パイプラインを狙ったテロ行為

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(左 : 爆破の「容疑者」にされたウラジミール・プーチン   /  右 :「打倒ロシア」に燃えるヴィクトリア・ヌーランド )

  9月26日、バルト海に浮かぶデンマーク領のボーンホルム島近くで海底爆発が起きた。これにより、ノルド・ストリーム(Nord Stream)1と2のパイプラインに3箇所の亀裂が生じて大量のガスが噴出したという。報道によれば、マグニチュード2.3クラスの地震に匹敵するらしいが、この衝撃は自然災害やマグマによる振動ではない。デンマークやノルウェー、スウェーデン、フィンランドの政府が認めた通り、人間による破壊工作であった。

Nord Stream leaks 3 points( 左 / 爆破によるガス漏れを示すノルド・ストリームの地図 )
 「Swedish National Seismic Network」によれば、最初の爆発は月曜日の午前2時03分に起き、二回目の爆発は19時に起きている。これは実に奇妙な破壊工作だ。北歐諸国の海軍は第1回目の爆発が起きた後、なぜか10時間以上も警戒態勢を取らず、2回目の攻撃を許してしまったのだ。普通、こんな事態が起これば、デンマークやスウェーデンの政府は謎の軍隊によるテロ攻撃と見なし、直ちに海軍司令部が動き出す。おそらく、爆発が起こったボーンホルム近辺を隈なく捜索し、正体不明の潜水艦が航行していないかを調べるはずだ。

  ノルド・ストリームのパイプラインは海底80mから110m暗いの深さに敷設されている。となれば、いくら屈強なネイヴィー・シールズ(U.S. Navy SEALs)のフロッグマン(潜水工作員)といえども、爆弾を仕掛けるのは無理だろう。だから、爆破工作は潜水艦か何かの軍事用潜水艇を使った極秘作戦と考えた方がいい。

破壊行為で「得」をするのは誰なのか?

Javier Blas 01( 左 / ジャヴィエル・ブラス )
  ここで問題となるのは、「誰が行ったのか?」である。つまり、「この破壊行為で誰が利益を得たのか?」という点を捜査すべきだ。「Bloomberg」紙でエネルギー担当記者を務めるジャヴィエル・ブラス(Javier Blas)氏は、ワシントン・ポスト紙に記事を寄稿し、「ロシアの仕業じゃないのか?」とという見解を示していた。彼はジョー・バイデン、すなわちバイデン政権を疑う者に反論すべく、「陰謀論者は何かにつけCIAの仕業とみなすが、そんなのはナンセンスだ。ノルド・ストリーのパイプラインを永久に閉鎖して、そこから利益を得るのは明らかにウラジミール・プーチンの方だ !」と述べていた。(Javier Blas, 'Is Putin Fully Weaponizing the Nord Stream Pipelines?', The Washington Post, September 27, 2022.)

  もし、一般の日本人がこの推測を聞けば、「ホンマかぁ~?」と思ってしまうだろう。なぜなら、2月のウクライナ侵攻後もロシアは「ノルド・ストリーム1」の栓を閉めず、多少絞ってもドイツへ天然ガスを送っていたのだ。戦略的思考からすれば、全面的に停止するのは得策ではない。だいたい、ドル箱になり得るノルド・ストリーム2までを破壊するなんて馬鹿げている。西歐諸国へ貴重なガスを供給する方が、よっぽどプーチンにとって利益になるはず。なぜなら、ロシアへの依存度を高めた方がプーチンにとっては有利になるし、ドイツやハンガリー、イタリアなどの首脳と交渉する際、相手を懐柔するための切り札になるからだ。

  これは覚醒剤の密売人を例に取れば解る。暴力団員がシャブ中の娼婦を奴隷にし、その売り上げをピンハネするには、彼女が麻薬中毒のままが一番いい。ヒモであるヤクザは反抗的な娼婦にシャブを与えず、仮に与えるとしても量を減らす。反対に、従順な娼婦には御褒美として、充分なシャブを与え、「いいか、これからも一生懸命稼ぐんだぞ !」と言い聞かせる。もし、この娼婦が「シャブ抜き」を断行し、カタギに戻ったら搾取できない。開戦後もロシアがウクライナにガスを供給していたのは、交渉の窓口を残すためだ。

