無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

映画・ドラマ評論

死刑よりも残酷な復讐 / 苦しめるために生かしておく

妻と親友の裏切

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  アメリカ映画にはキャスティングが良いのに、いまいちヒットしなかった作品がたくさんある。1990年に公開された『リベンジ(Revenge)』もその一つで、『トップ・ガン』や『ビバリーヒルズ・コップ2』『エネミー・オブ・アメリカ』『スパイ・ゲーム』といった人気作品を手がけたトニー・スコット(Tony Scott)監督の映画なのに、どういった訳か評判にならなかった。日本だと、レンタル・ビデオ屋の片隅に配列されるだけの作品だったと思う。(スコット監督の人生も幸福ではなく、彼は2012年、ロサンジェルスにあるヴィンセント・トマス橋から飛び降りて自殺した。ちなみに、彼の兄は有名な映画監督のリドリー・スヒコットだ。)

  興行的には芳しくなかったが、主要キャストが素晴らしかったので個人的には好きな作品だ。主役の「マイケル・ジェイ・コクラン」役にはケヴィン・コスナー(Kevin Costner)が起用され、犯罪組織のボスである「ティビー・メンデス」役には名優アンソニー・クィン(Anthony Quinn)が、さらに、ティビーの妻である「ミリヤ」役にはマデリーン・ストー(Madeleine Stowe)が抜擢されていた。

Tony Scott 3Kevin Costner 122Madeleine Stowe 325Anthony Quinn 324








(左 : トニー・スコット / ケヴィン・コスナー / マデリーン・ストー  / 右 : アンソニー・クィン )

  物語は、米国海軍パイロットのジェイ・コクランが退役し、友人であるティビーの邸宅に遊びに行く、という場面から始まる。メキシコにあるメンデスの豪邸に向かう途中、コクランは運命の美女、若きメンデス夫人のミリヤと出逢う。ミリヤは愛馬を連れて歩いていたが、遠くから見ても、ハッとするような美人だ。

  メキシコに住む友人と再会すべく、ジェイは愛犬の「ロッキー」を連れてジープを走らせる。メンデス夫人に教えられた通り、森の中の道を抜けると、ティビーの豪邸に辿り着く。相棒のロッキーを伴ったジェイは、旧友のティビーと再会する。だが、広大な敷地には銃を構えた部下があちこちに居た。戦闘機パイロットのジェイは、“お土産”として米国海軍のパイロットが着る皮ジャンをプレゼントした。金に苦労はしない優雅な生活を送るティベイであったが、まるで子供のようにジェイのプレゼントに喜ぶ。しかし、メンデス親分に仕える「懐刀」のチェザーは、何となくジェイが気に食わなかった。

  ティベイは妻を交えて親友と晩餐を共にした。しかし、最後まで賓客と一緒に居らず、途中で席を外し、“ビジネス・ミーティング”の部屋へと向かった。ところが、この商談は“裏稼業の談合”で、ティベイは意見を異にする癒着相手を殺してしまう。これじゃ、まるで『ゴッド・ファーザー』か『ソプラノズ』で目にするような光景だ。

Anthony Quinn 435Revenge 874








(左 : ティビーとミリヤ  /  右 : ロッキーと海辺で遊ぶジェイとミリヤ)

  一方、二人っきりとなったジェイとミリヤは静かに語り合い、心を通わせるような間柄となる。やはり、若くて美しいミリヤとしては、ジジイの亭主よりも、若くて颯爽とした二枚目軍人の方がいい。後に、ジェイはティベイが主催するパーティーに出席する。ホスト役のティベイは来客と会話を交え、社交ダンスを楽しむが、亭主と離れたミリヤは、誰も居ない衣装部屋に忍び込む。なんと、偶然なのか、そこにはジェイがいた。お互いに惹かれ合うジェイとミリヤは、もはや沸々と湧いてくる感情を抑えきれない。ついに、ふたりは禁断の肉体関係を結んでしまうのだ。

  恋に落ちたジェイは、ミリヤとの逢い引きを重ねてしまう。ジェイは彼女をメキシコから連れ出そうとするが、夫の権力を恐れるミリヤはためらいを示す。その代わりミリヤは秘密の旅行を提案し、ティビーを騙そうとする。しかし、二人の会話はティビーの部下によって盗聴され、ティビーは屋敷の中で録音ープを聞くことに。盗聴を知らぬミリヤは、「マイアミの妹に会いに行く」とティビーに伝えて旅支度をしていた。妻の“不倫旅行”を判っているティビーは、素知らぬふりで了承する。ティビーも妻を騙すため、カラカスへ出張するという話を告げていた。

  不倫旅行の前、ティビーはジェイが泊まっている別荘に立ち寄った。そして、彼は親友をカラカスへの旅行に誘うが、ジェイは鄭重に断る。親友の裏切りを知るティビーは、まるで永遠の別れのような気持ちで残念がっていた。たぶん、不倫旅行を諦めれば、赦してやるつもりだったんだろう。

  ジェイとの旅行を待ち望むミリヤは、亭主のリムジンで空港まで送ってもらうことに。しかし、ティビーの心は哀しみに満ちていた。彼の精神は空港へ向かうリムジンの中で揺れ動いていた。ミリヤがリムジンを降りる前、ティビーは最後の別れ告げるような抱擁をした。まるで名残惜しいように、ティビーは不逞の妻を強く抱きしめる。しかし、ミリヤの気持ちは既にジェイのもとに飛んでいた。

