三流学者のアメリカ政治解説

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  ウクライナ紛争が勃発して以来、我が国でも色々な学者や評論家、あるいは“ロシア専門家”と呼ばれる人々が、テレビや新聞、週刊誌などに登場し、独自の“見解”を述べている。しかし、心の底から傾聴に値すると思える分析はほんど無い。テレビ局の制作スタッフなんかは「宮仕え」の典型で、上司から叱られない程度の番組を作って「一丁上がり」だ。元々、彼らは軍事・外政といった国際政治に興味が無いから、とりあえず有名大学の「専門家」をスタジオに揃えておけばいい、と考えてしまうのだろう。一方、自宅でボケ~と無料放送を眺める一般人は、“有り難い御意見”を拝聴できたことで至って満足だ。

  以前にも言及したが、筑波大学の中村逸郎とか慶應義塾の廣瀬陽子の解説は凡庸で、『週刊実話』や『週刊ポスト』のアカデミック版くらいだ。そもそも、彼らの話を聴いたら、リアル・ポリティックス理解の「足し」になるのか? 繰り返しになるが、テレビ局が目論む狙いは、英米から頂いた戦時プロパガンダを翻訳することにある。だいたい、普段から馬鹿にしている一般視聴者のために、テレビ局が「真相」を伝えようと努力するのか? テレビ局のプロデューサー達は、40歳代や50代の大人でも、「中学一年生くらいのアホ」としか思わない。「低学歴の庶民には、この程度の解説で充分だろう」と嗤(わら)っているのだ。

Watanabe Yasushi 001(左  / 渡辺靖 )
  最近のマスコミでは、東大教授に加えて、慶應義塾の教授が多く招かれている。TBSはロシア専科の廣瀬教授を御意見番として採用し、NHKはアメリカ政治を専門とする 渡辺靖を呼んでいた。そして、月刊雑誌の『中央公論』も渡辺氏を招いて対談をさせている。対談相手の横田増生なんてチンピラ・ジャーナリストで、新聞記者程度の知識しかないけど、渡辺氏の方は一応「慶應大学の教授」という肩書きを持っている。ところが、渡辺教授の発言を読んでみると、「えぇぇ~?!」と首を傾げたくなるのだ。

  例えば、渡辺教授は、ジョー・バイデンの業績というか、上院議員・副大統領時代の言行に触れ、バイデンは基本的に「アトランティスト(アメリカ・カナダ・西歐諸国の協調政策を重視する人)」である、と述べていた。曰わく、

  ヨーロッパとの関係を重要視し、適切な距離を探ってきたバイデンだからこそ、NATO諸国の結束を呼びかけられたのでしょう。トランプ政権はヨーロッパ殿関係をかなり毀損していましましたから、ここまでの国際協調を演出するなどとてもできなかったはずです。(横田増生 X 渡辺靖「ウクライナ侵攻で揺れるアメリカ社会の行く末」『中央公論』2022年6月号, p.78.)

  確かに、若い頃から上院議員を務めていたバイデンは、アメリカの対外政策に噛んできたけど、評価される業績など“これっぽっち”も無く、むしろ有害で見当違いの行動ばかりだった。バイデンといえは、剽窃の常習犯、つまり他人の文章を盗んで自分の論文や演説に用いていたし、学業を自慢すれば、“水増し”の成績がバレるといった有様だった。渡辺教授は「ヨーロッパとの関係を重視した」と言うが、具体的にバイデンは「何」をしたのか? 「ウクライナとの関係を緊密にした」のは私腹を肥やすためだったはず。また、NATOの拡大はバイデンが主導権を握った策略じゃない。

  渡辺教授はアメリカへ留学し、多少は現地の事情に詳しいようだが、彼が述べる「白人ナショナリズム」とか「保守主義」、「新右翼」に関する説明には納得できない。(ここでは彼の著作に触れないけど、いずれ紹介して問題点を指摘したい。) 対談の中で渡辺氏は、「白人ナショナリストが何故プーチンを支持するのか?」という点にも触れていた。トランプ大統領の支持基盤となっている白人ナショナリストには、白人文化の精神的支柱となるキリスト教を守りたいという意識がある。だから、ポリティカル・コレクトネスや批判的人種理論、グローバリズムを批判するプーチン大統領に賛同する人も少なくないという。こうした背景を踏まえて、渡辺教授は説明する。

  グローバリストやリベラルがもたらした害悪の波が西洋を席巻する中で、防波堤となっているのが、移民やLGBTQの人たちに排他的な姿勢を見せるプーチンだと考えている。彼らにとってロシアは、冷戦時代の対立相手ではありません。逆説的ですが、自分たちが取り戻したいと考えている「古き良きアメリカ」をプーチンのロシアが体現していると見ています。トランプがプーチンを天才だと褒めそやしたのも、対ロシア政策が常に甘めだったのも、自らの支持基盤の一部を成す白人ナショナリストたちを刺戟したくないと考えたからかもしれません。(上掲記事、p.80.)