Daniel Kochis 001(左  / ダニエル・コチス )
  常識的に考えれば、ロシアの犯行とは思えないが、歐米諸国の学者や評論家はロシアの仕業と見なしている。例えば、ヘリテージ財団の「自由マーガレット・サッチャー・センター(Margaret Thatcher Center for Freedom)に属し、歐洲の政治分析を専門にするダニエル・コチス(Naniel Kochis)は、「ロシアが破壊したのではないか?」と怪しんでいるようだ。この政治アナリストによると、ロシアはあらゆる手段を使って西歐諸国に損害を与え、ずっと圧力をかけ続けてきたという。(Daniel Kochis,'Russia's Attack on Nord Stream Pipelines Means Putin Has Truly Weaponized Energy', The Heritage Foundation, September 28, 2022.)

  コチスによれば、今回の破壊行為は典型的な“見せしめ”で、「ロシアは海底のインフラストラクチャーを破壊できるんだぞ !」という能力を示したことになる。さらに、プーチンはエネルギー・インフラだけじゃなく、他のインフラ、例えば「海底ケーブルなども破壊できる」という“脅し”をかけてきたというのだ。確かに、ガス管だけじゃなく電線や光ケーブル、水道、発電所などを破壊されれば、ウクライナやヨーロッパ諸国は相当なパニックに陥るだろう。

  しかし、あの狡猾なプーチン大統領が、自国に利益をもたらすパイプラインを破壊するのか? プーチンは悪党でも馬鹿じゃないぞ。 ところが、敵対するウクライナやポーランドの政府高官は、別の魂胆があるのか、公の場でロシアを非難していた。(Stephen Bryen and Shoshana Bryen, 'Who gains most from Nord Stream sabotage?', Asian Times, September 28, 2022.) こうした誹謗中傷を受けると、クレムリンの報道官であるドミトリー・ペスコフ(Dmitri S. Peskov)も黙ってはおられず、根拠なき容疑を斥け、「全くもって馬鹿らしい !」と斬り捨てていた。(Katrin Bernhold and David E. Sanger, 'Sabotaged Pipelines and a Mystery : Who Did It ?', The New York Times, September 28, 2022.)


  歐米の主流メディアは「ロシアの仕業じゃないか?」という政治キャンペーンを張っていたが、一部の西歐人はアメリカの「偽旗作戦」じゃないかと怪しんでいる。おそらく、歐米に潜むロシアの工作員は、バイデン政権へ疑惑を寄せる保守派国民を支援しているはすだ。それゆえ、バイデン政権はこの嫌疑に異議を唱えた。ホワイトハウスの国家安全保障会議で報道官を務めるアドリエンヌ・ワトソン(Adrienne Watson)報道官は、マスコミに対し「もちろん、我が国はやっていない。我々はロシアが昔から偽情報を流してきたのを知っているじゃないか。今回もそうだ」と述べていた。

Tucker Carlson 743( 左 /  タッカー・カールソン)
  しかし、数々の不正行為を犯してきた合衆国政府には説得力が無い。政府の八百長にウンザリしている保守派は、大々的に批判の声を上げずとも、心の底で疑っているのだ。例えば、FOXテレビの名物キャスターであるタッカー・カールソン(Tucker Carlson)は、自分の冠番組で「ロシア犯罪説」に疑問を呈した。確かに、ロシア政府による陰謀なのかも知れない。しかし「ロシア犯行説」は、プーチンの悪魔化を狙ったプロパガンダとも考えられるのだ。

       もしかすると、この破壊工作はロシアを経済的に追い詰めるための極秘テロかも知れない。 なぜなら、米国のシンクタンクは経済的にロシアを締め上げる、という戦略を提案していたからだ。実際、天然ガスや石油の輸出がロシアの財源となっているんだから、その供給・販売ルートを妨害すれば、ロシア経済はジワジワと苦しむことになる。ウクライナ軍による攻撃だけじゃ心配だから、収入を激減させる兵糧攻めにしようという訳だ。

