無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

映画・ドラマ評論

「番外編」 気になる音楽動画のご紹介

    名曲をカヴァーする素人ミュージシャン

  今回はお正月の特別企画なので、従来の記事を期待する読者は、この回を飛ばしてください。通常記事は同日に掲載しているので、そちらを御覧いただけれは幸いです。

Gabriela Guncikova 001  プロのミュージシャンが流すMTVは既に誰もが知っているので、筆者が改めて紹介するまでもない。しかし、外国には素人なのに「プロ並」の実力を持つ素人がいる。そうした内の一人が、チェコ人のガブリエラ・グンチコヴァ(Gabriela Gnncikova)だ。彼女は元々アイドル発掘番組「Cesko Slovenska Super Star」出身で、その歌唱力が評価され、同番組の人気出場者になった。チェコで人気者となったガブリエラは、プロの道に進むことを選び、レコード会社の「Universal Music Group」と契約を交わすと、2011年にファースト・アルバム『Dvoji Tvar』を発売し、続いて2013年には、セカンド・アルバム『Celkem Jina』を発表した。個人的にはカヴァー曲の方が好きなんだけど、ガブリエラ自身はオリジナルの曲を熱心に歌っている。2016年には「Rock Meets Classical」に出演し、ホワイトスネークの「Here I Go Again」を熱唱したから、日本人でも知っている人がいるんじゃないか。ドイツのロック・バンド「゜ライマル・フィアー(Primal Fear)」のマット・シナーも出演していたから、日本のファンも知っているはずだ。

  今回紹介するのは、007の映画で主題歌となったアデル(Adele)の『スカイフォール』で、彼女は日本でも有名だ。筆者はアデルのライブを聴いてみたが、歌唱力ではガブリエラの方が「上」と思っている。もちろん、これは筆者の勝手な感想だから、反論する人も多いと思うが、声の張りや伸びの点を考慮すれば、断然ガブリエラの方が優れている。でも、大半の人にはオリジナルの方がいいよねぇ~。ただ、試しに聞き比べてほしいだけ。

  
 


  次に紹介するのは、往年の人気バンド「ハート (Heart)」が1970年代に発表した「バラクーダ(Barracuda)」のカヴァー。ガブリエラは、この名曲を見事に唄っているから、とても素人には思えない。やはり、プロになる素質があったのだろう。




  二番目に紹介するのは、キエフ出身のダリア・ザリツカヤ(Daria Zaritskaya)というウクライナ人女性。彼女の声は素晴らしく、歌唱力の点ではプロ並だ。彼女は仲良しバンドを伴い、スキッド・ローのヒット曲「Youth Gone Wild」をカヴァーしている。スキッド・ロー(Skid Row)は昔、4度くらい来日したことがあるから、彼らのライヴに駆けつけた人とっては懐かしい曲になるはずだ。とりわけ、ヴォーカルのセバスチャン・バック(Sebastian Bach)は金髪で長身のハンサム青年だったから、熱狂的な女性ファンが多かった。彼はソロになってからも、何度か来日していたから、根強いファンがいたのだろう。

 
 

 次は、ロシア人のマリーナ・アンドリエンコ(Marina Andrienko)という若い女性で、結構ギターが上手い。彼女はスラッシュ(Slash)のヒット曲「アナスタシア」を見事に弾いている。「アナスタシア」にはスラッシュが得意とするフレーズがちりばめられており、ギターを弾く人ならリフとソロの部分に注目するはずだ。アメリカ人やイギリス人は、こういった曲を作る才能がある。日本人ミュージシャンだと、ちょっと無理かも知れない。やはり、子供時代にアニメ・ソングを聴いて育ってしまうと、どうしてもその曲風が染みついてしまうからだ。幼少期にブルーズやロックを聴いて育った西歐人だと、軽快なロックン・ロールや味のあるブルーズを作ることができるから、日本人ミュージシャンは羨ましく思ってしまうことがある。
 
 

 マリーナがカヴァーするもう一つの曲は、英国の人気バンド「ミューズ(Muse)」の『Easily』だ。たぶん、日本でも「ミューズ」は結構知られているんじゃないか。ヴォーカル兼ギターリストのマシュー・ベラミー(Matthew James Bellamy)が作る曲は、独特の世界観を醸し出しており、聴く人によって好き嫌いがはっきりする。ちなみに、彼の父親は英国のバンド「トルネイドーズ(The Tolnados)」でギターを弾いていた。親子二代のミュージシャンは結構いて、スティング(Sting / Gordon M. T. Sumner)の息子ジョー・サムナー(Joe Sumner)は、「Fiction Plane」というバンドを組み、ベースを弾いている。筆者はYouTubeで『Two Sisters』という曲を聴いたことがあるけど、ジョーの歌を耳にして驚いた。親子だから当然なんだろうけど、スティングの声とそっくり。ラジオで聴いた人はスティングの新曲と間違うんじゃないか。世界中で絶大な人気を誇る「アイアン・メイデン」のリーダー、スティーヴ・ハリス(Steve Harris)にもローレン(Lauren Harris)という娘がいて、彼女もミュージシャンとなっている。オヤジの七光りという一面もあるが、一応独自のアルバムを出している。ただし、両者とも世界的に有名という訳じゃない。
 
 

 四番目はローラ・コックス(Laura Cox)というフランス人女性だ。筆者が彼女を初めて知ったのは、2008年くらいの頃で、当時はまだギターの腕がイマチイだった。素人だから仕方ないが、ギター・ソロの弾き方が未熟なので、微笑ましく思えるが、練習を重ねた結果、だいぶ上手くなった。それに従い、段々と動画の視聴者も急速に増えたようだ。たぶん、ユーチューブの再生回数が激増したから、プロになれたのかも知れない。彼女は自前のバンドを結成し、オリジナルの曲を作ってライヴ活動をしている。おそらく、ある程度の固定ファンが附いているのだろう。