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(左 : ジェイのジープで山小屋に向かうミリヤ  /  右 : 旅の途中で水遊びをする二人)

  夫の前で平然と嘘をついたミリヤは、空港のロビーで恋人のジェイを待つ。そこへジェイが現れると、ミリヤは彼のジープに乗り込み、二人は一路、片田舎にある山小屋へと向かった。山小屋へ向かう途中、二人は興奮を抑えきれず、ミリヤは運転中のジェイに跨がった。ハンドルを握ってクルマを走らせるジェイではあるが、彼はミリヤとの性欲に耽ってしまう。こうして、ジェイとミリヤは「愛の巣」へと着く。二人は暖炉の前で抱き合い、思う存分肉欲を楽しんだ。

  しかし、運命の女神は残酷だった。空港で別れたはずのティビーは、二人を尾行していたのだ。憎しみを抱くティビーは、武装した手下と共に乱入する。ジェイはティビーの子分に激しく殴打され、激痛の仕置きを味わう。羽交い締めにされたミリヤは、ジェイが半殺しにされる光景を見る破目に。さらに残酷なのは、ジェイの愛犬ロッキーが射殺されたことだ。突入の際、ティビーの部下はショット・ガンで犬を撃ち殺した。(このシーンは、たとえフィクションとしても、見ていて心が痛む。ラブラドールのロッキーには罪が無いんだから、見逃してやってもいいじゃないか! それなのに、銃で撃ち殺すなんて酷すぎる !)

  極悪な連中に暴行されたジェイは意識朦朧となる。血まみれのジェイを目の前にしたミリヤは恐怖に怯えていた。しかし、もっと悲惨なのは、ミリヤに対する処罰だ。妻の裏切りに憤慨したティベイは、あっさりとミリヤを殺すことはなかった。何と、彼は羽交い締めにされたミリヤを「不貞の淫売(faithless whore)!」と罵り、手に持ったナイフで彼女の左頬を斬りつけた。ミリヤは顔は頬から口にかけて切り裂かれ、傷口からは赤い鮮血がしたたり落ちる。妻を罵倒するティベイは、悖徳の妻に向かって「処刑宣告」を言い渡す。「お前は1日50回もクズ供からやられる(fucked 50 times a day)破目になるんだぞ !」と。

  ティビーは忌々しい小屋に火を放つ。瀕死のジェイはティベイのクルマに引きずり込まれた。傷つけられたミリヤは、床に落ちたジェイのドッグ・タッグを素早く握りしめる。(「ドッグ・タグdog tag」とは、本人を識別するために軍から支給される金属の札である。) クルマに乗せられたジェイは、山道の途中で崖に投げ捨てられた。最後のトドメを刺さずに、ジェイをクルマから放り投げたのは、ティビーにかすかな友情が残っていたからだろう。

Revenge 653(左  /  頬を傷つけられたミリヤ)
  一方、傷物にされたミリヤは、下層階級の男どもが集まる薄汚い売春宿に引き渡された。この売春宿に閉じ込められたミリヤは、否応なく生ゴミよりも臭い連中に犯されてしまうのだ。ティビーに仕える手下の一人、髭面で太ったラモンは、憧れだったボスの女房を抱こうとする。ラモンはズボンのベルトを外し、脂肪が詰まった腹をたるませ、ベッドに横たわるミリヤに襲いかかった。しかし、この下郎を拒むミリヤは、ラモンが持っていたナイフを握りしめ、思いっきり彼の肩を刺した。

  客に弄(もてあそ)ばれるミリヤには、ゲイのアントニオが寄り添う。ところが、彼女の世話役となった青年は麻薬中毒だった。しかも、“エイズ感染者”ときている。彼は憔悴しきったミリヤをいたわるが、弱り切った娼婦に麻薬の注射を打ってしまうのだ。しかし、ミリヤは抵抗しなかった。それどころか、生きることに意味を失ったミリヤは、アントニオが使った注射器を共有し、アントニオは彼女の腕に打ってしまう。絶望の淵に沈んだミリヤにとって、免疫不全の感染症などは“どうでもいいこと”だった。

  その頃、山中に遺棄されたジェイは、偶然通りかがったメキシコ人農夫に助けられる。地元民のマウロは偶然、重傷のジェイを発見すると、馬車に積み込んで自宅に連れ帰った。マウロの娘と母親は、ジェイの傷が癒えるまで熱心に介護した。そして、恢復したジェイは放火された山小屋に戻り、地下に隠しておいた金を持ち帰ると、恩人のマウロに手渡した。まだ充分完治していないが、復讐に燃えるジェイはマウロの家を去ることにした。

  街中の酒場でたまたま、ティビーの仲間を目にしたジェイは、便所の中で彼を刺し殺す。その後、泊まっていたモーテルに、マウロの義弟であるアマドーが訪ねてくる。彼は友人イグナチオを連れており、一緒にティベイを殺そうと持ちかける。実は、アマドーもメンデス一家に恨みを抱く人物だった。というのも、彼はビジネス上のトラブルで妹を殺されていたのだ。ティビーは彼らにとって共通の敵となった。


