教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房

日本の敵を守る公共放送局




Richard Sorge 1(左  /  リヒャルト・ゾルゲ)
    「NHKは一体どこの放送局なのか?」と疑問に思うことは度々ある。なるほど、制作費は日本国民から巻き上げたお金だけど、その目的は支那・朝鮮・ロシア、および日本を憎む左翼一般を支援することに使われているのだろう。NHKのBSには『ザ・プロファイラー』という番組があって、先月(2月)取り上げたのが、日本の運命を大きく変えたリヒャルト・ゾルゲ(Richard Sorge)であった。(タイトルは「スパイ ゾルゲ ~ 理想と愛に殉じた男」である。) 番組の司会者は男優の岡田准一が務めており、ゲストにはコメンテイターのテリー伊藤、モデルの市川紗椰、役者の西村和彦が迎えられていた。しかし、その席には専門家が誰一人招かれず、素人が集まってアホ丸出しの会話を披露するばかり。これでは教養番組なのか、それとも雑談番組なのか分からない。

  しかし、番組制作者の意図はなんとなく判る。マルクス・レーニン主義を掲げたソ連は崩壊したが、共産主義の理想は間違いではなかった、と言いたいのだろう。ディレクターの高野裕樹や原口方利、プロデューサーの鎗水貴史がどのような思想を持っているのか不明だが、スタッフの中に左翼分が潜んでいることは確かだ。NHKの番組制作者は、自分の意図を明確にすることを避け、印象操作を行って視聴者を洗脳したがる。なぜなら、あからさまな共産主義の賛美は世間からの非難を招くからだ。本来、ゾルケを擁護したい張本人が番組に出演すべきだが、一般視聴者がその正体を直接目にすると拒絶反応を起こすので、有名藝人を代弁者にして画面を綺麗にしているのだろう。結局、市川や西村というゲストは毒薬を隠すカプセル、あるいは台本通りの意見を述べる腹話術人形ということだ。

  『ザ・プロファイラー』というタイトル名が示す通り、この番組はゾルゲの"プロファイリング"をして行く訳だが、NHKは肝心な点を省略し、視聴者を特定の方向に導いているから、番組名を『ザ・マニピュレイター(The Manipulator / 誤魔化し屋)』に変えた方がいい。例えば、ゾルゲの共犯者として悪名高い尾崎秀実が紹介されていたが、NHKは尾崎を「新聞記者」としか呼ばず、「朝日新聞の記者」と指摘しないのだ。これは同志(comrade)である朝日新聞を庇いながら、共産主義者の巣窟であることを隠匿す目的があるからだろう。NHKと朝日新聞は昔から昵懇の仲で、反皇室の急先鋒であった松井やよりがNHKで活躍できたのも、両者の癒着があったからだ。

Ekaterina Maximova 1(左  / カーチャ )
  いずれにせよ、この番組で脚本を書いた人物は、かなりの確信犯である。ナレーターが紹介するゾルゲの人生でも大幅な省略があった。例えば、NHKはゾルゲの妻に言及する際、カーチャ(エカチェリーナ・マキシモマ / Ekaterina Maximova)しか教えなかったが、実はこのカーチャというのは三番目の妻であり、当然ながら1番目と2番目がいたのだ。最初の妻はクリスチアーネ・ゲルラッハ(Christiane Gerlach)といい、マルキスト学者クルト・アルベルト・ゲルラッハ(Kurt Albert Gerlach)の夫人であった。このゲルラッハはアーヘンにある高等工業専門学校(Technische Hochschule Aachen)の経済学者で、ユダヤ人マルキストのフリードリッヒ・ポロックによれば、無党派の社会主義者であったそうである。もし、ゲルラッハが36歳の若さで死んでいなければ、フランクフルト学派の大物になっていただろう。

  ゾルゲはアーヘンで博士課程の学生であった時、ゲルラッハのもとで勉強していたそうだ。ところが、ゾルゲは恩師の妻と恋仲になってしまう。1921年、ゲルラッハがクリスチアーネ夫人と離婚するや、翌年ゾルゲは彼女と結婚する。だが、驚いたことに、恩師と友情はそのままだったという。同年、ゲルラッハは糖尿病が元で死んでしまうから、離婚した妻を弟子に譲ったのかも知れない。ところが、ゾルゲとクリスチアーネとの仲は長く続かず、二年後に別れてしまうのだ。

