教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房

崖っぷちのフジテレビ

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(右: 少数派になるアメリカの白人  / 左: 多数派になるアメリカ人の種類)

  トランプ革命は既存の大手メディアにとって脅威である。新大統領となったドナルド・トランプは、自己のツイッターで勝手にメッセージを送ってしまうからだ。これには主流メディアは焦ってしまう。今までは、大統領が国民に向けて意見や政策を発表しようと思えば、大手専属のジャーナリストを集めた記者会見場か、NBCの「ミート・ザ・プレス」かABCの「ディス・ウィーク」、CBSの「フェイス・ザ・ネイション」に赴いて、独占取材に応じるのが普通だった。ところが、「嘘が混じったニュース」を垂れ流すメディアはトランプ大統領と敵対関係にある。特にCNNとの確執は周知の事実。言いたい放題の素人大統領は、国民の上に君臨する大手メディアを飛び越えて、直接みんなに見解を披露するんだから、新聞やテレビの重役は頭が痛くなる。これじゃぁ、ホワイト・ハウスの情報を独占してきたメディアにとって、お飯(まんま)の食い上げとなってしまうじゃないか。こんな大統領は野放しにできない。マスコミ各社としては、何としてもこの暴言王にお灸を据えて、「俺たちを無視すると痛い目に遭うぞ !」と教えなきゃ、自分たちの存在意義が無くなってしまうのだ。(というより、視聴率や売上げが落ちると自分の給料や地位が危なくなるからだけどね。)

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(左:  NBCテレビの「ミート・ザ・プレス」 /  右: ABCの「ディス・ウィーク」)

  日本のマスコミも似たような所があって、特に在京の地上波テレビが危機感を募らせている。各局とも視聴率の低迷に苦しみ、インターネットに広告料が流れておおわらわ。特にフジテレビの凋落は深刻である。噂によると、視聴率を稼ぐ事ができた夜のドラマが全滅状態らしい。筆者はどんなドラマなのか、観ていないから断定できないけど、タイトルや出演者を眺めれば何となく分かるような気がする。どうせ新人俳優を売り出したい藝能事務所と、出世を優先させるプロデューサーが共同で拵えた安易な作品なんじゃないか。おがくずよりも薄っぺらなドラマなど、アホらしくて我慢できないし、観るだけでも時間の無駄。最近、自宅にWOWOWから勧誘電話がかかってきたから分かったのだが、日テレと共同で実写版の『銭形警部』を作ったそうだ。主演の鈴木亮平という名は初めて聞くものだから、的確にその演技を評価できないけれど、筆者としては「どうせ駄作になるから、やめとけばいいのに」と思ったものである。以前、小栗旬が主演の映画『ルパン三世』を作って惨敗したんだから、もうアニメの実写化は諦めた方がいいんじゃないか。銭形警部は納谷悟朗の声じゃないとしっくりこないし、個人的意見を言えば鈴木氏よりも凄味のある渡辺哲の方が適役だ。でも、渡辺氏が主役だと若い女性にアピールしないから、現実的には無謀かも知れない。結局のところ、ネタが尽きたテレビ局は昔の名作にすがるしかないんだろう。

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(左: 「銭形警部」に出演する鈴木亮平  / 中央: 渡辺哲 / 右: 「ルパン」を演じた小栗旬 )

  脱線したので話を戻す。他のテレビ局も五十歩百歩だろうが、フジテレビの報道番組は「酷い」の一言に尽きる。BSフジの「プライム・ニュース」がトランプ大統領の側近であるスティーヴ・バノン(Stephen Bannon)を特集していたので、乗り気じゃなかったけど一応観てみた。司会の反町理(そりまち・おさむ)が無知なのはしょうがないとしても、ゲスト解説者に招いたのが青山学院大学の会田弘継(あいだ・ひろつぐ)と駿河台経営学部専任講師の八田真行(はった・まさゆき)では、「なんでこんな奴らを」と天を仰ぎたくなる。まぁ、フジテレビのプロデューサーにはこの程度の人物しか頭に思い浮かばないんだろう。テレビ局の御用学者といったら後は、上智大学の前嶋和弘くらいだから、スケジュールか何かの都合でこの二人に決まったのかも知れない。でも、昔から不思議なんだけど、どうしてアメリカ政治の専門家にはロクな奴がいないのか? もしかしたら東京大学が弊害の源流なのかも知れない。かつての間抜け学者なら、斉藤眞(さいとう・まこと)や本間長世(ほんま・ながよ)を思い出すし、今なら久保文明(くぼ・ふみあき)とか藤原帰一(ふじわら・きいち)といったところだろう。世間では日米関係が重要だと言うけれど、有名大学の学問レベルがこの程度じゃ、教え子の大学生がアホになるのも当然だ。左巻きの教授に従順な学生ほど成績が良くなるし、それこそ大学院に進んで学者になろうとする「残りカス」は、指導教官の提灯持ちになるのが普通である。磨きをかけたクルクル・パーが“一丁上がり”とばかりに、「教授」とか「学部長」になるんだから、日本の大学が蛸壺状態になるのも分かる。水族館のイルカだってもっと知能が高いぞ。

