イギリス人ではない閣僚

British children 668British children 6623








(左 : 少数派になりつつある「イギリス人の子供」 /  右 : 新たな「ブリテン国民」となる移民の子供)

  今、ブリテンの政界には何が起こっているのか? ダウニング街10番地の主人となったリズ・トラス(Mary Elizabeth Truss)首相は、僅か45日間の在任で権力の座から退くことになった。これは異常事態である。どうして具体的な政策を実行しないうちに失脚することになったのか? 表面的には減税政策の撤回や財源確保の失敗が原因とされているが、本当の要因はよく解らない。たぶん、表には出ない「裏の事情」があるんだろう。

  この件について、馬渕睦夫は出演したチャンネル桜の中で、「トラス首相がウクライナ戦争で核兵器を使うことに反対したから、辞任に追い込まれたのかも」と語っていた。しかし、リズ・トラスは首相になる前に、もし必要ならば「トライデント計画(Tident nuclear programme)」を躊躇わないと公言していたから、核兵器の使用を躊躇ったことで辞職に追い込まれた、とは考えにくい。(英国海軍のヴァンガード級原潜は、大陸間弾道弾のトライデント・ミサイル<SLBM>を搭載している。) もっと別の理由があったはずだ。おそらく、首相になる前に知らされていなかった「何か」を拒絶した、あるいは政界の有力者に従わなかったから、あっさりクビになったのかも知れない。

Liz Truss 2189British woman 11344British woman 224








(左  : 首相に就任した頃のリズ・トラス / 中央 : トラスの辞任に関してNBCの質問を受けるブリテン国民 /  右 : 政治活動に熱心なブリテン国民)

Liz Truss 77342(左  /  ダウニング街で辞任を発表するトラス首相)
  トラス首相が辞任辞任した本当の理由は、月日が経たないと判らない。それよりも、我々が注目すべきは、連合王国を構成する「国民」の変質である。大量の有色移民を容れれば、異民族の社会進出も顕著となり、彼らの中から議員や官僚が必然的に出てくる。これは地方自治体だけじゃなく、中央政府にも当て嵌まる。閣僚になった者達の素性や人種を調べれば、誰にでも解るはずだ。ボリス・ジョンソンの政権には、外務大臣としてトラス氏が入閣していたが、他の役職にはギョッとするような人物が混ざっていた。

Sajid Javid 094(左  /  サジド・ジャヴィッド)
  例えば、蔵相のサジド・ジャヴィッド(Sajid Javid)は、見るからにイギリス人とは違っており、パンジャブ地方からやって来たパキ人の両親を持つ。ちなみに、アングロ・サクソン系のブリテン人は「パキ人(Paki)」という名称を侮蔑語と考えるが、筆者の見解は違う。「パキスタン」とは「清浄な土地(国)」という意味で、「スタン」は「場所」を意味する。「アフガニスタン」は「アフガン人(パシュトゥー人)の国」だし、「カザフスタン」は「カザフ人の国」を意味するから、「パキスタン」は「パキ人の国」でいいはすだ。日本人はイギリス人やアメリカ人の真似をしなくてもいい。

Priti Patel 99664(左  / プリティ・パテル )
  内相のプリティ・パテル(Priti Patel)も同じで、ヒンドゥー教徒のインド系ブリテン人だ。彼女の家族は元々ウガンダに住んでいたが、1970年代、ウガンダのアミン大統領がアジア人の排斥を断行したので、パテル一家も追い出されたアジア人の一部だった。当時、ウガンダに住み着いていたインド人やユダヤ人は、ブリテン国籍を持っていたので、その多くがイングランドに逃れてきた。本来なら、彼らはボンベイやイェルサレムに移住すべきなのに、差別主義が根強い白人の国を目指すなんておかしい。やはり、イギリス人の差別はそれほど酷くなく、祖国の貧しさよりもマシだったという訳だ。

