日本総督からの勅令

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(左 : 幼稚園に浸透するドラッグ・クィーン   / 中央 : 「女子」に目覚めた男子 /  右 : 同性愛者を擁護する活動家)

  歐米諸国や日本でも、「差別」という言葉は、保守派を攻撃する雄叫び(battle cry)となっている。この呪詛(じゅそ)は人種のみならず、性別に関しても葵の御紋となっているから実に厄介だ。自民党内部では、LGBT理解増進法案を巡って保守系議員が騒いでいたけど、駐日アメリカ大使のラーム・エマニュエル(Rahm Israel Emanuel)が、睨みを利かせていたから、下っ端議員がいくら反抗しても無駄な悪足掻(わるあが)きである。

Rahm Emanuel 733(左  /  シモン・ペレス大統領と一緒のラーム・エマニュエル)
  つくづく思うけど、敗戦国の日本は本当に惨めだ。宗主国のバイデン政権は、よりにもよってユダヤ人総督を極東の属州に送り込んできた。こんな奴が日本の代官になったら、与党の幹部は戦々恐々だ。ミドルネームからも明らかなように、エマニュエルの現住所はアメリカでも、その故郷はイスラエルにある。父親のベンジャミンはイェルサレム生まれで、英国を敵にしたテロ組織「イルグン(Irgun)」の元メンバーであった。母親のマーシャ・エマニュエルは、公民権運動に邁進した活動家ときている。ラームの兄弟であるエゼキエル(Ezekiel)とアリ(Ari)も母親の影響を受けて裕福なリベラル左翼となっている。

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(左 : ラームの兄弟であるエゼキエルとアリ、母親のマーシャ   /   右 : 息子のラームと父親のベンジャミン)

  一方、オバマ政権で首席補佐官となったラームは、“腐敗の温床”と呼ばれるシカゴで生まれていたた。彼のファースト・ネームはヘブライ語で「高尚」を意味するが、日本人の視点からすれば「高飛車」のように思えてくる。このユダヤ人は根っからの左翼で、若い頃は有名なユダヤ人の上院議員、ポール・サイモン(Paul Simon)の選挙を手伝っていた。さらに、エマニュエルはシカゴ市長のリチャード・マイケル・デイリー(Richard Michael Daley)にも仕えており、若造であったが、ボスの資金集めに奔走していたという。

  「やはり!」と言っては何だが、デイリー市長はスキャンダルまみれの政治家として有名だった。彼は1989年から2011年まで権力の座に君臨していた、というから凄い。しかし、彼のオヤジも瀆職の親玉で、リチャード・ジョセフ・デイリー(Ricahrd Joseph Daley)は1955年から1976年までシカゴ市長を務めていた。ギャングの街“シカゴ”で5期20年も市長を務めていれば、悪徳の帝王になっても不思議じゃない。

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(左 : 若い頃のラーム・エマニュエル   / ポール・サイモン  / リチャード・マイケル・デイリー  /  右 : リチャード・ジョセフ・デイリー)

  ついでに言うと、クリントン政権に入り込んだエマニュエルは、安易な妥協をしない冷血漢と評されていた。彼は「take no prisoners 」というスタイルで知れ渡っていたという。つまり、「敵兵が投降してきても捕虜にせず、容赦なく撃ち殺せ!」というのがエマニュエルのモットーだ。そこで附いた渾名は、「ランボー」をもじった「ラームボー(Rahmbo)」というニックネーム。(Edward Luce, 'Rahm Emanuel : Mayor America,' Financial Times, February 14, 2014.)でも、どちらと言えば、「シカゴのマイヤー・ランスキー」とでも呼んだ方がいいんじゃないか? エマニュエル兄弟は「コーシャ・ノストラ(Kosher Nostra)」とかね。

  古代ローマの時代、ティベリウス帝はポンティウス・ピラト(Marcus Pontius Pilate)をユダ(Judaea)の地に派遣したけど、この総督はユダヤ人の揉め事に深く関与せず、イエズスの処刑でも「勝手にしろ!」と言い放ち、手を洗って匙を投げた。エセビウス(Eusebius)の教会史によれば、新皇帝のカリギュラ(Caligula)から降格の人事を受けた後、不名誉を恥じたピラトはナイフを用いて自らの命を絶ったそうである。