  ロシア帝国の復活を目指すプーチンが、自国を健全にするのは当然だが、今のロシアが「古き良きアメリカ」を体現しているなんて誰が信じるんだ? まぁ、アメリカには超一流の天才から、冷酷無情な極悪人、底抜けの馬鹿まで幅広く存在するから、プーチンのロシアを理想とするアメリカ人だって居るだろう。しかし、ある程度の教養を積み、常識を兼ね備えたアメリカ人かなら、ロシアに昔のアメリカを求めたりないぞ。また、トランプがプーチンを褒めていたのは、愚劣な外政を推進するバイデンを批判するためだ。現実派のトランプなら、あのような無茶はしないし、闇組織の要求には応じまい。

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(左 : 現実政治を理解していたトランプ  /  右 : 業績が乏しい無能なバイデン)

  渡辺教授レベルだと謀略戦や心理戦に関する知識が乏しいのかも知れないが、大統領となったプーチンが歐米の移民政策や進歩主義を排斥したのは、それが国家にとって有害であると判っていたからだ。プーチンが属していたKGBは、西歐社会を腐敗堕落させるために、わざとこうした左翼思想を注入し、人材と資金を投じて猛毒の普及に努めていた。西側で活動する工作員や現地の協力者は、無防備な若者に自由恋愛と称してフリーセックスを勧めていたし、両親、教師、牧師、政府の権威を否定する「啓蒙主義」にも熱心だった。赤色思想の布教者は、背徳思想に基づくリベラリズムを媒介にして、子供や青年を放縦主義へと導き、ある者には社会正義で包んだマルクス主義を、別の者にはマリファナやコカインを勧めて享楽主義へと引きずり込んだ。貧乏黒人には白人への憎しみを植え付け、怒った白人にはレイシズムを囁いた。未来を担う若者に「自由」という名で包んだ「毒薬」を飲ませ、その精神を腐敗させれば、国家は自ずと滅んで行く。

  ロシアの指導者は、こうした毒麦をアメリカやヨーロッパの都市にバラ撒いたが、母なるロシアの大地には道徳の種しか撒かなかった。それゆえ、変態を増やすLGBTQ支援なんて以てのほか。ロシア人の肉体を変えてしまう、アフリカ人やアラブ人の移住も御法度。ロシアの子供には名誉を重んずる教育を施し、「ロシア国民は義務を優先すべし」といった薫陶を授ける。プーチンが目指すのは、国家への忠誠心を涵養する徳育だ。そして、立派な戦士を支える愛国心と伝統的な信仰心である。自分が君臨するロシア帝国は、最強の軍隊を誇り、世界を照らす太陽でなければならない。「核兵器は絶対にいけません !」と叫ぶ岸田総理は、サーカスのピエロよりも滑稽だ。

ユーラシア世界とロシアのナショナリズム

Aleksandr Solzhenitsyn 111Aleksandr Dugin 11(左 : アレクサンドル・ソルジェニーツィン  / 右 : アレクサンドル・ドゥーガン )
  プーチンの哲学師匠には、二人のアレクサンドルがいる。一人はノーベル文学賞に輝いたアレクサンドル・ソルジェニーツィン(Aleksandr Solzhenitsyn)で、もう一人は、日本で全く知られていないアレクサンドル・ドゥーガン(Aleksandr Dugin)だ。彼はモスクワ国立大学の元教授で、政治哲学を専攻する著名な知識人で、別名「プーチンのブレイン(Putin's Brain)」と呼ばれている。(Peter Hughes, 'Putin's brain : What Alexander Dugin reveals about Russia's leader', The Spectator, 19 April 2022.)

