昔とは違うアメリカ軍

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(左 : 「The Calling」に出演した軍人達 / 右 : 痴呆症が進むバイデン)

  王室が国家の心臓なら、軍隊はその背骨である。古代ローマは王政が廃止され共和政になっても、さらに元首政から帝政になっても、一貫して軍隊が国家の中心だった。各氏族の首長が集まる元老院は、現役や退役の将校が軍事・外政を議論する枢密院のようなもので、決して軍事に無知な隠居老人の溜まり場ではない。法務官(praetor)や執政官(consul)だって戦争のプロで、有事となれば司令官になれる資質を備えている。開戦となって二人の執政官が遠方に派遣されると、もう一人の政務官たる法務官がローマを統治する政務官になるだけで、日本人が思うような司法官僚ではない。さらに、このローマ軍を実質的に支えていたのは、百戦錬磨の百卒隊長(centurio)で、現代風に言えば「鬼軍曹」か「先任上級兵曹長(Master Chief Petty Officer)」といったような存在である。(この「マスター・チーフ」は訳しづらい階級なんだけど、ざっくり言えば、実戦や実務に長けたベテランの下士官で、上官になる少尉や中尉でも彼の意見には敬意を持って耳を傾ける。)

  日本と西歐は人種が違うのに共通点は意外と多い。まづ、両方とも封建制が基盤となるデモクラシー社会で、公爵とか伯爵といった貴族が軍団の統率者となっていた。日教組の洗脳で赤く染まった日本人は、英国貴族を毛並みが良いだけの“お公家さん”と思ってしまうが、伯爵や子爵、男爵に当たる身分を日本で探すとしたら、大名とか守護代、家老、侍大将、土豪といった人物だろう。現在の日本人は封建制を憎むよう仕込まれ、階級社会の撲滅を当然と見なしているが、もし英国で廃藩置県を言い出したら、貴族の一斉蜂起を招きかねない。領地や特権は自由の基盤であるから、財産の剥奪は自由の簒奪と同じくなる。「自由」とは抽象的なものじゃなく、具体的な金銭が裏付けとなっているのだ。それゆえ、アメリカでは不当な徴税が自由の侵害と解釈される。

George Washington 03(左  / ジョージ・ワシントン)
  イングランドから独立したアメリカも、当然だけど、イギリス風の軍人気質を受け継いでいる。独立戦争の時、大佐から将軍になったジョージ・ワシントンは、入植地(ヴァージニア州)の牧場主というよりも、イギリス紳士の青年士官、あるいは新大陸に渡った準貴族といった感じであった。ベンジャミン・フランクリンのようなアメリカ人なら気軽に肩を叩いて、「久しぶり、元気だった?!」と声を掛けられるけど、気高いオーラを放つワシントン大佐だとちょっと怖くて出来ない。もしも、アホ丸出しの黒人ラッパーがタイム・マシンで過去に遡り、「よう、兄弟 ! 今日の調子はどうだい?!(Hey, Bro ! What's up?)」と馴れ馴れしく話しかけたら、ワシントンは言葉すら返さず、ただ冷たい視線を浴びせるだけで、「この下郎め !」といった表情で立ち去るだけだろう。たぶん、英国でリベラル教育を受けたウィリアム王子の方が、ジョージ・ワシントンよりも気さくだぞ。

  最高指揮官と大統領になったジョージ・ワシントンは、ジェイムズ・マディソンやアレグザイダー・ハミルトンのようにガリ勉はしなかったけど、ジェントルマンとしての教養は積んだようで、15歳の時にはイポリット・ド・リュザンシー(Hippolyte du Chastelet De Luzancy)の『ショーンベルク公爵フレデリックへの礼讃(A Panegyrick to the Memoriy of His Grace Frederick Late Duke of Schonberg, Marquessof Harrwich, Earl of Brentford.....』(London : Garden, 1690)を読んでいたそうだ。マウント・ヴァーノンの若旦那は、こうした書物を繙き、紳士としての作法(rule of civilityとかmanner)や精神、勇気や忍耐といった徳(virtues)を学んだに違いない。菅総理は法政大学の法学部で、いったい何を学んだのか? まさか、大内兵衛とか丸山真男のクズ本じゃなあるまい。でも、小林多喜二の『蟹工船』とか河上肇の『貧乏物語』だったらジョックだなぁ~。