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( 左 /  アマドーとイグナチオを従えるジェイ)
  マフィアのボスに牙を剝くジェイとアマドー、イグナチオの三人は、組織の手下を捕まえ、拷問にかけてミリヤの居場所を突き止めようとした。この手下から居場所を聞き出した三人は、町外れの売春宿に押し入るが、既にミリヤはティビーによって異動されたあとだった。妻に裏切られたとはいえ、ティビーはミリヤを諦めきれなかった。彼は衰弱するミリヤを修道院が経営するホスピスへと連れて行ったのだ。
  ミリヤの居場所を突き止めたい三人は、本命のティビーを襲撃し、彼から聞き出そうと考えた。そこで、ジェイ達は乗馬中のティベイを襲撃し、首尾よく標的を拘束する。ところが、ティビーに銃を突きつけたジェイは、憎いはずの友人を殺すことはできなかった。友人の躊躇いを目にしたティビーは、ジェイら向かって「妻を寝取ったことを謝罪しろ」と求めた。すると、ジェイはその要求に応え、素直に詫びを入れることにした。謝罪を受け取ったティビーは、妻を奪ったジェイを赦し、ミリヤが修道院に居ることを伝えた。

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(左 : 修道院のホスピスで死を迎えるミリヤ  /  右 : ミリヤを抱きかかえるジェイ)

  ミリヤの居場所を教えてもらったジェイは、急いで彼女のもとへと走り去る。しかし、感染者となったミリヤは、医者が諦めるほどの末期症状を迎えていた。生きる気力を無くしたミリヤは、ベッドの中で次第に弱ってゆく。必死で探し求めていたミリヤを見つけたジェイは、そっと彼女のベッドに近づく。昏睡状態のミリヤは静かに瞼を開き、柔らかい日差しのもとでジェイと再会する。目に涙を浮かべて微笑むミリヤは、傷跡が残る頬を左手で隠す。やはり、愛する男の前では醜い傷を見られたくなかったのであろう。しかし、ジェイはそれを気にせず、優しく彼女にキスをする。

  愛するミリヤを取り戻したジェイは、彼女の囁きを聞き入れ、ミリヤを部屋の外に連れ出すことにした。ジェイは瀕死のミリヤを抱き上げ、そのまま中庭へと運んでいった。ミリヤの方もジェイに抱きつき、つかの間の安らぎを覚えていた。しかし、その幸福は短く、儚いものだった。ミリヤは愛するジェイの腕の中で息を引き取る。彼女の手からはジェイのドッグ・タッグがこぼれ落ちた。

  ハリウッド映画にしては珍しく、『リベンジ』は悲劇的なシーンで幕を閉じていた。この作品で印象的だったのは、「屈辱を与えながら活かす」という処罰だった。日本だと、妻に裏切られた夫は、包丁で刺し殺す、という単純な殺人が復讐の定番だ。しかし、外人の報復は違う。即死なんて生ぬるい。先ず、「女の命」である顔を切り刻む。あるいは硫酸を振りかけて醜くする。不貞の妻は鏡を見る度に涙ぐむ。心を傷つけられた亭主は、その何倍もの苦しみを女房に与えようとする。逆説的だが、「死」よりも辛い「生」を与えることで、死刑よりも残酷な仕返しができるのだ。

  ティビーの復讐はミリヤにとって最大の屈辱であった。普段なら絶対に肌を許さない下郎どもが、自分の体に襲いかかり、穢らわしいペニスをねじ込んでくるのだ。脂ぎった下腹と毛むくじゃらの胸、鼻が曲がるほどの口臭を吐くケダモノが、次から次へと彼女を強姦する。ハイエナよりも下劣なクズどもは、上玉の娼婦をしゃぶり尽くす。犯された女は、人間らしい感情を失い、単なる「肉の塊」へと変貌する。こうした性奴隷には自殺や疫病など怖くない。むしろ、救済の手段となる。

  とにかく、日本人の「復讐」なんて時代劇の「仇討ち」と同じだ。決闘の相手を斬り殺せば、ずっと抱いていた怨念は水に流され、それで「終わり」となるんだから。しかし、ユダヤ人や支那人といったアジア人は粘着質で執念深い。彼らは味わった屈辱を何時までも忘れないし、何百倍にして返そうとする。ナチスから迫害を受けたユダヤ人は、憎いドイツ人を殺すだけでは飽き足らず、何十年、いや、何百年でも苦しめてやろうと考えた。このタカリ民族は北米や豪州、英国へと潜り込み、現地の学校や議会だけじゃなく、財界や官庁、テレビ、新聞、雑誌、映画、演劇、漫談、小説、漫画など、ありとあらゆる分野でドイツ人を罵ろうと謀った。アメリカ人やヨーロッパ人のみならず、日本人の大半もすっかりユダヤ人のプロパガンダに引っかかっている。たぶん、ユダヤ人の心理戦に嵌まらないのは、同類のアラブ人や狡猾な古代民族の支那人くらいだろう。

  第二次世界大戦で、アメリカ人は日本人を殺しまくったが、国家総力戦の相手が日本人でラッキーだった。もし、ユダヤ人が敵で、彼らに対して絨毯爆撃や核攻撃をしていたら、千年経っても赦してもらえないだろう。ユダヤ人が言う「ホロコースト(燔祭)」が何を意味するのかよく判らないが、ドイツ人はユダヤ人を強制収容所に叩き込み、チフスで死んだ囚人を焼却しただけ。ハリウッド映画の宣伝とは異なり、生きたまま焼き殺した訳じゃない。