  今回、ローラがカヴァーした曲は、『The Boy who wouldn't Hoe Corn』という昔からある有名なブルーグラスの古典的ナンバー。様々なミュージシャンが独自の編曲で唄っているから、アメリカでは多くの人が知っている。「ブルーグラス(Bluegrass)」というのは、日本人には馴染みの薄い音楽のジャンルで、我が国の市場ではほとんど人気が無い。でも、アメリカの南部や西部だと、開拓時代を偲ばせるメロディーということで、庶民の間で根強い人気を保っている。確かに、東京とか大阪、名古屋、神戸で聴くと「場違い」な気がするけど、米国のテネシー州やケンタッキー州、ミシシッピー州に赴き、現地のスコット・アイリス系白人と一緒に唄えば、中々乙なものである。例えば、キャンプファイアーの時、焚き火を囲んでみんなで合唱すれば結構楽しい。

Veerle Baetens 3( 左 / ヴェルル・バーテンス )
  ついでに言うと、この曲は『オーバー・ザ・ブルースカイ(The Broken  Circle Breakdown)』という映画の中で用いられ、主演女優のヴェルル・バーテンス(Veerle Baetens)が唄っている。日本ではベルギー人女優のバーテンスは無名に近いが、演技力は折り紙附きである。ヨーロッパの映画界では受賞経験もあるので、多少なりとも知られた存在である。彼女が演じた「エリーズ」は全身に刺青を彫った女性なんだけど、亭主と娘を持ってバンド活動をするというミュージシャン。この映画で印象的なのは、病気の娘を介護するエリーズの姿だ。こういうシーンを観ていると、目から熱い涙がこぼれ落ち、胸がギュと締めつけられる。映画の中で彼女が唄う『Wayfaring Stranger』は様々な歌手がカヴァーしているが、バーテンスが唄うヴァージョンは秀逸だ。こういった歌は日本人向きじゃなく、スローで退屈な曲に思われがちだけど、アメリカでは“クラッシック”となっているので、今でも人気が高い。


 
 
  ここからはプロのミュージシャンを紹介します。

  ドイツ人歌手の「ニーナ(Nena)」と言えば、1983年にヒットした『99Luftballons』を思い出す人も多いだろう。この曲は世界的にヒットし、日本でも小林克也の『ベスト・ヒットUSA』で取り上げられたことがある。1980年代、彼女のバンドはもう一つのヒット曲を発表しており、それが『Irgendwie, Irgendo, Irgendwann』という曲である。2002年頃、イギリス人歌手のキム・ワイルドがこれに目を附け、『Anyplace, Anywhere, Anytime』という題でカヴァーした。もちろん、キムはドイツ語じゃなく英語で唄っている。しかし、ニーナとデュエットする時は、ニーナがドイツ語で唄い、キムが英語で交代に唄うことになっていた。この曲は如何にも1980年代といった雰囲気で、もう30年以上も経つのか、と思えてくるから妙に感慨深い。

  

  リンダ・カーター(Lynda Carter)は改めて紹介するまでもなく、元祖ワンダー・ウーマン。1970年代、『ワンダー・ウーマン』は絶大な人気を博したTVドラマだが、この印象が強すぎたのか、リンダはこれ以降、特に目立った出演作は無い。脚本に恵まれなかったのか、どれもパっとしない映画やドラマばかりで、有名なのは『マペット・ショー』に出演したくらい。これといった映画のオファーも無かったので、彼女は音楽や美容の分野で活動していた。

  しばらくリンダの姿を見ていなかった日本人が、久しぶりに彼女の顔を目にしたのは、BBCI(Bank of Credit and Commerce International)のスキャンダルが起きた時だ。この「BCCI」は怪しい経営実態や外国での非合法活動を指摘され、その取引業務が取りだたされ裁判沙汰となった。この時、マスコミに現れたのが、ケネディー政権で補佐官を務め、ジョンソン政権で国防長官に就任したクラーク・クリフォード(Clark McAdams Clifford)だ。彼は「スーパー・ロイヤー(Super Lawyer)」の異名を持つ人物で、ジャクリーン・ケネディー夫人などは、「彼を財務長官にしたら大変ね」と茶化していたくらい。ちなみに、クリフォード長官の時に副長官をとつとめていたのが、後にレーガン政権で核戦略を担当するポール・ニッチェ(Paul Nitze)である。あまり知られていないけど、彼は終戦後来日し、胡散臭い近衛文麿を尋問したことがある。でも、更なる尋問をしようと予定していたら、近衛が突然「自殺」してしまったので頓挫した。ニッチェは近衛がどのように大東亜戦争に関与したのか突き止めようとしたが、結局解らずじまい。こんな事もあったから、周囲の者が近衛を抹殺したくなるなるのも分かる。大学の歴史学者は「自殺」と信じているが、筆者は近衛が「暗殺」されたと思っている。根拠はいずれ述べたい。

Lynda Carter 33Robert Altman 3Clark Clifford 1Paul Nitze 1








(左 : リンダ・カーター  / ロバート・アルトマン / クラーク・クリフォード / 右 : ポール・ニッチェ )