  一方、日本の自衛官は防衛大学校で、どんな教育を受けていることやら。何しろ、防衛大の校長と言えば、深紅の左翼か反日の軍事音痴ばかりだ。例えば、初代校長の槇智雄(まき・ともお)は軍隊とは縁の無い慶應義塾の教授で、「民主主義」を掲げながら軍人の魂を抜き取ろうと努めていた。産経新聞の「正論メンバー」で雑誌『正論』にも、ちょくちょく投稿していた猪木正道(いのき・まさみち)は、これまた悪名高いスターリン礼讃者。保守派知識人の中川八洋や福田恆存は天敵で、猪木は自分の学問を研鑽するより、論壇支配の方に関心が高かった。五百簱頭眞(いおきべ・まこと)も産経新聞に好かれていた一人。この左翼学者は拉致された邦人に冷淡で、靖國神社が大嫌い。しかし、産経新聞特別論説員の千野境子は、『産経志塾』に招いて一般読者を洗脳しようと躍起だった。高山正之は朝日新聞なんか叩いていないで、産経新聞に潜む赤色分子を批判すればいいのに。

  これまた慶應義塾からやって来た國分良成(こくぶん・りょうせい)も左翼分子ときている。彼の専門は支那政治で、どれくらい安全保障や防諜活動についての知識があるのか判らない。筆者には確固たる証拠は無いけど、「この人、血統の点で日本人なのか?」と疑問に思ってしまう人物だ。防衛大に入る学生や招かれる教授には、せめて祖先を三代遡る身体調査が必要なんじゃないか。さらに、もっと驚いてしまうのは、東京大学でアメリカ政治を教えていた久保文明(くぼ・ふみあき)が、新たな校長に就任したことだ。NHKを観ている人には馴染みの大学教授だが、正常な日本人からすれば、「いくら何でも、こんな輩(やから)を校長にしなくても・・・」と嘆きたくなる。確かに、一般の日本国民には国防意識が無いけど、よりにもよって軍事を真剣に考えたことがないボンクラ教授に防衛大学の運営を任せるなんて、あまりにも酷すぎる。

  日本の自衛隊には様々な問題が山積みだけど、アメリカの軍隊にもゾッとするような問題があるみたいだ。我が国と同じく、アメリカでも徐々に「軍役」は「苦役」となっているようで、南部の田舎だとまだ陸軍や海兵隊に応募する白人が存在するけど、東海岸や西海岸の都市部では、優秀な若者は軍隊を選ばない。特に、軍隊が欲しがる中流階級の西歐人は“使い捨て”にされることを嫌い、ロー・スクールやビジネス・スクールに進んでしまうのだ。確かに、高給取りのホワイトカラーになって、平穏な日々を送った方が賢い。社会から尊敬される軍人には魅力があるけど、いざ有事となれば、遠く離れた中東アジアの山岳地帯やアフリカ大陸の僻地に送られ、テロリストやゲリラ兵がウヨウヨいる戦場で“お陀仏”だ。運が良ければ命拾いとなるが、もしも爆風や銃弾で脚や腕が吹き飛ばされれば、病院で意識を取り戻した時に絶望の淵に立たされる。ボロ切れ同然の片輪になったら、熱い涙がこぼれてくる。それなら、いっそのこと余生を省略した「天国行き」の方がよっぽどいい。

Nidal Hassan 2(左  / ニダル・ハサン )
  という訳で、死亡率が高い陸軍や海兵隊では、新兵のリクルートが大変だ。アングロ・サクソン系のアメリカ人はもとより、理想とされる北方種族の若者を大量に引き入れるなんて、ほとんど無理。士官候補生なら有り得るが、一兵卒となれば下層白人や黒人、ヒスパニックが主流となる。中には不法移民の子弟がいたりするから、国防の義務に目覚めた青年じゃなく、健康保険や社会保障、学費、生活費を求める下層民が志願兵となってしまうのだ。たまにアイリス系やスコット系の白人が入隊してくるけど、大半は映画で描かれるスーパー・ソルジャーに憧れたアホ少年か、TVゲームに飽きたオタク族、あるいは筆記試験が苦手だけど、「とにかく悪党を撃ち殺したい」と本気で語る筋肉バカのどれかだ。こんな連中を相手にしているんだから、新兵の訓練にあたる軍曹は大声を張り上げて調教に当たるしかない。何か、1987年の映画『Full Metal Jacket』を思い出してしまうが、実際の軍隊にも「パイル二等兵」みたいな、精神がブッ壊れた兵卒がいるものだ。そう言えば、2009年、テキサス州のフォート・フッド(Fort Hood)でパレスチナ系アメリカ人のニダル・ハサン(Nidal Malik Hassan)少佐が、突然銃を乱射し、13名の死者と30名の負傷者を出してしまった。

