無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

テロリズム

「赤ん坊の丸焼き!」だって? / パレスチナ戦争の火種は国内に

熾烈なプロパガンダ合戦

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(左 :  言論弾圧を命じるネタニヤフ首相 /  右 : 「煽動罪」容疑で逮捕されたイスラエル国民のダラル・アブ・アムネー)

  パレスチナとイスラエルの紛争が勃発して以来、ヨーロッパやアメリカの主流メディアは中東アジア情勢に釘付けだ。正常な日本人だと「ウクライナ支援はどうなったのか?」と首を傾げたくなるが、ユダヤ人の“カネ”に牛耳られている歐米人だと、政治家も庶民も、ガザ地区での流血騒ぎに躍起となる。

  しかし、ちょっと冷静に考えてみれば、この光景はかなり異常だ。どうしてヨーロッパ人やアメリカ人が、遠く離れた中東アジアの紛争にのめり込み、国内で民族対立に巻き込まれているのか? 地理に疎いアメリカ人でも、連日連夜、イスラエル情勢を伝える報道番組を観ているけど、地球儀でイスラエルが何処にあるのかさえ指すことができない人が多い。毎度のことだけど、イラクやアフガニスタンで戦争が起きた時も同じで、イラクとイランの位置が判らぬ人が少なくなかった。

John Sununu 001(左  /  ジョン・スヌヌ)
  そう言えば、オイル・ビジネスで稼いでいたジョージ・H・W・ブッシュが大統領になった時、ホワイトハウスのミーティングでサウジ・アラビアとイラクの問題が話し合われたことがある。1990年、サダム・フセインがラジオ演説で、「メッカと預言者の墓を占領から守れ」と述べたので、大統領の側近達は様々な軍事オプションを討論していたそうだ。ところが、首席補佐官のジョン・スヌヌ(John H. Sununu)は唖然とする質問を口にした。彼は地理に疎かったのか、唐突に「メッカって何処にあるんだ?」と尋ねたらしい。(Geoff Simons, Saudi Arabia : The Shape of a Client Feudalism, London : Macmillan Press, 1998, p. 269.)

  日本の帝国海軍に殺されかけたブッシュは、戦後、オイル・ビジネスで生計を立てるべく、テキサス州で「ザパタ石油(Zapata Petroleum Corporation)」を創設した。息子のジョージ・ウォーカーも石油商人で、このドラ息子は「アルブスト・エナジー(Arbusto Energy)」という石油の輸出会社を創っていた。彼の会社は後に「Spectrum 7」という会社に吸収されたという。商人上がりの大統領たるハーバト・ブッシュにしたら、スヌヌ補佐官の質問はあまりにも初歩的で、「えっ! 知らないのか?」と意表を突く質問であったはずだ。(信じられないけど、大学生でも世界地図に疎い者が多く、ビックリするようなエピソードがたくさんある。地理に関する話は別の機会で述べてみたい。)

  話を戻す。西歐人や米国人というのは、高学歴で賢そうに見えても、根本的なところは愚かなようで、自ら進んで不幸を招いている。リベラル思想なんかはゴミ箱に棄てればいいのに、「寛容」とか「多様性」といった言葉に酔ったアメリカ人は、昔から異質なユダヤ移民を受け容れてきた。しかも、前世紀末からは大量のイスラム教徒やアラブ人を受け容れてしまったから、もうアメリカ社会は滅茶苦茶だ。ロンドンやパリでもヨーロッパ的風景は失われ、猥雑なカイロやイスタンブールみたいになってしまった。ユダヤ人が群がる「ジューヨーク(Jewish New York)」にも時代の変化が現れ、支那人や南米人のみならず、アラブ系の住民までが増えてしまった。

  こんな状況になれば、親イスラエルのユダヤ・メディアと反シオニズムのアラブ・メディアが衝突するのも当然だ。案の定、歐米のマスメディアは両陣営の宣伝合戦となっている。いつもの通り、ユダヤ人の金貨に魅せられた主流メディアは、テロ集団のハマスによる悪逆非道を報じている。CNNやABC、NBCのキャスターは、高額な報酬と引き換えに、重役や株主の下僕か九官鳥になっているのか、しきりにイスラエルの安全を脅かすパレスチナを咎めていた。

「赤ん坊殺し」の衝撃

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(左 : 惨殺された遺体を運び出すイスラエル軍の兵隊   /  右 : ハマスによって放火されたキブツの家屋 )