James Cleverly 3( 左 / ジェイムズ・クリヴァリー )
  無任所大臣(Minister without Portfolio)を務めていたジェイムズ・クリヴァリー(James Cleverly)は、黒人との混血児で、父親は一応、「ブリテン人」らしいが、母親は西アフリカのシエラレオネからやって来た移民である。クリヴァリーは元々出版業界に勤めていたが、ロンドン市の地方議員から政治の道を歩み始めたという。保守党の黒人議員というのは、荒んだ都市部から選出されることが多い。彼の選挙区はエセックスのブレイントリー(Braintree)なんだけど、ここは犯罪率が増加する中規模都市で、昔から住んでいる中高年の白人達は「昔は温和な街だったのに・・・」と嘆いている。警察の統計によると、2013年から犯罪率が急に高くなり、窃盗や強盗に加え、街中での喧嘩や暴力沙汰も増えたそうだ。

  外相のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)は、一見するとヨーロッパ白人に見えるが、実はユダヤ難民の倅(せがれ)だ。父親のピーター・ラーブ(Peter Raab)は6歳の時、ナチスの迫害を恐れてチェコスロバキアから逃れてきたという。しかし、彼はドミニクが12歳の時に亡くなっている。(Lee Harpin, 'Antisemitism tropes that felled Nazism are in British society', The Jewish Chronicle, January 30, 2020.) 普通の日本人が目にすれば、ドミニクはユダヤ人に見えないが、やはり、どことなくユダヤ人らしさが残っている。

Dominic Raab 2773Dominic & Erika Rey Raab 001Dominic Raab & his family 1







(左 : ドミニク・ラーブ / 中央 : ドミニクとエリカ夫人 /  右 : 幼い頃のドミニクと家族)

     もっとも、ドミニク本人はキリスト教徒のアイデンティティーを選んでいるようだ。というのも、彼の母親ジェン(Jean Raab)はキリスト教徒のイギリス人で、彼自身アングリカン教会に通って育っていたから、コテコテのユダヤ人という意識は無いらしい。(Cnaan Lipshiz, 'Dominic Raab, whose father was Jewish refugee, is Britain's actinh PM', The Jerusalem Post, April 8, 2020.) それに、彼と結婚したエリカ(Erika Rey Raab)夫人はカトリック信徒であるから、この夫婦はシナゴーグの連中とは疎遠なんだろう。でも、家系の話になったり、反ユダヤ主義の話題になれば、ドミニクにはユダヤ人の本能が蘇ってくるようだ。

Kwasi Kwarteng 2(左  /  クワシ・クワーテン)
  リズ・トラス内閣も人種的配慮がなされたようで、その顔ぶれは“かなり”非イギリス的だった。例えば、要職の大蔵大臣には黒人のクワシ・クワーテン(Kwasi Kwarteng)が任命された。彼の両親はガーナから来た移民だが、将来の大臣は無知蒙昧の黒人家庭じゃなく、インテリ家庭で育っていた。母親のシャーロットは法律家で、父親のアルフレッドはエコノミストであるそうだ。息子のクワシも優等生らしく、名門のパブリック・スクールであるイートン校を卒業すると、ケムブリッジ大学のトリニティー・カレッジに入り、経済や歴史を学んだという。政界に入る前は、「デイリー・テレグラフ」紙のコラムニストや「JPモルガン」の金融アナリストを務めていたそうだ。

Nadhim Zahawi 01(左  /  ナディム・ザワウィ)
  9歳の時、サダム・フセインのイラクから逃れてきたナディム・ザワウィ(Nadhim Zahawi)はアラブ系で、平等担当大臣と省庁関係担当大臣に就任した。日本人が「イラク難民」と聞けば、哀れな貧乏人を想像するが、この大臣は単なる平民じゃない。彼の祖父ナデム・アブデル(Nadhem Abdel-Jalilal-Zahawi)は、イラク中央銀行の頭取や貿易大臣を務めていたという。孫のナディムが亡命先の英国で政治家になり、教育大臣や大蔵大臣になれたのも、家族の知的遺産や独特な人脈があったからだろう。

  これまた注目の要職である内務大臣に就任したのは、インド・アフリカ系のスウェラ・ブレイヴァマン(Suella Braverman)である。彼女の父親クリスティー・フェルナンデス(Christie Fernandes)はケニア人で、母親のウマ(Uma Mootien-Pillay)はインド・タミール系のモーリタニア人ときている。そして、彼女はラエル・ブレイヴァマン(Rael Braverman)と結婚したが、この亭主はユダヤ人。彼女は旧姓の「フェルナンデス」から夫の氏族名に変えることにした。スウェラの話によれば、夫は「ユダヤ人コミュニティーに属する誇り高きメンバー」であるそうだ。(Justin Cohen, 'Suella Braverman : I'm the member of one fan of may in-law's Friday night dinners', The Jewish News, November 17, 2021.) 

