教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
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ロシアを甘く見る保守派の幻想

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( 左: 安倍総理とプーチン大統領/ 右: 2018年の合同演習 )

  先週、チャンネル桜の水島総社長が、自分のコーナーで北方領土問題について述べていた。水島社長は四島一括返還にこだわることが支那の対外侵掠を手助けする事になり、日本国内にはびこる「四島返還」で喰っている特殊利益勢力をも支えることになるのだ、と説教し、まづは二島返還で交渉を進めるべきだ、との趣旨で視聴者に語りかけていた。しかし、筆者はこの見解に同意できない。なぜならば、安倍総理がプーチン大統領に騙される危険性があるからだ。なるほど、日本はアメリカの属州だから、水島社長が言う通り、安倍総理の対露交渉は、合衆国政府による諒承があってのことだろう。ならば、それを許したトランプ大統領と、安倍総理と話をつけるプーチン大統領の「真意」は何処にあるのかを考えるべきだ。

  支那とロシアは一枚岩ではないが、日本に対する態度で共通している。つまり、日本を食い物にして肥え太ろうとする意思を持っている点だ。北京政府が日本企業を呼び寄せて、その資本や技術を吸い尽くそうとするのはよく知られている。クレムリンも同じで、北方領土を毛針にし、日本から大金をせしめようと謀っているので、我々は気を引き締めて用心しなければならない。日本人は平和条約の締結だ、と大はしゃぎしているが、ロシア人にとって約束は破るために存在する。だから、武力の背景無しにロシア人と交渉するのは愚かである。しかも、今回の件に関し、ロシアの在日エージェントに等しい鈴木宗男や佐藤優がプーチンの提案を支持しているから、なおさら胡散臭い。とりわけ、報道番組でロシアの提灯持ちを演じる鈴木宗男は、見るからにロシア諜報局の手下だから論外。

  問題は佐藤の方だ。テレビやラジオはロシア問題となれば、すぐ“元外務省”の佐藤を番組に招いて、「佐藤さん、プーチン大統領の意図はどんなものなんでしょうか?」と尋ねるけど、彼の「分析」と「判断」を鵜呑みにするのは危険である。ロシアに関して素人の番組司会者は、佐藤がロシアの情報に通じていると感心するが、その情報源が誰で、どんなものなのか判らないので非常に怪しい。例えば、FVR(対外工作・諜報機関)の日本ハンドラーから内部情報をもらって、それをあたかも「独自の人脈から得た情報」と称すれば、普通の日本人は「さすが、すごいですねぇ~!」と驚嘆する。そりゃそうだろう。ロシア人スパイから直接仕入れたネタなんだから。もし、佐藤の評判を高めるため、ロシア人の担当者が本当の情報をリークしてやれば、外務省でも摑めない特ダネを持つことになるじゃないか。だいたい、外務省を追い出されたノンキャリの下っ端が、上質な情報源を持つわけないだろう。佐藤はイスラエルのコネとか、ロシアの友人から得た情報をチラつかせているか、確かめようがないので幽霊の存在を信じるのと同じだ。また、過去の小さな体験を適当に脚色し、神秘さを水増しすれば「いかにも」といった感じになる。口八丁手八丁で“事情通”の演技をすれば、何も知らない一般の日本人なんかチョロいものだ。

  話を戻す。プーチン大統領は乗り気の安倍総理を相手に、「歴史的快挙」となる平和条約の話を持ち掛け、歯舞色丹の二島を返還するだけで、莫大な経済協力を引き出そうと狙っているはずだ。それゆえ、本当に北方領土が返還されるのか、今のところ誰にも判らない。もちろん、日露の交渉が順調に運べば、見かけだけの返還はなされるだろう。しかし、両島の主権は曖昧にされたままだ。もし、日本の領土となれば、自衛隊や米軍の基地を設置しても構わないははずだが、騙すつもりのロシアはこれを承知しないだろう。プーチンが懸念しているのは、北方領土を戦略拠点とする米軍の動きだ。これはロシア海軍にとって重大問題となるから、必ずやプーチンは現地の非軍事化を要求してくる。それに、国内で支持率低下に悩むプーチンにとって、“獲得領土”、すなわち戦利品の割譲となれば、自身の評判を損なう結果になりやすい。ロシアの民衆はいくら善良でも弱い指導者となれば嫌いである。たとえ、残酷でも強力な独裁者の方がいい。スターリンが未だに根強い人気を誇っているのは、イワン雷帝とかピヨートル大帝がロシアの理想的な君主であるからだ。プーチンが米国の反撥を覚悟でクリミア半島の併合を実行したのも、ロシア民族の気質を解っていたからからだろう。

