、日系人と対立すれば、必ず精神的に弱い日系人が敗北するだろう。左翼教育でくるくるパーになった日系人は、支那人や朝鮮人の政治家に投票しながら、日系人の社会的地位が低下したと嘆くんじゃないか。朝鮮人の首相が誕生して、閣僚の中に支那系やフィリピン系の議員が混じっているという未来は恐ろしいが、そうした恐怖が実現してしまうから日本はかなり危ない。現在の日本人は何十年後かに、家族写真のアルバムを見ながら、自分の孫に「昔は日系日本人が主役だったのよねぇ~」と語るようになるだろう。色褪せた写真におさまっている子供時代を懐かしんで、「あの時もっと勇気を出して外人を追い払っていればなぁ」とつぶやいても遅いんだぞ。




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