  しかし、アメリカ軍は生きた日本人を意図的に焼き殺した。米軍の爆撃機は都市にす住む民間人を逃げられないように炎で取り囲み、その中で逃げ惑う女子供を狙って焼夷弾を落としたのだ。これが本当のホロコーストで、ドレスデンでの虐殺も同じである。広島・長崎への核攻撃は、ある意味、大焼殺よりもマシだった。標的となった民間人は一瞬にして消滅した訳だから、老人や子供は苦しむことなく“あの世送り”となった。米国は原子爆弾の「人体実験」をするために、わざと両都市を空爆しなかったという。プルトニュウムやウランの核爆弾で、どれくらいの被害が出るのかを検証したいから、焼夷弾で予め街を破壊したら「史上初の科学実験」が台無しになるじゃないか。

  日本人は米国によるホロコーストを体験しても、アメリカ兵を襲撃することなく東京に迎え、占領軍が帰っても、「二度と過ちは繰り返しません」と反省した。学校教師と左翼議員は底抜けのアホなのか、日本の軍国主義だけを非難し、アジア人への迷惑まで詫びていたんだから、神様でも匙を投げる。普通なら、タリバンやムジャヒディーのようにアメリカ人へ復讐すべきなんだが、日本人は復讐の炎に水を差し、忌まわしい過去を水に流した。敗戦後の日本人が惨めなのは、米国から折檻を受け、詫び状たる「占領憲法」を崇めているからだ。ローマの奴隷だって背中を鞭でひっぱたかれれば、「いずれ見てろよ !」と復讐を誓うのに、「平和教育」を受けた日本人は、体の傷跡を見て一層の反省を示す。これこそ「不治の病」だよねぇ~。



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黒くなるイギリス人 / 歴史の書き換えが文化となる

深まる国民の分裂

Klaus Schwab 7721(左  / クラウス・シュワブ )
  最近、アメリカに関する報道の中で、「World Economic Forum」の創設者であるクラウス・シュワブ(Klaus Schwab)が提唱する「グレイト・リセット(Great Reset)」をよく耳にする。これは西歐世界の有力者が従来の枠組みを破壊して、新たな枠組み(paradigm)を築き上げようとする壮大な計画だ。日本や歐米諸国の正常な国民、すなわち先祖伝来の生活様式を守り、子孫へ残すことを義務と感じる保守的な人々からすれば、常識外れの“とんでもない”暴挙に思える。ところが、国際金融を裏で動かし、世界市場の将来を決めるグローバリストにとったら、低賃金労働者の移動を阻む国境や、不合理としか思えない各地の商慣習、外国人を戸惑わせるだけの固有文化などは、目の前の利益を妨げる障碍物(impediment)でしかない。ゆえに、こうした“悪弊”は除去すべし、というのが帝国主義者の意向だ。

  グローバリズムの推進者にとって、忌々しく“厄介な問題”とは何か? それは、国境を跨いだマネー・ゲームに刃向かうナショナリストの防衛本能である。例えば、自国の産業と雇用を守ろうとする国益派の政権や、食品の安全性を確保しようとする消費者支援団体、国際企業の森林伐採に反対する環境保護の活動家、労働移民を排斥する民族政党などは、巨額の利権を貪るグローバル企業にとって目障りな存在だ。たいていの場合、こうした邪魔者は政治的圧力で潰される。例えば、遺伝子ワクチンに疑問を呈する者は社会的に抹殺されか、YouTubeやフェイスブックの閉鎖で泣いてしまうだろう。雑誌や新聞だと「広告剝がし」という制裁が恐ろしい。グーグルとかアマゾン、モンサント、ファイザー、ゴールドマン・サックスなどにとって都合のいい国家とは、多国籍企業に靡く政権と従順で勤勉な大衆が存在する弱小国である。

  とにかく、外国勢力にっとて最も大切なのは、国内の一致団結を崩す分断作戦だ。もしも、現地の民衆が外人の搾取に気がつき、挙国一致の体制で反撃に出れば非常に厄介である。「分断して統治せよ ! (Divide and Rule !)」は侵掠者の定跡だ。日本が脆いのに滅びないのは、皇室という「核」が存在するからで、いくら支那人やロシア人が日本を支配しようとしても、国民を束ねる皇室があると簡単には実行できない。だから、日本を植民地にしたい北京政府は、合法的に皇室を滅ぼし、日本人をバラバラにしようと考える。その一つが支那移民の輸出で、大量の支那人を日本に送り込めば、合法的な選挙で政権を握ることが出来るし、多数決の原理で皇室の廃絶も可能である。

