相次ぐ告発の連鎖

Sexual Harassment 3Sexual Harassment 2










  人間というのは悪魔でもなけりゃ天使でもない。聖人君子はほんの“ちょっぴり”で、大半が凡人か俗物、でなきゃ奇人変人の類いだ。したがって、そんな人間が織り成す世の中は、基本的に金銭・権力・性慾という三位一体で動いている。特に、性慾は経済を刺戟するから侮れない。かつて、社会学者のマックス・ウェバー(Max Weber)はプロテスタントの倫理が資本制経済の要(かなめ)であると述べたが、実際のところは、ヴェルナー・ゾンバルト(Werner Sombart)が説いたように、恋愛とか贅沢が原動力になっているじゃないか。

Max Weber 1Werner Sombart 1Sato Tomomi 1








(左: マックス・ウェバー  / 中央: ヴェルナー・ゾンバルト /  右: 佐藤友美)

  例えば、胸をときめかせて週末に薔薇を買う中年男は、十中八九、職場の若い子か浮気相手に捧げようとするはずだ。間違っても女房じゃない。もし「ある」とすれば、それは週末じゃなくて「終末」の罪滅ぼしだ。同僚が篠ひろ子や佐藤友美のような女性だと、何らかの口実を設けて花束をプレゼントしたくなるのは男心。でも、女はそれを「スケベ心」と呼ぶからモノは言い様だ。まぁ、しょぼくれたオっさんでも、「百万分の一(one in a million)」に賭けることだってあるさ。だって、年末ジャンボ宝くじを買うオバはんがいるじゃないか。(だいぶ古いけど、1986年に放送されたTBS の『金曜日には花を買って』は人気ドラマだった。) 不景気の時は政府が積極財政に踏み切るのが相場だが、みんながお金を使うのも大切である。個人消費を伸ばすには、つべこべ言わずに色恋沙汰が一番。不倫は家庭と社会に悪いけど、天下の経綸には時として“禁じ手”も必要だ。

Hugh & Kimberley Conrad 2Holly Madison 2Brande Roderick 3







(左: ヒュー・ヘフナーとキンバリー・コンラッド  / 中央: ホリー・マディソン  /   右: ブランデ・ロデリック )

  ちょっと話が逸れたけど、大抵の男は女を巡って右往左往しており、とりわけ権力を手にした男は、立場の弱い女に食指を伸ばそうとする。全員とまでは言わないが、一般的に女性は財力と権力に靡(なび)く。月収20万くらいの凡夫には目もくれないが、年収1億円とか総資産100億円の男性を目の前にすると“つい”心が動いてしまう。アメリカだともっと露骨で、大富豪には美女が群がる。例えば、最近亡くなった『プレイボーイ』誌の創設者ヒュー・ヘフナー(Hugh Hefner)は、三回も結婚を繰り返した。(平民の日本人男性からすれば、何とも羨ましい。厳しい現実の世界だと、女房のタイプは泉ピン子以上、良くて松下奈緒未満だぞ。間違っても、佐々木希は望めまい。) ヘフナー夫人になった元プレイメイトのキンバリー・コンラッド(Kimberley Conrad)や、クリスタル・ハリス(Crystal Harris)を見れば、彼らの年齢差に驚いてしまう。さらに、高齢のヘフナー氏が付き合ったガールフレンドも豪華。例えば、ブランデ・ロデリック(Brande Roderick)やホリーマディソン(Holly Madison)、ブリジット・マルカート(Bridget Marquardt)、ケンドラ・ウィルキンソン(Kendra Wilkinson)を想い出せば分かる。これだから、日本人の月給取りは、「やっぱり、世の中はカネかぁ」と歎いてしまうのだ。

Crystal Harris & HughBridget Marquardt 1Kendra Wilkinson 3







(左: ヒュー・ヘフナーとクリスタル・ハリス   / 中央: ブリジット・マルカート  /  右: キンバリー・ウィルキンソン )