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( 左: 会田弘継 / 八田真行 / 久保文明 /  右: 藤原帰一)

  ジャーナリスト上がりの大学教授には、専門知識はおろか教養さえ無い人物が多い。会田氏は共同通信社の記者を経て青山学院大学の教授に納まったが、その歴史観や価値観は左翼に傾いており、米国の政治を分析する際、用いる判断基準はリベラル派が拵えた思想で固まっているのだ。例えば、会田氏はパレオコンサーヴァティヴ(paleoconservative / 原保守主義者)の代表的知識人であった故・サミュエル・フランシス(Samuel Francis)を恐ろしい思想の持ち主と評している。(会田弘継 『トランプ現象とアメリカ保守思想』 左右社 2016 年p.198) 彼はサム・フランシスを反動思想の知識人と捉え、白人優位の人種秩序を再構築しようとする人物と目しているのだ。(「真正保守」を名乗るパット・ブキャナンやジョセフ・ソブランもフランシスの仲間である。) こう聞けば日本人の中にも会田氏に賛成する者もいるだろう。しかし、アメリカ合衆国は白色人種であるイギリス人入植者が、本国に叛旗を翻して樹立した共和国である。彼らが命を懸けて戦ったのは、人類普遍の「人権」とかフランス人が提唱する「平等主義」の為ではなく、古来から尊重されてきた「イングランド臣民の権利」を守る為であった。したがって、白人のイギリス人が建てた国で白人が優位になるのは当然じゃないか。

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(左: スティーヴ・バノン  / 中央サ: ム・フランシス / 右: ジョセフ・ソブラン )

  江戸時代の日本だって差別思想があった。「士農工商」は当り前として、徳川家が武家の中で優位を誇っており、島津家や毛利家は外様大名にされて地方に封じられていたのだ。三河の弱小大名だった家康は死後に「神君」と崇められ、戦国時代の実力主義は衰退し、忠義を以て徳川の天下は不動のものと思われていた。朝廷や公家だって律令制度の上では上位者でも、現実的には徳川家の武力に平(ひれ)伏していたのである。どんな社会でも序列があるから、アメリカ合衆国が白人優越社会であってもおかしくはない。サウジ・アラビアに行けば厳格なイスラム教徒人が支配者層になっているし、エジプトに住めば太陽神の信仰は見る影も無く消滅しており、イスラム教の天下であることが判る。インドでは未だにカースト制が活きているし、支那人は数千年も前から漢民族至上主義と華夷秩序の世界観で凝り固まっていたのだ。朝鮮でもミニ中華思想があって、日本人はせいぜい朝鮮人の弟分、露骨に言えば猿と犯罪者の混血児と見なされていた。つまり、ケダモノと変わらぬ野蛮人ということだ。

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(左2枚: 忌々しい白人のタイプ  / 右2枚: 好まれる黒人 のタイプ)