  そもそも、膨張主義はロシアの体質で、プーチンにとっては威厳の源になる。偉大なる皇帝を目指すプーチンにとり、ロシアの経済成長と軍事大国化は必須要件だ。ところが、プーチンは厄介な国内問題を抱え込んでいるから、領土の「削減」は人気を落とす元兇になってしまうだろう。只でさえ、この独裁者は年金の支給年齢を引き上げることでロシア国民の怒りを買っていのに、更なる失点を重ねることは自殺行為に等しい。とにかく、権力を集中するプーチンには課題が山積みだ。例えば、クリミア併合による米国の経済制裁を何とかしなければならないし、原油価格の下落でロシア経済はダメージを受けているから、打開策を模索しなければならない。その一方で、国内の軍需産業を育成するんだから実に大変だ。こうなれば、日本を利用して資金を稼ぐしかない。便利な馬鹿を利用して、ロシア経済を活気づかせ、自分の権力基盤を維持したいと考えても当然。たとえ、日本に歯舞色丹を“返還”となっても、主権を渡す訳じゃないから、プーチンとその側近は「いつでも取り返せる」と思っている。

Iskander 9K720Borei class submarines 2








(左: 9K720イスカンデル  /  右: ボレイ型原子力潜水艦)

  水島社長は支那を牽制するために、ロシアと提携することを主張しているが、ロシアと支那は軍事面で強力関係にあるから、一概に対立関係にあるとは言えまい。今年九月にロシア軍と人民解放軍が「ヴォストク(Vostok / 東)」というコードネームで知られる軍事演習を行った。五日間に亙って行われたこの合同演習には、約30万の兵力と1千機の航空機、3万6千輛の戦車が動員され、1981年の「ザパド(Zapad / 西)」以来の大規模演習になったらしい。(Franz-Stefan Gady, "Russia, Chinese Troops Kick off Russia's Largest Military Exercise Since 1981", The Diplomat, September 12, 2018) 日本の軍事オタクなら、ここぞとばかりにロシアの兵器をじっくりと観察したはすだ。例えば、陸上を移動する短距弾道ミサイルの「9K720イスカンデル(Iskander)」は、固形燃料推進で、「M」「K」「E」といったヴァリエーションがあり、「イスカンデルM」の射程距離は約400から500kmと目されている。(西側の呼称は「SS-26 Stone」) 海軍だと、核弾道ミサイルを搭載したボレイ型(Borei-class / ドルゴルキー級Dolgoruky-class)原子力潜水艦があったし、超長距離地対空ミサイル・システムの「S-400トリウームフ(Triumf)」も投入されていた。それに、「アルマータ(Armata)」シリーズのT-14戦車もあったから、自衛隊のアナリストにしたら興味深い演習だ。

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(左: T-14戦車  / 右: セルゲイ・ショイグ将軍 )

  ということで、九月に行われた「ヴォストク」は刮目すべきシュミレーションであったが、西側の軍事アナリストにとっては、さほど驚くような軍事演習ではなかった。なぜなら、ロシア軍は四年周期で演習を行い、西部(Zapad)・東部(Vostok)・南部(Kavakaz)・中部(Tsentr)の各地区で行っているからだ。今回、「ヴォストク」が注目を集めたのは、演習の規模を拡大し、そこに外国の軍隊を参加させたからである。だが、我々にとって重要なのは、クレムリンが北京と組んでユーラシア大陸を支配しようとする構想である。ロシア国防相を務めるセルゲイ・ショイグ陸軍大将は支那との合同演習に関して、「我々はレギュラー・ベースでこのような演習を行うことを合意した」と述べていた。("Russia says war games with China will be routine", The Military Times, September 12, 2018) 一方、支那軍も合同演習には積極的だ。北京政府の意向を受けた支那メディアは、この軍事演習に投入した第三世代の「99式戦車(ZTZ-99)」を自慢げに報道していた。毎回ウンザリするけど、日本のワイドショーは下らない藝能記事なら熱心に報道するが、日本への脅威となる支那の軍事力に関しては消極的である。これは視聴率を稼げないという理由もあるが、隠蔽工作の根源には局内に北京の指令を受ける人物が存在し、これに加えて支那で商売をするスポンサーがいるということだ。テレビ局の自主規制と検閲は、スポンサーからの圧力という要素も大きい。

支那とロシアの微妙な関係

Vostok 2018 004Vostok 2018 Putin & People's Liberation Army








(左: ロシアと支那の軍人  / 右: 支那軍人と握手するプーチン )

  確かに、ロシアと支那は反目する点が多いけど、軍事面では態度を変えて協力するようだ。水島氏は長い国境線を接する支那とロシアが対立していると述べていたが、支那人がロシアの政治を操れるとは考えにくい。悪党どもは経済面で競争相手になっていても、ちゃっかり水面下で助け合う場合がある。支那人はロシアが日本に食指を伸ばしても平気で、ロシアが日本の税金を巻き上げようとするんなら、自分たちは“もっと”ふんだくってやろうと考えるし、極悪人のロシアと対立するより、甘っちょろい日本や東南アジア、アフリカを先に侵蝕しようと目論む。日本がロシアと経済的な協力関係を築いたからといって、ロシアが支那人を日本から駆逐するわけではない。むしろ、ロシアと支那は2,600マイルの国境を平穏に保ちたいと考えている。 何はともあれ、両国とも敵に対する防禦で忙しい。ロシアはシリアとウクライナに軍事介入をしたせいで米国の批判を受けているし、拡張するNATO軍にも備えねばならず、出費が嵩(かさ)んで大変だ。支那の方はもっと切迫しており、トランプ政権の経済制裁が思った以上に深刻で、国内景気も減速となり意気銷沈どころか青色吐息。習近平は終身独裁官を目指すどころか、自分の将来すら危ない状態だ。