クラブ活動のような軍隊

  合衆国陸軍や海兵隊の問題を挙げればキリが無いけど、軍人の質が変化したことは“かなり”深刻な問題である。陸軍の募集係から弱音が出たのか、軍の幹部は「The Calling(天職)」という宣伝動画を作って、幅広い青年層に呼びかけることにした。(「Calling」は別の英語だと神様の思し召しによる職業「Vocation」で、ドイツ語で言えば「Beruf(召命)」に当たる言葉だ。) ところが、この募集映像を観た保守派のアメリカ人、とりわけ尚武の精神を尊重する白人男性は、「何だ、こりゃ、BLMの軍隊ヴァージョンじゃないか !」と激怒した。確かに、出演者は有色人種と左翼白人の女性だから、伝統重視派の白人男性は了承できない。

Rickie 001David 001(左 : ラシード・“リッキー”・プラシール  / 右 : デイヴッド・トグチ )
  話題となった動画に出演する軍人をじっくり眺めてみると、「人種差別撤廃の“教育映画(プロパガンダ映像)”なのか?」と思えてしまう代物だ。各出演者はそれぞれの家庭事情や幼少時代を振り返り、どのような経緯や動機で入隊したのかを物語っている。例えば、黒人のラシード・“リッキー”・プラシール(RudSheld Rickie Plaisir)は、フロリダ出身の黒人だ。彼はハイチ移民の息子で、9/11テロ事件のあと、国防意識に目覚めたそうで、人々から尊敬される陸軍へ志願することを決め、フロリダA&M大学に進学した。この大学には士官養成のプログラムがあったので、彼はこのコースを受講し、卒業すると陸軍へ入り、今では中尉となっている。デイヴッド・トグチ(David Toguchi)中尉も嘗ては普通の少年で、その家族名から日系人と推測される。彼の出身地は日系人が多いハワイで、自宅の近くには陸軍の基地があったそうだ。少年時代のトグチ中尉はヘリコプターのパイロットに憧れたそうである。

Janeen 001Jennifer 001(左 : ジャニーン・フェルプス / 右 : ジェニファー・リリアーノ )
  黒人女性のジャニーン・フェルプス(Janeen Phelps)は、元々、ラスヴェガスで歌手の仕事をしていたそうだ。彼女はクルーズ船の仕事で海外を廻っているうちに、軍隊への関心が高まったそうで、現在は、広報担当の予備役中尉となっている。予備役軍曹のジェニファー・リリアーノ(Jennifer Liriano)も有色人種で、彼女はドミニカ共和国からやって来た移民の娘であるという。彼女の両親は貧しく、父親が病弱で母親が稼ぎ頭となっていた。ニュージャージー州の貧乏長屋で暮らしていたというから、当然、近所の子供達も“碌でなし”や不良ばかり。彼女は一時期、両親に連れられてドミニカへ帰ったそうだが、やはり故郷での生活は悲惨だったのか、貧乏でもいいからドミニカよりマシなアメリカに住みたいと考え、さっさと戻ってきたそうだ。そして、ジェニファーは学校で陸軍の募集係と出逢う。現在、ジェニファーは負傷兵を介護する陸軍の病院で働いている。

Emma Malonelord 01(左 / エマ・マロンロード )
  これだけでもウンザリするのに、次のケースは天を仰ぎたくなるほど酷い。陸軍伍長のエマ・マロンロード(Emma Malonelord)は、カルフォルニア出身の白人女性。彼女は学校の成績も良い普通のアメリカ人に見える。ところが、エマの家庭環境は普通と違っていた。何と、彼女の両親は二人とも女性なのだ。つまり、エマはレズビアン・カップルに育てられた左翼少女というわけ。動画のアニメーションでは、娘を支援する二人の優しい母親が描かれているが、正常なアメリカ人からすれば、眉を顰めたくなるような家庭である。「社会正義」と「平等思想」に燃えた少女は、“リベラル”な両親に付き添って、LGBT擁護の抗議デモに参加するし、アニメではレズビアンの両親が結婚式を挙げるシーンまである。 昔気質のピューリタンやクェイカー信徒が目にしたら、きっと目眩を起こして卒倒するぞ。

  もう、第二次世界大戦を経験した古参兵や敬虔なキリスト教徒は唖然として言葉が出ない。しかし、ホモや性転換者、自分の性別が判らない変態に、特別な「配慮」を示す民衆党がワシントンの政界を牛耳っているので、バイデン政権はLGBTの士卒をもっと増やすだろう。エマの動画が制作された理由も同じだろうが、おそらく、陸軍の上層部は「LGBTを差別せず、様々な国民に門戸を開いている!」というメッセージを伝えているんじゃないか。でも、「義務と名誉(Duty and Honour)」を第一に考える軍人からすれば、「ホモ野郎と一緒に戦えるわけねぇだろう!」と言いたくなる。