Richard Sorge 2 (左  /  若い頃のゾルゲ)
  番組内でも述べられていたが、ゾルゲは無類の女好きだった。彼はコミンテルンのドミトリー・マヌリスキー(Dimitri Manuilisky)と出会い、スパイの訓練を施される。そして、ウェストファリアに派遣された時、あるドイツ人娘と知り合って結婚してしまうのだ。しかし、彼女との仲も長続きせず、モスクワで離婚する破目になる。1930年、GRUは極東情報を探るべく、ゾルゲを上海に派遣した。すると、ゾルゲは又もや女に惚れ込み、今度は演劇専攻の女学生、カーチャと結婚してしまうのだ。NHKは彼女のことしか紹介せず、まるでゾルゲが一人の妻しか持っていなかったかのように吹聴していた。

  もう一つ、ゾルゲの女関係について述べてみよう。彼はドイツ兵として第一次世界大戦に参加するが、敵軍の攻撃を受けて負傷する。ゾルゲは砲弾の破片により指を三本失い、脚にも破片が食い込んでいたという。NHKの番組は負傷したゾルゲに同情し、入院中にゾルゲが戦争の悲惨さを考え、平和を希求したと伝え、それをテリー伊藤に喋らせていた。しかし、NHKは重要な事を省いていた。入院中、ゾルゲはある看護婦と出逢い、誘惑したのか、それとも誘惑されたのか分からないが、彼女と懇ろになった。ところが、この看護婦はマルキスト系左翼で、その父親も共産主義者であったのだ。ゾルゲがマルクス主義とフランクフルト学派に惹かれたのは、彼女との邂逅(かいこう)が元になっている。

  『ザ・プロファイラー』に招かれたゲストの中で、制作者が"一押し"していたのは、日大で学生運動に励んでいたテリー伊藤だ。NHKは学生運動上がりの有名人が大好きで、作家の高橋源一郎が歴史番組に招かれるのも、彼が横浜国立大学で左翼運動に励んでいたからだろう。(ちなみに、高橋は明治学院大学にある国際学部の教授になっている。こんな奴に教えてもらう学生は本当に気の毒だ。) ディレクターの指図なのか、それとも本人の見解なのか分からないが、テリー伊藤はやたらとゾルゲに同情的だった。テリー曰く、ゾルゲは世の中を良くしようと思っており、自分をスパイとは思っていなかったんじゃないか、と。テリーは賛同を得ようと、司会者の岡田に話しかける。そして、インテリ気取りのテリーは、負傷したゾルゲが戦争の悲惨さを真剣に考え、「平和とは何か」を思い巡らしていた、と持ち上げていた。番組中、ずっとこんな調子だから、視聴者に提灯番組と思われても仕方がない。

  テリー伊藤の発言で厭なくらい耳につくのが、ゾルゲが抱く「祖国への思い」という言葉だ。NHKは日本人の忠誠心や愛国心を無視するが、共産主義者が大切にするロシアへの献身となるや大絶賛。NHKに潜む赤色分子は本店のモスクワに配慮しているのか、近衛文麿が確信的な共産主義者であったことや、ソ連が行った数々の侵略、抵抗した者への処刑、強制収容所での虐待、異民族の大量虐殺などについて触れることはない。また、番組ではゾルゲのスパイ行為に焦点を当てているのに、尾崎や近衛との関係を深く掘り下げようとはしないのだ。その代わり、ゾルゲが恋人に対し、如何に優しかったのかを強調する。番組は日本におけるゾルゲの愛人、石井花子のインタビュー映像を流し、極悪人のゾルゲを「人情味のあるスパイ」に仕立てている。ゾルケがスパイという辛い立場に悩み、石井に自分の弱さを晒し、彼女の前で涙を流したというエピソードを紹介しているのだ。まったく馬鹿らしい。