  今や、アメリカのメディアからは反ロシアの報道は何処かに消えてしまい、今度は反パレスチナの報道でお祭り騒ぎだ。事件の真相は未だに明らかではないが、歐米では「」ハマスのテロリストによるユダヤ人の虐殺」というニュースがあった。10月の奇襲作戦が実行された時、ハマスの一部隊はクファ・アザ(Kfar Aza)のキブツ(kibbutz / ユダヤ人の共産主義的な農村)を襲撃し、赤ん坊や幼児の首を刎ねた、というのだ。

Asher Moskowitz 2(左  /  アシャー・モスコヴッツ)
  しかも、惨殺した赤ん坊の死体を家のオーブンで焼いた、というから凄い。医療や救助活動を目的とするボランティア組織、「連合ハッツァラー(Hatzalah)」で働くアシャー・モスコヴッツ(Asher Moskowitz)によれば、ハマスに襲われた赤ん坊は“生きたまま”オーブンで焼かれた、というのだ。彼の証言によれば、遺体袋に収められた赤ん坊の体は高熱で焼かれたせいか、黒くなった肉が膨れ上がっていたという。 (Chris Jewers, ‘Hamas killers 'roasted babies in an oven' during October 7 terror attack, Israeli first responder claims,’Daily Mail, 2 November 2023.) 

  「連合ハッツァラー」の創設者であるエリ・ビアー(Eli Beer)氏も似たような証言を述べており、ハマスの連中が赤ん坊を竈(かま)の中に入れて焼いてしまった、と語っている。彼とそのボランティア仲間は、数時間後に黒焦げとなった幼児を発見したそうだ。モスコヴィッツやビアーの証言は直接的な目撃に基づく話じゃないから信憑性に欠ける部分がある。本当に、襲撃部隊が生きたまま赤ん坊を竈の中に入れたのかどうかは、実際にハマスのメンバーが逮捕されないと判らない。
                                  
   これまた信じがたいが、ハマスのテロ部隊は幼児ばかりじゃなく、妊婦も襲ったそうで、この殺人鬼集団は、まだ生まれぬ胎児を虐殺したという。NGOの「Zaka」で救護活動を取り仕切るヨシ・ランダウ(Yossi Landau)によると、ハマスのテロリストは妊婦の腹を割いて胎児を抉り出したそうだ。臍(ヘソ)の緒が附いたままの胎児を取り出し、ナイフで刺すなんて人間のすることじゃない。救護隊は床に横たわっている妊婦を発見したというが、この母親は頭部を銃で撃たれていたそうだ。Rachael Bunyan, 'Israel releases images of babies murdered and burned by Hamas as 'verified photos' of others beheaded by terrorists are 'confirmed' by local media and rescue team reveals pregnant woman 'had child sliced from her womb', Daily Mail, 12 October 2023.)


Yossi Landau 2
(左  /  ヨシ・ランダウ)
 ランダウ氏と彼の仲間は、近所でも虐殺事件を目にしたそうで、両手を後ろで縛られている夫婦を発見した。酷いことに、この夫婦の側には両手を背後で縛られた二人の幼児もいたそうで、この家族は全員焼き殺されていたという。殺害された母親は子供を抱きかかえるようにして死んでいたというから、本当に悲しくなる。被害者達は焼かれる前に銃で撃ち殺されていたから、死体を焼いたのは復讐か侮蔑のどちらかだろう。

  ランダウ氏は他にも虐殺死体を見たそうで、20名もの子供が銃で撃たれたり、炎で焼かれたりしたそうだ。そして、これらの遺体は山のように積まれていたというからゾッとする。目撃者となったランダウ氏はひどく動揺し、恐怖で声を震わせていたという。ハマスによる虐殺行為は別の場所でも起きていた。アサルト・ライフルや手榴弾で殺されたユダヤ人の子供達は、腕や脚が吹き飛ばされていたし、血塗れの死体や黒焦げになった遺体もあったらしい。

  一方、歐米諸国に住むパレスチナ人やその仲間達も負けてはおらず、彼らはユダヤ・メディアに対抗すべく、大学のキャンパスやインターネット番組でイスラエルの虐殺を咎めていた。日本でもワイドショーやニュース番組で取り上げていたが、イスラエル軍はガザ地区の掃討作戦を決行し、病院や住宅地を砲撃していた。もちろん、この報復で多くの女子供が「付随的犠牲者(collateral damage)」となっていたが、そんなのは「お構いなし」だ。イスラエル側の論理だと、「集団的懲罰(collective punishment)」となるから、民間人が犠牲になるのはしょうがない。


