怪しい関係を持つクラウン一族

Henry & Lester & James Crown












(左: ヘンリー・クラウン  / 中央: レスター・クラウン / 右: ジェイムズ・クラウン )

  大富豪は自身の王朝を築きたがる。ヘンリー・クラウンも自分の基盤を強固にしたかったのか、長男のロバートを跡継ぎにしようと図った。ところが、このロバートが心筋梗塞のため48歳の若さで亡くなってしまったので、次男のレスターがヘンリー・クラウン&カンパニーの総帥となった。レスターはジェネラル・ダイナミックス社の重役になったが、ロビー活動やシオニスト・ユダヤ人とのコネ作りにも抜かりが無かった。シカゴで黒人扇動家として活躍していたオバマをイスラエル・ロビーに導いたのはラーム・エマニュエルだが、そのエマニュエルをジョン・W・ロウ(John W. Rowe)に紹介したのはレスター・クラウンである。ロウはエネルギー会社の「エクセロン(Exelon Corporation)」最高経営社になった人物で、以前はエネルギー関連企業の「ユニコム(Unicom)」 の社長を務めていた。彼はクリントン政権を離れたエマニュエルに大金を稼がせたので、イスラエル・ロビーやユダヤ人団体と太いパイプを持つことができたという。 

 Rowe 1Junius Myer Schine 1Renee Crown 21








(左: ジョン・ロウ  / 中央: ユニウス・マイアー・シャイン /  右: 夫のレスターと一緒のルネ・クラウン)

  レスター・クラウンは父ヘンリーから受け継いだ支配権を息子のジェイムズ・シャイン・クラウン(James Schine Crown)に手渡した。このジェイムズも父と共同でオバマの選挙資金集めに奔走していたから似た者同士である。ちょっと話が逸れるが、彼が持つ「シャイン」というミドル・ネームは母親ルネの旧姓で、彼女の父親は劇場とホテルを経営するユニウス・マイヤー・シャイン(Junius Myer Schine)である。以前は、米国の東部地域に「シャイン劇場」と呼ばれる映画館が結構あった。このユダヤ人豪商にはジェラード・デイヴィッド(Gerard David Schine)という息子がいて、ルネはデイヴィッドの妹になる。御曹司のデイヴィッドは若い頃反共主義に夢中で、『共産主義の定義(Definition of Communism)』というパンフレットを発行したことがあるそうだ。やがて、この小冊子は奇妙な巡り合わせをもたらすことになる。デイヴィッドのパンフレットはジョセフ・マッカーシー上院議員の側近となっていたロイ・コーン(Roy Marcus Cohn)の目に止まり、シャイン家の息子はロイの盟友になった。ちなみに、ロイ・コーンは左翼が当り前のユダヤ人社会の中で異端児的な存在であり、「ユダヤ人の全員が共産主義に靡いている訳じゃない」という事を証明すめため、あえてユダヤ人から憎まれているマッカーシーのもとで赤狩りに励んでいたそうだ。

Gerard David Schine 1Roy Cohn 2Roy Cohn & Schine & McCarthy








(左: ジェラード・デイヴィッド・シャイン  / 中央: ロイ・コーン  /  右: ジョセフ・マッカーシー議員と一緒のロイとデイヴィッド )

  ユダヤ人というのは昔から、相互扶養を民族の掟にしているようなところがある。彼らは互いに援助し合うことで、民族全体の利益を増大させようとする「暗黙のルール」があるそうだ。1953年11月、デイヴッド・シャインは陸軍に徴兵されることになった。そこで、心配になったロイ・コーンが一肌脱ぐこととなり、デイヴッドを“特別扱い”にしてくれるよう陸軍に頼み込んだ。しかし、陸軍はこの申し出を断ったので、有力議員の顧問を務めるコーンは、陸軍長官に電話を掛け、政治的圧力をちらつかせて要求を通そうとしたらしい。これが陸軍の逆鱗に触れ、議会で問題となり、コーンはマッカーシー議員の事務所を去ることになった。(その後、民間業界に戻ったコーンは、不動産業を営んでいたドナルド・トランプと親しくなり、彼の顧問弁護士を務めるかたわら、政治における師匠となっていた。) ちなみに、AIDSで亡くなったコーンはゲイであったので、親しく付き合っていたデイヴィッドは周囲から「コーンのパートナー(恋人)じゃないのか ?」、と疑われたそうだ。しかし、デイヴッドは同性愛者ではなく、ちゃんと女性に興味を持っていた。彼は色々な女性と浮き名を流していたが、最終的に「ミス・スウェーデン」兼「ミス・ユニバース(1955年)」の優勝者であるヒレヴィ・ロンビン(Hillevi Rombin)と結婚する。彼女は元スウェーデン人の女優で、若い頃クリント・イーストウッドと一緒に演劇を学んだことがあるという。