Monica Lewinsky 1(左  /  モニカ・ルインスキー)
  日本の気楽なフェミニストは、我が国を「封建的残滓に基づく男尊女卑の社会だ」とか「男性支配構造で女性の進出が妨げられている」と憤慨するが、彼らが称讃する北歐や米国でも男尊女卑が罷り通っている。ただ、その実態が見えにくいだけ。会社の重役が美人秘書に手をつけるなんて当り前だ。州知事や大統領になったビル・クリントンも、ホワイトハウスの研修生だったモニカ・ルウィンスキーに目というか「唾」をつけ、こっそりと愛人にしたことがある。ところが、その姦通を女房のヒラリーとマスコミが知ったからさあ大変。合衆国大統領は「不適正な関係」を認めて謝罪する破目になった。後に、国務長官になったヒラリーがベンガジ事件で追及されたけど、白亜館にいた亭主のペニスがどこにあるのか判らなかったんだから、あの宏大なアフリカで、どこにテロリストが潜んでいたのか分からなくても無理はない。まさか、モニカ嬢の「口の中」とは、お釈迦様でも判るメェ。

Bill Clinton 121Bill Clinton & Minica








(左: ビル&ヒラリー・クリントン  /  右: クリントン大統領とモニカ・ルインスキー)

常習犯だった紳士的ホスト

Bill O'Reilly 1Rape in Europe 6








(左: ビル・オライリー  /  右: 怯える女性)

  ここ最近のアメリカでは、セクハラ騒動が立て続けに起こっている。FOXテレビの名物ホストであるビル・オライリー(Bill O'Reilly)がセクハラで訴えられ、冠番組がキャンセルとなり、古巣のFOXを去ることになった。また、彼の同僚で人気アンカーのメーガン・ケリー(Megyn Kelly)とグレッチェン・カールソン(Gretchen Carlson)が、その上司であるロジャー・エイルズ(Roger Ailes / FOX News とFox TVの社長・会長)をセクハラで告発し、追い詰められた会長は渋々ながらも辞任。このエイルズは美女が大好きで、気に入った女性をテレビ局に採用したそうだ。(なんかNHKのプロデューサーみたい。) 彼は身近な女性に手をつけるようで、1960年に結婚した第一夫人のマジョリー・ホワイトとは大学の同級生だったし、三番目の夫人エリザベス・ティルソン(Elizabeth Tilson)はエイルズがCNBC局で働いていた時に、部下のプロデューサーを務めていた女性である。二人は1998年に結婚したのだが、当時エイルズは59歳で、エリザベスは37歳だったから、20歳以上離れていたカップルであった。

Megyn Kelly 6Gretchen Carlson 1Roger Ailes & Elizabeth Tilson 1







(左: メーガン・ケリー   / 中央: グレッチェン・カールソン  /  右: ロジャー・エイルズとエリザベス・ティルソン )

  せっかく若い女性を妻にしたのに、その連れ合いだけでは満足できず、メーガンとグレッチェンに手をつけたんだから、本当に懲りない男である。でも、いつかは天罰が下るものだ。憐れなエイルズは間もなく死去(2017年5月18日)。ところが、それ以上に衝撃だったのは、映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインシュタインのセクハラ事件だ。ハリウッドの権力者がセクハラの常習犯で、その「事実」をリベラル派の映画人が見て見ぬ振り。彼らは保守派が相手なら鷹のように鋭く攻撃するくせに、ユダヤ人の大御所になると「見ない聞かない言わない」の猿を決め込む。以前、ロジャー・エイルズが腹立ち紛れに、ディスカヴァリー・コミュニケイションズの社長を務めるデイヴィッド・M・ザスラフ(David M. Zaslav)を、「青いくちばしのチピ・ユダ公」と罵ったことがある。すると、即座に猛烈な非難がユダヤ人団体から巻き起こり、エイルズは謝罪することになった。仲間内ではワインシュタインのセクハラは「公然の秘密」だったのに、誰も暴露しようとしなかったんだから、ハリウッドのリベラル系ユダヤ人は他民族を叱責する資格があるのか?