  地上波テレビしか観ていない日本人は気付かないが、ロシアと支那は経済的にも相互関係にある。ロシアは原材料の輸出国で、支那は大量に石油や天然ガスを必要とする輸入国だ。結果的に、支那は2010年以来ロシアにとって重要な得意先となっている。(Alexander Gabuev, "Why Russia and China Are Strengthening Security Ties", Foreign Affairs, September 24, 2018) 水島社長が言うように、ロシア人は支那人の入植(人口侵略)を嫌っているが、だからといって支那と軍事的な敵対関係になろうとは思っていない。これはヤクザ的な見方をすれば解る。例えば、日本という「獲物」を狙っているロシアン・マフィアとチャイニーズ・マフィアがいたとする。猜疑心に満ちた両者は、度々反目するが、実利で歩調を合わせることもある。たとえ、世界戦略で反りが合わなくても、特殊利益で協定を結ぶことは可能だ。もし、ヘロインを扱うロシア人が、コカインを輸出する支那人を嫌い、「あの野郎どもは、俺たちのシマを犯してやがる !」と激怒し、アメリカの警察にコカインの流通経路を密告しても、ロシアの極道が「善良な市民」という訳ではない。また、ヨーロッパの麻薬市場を牛耳るユダヤ人マフィアを撃退するために、ロシアと支那のマフィアが同盟を組み、武器や資金の調達で助け合うこともあるだろう。

  悪党は余程のことが無い限り、相手を殲滅しようとは思わない。たとえ、ロシア人が自分の縄張りを守ることがあっても、それは支那人マフィアを撲滅することには繋がらないし、自国の損害を考慮すれば、全面対決は得にならないと判断するはずだ。それよりも、同類の支那人を上手く手懐けてロシアの国力を温存し、日本から巻き上げたお金で経済発展を画策する方が利口である。ロシアが共産主義を捨てたからといって、ロシア人が日本人みたいに誠実になる訳じゃない。この野蛮人は正義よりも武力を重んじ、強い者が支配者になって当然と考える。いかにもモンゴル人の血が流れるロシア人らしい発想だ。そもそも、流血を伴う戦争で勝ち取った北方領土を、単なる端金(はしたがね)で日本に返すなど言語道断。もし、プーチンが主権まで譲渡すれば、反プーチン勢力の権力が増大し、せっかく築いた独裁基盤が揺らぐことにもなりかねない。だから、日本人には「たとえ二島でも北方領土が戻ったことは慶事だ」と思わせておく方がよい。いざとなれば、軍事行動で日本人を追い払えばいいから、ロシア人はお金だけもらって知らん顔だ。

  水島社長と同じく、ロシア認識で甘いのが馬渕睦夫大使だ。馬渕大使はプーチンをグローバリストに対抗するナショナリストと評して、ロシアの国柄が変わったかのように述べていたが、それは誤解を招きやすい。確かに、プーチンは歐米諸国に巣くうグローバリスト勢力に反抗しているが、それはロシアの覇権を維持したいからである。アメリカの政界にはユダヤ人が跋扈し、天然資源が豊富なロシアを乗っ取ろうと狙っていた。しかも、ロシア国内にはユダヤ人のオリガルヒがいたから、歐米のユダヤ人がこの新興勢力と提携すれば、ロシアはユダヤ人の植民地になってしまう。プーチンがユダヤ系大富豪を石油業界やマスメディアから駆逐したのは、ユダヤ人の手口を熟知していたからだ。つまり、プーチンは自分の縄張りを守っただけ。これを以てナショナリズムと称するのは勝手だが、ロシアが正常な国家になって帝国主義を捨てたわけではない。ロシアは窮地に陥れば領土を返還するが、再び力を附ければ失った領土を奪いに来るし、新たな領土を求めて侵掠を開始する。「一歩後退、二歩前進」がロシアの法則で、これを前提とせず、日本人工作員の宣伝を信じて「プーチンは共産主義時代の政治家ではない」と考えるのは間違いだ。昔から、ロシア人は偽情報を流して外国人を攪乱させることに長けている。安倍総理は上手く外政をやっているつもりだろうが、側近や外務省の中にはロシアの手下が隠れているから注意すべきだ。「安倍外交は素晴らしい」と喜んでいる保守派は、安倍氏が行おうとしている愚行の中身をよく確かめてみるべきだろう。
  


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