Baltic Pipeline 001(左  / バルト・パイプラインを示す地図 )
  バイデン政権を操る闇組織の連中は、1つの策略で幾つもの利益を得ようとする。だから、今回のテロ攻撃でも別口で儲けるつもりなんじゃないか? ノルド・ストリームの運営が停止されたとなれば、ドイツは別のエネルギー源を求めねばならない。となれば、北歐の「バルト・パイプライン(Baltic Pipeline)」から天然ガスを購入することも有り得る。この「バルト・パイプライン」はデンマークの官営企業である「Energinet」と、ポーランドの財務省が所有する「Gaz-System」が共同で設立した国際企業である。パイプラインの建設には、デンマークの電力会社「オーステッド(Ørsted)」とポーランドの石油・ガス会社「PGNiG」が絡んでいる。

  元々、アメリカはドイツとロシアを分断したかった。両国が経済的に結びつく「ノルド・ストリーム2」の開業には大反対で、アメリカの国際資本は独自に動くロシアの販売網を嫌っていたのだ。ヨーロッパ諸国は廉価なロシア産のガスじゃなく、アメリカ産のエネルギーを購入すべし、というのがバイデン政権の要求である。嘗てのデ・ビアス社がダイアモンドの独占販売でボロ儲けしたように、アメリカのエネルギー業界は、世界中の販売網を支配し、独占的な運営をしたいのだろう。

  今ではすっかり忘れ去られているが、ジョー・バイデンは大統領になる前から、ウクライナのエネルギー利権にタカっていた。事実、変態息子のハンター・バイデンは、これといった能力も無いのに「ブリズマ(Burisma / ウクライナのエネルギー会社)」の役員に迎えられ、オヤジの代理で高給取りになっていた。彼のパソコンに秘められた映像が公開されたけど、ヤク中のハンターはチンチンを出しながら、丸裸の娼婦を相手にオヤジの事を語っていた。浴室で娼婦が髪をとかしている時、全裸のハンターはベッドに寝転んで、「今度、俺のオヤジが大統領になるんだ」と話していたのだ。(ホント、馬鹿の生態は謎だけど、変態のハンターは何故か全裸姿で拳銃を握り、アクション俳優のようにポーズを取っていた。)

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(左 : 変態セックスに夢中だったハンター・バイデン  / 右 : バカ息子と親バカの記念写真 )

  バイデン政権の閣僚、とりわけ国務省の高官が、エネルギー業界からの賄賂をもらっているのかどうかは判らない。ヴィクトリア・ヌーランドの出世と入閣は、本当にジョー・バイデンの決定なのか? それとも、彼のパトロンが命令した人事なのか? 真相はともかく、バイデン親子を操る連中に石油メジャーの大物がいても不思議じゃない。

ヨーロッパ各地で勃興するナショナリズム

        バイデン政権は対露制裁に執念をもやすが、ヨーロッパ諸国にはアメリカの方針に従わない者もいる。例えば、ハンガリーのヴィクトール・オルバン首相はその代表格だ。彼は祖国の利益を最優先に考えるから、庶民の燃料費が5倍、6倍、7倍に跳ね上がる状態には我慢できない。小麦代とガス代が6倍になったらハンガリーだけじゃなく、ドイツやオーストリアのパン屋だって潰れてしまうだろう。日本の飲食店も同じで、廃業に追い込まれる自営業者はもっと出てくるぞ。

Ursula von der Leyen 2324( 左 / ウルスラ・フォン・デア・ライエン )
  最近、歐洲ではナリショナリズムが盛り上がっている。やはり、ヨーロッパの庶民は「何か変だぞ !」と気づいたのかも知れない。選挙を経ないエリートが牛耳る歐洲委員会(European Commission)なんて、まさにグローバリストの代表機関だ。とりわけ、女帝として絶大な権力を揮うウルスラ・フォン・デア・ライエン(Ulsura von der Leyen)は、イタリアやハンガリーの国家主権を踏みにじっている。ヨーロッパの庶民は雲の上から発せられる「天の声」に激怒したのかも知れない。