Hillevi Rombin 1Roy Cohn & Trump 2








(左: ヒレヴィ・ロンビン  / 右: ロイ・コーンとドナルド・トランプ )

  縁故騒動で渦中の人となったデイヴィッド・シャインは、後に実業界やショウビズの世界に身を投じ、映画制作も手掛けたそうだ。ジーン・ハックマン主演でアカデミー賞を取った『フレンチ・コネクション』は日本でも大ヒット作品となったが、エグゼクティヴ・プロデューサーを務めたのは意外にもシャンイであった。しかし、運命の女神は彼に厳しく、1996年、彼は飛行機事故に遭い、同乗していた夫人と共に亡くなっている。後に、ロイ・コーンを主題にした『シチズン・コーン』というドラマが制作され、ロイ・コーンの役を名優ジェイムズ・ウッズ(James Woods)が務め、デイヴィッド・シャインの役をジェフリー・ノードリング(Jeffrey Nordling)が演じていた。ノードリングは大ヒット・ドラマ『24』のシーズン7で、FBI捜査官のラリー・モスを演じていた男優である。それにしても、ロイ・コーンはトランプ大統領に多大な影響を与えた反共主義者なのに、あまり一般の日本国民には知られていないのは少々おかしい。情けないことだが、日本のテレビ局は米国の主要メディアからもらったニュースを垂れ流すだけで、肝心な情報を伝えないときている。これじぁ、公共の電波を無駄にしていると非難されても反論できまい。地上波テレビ局は、上智大学の前嶋和弘や外交評論家の岡本行夫、宮家邦彦を招いて、「ご意見」を拝聴するけど、一般人は彼らの凡庸な見解を聞いて「なるほど、そうだったのか ! 卓見だ !」といった感銘を受けたことがあったのか? あんなのは“どうでもいい”喫茶店のBGM程度だ。

Gene Hackman 2James Woods 2Jeffrey Nordling 2








(左: 「フレンチ・コネクション」に出演したジーン・ハックマン  / 中央: ジェイムズ・ウッズ  /  右: 「24」でのジェフリー・ノードリング )

  ユダヤ商人は同胞との人脈を濃密にしながら利益を拡大することに長(た)けている。レスター・クラウンのいとこにスザンヌ・グッドマン(Suzanne Crown Goodman)という婦人実業家がいる。彼女はヘンリー・クラウンの弟であるアーヴィン・クラウン(Irving Crown)の娘で、チャールズ・H・グッドマン(Charles H. Goodman)の夫人となった。クラウン一族の女性と結婚したチャールズは、1973年から2002年まで「ヘンリー・クラウン社」の副社長を務め、2002年には同社の副会長に納まっていた。また、1991年以降、彼はジェネラル・ダイナミックス社の重役も務めており、ブランダイス大学の理事にもなっていたという。注目すべきは、1995年から1999年まで、彼がイスラエル・エイジェンシー統轄者理事会(Board of Governors of the Jewish Agency for Israel)の会長を務め、更にユダヤ人コミュニティー連合(United Jewish Communities)にも属していたことだ。

  こうしたコネクションを念頭に置けば、誰でもなぜジェネラル・ダイナミックス社がイスラエルの軍事メーカーと合弁会社を設立したのか、何となく察しが付くだろう。イスラエルのアメリカ・エルビット・システムズ社(Elbit Systems of America)は、ジェネラル・ダイナミックス・アーマメント&テクニカル・プロダクツ社(General Dynamics Armament and Technical Products)と組んで、ヴェンチャー企業の「UASダイナミックス(Unmanned Aerial System Dynamics, LLC)」を創った。この子会社は海兵隊に納入する無人偵察機などを製造していたことで知られている。一般国民にとって重要なのは、両者間でジョイント・ヴェンチャー企業が設立されたことではなく、アメリカに住みつくユダヤ人がイスラエルと特別な関係を結んでいることだ。ジェネラル・ダイナミックス社の賄賂事件を受けて、国防総省はレスター・クラウンのセキュリティー・クリアランス(security clearance)を無効にしようとしたが出来なかった。(Douglas Frantz, "Lester Crown Keeps Top-secret Clearance", Chicago Tribune, August 2, 1986) もし、クラウンのアクセス権が停止されれば、ジェネラル・ダイナミックス社にとって大打撃となったであろう。米国の軍事機密が解らなければ、肝心な兵器開発をできないし、ライバル会社に遅れを取って死活問題となる。クラウンが一貫して関与を否定したのも当然だ。