Suella Braverman 5432Suella & Rael Braverman 436









(左 : スウェラ・ブレイヴァマン /  右 : スウェラと夫のラエル・ブレイヴァマン)

  大臣クラスの「COP26総裁」になったのは、これまた非西歐系の人物で、ヒンドゥー系のアロク・シャーマ(Alok Sherma)であった。彼も有色人種のエリートらしく、着々と出世の階段を昇ったようで、雇用担当大臣や住宅担当大臣、国際開発長官、商務・エネルギー担当長官などを歴任している。大学生の時、彼は応用物理学や電子工学を学んでいたが、卒業後は会計事務所に勤め、投資業務や金融業にも携わっていたそうだ。

Alok Sharma 2Alok Sharma & Isabella & Charlotta & Ingela









(左 : アロク・シャーマ  /  右 : アロクと一緒のインゲラ夫人と二人の娘 )

  戦後のブリテンでは多民族主義が浸透したから容認されているようだが、異人種間の混血は未だに毛嫌いされているみたいだ。でも、普通のイギリス人は用心深いから、家の外では本音を口に出さない。アロクが結婚したのは同じインド系じゃなく、スウェーデン出身の白人女性であった。インゲラ(Ingela Sharma)夫人との間には、イザベラ(Isabella)とシャルロッタ(Charlotta)という二人の娘が生まれている。亭主のアロクは若い頃、日本にも住んでおり、日興證券で働いていたから、日本人女性と結婚する可能性もあった。

異民族が目立つスナク内閣

  新首相になったリシ・スナク(Rishi Sunak)は、短命のトラス内閣を引き継いだから、大幅な人事変更は無かった。しかし、その閣僚を見渡すと色々な異民族が混在しているのが判る。第一、スナク首相がインド人で、見るからに「異質な人物」と思えてしまうのだ。一応、イギリス人や他の西歐人は実力主義を尊重するが、自分達を指導するリーダーは、やはり同種族の政治家がいいと思っている。

  確かに、スナク首相は裕福なアジア人の典型で、ヒンドゥー教徒だけど、名門の寄宿舎学校であるウィンチェスター校に通い、オックスフォード大学に入って政治と経済を学んだエリートなんだろう。スナク氏はまた、フルブライト奨学金を得るほどの優等生で、米国のスタンフォード大学に留学し、そこでMBAを取った。大学を卒業すれば、有名な「ゴールドマン・サックス」に勤め、ヘッジファンド・マネージャーになったという。若きエリート・ビジネスマンには良い縁談が転がってくるようで、彼はファッション・デザイナーのアクシャタ・マーティー(Akshata Narayan Murthy)と結婚できた。彼女はインド人大富豪の娘で、父親のN.R.N.マーティー(Nagavara Ramarao Narayana Murthy)氏は、情報テクノロジーの国際企業である「Infosys」を創設した人物だ。

Rishi Sunak & his wife 12134Rishi Sunak & family 111








(左 : リシ・スナク とアクシャタ・マーティー夫人 /  右 : スナク夫妻とと夫人の両親 )

  これだけの学歴や職歴があれば、庶民の憧れになるはずなんだが、その姿を見てしまうと、「何だ、格下のアジア人じゃないか !」と思えてしまうのだ。確かに、スナク首相は優秀なのかも知れないが、イギリス人からは「イングランドの宰相」とは思われない。どんなに華麗な経歴を披露しようとも、所詮は茶色のインド人に過ぎない。もし、彼と凡庸なアングロ・サクソン人を比べれば、明らかにスナク氏の方が社会的評価は高いだろう。しかし、友人にするなら後者がいい。イギリス人女性が結婚相手にするなら、同じ種族のイギリス人を選ぶだろう。財産目的の女性なら別だが、両親に見せる赤ん坊のことを考えれば、インド人の亭主は好ましくない。友人に紹介する時だって気分が重くなる。

  普通のイギリス人と違って、スナク氏は人種よりも能力を重視するようで、移民の増加を食い止め、移民を排除しようとはせず、有能な外国人を増やすことを考えていた。彼は移民問題に触れた時、イギリス人が眉を顰めるような発言を口にしていたそうだ。スナク氏は「国境管理を取り戻す」と語っていたが、その一方で「我々の移民受け容れ制度は、企業の業績を上げる優秀な人材、経済を推進する者、疫病の蔓延から復活するのを助けてくれる人々を惹き付けるような制度にすべし」と述べていた。(Jack Montgomery, 'Chancellor Sunak Expected to Increase Immigration Routes to UK in Budget', Breitbart, 2 March 2021.)