  話を戻す。どうしてBCCIの裁判にリンダが現れたかと言えば、クリフォードの相棒がロバート・アルトマン(Robert Altman)だったからだ。このアルトマンはユダヤ人で、共同事務所の辣腕弁護士。リンダは以前、芸能プロダクションの社長であるロン・サミュエルズ(Ron Samuels)と結婚していたが、1982年に離婚してしまった。その後、彼女はアルトマンと出逢い、再婚して二人の子供、息子のジェイムズと娘のジェシカをもうけた。BCCIはCIAと繋がっていると噂され、資金洗浄などの違法活動もさることながら、イラン・コントラ事件にも関与していたらしい。CIAは昵懇の民間企業を使ってゲリラ討伐や極秘作戦を実行するから、あながち根拠泣き推測とは思えないんじゃないか。

  それはともかく、リンダ・カーターが唄う『Stay With Me』はテンポが良く、ラスベガスで披露されるような歌謡曲だ。1970年代から80年代にかけて、このような歌番組は結構多くて、現在の我々が観るとアメリカのショウビズ界でどんな曲が好まれいたのかがよく判る。かつて、日本でも歌手を招いてライヴ演奏させるという番組があったから、懐かしい人も多いんじゃないか。
  



  つぎに紹介したいのは、キャット・パワー(Cat Power)だ。この「キャット・パワー」という名は、元々ショウン・マーシャル(Charlyn Marie “Chan” Marshall)の藝名で、後にバンド名にもなった。由来は彼女が駆け出しの頃に遡る。コンサートが始まる前、バンド・メンバーのマーク・ムーアが「名前が無いぞ。何かないのか?」と叫んだので、ショウンは近くにいた老人の帽子に目を附け、そこに書いてある「Cat Diesel Power's」という印字に興味を惹かれた。彼女はこの名称を自分の藝名にしたそうだ。何とも奇妙な藝名だが、元家出少女だから、多少感覚がおかしくても不思議じゃない。

  ショウン・マーシャルはハスキー・ヴォイスが売り物だ。彼女の曲を聞くと、「やはりニューヨークは独特な雰囲気をもつ大都会なんだなぁ~」と思えてくる。ここで紹介する『ニューヨーク(New York)』という曲は、2008年にリリースされたアルバム、『Jukebox』に収められたナンバーで、ブルーズとジャズが絶妙に混じり合った名曲である。米国のナイト・クラブに行くと、こういった曲を披露するミュージシャンは意外と多く、固定ファンも少なくない。ただ、日本の高校生や大学生にとったら、つまらなく退屈なだけだろう。たぶん、40歳代後半の日本人なら、多少理解できるんじゃないか。興味が無い人でも、彼女の曲を聴けば、アメリカ人がどのような音楽を好むのか解るだろう。(日本だと、「キッャト・パワー」はどれくらいの知名度なのか不明だ。 「AKB」というアイドル・グループが流行る時代なので、全くの無名という可能性もある。)

 

  最後に紹介したいのは、マッチボックス・トゥエンティー(Matchbox Twenty)で、ヴォーカルを担当するロブ・トーマス(Rob Thomas)は、カルロス・サンタナのバンドにゲスト参加して『Smooth』を唄っていたから、今だと彼を知っている日本人も多いだろう。ところが、『ディジーズ(Disease)』が発表された2002年頃は、日本での認知度は極端に低かった。当時、米軍放送局のラジオ「AFN(元のFEN)」でよく流れていたが、地上波の音楽番組ではあまり紹介されなかったんじゃないか。 でも、アメリカ本土では人気が高く、ロブ・トーマスは色々なバラエティー番組にも出ていた。令和の高校生や大学生は、どんな媒体で洋楽の情報を手に入れるのか、本当に謎である。インターネットを調べるといっても、何らかのサイトがあるはずで、筆者は時代遅れの日本人なので、音楽雑誌の『Burn』や『rockin' on』、『Player』、『Young Guitar』くらいしか知らない。20代の若者が何を読んで、どんなサイトで情報を集めているのか興味がある。

  とにかく、『Disease』はキャッチーな曲なので、既に知っている人もいるだろうが、初めて聴く人にも評価される曲だと思う。クルマを運転している時、ラジオからこの曲が流れると、つい一緒に唄いたくなるから、アメリカ人がマッチボックス・トゥエンティーを評価する気持ちは判る。でもまぁ、音楽の趣味は十人十色だから、「つまらない !」と却下する人もいれば、「結構いいじゃん !」と賛成する人もいるだろう。

  

  今回は筆者の身勝手な趣味のブログなので、「黒木、何やってんだよぉ」と不満を持つ人もいると思うが、筆者は本来ロック音楽が専門なので御免なさい。元々、当ブログは音楽と漫画をテーマに書くつもりで始めたから、こうした内容が本来の趣旨である。それが、ひょんな事から政治や歴史のブログになってしまった。本音を言えば、ハード・ロックを特集したかったのだが、あまりにもマニアックになってしまうので、普通の音楽動画を取り上げることにした。不評でなければ、また別の機会に紹介したい。最後に、つまらない紹介記事になってしまいましたが、お正月ということで、どうかご容赦ください。

 

ターミネーターが終焉を迎える時

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Terminator 12Tim Miller 1












(左 : 新作『ダーク・フェイト』に出演したシュワルツネッガーとハミルトン  /  右 : ティム・ミラーとジェイムズ・キャメロン)

  人気シリーズの『ターミネーター / ダーク・フェイト(Dark Fate)』が、いよいよ今年の11月に公開されるそうだ。今回で第6作目となる大ヒット映画ではあるが、制作・総指揮権が原作者のジェイムズ・キャメロンに戻ったことで、彼が不在だった第3作から第5作目までのターミネーターは“無かったこと”、すなわち“別物”にされるらしい。(筆者は各作品を劇場で観たけど、第五作目の『ジェネシス』が最悪だと思っている。米国でも「失敗作」と見なされており、事実、興行成績は悲惨なものだった。) 総指揮を執るキャメロン氏は、『デットプール』のティム・ミラー(Tim Miller)を監督に抜擢し、新たな展開を加えて第2作目の「続編」を作ったそうだ。しかも、この新作には、目玉となる“売り”があって、あの「サラ・コナー」が戻ってきた。「元キャメロン夫人」として知られるリンダ・ハミルトンと、知事を退いて俳優業に戻ってきたアーノルド・シュワルツネッガーの二人が出演を承諾したことで従来のファンは大喜び。