Harvey Weinstein 2Roger Ailes 2David Zaslav 2









(左: ハーヴェン・ワインシュタイン   / 中央: ロジャー・エイルズ  /  右: デイヴィッド・ザスラフ)

  だが、ワインシュタインの件は偶発事件に留まらなかった。彼の犯罪は「藝能海」に波紋を投げかけるどころか、火薬庫での連鎖爆発に等しかった。アラバマ州からの上院議員を狙うロイ・ムーア(Roy Moore)判事は、過去に性的関係を持ったと称する女性から訴えられ、選挙への出馬さえ危ぶまれている。トランプ叩きのチャンスと思ったマスコミは、共和党候補者であるムーア氏を引き摺り降ろして大統領にダメージを与えようとしたが、彼らの身内からもセクハラの常習犯が飛び出てしまい、批判の鞭を振るう手が痺れている。その代表格が大物ジャーナリストのチャーリー・ローズ(Charlie Rose)だ。彼はBBCやPBSなどで下積み時代を送り、CBSに入ると長寿番組の『60ミニッツ』や『CBS This Morning』でキャスターを務め、不動の地位を築いた。ローズ氏は自分の名前を冠した対談番組『チャーリー・ローズ』を持つことができ、各界の著名人を招いて話を伺うというスタイルで人気者となる。巷の評価によると、彼は甚大な影響力を持つジャーナリストの一人であるそうだ。

Charlie Rose 13(左  / 同僚と一緒に微笑むチャーリー・ローズ)
  しかし、栄枯盛衰は人の常で、有名司会者のチャーリーも例外ではなかった。彼は八人の女性から性的嫌がらせで非難され、冠番組の『チャーリー・ローズ』は打ち切りになるし、“リベラル路線”を標榜するCBSは即刻チャーリーにクビを宣言。告発を受けたローズの方にも言い分はあるのだろうが、性的なスキャンダルで騒がれたら男に「分」が無いのは日米共通。反論しても無駄な場合が多い。もし、異議を唱えると、却って事態の悪化を招くから、“潔く”有罪を認めて退散する方が賢明だ。別段一文無しになる訳じゃないから、素直に謝って批判をかわす方がいい。だいいち、チャーリーも75歳なんだから、隠居してチェスでも指していればいいじゃないか。

  有名ホストの犠牲者には、レア・ブラヴォー(Reah Bravo / 当時21歳)というテレビ局の見習い女性もいたそうで、2007年にPBSの番組でチャーリーの助手を務めていた。新聞記者の取材によると、レアは彼の自宅や旅行中の車内、ホテルの一室、飛行機の中などでセクハラを受けたという。別の被害者には、カイル・ゴドフリー・ライアン(Kyle Godfrey-Ryan)というアシスタントもいたそうだ。彼女もチャーリーの行動に困惑したそうで、ニューヨークにある自宅で彼の手伝いをした時など、目の前を丸裸で通り過ぎたという。また、彼の「白昼夢」も相当イヤらしく、チャーリーはカイルが裸で水泳をする姿を想像し、その妄想を繰り返し彼女に語ったそうだ。

Yvette Vega 1(左  /  イヴェット・ヴェガ)
  しかし、問題の「肝(きも)」はローズ氏の言動ではない。彼には長年共に仕事をしてきたイヴェット・ヴェガ(Yvette Vega)という女性のエグゼクティヴ・プロデューサーがいる。セクハラに悩んだカイルがチャーリーの悪行をヴェガ訴えると、このベテラン・プロデューサーは大問題とせず、肩をすくませながら「あれがチャーリーのチャーリーたる所以なのよ」とあしらったそうだ。(Irin Carmon and Amy Brittain, "Eight women say Charlie Rose sexually harassed them --- with nudity, groping and lewd calls", The Washington Post, November 20, 2017) 日本人ばかりかアメリカ人だって、「えぇぇぇっ、そんなアホな !! CBSって女性の味方じゃなかったの?!」と驚くだろう。普段は報道番組の中で、局アナや御用学者が弱者救済や人権重視を訴えているのに、その番組制作者がセクハラ被害者を門前払いにしていたなんて。あまりにも冷たいじゃないか。いつもの温情は何処へ行ったんだ? 「他人に厳しく、身内に甘い」ところなど、NHKやテレ朝と同じである。(CBSがTBSと提携したのは、「同類」だったからなのか ? )