  しかし、属州総督となったエマニュエルは、小カトー(Marcus Porcius Cato Uticensis)のように高潔じゃなく、むしろ後に皇帝となるウェスパシアヌス(Titus Flavius Vespasianus)のような人物だ。もし、日本人が逆らえば容赦なく弾圧するし、「笑顔の脅迫」なんて朝飯前。あのユダヤ人は窮地に追い込まれても自殺するタマじゃない。むしろ、シカゴに戻ってイリノイ州の知事を目指すタイプだ。

Inada 4231(左  /  「立憲自民党員」になってしまった稲田朋美)
  情けないけど、ワシントンの御意向に怯える岸田総理は、日本総督に口答えなんか出来ない。「聞く耳」を持つ首相は、主人の口笛が解るようで、尻尾を股に挟んで平伏(ひれふ)す。LGBT理解増進法案を推進する岩屋毅(いわや・たけし)や稲田朋美は、自民党支持者から物凄く非難されているが、こんなのは所詮“雑魚”か“仔犬”程度である。自民党に鞍替えした細野豪志、河野太郎から恩を受けた牧島かれん、元プロレスラーの馳浩も、立憲民主党に在籍した方がいい政治家だ。

  そもそも、日本には宗教に根ざす「ホモ嫌い」が無かったから、LGBT法案なんて必要ない。戒律にうるさいユダヤ教徒やイスラム教徒なら、同性愛者への嫌悪感があるので、ゲイやレズビアンを見れば「この不届き者め!」と殺したくなるが、性倫理が緩い日本の庶民には不必要である。むしろ、LGBT思想が世間に浸透すれば却って社会の混乱を招く。実際、ゲイバーのオカマ達は、「余計なことしないでよ!」と怒っている。彼(彼女?)らは今まで通り、「日陰の存在」で満足だ。親兄弟との縁を切り、ホモ仲間と楽しく水商売。チンチンぶら下げて女湯に入ろうとは思わない。

  令和の高校生や大学生だと、「同性愛者の街」といったら新宿二丁目くらいしか思いつかないが、台東区の上野や浅草は昔から“陰間(かげま)”の溜まり場だった。「言葉狩り」が徹底しているのか、平成時代でも落語に疎い大学生が結構多く、「“かげま”って、何ですか?」と訊いてしまう。江戸時代でも若い男を好むオッさんはいたから、落語や時代劇でも取り上げることがあった。ついでに言うと、昭和の末期や平成に入ると、「青線」の意味や言葉自体を知らない世代が増えてきた。敗戦後の日本では、政府公認の売春地帯があって、特殊飲食街の「赤線」と、密かに売春が行われる「青線」地帯があった。一般的に地図上の赤い線で囲まれた遊郭街を「赤線」と呼び、青い線で囲まれた地帯を「青線」と呼んでいた。

  話を戻す。それにしても、なぜオバマ政権以降、同性愛者への差別を無くそうとする運動が激しくなったのか? この潮流には様々な解釈が成り立つが、伝統文化を破壊しようと企む左翼分子と、あらゆる差別に反対するユダヤ人が一緒になり、強力な推進力となったことは確かだ。愛国心と信仰心が篤く、常識を備えた家庭で生まれれば、セックス学(sexology)を専攻して生業(なりわい)にしようとは思わない。特に、まともな両親のもとで育った西歐系の白人青年なら、SDS(Students for a Democratic Society / 極左学生グループ)に入らないし、ゲイ・パレードに参加することはないだろう。

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(左 : 大学のキャンパスで抗議活動を行うSDSのメンバー   /  右 : ゲイ・パレードの参加者 )

  しかし、ユダヤ教から離れたユダヤ人となれば別である。彼らの中には「親子揃ってのマルキスト」が珍しくないし、黒人とグルになって公民権活動に従事する左翼も多い。日本では滅多にないけど、ユダヤ人左翼の家庭だと、伯父や叔母、あるいは親の友人が自宅にやって来て、子供と一緒に夕飯を取る時、シオニズムやテロリズム、政治思想の話に夢中となってしまうのだ。こんな雰囲気だから、大学生の息子が左翼活動家になっても両親は驚かず、むしろ赤い母親は我が子を励ましたりする。(ユダヤ人左翼のマーク・ラッドが語るエピソードは面白い。) 保守的な家庭の親、特に西歐系アメリカ人の親は、息子や娘が学生運動に加担したら肝が潰れるほど驚く。