  しかし、他の出演者を見渡すと何となく陰鬱になる。アメリカ人の熱狂的なファンはおろか、日本人の贔屓筋でさえ、「えぇぇ~、なんでこんなキャスティングになるの~?」と訝(いぶか)しむ。アメリカや日本の一般人は映画を批評する際、銀幕に映し出される俳優ばかりに目を奪われてしまうが、本当は「誰が企画したのか」、つまり「どんな人物がエグゼクティヴ・プロデューサーと脚本家になったのか」、「どんな理由で監督を選び、どのような方針で制作されたのか」を調べるべきなのだ。台本を渡される役者なんか、所詮、口笛で命令される犬か、サーカスの猿にしか過ぎない。もし、我々が映画を鑑賞した時、「あれっ ! 何か変だ! おかしい !」と思ったら、制作陣が誰なのかをチェックすべきだ。

    巷の雑誌やテレビ番組では、配給会社に雇われた“独立”系評論家が、最新作のターミネーターを素晴らしいとベタ褒めするが、そんなのは提灯発言でしかない。本音を口にする奴は業界で生きて行けないから、どんなに下らない作品でも「最高 !」と親指を上に立てて、「感動しました」「もう一度観たい!」と白々しい嘘をつく。だいたい、映画会社からプレミア上映会に招待された連中が本当の事を言うのか? 彼らはどんなに退屈な駄作でも、感想を訊かれればゴマを擂(す)る。口が裂けても「“つまらない”から途中で寝てしまいました !」なんて言えまい。一方、アメリカだと気骨のある評論家が僅かながら残っているから、新聞の批評欄に投稿した記事の中で、「お金と時間を無駄にしたい人なら、この映画をどうぞ」と辛口の意見を述べたりする。しかし、日本の評論家じゃ無理だろう。

  脱線したので話を戻す。まず、新たなメイン・キャストとなったのは、映画『ブレードランナー2049』とTVドラマ・シリーズ『Halt and Catch Fire』で注目を浴びたマッケンジー・デイヴィス(Mackenzie Davis)だ。彼女は人間により近い「強化人間(Enhanced Human Being)」として現代に送られたサイボーグという役柄である。おそらく、シュワルツネッガー氏が高齢なので、新たな主役が必要なんだろう。もし、今回のリブート(再興)作品がヒットすれば、デイヴィスを主役とした続編のターミネーター・シリーズが作られるはずだ。

Mackenzie Davis 5Linda Hamilton 3Linda Hamilton 7












(左 : マッケンジー・デイヴィス  / 右 : 若い頃と現在のリンダ・ハミルトン )

  それにしても、月日の流れとは恐ろしいものである。リンダ・ハミルトンは『ターミネーター2』で怯える母親から勇敢な戦士に生まれ変わり、観客から絶大な人気を勝ち得たが、今では亀のようにシワが増え、孫が数人いても不思議じゃない「おばあちゃん」になってしまった。1992年以降、目立った出演映画と言えば『ダンテズ・ピーク』くらいで、後は冴えない作品ばかり。TVドラマに出演してもチョイ役ていどで、話題になったことがない。彼女はTV映画の『Sex & Mrs. X』でジャクリーン・ビセット(Jaqueline Bisset)と共演したが、日本ではBSですら放映せず、存在さえ認知されぬ作品であった。よって、久しぶりに彼女を目にした日本のファンは、「えっ、あれがサラ・コナーを演じた同じ役者なのか!!」と驚く。かつて、『T-2』でクール・ビューティーの戦士を演じた女優が、今じゃ年金受給で暮らす前期高齢者みたいなんだから、「そんな・・・・」と嘆きたくなるじゃないか。しかし、映画の中では元気溌溂。機関銃やバズーカ砲をぶっ放して、往年のサラ・コナーを演じている。

Natalia Reyes 1(左  /  ナタリア・レイズ)
  新作『ダーク・フェイト』で「何でなの?」と疑問に思うのは、ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)に代わって登場する「ダニエラ・ラモス」というヒスパニックの少女だ。今回は彼女がキー・パーソンとなり、新たな殺人マシーである「Rev-9」に狙われる少女となっている。まだ作品が公開されていないので何とも言えないが、段々と舞台が南米へと移り、役者にもヒスパニックが増えてきたから、「ターミネーターも時代の波には勝てないのか・・・」と溜息が出てくる。今回、「ダニエラ」に抜擢されたのは、「ナタリア・レイズ(Natalia Reyes)」というコロンビア人で、まだ「これ」と言った代表作は無い。まぁ、最近のハリウッドではヒスパニック系の観客数を見込んでいるのか、矢鱈と南米系の役者を用いている。確かに、エドワード・ファーロングも母方の血筋がメキシコ系なので、数パーセントはヒスパニックなんだろうけど、ロシア人の血が濃厚だから、『T-2』ではヨーロッパ系の白人少年のように見える。それに、当時、「何となくリンダ・ハミルトンと似ている顔つき」と言われたので、彼女の息子役に適していた。ところが、ナタリアだとメキシコ移民の娘みたいで、どちらかと言えば、テキサスかアリゾナでよく見かける、不法入国者の子供といった感じである。