  権力者の秘密を第三者に漏らすことは致命的である。カイルの訴えはローズの耳に届いてしまい、激怒したローズは彼女を解雇。社会正義を振りかざすテレビ局の内部に、肝心な「正義」が無かったなんて洒落にならない。けど、現実はこんなものだ。チャーリーの被害者は他にもいて、メーガン・クレイト(Megan Creydt)もその一人だ。彼女は2005年から2006年にかけてチャーリーの番組でコーディネーターを務めていた。彼女がチャーリーご自慢の「ミニ・クーパー」に乗った時のことだ。助手席に坐る彼女の太腿に、チャーリーの手が覆い被さったという。このセクハラにメーガンは何も言えず、ただただ凍りつく。それでも、彼女は必死に脚をずらしてチャーリーの「魔の手」を逃れようとした。これ以降、彼女は二度とチャーリーのクルマに同乗しなかったという。(なるほど、チャーリーは賢い。小型車の“狭い”車内を利用したのか ! トヨタのランド・クルーザーじゃ難しいかもね。)

Kyle Godfrey-Ryan 1Charlie Rose 16Megan Creydt 2








(左: 被害者のカイル・ゴットフリー・ライアン  / 中央: チャーリー・ローズ  /  右: 被害者のメーガン・クレイト)

  メーガン以外の女性(30歳代)による暴露話も生々しい。事件は彼女がチャーリーの邸宅を訪ねた時に起きた。彼女は仕事の話でやって来ただけなのに、出迎えたチャーリーは裸にバスローブを纏(まと)っている。彼女はまるで狼のネグラに迷い込んだ兎みたい。何と、チャーリーは彼女のパンツに手を掛け、それを脱がそうとしたのだ。驚いた彼女は、咄嗟にチャーリーの手を払いのけるが、涙が“わっ”と溢れ出てきて、どうにもこうにも止まらない。本当に「ショック」だ。まさか“あの”紳士的なチャーリー・ローズがセクハラをするなんて、普通じゃ考えられない。でも、局の見習いを務めたことがある別の女性によれば、これはチャーリーの部屋に召喚された若い子がくぐる「儀式」なんだって。とにかく、強姦もどきが「儀式」なんて恐ろしい。でも、これに耐えて出世した女性もいるんだろうなぁ。

Amanda Jay Burden 2Staley & Barabra Mortimer 1John Jay 111 Paley 1








(左: アマンダ・ジェイ・バーデン  / スタンレー・モーティマー  /  ジョン・ジェイ /  右: バーバラ・クッシング・モーティマー・ペイリー )

  ついでだから、チャーリー・ローズの人脈にも少々触れてみたい。社会的に高い地位に就く人は、肉親や配偶者にも同等の人を持つ場合があって、チャーリーの交際相手も凄かった。彼は1968年にメアリー・キング(Mary King)と結婚したが、その奥方とは長く続かず1980年に離婚となる。独身になったチャーリーは1992年頃に魅力的なアマンダ・バーデン(Amanda Jay Mortimer Burden)と知り合い、二人は「パートナー(愛人)」の関係となった。ところが、このアマンダはタダの女じゃない。彼女の父親というのは、スタンダード石油を継いだスタンレー・G・モーティマー(Stanley Grafton Mortimer, Jr.)であったのだ。したがって、アマンダを単なる玉の輿に乗った幸運な女性と思ってしまうのは間違い。しかも、彼女は“華麗な一族”のご出身で、ご先祖様はあのジョン・ジェイ(John Jay)にまで遡るのだ。「もしかして・・・」と勘ぐる方は正解。このジェイは建国の父祖にして、外政官やニューヨーク州知事、合衆国最高裁の初代首席判事になった人物だ。