  西歐系アメリカ人だけを殊さら非難し、目の敵(かたき)にする日本人は異常である。彼らが自国でどんな社会秩序を構築しようが彼らの勝手じゃないか。「白人至上主義」を憎む日本人は、心の奥で「素晴らしい白人達と仲間になりたい」と願っている。しかし、アメリカの白人がその願望を撥ねつけ、冷酷に踏みにじるので、白人に憧れる日本の平等主義者は怒ってしまうのだ。片思いの激しい日本人ほど、白人を激しく非難する傾向が強い。好きな女にフラれた駄目男のようなものだ。もし、アフリカ人が黒人至上主義を以て日本人を差別したら、彼らは同じように激昂するのか? たぶん、「なんだ ! 黒ん坊の分際で俺を差別するなんて!」と腹を立て、「二度と会うものか !」と捨て台詞(セリフ)を残し、さっさとアフリカを去るだろう。日本に住む者なら、一生黒人と交際しなくても支障は無いはずだ。朝鮮人の場合も同じで、日本を侮辱する朝鮮人と仲良しになりたい、嫌われても友好関係を築きたい、と願う日本人は頭がおかしい。一方、朝鮮人が自らを「最高級の民族」と思うのは、彼らの勝手、妄想、幻覚、精神錯乱だ。優秀な朝鮮人は国産のスペース・シャトルに乗って月にでも行け。ただし、メイド・イン・コリアのロケットだから、発射直後に爆発し、「あの世」行きに変更されるかも。それでも、隅田川の花火より壮大だから、やはり“優秀な”朝鮮人には才能がある。

NHKが行う思想操作

Richard Spencer 01( 左 /  リチャード・スペンサー)
  この「オルタナ右翼」に関しては、「国際報道2017」という番組でBSのNHKも触れていた。極左放送のNHKだからしょうがないけど、この番組は「オルト・ライト 勢いづく白人至上主義」という特集を組み、「オルタナ右翼」の代表格として今注目のリチャード・スペンサー(Richard Spencer)を取り上げていたのだ。(ちなみに、筆者は数年前からスペンサー氏の文章をよく読んでいたので、彼の主張にはさしたる違和感を感じない。) ゲスト解説者には一般に馴染みのない立命館大学教授の南川文理(みなみかわ・ふみのり)を迎えていた。南川氏も他の御用学者と変わらず、終始凡庸な解説を繰り返し、「オルタナ右翼」の支持層は、進学や就職で困っている白人の下層階級や労働者たちで、白人であるが故に不当な差別を受けていると思う人々、と述べていた。この番組はスペンサー氏が壇上に上がってスピーチを行う集会の映像を流していたが、裏方の制作者は明らかにネオ・ナチの演説会という印象を視聴者に与える意図を持っている。スペンサー氏がトランプ大統領の当選を受けると、聴衆に向かって「ヘイル・トランプ、我々の勝利だ(Heil Trump, heil our people, heil victory !)」と叫び、会場の者たちも「ヘイル・アメリカ」と呼応した。トランプ大統領誕生を祝い、右腕を斜め上に掲げる人々の光景を見れば、一般の歐米人はナチスの集会を思い起こすだろう。

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(左: ナチ式敬礼をするドイツ国民  / 右: ベラミー敬礼で国旗に忠誠を誓うアメリカの子供 )

  だが、このナチス式敬礼は古代ローマ人が行っていたと思われるジェスチャーの模倣で、ドイツ人が発明した様式ではない。第二次世界大戦前のアメリカでも、ナチ・ドイツの「対ヒトラー敬礼(Hitergraß)」にそっくりな「ローマ式敬礼(Roman salute)」の「ベラミー敬礼(Bellamy salute)があったのだ。小学校に通う子供たちが星条旗に忠誠を誓う際にも、右腕を斜め前方に掲げてみんなで敬意を払っていたものである。ドイツ人がローマ様式を真似たからといって、ナチ党員でもないアメリカ人がそれを遠慮するのはおかしい。それに、スペンサーたちが「ヘイル・トランプ」と合唱したからといって何なんだ? ユダヤ人が身震いすることは禁止なのか? 普段は「表現の自由」を絶叫する左翼が、「ベラミー敬礼は駄目 !」という根拠を明らかにしないのは変だ。ドイツ人が「ハイル・ヒトラー」と口に出来ないからといって、アメリカ人も追随して、ドイツ風に「ヘイル・トランプ」と言えないのは筋が通らない。もし、スペンサー氏が日本語風に「トランプ・バンザイ !」と公言したら、「天皇陛下、万歳 !」を叫んだ帝国軍人を思い起こさせるから、日本式に当選を祝うのは禁止となるのか? 日本人だって戦前・戦中の言い方を忌避して、朝鮮風に「天皇陛下、マンセー」と叫んだらおかしいだろう。

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(左: スペンサーの演説集会に集まった聴衆  / 右: ナチ式敬礼をするヒトラー )