  スナク氏のようなビジネス・エリートは、優秀なエンジニアとか熟練労働者を「好ましい移民」と考えるが、どうして地元の子供、すなわちアングロ・サクソン系の子供を“優秀”にしないのか? 先祖代々ブリテン島に住むサクソン人やデイン人の子供に予算を使い、「高度な技術を有するイギリス人」にすればいいじゃないか? 近所の公立学校に通う中流家庭の子供は、劣等移民の子供とごちゃ混ぜにされて学力低下となるが、移民を招き入れた上流階級の紳士や企業家は、名門私立校に子供を通わせている。

  本来なら、移民を望まない国民を優先し、国民の遺伝子プールを守るべきだろう。国民の遺伝子を変質させる移民は、なるべく排除すべきだ。ナイト・クラブやディスコでは客の選別が行われ、「ダサい奴」は入店できないのに、国家となるや「誰でもウェルカム !」なんておかしい。嫌いな民族を門前払いにするのは差別じゃない。移民の受け容れが国家の義務となったことはないし、「人権」なんて河原の小石と変わらないじゃないか。

  日本や西歐諸国の文明人は、国境を無視する渡り鳥じゃないし、単なる「人間」でもない。義務と名誉を尊ぶ公民である。沙漠でラクダが小便するのを「ラクダの権利だ !」と言い張る学者がいたら、相当「頭のイカれた奴」だ。アジア人が「豊かな国で生活したいから移住したい」と希望するのは勝手だが、そんなのは「権利」じゃないし、「入国拒絶」を喰らったからといって文句を言える筋合いでもない。アジア大陸では何でも有りだが、日本は好ましい種族だけを受け容れるべきである。左翼陣営が支援する「地球人」や「浮浪民」を排除し、運命共同体の「国民」を大切にすべきだ。とにかく、スナク氏の如き非西歐系の政治家というのは、いくら「保守主義者」を名乗っていても、その本性は異邦人のままで、肉体と精神の点ではイギリス人にならない。

Kemi Badenoch 787423(左  /  ケミ・ベイドノック)
  スナク内閣には非西歐系の議員が多く、国際貿易長官に就任したケミ・ベイドノック(Kemi Badenoch)はアフリカ系の黒人だ。彼女はナイジェリア移民の娘で、その父親は医者で母親は精神科医である。インテリ家庭に育ったケミは、米国から英国に戻ると、サセックス大学に入ってITエンジニアリングを専攻した。大学で修士号を取ると銀行のシステム・アナリストになるが、働きながら法律の学位も取得したそうだ。ケミは銀行を辞めると有名な『スペクター』誌の編集員となった。保守派雑誌から保守の政党に転職したケミは、有色人種を優遇する風潮に乗って、財務畑や福祉部門で出世を遂げて行く。BLM(黒人運動)の嵐は追い風になったようだ。

  一般の日本人には「イギリス人」に見える閣僚でも、実は異民族の系譜に属する政治家は結構多い。(以下の情報は、「Ben Bloch, 'Rishi reshuffle : The Jewish movers and shakers in Sunak's new government', The Jewish Chronicle, October 28, 2022.」の記事を参照にした。)

  商務・産業・エネルギー担当大臣を務めるグラント・シャプス(Grant Shapps)は、何となくヨーロッパ人に見えるが、実は自他共に認めるユダヤ人。彼は2010年、『Jewish Chronicle』のインタビューを受けた時、自分自身を「あらゆる点でユダヤ人(totally Jewish)」と述べていた。彼はユダヤ教の誡律に従って暮らしているそうで、豚肉を食べないし、肉と乳を混ぜた料理も食べないという。