William Samuel Paley 1Dorothy Hearst 3Betsey Cushing & James Roosevelt









(左: ウィアム・ペイリー  /  中央: ドロシー・ハースト  /  右: ベッツィー・クッシングとジェイムズ・ローズヴェルト)

  娘は母親に似るのか、アマンダの母バーバラ(Barbara Cushing Mortimer Paley)も付き合う男のレベルが高かった。高名な脳外科医であるハーヴェイ・クッシング(Dr. Harvey Cushing)の娘として生まれたバーバラは、スタンレーと離婚後、、CBSテレビの創設者であるウィリアム・ペイリー(William Samuel Paley)と結婚したのだ。このペイリーはユダヤ人で、かつてはドロシー・H・ハースト(Dorothy Hart Hearst)の亭主だった。「もしかして、あの“ハースト”?」と思う方は、またもや大正解。ドロシーはメディア王ウィリアム・ランドルフ・ハース(William Randolph Hearst)トの三男ジョン(John Randolph Hearst)と結婚し、愛想が尽きて離婚ていたのだ。そのドロシーもウィリアムと別れてしまい、離婚したウィリアムは社交界の華となっていたバーバラと結婚したというわけ。二人の間にはウィリアムとケイトという子供ができた。ついでに言うと、バーバラの姉であるベッツィー(Betsey Cushing)は、フランクリン・D・ローヴェルト大統領の息子ジェイムズと結婚していた。政官財の人脈を理解するには、エリートの閨閥を調べることも重要だ。

William Randolph Hearst 1John Randolph Hearst 1James Roosevelt 1Cornelius Vanderbilt 1








(左: ウィリアム・ランドルフ・ハースト  / ジョン・ランドルフ・ハースト  /  ジェイムズ・ローズヴェルト /  右: コーネリアス・ヴァンダービルト )

  娘のアマンダも離婚経験者で、別れた相手というのがこれまた大物。彼女が結婚したのは、「コモドア・メディア(Commodore Media)」の創設者であるシャーリー・カーター・バーデン(Shirley Carter Burden,Jr.)だ。政界で「カーター・バーデン」と名乗った男の父親は、造船と鉄道で知られる大財閥、コルネリアス・ヴァンダービルト(Cornelius Vanderbilt)の玄孫に当たるそうだ。ちなみに、シャーリーのガール・フレンドはチャーリー・チャップリンの娘であるジェラルディン(Geraldine Chaplin)であった。話を戻すと、シャーリー・カーターと別れたアマンダは、再び男性と付き合うようになる。その「お相手」というのが、メディア界の大御所で、タイム・ワーナー社のCEOを務めたスティーヴン・J・ロス(Steven Jay Ross / 本名Rechitz)。「ロス」という名前を聞けば分かる通り、ステーヴンもユダヤ人。まったく、アメリカのメディア界はユダヤ人だらけだ。

Steven Jay Ross 1Geraldine Chaplin 1Carter Burden 2Amanda & Carter Burden








(左: スティーヴン・ロス  / ジェラルディン・チャップリン  / シャーリー・カーター・バーデン  /  右: カーター・バーデンとアマンダ・バーデン )