  今回の新作で最も落胆するのは、新たなターミネーターである「Rev-9」を演じたガブリエル・ルナ(Gabriel Luna)だ。彼はメキシコ系アメリカ人で、以前の映画では大した役をもらえなかったが、TVドラマの『Agent of S.H.I.E.L.D.』に出演し、「ゴースト・ライダー」のロビー・レイズを演じて有名になった。『ダーク・フェイト』に登場す「Rev-9」には目新しい特徴は無く、強いて言えば機械の体が二つに分裂し、容赦なく標的を攻撃するといった程度。要するに、『T-2』でロバート・パトリック(Robert Patrick)が演じた「T-1000」の焼き直しに過ぎない。総指揮を執るキャメロンは、新鮮な俳優を抜擢したつもりなんだろうが、スクリーニ映るガブリエルを眺めていると、まるでハードウェア・ショップで大工用具を売っている店員か、自動車の修理工を見ている気分になる。

Gabriel Luna 1Gabriel Luna 3Robert Patrick 3Lee Byung-hun 3











(左 : 「Rev-9」を演じたガブリエル・ルナ  /  中央 : ロバート・パトリック  /  右 : イ・ビョンホン )

  ルナは冷酷な殺人マシーンを必死で演じているんだけど、彼の顔つきにはロバート・パトリックのような“クールさ”と“鋭さ”が無い。生まれつきの容姿だから仕方ないんだけど、やはり西歐系の俳優じゃないから、映画の中でトラックを運転すると、どうしても建設作業員か宅配業者にしか見えない。つまり、役者としてのオーラが無く、殺人鬼を演じていても、どこかしら滑稽で、ゾクゾクするような恐怖心が湧いてこないのだ。もし、オーストリア人やスウェーデン人の俳優を使っていれば、もっとマシなターミネーターになっていたかも知れない。だが、メキシコ人を使ってしまったから、明らかなミスキャスト。作品の質を考えない愚策である。そういえば、『ターミネーター / ジェネシス』では、南鮮人男優のイ・ビョンホン(李炳憲 / Lee Byung-hun)が殺人マシーンを演じていた。この第五作目を観た日本人なら分かると思うけど、朝鮮人のターミネーターなんて志村けんのコントに出てくる忍者と同じで、映画を台無しにする冗談でしかない。シリアスな場面なのに、李が出てくるとなぜか大爆笑。これなら高田純次の「ブラック・デビル」の方が、よっぽどマシである。

多民族主義のユダヤ人が制作陣の中に・・・・

  それにしても、なぜ『ダーク・フェイト』は“PC(政治的に正しい)”ドラマとなってしまったのか? もちろん、総責任者のジェイムズ・キャメロンが興行収入を優先させ、フェミニストにも媚びたせいなんだけど、彼の協力者や制作陣にユダヤ系の業界人が紛れ込んでいるからだ。例外として、キャメロンの側近に脚本家のチャールズ・エグリー(Charles Eglee)がいるのは理解できる。彼はキャメロンと一緒に人気ドラマ『ダーク・エンジェル』を創作した仲間だから、ターミネーター・シリーズで再びタッグを組んでもおかしくはない。ちなみに、彼は有名プロデューサーで、過去には刑事ドラマの『The Shields』、大ヒットしたクライム・サスペンスの『(Dexter)』、日本でも評判になった『ウォーキング・デッド(The Walking Dead)』、そして懐かしのTVドラマ・シリーズ『こちら、ブルームーン探偵社(Moonlighting)』をも手掛けている。このドラマは日本でも放送され、若きブルース・ウィルスとシビル・シェパードが出ていた。(ゴミ収集員から出世したブルースには、まだ髪の毛があって初々しかった。一方、美人女優を看板にしていたシビルの顔には、まだ深い「シワ」は無く、入念な撮影技術で隠すことが出来たのを覚えている。)

  ハリウッドには当初からユダヤ人が蝟集しているので、今さら『ダーク・フェイト』制作陣の中にユダヤ人を発見しても驚くには値しないが、やはり気になる。例えば、脚本に参加したデイヴィッド・S・ゴイヤー(David Samuel Goyer)だ。彼はミシガン生まれのユダヤ人だが、彼が10歳の時、両親が離婚してしまい、シングル・マザーとなった母親は子供達を連れてイスラエルへと移住した。数ヶ月間だったが、現地のヘブライ語学校に通ったデイヴィッドは、「俺はユダヤ人なんだ」という自己識別(アイデンティティー)を持ったらしい。(Michael Aushenker, 'Man of Action', The Jewish Journal, March 28, 2002.)  米国に戻ったデイヴィッドは南カルフォルニア大学に通い、在学中にもかかわらず脚本家としてデビューできた。ジャン=クロード・ヴァン・ダムの映画『ブルージーンズ・コップ(Death Warrant)』を制作したというから実にラッキーだ。

  デイヴィッドの周辺には、それほど多くのユダヤ人は存在しなかったが、それでもアメリカ社会の反ユダヤ主義には敏感だった。ヴァン・ダムの映画を撮影していた時のこと。あるエキストラ役の男が、「お前、ユダヤ人なのか?」と尋ねたので、デイヴィッドは素直に「そうさ」と答えた。すると、このエキストラは「ああ、そんな臭いがするよなぁ~」と馬鹿にしたので、激怒したデイヴッドはそいつの顔面にパンチを加えたという。こうした苦い体験を幾つか味わったからなのか、デイヴィッドは迫害や社会正義に関心があるそうだ。なるほど、歐米諸国に住み着くユダヤ人は、小さい頃から様々な嫌がらせに遭うことが多い。だから、彼らが映画業界に就職すると、意図的にイジメっ子だった西歐系の白人男性を悪党やゴロツキに描いたりする。たとえ“意図的”じゃなくても、無意識的に卑劣で傲慢なキャラクターをあてがったりするから、西歐系アメリカ人の中には「何だ、あのユダ公め ! あいつらに都合のいい映画ばかり作りやがって。ここはお前らの国じゃないんだぞ!」と憤慨する者も少なくない。