Kibbutz victims
(左  / 黒焦げにされたユダヤ人の遺体 )
  でも、これが正当化されると、ナチ・ドイツが民間のユダヤ人を殺したことも正当化されてしまうだろう。なぜなら、ユダヤ人のパルチザンや便衣兵がドイツ軍の将兵を襲撃したから、その“報復”として関係の無い村人でも、同じ“ユダヤ人”ということで虐殺が不問となる。たとえ、“鬱憤晴らし”でもOK。イラク戦争でもアメリカ兵は“気晴らし”や“仲間の敵討ち”という理由で、無関係のイラク人を殺しまくっていた。「不審な行動」と思ったくらいで撃ち殺していたから、普通なら「戦争犯罪」とか「人道上の罪」で絞首刑だ。

  イスラエル軍の報復攻撃も酷いが、パレスチナ側の襲撃だって非難されるべきテロ行為である。だいたい、過激派のハマスが一般住民を「人間の楯」にしているんだから、被害者が増大するのも当然だ。おそらく、一般人を“生け贄”にすることでイスラエル側の罪悪を拡大さることが目的なんだろう。悲惨な映像が増えれば、反イスラエルのジャーナリストや言論人が騒ぎ、パレスチナに同情する民衆が増えるから、出来るだけ幼い子供の死体や血塗れの女性を撮した方がいい。

  イスラエル政府もハマスの“遣り口”は百も承知だ。おそらく、ネタニヤフ政権これを解っていながら空爆を続けているのだろう。なぜなら、イスラエル政府、とりわけシオニスト勢力の戦略には、ガザ地区を“無人化”するという目標があるからだ。以前、紹介したように、イスラエルのシオニスト組織は「大イスラエル構想」があり、イラクやシリアにまで領土を広げるべし、との長期計画がある。だから、地下道を破壊する作戦と共に、居住地を空爆すれば、避難民のパレスチナ人は帰る家を失ってしまうのだ。瓦礫の山と化したガザ地区を目にすれば、どこか他の場所に住むしかない。「家なき子」となったパレスチナ人は、仕方なくエジプトに移り住むか、歐米諸国へ避難するかのどちらかだ。

  しかし、一般のアメリカ人やヨーロッパ人にしたら大迷惑。只でさえ、シリア難民やイラク難民で社会が混乱しているのに、こうした異民族に加え、新たな避難民を受け容れるなんて正気の沙汰じゃない。ところが、歐米諸国にはリベラル派のユダヤ人団体やアラブ系の活動家があるから、“可哀想な避難民家族”を引き取ろうと奔走する。しかも、イスラム教徒の国民が居着いているから、地元の議員や有力者に働きかけて「難民枠」を拡大させたりする。こうなれば「人権」を掲げるNGOもしゃしゃり出てくるから、大量のパレスチナ人が雪崩れ込む危険性は常にある。

イスラエル擁護の大富豪

  歐米諸国のみならず、日本にも親パレスチナの大学教授や人道主義を掲げる左翼分子は腐るほど居る。イスラム問題となれば同志社大学の内藤正典(ないとう・まさのり)とか中田考(なかた・こう)が頭に思い浮かぶが、最近だと放送大学の高橋和夫(たかはし・かずお)や東京大学の鈴木啓之(すずき・ひろゆき)、防衛大の江崎智絵(えざき・ちえ)などがテレビ番組に駆り出されて物議を醸している。一般国民でも左翼じゃないのに、ワイドショーに洗脳されたのか、イスラエル軍から殺されたパレスチナ人に同情する奴は結構多い。ユダヤ人組織が猛威を振るうアメリカでも、パレスチナを支援する学生や活動家が多いから、シオニストのユダヤ人はテロリストを擁護するリベラル派に腹を立てている。

Leon Cooperman 1(左  /  レオン・クーパーマン)
  例えば、ヘッジ・ファンドの大富豪で、「オメガ・アドヴァイザーズ(Omega Advisors)」のCEOや会長を務めるレオン・クーパーマン(Leon Cooperman)は怒り心頭だ。ポーランドからやって来たユダヤ移民の倅(せがれ)であるレオン殿は、ハンター・カレッジを卒業した後、コロンビア大学に進学し、そこでMBA(ビジネス修士号)を取得した。ところが、母校であるはずのコロンビア大でアラブ系やイスラム教徒の学生が親イスラエルの叛旗を振りかざし、テロ組織のハマスを擁護したから烈火の如く怒り狂っている。何しろ、ビジネスで成功したクーパーマンは、母校であるコロンビア大学に多額の寄附金(数年に亙り約5千万ドル)を渡していたから、反イスラエルの集会を開く学生に我慢がならない。