  NHKは編集権を最大限に利用して、巧妙な印象操作を行う常習犯である。「国際報道」はスペンサー氏のもとに記者を派遣し、単独インタビューを行ったが、その会話を全部放送せず、「あなたはレイシストなんですか?」という質問と「どう呼ばれようが気にしない」と答えるスペンサー氏の短い問答だけ。これでは彼の主張が如何なるものなのか、日本の一般視聴者には分からない。しかし、NHKの制作スタッフが想定する「無知で幼稚な視聴者」には充分だ。どうせ小学生ていどの頭しか持たない一般国民は、スペンサー氏がネオ・ナチもどきの白人優越論者である、とだけ認識できればいいのである。日本の一般国民は低能児と一緒だから、NHKの方針通りに考え、指図された通りに動けばいいのだ。NHKの傲慢な制作者は「自分の頭で考える日本人」を想定していないし、たとえ存在したとしてもそれを認めない。NHKがスペンサー氏を「とんでもない白人」と規定すれば、それが日本人の持つ判断基準となり、これに疑問を抱く者は「異端者」として扱われてしまう。日本国民は独自にスペンサー氏の主張を聴き、彼の「ナショナル・ポリシー研究所(National Policy Institute)」に掲載された論文を精読して考えるべきだ。南川教授はスペンサーたちを「被害妄想の白人」と評するが、我々は自分の目と耳で検証した方がいい。現在の日本人は大卒者が増えたせいか、左翼が作った枠組みで考えてしまう傾向がある。心理戦や謀略戦は武力戦争だけでなく、日常生活でも使われているのだ。

バノンを茶化す日本の知識人

  フジテレビに出演した会田氏の著書を一々批判すると、ブログが長文になってしまうので、仕方ないから割愛する。また、もう片方の八田氏も中身がひどくて、批判するのが厭になってくる程だ。番組の中でアメリカのネット事情に詳しいと紹介されていたが、要するにインターネット上の「ネット右翼」を批判しているだけの人物である。彼は米国で流行の「オルタナ右翼(alternative right)」を一般人に説明する際、リベラル派の視点から述べていた。八田氏は「オルタナ右翼」の定義は難しいとしながらも、その同調者が如何なる人々なのかを解説している。彼の見解によれば、「オルタナ右翼」とは自分が不当に迫害されていると思い込む被害妄想者であるという。(「オルタナ右翼とゲーマーゲートと呼ばれる事件の関係」 ニューズウィーク 2016年9月21日) オルタナ右翼は「白人あるいは西洋の文化が多文化主義のリベラルによって脅かされている」と考え、ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい言葉)を敵視するらしい。だから何だ? オルタナ右翼は正常じゃないか。実際、多文化主義でアメリカの西歐的社会は崩壊寸前だし、「政治的に正しい思想(ポリティカル・コレクトネス)」で「言葉狩り」が行われた結果、アメリカ白人は言いたいことを言えなくなっている。

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( 左ジョージ・ワシントン / トマス・ジェファソン / ベンジャミン・フランクリン / 右バラク・オバマ )

  以前のアメリカでは「言論の自由」があったのに、今ではこの「自由」は絵空事になっている。もし、その権利を白人が行使すれば社会的地位を失う破目になるが、黒人や南米人だと問題にならず、堂々と「俺たちは偉大だ。我々の文化は素晴らしい」と公言できるのだ。そもそも、英国の血統とは無関係な有色人種が、「イギリス的自由」を謳歌する一方で、アングロ・サクソン系入植者の子孫がそれを禁止され、遠くから羨むなんて馬鹿げている。左翼思想に染まった八田氏は、有色人種や雑種混血児が中心となる平等社会を理想としているのであろう。(ただ、本人がそれに気づいていない場合もあるので、八田氏が否定する可能性はある。) しかし、アメリカの白人はそんな人種混淆社会を望んでいなかった。独立戦争前後の黎明期に、誰が人種平等社会を提唱し、黒人大統領を予測できたのか? (有名な英国人歴史家のエドワード・フリーマンは、黒人を解放したら黒人の公職者が現れるぞ、と警告していた。それでも、彼は「まさか、そんなことはあるまい」と高を括っていたんだから、当時の白人達が人種平等社会を妄想と考えていても不思議ではなかった。) もし、トマス・ジェファソンやジョンアダムズ、ベンジャミン・フランクリンに「黒人が大統領になる可能性は?」と質問したら、彼らはその質問者を気違いだと思うだろう。彼らにとってアメリカ公民とは、イギリス人を主流とした財産を持つ西歐系白人で、異教徒のアラブ人とかユダヤ人、南米のインディオなどではない。当時の入植者はわざわざ常識を紙に書いて法律にはしなかったから、未来を考えて西歐白人だけの国家にすべしとは明記しなかったのである。