  こんな「お涙ちょうだい話」を伝えるくらいなら、どうして日本は北進を諦め、南進という破滅の道を選んだのか、その真相を明らかにすべきなんじゃないか。でも、そうなると近衛文麿や米内光政の悪事がバレてしまうので、なるべく触れないように心掛けているのだろう。NHKは視聴者が余計な詮索をしないよう、わざと内容を薄くし、その代わりゲストに喋らせて時間を潰し、一般視聴者を満足させようとする。だいたい、第二次大戦の歴史を知らず、諜報活動に関しても素人の藝人を招き、いい加減な感想を聞いたからといって、それが何だというのか? どうせ、打ち合わせの時に配られた資料をチラっと見ただけで、あとは勝手な推測を付け加えただけだろう。西村和彦の知識と言えば「007」の映画を観たくらい。この程度の予備知識でゲストに招かれたんだから、所属事務所がNHKに頼み込んだのか、それともNHKが適当に藝人を見繕ったのか、どちらにしても視聴者を舐めた人選である。

Ozaki 1(左  /  尾崎秀実)
  NHKはゾルゲが統括していたラムゼイ諜報団や、スパイ仲間の通信技師マックス・クラウゼン(Max Clausen)について紹介していたが、敵国のスパイがどのように監視の網を潜り抜けるのかには言及が無かった。そこで、筆者はNHKが伝えなかったエピソードを一つ紹介する。当時の警察は日本人が外国人と付き合うのを嫌っていたという。だが、それでもゾルゲは尾崎と月に一回ほど会っていたそうだ。最初の頃は、東京の目立たない料理屋で密会することが多く、会見の場所を絶えず変えていたという。しかし、ドイツがソ連を攻撃してからは頻繁に会わねばならず、尾崎が自分の名前を使って店に予約を入れていたらしい。時折、彼らは尾崎のオフィスがある南満洲鉄道ビルにある亜細亜料理店で会うこともあったそうだ。

  とは言っても、ヨーロッパで戦火が上がると、外国人に対する警察の目が厳しくなったので、二人はゾルゲの自宅で会う方が危険が少なかろうと考えたそうだ。ゾルゲが監視の対象になっていることは明らかだったが、新聞記者の尾崎が優秀なドイツ人記者を訪ねるだけなので、警察は不審に思わなかったらしい。ゾルゲが用心深かったせいもあるが、彼が日本で活動していた九年間、諜報組織の行動や会合に警察は疑問を抱いていなかったそうだ。警察に逮捕された後、ゾルゲは捜査当局の関心を引くことなく、日本で秘密活動を行えた理由を語っていた。彼自身も驚いていたが、警察の目を逃れることが出来たのは、諜報団のメンバーもゾルゲも、社会的に認められた正業を持っていたからだという。(F.W.  ディーキン & G.R. ストーリー「切手になったスパイ ゾルゲのスパイ網」『ザ・スーパー・スパイ 歴史を変えた男たち』アレン・ダレス 編 落合信彦 訳、光文社、1987年、 p.148.) ゾルゲ曰く、外国人諜報員は全て、新聞社の特派員とか宣教師、企業の出張所長などの職業を持つべし。そうすれば、警察はさしたる関心を払わないし、せいぜい私服警官をよこして使用人に質問するくらいだという。ゾルゲは次のように回顧する。

  わたしは尾行されたこともなかった。わたしは、外国人メンバーから秘密が露見するという心配はしたことがなかった。だが、日本人メンバーを通して見つかる危険性はあると恐れていたし、事実そのとおりになった。(上掲書 p. 148.)

  NHKは特集を組んでいるのに、ゾルゲが巧妙なスパイで、日本の警察が如何に甘いかについては語ろうとしなかった。(もちろん、筋金入りの共産主義者という側面にも触れなかったし、フランクフルト学派については完全なる無視。) なぜなら、日本人が歴史の事実を勉強し、スパイを摘発する防諜組織を作ろうとしたら、NHKの同胞たる左翼陣営が困るからだ。未だにマルキストや反日主義者が跋扈するNHKは、何が何でも支那人や朝鮮人の工作員、加えて、その日本人協力者を守りたい。そのためには、日本人を愚民化することが肝要だ。NHKはいつまでも日本国民を脳天気のままにしておきたい。教養番組を作っても、決して教養のある日本人を望んでいないのだ。望むことはただ一つ、毎月ちゃんと受信料を払ってもらうこと。民間企業に就職できない赤い職員は、間抜けな国民からゼニを巻き上げ、それで以て自らの地位を安定させ、ついでに高額な退職金を手にしたいと考える。こうした不届きなNHK職員を支えているのは、受信料を律儀に払っている国民で、善良な視聴者は知らないうちに不逞職員の左翼活動を援助しているのだ。