Gen George PAtton 22John Pershing 332(左 : ジョージ・パットン  / 右 : ジョン・パーシング )
  それでも、現在のアメリカだと、女性の心を持つ技術官とか、ペニスを切除した元男性まで入ってきそうだから、ジョージ・パットン(George Patton)将軍みたいな軍人はお払い箱だ。民衆参加の政治体制だから、多少は政治的圧力を受けるけど、やはり軍隊には厳しいモラルが必要で、鉄の結束で動く組織でなければならない。日本ではあまり知られていないけど、ジョン・パーシング(John Pershing)将軍は、第一次世界大戦で指揮官となり、陸軍元帥として全米にその名を轟かせた人物。また、彼は厳しい誡律を求めたことでも有名だ。パーシング将軍には「ブラック・ジャック(Black Jack)」という渾名がついていたが、それはウェスト・ポイント(陸軍士官学校)で教官をしていた時、あまりにも厳格であった為、パーシングを怨んだ士官候補生が「ニッガー・ジャック(Nigger Jack)」と呼んだことに由来する。後に、この「黒ん坊(Nigger)」という侮蔑語は、普通に使われる「ブラック」に変わったけど、パーシング将軍の遺訓は不変だった。

  ミリタリー学校出身のドナルド・トランプも、同性愛者の入隊や性転換者の採用に反対だったから、彼は2017年にトランスジェンダーの入隊を禁止する声明を発表した。(Julie Hirschfeld and Helene Cooper, "Trump Says Transgender  People Will Not Be Allowed in the Military", The New York Times, July 26, 2017.) 保守派の軍人を背にしたトランプ大統領が、LGBTの潮流に逆らったのは当然だけど、こうした特殊な人材を維持するのは結構お金がかかる。RAND研究所の報告によれば、“性的マイノリテイー”を養うためには、年間240万から840万ドルの費用が掛かるそうだ。ちょっと驚いてしまうが、米軍の現役兵には、約2千から1万1千人ほどの「トランスジェンダー」が居るらしい。 

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(左 : 将兵からの人気が高いトランプ大統領  / 右 : ゲイの軍人カップル )

  ただし、この人数は鵜呑みにできない。なぜなら、調査に答えた人が正直とは限らないからだ。軍隊内部での評判を気にする人は、自分の性癖を隠しているから、ジェンダーに問題を抱える人は「もっと居る」と考えた方がよい。陸軍予備役のタミー・スミス少将(Major General Tammy Smith)みたいに、「私は同性愛者」と公言する上級軍人は少数派で、昇進を気にする士卒は「カミング・アウト」を躊躇うはずだ。ホント、「白人のアメリカ」を心から憎むバラク・オバマの罪は大きい。この赤い黒人は大統領になると、「みんなに開かれた軍隊」を掲げ、規律正しい“男の武装集団”をゲイやレズビアンが跋扈する「レインボー協会」に変えてしまったのだ。(昭和時代に『レインボーマン』という子供番組が放送されたけど、日本のレインボーマンは男らしい正義の味方だった。) NHKや民放は騒がなかったけど、オバマ政権で国防長官を務めたアシュトン・カーター(Ashton Carter)は、「ゲイ」を公言するエリック・ファニング(Eric Fanning)を陸軍初のホモ(陸軍)長官に指名した。もし、ジェシー・ヘルムズ(Jesse Helms)上院議員が生きていたら、議会に長官を呼びつけ、烈火の如く怒っていたただろう。

Tammy Smith 2Ashton Carter 1Eric Fanning 1








(左  : タミー・スミス /  中央 : アシュトン・カーター  / 右 : エリック・ファニング )