Charles Eglee 1David Goyer 1Billy Ray 2David Ellison 3










(左 : チャールズ・エグリー  / デイヴィッド・ゴイヤー  / ビリー・レイ  /  右 : デイヴィッド・エリソン)

  別の脚本家であるビリー・レイ(Billy Ray)も、これまたユダヤ人ときている。彼は大ヒット映画シリーズの『ハンガー・ゲーム』や、トミー・リー・ジョーンズが出演した『ヴォルケーノ(Volcano)』を手掛けている。でも、注目すべきは、プロデューサーのデイヴィッド・エリソン(David Ellison)だ。何と、彼は有名企業「オラクル社(Oracle Corporation)」の共同創設者(後のCEO / 会長)ラリー・エリソン(Lawrence Joseph Ellison)の御子息だ。大富豪のお坊ちゃまたるデイヴィッドには、破格の幸運が矢鱈と舞い込んできた。彼が手掛けた作品を並べると、本当に羨ましくなる。例えば、トム・クルーズ主演のヒット映画『ミッション・インポシブル / ローグ・ネイション』に加わると、続けて同シリーズの『ゴースト・プロトコール』や『フォールアウト』を担当した。また、トムが出演した別のヒット・シリーズ『ジャック・リーチャー(Jack Reacher)』もデイヴィッドの参加作品である。(彼は『トップ・ガン』の続編、『Top Gun: Maverick』のプロデューサーも務めているそうだ。)

Josh Friedman 3(左  /  ジョシュ・フリードマン)
  デイヴィッドが手掛けたヒット作は他にもあって、クリス・パインが出演したスタートレック・シリーズ『Star Treck Beyond』、トム・クランシー原作の「ジャック・ライアン」から派生したスピン・オフ映画『Jack Ryan : Shadow Recruit』、G.I.ジョー・シリーズの続編『G.I. Joe : Retaliation』などが挙げられる。まだ若いのに、駆け出しの頃からデイヴィッドにはチャンスが訪れていた。やはり、有力者の御曹司だと下積みの「新米」じゃなくて、周りからチヤホヤされる「サラブレッド」という扱いなのか? いいなぁ、お金持ちのユダヤ人って。

  今ひとつ素性が分からないのは、脚本家のジョシュ・フリードマン(Josh Friedman)である。たぶん、ユダヤ系なのかも知れないが、血筋を示す証拠が無いから筆者には断定できない。ただ、彼も業界では有名な制作者で、スティーブン・スピルバーグが企画し、トム・クルーズが主演した『War of the World』の脚本を手掛けている。ジョッシュはまた、TV版ターミーネーターのスピンオフ作品『サラ・コナー・クロニクル』でエグゼクティヴ・プロデューサーを務めていた。したがって、彼が『ダーク・フェイト』に参加したのは当然の人事なんだろう。

白人の主役が多すぎる !

  ハリヴッドには桃色リベラルから深紅の極左まで色とりどり揃っている。ジェイムズ・キャメロンが多民族主義に染まっていても不思議じゃない。とりわけ、世界市場を見据えた興行収入を考えれば、「ちょいとヒスパニックやアフリカ系の役者を増やし、ついでに女を主人公にした方がいいのかなぁ~」と考えてもおかしくない。そうじゃなくても、アメリカ国内には人種平等を声高に叫ぶ団体もいるから、なるべく「人種的多様性(racial diversity)」を強調した「優等生作品」にして、うるさい連中を黙らせた方が得策だ。例えば、カルフォルニア大学(UCLA)には、映像作品における人種問題を取り上げる研究グループがある。主要執筆者のダーネル・ハント(Dr. Darnell Hunt)やアナ=クリスチーナ・ラモン(Dr. Ana-Christina Ramón)は目尻を吊り上げ、「もっと有色人種の役者を増やせ ! どうしてアフリカ系やアジア系の主役を増やさないんだ ! 人種構成に偏りがあるから、誠にけしからん ! 白人役者を優先するレイシズム的映画だ !」と喧(やかま)しい。

Darnell Hunt 1Ana Christiana Ramon 1Amberia Sargent 1Debanjan Roychoudhury










(左 : ダーネル・ハント  / アナ=クリスチーナ・ラモン  / アムベリア・サージェント  /  右 : デバンジャン・ロイチョウドハリー)

  UCLAにのざる極左連中は、映画界やTVドラマ、報道局といった様々な部門における人種構成を調査し、『ハリウッド人種多様性報告』というレポートを公表した。例えば、2011~2016年に制作された映画を見てみると白人の主役が圧倒的に多く、エスニック・マイノリティー(要するにアメリカの「有色人種」)が異常に少ないという。

  具体的に言うと、白人の主役は2011年だと89.5%で、2016年になると少し減って86.1%となっている。一方、マイノリティーの主役は2011年に10.5%しかなく、その後ほんの僅かだけ増えて、2016年には13.9%になったそうだ。(Darnell Hunt, Ana-Christina Ramón, Michael Tran, Amberia Sargent and Debanjan Roychoudhury, Hollywood Diversity Report 2018 : Five Years of Progress and Missed Opportunities' , UCLA College Social Sciences, p. 14.) TVドラマ部門も似たり寄ったりで、白人の主役の方が多い。