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(左: アンドリュー・ブライトバート  /  右: スティーヴ・バノン)

  「プライム・ニュース」に出演していた八田氏の解説によると、先代のアンドリュー・ブライトバート(Andrew Breitbart)が創設したニュース・サイト「ブライトバート(Breitbart)」は比較的まともで、保守本流を目指していたが、彼の死後ブライトバートの統括者となったバノンが、このサイトを「オルタナ右翼」の方向に持っていって、イエロー・ジャーナリズム(刺戟的な話題を目的とする大衆紙)にしてしまったというのだ。八田氏は「ブライトバート」が派手な見出しと極端な表現で右派系の読者を煽り、いい加減な記事を掲載している怪しい媒体と評していた。例えば、「ブライトバート」はヒラリー・クリントンの側近であるウマ・アベディン(Huma Abedin)を根拠も無しにサウジ・アラビアのスパイと決めつけるような記事を掲載していた、と語っていた。おそらく、八田氏が持ち出したのはダン・ディールが2016年6月15日に書いた記事だろう。(Dan Riehl, Roger Stone : Huma Abedin ‘Most Likely a Saudi Spy’ with Deep, Inarguable Connections to Global Terrorist Entity,  Breitbart, 15 June 2016)

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(左: 娘のウマ・アベディン  / 中央: 父親のサイード・アベディン / 右: アブドゥラ・オマー・ナシーフ )

  この容疑を少し説明すると、サウジ・アラビアの役人にアブドゥラ・オマー・ナシーフ(Abdullah Omar Naseef)という人物がいて、彼は「ムスリム世界同盟(MWL)」を創設したメンバーの一人であった。そして、このMWLは「ラビタ・トラスト(Rabita Trust)」という世界的テロ組織と繋がっており、この集団の創設にはパキスタン政府も一枚噛んでいる。ウマ・アベディンの父親はイスラム教徒のインド人だが、彼女が幼い頃一家はサウジ・アラビアに移住し、父のサイード(Syed Zainul Abedin)は「ムスリム少数派問題研究所(Institute of Muslim Minority Affairs)」というシンクタンク(think tank)を設立する。そして、「ジャーナル・オブ・ムスリム・マイノリティー・アフェアーズ(Journal of Muslim Minority Affairs)」という学術誌を発刊すると、その初代編集長となった。この雑誌はアベディン家のファミリー・ビジネスとなり、娘のウマはアシスタント編集員になったという。注目すべきは、この雑誌の財政支援者がナシーフであったことだ。彼はラビタ・トラストを利用していたらしく、この慈善団体はアルカイーダ系の組織とも繋がっていたので、アメリカ財務省から資産を凍結されてしまったそうだ。中東アジアの組織や人脈は複雑すぎるので、何処までが本当で、何が嘘なのか判別しにくい。ただ、アベディンをサウジのスパイらしいと報じる「ブライトバート」の記事は、著名なロビイストで政治評論家のロジャー・ストーン(Roger Stone)から聞いた話を基にして書かれたものである。

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(左: ロジャー・ストーン  / バリー・ゴールドウォーター / ロナルド・レーガン / 右: リンドン・ジョンソン )

  日本では余り知られていないが、このロジャー・ストーンはワシントンの政界では、ちょいと知られた共和党系の政治コンサルタントである。彼は共和党保守派の大統領候補者であったバリー・ゴールド・ウォーター(Barry Goldwater)やリチャード・ニクソン、ロナルド・レーガンの選挙に係わり、政党のみならず政界の裏にも精通している人物だ。とりわけ、腐敗の限りを尽くしたリンドン・ジョンソン大統領を糾弾し、ジョンソンがテキサス時代に犯した数々の悪行を暴露するストーンの話はとても興味深かった。日本で言えば、政治評論家の伊藤昌哉(池田勇人の秘書)とか早坂茂三(田中角栄の秘書)が、お公家集団の宮澤喜一や豪腕小沢一郎の裏話をしているようなものである。そう言えば、伊藤氏は池田と白洲次郎の小遣いだった宮澤をコテンパンに批判していた。まさか小役人程度がお似合いの宮澤が、こともあろうに総理になるなんてケシカラン、と思っていたのだろう。まぁ、吉田茂だって草葉の陰て溜息をいつていたはずだ。あの策士だった三木武吉でさえ、「自分は総理大臣の席には相応しくない」と遠慮していたのだから、徴兵逃れの宮澤が総理の椅子に坐るなんて言語道断。早坂氏も東大法学部卒を鼻に掛ける宮澤が大嫌いで、親分の角栄を低学歴総理と馬鹿にしていた宮澤が許せなかった。(伊藤や早坂の話を紹介すると長くなるから省略。) とにかく、政界の闇を垣間見た裏方の秘書官が伝える逸話は面白い。