  ユダヤ人はヨーロッパ社会に対する恨みが深い。とりわけ、綺麗事を語る文化人や知識人は、「差別のない平等社会」を訴え、社会正義に基づく“進歩”がユダヤ人の“理想”となっている。一般の日本人には馴染みがないけど、ユダヤ人には「Tikken Olam(世界の修繕)」という概念がある。こんな考えは傲慢不遜だけど、旧約聖書の選民思想になれてしまったユダヤ人は、ちっとも怪しまない。「俺達が腐敗しきった西歐社会を正し、頑迷固陋なキリスト教徒、中でも差別や偏見に満ちた白人どもを啓蒙してやるんだ!」と彼らは息巻く。ユダヤ人が口にする「Tzedakah(慈善とか正しい行為への義務)」「Gemilut Chasadim(愛情とか親切)」「Tzedek(正義)」を聞くと、「それなら異国のアメリカじゃなく、祖国のイスラエルで叫んでいろ!」と言いたくなる。

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(左: 1969年に起きた「ストンウォール騒動」に参加した同性愛者   /  右 : キング牧師と共闘する公民権運動のユダヤ人 )

  歐米社会にタカって生きるユダヤ人は、異人種を嫌う白人を憎み、ユダヤ人を侮辱してゲットーに押し込めたヨーロッパ人を赦さない。しかし、戒律で雁字搦めのユダヤ教に愛想を尽かしたユダヤ知識人は、いくら探しても目に見えず、いつ来るのかも判らぬ王国や天主による救済には無関心だ。それよりも、現世の富や快楽を追求し、アーリア人の女を手込めにして自慢する。その一方で、力をつけたユダヤ人は、ヨーロッパ人への復讐に努める。彼らは“違った種類”の人間や“性的嗜好の異なる者”を排斥する白人を徹底的に叩く。だから、ゲイやレズビアンを嫌う保守的なアメリカ人を見つけると、「差別だ! ナチだ! 右翼だ!」と大騒ぎだ。しかも、調子に乗ったユダヤ人は、厳格な性倫理を破壊すれば、「誰もが安心して暮らせる平等な社会」が実現すると思っている。

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( 左 : 敬虔なユダヤ教徒  /  右 : 女性のラビを支持するフェミニストのユダヤ人 )

  ユダヤ人の学者は、まともな西歐人なら見向きもしない「性科学」に興味を抱く。日本の武士や庶民なら、生殖器からくる快楽とか変態の精神構造を研究することはないだろう。だが、セックスに執着するユダヤ人は、「学問の自由」を楯にして大学に浸透し、「精神分析」とやらの名目で歐米人の若者を洗脳する。心理学の教授になったユダヤ人は、無邪気な学生を前にすると、「君たちの倫理道徳はおかしい。人間の本能を歪めている。無知な人間は因習に囚われ、教養を持つ者は性の解放を恐れない」とか、様々な屁理屈を捏(こ)ねて“理想のデストピア”へと導く。アホな西歐人はユダヤ人の言説に惑わされ、ソドムとゴモラの街を桃源郷と思っているのだ。

  日本の士族のような上層中流階級の紳士は、性にまつわる学問など目指さない。だが、性科学とか心理学の分野には、ユダヤ人の大物が少なくない。例えば、精神分析学の先駆けたるジクムント・フロイト(Sigmund Freud)は誰もが知っている有名人。また、ドイツの開業医で、同性愛者を擁護し、性運動の提唱者となったマグナス・ヒルシュフェルト(Magnus Hirschfeld)も大御所だ。オーストリア出身で、精神分析とマルクス主義を融合させたウィルヘルム・ライヒ(Wilhelm Reich)も悪名高く、この変態ユダヤ人もフロイトの信奉者。しかし、ナチスから目を附けられたライヒは、無防備なアメリカへと移住し、オーガズムを研究したり、「オルゴン・ボックス(orgone accumulator)」を作って癌が治ると称した。当然ながら、彼は逮捕されてしまった。