  たとえ一気に撲滅できなくても、真綿で首を締め付けるように皇室予算を徐々に少なくすれば、皇族は精神的に苦しむだろう。それに、週刊誌を使って皇族のスキャンダルをもでっち上げれば、アホな国民は皇族に反感を抱き、皇室を「無用の長物」と考えるようになる。こうした陰謀と並行して、帰化制度を緩和し、何十万人もの支那人を「日本国民」に変換できれば、北京政府の日本支配は容易になる。もし、帰化支那人が日本社会で確固とした地位を築き、政治献金で与党を牛耳れば、後は「棚からぼた餅」を待つだけでいい。日系日本人は数が多いだけのマイノリティーとなり、支那人にこき使われるだけのネイティヴ・ジャパニーズとなる。創価学会は帰化支那人の新規会員が増えるから大喜びかも。帰化鮮人の企業については以前、当ブログで紹介したからここでは省略する。

  歐米諸国では既に多民族主義で昔ながらの社会が麻の如く乱れている。昔は「国民の一体感」とか「君民の紐帯」があったけど、有色移民の大量流入で霧のように薄くなってしまった。アジアやアフリカ諸国に「コモンウェルス(Commonwealth)」を形成したブリテン王国は、元植民地を手放すのが惜しくなって、第二次世界大戦後、被支配者である現地人の移住を許してしまった。1950年代、カリブ海から黒人移民を乗せてきた「エンパイア・ウィンドラッシュ(Empire Windrush)」号の話は有名で、まだ白人社会を“当然”と思っていたイギリス人は、船上のジャマイカ人を見てビックリ。異質な黒人が船から降りてきて、自宅の近所にあるアパートメントに棲み着いたんだから無理もない。

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( 写真  /  「エンパイア・ウィンドラシュ」号でやって来たジャマイカ移民)

     こうした黒いエイリアンは、様々な職場に現れ、子供が通う学校でも見かけるようになった。それゆえ、温厚なイギリス人でも眉を顰めたし、正直な中流階級は遠慮なく反対意見を表明した。特に、有色人種と接する機会が多く、賃金低下に直面した白人労働者は憤慨し、彼らの多くが保守党のイノック・パウェル(Enoch Powell)に希望を託した。知性と勇気を兼ね備えるパウェルは、このまま有色移民が増え続けると、いつか将来、流血の事態が起きるだろうと予言した。そして、彼の懸念は的中し、イングランド国内で人種対立が勃発する。ロンドンではムスリムによるテロ事件すら発生したのだから、移民を受け容れた議員は切腹ものだろう。

  ところが、教養階級のイギリス人、とりわけ大学教育を受けた上層中流階級、高額所得のビジネスマン、特殊技術を身につけた専門職、中央官僚、国会議員、リベラル教師などは、悉く多民族・多文化主義に賛成なのだ。たとえ、イングランドの街中でパキ人やインド人、アラブ人、トルコ人、ケニア人、モロッコ人、クルド人、支那人などが闊歩していても知らん顔。ロッチデールやバーミンガムがバグダッドやカイロのようになっても平気だし、労働者階級の白人娘が、中東アジア人に輪姦されても騒がない。警察署のお偉方も人種差別の嫌疑を懼れているから、トルコ人やアラブ人の性犯罪を「普通の事件」と見なしている。

  レイシズムの呪縛は国家の指導層を麻痺させている。オックスフォード大学やケムブリッジ大学、イートン校やラグビー校を出たエリート国民なら、イングランドがアングル人やザクセン人の王国で、サセックスやウェセックスにはゲルマン人が定住した、という歴史くらい分かっているはず。しかし、彼らは左翼教育に染まったせいか、ブリテン島がオスマントルコの属州だった、と教えられても逆らうことはない。昔のイギリス人やスコット人なら、サラセン人やムーア人がポーツマスやヘイスティングスに上陸すれば、「祖国を守れ !」と仲間に呼びかけ、父から受け継いだ剣を握って出陣したものだが、今じゃ、旅館の小僧みたいに「ウェルカム !」と述べて頭(こうべ)を垂れている。ホレイショ・ネルソン提督が蘇ったら、もう一度墓場に戻ってしまうだろう。

Joseph Goebbels 001(左 / ヨゼフ・ゲッベルス )
  政治プロパガンダというのは、民衆に気づかれず、それとなく実行するもので、ナチ・ドイツのようにプロパンダ省(Reichs ministerium für Volksaufklärung und Propaganda)を堂々と創設するなんて愚の骨頂だ。陰謀の天才、暗闇の悪魔たる支那人なら絶対にやらない下策である。ユダヤ人は宣伝大臣のヨゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)を蛇蝎の如く憎み、ナチスの反ユダヤ主義を糾弾するが、ユダヤ人の方がヒトラーやケッベルスよりも数万倍、否、数億倍も狡猾である。なぜなら、ユダヤ人は決して表の組織を作らないからだ。彼らは巨額な資金を以てコソコソと動く。しかも、大金持ちの投資家や映画会社の重役が、自発的かつ献身的に活動するんだから凄い。筋金入りのシオニストでなくても、ユダヤ人は無意識的に同胞の利益と安全を図っている。ある者は個人的な怨みを抱いて反ゲルマン主義者になっているし、別の者は仲間からの称讃を得たいと思って大金を出す。米国に住むユダヤ人は、イスラエルに戻らないことに「罪悪感」を覚えるので、イスラエルのユダヤ人以上にシオニズムの礼讃者となる。KISSのジーン・シモンズは熱心なシオニストだが、やはり異教徒が住むアメリカを離れたくないそうだ。