  ロジャー・ストーンがどのような情報と根拠でアベディンを分析したのか詳(つまび)らかではないが、少なくとも長いこと政界を渡ってきたストーンには、アベディンがクリントン財団とイスラム組織を繋ぐパイプ役、あるいは中東問題を解決する際のフィクサーという立場であることが分かっていたのだろう。ただ、ストーン氏が彼女を「おそらくスパイだ」と見抜いたのは、様々な事実からの結論もあろうが、最終的には彼の鋭い勘なのかも知れない。日本人は「スパイ」と聞けば、ジェイムズ・ボントかリヒャルト・ゾルゲみたいな人物を想像してしまうが、ウマ・アベディンはサウジ政府の支援を受ける合法的エージェントと考えれば、納得いくだろう。表向きは稼業の研究所を背景としているが、慈善活動や学術交流を通して人脈を広げ、幾つかのクッション、つまり研究機関や慈善団体を挟んで危険人物と接触する仲介者ということだ。例えば、パーティーで知り合うアラブの大富豪は、チャリティー団体に気前良くお金を寄附するが、裏の世界で暗躍するテロ組織にも気前が良い。ウマがこうした二面性を持つ人物と親密になり、親分のヒラリー・クリントンに紹介すれば、サウジ政府だってその関係を操れるし、ヒラリーの方もバック・チャンネルを構築できるから「お得」と考えるだろう。

  八田氏は「ブライトバート」の記事を「いい加減なもの」と茶化すが、その前にロジャー・ストーンの説を検証するのが先だろう。彼は記事の信憑性を疑い、ストーンに同調したバノンをコケにするが、外国政府がアメリカ政界の要人に工作員を送り込むくらい普通じゃないか。冷静さや客観性を前面に出す八田氏は、ヒラリーの側近がアジア系やアラブ系の名前を持っているから、オルタナ右翼の読者が非難しているのだ、と述べていた。しかし、政界に怪しい人物がいれば疑うのは当然だろう。諜報活動や政治工作をする者が自ら正体をバラす訳がないし、権力の中枢を狙う政治家にテロ組織の関係者が近づいていれば、警戒をするのが常識じゃないのか。日本の政治家にだって、支那や北鮮のスパイが私設秘書として潜り込んでいるし、議員自身が外国の手下というケースだってあるのだ。亡くなった社会党の土井たか子や高沢寅男は北鮮の手先だったし、首相になった菅直人は北鮮から資金をもらい、在日工作員と直に繋がっていた。また、北海道選出の議員で、官房長官になった五十風広三は、コードネームを持つソ連のスパイだったことが判明した。鳩山由紀夫に至っては、祖父の時代からソ連に籠絡されており、アレクサンドル・ドムニツキーの後任がずっと鳩山家に張り附いている。軍事小国の日本でも多くのスパイが取り憑いているんだから、超大国の米国に外国のスパイが潜入していても不思議ではないだろう。だから、ストーン氏がヒラリーの右腕たるアベディンを疑っても無理はないのだ。

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(左: ヒラリー・クリントンと一緒のウマ・アベディン  / 中央: 土井たか子 / 右菅: 直人 )