闇に蠢くシオニスト・コネクション

  実は、ジェネラル・ダイナミックス社の闇は、政治家への工作とか役人への賄賂などではない。同社には国家機密の漏洩容疑があったのだ。詳しく述べると長くなるので省略せねばならないが、クラウンたちは複雑に絡み合ったユダヤ・コネクションに一枚噛んでいたのである。今では「公然の秘密」となっているが、イスラエルは米国のユダヤ人と連携して核開発に成功していた。以前、ジェネラル・ダイナミックス社は合衆国海軍のハイマン・リックコーヴァー提督(Admiral Hyman G. Rickover)に賄賂を送っていた。気前の良い「ギフト」の中身は様々で、夫人へのプレゼントには耳飾りがあったり、提督にはバッファロー・ホーン型フルーツ・ナイフのセット、潜水艦のシルエットが刻まれた文鎮、銀の皿に載せたジュレップ・カップ、運転手附きの送り迎え、スーツのドライ・クリーニング代などが含まれていたそうだ。(Wayne Madsen, "Purging Rickover", Intrepid Report, May 14, 2013) いくら貰ったのかは判らないけど、クリーニング代くらい自分で払ってもよさそうなものだが、兵器会社の「心配り」は隅々まで行き届いていた。何となく日本の官官接待を想い出す。

Hyman Rickover 1Zalman Shapiro 2Edgar Hoover 1










(左: ハイマン・リッコーヴァー  / 中央: ザルマン・シュピロ  /   右: エドガー・フーヴァー)

  リックコーヴァー提督はジェネラル・ダイナミック社ばかりではなく、ジェネラル・エレクトリック社、ウェスティングハウス・エレクトリック社、ニューポート・ニューズ造船&ドライドック社からも賄賂を受けて取っていたという。この海軍提督は「合衆国海軍原潜の父」と称された人物なのに、関連企業から袖の下を貰う瀆職軍人だったから、アメリカ国民にとっては大ショックだ。しかし、問題の核心はこんな金銭問題ではない。リックコーヴァー提督はユダヤ人政商のザルマン・シャピロ(Zalman Shapiro)と昵懇の仲であったのだ。日本でも有名な「ウェストティングハウス社(Westinghouse Electric)」は合衆国海軍初の原潜「ノーチラス(USS Nautilus)号」建設に携わった会社で、シャピロは曾てそこで働く原子力技術者であった。後に、彼は核兵器製造の材料と機材を供給する会社(Nuclear Materials and Equipment Corporation / NUMEC)を設立するが、1957年から1967年にかけてウラン235を22トンもイスラエルに流したのでは、という容疑をかけられてしまう。本来、そのウランは海軍に納入されるはずだったのに、密かにイスラエルへと運ばれてしまったのだ。FBIのエドガー・フーバー(J. Edgar Hoover)長官は、シャピロが怪しいと睨んでいたそうだが、シャピロは繰り返し容疑を否定していた。(Torsten Ove, "New life for decades-old lawsuit blaming nuclear plant for cencers", Pittsburgh Post-Gazette, April 27, 2008) ここで刮目すべきは、リックオーヴァーがNUMECと海軍の取引を統括する役目を担っていたことである。なんという“偶然”であろうか !