  FOX TVの「Claman Countdown」に出演し、司会のリズ・クラマン(Liz Claman)からインタヴューを受けたクーパーマンは、見るからに不満の塊(かたまり)であった。司会者がコロンビア大学の反ユダヤ的学生に話が及ぶと、クーパーマンは不機嫌になってしまい、一応、質問に答えていたが、露骨な態度を取って「あのクソ餓鬼どもは頭がイカかれているだ!」と吐き捨てていた。(Kristen Altus, 'Billionaire Leon Cooperman pulling Columbia funding amid student protests: These kids have ‘s--- for brains’,FOX Business, October 26, 2023.)

 「赤の巣窟」たるコロンビア大学には、旋毛(つむじ)までが“左巻き”の過激派がウジャウジャいる。学生ばかりか教授にも左翼が多いから、パレスチナ側のテロ行為を「レジスタンス活動」と考える輩(やから)が少なくない。例えば、現代アラブ政治を専攻するジョセフ・マサド(Joseph Massad)教授は、「ハマスvsイスラエル戦争」を指して「宗主国の軍隊(colonial army)」に対する「土着民のレジスタンス」だ、と評していた。Joshua Q. Nelson, 'Columbia University professor describes Hamas terrorist attacks as 'indigenous Palestinian resistance', Fox News,  October 11, 2023.) でも、こうした左翼を育てていたのもユダヤ人であったから、彼らは予想外の「しっぺ返し」を喰らっていた、ということだ。

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(左 : キャンパスないで親パレスチナを掲げるアラブ系の学生   /  右 : 親イスラエルを訴えるユダヤ人の学生 )

   TBSやNHKに毒されていない日本人から観れば、ハマスやヒズボラの攻撃は「テロ行為」に過ぎない。しかし、パレスチナ人に同情するアラブ系知識人にしたら、ハマスの電撃作戦は痛快だ。何しろ、歐米諸国から武器や資金をもらい、近代兵器や核兵器まで所有するのがイスラエル軍だから、刑務所みたいなガザ地区のパレスチナ人には、まともな軍隊が無い。旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテじゃないけど、ユダヤ人から迫害を受けるパレスチナ人は、投石でしか抵抗できなかった。ところが、今回はイランから支援を受けている。しかも、ウクライナの闇市場から流れてきた武器で反撃できたから、ハマスじゃないパレスチナ人でも勇気百倍だ。

  歐米のリベラル白人は「同化政策」を取ればアラブ人でもユダヤ人でも「西歐人」になると信じているが、肉体や先祖が違えば「同胞」にはならず、民族対立が起こればそんなものは一瞬で消えてしまうものだ。ガザに駆けつけることが出来ない歐米のアラブ人は、ある意味、現地のパレスチナ人よりも激しくユダヤ人を憎み、バーチャル戦争で勇猛果敢な闘士となる。アメリカに住むユダヤ人も、イスラエルに移住しない“引け目(罪悪感)”があるから、矢鱈と熱心なシオニストになる。

  ただ、1960年代と違うのは、現在の歐米社会には大量のイスラム教徒やアラブ系移民が存在することだ。デモクラシーの国家では「数」が「力」の源泉となる。第21世紀に入ると、アラブ系の政治家までが輩出され、大手メディアの報道番組にもアラブ系のキャスターが採用されている。こうなると、親イスラエル派の知識人やユダヤ・マネーに靡く政治家でも、そう簡単に輿論をユダヤ支援一色に染め上げることは出来ない。

  でも、アメリカやヨーロッパの政治家やマスコミ業界は、札束ビンタやユダの金貨が大好き。たとえ、キャンパスやインターネットでイスラエル批判が猛威を振るっても、テレビ番組では依然として「親イスラエル」となっている。しかも、財界にはユダヤ人の大御所がゴロゴロいるから、スポンサーに弱いテレビ局はイスラエル批判をする事はない。新聞や雑誌でも広告主は「神様」だ。テレビ局の経営者や株主を見ると、ユダヤ人がズラリと顔を並べている。