イチモツを肩に載せる有名人

  チャーリー・ローズの一件と共に、注目を浴びたのが、メディア界の御用学者、マーク・ハルペリン(Mark Halperin)である。アメリカ政治を専攻する学生なら誰でも知っている人物で、日本でもアメリカの報道番組や政治討論番組に詳しい人なら、名前は忘れていても彼の顔なら覚えているんじゃないか。マーク・ハルペリンもタダの平民ではなく、彼の父親モートン・ハルペリン(Morton Halperin)は外政・軍事を専門とするユダヤ人アナリストであった。彼はジョンソン政権下で国防省の次官補、ニクソン政権では国家安全保障担当の補佐官を務めた人物だ。その後、政府の仕事を離れたモートンは、有名なシンクタンクの「ブルッキングス研究所」の職を経て「国家安全保障研究所(Center for National Security Studies)」の所長に納まった。しかし、ホワイトハウスの仕事が懐かしかったのか、クリントン政権でアドヴァイザーに返り咲き、オルブライト国務長官の下で政策局長に就いたという。彼は民間組織でも渡り鳥となり、「外交問題評議会(CFR)」の研究員や左翼人権団体として有名な「ACLU」の所長、ジョージ・ソロスが創った「オープン・ソサエティー財団(Open Society Foundation )」の上級顧問などを務めていた。

Mark Halperin 2Morton Halperin 3George Soros 7








(左: マーク・ハルペリン  /  中央: モートン・ハルペリン  /  右: ジョージ・ソロス)

  息子のマークも父と同じ業種を歩み、政治に足を突っ込んでいる。冷静な語り口が好評だったのか、彼はちょくちょくNBCニューズやMSNBC、ABCニューズなどに出演していた。しかし、紳士風の有名人にも「裏の顔」があった訳だ。彼のセクハラ事件を耳にしたメディア関係者は、「まさか、そんな !」と驚いたし、そのスキャンダルに失望する同僚も多かった。でも、五人の女性が名乗り出てしまっては、ハルペリンも言い訳のしようが無いだろう。まことに、猫と女の恨みは恐ろしい。痴漢とかセクハラといった性的な事件だと、劣勢に立つ男は「にゃん」とも言えないものだ。

  ハーヴェイ・ワインシュタインの時と同じく、ハルペリンのセクハラも言葉に出して述べるには、ちょっと憚れる内容となっている。(ちなみに、両者ともユダヤ人。) それでも、具体的に紹介したい。2000年代初頭に被害に遭った女性は、彼と個人的な話をしている最中に言い寄られ、キスを迫られたり、胸を揉まれたりしたそうだ。(Joe Tacopino, "Mark Halperin : Yes, I had inappropriate relationship with young woman", The New York Post, October 26, 2017) 別の被害者女性はもっと辛い目に遭っていた。2004年の選挙を取材した時の話だ。彼女は仕事上の調査で、政治分析家のハルペリンに接触したという。ところが、彼女とオフィスで二人っきりなったハルペリンは、彼女に自分の体を押しつけてきた。そして、信じられない事だが、彼はズボンの中からペニスを取り出し、椅子に坐っている彼女の肩に置いたというのだ。(Erin Nyren, "Journalist Mark Halperin Accused of Sexual Harassment by Five Women", Variety, October 25, 2017) 

  良い子のみんなは、「えぇぇぇっっっ !!! 何それ???」と驚いちゃいけません。ハルペリンは彼女に魅力を感じていたんだから。ただ、その愛情表現が異常なだけ。男の頭にペニスを載せれば、子供みたいに「笑ってちょんまげ」で済ませられるが、女性の肩だと猥褻行為というか「性犯罪」になる。下郎の肩を持つわけじゃないけど、ハーヴェイ・ワインシュタインは女性の枕元でマスターベーションを行い、マーク・ハルペリンはペニスで女性の肩叩きをしただけなんだろうね。まぁ、事件の善悪はともかく、ユダヤ人は独創性に富んでいることだけは確かだ。