  白人  2011年  85.3%  →→→   2016年  79.8%
  黒人  2011年  14.7%  →→→   2016年  20.2%

  こうした報告書は学術的な体裁を取っているが、その根底には人種憎悪が潜んでおり、ヨーロッパ系白人への嫉妬心が動機となっている。共同執筆者のアムベリア・サージェントやデバンジャン・ロイチョウドハリーを見れば判る通り、アメリカの支流民族に属さない者が不満をぶちまけているのだ。彼らは歐米の白人が持つ“自然な感情”や“本能的な同胞愛”を憎み、倫理・道徳や人権思想を以て精神改造に取り組もうとする。また、彼らの背後には、西歐人を心から憎むユダヤ人が控えているので鬼に金棒だ。「人種差別主義者」とか「白人至上主義者」というレッテルは、西歐系アメリカ人を黙らせ、隷属状態に突き落とすための印籠である。彼らは幼い頃から「白人を美しいと思ってはいけません !」とか、「黒人や茶色い肌の外国人を嫌ってはならない !」、「人種により容姿は違えど、本質的に人間はみんな平等です !」と暗示を掛けられている。だから、アメリカの白い子供達は小学生でも自己検閲をするよう調教されているのだ。もし、級友の中で「ゲルマン人あるいはアーリア人、アングロ・サクソン人と呼ばれる我々の祖先は偉大で美しい」と述べる者がいると、大抵の若者は「ネオ・ナチ供め !」と嫌ってしまうのだ。彼らは自分たちの拒絶反応が心理戦による大衆操作だとは思わない。

  多文化主義や人種的多様性が「主流」となったアメリカでは、黒人の「妬み」や「罵倒」「憎悪」「侮蔑」が正当化され、公の場でも承認される「呪い」となっている。白人が黒人を批判すると「レイシスト」になるが、黒人やヒスパニックとユダヤ人は、どんなに白人を責めても批判されることはない。特に、黒人の不満は「当然」と見なされている。例えば、日本でも有名な黒人男優のデンゼル・ワシントン(Denzel Washington)は、外国の観客に対して不満を述べていた。彼は次のように言う。

  私は国際市場での観客はレイシストだと思っている。一般的に、アフリカ系アメリカ人が主役を務めた作品だと、外国での興行収益は良くない。・・・しかし、ソニー・ピクチャーズは時々、国際市場での興行成績を度外視して、リスクを取ってくれるんだ。とりわけ、中規模予算の映画だとね・・・。(Roberto Pedace, 'International audiences may explain why Hollywood has a diversity problem', Business Insider, December 10, 2017.)

  なるほど、デンゼル・ワシントンの愚痴は理解できる。だが、ヨーロッパや日本の劇場だと黒人が主役では盛り上がらない。やはり、映画の主役というのは、「スター」のオーラを放ち、皆が憧れるような二枚目男優とか、可憐でセクシーな美人女優でなきゃ。高名なアルフレッド・ヒッチコック監督が言っていたけど、映画を成功させるには、先ずキャスティングに配慮せねばならない、と。つまり、ジェイムズ・スチュアートやグレイス・ケリー、ティピ・ヘドレン、ショーン・コネリーのような役者を主役に据えないと「ダメ」ということだ。

Denzel Washington 1James Stewart 2Grace Kelly 1Tippi Hedren 2









(左 : デンゼル・ワシントン  / ジェイムズ・スチュアート  /  グレイス・ケリー / 右 : ティピ・ヘドレン )

    「ビジネス・インサイダー」の記事にもあったけど、2014年に公開されたロマンティック・コメディー『魔法の恋愛書(Think Like a Man)』は、全米で9,150万ドルを稼いだが、外国ではたったの450万ドルにしかならなかった。何しろ、主役級の俳優がマイケル・イーリー(Michael Ealy)、レジーナ・ホール(Regina Hall)、ジェリー・フェラーラ(Jerry Ferrara)、ケヴィン・ハート(Kevin Hart)、テレンス・ジェンキンズ(Terrence Jenkins)、ロマニー・マルコ(Romany Malco)、ミーガン・グッド(Meagan Good)といった有色人種なんだから、大ヒットや話題作になるはずがない。2011年に上映された『ヘルプ~心がつなぐストーリー~(The Help)』も同様で、歐洲や日本といった外国市場では不評だった。ただし、この作品はアカデミー賞のドラマ部門を獲得し、国内市場で1億6,970万ドルを稼ぎ出している。それでも、海外市場では4,690万ドルの興行成績だったから、やはり失敗作と言っていい。

Michael Ealy 1Regina Hall 2Kevin Hart 1Meagan Good 2










(左 : マイケル・イーリー  / レジーナ・ホール  /  ケヴィン・ハート  / 右 : ミーガン・グッド )

      確かに、『ヘルプ』は主役にエマ・ワトソン(Emma Stone)やジェシカ・チャスティン(Jessica Chastain)といった白人女優を起用したが、彼女達に与えられた役柄は軽率で間抜けな白人娘でしかなく、“賢い”黒人メイドからアドバイスをもらうという設定だった。何とも現実離れしたキャラクター設定だが、こうした「立派な召使い」役には、黒人女優のヴィオラ・デイヴィス(Viola Davis)とオクタヴィア・スペンサー(Octavia Spencer)が抜擢されていた。要するに、この作品は「黒人の方が白人なんかより、よっぽど賢明なんだぞ」と諭す“教育映画”という訳だ。

Emma Watson 2Jessica Chastain 1Viola Davis 1Octavia Spencer 1










(左 : エマ・ワトソン  /  ジェシカ・チャスティン / ヴィオラ・デイヴィス  / 右 : オクタヴィア・スペンサー )