   例えば、巨大メディアの「ワーナー・ブラザーズ」はマイケル・デ・ルカ(Michael De Lucaに率いられているし、「ウォルト・ディズニー」社はボブ・アイガー(Robert Allen Igar)が君臨している。亡くなったサムナー・レドッドストーン(Sumner Redstone / 本名はレッドシュタインRothstein)は、これまた有名なViacomとCBSを仕切っていたけど、彼の跡継ぎは娘のシャリ・エリン・レッドストーン(Shari Ellin Redstone)となっている。CNNはスキャンダルで失脚したジェフ・ザッカー(Jeff Zuker)がCEOや会長に附いていたし、NBCの経営者はジェフ・シェル(Jeff Shell)となっている。シェルは「米国ユダヤ人委員会」から表彰されるほどの人物だ。

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( 左 : マイケル・デ・ルカ /  ボブ・アイガー /  サムナー・レドッドストーン /  右 : シャリ・エリン・レッドストーン )

  ニューヨーク・タイムズ紙もユダヤ・メディアで、この新聞社は代々ザルツバーガー家によって運営されている。今はアーサー・グレッグ・ザルツバーガー(Arthur Gregg Sulzberger)が会長に納まり、編集長には「Staples」の社長を務めたレオ・カーン(Leo Kahn)の息子であるジョセフ・カーン(Joseph F. Kahn)が就任している。英国のBBCもユダヤ人の巣窟となっており、今年、会長職を退いたリチャード・シャープ(Richard Sharp)はユダヤ人で、貴族院議員で男爵となったエリック・シャープ(Eric Sharp)の息子である。

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( 左 : ジェフ・ザッカー  /  ジェフ・シェル / アーサー・グレッグ・ザルツバーガー  /  右 :  リチャード・シャープ)

  ビジネス界もユダヤ人で溢れている。以前、ハーヴァード大学の卒業生でも、反ユダヤ主義者や親パレスチナの学生なら雇わないよう、仲間のビジネスマンに訴えたビル・アックマン(William Albert Ackmanを紹介したけど、彼の他にも親イスラエルの財界人、つまりユダヤ人の大富豪はかなり多い。

  例えば、投資顧問会社の「アポロ・グローバル・マネージメント(Apollo Global Management)」を創業したマルク・ローワン(Marc Rowan)とか、有名な「エステー・ローダー(Estée Lauder)」社の相続人であるロナルド・ローダー(Ronald Steven Lauder)は、ドナルド・トランプにも献金した共和党支持である。ユダヤ人大富豪のローダー氏は、美術品の蒐集や慈善活動で名を知られているが、「世界ユダヤ人会議(World Jewish Congress)」の総裁や「アウシュヴィッツ・ビルケナウ記念財団(Auschwitz Birkenau Memorial Foundation)」の会長を務める大御所だ。

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(左 :  ビル・アックマン / マルク・ローワン  /  ロナルド・ローダー  /   右 : ャック・シューマー )

  ユダヤ人のチャック・シューマー(Charles Schumer)上院議員みたいに、イスラエルの代理人みたいな政治家は多いけど、民衆党の支持者にもユダヤ人が多く、「スーパーPAC(政治資金管理団体)」に巨額の献金を行うユダヤ商人は、ほとんどが親イスラエル派か熱心なシオナストである。例えば、「サムソン・エナジー(Samson Energy)」社の会長を務めるステイシー・シュスターマン(Stacy Schusterman)や「サバン・キャピタル・グループ(Saban Capital Group)」の総帥であるハイム・サバン(Haim Saban)、製造業や不動産開発、金融業で有名な「クラフト・グループ(Kraft Group)」のCEOや会長を務めたロバート・クラフト(Robert Kraft)、ヘッジ・ファンドの「スリー・ポイント(Three Point)」のCEOを務めるダニエル・ローブ(Daniel S. Loeb)などである。

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(左 : ステイシー・シュスターマン  / ハイム・サバン  /  ロバート・クラフト  /   右 : ニエル・ローブ)

  ワシントンで蠢くイスラエル・ロビーも強力で、ユダヤ人のネットワークは日本の創価学会や経団連とは桁違いに大きい。テル・アビブの人脈は、ロンドンやパリ、ベルリン、ウィーン、ローマ、アムステルダム、アントワープ、ニューヨークなど、世界各国の都市に結びついている。アメリカ国内のユダヤ人団体もほとんどがシオニスト支持組織だ。「名誉毀損防止同盟(ADL)」の会長であるジョナサン・グリーンブラット(Jonathan Greenblatt)や「米国ユダヤ公共問題委員会(AIPAC)」の会長に就任したベッツィー・ベルン・コーン(Betsy Bern Korn)が、イスラエル支持を表明するのは当然である。