  ソルジェニーツィンやドゥーガンは、ロシアのナショナリズムを信奉するインテリゲンチャだが、この二人はイワン・イリューイン(Ivan Alexandrovich Ilyin)の衣鉢を継ぐイデオローグでもあった。イリューインはリューリック王朝の血を引く貴族の家庭に生まれ、父親のアレクサンドル・イリューイン(Aleksandr Ivanovich Ilyin)は、クレムリン宮殿で育ったらしい。アレクサンドルの父親でイワンの祖父に当たるイワン・イワノヴッチ(Ivan Ivanovich Ilyin)が宮廷に仕えていたので、皇帝アレクサンドル3世が息子の洗礼式で代父(godfather)になってくれたそうだ。一方、母親のカロライン(Caroline Louise Schweikert / Yekaterina Yulyevna)は、ドイツ系のルーテル派キリスト教徒であったが、結婚を機会にロシア正教へ改宗し、名前をエカチェリーナへと改めたそうである。

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(左 : イワン・イリューイン  /  中央 : 両親のアレクサンドルとエカチェリーナ/  右 : 皇帝アレクサンドル3世)

  ロシア貴族として育ったイワンだから、君主政を支持する哲学者へと成長したのは当然で、ボルシェビキ革命が起こると、共産主義反対の立場を取った。彼はモスクワ大学の法学教授となっていたが、その反共主義ゆえに何度か投獄され、しまいには国外追放という処分になったらしい。祖国ロシアを離れたイワンは、母親の祖国であるドイツへと向かい、ベルリンの地に移り住んだ。「白色運動(Beloye dvizheniye)」のロシア人となったイワンは、ヨーロッパ各国で講義を行っていたが、ナチスの台頭を目にすると、この亡命者はアドルフ・ヒトラーの反共主義に共鳴した。彼がファシズム寄りと評されるのは、ボルシェビキのユダヤ人を憎んでいたからだ。1954年12月、彼はジュネーヴで息を引き取る。2005年、プーチン大統領はイリューインの遺体をモスクワのドンスコイ(Donskoi)修道院に移し、そこの墓地へ再び埋葬したそうだ。さらに、2009年、プーチンはイリューインの墓をロシア正教で清めたという。

  歐米や日本のロシア専門家は、KBGの出身であるから、未だにプーチンは共産主義を信奉しているんだろう、と疑っているようだ。しかし、プーチンの精神は異質なコミュニズムではなく、ロシアの大地に根ざしたナショナリズム、あるいは伝統的な帝国主義で形成されているのかも知れない。たぶん、共産党に組みしたのは出世のためで、心からユダヤ人の政治思想に共鳴した訳じゃないだろう。プーチンの行動様式(ethos)を眺めていると、ロシア皇帝の姿が浮かび上がってくる。

  プーチンの政治哲学に深い影響を及ぼしたアレクサンドル・ドゥーガンは、神秘的な国家論やハロルド・マッキンダー風の地政学を展開するが、その中核にはアメリカを含む西歐世界に挑戦する拒絶反応が見られる。彼は『Chetvertaya Policheskaya Teoriya(第四の政治理論)』という著書の中で、「四番目の政治理論(The Fourth Political Theory)」を提唱した。ドゥーガンの思想は、ムッソリーニやヒトラーのファシズム(national socialism)、ならびにロシアで蔓延したコミュニズム(international socialism)はもちろんのこと、西歐のリベラリズムをも排斥し、ユーラシアを主体とする民族主義の政治理論を打ち立てている。

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(左 : レーニン  /  ムッソリーニ  /  ヒトラー  / 右 : ローズヴェルト )

  とりわけ、ドゥーガンは人間の精神を荒廃させるポスト・モダニズムが大嫌い。(日本の左翼学者がこぞって熱中し、マルクス主義の変形でしかない「ポスト・モダニズム」について説明すると長くなるので、別の機会で触れることにする。) 1968年に黄金期を迎えたヨーロッパの左翼主義は、メガトン級の大量破壊思想であったが、日本の庶民だって吐き気がするほど厭だった。それゆえ、ドゥーガンが猛烈に西歐のリベラリズムや物欲主義を毛嫌いするのも理解できる。ドゥーガンは西歐を「死の国」とか「生命無き世界」と評し、「排除されし者のたまり場」とか「反東歐の国」とも呼んでいた。(Giuliano Adriano Malvicini, 'Dugin sur lEthnicité contre la Race', Counter Currents, Septembre 16, 2014.)

  渡辺教授のように、歐米の学者はドゥーガンの政治思想を「新右翼(Alta-Right)」と同じタイプの思想と見なしているが、このロシア人は人種主義の立場を取らない。彼の主張によれば、ロシアは単一民族の国家ではなく、スラブ人やフィン人、トルコ系、モンゴル(タタール)系の人々から成る多民族国家であるという。したがって、ドゥーガンはナチスの人種に基づくナショナリズを却下する。ロシアというのは、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)を継承する「神聖な国家(sacred empire)」であり、「天主の王国(tsarstvie)」と「地上の王国(tsarstvo)」の均衡を保ちながら、その二つを融合させた国家であるという。(Alksandr Dugin, Metafizika blagoi vesti : Absolutnaia rodina, Moscow : Arktogeia, 1999, p.375.) 