  ブリテンに棲み着くユダヤ人は、現地のアングロ・サクソン人を洗脳するため、政界や財界ばかりでなく、教育界や藝能・メディア界にも浸透し、反ユダヤ主義は「絶対悪」と決めつけ、民族主義や優生思想は「けしからん」と吹聴する。なぜなら、イングランドやスコットランドのアングロ・サクソン人やケルト人、アイリス人、ウェイル人、西歐系帰化人がユダヤ人の害悪に勘づき、一致団結して排斥しようと蹶起(けっき)すれば、ユダヤ人にとって最大の恐怖になるからだ。一般のイギリス人は決して口にしないけど、露骨な国粋主義者だと正直に「イギリス人のためのイングランド(England for the English.)」と述べてしまう。もっと筋金入りの愛国者になれば、「メリー・イングランド(Marry England)」を求めてしまうし、祖国を「ユダヤ人の国(Judenland)」に変えることに猛反対となる。ユダヤ人を追放したエドワード1世はイングランドの英雄だ。

  “良心的”という言葉を愛する赤い白人や、リベラル思想にかぶれた“なんちゃって左翼”は、大学に潜むマルキスト教授を怪しまず、むしろ、彼らの説教をみんなで称讃したりする。これらのエセ・インテリはシェリー(Percy Bysshe Shelley)やポープ(Alexander Pope)の詩を口ずさんで教養人を気取っているが、エンターテイメント業界が垂れ流す反英プロパガンダには目もくれず、「下層民の娯楽だろう」と言って蔑む。でも、時折、自宅でこっそりと低俗な映画を楽しみ、いつの間にか洗脳されていたりする。彼らはアングリカン教会が腐敗しても、祖先から受け継いだ倫理道徳を馬鹿にされても怒らない。ブリテンのTVドラマでは、同性愛者や変態のキャラクターが跋扈し、卑猥で下品な藝人が毎日のように出ている。ドラマの配役でも多民族主義が横行し、どの作品にも必ず黒人やインド人、アフブ系やパキスタン系のムスリムが登場するんだから、観ていて厭になる。脚本だって「無理矢理」といったストーリー展開だ。

  民衆の意識を変革するには、学術書や教科書ではなく、映画やTVドラマが一番いい。何しろ、民衆が自発的に吸収してくれる訳だから、制作者は思いのままに特殊なイデオロギーを注入できる。最近のTVドラマは特に悪質で、それとなく歴史の捏造が行われているから怖い。例えば、2009年に「BBC One」で放送された『ロビン・フッド(Robin Hood)』には、戦闘的司祭の「タック(Tuck)」という修道士が登場するんだけど、そのキャラクターを演じるのが黒人俳優のデイヴィッド・ヘアウッド(David Harewood)。そりゃあ、古代や中世には北アフリカ出身の修道士がいたけど、イングランドを舞台にする「ロビン・フッド」の物語に相応しいとは思えない。どうしても外人の役者にしたいのであれば、デンマークやスカンジナヴィアからのゲルマン系男優でいいじゃないか。

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(左  : デイヴィッド・ヘアウッド  / 中央 : エンジェル・コールビー  / 右 : 『マーリン』に出演したコールビー )

  「BBC One」は2008年から2012年にかけて『魔術師マーリン(Merlin)』を放送した。ところが、ここにも奇妙な配役があり、侍女からキャメロットの王妃になる「グウェン(グィネヴィア / Guinevere)」に問題があった。このキャラクターを演じたのは、これまた非白人のエンジェル・コールビー(Angel Coulby)という女優である。どうしてアーサー王伝説のドラマなのに、わざわざガイアナ(Guyana)系の南米人を採用したのか? ブリテンには実力と美貌を兼ね備えた女優が結構いるのに、どうして西歐系女優を斥けて、非西歐系の役者を用いたのか? ネーデルラントかアイルランドの白人女優じゃ駄目なのか?

  歴史ドラマの変質は他にも例がある。2012年から「BBC Two」が放送している連続ドラマ、『ホロウ・クラウン / 嘆きの王冠(The Hollow Crown)』は、リチャード2世、ヘンリー4世、ヘンリー5世、ヘンリー6世、リチャード3世の各時代を描いて話題となった。2016年に放送された「ヘンリー6世 / Part 1」では、フランス出身の王妃で知られるマーガレット・オブ・アンジュー(Margaret of Anjou)」が登場するんだけど、この役を、何と黒人女優のソフィー・オコネドー(Sophie Okonedo)が演じているのだ。こんなキャスティングを目にすれば、日本人でもビックリして「えぇぇぇ~ !!!」と悲鳴を上げてしまうだろう。だが、制作者の顔ぶれを眺めてみれば、「なるほどねぇ~」と納得できる。

Sophie Okonedo 991Margaret of Anjou 001Margaret of Anjou 003Sam Mendes 01








(左 : ソフィー・オコネドー  / 王妃に扮したオコネドー  /  「マーガレット・オブ・アンジュー」の肖像画  /  右 : サム・メンデス )