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(左 : ジクムント・フロイト  / マグナス・ヒルシュフェルト  / ウィルヘルム・ライヒ  / 右 : エーリッヒ・フロム  )

Sandor Rado 111(左  /  サャンドー・ラドー)
  フランクフルト学派に属する心理学者エーリッヒ・フロム(Erich Fromm)もユダヤ人で、日本でも結構知られている。ところが、精神分析を専門とするハンガリーのユダヤ人、サャンドー・ラドー(Sándor Radó)については、あまり知られていない。彼は1915年の頃、フロイトに出逢って精神分析医になろうと決めたそうだ。ユダヤ人は同胞愛が強いのか、師匠のフロイトはラドーを『Internationale Zeitschrift für Psychoanalyse 』の編集者に指名し、その後、ラドーは『Imago』誌の編集長にもなった。

  フランクフルトのユダヤ人と同じく、ハンガリー出身のラドーはアメリカへ渡ると、左翼の牙城であるコロンビア大学に雇われた。(ヘルベルト・マルクーゼも同大学で教鞭を執っていた。)この異邦人は大学に根を下ろすと、「New York Psychoanalytical Institute」を創設した。普通の日本人が聞けば呆れてしまうけど、ラドーは性的興奮・満足の代わりとなる「alimentary orgasm」を提唱したそうだ。これは何かを摂取することで、オーガズムの代替になるという学説である。例えば、母乳を吸う赤ん坊は、性的興奮と同じような幸福(euphoria)を得るし、麻薬を使用する者は至福を感じて、意気揚々になる、というわけ。

Al Goldstein 2213(左  / アル・ゴールドシュタイン )
  変態のユダヤ人は学会以外にも棲息する。ポルノ業界にもユダヤ人の大物が控えていた。卑猥な雑誌や映画を数多く手掛けたアル・ゴールドシュタイン(Alvin Goldstein)も、その一人。彼の存在は一般人にも知られており、『Screw』『Death』『Smut』『West Crew』といった雑誌を刊行していた。こうした下劣な商売をしていたくらいだから、性格もハチャメチャで、私生活も無茶苦茶だった。アルは5回も結婚し、ジョーダンという息子をもうけている。ゴールドシュタインが四文字言葉(侮蔑語や卑猥な言葉)を吐くのは日常茶飯事で、雑誌記者はもちろんのこと、州検事や裁判官にも悪態をついていたから、彼がいくら「合衆国憲法修正第一条」を引き合いに出しても、スリッパで頭をひっ叩きたくなる。

Ron Jeremy 4234(左  / アーリア人の女優を採用するロン・ジェレミー )
  ゴールドシュタインと同じくらい破廉恥なユダヤ人ときたら、ポルノ界のアメリカ人は真っ先にロン・ジェレミー(Ron Jeremy Hyatt)の名を挙げることだろう。ロンのポルノ映画などは、目がが穢れるだけで、口にする価値すらない。しかし、ロンは意外にも知識人階級の生まれだった。ロンの父親であるアーノルド・ハイアット(Arnold Hyatt)は、NY州にあるクィーズ・カレッジの大学教授で、物理学を学生に教えていた。母親も知識人で、本の編集者を務めていたという。しかし、長年に亙って女性に性的被害を与えてきたから、2020年に逮捕され、34件の罪状で有罪となってしまった。69歳になるポルノ王は過去、15歳から51歳までの女性21人を犯してきたから、懲役20年に及ぶ刑罰を宣告されるが、「精神的に責任を負えない状態」と判断され、減刑される可能性も出てきている。

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(左 : 若い頃のジョージ・テネット  /  若い頃のロン・ジェレミー  / CIA長官となったジョージ・テネット  /  右 : 法廷に連れ出されたロン・ジェレミー)