  イタリアではハンガリーの宰相に見倣おうとする勢力が台頭し、「極右」と呼ばれるジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)がイタリアの首相になった。メローニ首相は国籍と国境を蔑ろにするグローバリズムが嫌いで、社会を分断するLGBTや家族破壊に繋がるジェンダー学も大嫌い。彼女はイタリアのナショナル・アイデンティティーを強調し、自分は単なる「数字」ではなく「イタリア人」である、と公言する。また、彼女は保守派のイタリア人らしく、男女の区別がある家族を大切にし、祖国の宗教であるキリスト教を誇りにしていた。

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(左 : ヴィクトール・オルバン  / ジョルジャ・メローニ  / マリーヌ・ル・ペン  / 右 : ウルフ・キリスターソン)

  グローバリズムは人種や民族を重要視するナショナリズムを憎む。しかし、ヨーロッパにはこうした根無し草の思想を唾棄する人々が依然として存在するようだ。あのリベラル派が牛耳るスウェーデンでも民衆の叛逆が起こったようで、9月に行われた選挙では、中道左派のアンダーソン政権が倒れてしまった。おそらく、庶民の腹には相当な不満が鬱積していたんだろう。選挙で勝利を摑んだ「スウェーデン民衆党(Sverigedemokraterna)」が近々与党になる。次期首相となるウルフ・キリスターソン(Ulf Kristersson)とその支持者は、リベラル左翼と主流メディアから「右翼」と評されるが、実際は「常識は」と呼んだ方がいい。彼らは有色移民の流入で滅茶苦茶になった祖国を取り戻そうと必死だ。フランスでもナショナリズムが勃興し、「右派」のマリーヌ・ル・ペン(Marine Le Pen)が人気を博している。

  一方、哀れなほど情けないのは大国のドイツである。ナチスの亡霊に取り憑かれたゲルマン人は、健全な国家主義、すなわち民族のアイデンティティーを掲げたナショナリズを持てない。というより、戦勝国のユダヤ人から禁止されている。ドイツ政府はロシアからの安い天然ガスを購入したいが、鬼のような顔をしたアメリカ人から叱責されたので、渋々ながらバイデン政権に従っている。パイプラインの爆破事件で、合衆国政府の関与、つまりアメリカ人が協力したかも知れない極秘作戦(black operation)を一番疑っているのはドイツ人だろう。

  今、ドイツの庶民は6倍に高騰したエネルギー価格を耐え忍んでいる。1年前は1MWh当たり45.83ユーロだったのに、今じゃ鰻登りで276.75ユーロだ。こんな光熱費になったら、シャワーを浴びる時も冷水にするしかない。コンロの火を使うハンバーグを避けて、火を使わない刺身が食卓にのぼったりしてね。ホント、環境バカの国民は救いがたく、財布が冷えてもジョギングで温めようとする。一方、アメリカの悪徳商人どもは、高い液化天然ガス(LNG)を売りつけたいようだ。アメリカはドイツにNATOの基地を設置し、NATO最高司令官だって常にアメリカ人だから、ドイツ人はアメリカ人に従うしかない。NATOは西歐諸国を守るためじゃなく、支配地域を管理する総督府になっている。ということで、選択肢の無いドイツ企業は泣く泣く高いエネルギーを買う破目になる。リアリストになって原発を稼働させればいいのにねぇ~。

  ウクライナ紛争がどこまでエスカレートするのか判らないが、英米の闇組織は更なる攻撃を計画しているのかも知れない。今年の11月に行われる米国の中間選挙が、共和党の勝利に終われば、それに応じた計画が発動すると思うので、我々日本人は今から覚悟せねばなるまい。もしかすると、痴呆症のバイデンみ知らされていない可能性もある。また、中間選挙の前に一波乱あるかも知れないが、属州に住む我々には何も出来ない。岸田総理の方は支持率低下で頭がいっぱいだから、日本国民は次の総理を誰にするか検討せねばなるまい。




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