  このドラマを手掛けたのは、あの有名なサム・メンデス(Samuel Alexander Mendes)監督だ。彼の父親はポルトガル系のカトリック信徒であるが、母親はイングランドのユダヤ人。歐米社会に棲み着くユダヤ人には、ヨーロッパ人みたいな顔つきの人がいるけど、よくよく両親の素性を調べてみると、父方か母方のどちらかにユダヤ人がいたりする。肉体はヨーロッパ人てきでも、その精神はセム人という左翼がいるから、一般の視聴者は注意しなければならない。サム・メンデスは日本人にもよく知られており、007シリーズのヒット作『スカイフォール(Skyfall)』や『スペクター(Spectre)』の監督でもあった。さらに、メンデスは『タイタニック』で人気女優となったケイト・ウィンスレット(Kate Winslet)の元亭主。今は別の女性と再婚している。映画監督が女優に手を附けることは「よくあること」で、日本の映画界も同じだ。関根惠子(現 / 高橋惠子)と結婚した高橋伴明や、岩下志麻を娶った篠田正浩のような監督を思い出せば分かるだろう。

  『嘆きの王冠』よりも更に酷いのは、Netflixが世に送り出した『ブリジャートン(Bridgerton)』という時代劇だ。これはジュリア・クウィン(Julia Quinn)の小説を基にしたTVドラマで、時代設定は1813年のロンドンとなっている。名門貴族のブリジャートン家には八人の兄弟がいて、ドラマの中では各人の恋愛や私生活が描かれているんだけど、アメリカの白人視聴者は、物語の複雑な展開よりも、キャスティングの“多様性”の方に目が向いてしまうのだ。もう、偶然なのか意図的なのか判らないけど、とにかく役者の選択がおぞましい。

Adjoa Andoh 0022Adjoa Andoh 022Ruby Barker 4355Golda Rosheuvel 0021








(左 : アジョア・アンドゥー  / イギリス貴族に扮したアンドゥー /   ルビー・バーカー / 右 : ゴルダ・ロシューヴェル )

  例えば、「ダンベリー夫人(Lady Dubury)」役をアジョア・アンドゥー(Adjoa Andoh)が演じているし、「マリーナ・トンプソン(Marina Thompson)」役はルビー・バーカー(Ruby Barker)、「ヘイスティングス公爵サイモン・バセット(Duke of Hastings Simon Basset)」の役はレジィ・ジャン・ペイジ(Regè-Jean Page)、その恋人「ダフネ・バセット(Daphne Bassett)」役を演じるのは白人女優のフィービー・ディネヴァー(Phoebe Dynevor)である。曰く附きの「シャーロット王妃(Queen Charlotte)」は、黒人女優のゴルダ・ロシューヴェル(Golda Rosheuvel)が演じていた。脇役も人種的多様性に富んでおり、「ウィル・モンドリッチ」というボクサー役をマーティンズ・インハンベ(Martins Imhangbe)が演じ、「ジェネヴィエール・デラクロワ(Geneviere Delacroix)」役をキャサリン・ドライズデイル(Kathryn Drysdale)が演じているんだから、目眩がしてもおかしくはない。

Phoebe Dynevor 11222Rege Jean Page 212Martins Imhangbe 03Kathryn Drysdale 12







( 左 : フィービー・ディネヴァー / レジィ・ジャン・ペイジ  /  マーティンズ・インハンベ / 右 : キャサリン・ドライズデイル  )

  まともな神経を持つ日本人なら、『ブリジャートン』を観て呆れ返ってしまうけど、これを手掛けた制作者を調べてみれば、「まっ、しょうがないか !」と諦めがつく。何しろ、エグゼクティヴ・プロデューサーが、札附きの極左黒人、ションダ・ライムズ(Shonda Rhimes)なんだから。一応、彼女はヒット作の『Grey's Anatomy』や『Private Practice』、『Scandal』を手掛けた敏腕プロデューサーなんだけど、その精神は典型的なマルキスト黒人だ。ライムズは政治活動にも熱心で、下層国民に投票を呼びかけ、黒人を扇動して投票所に向かわせる政治団体、「When We All Vote」の要職に就いている。この団体を創設したのは、ホワイトハウスを去ったミッシェル・オバマで、支援者リストにはトム・ハンクス(Tom Hanks)のような左翼俳優がゾロゾロ名を連ねている。

Rege Jean Page 4554Shonda Rhimes 122Michelle Obama 632








(左 : ドラマで共演したレジィ・ジャン・ペイジとフィービー・ディネヴァー /  中央 : ションダ・ライムズ  / 右 :  ミッシェル・オバマ )

  後から協力者になった藝人も数多く、2020年の大統領選挙の時には、朝鮮系女優のサンドラ・オー(Sandra Oh)やユダヤ人コメディアンのラリー・デイヴィス(Larry Davis)、ヒップホップMCのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)などが駆けつけていた。『グレイズ・アナトミー』に出ていたサンドラ・オーは、ライムズに媚びていたのかも知れないが、こんなアジア人が「人気女優」なんて未だに信じられない。ハリウッドの制作陣やショウビズ評論家は、矢鱈とアジア系の俳優を持ち上げるが、支那系や朝鮮系の女優が本当に西歐人から評価されているのか? もし、彼女達が本当にビッグ・スターなら、日本でも写真集が発売されたり、化粧品会社のモデルに採用されるはずなんだけど、一向にそうした報道は聞いたことがない。昔、芳賀書店がファラー・フォセットやシェリル・ラッド、ナタリー・ドロン、ロミー・シュナイダーの写真集を発売していたけど、アジア系女優の写真集なんて滅多に無かったぞ。

