教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
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増税を食い止めた女領主

Maureen O'Hara 4Lady Godiva by Edmund Blair Leighton











(左 : モウリーン・オハラ    /    右 : エドモンド・ブレア・レイトンによるゴダイヴァ夫人の絵画)

  既に五月も中旬となり、消費税アップを延期する時期になってきた。安倍総理はまだ沈黙を守っているが、もし、消費増税を取り下げるなら、参議院選挙を射程に置いて、今のうちに発表しなければならない。なぜなら、消費税アップの公約を掲げたまま選挙に突入すれば、自民党の惨敗は目に見えているからだ。まさか増税で選挙を戦えるとは思えないから、たぶん凍結を宣言するはずだ。

  いつの世でも増税は嫌なものである。消費税で直接巻き上げられるのは不愉快だが、有無を言わさず「天引き」という所得税で抜き取られるのも腹立たしい。日本のみならず、アメリカやイングランドでも税制は諍いの元である。アメリカ大陸のイギリス人は、同意なき課税に憤って反乱を起こし、本国から分離・独立した歴史を有している。現在の日本で「革命」騒動は困るが、我々も何らかの「反抗」を見せるべきだ。このまま黙って更なる不景気に喘ぐのは真っ平御免である。

  ということで、今回は英国の有名なエピソードを紹介したい。時は第11世紀中葉、イングランドの中央に位置するマーシアでのお話。当時のイングランドは、デイン人の王様、クヌート(Cnut the Great)に征服され、その息子であるハラルド瞬足王(Harald the Harefoot)と異母弟のハーデクヌート(Hardeknud)が治めていた。(短命のハーデクヌードが亡くなると、アングロ・サクソン系の王様であるエドワード証聖王が国王に返り咲く。) 大王のクヌートは反抗的なマーシアの豪族を取り除くと、彼に忠実なレオフリック(Leofric)をマーシア伯に据えた。今回のヒロインたる「ゴダイヴァ夫人(Lady Godiva)」は、このレオフリックに嫁いだお妃である。彼女は父親からコヴェントリーの領地を相続し、未亡人となっていたところ、新たな領主となったレオフリックと再婚したそうだ。

  このレオフリックとゴダイヴァは共に敬虔なキリスト教徒であったらしく、教会に多大な寄贈を行っていた。例えば、ロチェスターの聖メアリー修道院やリンカシャーのストウ村にある聖メアリー修道院に土地を寄進したらしい。ところが、こんなに信心深いレオフリックだが、領地では圧政を行い、コヴェントリーの領民に重い税を課そうとしたそうだ。そこで、心優しいゴダイヴァ夫人は、庶民を苦しめる夫に慈悲を請い、何とか税を免除してくれるよう頼んだらしい。だが、伯爵は執拗に懇願するコダイヴァ夫人を鬱陶しく思い、その態度を叱責すると共に要求を斥けようとした。しかし、あまりにも彼女が熱心なので、レオフリックはある条件を提案したという。それは驚きの取引だった。伯爵は言う。

  裸になって馬に跨がり、民衆の前に現れよ。そして、街の市場を端から端まで横断し、儂(わし)の許に戻ってくれば、そなたの願を叶えてやろう。(Roger of Wendover, Flowers of History, Trans. by J. A. Giles, Vol. 1, Henry G. Bohn, London, 1849,  p.314.)

  こんな条件を言い渡せば、普通の貴婦人は絶句し、「そんなことは恥ずかしくて出来ない・・・」と諦めるだろう。しかし、ゴダイヴァ夫人は夫の約束を聞き直し、その言葉に偽りが無いことを確認した。信念を持つ女性には度胸があるもので、ゴダイヴァ夫人はその取引に応じることにした。大胆にも彼女は服を脱ぎ捨て、束ねてあった髪を振りほどく。垂れ下がった髪は彼女の乳房を隠し、裸のヴィーナスはヴェールを纏っているかのように見えた。ゴダイヴァ夫人が乗る馬には二名の騎士が付き添い、あたかも女王を護衛する近衛兵のようである。一方、街中の人々は誰もが建物の中に閉じこもり、裸となったゴダイヴァ夫人を見物することはなかった。なぜなら、夫人は市中を通行する旨を予め伝えていたからだ。彼女の意図を汲み取った役人達は、民衆に「乗馬を見てはならぬ !」と厳命した。領民達も夫人の行為を充分理解していたから、恥辱を与えぬよう配慮に抜かりは無かった。当日、民衆は役人の命令に従い、家に閉じこもって決して外を観ないよう窓を閉めていたという。

  ところが、この言いつけに背く者が一人いた。それが後に有名になる「のぞき屋トム(Peeping Tom)」である。この下種野郎は裸の貴婦人をどうしても拝みたく、こっそりと覗こうとしたが、それを誰かに見つかって目を潰されてしまった。ただし、これは色々な逸話が混じって出来た後の創作である。英語の授業で高校生が習う「ピーピング・トム」というのは、ゴダイヴァ夫人の話から派生した言葉だ。古今東西、下品な野次馬というのは必ずいるもので、有名人をしつこく追いかけ回すパパラッチはその典型だ。そういえば昔、梨元勝という藝能記者がいたけど、やはり人格が顔へ滲み出ていた。

Godiva 1 by John CollierLady Godiva statue












(左 : ジョン・コリアーによるゴダイヴァ夫人の絵画    /     右 : ゴダイヴァ夫人の彫像 )