  住宅・コミュニティー担当大臣となったルシー・フレイザー(Lucy Frazer)も、普通のブリテン人に見えるが、その血統はユダヤ人となっている。彼女の祖父ハイマン・フレイザー(Hyman Frazer)は、レスターにあるゲイトウェイ・グラマー・スクール(Gateway Grammer School)の校長であった。曾祖父母は無一文で英国に流れてきたユダヤ人であったようで、英語すら話せなかったという。たぶん、こうした境遇にあったから、ハイマンの両親は教育熱心だったのかも知れない。ユダヤ人は貧乏人でも教育の重要性を解っているから。

Grant Shapps 1Lucy Frazer 124Robert Halfon 123Tom Tugendhat 1114







(左 : グラント・シャプス / ルシー・フレイザー  / ロバート・ハルフォン  /  右 : トム・トューゲンダット)

  教育大臣になったロバート・ハルフォン(Robert Halfon)もユダヤ人で、自らが公言したように熱心なイスラエル支持者である。彼の母親ジェニファー(Jennifer Halfon)はアシュケナージ系のユダヤ人で、父親のクレメント(Clement Halfon)はセファラディー系のユダヤ人。父方の祖父レナート(Renato Halfon)はイタリア系ユダヤ人で、リビアに住み着く被服業者であったらしい。ところが、1968年にリビアを追放され、息子のクレメントが住むイングランドにやって来たそうだ。ずっと日本国内で暮らす農民型の日本人と違って、流浪の民であるユダヤ人の人生や家族関係は複雑である。

  トム・トューゲンダット(Tom Tugendhat)も一見すると、普通のイギリス人かスコット人といった白人に思えてしまう。しかし、彼の家系を探ってみると「異民族」ということが判る。彼の祖父
ゲオルグ・トューゲンダット博士(Dr. Georg Tugendhat)はウィーンに生まれたが、第一次世界大戦後、勉学のためにイングランドへ渡ってきたそうだ。そして、イギリス人女性のマリー・リトルデイル(Marie Litteldale)と結婚するため、カトリックに改宗したという。つまり、恋人の両親に結婚を許してもらうため、表面的なキリスト教徒になったという訳だ。

Christopher Samuel Tugendhat 1Michael Tugendhat 1(左 :  クリストファー・サミュエル トューゲンダット/ 右 : マイケル トューゲンダット)
  ゲオルグとマリーの間には4人の息子が生まれ、長男のクリストファー・サミュエル(Christopher Samuel Tugendhat)は保守党の貴族院議員となり、バース大学の総長や男爵にもなれた。彼の弟には高等裁判所の判事となったサー・マイケル(Sir Michael George Tugendhat)がいる。このマイケルがブランダイン・デ・ロイジン(Blandine de Loisne)と結婚し、生まれてきたのがトム・トューゲンダットだ。彼は議会に入った2015年まで、自分をユダヤ人と考えていなかったらしい。しかし、国内で湧き起こる反ユダヤ主義を目にして、トムはユダヤ人の血統に目覚めたという。

  異民族でもユダヤ人と結婚すると、ユダヤ人に親近感を覚え、ユダヤ・コミュニティーに貢献したくなるようだ。スウェラ・ブレイヴァマンと同じく、移民担当大臣になったロバート・ジェンリック(Robert Jenrick)はユダヤ人ではないが、女房のミカル・バークナー(Michal Berkner)がホロコースト生存者の娘であることから、ユダヤ人贔屓になったという。

Robert Jenrick & his wife 1131Holocaust Memorial in Britain








(左 : ロバート・ジェンリックと夫人のミカル・バークナー /  右 : ウェストミンスター前に聳えるホロコースト記念館)

  ミカル夫人はイスラエル生まれの弁護士で、熱心なシオニストである。ユダヤ人というのは長年のタカリ屋なので、防衛本能が極めて高い。常に、タカリ先の現地人からの迫害を受けるので、ユダヤ人は国境を越えて団結しようとする。しかも、宗教に裏付けされた民族意識に凝り固まっているから尚更だ。

  以前、ウェストミンスターの議事堂前にホロコースト記念館を建造する計画が持ち上がり、ブリテン国民の間から反対の声が湧き起こったことがある。何しろ、1億ポンドの建設費を計上し、ヴィクトリア・タワー庭園の地下に学習センターを造ろうとするんだから、イギリス人が激怒したのも当然だ。しかも、お涙頂戴のブロンズ像を23体も造ろうというんだから呆れてしまうじゃないか ! この時、建設の推進派だったのがロバート・ジェンリックである。ユダヤ人は札束ビンタで政治家を動かすから、愛国者からの反撥が強くなるのも仕方がない。ロバートのもとには妻への脅迫状まで届いたそうだ。(Lee Harpin, 'Jenrick tells MPs of Jewish Zionist wife death threat letter', The Jewish News, January 27, 2022.)