Farrah Fawcett 111Sandra Oh 22Larry David 221Snoop Dogg 6621








(左 : ファラー・フォセット  /  サンドラ・オー  / ラリー・デイヴィス  / 右 : スヌープ・ドッグ )

Carolyn Hinds 022(左  / キャロリン・ヒンズ )
  「嘘」や「ゴリ押し」を嫌う日本人なら、英米の白人視聴者がどう評価しているのか知りたいだろう。しかし、人種論を敬遠するイギリス人やアメリカ人が本音を語ることはない。たとえ、彼らに意見を尋ねても、建前の感想述べるだけで、黒人から批判されそうな本音は決して口にしないのだ。一方、有色人種の評論家は『ブリジャートン』を高く評価している。例えば、映画評論家のキャロリン・ヒンズ(Carolyn Hinds)は、イギリス貴族を描いた時代劇に黒人役者を抜擢した事に大感激。(Carolyn Hinds, "Bridgerton Sees Race Through a Colorist Lens", Observer, 1 January 2021.) 普通の英国ドラマなら、黒人はチョイ役かセリフの少ない脇役程度だ。従来のTVドラマなら、物語の主人公や重要な登場人物は必ず白人で、黒人が主要キャラクターに採用されることは決して無かった。ましてや、巨額な予算をかけて制作されるメジャーなドラマとなれば、有色人種が脚光を浴びることはまず有り得ない。だから、ヒンズは『ブリジャートン』に感激し、毎回、番組を楽しんで観ていた。筆者は一般のアングロ・サクソン系視聴者、あるいはスコット系かアイリス系のブリテン人がどう思っていたのかを知りたい。

  日本の一般視聴者は『ブリジャートン』をNetflixで観ても、ちょっと不思議な海外ドラマとしか思わないが、こうした作品をたくさん観ているイギリス人は、知らず知らずのうちに多民族主義を植え付けられている。若い世代ほど有色移民に対する拒絶反応が少ないのは、幼い頃から多民族教育で調教されているからだ。確かに、物心つく頃から、学校に違った容姿の友達が居て、就職する年齢になれば、職場にインド人やアラブ人、黒人、支那人がウジャウジャ居るんだから、人種の違いに鈍感になっても当然である。イギリス人が主流だった1950年代の社会を知っている高齢者だけが、イングランドの変貌に驚愕し、異邦人の浸透に不満を募らせている。

  しかし、老人の余生は短く、大した権力も無いから、没落する祖国を黙って見守ることしかできない。70歳代や80歳代の高齢者は、幼い時に愛国心を発揮して戦場へ向かった大人達を覚えているから、イングランドの衰亡に心を痛めている。ブリテン軍の将兵は祖国を守るため、歐洲随一の軍隊を誇るドイツと闘い、やっとの思いで勝利を摑んだ。ところが、勝利の果実は意外と少なく、帰還した兵卒は貧乏くじを引いた気分であったという。国家総力戦で良質なイギリス人が死んで、不愉快な外国人が増えたんだから、生き残ったイギリス人は堪ったもんじゃない。疲弊した祖国には、ポーランドからの亡命軍人が残留し、穢らわしいユダヤ難民が押し寄せてきた。さらに、求めてもいないジャマイカ人やインド人も続々と入ってきたから、貧乏になったイギリス人がナチズムに共感を抱いても当然だ。実際、ブリテンには社会主義者が多いし、国家と民族を優先するナショナリストが多い。ナチ・ドイツは労働者を主体とした平等社会を目指したが、イングランドは依然として階級社会だから、どちらが白人労働者にとって理想郷なのか迷ってしまうだろう。

  第二次世界大戦の勝者たるブリテンとアメリカでは、異人種の流入で社会が分断されている。しかし、やがて日本でも似たような惨劇が起きるに違いない。もし、日本の時代劇で支那人や朝鮮人の役者が横行し、ベトナム人やフィリピン人の役者が戦国大名や剣豪を演じたら、日系日本人は本当に厭になる。織田信長を支那人が、豊臣秀吉を朝鮮人、徳川家康をベトナム人が演じたら、日系人の視聴者はどう思うのか? また、日露戦争を題材にした大河ドラマで、乃木大将や東郷元帥の役をフィリピン人やタイ人の俳優が演じたら、テレビに向かって石を投げつけたくなる。さすがに、明治天皇や昭和天皇の役にインド人やトルコ人の俳優を起用することはないだろうが、帰化支那人の子供か日鮮混血児の役者なら、NHKで抜擢される可能性はかなり高い。むしろ、積極的に採用されるんじゃないか。

  そう言えば、昭和32年に『明治天皇と日露戦争』という映画が制作されたけど、畏れ多い明治天皇の役には、嵐勘寿郎(あらし・かんじゅうろう / アラカン)が抜擢された。当時、誰も天皇陛下を演じたことがなかったから、大御所のアラカンも緊張して演じたらしい。アラカン本人と制作陣は冷や汗ものだったというが、現在の映画監督や配給会社には、こうした畏敬の念は無いだろう。ただし、いくら反日のNHKでも、明治天皇や昭和天皇の役にボビー・オロゴンとか河本準一を起用することはあるまい。たぶん、あと20年くらいは日系人が主体のドラマが続くと思うんだけど、希望的観測は外れることが多いよねぇ~。


  

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