  こうしてゴダイヴァ夫人は恥辱に堪えながら街を完走し、喜々として夫の許へと戻ってきた。レオフリク伯は驚愕したが、夫人が取引を実行したので、先ほどの約束を叶えてやることにした。伯爵は住民に課そうとした重税を撤回し、憲章(charter)を以てこれを保証したという。もちろん、この一件は後世にできた逸話で、学者が肯定する史実ではない。イングランドの歴史家は、事件の200年後にウェンドーヴァーのロジャーが創作した物語と考えている。それに、この話はちょっと変だ。元々、コヴェントリーはゴダイヴァ夫人の領地だから、夫のレオクリフ伯が彼女の反対を押し切って課税するというのはおかしい。また、伯爵が夫人に対して強引な態度に出るなら、彼女は離婚していたはずだ。当時のアングロ・サクソン社会だと、女房が亭主と別れるのは違法じゃないし、珍しいことでもなかった。さらに、彼女が裸になって馬に乗ったという話も怪しい。もしかしたら、貴族が持つ宝石や装飾品を外したことが、後に「裸になった」という逸話にすり替わってしまった可能性もある。

  事実はどうであれ、領民のために自己犠牲を払ったゴダイヴァ夫人の物語は、次第にイングランドの麗しい逸話となり、人々が語り継ぐ伝説になった。コダイヴァ夫人の勇気はドラマの題材にもなり、1955年には『Lady Godiva of Coventry』という映画になっている。夫人の役は美人女優のモウリーン・オハラ(Maureen O'Hara)が演じ、レオフリックの役はジョージ・ネイダーが務めた。当時の倫理基準からすれば、全裸の女性を銀幕に映すなんて以ての外だが、映像の中では長い髪にして乳房が見えないよう考慮されていた。彼女の乗馬シーンを撮影する時には、卑猥にならぬよう「引き」のレンズにして“ぼやける”ように撮影し、ズームインの時には、壁に映った影の方を撮影していたのだ。現在のハリウッド映画なら、乳房や股間さえも見えるよう撮影するんじゃないか。この映画で「あれっ」と驚くのは、まだ無名のクリント・イーストウッドがチョイ役で出演していたことだ。映画ファンとしては、若々しいイーストウッドを目にできて結構嬉しい。

Maureen O'Hara 5Maureen O'Hara 9Clint Eastwood 1











(左 : モウリーン・オハラ   /  中央 : 映画での乗馬シーン   /   右 : 若い頃のクリント・イーストウッド )

  英国の伝説を持ち出して安倍政権を批判するのは、ちょっと酷だけど、まともな経済学者や国民が一斉に反対しているんだから、消費増税の凍結をしてもいいじゃないか。本音を言えば、消費税を5%ないし3%へ引き下げてもらいたい。もし「凍結」程度にしてしまうと、直ぐさま財務省が増税を言い出すので、ここは3%くらいにグッと下げて、増税のハードルを高くすべきだ。一旦3%に下げれば、財務省は8%へ引き戻すために再び多大な努力をしなければならない。高級官僚には譲歩ばかりではなく、時として厳しい反撃を加えるべきである。安倍政権は世界的不況を口実に消費減税を断行すべきだ。もし、財務省が税収減を騒ぎ立てるなら、数十兆円の公共投資や兵器開発を行って経済のパイを大きくするんだ、と反論すればいい。今まで日本は独立のための軍事を怠り、人材育成の教育をもケチってきたんだから、もういい加減プライマー・バランスの足枷を捨てて、国力増強を開始すべきだ。必要な投資ならドンドンやればいい。野党から国債発行を批判されたら、薩摩の調所広郷(ずしょ・ひろさと)を引き合いに出し、「数百年の分割支払いにします」と言ってやればいいじゃないか。担保は「日本国民」と言えばいいし、優秀な子供を増やせば、第22世紀末までには完済できるだろう。

Bo Derek 3(左  /  ボー・デレク)
  いくら財務省の圧力に弱いからといっても、選挙を控えれば、安倍総理だって現実を考えるはずだ。たぶん、まもなく凍結を発表すると思うけど、もし、その兆しが無ければ、どこかの美女に頼んでヌード行進をしてもらうしかない。筆者の好みで言えば、ボー・デレク(Bo Derek)みたいな女優がいいんだけど、これは現実的に不可能だ。でも今更、ビキニ姿の蓮舫は見たくないし、もし奮発してやれば逆効果になる。じゃあ、元アイドル歌手の三原じゅん子に頼むのか、と言えば、これもかなり難しい。30年くらい前ならあり得たが、現在はもうオバはん議員だから、グラビアなんか到底無理。ということで、増税反対のマスコット・ガールを誰にしたらいいのか迷ってしまう。やっぱり、ここは一つ雑誌に頼むしかないのかも。週刊文春や週刊現代なら、読者アンケートでもしてくれそうだ。筆者が知人に相談したら、「深田恭子の乗馬姿を見たい」という回答を得た。なるほど、世間には凄い物知りがいるものだ。筆者の藝能知識は畑中葉子くらいで止まっていた。もうそろそろ、化石みたいな生活を改める時期かも知れない。(今の大学生だと平尾昌晃先生の『カナダからの手紙』は知らないよねぇ~。何てったって、電子メール時代だから。)

  

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