William Casey 2132(左  /  ウィリアム・ケイシー)
  興味深いのは、ロンが高校時代、ジョージ・テネット(George Tenet)元CIA長官の同級生であったことだ。ロンはクィーズ地区にある「Benjamin Cardozo High School」に通っていたが、テネット氏はサッカー・チームで彼の仲間であったらしい。政府高官とポルノ王が、一緒の高校に通っていたなんて本当に驚きだが、あの地区なら有り得る。昔、筆者がフラッシング(ロングアイランドの支那人街)に行く時、ここの近くを通ったけど、まさかロンが通っていた高校とは知らなかった。ちなみに、レーガン政権でCIA長官を務めたウィリアム・ケイシー(William Joseph Casey)もクィーズ生まれであった。彼はカトリック信徒であったから、学部生の時はマンハッタンにあるイエズス会のフォーダム大学(Fordham University)へ通っていた。しかし、ロー・スクールはロングアイランドにある聖ヨハネ大学(St. John's University)に通っていたという。こちらは、イエズス会じゃなく、聖ヴィンセント・デ・ポール(St. Vincent de Paul)の系統である。

同性愛擁護に励む著名なユダヤ人

  脱線したので話を戻す。同性愛の擁護者やLGBTQの活動家にはユダヤ人が多い。ちょっと考えただけでも、筋金入りの左翼が何人も直ぐ思い浮かぶ。10代や20代のアメリカ人だと、リアリティTVで有名になったジャズ・ジェニングス(Jazz Jennings)を挙げるだろう。CBSのTV番組『The Nunny』でユダヤ人役を務めていた女優のフラン・ドレシャー(Fran Joy Drescher)も有名で、亭主であったピーター・ジェイコブソン(Peter Marc Jacobson)がゲイであることを公表した後、LGBTの支援者となったらしい。フランはピーターと離婚した後も仲良く付き合っているそうだ。

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(左  : ジャズ・ジェニングス /  フラン・ドレシャー  /  ニー・クシュナー  /  右 : ラリー・クレイマー  )

  ハリウッドには同性愛者の支援者がウジャウジャいて、劇作家で脚本家のトニー・クシュナー(Anthony Robert Kushner)もその一人。日本では『リンカン』や『ミュンヘン』といった映画の脚本家として有名だ。しかし、LGBTQイデオローグといったら、小説家のラリー・クレイマー(Larry Kramer)を外せまい。AIDS患者を擁護し、性病への偏見を撲滅しようと思ったクレイマーは、『ファゴッツ(Faggots)』という小説を書き、NYで享楽的な人生を送るゲイを描いていた。(「faggot」とはゲイを侮辱する俗語であったが、最近では同性愛者でも気軽に使う人がいる。)

  ユダヤ教徒の中にも同性愛の肯定者は存在する。例えば、ラビのデニス・エガー(Denise Eger)は改革派の指導者で、「Central Conference of American Rabbis」の総裁になっていた。ボストンに住むスティーヴン・グリーンバーグ(Steven Greenberg)もゲイのラビで、こちらは保守派のユダヤ教徒。彼はユダヤ教の中で燻っている同性愛について言及し、『Wrestling with God and Men : Homosexuality in the Jewish tradition』という著書を発売した。

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(左  : デニス・エガー  / 中央 : スティーヴン・グリーンバーグ  / 右 : エディス・ウィンザー   )

  政界でもユダヤ人はLGBTQの擁護運動に熱心だ。例えば、同性愛者の結婚を合法化しようとするユダヤ人の中には、88歳で亡くなった活動家のエディス・ウィンザー(Edith Windsor)がいる。彼女は昔、ティア・スパイヤー(Thea Spyer)というレズビアンと結婚したが、ティアは2007年に亡くなった。そこで、エディスは彼女の不動産を譲り受けたが、連邦法の「婚姻防禦法(Defense of Marriage Act)」のせいで「寡婦の税控除」を受けられなかった。それゆえ、「寡婦」となったエディスは、多額の税金を納める破目に。でも、これに納得できないエディスは裁判に持ち込んだ。(‘Edith Windsor', The Jewish Daily Forward, November 7, 2013.)

