別次元に生きている大統領

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  最初、「特殊軍事作戦」として始まったウクライナ紛争は、今年の2月で一年を超える領土争奪戦となった。しかし、実際は英米が仕掛ける代理戦争。暢気な日本の学者にとったら「驚きの侵掠戦争」だが、冷徹な政治学者が観れば当然の成り行きである。BS放送に登場する評論家や大学教授ときたら、皆「金太郎飴」みたいな“傍観者”ばかりで、「ロシアはけしからん !」といった解説しかできない。日本国内の問題なら、倫理道徳で議論してもいいが、ウクライナ紛争は正義論や国際法で裁けるほど簡単な対立じゃない。

  でも、我が国の“ロシア専門家”とか“国際政治学者”というのは、歐米の学者が言ったことを翻訳するだけ。地上波テレビや新聞も、「独自取材」と言いながら、CNNやBBCが放送した内容を垂れ流すだけである。だいたい、外交ルートから情報を仕入れる首相官邸でさえ、ホワイトハウスか国務省からの通達にすがっている状態なので、ウクライナ戦争の実態なんか判らない。

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  新聞やテレビが“特ダネ”にしているのは、「岸田総理のウクライナ電撃訪問」くらい。でも、そんなのは数日前から各社に知れ渡っていた「秘密」で、一般国民が知らなかっただけだ。それよりも、3月21日の電撃訪問で衝撃的だったのは、岸田総理の“外交センス”だった。何と、キエフに赴いた岸田総理は、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に面会し、“お土産”として広島特産の「必勝しゃもじ」を贈呈したというのだ。

  最初、このニュースを聞いた時、筆者は何の比喩なのか解らなかった。「実際に何を渡したのか?」と疑問に思ってしまったが、まさか本当に地元の名物をプレゼントしたとは! いくら何でも、日本を代表する首相だぞ。岸田総理の側近だって、数人くらいは“まともな人”がいるはずだ。外政や広報を担当する補佐官なら、「ちよっとそれは恥ずかしいので、やめてください!」と諫言するだろう。ところが、誰も首相の愚行を止められなかった。岸田氏は一体、どんな顔で「必勝しゃもじ」と「折り鶴ランプ」をゼレンスキーに贈ったのか?。

  日本の首相が脳天気なのは“いつものこと”だが、米国の大統領がボケ老人なのは問題だ。 合衆国陸軍や海軍の士官や将校じゃなくても、痴呆症が顕著なジョー・バイデンと、操り人形のゼレンスキーが、戦争指導者を演じているなんて悪夢としか言い様がない。だが、この悲劇が紛れもない現実だ。大統領に就任した直後から、アメリカ国民の不安は日増しに強くなっている。カナダを訪問したバイデンの失態を観れば、アメリカ人じゃなくても寒気を感じるはずだ。

  例えば、不法移民の流入に関して話した時、バイデンはジャスティン・トルドー首相の不法移民対策に感謝したかった。それゆえ、バイデンは「カナダに感謝する」と言いたかったそうだ。でも、演説中のバイデンは、脳味噌のシナプスが破裂したのか、「私は支那に感謝する(I applaud China !」と言ってしまった。たぶん、頭の中でカナダと支那がごちゃ混ぜになったのだろう。

  ところが、バイデンの思考錯乱はこれだけじゃない。彼は記者会見や演説中に、しばしば奇妙な言葉を発してしまうし、覚えたはずの数字を忘れることが多い。たとえ、手元に原稿があっても、目にした文字を口にする時に間違えてしまうのだ。日本のテレビ局は滅多に報道しないが、アメリカの保守系番組ではよく流されている。Fox TVで人気のショーン・ハニティー(Sean Hannity)やローラ・イングラム(Laura Ingraham)の冠番組を観れば判るはずだ。

  バイデンの奇行は、誰もが知る公然の秘密となっている。本当に気持ち悪いが、この老人(80歳)は大勢のジャーナリストを前にして話しているのに、記者会見中、時々、小声で囁いてしまうのだ。おそらく、本人はヤバい話を伝えていると思っているのだろう。バイデンは市川悦子みたいに「ここだけの話なんだけど・・・」といった感覚で喋っていた。でも、彼の演説はテレビで中継されている。全米放送なのに、「喫茶店での内緒話」はないだろう。