  確かに、脅迫行為は良くないが、抗議者の気持ちはよく分かる。だいたい、ユダヤ人の迫害を刻み込むための記念碑を、よりにもよって議事堂の前に造るなんて、イギリス人にしたら絶対に承知できない冒瀆だ。そんなに民族的ハコモノを造りたいのなら、イェルサレムかテルアビブに建てればいいじゃないか? どうして異国のイングランドに建てようとするのか ! こんな忌々しい建造物は、国民にとって甚だ迷惑だし、景観を損ねるガラクタでしかない。古代ギリシアやローマ風の聖堂ならいいけど、セム種族の記念碑なんて吐き気がする。日本人の観光客は、こんな異物を見学したいのか?

  これは教科書で言及されることはないが、ブリテンに有色人種がドンドン流入したのは、単に労働者が不足したからではない。エリート階級の帝国主義者が旧植民地を手放したくなかったからだ。 もし、ブリテン政府がインドやスリランカ、ケニア、ウガンダ、ナイジェリアの有色人種に対し、ブリテン国籍の取得を拒んだら、現地からの不満が爆発してしまうだろう。屈辱を味わった連邦加盟国は、ブリテン連邦(British Commonwealth)から離脱しようとするずだ。それゆえ、政府の重鎮どもは植民地の民衆を宥めるため、渋々ながらもブリテン国籍の取得を許し、イングランドやスコットランドへの入国も許した。戦後、大量の黒いジャマイカ人が「ウィンドラッシュ号」に乗ってやって来たが、ブリテン政府は彼らを払いのけることはしなかった。むしろ、厭がるイギリス人の方を叱責したのである。

Jamaican immigrants Empire Windrush 001Jamaican immigrants Empire Windrush 002









(左 :「ウインドラッシュ号」に乗船したジャマイカ人  /  右 : イングランドに上陸したジャマイカ移民)

  英国のインテリ連中は「多民族主義」とか「多文化主義」を標榜し、人種的多様性を称讃するが、都市部や工業地帯に住む庶民のことは考えない。平凡でもいいから幸せな日々を暮らしたいと考える庶民は、アジア人やアフリカ人の定住を歓迎しなかった。特に、労働者階級の白人は有色移民と接する機会が多いので、街角やパブで異民族を敵視することも多かった。本能を剥き出しにする右翼分子や国粋主義者だと、排斥運動で衝突したり、暴力沙汰になる者も少なくなかったそうだ。

  一般的に、異質な種族が流入すれば、必ずや人種対立が発生する。そうなると、人種間の軋轢で従来の社会は分断され、憎しみの連鎖が絶えない。ケンブリッジやオックスフォードの大学教授は、経済的視点から移民労働者の社会的貢献を褒め称えるが、実際にジャマイカ人やアラブ人、ベンガル人、パキ人と接触する庶民は、「俺達が招いたわけじゃねぇぞ !」と怒り狂う。高額所得者は快適な郊外へ避難できるが、低所得の白人労働者は引っ越しが出来ず、ゲットーになりそうな土地に留まるしかない。

Alok Sharma & his wife 001( 左  / アロク・シャーマ インゲラ)
  アジア人やアフリカ人の人口が増えれば、その地域の雰囲気は暗くなり、不気味な空気が流れ始める。ロッチデールやロザラムでは、ムスリム移民による強姦事件が多発したし、巨大なモスクが至る所にできてしまった。ロンドンやマンチェスター、バーミンガムだけではなく、プレストンやティルフォード、リーズなどにも出現したから、温厚なイギリス人でも不愉快になる。かつて、イングランドやスコットランドは、ゲルマン系やケルト系の白人が“主流”国民であったのに、今では黒や茶色の国民がジワジと台頭しつつある。しかも、白色国民との雑婚も増えているから、次第にイギリス人は遺伝子が変質し、肉体が異なる「焦げ茶色の人種」になってしまうだろう。

