自民党の基盤は揺るがなかった

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    10月31日に行われた総選挙では、老害の宿痾みたいな開票結果もあったが、喜ばしい“意外な結果”も起こった。例えば、あの山崎拓が応援した立憲民主党の辻元清美(大阪10区)が落選 !! 真っ赤な辻本が維新の池下卓に負けて、比例復活もできなかったことは慶事。見るだけでも不愉快で、日本の政治を悪化させるだけの辻本が、比例でも救われず、バッサリと落選した訳だから、赤飯を炊いて祝いたくなる。

  そして、朗報はもう一つ。東京8区で再選を狙う石原伸晃が、立憲民主党の吉田晴美に敗れた。もう痛快の一言に尽きる。『スパルタ教育』(光文社)を書いた石原慎太郎に、“厳しく”教育されたはずの長男、伸晃くんは、甘やかされて政界に躍り出た。親爺と叔父と叔母と石原軍団の“42(or49)光り”を背にして当選してきた訳だから、今回の落選は本人にとって、「自分の実力」を知る良い機会となった。保守派でタカ派の親爺が育てた息子が、どれもこれも「ポンコツ」なんだから、机上の空論というのは実に虚しい。石原家の三男、パッとしない石原宏高も、立憲民主党の松原仁に敗れたそうだ。父親の慎太郎は田中角栄の評伝なんか書いていないで、馬鹿息子の反省録でも書いたらどうなんだ?

  しかし、落選した自民党議員の中には惜しい人物もいて、それが大阪14区から出馬した長尾敬(たかし)議員である。やはり、関西地方は日本維新の会が非常に強い。「大阪のテレビ局は維新とグルなんじゃないか?」と思えるほど、矢鱈と維新の議員を取り上げ、吉村洋文知事も連日のようにテレビ番組に出ていた。いくら武漢ウイルスが蔓延し、自治体の対応が重要であっても、あんな風に毎日毎日、昼夜を問わず吉村知事を映すなんて異常だ。関東でも政治番組で橋下徹を採用していたから、もう在京キー局は日本維新の会の広報係と同じである。何か裏に「意図」があるんじゃないか? もしかすると、立憲民主党に失望した左翼プロデューサーが、ニュー左翼の維新に目を附けたのかも知れない。それに、維新の幹部は多国籍企業の連中と地下で繋がっているから、与党に擦り寄り、自民党の内部から日本解体を目指すのかも知れないぞ。既に、菅義偉と橋下徹は昵懇だから。

  今回の選挙では、大物議員が小選挙区で大敗し、少なからず永田町を揺るがした。例えば、岩手3区は小沢一郎の牙城であったが、今回は後援会の老化もあったのか、小沢一郎の得票数が減少し、比例での復活となった。また、自民党の幹事長を務める甘利明が、何と小選挙区で落選なんだから前代未聞である。甘利氏は比例復活となったが、幹事長の辞任は確実となった。そして、長年の弊害というか、支那人に媚びる自民党の古狸である野田毅が、熊本2区で敗退したのは朗報だ。山口3区で河村建夫が引退したのも良かった。

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( 左 : 小沢一郎  /  中央 : 二階俊博 / 右 : 河村建夫 )

  しかし、自民党には老害が残っていて、和歌山3区では二階俊博が再選されてしまった。「新党くにもり」から本間奈々が出馬したけど、やはり二階の鉄板は破れなかった。長年に亙る利権構造が骨の髄にまで浸透している地域だから、地元の有権者は何が何でも二階に投票する仕組みになっている。本来、国会議員とは「国政」を司るはずの代議士なんだけど、実際は、「地元」の利益を確保するための代理人となっている。たとえ、江沢民や習近平に国家と皇室を売り渡しても、地元の観光業者や中小企業が儲かればいい、という考えなんだから情けない。田舎の中高年は地上波テレビしか観ていないのか? 堕落した日本人というのは、地獄か属国に陥るまで正気に戻ることはない。
 