  トゥーガンのユーラシア地政学で特徴的なのは、世界には神聖なる啓示が現れる中心(枢軸)があり、この軸の周りにコスモス(均衡・調和を保つ世界)が存在する、という主張だ。これは丁度、北歐神話に出てくるイグドラシル(Yggdrasil)のようなもので、天界や地界をその根で繋ぐ巨大な樹木である。イグドラシルが九つの世界を結び附けるように、ロシアはユーラシアの中心(幹)となり、その根は周辺諸国の民族を結び附ける。この聖なるロシアには、家父としての皇帝が君臨し、司祭と戦士がエリート階級を形成する。この両階級は伝統的な社会で権力を持つ。

  全世界を救済するイエズス・キリストを信仰し、ロシア宗教を大切にするドゥーガンにとって、西歐人が標榜する人権思想とかポスト・モダニズム、ニヒリズムなどは薄っぺらな言葉遊びに過ぎない。さらに、彼はロシアの伝統や民族固有の精神、とりわけロシア人の魂を抹殺する西歐のグローバリズムを憎んでいる。(実際はユダヤ人のグローバリズム。) 確かに、アメリカの国際企業が持ち込む「世界標準」とやらが「主流」となれば、ユーラシアの豊穣な大地は資本家に蹂躙され、多種多彩な民族は「アメリカ風の地球人」に変貌し、単なる賃金労働者にされてしまうだろう。ロシアのナショナリストはグローバル企業の恐ろしさを目の当たりにしたから、西歐思想の浸透に警戒心を抱くのも当然だ。「アメリカン・スタンダード」に基づく法律や制度は、巨大なスチーム・ローラーのようなもので、ロシア社会を平坦にする圧殺機である。

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(左 : 自由と平等を叫ぶアメリカの黒人  /  右 : ワシントンの中央権力に群がるユダヤ人)

  アメリカの覇権主義に刃向かうドゥーガンにしたら、「アメリカ的人間(homo americanus)」というのは、ポストモダンの時代が産みだした平均的な人間でしかない。彼は西歐人が持ち込む基準と経済システムに打ち勝つため、あらゆる勢力を結集させねばならない、と呼びかけた。たとえ、それらの抵抗勢力がヒンドゥー教やイスラム教、仏教、キリスト教、ヨーロッパやラテン・アメリカに残存する異教であっても構わないそうだ。確かに、西歐の物質文明は圧倒的で、庶民を悉く魅了する魔力を持っているから、イスラム教みたいな宗教でなければ対抗できない。

  当初、プーチン大統領を支援していたドゥーガンであったが、プーチンが西側の資本制を取り入れ、愛国主義よりも経済発展や自由主義を優先するようになったから、ドゥーガンは段々とプーチンに対して批判的になったという。しかし、ロシア経済の発展や科学の進歩を考えれば、どうしても西側の資本や技術の導入は不可欠だ。いくら石油や天然ガスといった地下資源が豊富でも、それを掘鑿し、精製するとなれば高度な技術が必要で、歐米諸国や日本企業との提携はやむを得ない。

  ただし、アメリカの巨大企業が乗り込んでくると、ロシアの地元企業は潰されるか吸収されるのいずれかなので、自由市場とグローバル経済は劇薬となる。特に、テレビ局や新聞社といったマスメディアは狙われやすく、ロシア人が主役であるはずの映画や音楽だって、アッという間に支配されてしまうだろう。ちょっと賢いロシア人なら分かると思うが、大株主や経営者が西歐人とかユダヤ人になれば、その下でこき使われるのはロシア人と相場が決まっている。マクドナルドやスターバックスで雇われる低賃金労働者も、ほぼロシア人となるはずだ。ドゥーガンヤソルジェニーツィンといった知識人が、アメリカナイゼーションを嫌ったのも然だ。

  とにかく、アレクサンドル・ドゥーガは白人保守派の間で話題となった。これに気づいたからか、左翼メディアのニューヨーク・タイムズやCBSなども、彼にインタヴューをするようになり、一般のアメリカ人やヨーロッパの知識人も彼の思想に興味を抱くようになったらしい。ところが、我が国では無名知識人のまま。それもそまはず。日本の出版社は彼の本を和訳しないし、アマゾンにさえドゥーガンの著作は陳列されていないのだ。試しに、彼の名前で検索しても全くヒットしないし、一冊も販売されていないんだから驚きだ。大学の図書館を探してみてもほぼ皆無で、東大の駒場図書館に1冊、神戸大学の図書館に別の1冊があるくらい。