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(左  : ティア・スパイヤーとエディス・ウィンザー  /  右 : ジュディス・カセンとエディス  )

  同性愛者への差別に怒ったエディスは、ユダヤ人でレズビアンの弁護士ロベルタ・カプラン(Roberta Kaplan)を雇って訴訟を起こすことにした。彼女の訴えは最高裁までもつれ込み、最終的にエディスの勝利となった。この裁判でエティスは同性愛者コミュニティーの中でヒーロー扱い。大統領になったバラク・オバマ大統領も彼女を褒め称えていた。後に、エディスはジュディス・カセン(Judith Kasen-Winsor)と結婚したが、エディスは2017年に死去。今度はジュディスが寡婦となってしまった。

  もう一人有名なのは、映画にもなったハーヴェイ・ミルク(Harvey Milk)である。2008年に伝記映画である『ミルク』が公開されたので、日本でも覚えている人がいるだろう。ハーヴェイ役にはユダヤ人男優のショーン・ペン(Sean Penn)が起用され、アカデミー賞では8部門に輝いた。今ではカルフォルニア州のサン・フランシスコは「ゲイのメッカ」として知られているが、1970年代だと、まだ住民の中にも保守派が健在だった。ロナルド・レーガンが州知事に選ばれるくらいだから、同性愛者の存在に腹を立てるアメリカ人も多かったらしい。しかし、同市で監査役に就任したミルクは、マイノリティーの公民権やゲイの権利擁護に奔走し、カストロ地区で人気者となったから「カストロ街の市長」と呼ばれていた。だが、民衆党の政治家であるダニエル・ホワイト(Daniel James White)は我慢がならなかった。後に、ミルクはホワイトによって暗殺される運命となる。

Harvey Milk 842Harvey Milk 324(左 : 海軍時代のハーヴェイ・ミルク  / 右 : 政治家となったミルク  )
  意外なことに、ミルクは高校を卒業すると海軍に入った。入隊時は朝鮮戦争の頃で、彼は潜水夫の少尉だったというから驚きだ。しかし、同性愛がバレたらクビになるから、「不名誉除隊」になる前に海軍を去ったという。ゲイの最期は不幸なのか、ミルクは深海じゃなく、血の海に沈んでしまった。元軍曹(合衆国陸軍)のホワイトは、サン・フランシスコの政治問題でミルクと衝突することが多かった。たぶん、怒りが頂点にたっしたのだろうが、ホワイトは拳銃を手にしてハーヴェイのオフィスに殴り込み、彼に向かって5発の弾丸を撃ち込んだ。元警官のホワイトは五年間の懲役を経た後、サンフランシスコへ舞い戻るが、二年もしないうち自宅のガレージで自ら命を絶つことにした。

  一方、暗殺されたハーヴェイには死後の名誉が与えられていた。人種的多様性や偏見の無い平等社会を目指すバラク・オバマは、大統領の地位を利用して2009年、彼の甥を招いて亡きハーヴェイに「大統領自由勲章(Presidential Medal of Freedom)」を授与した。さらに驚くのは、海軍の輸送船にミルクの名前が附けられたことだ。オバマ政権で海軍長官に就任したレイ・メイブス(Raymond Edwin Mabus, Jr.)元ミシシッピー州知事は、2016年、ジョン・ルイス級の輸送艦に「USNS Harvy Milk」の名を冠するよう議会に提案したという。確かに、このクラスの船には公民権運動に貢献した人物の名が附けられるという慣習はあるが、いくらなんでもホモの活動家を讃えるなんて非常識だ。(左翼陣営はフリードリッヒ・ウィルヘルム・フォン・シュトイベン男爵の例を挙げるけど、独立戦争の場合と功績の点を考えれば、比較にならない。)

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(左  : ダニエル・ホワイト / 中央 : レイ・メイブス  /   右 : ハーヴェイの甥スチュアート・ミルクに勲章を手渡すバラク・オバマ大統領

  バイデン政権になると、LGBTQの潮流は益々激しくなってきた。信じられないけど、幼稚園児や小学生にまで「ドラッグ・クィーン(Drag Queen)」の影が忍び寄ってきたそうだ。日本の小学校では有り得ないが、アメリカやカナダの学校では、女装した中年ジジイが教室で本を朗読したり、子供を膝に乗せ微笑むことがあるらしい。しかし、子供を通わせる親は大激怒。例えば、フィラデルフィアにあるアルバート・グリーンフィールド小学校では、「ドラッグ・クィーン・ストーリー・アワー」というプログラムが設けられ、奇妙な外見の大人に対する“偏見”の除去が授業になっていた。(Charles Creitz‘Drag queen story hour for 1st graders at Philadelphia public school outrages parents,’Fox News, October 26, 2022.)