  「ターミネーター」シリーズは世界的にヒットした作品だから、今度の新作も話題となるに違いない。しかし、秀作だった『T-2』のファンからしてみれば、劣化したフランチャイズ映画に見えてしまう。だいたい、南米人や女性を登用すれば、マイノリティーの観客が増えるんじゃないか、と計算する根性が意地汚い。とはいえ、アメリカのヒスパニック国民は単細胞だから、おそらく「やったぁ~、俺達の仲間が増えたぞ !」と大はしゃぎするんだろうねぇ~。情けないけど、彼らはキャメロン達に馬鹿にされているとは気づかない。ヒスパニックやアジア人は絢爛豪華なCG映像を拝見するだけで満足する。彼らはスーパー・ヒーローによるど派手なアクションシーンだけ関心を示す。微妙な人間関係とか、複雑な脚本だとソッポを向く。だから、札束の数を最優先にする映画会社にとって、作品のクウォリティーなどは二の次、三の次、付け足し程度。会社の重役どもは、観客動員数と海外市場での成功しか眼中にないのだ。

  配給会社にとって、紙幣と観客の外見はどんな色でもいい。お札が緑でも、人間が茶色でも、銭はゼニだ。もし、黒人やヒスパニックが「もっと有色人種の役者を増やせ !」と要求するなら、適当に黒い男優や茶色い女優を増やしてやればいい。日本人でも、アメリカのTVドラマを見れば直ぐ判るはずだ。例えば、『ブラインドスポット』や『NCIS』、『ブラックリスト』、『クリミナル・マインド』のレギュラー出演者の中には、「無理やり押し込んだ」としか思えない役者がおり、白人だけで固めず、必ず黒人やヒスパニック、あるいは白人のように見えるユダヤ人を混ぜている。特に『ブラインドスポット』はリベラル思想が強烈に盛り込まれている。例えば、頭にスカーフを巻いたペルシア系の脇役や同性愛者のコンピューター技術者などだ。

  多民族主義者は烈火の如く怒るけど、ハリウッドのユダヤ人プロデューサーや左翼監督は、なぜか知らぬが、支那人男優とアフリカ人女優を主役にした恋愛映画を制作しない。 と言うより、作りたがらない。もし、リベラル派のユダヤ人制作者が、そんなに「平等主義」とか「社会正義」を標榜するなら、CBSやABCのドラマ担当者と交渉し、マイノリティー俳優を増やしてもらえばいいじゃないか。彼らはグァテマラ人やイラク人、マレー人、レバノン人、ギニア人の役者を集めて、『フレンズ』みたいなTVドラマを作るべきだ。人種の坩堝(るつぼ)たるニューヨークを舞台にしたラブ・コメなら、東部地域に住む有色人種が大勢観てくれるだろう。(ただし、白人の視聴者は馬鹿らしいので観ない。日本のスカパーやWOWOWだって不評と判っているから購入しないはずだ。)

Jews & Arabs 1Jews & Arabs 5










(左 : パレスチナ人女性に噛みつくユダヤ人男性  /  右 : パレスチナ人男性を威嚇するイスラエル軍のユダヤ兵)

     もし、三大ネットワークやケーブルTV局が断るなら、ユダヤ人の脚本家が同胞の大富豪から資金を集め、独自の民族融合ドラマを作るべきなんじゃないか。例えば、アフラブ人男性とユダヤ人女性の恋愛ドラマを作り、民族や宗教を基にした両家族の“諍い”や“苦悩”を描いたら話題になるぞ。さらに、主人公をリベラル思想の世俗的ユダヤ人女性に設定し、彼女の父親をイスラム教嫌いのユダヤ人にすれば、もっと面白い。何しろ、中東アジア系の家族が口にする罵倒や侮辱は凄まじいからねぇ~。強烈なのは、ユダヤ人の恋人役を黒人男性にすることだ。そうすれば、ユダヤ人の人種差別が浮き彫りになって興味を引く。特に、ユダヤ人の母親だと愚かな娘に向かって、「どうして動物(黒人)と結婚するの ! 私は黒い孫なんて見たくはないわ !」と喚くから、とても生々しく、リアルな作品となるだろう。日本人は「こんなドラマ本当に作れるの?」と不安に思うが、こうした台本を書くことはユダヤ人にとって難しくない。なぜなら、両親や親戚の会話を思い出せばいいからだ。

Tariq Modood 1Varun Uberoi 1(左 : タリク・マドゥード  / 右 : ヴァルン・ウベロイ )
     アメリカのTVドラマは多文化主義を唱える知識人、タリク・マドゥード(Tariq Modood)やヴァルン・ウベロイ(Varun Uberoi)が喜びそうなシーンが満載で、「包括的ブリテン人らしさ(Inclusive Britishness)」に等しい「あらゆる人種を含めたアメリカらしさ」なるメッセージが、ふんだんに盛り込まれている。現在のブリテンやアメリカでは、主流民族たるアングロ・サクソン人の活動領域が徐々に狭められていのに、彼らは異質な民族を排斥できず、むしろ「受け容れよ !」と強要されているのだ。祖先が築いた「ホームランド(故郷=祖国)」なのに、「自分の国」と言えないんだから、日本人から見ても哀れである。映画の中で、アーノルド・シュワルツネッガー扮する「T-800」は、ジョン・コナーを抹殺する任務を帯びていたが、制作の総指揮を執るジェームズ・キャメロンは、アングロ・サクソン人の天下を撲滅しようと図っている。アメリカの未来はターミネイターが支配するデストピアじゃなくて、西歐系白人が駆逐されたユートピアなのかも知れないぞ。
  



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