  主要メディアの報道によれば、今回の総選挙で自民党は30ないし40議席くらい失うはずであった。しかし、岸田総理は意外と幸運で、自民党は選挙前の276議席を割ったものの、261議席を確保したから、敗戦の傷はそう深くない。筆者は9月30日のブログで、「自民党の惨敗はなく、そこそこの勝利でホッとするはずだ」と書いた。そして、立憲民主党の躍進は無い、とも予想した。案の定、小選挙区での活躍はあったが、立憲民主党は改選前の109議席から96議席へと減らす結果になった。反対に、躍進したのは日本維新の会で、改選前の11議席から、41議席へと伸ばしたんだから凄い。

  今回、立憲民主党は禁断の「立共合作」を仕掛けたが、支持母体の組合は共産党を嫌っていたから、立民の候補が苦戦を強いられたのも当然だ。いくらなんでも、自動車会社や家電メーカーの社員が、自らを無産市民の「プロレタリアート」とか、皇室打倒を目指す「革命予備軍」とは思わないだろう。大半の有権者は金融や外政、軍事、エネルギー問題など、国家規模の課題を知らないけど、何となく左翼政党に“胡散臭さ”を嗅ぎ取っていた。それに、いくら凡庸な国民でも、既存の政治家には不満を抱いているし、左翼政党には嘗てのような“威光”は無い。大衆は左翼政党に魅力を感じなくなっている。だから、自民党がどれだけ頽廃しても、それに対する「抗議票」は立民や共産に向かわず、保守の衣を纏った維新へと向かったのだろう。でも、足立康を見れば分かる通り、維新の議員には怪しい奴が多い。

  それはともかく、先月の総選挙に関して、これから各マスコミは色々な“分析”とやらを口にするだろう。しかし、肝心な点は、「いったい、我々は何を目指しているのか?」ということだ。国防や外政といった国家の重要課題すら一切考えない日本人は、日々の生活における些細な事柄ばかりを第一に考える。極左メディアの「ハッフィントン・ポスト」紙(10月30日)によれば、若い有権者(30歳未満)の関心事は、夫婦別姓などの「ジェンダー平等」であるそうだ。でも、そんなのはゴミ箱行きの戯言(たわごと)か、せいぜい市町村レベルの議題だろう。これから結婚し、子供を産み育てて行く若者にとって最も重要なのは、日本の安全保障と政治・経済における独立だ。マスコミのアンケートで、質問された若者は「命が大切 !」と答えるが、同胞を見殺しにしている意識は無い。実際、拉致問題だって一向に進展がなく、岸田内閣も従来通り、同情を示しながらの「黙殺方針」を踏襲するはずだ。

  子育て世代にとって、日本の経済成長は重要課題のはずなのに、これまた無関心のまま。軍事研究や兵器開発をすれば、目覚ましい経済発展があるのに、相も変わらず平和志向だ。日本の科学技術レベルが年々、恐ろしいほど低下しているのに、子育て世代の若者が全くの無関心なんだから、日本国民の多数派は重症である。理数系の教育も以前から問題とされているのに、政府は形を変えた「ゆとり教育」と人権や多民族主義の「亡国カリキュラム」に邁進しているんだから、これに気づかない国民はアホとしか言い様がない。

  不満は色々あるけれど、今のところ、議席数を減らした岸田政権は、夏の参議院選挙に向けて何らかの対策を練ると思う。しかし、不人気の岸田総理が何をやっても支持率の向上にはなるまい。たぶん、参院選での敗北か、参院選前の総理交代となるのかも知れないぞ。まぁ、消費税の廃止すらできない自民党だから、支持率の回復なんて期待できない。だいたい、岸田総理の顔は親戚と財務省に向いているので、増税路線しか考えていないだろう。まさか、炭素税とか森林保全税の導入なんか無いよねぇ~? 武漢肺炎で亡くなる人よりも、自殺者数の方が多くなる、といった事態だけは避けてもらいたい。




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