  八田氏は「ブライトバート」を偏見に満ちたニュース・サイトと考えているようだが、元の記事をよく読めばそれほど「いい加減な」内容とは思えない。おそらく、「プライム・ニュース」の一般視聴者は「ブライトバート」の記事を定期的に読んでいないだろう。外国の言論界に疎い視聴者だと、日本語で解説をしてくれる八田氏の方が信用性があり、自分で調べようとはせずに八田氏の判断を鵜呑みにしてしまう危険性がある。しかし、フジテレビはそこを狙っているんじゃないか。つまらない番組を作って左翼的意見を垂れ流すフジテレビとしては、主要メディアの欺瞞性を暴き、その赤い論調を断罪する新興メディアは脅威である。一般国民は凡庸で左傾化した既存の新聞やテレビに飽きているから、ネットニュース・サイトを見るんじゃないか。CNNやABC、ニューヨーク・タイムズなどの押しつけプロパガンダに気づいた一般人は、自分たちが長いこと巧妙に騙されていたことに気づいたのである。インターネットが普及する以前は気軽に情報を集めることは出来なかったし、大手メディアの捏造や偏向を嗅ぎつけた人物も、それを公表できる場所が無かった。小さな雑誌を発行しても読者は限られているし、それを刊行し続ける資金も不足していたから、保守的意見を宣伝するのは至難の業であった。

  しかし、インターネットの普及で放送局を持たないジャーナリストが、スポンサーも無く自由に記事を発表できるようになったし、一般人でさえ世界中に持論を公表する事ができるようになった。地上波放送に甘んずるフジテレビやテレ朝にしたら、無数のライバルが現れたことになり、毎日熾烈な競争を強いられるようになった訳だから、経営者たちが青ざめたのも理解できる。だから、八田氏のような「専門家」を動員して、ネット・ニュースなんか信用できないぞ、「ブライトバート」みたいなメディアはヨタ記事が多いから注意せよ、と宣伝しているのだ。八田氏は「ブライトバート」が「派手な見出し」や「センセーショナルな写真」を用いて人々の注目を集めている、と貶めていたが、商業ベースのネット・サイトなんだから、現実的にしょうがないだろう。朝日や毎日新聞のように、つまらない見出しと退屈な記事でも経営が成り立つのは、毎朝きちんと新聞を届ける「下っ端」の配達員がいてくれるからだ。大手新聞社の記者は、書いた記事の質ではなく、宅配制度のお陰で給料をもらっていのを忘れているのだろう。

  販売店の苦労を蔑ろにする元ジャーナリストの会田氏は、フジテレビに対するゴマすりを忘れていなかった。彼は「ブライトバート」のようなネット・サイトが拡大することに警鐘を鳴らし、きちんとした取材を通して記事を書く既存のマスメディアを存続させるよう、その重要性を視聴者に説いていたのだ。アメリカではネットに押されて新聞が絶滅した地域があるそうで、そこには政治腐敗が蔓延して大変だという。でも、一般人なら「本当かよ」と疑いたくなる。シカゴやニューヨークみたいな都市は新聞があっても腐敗しているじゃないか。新聞の読者が居なくなったから街が荒廃したのではなく、元々そこの住民が腐敗していたんだろう。シカゴの黒人が新聞を毎朝読むようようになっても、街中で起こる銃撃事件や殺傷事件が減ることはないし、市議会の政治家が高潔になる訳じゃない。

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( 上写真 / 新聞を読んで教養がありそうな黒人 )

  まぁ、元共同通信の論説委員だった会田氏にしたら、「新聞なんかつまらないし、読まなくても困らない」と言えば、先輩の面子を潰すことになるし、応援してくれる後輩にもソッポを向かれるから、「新聞は社会にとって重要だ」と訴えなければならない。しかし、記事の捏造を反省せず、未だに反日思想を続ける朝日新聞が存在しているんだから、この方が深刻な問題なんじゃないか。主流メディアがバノン氏やスペンサー氏を批判するのは、自分たちが築いてきた牙城と枠組みが毀(こわ)されたからだろう。アメリカが白人中心の国に戻ることが「けしからん」というなら、日本も「日本人が主流の皇国」に戻る事を断念せねばならない。NHKやフジテレビといったマスコミにしたら、支那人や朝鮮人、タイ人、フィリピン人、インド人、トルコ人と共存する雑種国家が理想となる。将来、我々の子孫が「日本人による、日本のための、日本人が幸せに暮らす日本」を表明したら、「日本人至上主義」とのレッテルを張られて非難されるかも知れない。かつて、鳩山由紀夫が口にした「日本は日本人んだけの国じゃない」という名言は、ますます現実性を帯びてきた。数十年後、我々は思い出のアルバムを開いて、「平成の頃は、まだ日本人が主人公だったよなぁ」と歎く破目になるかも知れないぞ。



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