James Levine 1(左  / ジェイムズ・リヴァイン )
  ついでに言うと、世界的に有名なユダヤ人指揮者のジェイムズ・レヴァイン(James Levine)が、今、幼児虐待の暴露事件で騒がれている。報道によれば、彼は1980年代に15歳の男の子を獲物にして、「性的な行為」を加えたらしい。(Joe Dziemianowicz, Nicole Hensley and Ross Keith, " Famed conductor James Levine under investigation by Met Opera over sexual abuse allegation", New York Daily News, December 3, 2017) つい最近も、男優のケヴィン・スペイシーが少年に猥褻行為をした過去をバラされて、主演ドラマをクビになったが、米国にはこうしたスキャンダルがやたらと多い。しかし、レヴァインの事件で特筆すべきは、インサイダー(業界関係者)たちが、前々から彼の「性癖」を知っていたのに黙っていたことだ。取材したジャーナリストによれば、彼の“性癖”は何年間も「公然の秘密(open secret)」になっていたという。日本人なら「えっ、それじゃあワインシュタインの件と同じじゃないか ! 」と思うはずだ。唖然としてしまうが、みんなが知っていたのに隠していたなんて酷い。とりわけ赦せないのは、米国のユダヤ人たちだ。普段、ユダヤ人団体は「少数派を救え !」とか「子供の人権を守れ !」、「ユダヤ人に対する偏見を無くせ !」と叫んでいるのに、同胞が楽しむ性犯罪だと「同胞愛」から見逃してしまい、素知らぬ顔を決め込む。でもこれって、ダブル・スタンダードじゃないのか?

Donald Trump 8Trump children 1Marla Maples 2








(左: ドナルド・トランプと幼い子供たち  / 中央: 成人したトランプの子供たち  / 右: 第二夫人のマーラ・アン・メイプルズ )

  アメリカ人は「人権」とか「平和」を謳って、世界中にデモクラシーを広めているが、他国の秕政(ひせい)を咎めるより自分の足元を照らしてみるべきだ。リベラル派の政治家や評論家、ジャーナリストはイスラム教国の男尊女卑を非難するが、民衆党やテレビ局の中で起こる「非道」に目をつむっているんだから、他人をどうこう言えた身分じゃないだろう。パキスタンで女房を殴るムスリム亭主を取材するより、ABCやCBSの局内で隠蔽されたセクハラを取り上げるべきじゃないのか。過去をほじくり返せば、引退したプロデューサーや現役の重役、大物アンカーなどが犯した破廉恥行為が明るみに出るだろう。歴史の闇に葬ったセクハラが暴露されれば、辞任する奴は二、三人じゃすまないぞ。女房や子供を抱えたテレビ局の社長や会長も、「今度は俺の番か?」と冷や汗をかいていたりしてね。

Trump & Ivana 2Trump & Marla 1Trump & Melania 3








(左: ドナルド・トランプとイヴァナ夫人  / 中央: トランプとマーラ夫人  /  右: トランプとメラーニア夫人)

  リベラル派なんて所詮、快適なオフィスでふんぞり返りながら人種平等、人道支援、人権重視といった綺麗事を並べているだけだ。黒人の特別待遇を推進している“進歩的”な大御所だって、愛人にしたいと狙っている秘書はブロンドの白人美女だったりする。リベラル派の頭と下半身は別物だ。米国の主要マスコミはトランプ大統領のセクハラ発言を取り上げてケチョンケチョンに非難するけど、ビル・クリントン元大統領と比べたらトランプの方が正直だ。美しい女性を見れば瞬く間に近づいて、本音を打ち明け、細君と離婚してまで新たな恋人と一緒になろうとする。イヴァナ夫人からマーラ嬢に乗り換えたトランプは、二度の離婚を経て美人モデルのメラーニアと結婚。しかも、各夫人と子供をもうけ、大勢の孫にも囲まれている。「貧乏人の子沢山」なら分かるが、「大富豪の子沢山」はうらやましい。こんな人物が合衆国大統領になったんだから、まさしく「アメリカン・ドリーム」の体現者だ。もし、トランプが再選に失敗したら、我が国の少子化担当大臣になってほしい。山崎拓さんもトランプ並とは言わないが、せめて三木武吉くらいの度胸があれば総理大臣になれたのにねぇ。あの世で横山ノックが待ってるぞ。(また今回も、変な結論になってしまった。ご容赦を。)

Trump & Barron 1Barron Trump & Melania 1Ivanka Trump & Kids 1







  
(左: トランプと息子のバロン  / 中央: メラーニア夫人とバロン  /  右: イヴァンカの子供たち)


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