  そう言えば、2017年、トランプ大統領がトランスジェンダーの禁止声明をツイッターで発表した時、56名の退役将軍や提督らが反対書簡を公表した。(Aric Jenkins, "Retired Military Leaders Sign Letter Opposing Transgender Troop Ban", Time magazine, August 1, 2017.) ところが、アメリカの主流メディアと軍事評論家というのは二枚舌を持っているのか、普段なら軍人による政治介入を咎めるはずなのに、軍民関係を専攻する大学教授らは、この老人集団(陸海空軍、海兵隊、沿岸警備隊の退役将校)を激しく非難しなかった。民衆党の重鎮たるナンシー・ペロシやヒラリー・クリントンは、どんな対応をしていたのか? アメリカの政治に詳しい奥山真司(おくやま・まさし)博士に訊いてみたい。

ed Cruz 4(左  / テッド・クルズ )
  とにかく、勧誘動画の「The Calling」には、各方面からの批判が相次いだ。例えば、テキサス州選出のテッド・クルズ(Ted Cruz)上院議員は自身のツイッターで感想を表明し、「何てこった(Holy crap)、たぶんwokeだろうが、去勢された軍隊なんて一番の理想じゃないぞ」と書き込んでいた。(Benjamin Wermund, "Sen. Ted Cruz slams emasculated U.S. military dipicted in Army ad campaign", The Houston Chronicle, May 20, 2021.) ちなみに、この「woke(覚醒)」というのは最近の俗語で、人種とか性的少数派、社会正義に目覚めた人々に現今日する時の流行語(隠語)である。

  ビル・オルライリー(Bill O'Reilly / 元FoxTVのアンカーマン)が属する「The First」というテレビ局も、この宣伝動画をニュース番組で取り上げ、キャスターのジェシー・ケリー(Jesse Kelly)は呆れ返っていた。彼は露骨な批判をせず、控えめな態度を守っていたが、どうみても愕然とした表情を示していた。ケリー氏は元海兵隊員で、イラクやペルシャ湾に派遣さたこともある、実際の戦闘を経験した退役軍人だ。彼のような海兵隊員からすれば、「ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しい思想)」に犯された陸軍は、まともな軍隊とは思えない。ケリー氏は自身の番組でロシア軍の募集動画を紹介し、男臭い映像とクラブ活動みたいなアニメ動画を比べていた。ロシア軍が制作した新兵募集の動画では、屈強な肉体と不屈の精神を誇る「男ども」が、愛国心と国防意識に目覚めるというストーリーで、登場するロシア人は、まるでスパルタ人みたいな豪傑揃い。実に「男らしい男」を前面に出した軍隊である。

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(左 :  ジェシー・ケリー /  右 : ロシア軍の狙撃兵)

  それとは対照的に、合衆国陸軍の募集動画ときたら、まるで大学のサークルが行う新入生勧誘のTV広告みたいだ。貧しい家庭で育った移民の娘が陸軍のリクルート係に声を掛けられ、国防の重要性に気づいたとか、平凡な生活を送っていた黒人少年が、9/11テロを切っ掛けに愛国心に目覚めたとか、もう、いかにもハリウッドが作りそうな多民族主義の映像だ。もしかすると、陸軍がどこかの映画スタジオに頼んだのかも。『The Calling』を観ていると、何となくリチャード・ギアとデボラ・ウィンガーが共演した『愛と青春の旅立ち(An Officer and A Gentleman)』(1982年)を思い出す。ただし、『The Calling』の方は、映画を劣化させたような動画である。米軍の宣伝アニメには、獰猛で強靱な男が集まる戦闘部隊といったイメージは全く無い。

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( 左 : エマ・マロンロードと二人の「母親」  /  右 : レズビアンの母親が挙げた結婚式を描いたアニメ )

  もう厭になってしまうけど、「男女平等や人種差別の無い軍隊」がアメリカ陸軍の理想なんだから、歴戦の勇者は頭を抱えてしまうだろう。現在、70代の退役兵は血みどろのベトナム戦争を経験した世代であるから、こんな募集映像を目にしたら、トランプ嫌いの民衆党員でも、バイデンの方針に反対したくなるはずだ。しかし、バイデンの方は、一向に気にしないだろう。なぜなら、この「合衆国大統領」は痴呆症が進みすぎて、時間の感覚すら無いからだ。最近、バイデンは演説を行い、就任以来の「業績」について言及したけど、就任したのは「15ヶ月前」と述べていた ! この演説動画は全世界に拡散され、アメリカ人はおろか日本人でも、「今は2021年の6月だから、就任したのは約5ヶ月前の1月なのに・・・」と一様に驚く。いやぁぁ~、ホント、史上最高の8千万票を獲得した大統領は“ひと味”違うねぇ~。バイデンに投票したアメリカ人は、現在、どんな気持ちなんだろうか? 選挙では「8千万人」が支持したようだが、失望している人はもっと多いんじゃないか?

  筆者にはよく判らないけど、いったい何人がバイデンに投票し、この老人を「真の大統領」と思っているのか? アメリカ通のケント・ギルバートや上念司なら知っているかも・・・。チャンネル桜が彼らを「御意見番」として再び呼んでくれないかなぁ~。
  


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