Dalck Feith 1Douglas Feith 1(左: 父親のダルク・ファイス  /  右: 息子のダグラス・ファイス)

  シャピロはイスラエルとの関係が深く、彼は「イスラエルNUMECアイソトープス(Israel NUMEC Isotopes)」と「ラディエイション・エンタープライズ社(Radiation Enterprises Limited / ISORAD)」も経営していたのである。後者のISORADは、違法手段で核兵器を調達する「モサド(Mossad / イスラエルの諜報機関)」の偽装会社(front company)として知られている。シャピロのNUMECは「米国シオニスト組織(Zionist Organization of America)」とのパイプも太く、支援者の中には金融資本家のデイヴィッド・ローウェンタール(David Lowenthal)がいた。ローウェンタールはシオニスト仲間のダルク・ファイス(Dalck Feith)と親しく、彼はブッシュ政権で国防次官を務めたダグラス・ファイス(Douglas Feith)の父親だ。ダルクはポーランド系ユダヤ人で、かつてシオニスト青年組織の「ベター(Betar)」に属していたくらい、筋金入りのシオニストであった。したがって、彼の息子がイスラエルのためにイラク占領を計画しても不思議ではない。ついでに言うと、ゼフ・ジャポティンスキー(Ze'ev Jabotinsky)が創った「ベター」には、若きイツァク・シャミール(Yitzhak Shamir)とメナヘム・ベギン(Menachem Begin)も属していた。後にイスラエルの首相になる二人が属していたんだから、よほど魅力的な組織だったんだろう。

Menachem Begin 1Yitzhak Shamir 1Zeev Jabotinsky 1John Dingell 1







(左: メナヘム・ベギン   / イツァク・シャミール  /  ゼフ・ジャポティンスキー/  右: ジョン・ディンゴル )

  日本では軍事専門家とか兵器オタクしかリックコーヴァー提督を知らないが、彼の背景を知ればどうしてイスラエルとの繋がりが深かったかが判る。日本の学者は彼をロシア系アメリカ人とだけ紹介するが、実はユダヤ系アメリカ人なのだ。彼の両親はポーランドからやって来たユダヤ人で、本名はハイム・ゴダリア・リックコーヴァー(Chaim Godalia Rickover)という。民衆党下院議員のジョン・ディンゴル(John Dingell)はレスター・クラウンの悪行を調査していたが、リックオーヴァーと係わりのあるシャピロの裏家業にも目を附けていた。たぶん、議会と諜報機関の報告を聞いていたのだろう、ケネディー大統領もイスラエルとリックコーヴァーの関係を怪しんでいたそうだ。確実な証拠は無いが、もしかしたらイスラエルの核保有に否定的だったから、ケネディーは暗殺されたんじゃないか、という噂もある。ケネディー暗殺後、念願の大統領に昇格したジョンソンは、大のユダヤ人贔屓だったから、イスラエルが手助けしたとも考えられるのだ。ちなみに、核物質の密輸を一貫して否定したシャピロには強力な弁護士が付いていた。それは、後に連邦上院議員となるアーレン・スペクター(Arlen Specter)であった。スペクター議員はロシア系ユダヤ人で、後に連邦判事となるマーヴィン・カッツ(Marvin Katz)と共同で法律事務所を開いていた。西歐系アメリカ人がどう思うかわからないが、ユダヤ人同士の助け合い精神は、ある意味うるわしい。玉石混淆とも言える「ユダヤの陰謀」って、ある部分、彼らの“日常”なんだから。

Arlen Specter 1JFK 3Lyndon Johnson 003Golda Meir 2







(左: アーレン・スペクター  / ジョン・F・ケネディー  / リンドン・B・ジョンソン  /  右: イスラエルの首相だったゴルダ・メイヤー)

  とにかく、アメリカの内情は日本人にとって貴重な教訓となる。異民族を受け容れる事がどれほど国益を損なうことか、という実例がよく判るからだ。もし、我が国の内閣や中央官庁、自衛隊に大量の朝鮮系国民が浸透したら、どんな事態になることか。今でも、かなりの朝鮮系分子が潜り込んでいるのに、更なる帰化人が増加すれば、鍵の無いロッカーに国家機密をしまうようなものだ。そもそも、日本には防諜組織が無いから、どれだけの情報が流失したのかさえ判らない。公安でも民主党政権下で流れた国家機密の全体像を知らないんじゃないか。「まさか、この機密まで!?」と仰天するような漏洩まであったりして。首相の菅直人が北鮮に渡したかも知れない国家機密を考えると怖ろしくなる。まぁ、世界最強の軍隊と巨大な諜報組織を持つ米国でも、高度な国家機密や軍事情報がイスラエルに漏れているのだ。異民族の執念はすさまじい。現在、日本のマスコミは議員の不倫問関係とか暴言問題ていどで大騒ぎしている。これでは昼寝をしているパンダと変わらないじゃないか。日本人が目覚めるのは、北朝鮮からのミサイルが本土に着弾した時だろうなぁ。



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