  話は逸れるけど、手品師には「ミスディレクション」という技がある。これは「目くらまし」の一種だ。例えば、ステージに立つマジシャンは右でハンカチとかステッキを振り、観客の注意を引きつけている内に、左手でコインやカードをこっそりポケットから出して次のネタに使おうとする。素人の観客は派手なアクションばかりに目を奪われるので、別の箇所を見ることはない。昔、Mr.マリックさんが話していたが、あるステージで気になった観客がいたそうだ。マリックさんは過去を振り返り、「あの時は本当にやりづらかった」と告白していた。当時、手品ショーを無事に終えたマリックさんは、そのお客に直接会って、どのような職業の人なのか尋ねたそうだ。すると、その要注意人物は「刑事です」と答えたので、マリックさんは納得したという。やはり、警察官は洞察力が鋭く、注目する箇所が一般人とは違っていたのだ。確かに、警察官は欺しの手口に慣れている。

  NHKも手品師や詐欺師と同じテクニックを使うようで、逮捕されたゾルゲが白状した手口を伝えることはせず、もっぱら石井花子との恋愛関係に焦点を移していた。(NHKお得意の「ミスディレクション」というか、稚拙な陽動作戦だ。) 番組のナレーターは、ゾルゲが愛人に迷惑がかかることを懸念していた、と強調する。彼女とスパイ行動は関係ない、と警察に言い張るゾルゲは、人情味のあるスパイということになっていた。NHKはゾルゲがあざ笑った「間抜けな日本人」に言及することはない。

  ゲストのテリー伊藤、市川紗椰、西村和彦は、こうした人情話に感銘を受けたようで、哀しそうな表情を浮かべていた。たぶん、彼らに共感する視聴者も大勢いたんじゃないか。でも、NHKが本当に植え付けたかったのは、全身全霊を以て祖国ロシアに尽くすスパイ「ゾルゲ」という英雄像、そして日本人女性を最後まで愛する優しい男というイメージである。考えてみれば実に馬鹿らしいけど、巧みな映像編集と情緒的なナレーション、有名藝人によるコメントが混ざり合うと、一般視聴者はコロっと欺されてしまうのだ。

  最近ではNHKを批判する国民が増えたけど、未だにNHKを「上等なテレビ局」と見なす日本人は多い。平成の初めくらいまで、教育熱心なオバちゃんたち、いわゆる教育ママたちは、自宅で民放を観ずNHKだけを観る、と自慢していたものである。今では笑ってしまうけど、NHKは民放と違い、歌手の不倫疑惑とか、俳優の色恋沙汰を扱わないので、エリート階級向きの「まっとうな」放送局と思っていたのだ。特に、昼と夜に放送される報道番組では、真面目そうなアナウンサーが"しかめっ面"でニュース原稿を読むので、何となく「高級感」の漂う番組を観ている気分になる。一般人は"まさか"左翼偏向番組だとは思わない。

  NHKや朝日新聞を贔屓にする日本人というのは、ある一面、猫にソックリだ。人間だと出来ないが、猫ちゃんは自分の肛門や性器を舐めても、いつも通りの顔をしている。粉末状の風邪薬は嫌いなのに、ウンコだと平気なんだから、慣れというものは恐ろしい。大学で赤く染まった日本人は、左翼の悪臭に鈍感だ。彼らは毎朝ポストに投函される朝日新聞を読んでいるのに、さらに朝食をとりながらNHKのニュース番組を観ている。そのうえ、帰宅してからも夜9時か11時台の報道番組を観て就寝するんだから、ツムジが左巻きになっても当然だ。これなら、寝る前に深田恭子の写真集を眺める学生の方がよっぽど健全である。NHKは地上波で総合と教育、衛星放送で三つもチャンネルを確保して、下らない情報番組を垂れ流しているんだから、政府は放送権を取り上げるか、放送時間を一日30分くらいに縮小させるべきだ。NHKに娯楽や教養番組は必要ない。知的好奇心のある国民は、「ヒストリー・チャンネル」や「ディスカバリー・チャンネル」を契約すればいい。政府は一般国民に対し、NHKの強制徴収ではなく、選択の自由を許すべきだ。



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