      筆者が2012年頃にドゥーガンを知ったのは偶然で、Arktos Mediaのサイトを見ていたら彼の本が英訳されていたので興味を抱いたことを覚えている。ドゥーガンには『Fourth Political Theory』『Ethno Sociology』『Eurasia Mission』『The Theory of A Multipolar』『Political Platonism』『The Last War of the World Island』といった著作があり、知的好奇心の強い「白人ナショナリスト」に読まれている。しかし、普通の日本人はこの出版社の存在すら知らないはずだ。「Arktos」を創業したのは元スケート選手のダニエル・フライバーグ(Daniel Friberg)というスウェーデン人で、彼は自国の子供(北歐人)が有色移民の子供にイジメられているのを目にして、白人擁護活動に入ったそうだ。しかし、スウェーデン人のスキン・ヘッド連中が過激になったので、彼らと離れることにしたという。

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(左 : ダニエル・フライバーグ   /   中央 : アラン・ド・ベノワ   /   右 : ギョーム・フェイ )

  その後、フライバーグ氏はフランスの新右翼(Nouvelle Droite)知識人として高名なアラン・ド・ベノワ(Alain de Benoist)やギョーム・フェイ(Guillaume Faye)の思想に感銘を受け、「オルタ・ライト(AltRight)」に興味を抱く。ところが、彼はそのまま「新右翼」の活動家にはならず、ヨーテボリ大学に通ってMBAを取得し、金融業界や鉱山企業で働くことにした。それでも、彼は言論活動を諦めず、独自の出版社を設立して、西歐文明やヨーロッパ種族を肯定する本を出版することにした。彼の「Arktos Media」は、大手出版社が敬遠する「右翼本」を次々と出版する。だが、どれほど魅力的でも主流メディアで取り上げられることはない。例えば、保守派の日本人でも、ユリウス・エヴォラ(Juilius Evola)やエドワード・ダットン(Edward Dutton)、 ウィリアム・リンド(William S. Lind)、ウィンストン・バンクス (Winston C. Banks)、ジェイムズ・カークパトリック(James Kirkpatrick)の著作は知られて折らず、手にした人は多くないだろう。筆者が好きなクレア・エリス(Clare Ellis)の 『The Blackening of Europe』は秀作だが、日本の総合雑誌で紹介されることはない。

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(左 : ウィリアム・リンド / ユリウス・エヴォラ / エドワード・ダットン / 右 : クレア・エリス)

  なるほど、アレクサンドル・ドゥーガンの本は大衆受けするとは思えないが、それでも大手販売業者のアマゾンが、商品の陳列棚に置かないというのは不可解だ。おそらく、西歐白人の卓越性を称讃する「右翼本」は嫌いなんだろう。「ヘイト・スピーチ」の扱いになっていれば尚更だ。しかし、本の内容を判断するのは読者であり、本屋のアマゾンではない。いくら巨大企業であっても、アマゾンは本質的に小売店である。「ヘイト本」か否かの判断は、自分の肉眼で読む個人が下すもので、他人が「禁書」にするというのはおかしい。

     アマゾンはエロ本だって堂々と販売しているのに、どうして「新右翼」の本はダメなのか? 左翼知識人やユダヤ人、黒人、グローバリストを批判する学術書や文藝書は、ポルノ小説よりもマシだろう。一方、 コーネル・ウェスト(Cornel West)やイブラヒム・ケンディ(Ibram X. Kendi)、クァンメ・フィリップス(Kwame Phillips)、デリク・ベル(Derrick Bell)といった札付きk極左なら歓迎され、彼らのクズ本はたくさん販売されているのにねぇ~。

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(左 : コーネル・ウェスト  / イブラヒム・ケンディ / クァンメ・フィリップス /  右 : デリク・ベル)

  そう言えば、廣瀬陽子の授業を取っている慶応の学生は、どんなロシア人の本を読んでいるのか? ソルジェニーツィンの名著『Dvesti let vmeste(200年共に)』を知っている学生は何人いるのか? まだ彼の本は日本語に訳されていないし、英語版も出ていないから知らないかもね。(ただし、ボランティアの個人が出した英訳本なら出ている。)

  

 
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