Charlemagne tha God 033(左  / シャルルマーニュ・ザ・ゴッド / 本名 : Lenard Larry McKelvey )
  バイデンは元々口が軽いのか、それとも思慮が足りないのか、過去を遡ると唖然とする失言は結構多い。例えば、黒人に対する発言と態度だ。2020年の5月、バイデンは「シャルルマーニュ・ザ・ゴッド(Charlamagne tha God)*」という黒人ホストが司会を務めるラジオ番組「ブレックファスト・クラブ(The Breakfast Club)」に出演した。黒人問題に関する討論の最中、感情的になったバイデンは、シャルルマーニュに対して苛立ちをぶちまけていた。(「カール大帝」を連想させる藝名は、カロリング朝の君主ではなく、街で麻薬を密売する「Charles」という者から得たそうだ。そして、定冠詞の「the」をわざと「tha」にしたのは、「その方がクールな響きをもつから」という理由であった。)

  シャルルマーニュが選挙と黒人コミュニティーに触れた時、バイデンは自分の経歴を自慢しながら、彼にこう言い放った。(Jeva Lange ,‘Joe Biden tells Charlamagne tha God 'you ain't black' if you vote for Trump over him,’Yahoo News, May 22, 2020. およびMarianna Sotomayor and Mike Memoli,‘Biden apologizes for saying African Americans 'ain't black' if they back Trump re-election,' NBC News, May 23, 2020.)

     いいか、お前に言っておくぞ! もし、俺に投票しようか、トランプにしようかと迷うようなことがあれば、テメエは黒人じゃねぇぞ ! (I'll tell you, if you have a problem figuring out whether you're for me or for Trump, then you ain't black.)
 
    普通のアメリカ人が聞けば、顎が外れてしまうほど呆れてしまうが、当のバイデンは本気だった。このコメントは主流メディアでも取り上げられ、黒人視聴者からの批判が殺到したらしい。しかし、“リベラル派”のバイデンからすれば、至極まっとうな憤慨だ。長年に亙り黒人を擁護してやったんだから、あのトランプに投票しようなんて考える奴は「黒人じゃない !」と言いたくなる。「進歩派の白人」を自認するバイデンとったら、黒人が自分に投票するのは当然で、“白人至上主義者”のトランプに傾く黒人は不届き千万。黒人コミュニティーに唾を吐く「裏切者」だ。

  陣笠議員の頃から、バイデンは「黒人擁護のチャンピオン」を気取っていた。しかし、その本音は別物で、心の底では黒人を馬鹿にしきっている。上院議員のバラク・オバマが大統領選挙を目指していた頃のことだ。バイデンはブラ下がり記者の前でオバマに関するコメントを述べていた。曰く、

  君たち(記者やアメリカ国民)は、初めて主流のアフリカ系アメリカ人、すなわち、理路整然と話すことができ、頭が良く、清潔感のある、見た目もいい奴を持つことができたんだ! まぁ、いわば御伽噺(おとぎばなし)に出てくるような男さ! (David Gregory,‘ Sen. Biden apologizes for remarks on Obama, ’NBC News, February 1, 2007.)

  記者に質問されたバイデンは、精一杯オバマを褒めたつもりなんだろうが、逆にオバマと黒人一般を貶す結果になってしまった。もし、オバマが「頭脳明晰で容姿端麗の黒人政治家」第1号であるなら、オバマ以前の黒人は皆「劣等生の黒ん坊」か「箸にも棒にもかからぬクズ」となってしまうじゃないか! おそらく、バイデンは心の中で黒人を蔑み、「黒ん坊どもは、どいつもこいつも間抜け野郎ばかりだ。あいつらは何を話しているんだ? モゴモゴ喋っているだけで全く判らない。それに、パッとしない不細工ばかりだ!」と思っていたんじゃないか?