James Cleverly & wife Susannah 1Sajid Javid & wife Laura King 2314









(左 : ジェイムズ・クリヴァリーとスザンナ夫人   /   右 : サジド・ジャヴィッドとローラ夫人 )

  日本人と同じく、イギリス人もデモクラシーを称讃するが、それは同質の国民が主流を占める場合に限る。古代ギリシアの都市国家やヴィクトリア朝時代のイングランド、江戸や明治の日本を思い出せば解るじゃないか。異質な外人が混ざってしまうと、求心力よりも遠心力が増してしまい、国家は只の雑居ビルと化す。一般的に、先祖や肉体が違う者が混在すれば、国民的一体感は消滅し、猜疑心だけが強くなる。イギリス人はサミュエル・ジョンソン(Dr. Samuel Johnson)やエドマンド・バーク(Edmund Burke)、あるいはギルバート・チェスタトン(Gilbert Keith Chesterton)のように、イングランドの「コモン・センス」を誇っていたが、それは共通の民族が基盤となっていたからだ。もし、インド人やケニア人、あるいはユダヤ人やアラブ人を「仲間」にして民衆政治を行えば、民族対立ばかりが増え、国益を考えた自己犠牲なんかできなくなる。

British Asian 11143Asian student attacked in UK 0223British Jews 8832








( 左 : ザザンブトンでリッキー・グッドマンとロリー・マーシャルからから暴行を受けた支那人のペン・ワン  / 中央 : ブリテン人から殴られたシンガポールからの留学生  / 右 : 英国に住み着いたユダヤ人 )

  英国の支配層が移民を増やしたがるのは、原住民(中流階級のイギリス人)の結束を分断し、砂粒のような有権者を増やしたいからだ。出稼ぎ移民や経済難民は「今だけ、金だけ、自分だけ」で生きている。彼らは外政や軍事、金融、財政などに関心が無い。そもそも、こうした政治問題を理解するだけの知能に欠けているのだ。それゆえ、アジア人やアフリカ人の愚民を利用したいエリート層、すなわち大金を投じて政界を操る黒幕組織にとっては好都合。選挙は新聞報道やTV宣伝で何とでもなる。烏合の衆は流れるプールに浮かぶ枯れ葉と同じで、渦に沈むこと判っていても、おとなしく飲み込まれて行く。

Rishi Sunak 7742Zelensky 19943Biden 634









(左 : 元金融業者のスナク  /  中央 : 元コメディアンのゼレンスキー / 右 : ボケ老人のバイデン )

  現在の国際情勢を観ていると、「これって、映画や漫画の世界じゃないのか?」と思えてしまうことが多い。例えば、颯爽と記者会見に臨むスナク氏は、優秀な政治家と見間違えてしまうが、実際は影の有力者に担がれた操り人形だろう。ウクライナのゼレンスキー大統領も同じで、背後に控えるオルガルヒのパペットだ。米国のジョー・バイデンはもっと惨めで、痴呆症が進行しているせいなのか、このボケ老人は操り人形の自覚さえ無い。もしかすると、記憶障害で忘れているのかも。バイデン自身は二期目を目指すと述べていたが、ジル夫人でも信じないだろう。白亜館を去ったら、今度こそ養老院だ。

Jackie Walorski 001(左  / ジャッキー・ワロースキー )
  そう言えば、ホワイトハウスで演説を行ったバイデンは、今年の八月に亡くなった下院議員のジャッキー・ワロースキー(Jackie Walorski)を探していた。(Ximena Bustillo, 'Biden calls out for late Rep. Jackie Walorski at White House hunger event', National Public Radio, September 29, 2022.) 「ジャッキー、ここに居るのか? あれ、ジャッキーは何処だ?(Jackie, are you here? Where's Jackie?)」と辺りを見回すバイデンは哀れだった。交通事故で亡くなった幽霊を探す老人なんて、吉本新喜劇のコントみたいじゃないか。ホワイトハウスのスタッフは、これを聞いて焦ったのか、バイデン大統領の言い間違いだ、と訂正に努めた。しかし、この失言を目の前で聞いていた報道陣は信じていないだろう。そもそも、アメリカの現役軍人や退役軍人は、彼を「最高司令官」と本当に思っているのか? 日本に住む元海兵隊のロバート・エルドリッチ(Robert D. Eldridge)博士にぜひ訊いてみたい。

 


人気ブログランキング