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(上写真 / 子供に接近するドラッグ・クィーン )

  保守的なアメリカ人は、オバマ政権やバイデン政権で加速された「多様性の社会」に危機感を覚えている。以前、当ブログで紹介したが、性的嗜好から「レイチェル・レヴィン(Rachel Levine)」となったリチャード・レヴィン(Richard Levine)は、ジョー・バイデンによって連邦政府の厚生省次官補となった。(レヴィンは元ペンシルヴァニア州の厚生省長官。)しかも、驚くことに2021年10月、このユダヤ人は四星将軍(four star general)に昇格したのだ。つまり、「提督(admiral)」の階級になってしまった。こんなのを聞いたら日本人だってビックリ仰天、「えぇぇっっっ~!!」と叫んでしまうだろう。まるで悪夢のようだが、嘘じゃなく本当の話である。

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( 左 :「女」に変身したレイチェル・レヴィン / 中央 : 役人となったサム・ブリントン  /  右 : レヴィン提督とブリントン次官補 )


  バイデン政権には他にもゲイの役人がいた。エネルギー省には使用燃料・核廃棄物担当の部署があって、そこの次官補に就任したのが、「Breakthrouh Institute」や「National Science Policy Group」で働いていたサム・ブリントン(Samuel Otis Brinton)である。彼はユダヤ人じゃないけど、両親はサザン・バプティスト教会の宣教師である。ところが、息子のサムはバイセクシャル。勉強は出来たようなので、彼はカンザス州の大学に入って核技術を学ぶことにした。ここを卒業すると、サムはマサチューセッツ州へ渡り、名門のMITで核物理学を勉強し、修士号を取得したそうだ。


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(左  /  ブリントンと女優のジェーン・フォンダ)
  筆者も彼と同じ中西部の大学に通っていたけど、1990年代当時は公に同性愛者を名乗ってキャンパスを闊歩する奴はいなかった。ブリントンは同大学で初のLGBTセンターを作ったというが、筆者の知る限り、ほとんどの学生は穏健な白人中流階級で、周囲も普通のアメリカ人が多かった。また、近くには陸軍の基地があるので、大学には予備役制度もあったし、LGBT運動を嫌う保守的なキリスト教徒も隣近所に住んでいる。他の州でも、だいたい似たり寄ったりなんだろうけど、ドナルド・トランプのように昔の良きアメリカを知る世代は、ゲイやレズビアンの跋扈に眉を顰めているんじゃないか? 良心的なアメリカ人は、加速する国家の内部崩壊を悲しんでいる。

  日本には昔から「共存の智慧」があって、巷の庶民は“それとなく”ホモを認め、境界線を引きながら共に暮らしていた。寺や城に男色の人物が紛れていても、「まぁ、仕方ねぇか!」と諦め、刀を持って成敗することはまずなかった。1982年に松坂慶子と真田広之が共演する『道頓堀川』が公開され、榎本明が“流し”の「石塚」を演じ、カルーセル麻紀がゲイボーイで、石塚に惚れる「かおる」を演じていた。オカマの「かおる」は石塚に金を貢いでおり、甲斐性無しの石塚に10万円を渡すが、それでは足りないと怒り、「俺に恥をかかせるきか!」とかおるを殴る。しかし、こうした関係はやがて崩壊する。邪険にする石塚に憤慨した「かおる」は、表の通りで包丁を振り回し、石塚を懲らしめようとした。そこへ知人の邦彦(真田真之)が止めに入り、邦彦はカオルに刺されてしまう。

  日本のゲイやレズビアンが怒るとしたら、所詮この程度の痴話喧嘩だ。ナイフを持って暴れ回ることがあっても、政治イデオロギーを振りかざして騒ぐ連中じゃない。藝能界 にも色々な人物がいて、三島由紀夫と面識のあった美輪(丸山)明宏から、カルーセル麻紀、おすぎトピーコ、「ピーター」と呼ばれていた池畑慎之介など、オカマを自称する藝人や女性的な男性がいたけど、一般国民は「別世界の人だから」と言って容認していた。たぶん、日本のような国が理想的な社会なのかも知れないぞ。



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