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(左 : 喫煙でくつろぐオバマ  / 中央 : ルームメイトと一緒のオバマ  /  右 : ミッシェル夫人を伴うオバマ)

  取材を受けたオバマは、バイデンの発言に関し、次のように述べていた。

  私はバイデン上院議員のコメントを個人的に捉えない。しかし、彼の言葉は歴史的に観て不正確だ。かつて大統領選挙に出馬したジェシー・ジャクソン師やシャーリー・チザム、キャロル・モズリー・ブラウン、アル・シャープトンといったアフリカ・系アメリカ人の候補者は、選挙を通じて重大問題に関する意見を口にしていた。誰も彼らを口下手とは言わなかった。

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(左 :  ジェシー・ジャクソン  / アル・シャープトン  / シャーリー・チザム  /  右 : キャロル・モズリー・ブラウン )

  馬鹿にされたジェシー・ジャクソン師は、ジャーナリストの質問に応え、「そんなのは戯言だ。わざと人種差別的な事を言った訳じゃあるまい。そう解釈することもできようが、それはバイデンが意味したことじゃないだろう」と軽くあしらっていた。でも、バイデンは過去にインド系アメリカ人に対しても、「侮蔑的」と思われる言葉を述べていた。街の治安に関する質問を受けたバイデンは、周囲の者に向かって「君たち、インド人のアクセントをちょっとくらい学ばないと、セブン・イレブンやダンキン・ドーナッツに行けないよ。私は冗談を言っているんじゃない!」と語っていたのだ。

  バイデンのレイシスト発言は、黒人やアジア人に対してだけではなかった。彼は白人についてもスキャンダラスな言葉を口にしていたのだ。今年の2月27日、ホワイトハウスで黒人を集めた「Black Histoy Month 」というイベントが開かれていた。その集会には黒人団体の観客やカマラ・ハリス大統領も参加し、リベラル派のバイデンはウキウキと語っていた。しかし、黒人に胡麻をすろうととしたのか、バイデンは突然「私は白人小僧かも知れないが、馬鹿じゃないぞ ! (I may be a White Boy, but I'm not Stupid !)」と述べてしまったのだ。これにはアメリカの白人視聴者も黙ってはおらず、保守系メディアはこぞって噛みついていた。

   アメリカ国民は人種に関する発言に敏感だ。たとえ白人に対してでも、レイシスト的意見は致命傷となる。もし、白人の政治家が「君は黒ん坊だが、馬鹿じゃないね!」と発言したら大騒ぎになるだろう。また、黒人議員が黒人有権者に対して「黒人は知能が低い」とコメントしたら、これも大炎上だ。ユダヤ人に関する侮蔑発言なら、即座に辞職となるだろう。それに必ずや、ADL(名誉毀損防止同盟)のユダヤ人どもが騒ぐから、全メディアの総蹶起となり、電波による総攻撃は熾烈を極める。標的にされた議員は再起不能だ。

  昔から、バイデンの失言は絶えない。大統領に就任する頃には、かなり痴呆症が進んでいたから、意味不明な応答も少なくなかった。もし、普通の日本人が記者会見で見せるバイデンの奇行や表情、そして別の世界に迷い込んだような“目つき”を見れば、「この老人、何か変だぞ!」と気づくはずだ。日本のテレビ局は全く報じないから、一般の日本人はピンとこないけど、もし米国の保守系番組を観れば、「えっ、マジ?! このジイちゃん、頭が相当イカレてるぞ !」と思うだろう。

  ここで重要な点は二つある。先ず一つ目は、日本の一般国民が米国の実態を知らされておらず、不都合な場面はカットされ、編集された映像しか観ていないことだ。日本語しか分からぬ日本国民は、インターネット時代なのに情報鎖国状態に置かれ、判断材料が意図的に制限されている。二つ目は、思考能力の極めて低いバイデンが、行政機関のトップに坐り、アメリカ軍の最高司令官になっている点だ。共和政の原理によれば、一応、バイデンが軍事と外政の最高責任者となっている。だが、実際には、誰が国家戦略の根本を統括し、対外交渉の任務に就いているか判らない。

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(左 : ジル・バイデン  / アンソニー・ブリンケン  /  ロイド・オースティン /  右 : マーク・ミリー)

  たぶん、アンソニー・ブリンケン国務長官やロイド・オースティン国防長官、マーク・ミリー統合参謀議長らによる集団指導体制になっているんだろうが、バイデン政権は本質的に謎めいた統治機関となっている。信じられないけど、中心が空洞の「ドーナツ型政府」という訳だ。重要な大統領命令だって、ジル夫人か副大統領のカマラ・ハリスが手渡す書類にサインするだけだろう。意味不明の印刷物を受け取ったバイデンは、何が書かれているかも解らずに、ただ言いなりになって署名しているんじゃないのか? もし、ジル夫人が指で教えた箇所に、「ジョー・バイデン」と書くだけなら本当に恐ろしい。

    後編に続く。


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