Jonathan Greenblatt 942Betsy Berns Korn 1144Lindsey Graham 22Mitch McConnell 7742








(左 : ジョナサン・グリーンブラット / ベッツィー・ベルン・コーン  /  リンゼイ・グラム /  右 : ッチ・マコーネル)

  民衆党は当たり前だけど、共和党にもシオニスト議員が多く、上院議員のリンゼイ・グラム(Lindsey Graham)やミッチ・マコーネル(Mitch McCornnell )のようなRINO(名前だけの共和党員)は、大口の献金に平伏し、恥ずかしくもなく親イスラエルに傾いている。しかし、その“とばっちり”で劣勢のウクライナ軍は窮地に立たされているようだ。兵員が足りないうえに、資金や武器の供給が無くなれば、失地恢復どころじゃなく、ゼレンスキー大統領の再選だって危うくなるだろう。(もっとも、ウクライナで大統領選挙があればの話だが。)

  パレスチナを批判するレオン・クーパーマンは、イスラエルが“デモクラシー”であるからパレスチナ人とは違うんだ、と強調するが、そのイスラエル国内では“非民主的”な政策が公然と行われている。クーパーマンら親イスラエルのユダヤ人が宣伝する、“自由で西歐的なイスラエル”というのは嘘っぱちだ。瀆職まみれのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、豪腕を以て司法組織を行政側に取り込もうとしていた。それゆえ、彼はイスラエル国民の間で非常に評判が悪く、大勢の国民が抗議デモに参加していたのである。アメリカのユダヤ人は「表現の自由」とか「思想の自由」、「言論の自由」を主張するが、ネタニヤフ政権のイスラエルでは“都合の悪い情報”は隠蔽され、うっかり“言論の自由”を行使すると「疑惑」だけで逮捕されてしまうのだ。

Dalal Abu Amneh 0022(左  /  ダラル・アブ・アムネー)
  例えば、アラブ人社会で有名なダラル・アブ・アムネー(Dalal Abu Amneh)は、インスタグラムで30万人のフォロアーを持つ人気歌手である。ところが、今回、彼女は自身のSNSでガザ地区のパレスチナ人を擁護し、ガザで活動する慈善団体のサイトに繋がるようリンクを附けてしまった。さらに、彼女は「主よ、我に救いと慈悲を与えたまえ! 天主のもとに勝者無し」と書き込んでしまったから、さあ大変。間もなく、彼女のもとにはイスラエルの治安組織が現れ、「煽動罪」の容疑でダラルは引っ張られてしまった。(‘Israel-Palestine war: Israeli forces arrest Palestinian singer Dalal Abu Amneh’, Middle East Eye, 17 October 2023.) 二人の子供を育てるアムネーは、以前からイスラエルの入植者による嫌がらせを受けていたそうで、彼女の逮捕はイスラエル国内のアラブ系住民に衝撃を与え、新たな不満を惹起した。

  逮捕から二日後、アムネーは釈放されて自宅軟禁となったが、彼女の弁護士(Abeer Baker)によれば、この人気歌手は45日間も戦争について語ることを禁止されたそうだ。(Henriette Chacar, 'Israeli Police Crack Down on Arab Citizens Expressing Solidarity With Gaza’, Reuters, October 20, 2023.) 彼女に対する容疑と罪状は明らかにされなかったが、イスラエル側の態度は頑なで、リベラル派の非難に面しても揺るぐことはなかった。警察署長を務めるコビ・シャタイ(Kobi Shabtai)によれば、国家やその象徴に対する扇動は、如何なるものであっても、決して赦してはならない行為であるという。イスラエルの治安当局は「寛容ゼロ(zero-tolerance)」の姿勢を貫くそうだ。 
                   
  とはいっても、イスラエル人口の約20%はアラブ・パレスチナ系の国民だから、ハマスの攻撃に理解を示す者も少なくない。日頃からユダヤ人の圧迫に怒りを募らせているアラブ人だと、自分の立場を危うくしてもイスラエルの攻撃を糾弾したくなるそうだ。実際、83名の大学生が親パレスチナを表明して大学側から譴責処分を受けていた。民間企業でも騒ぎが起きたようで、職場を解雇されそうになったケースが40件ほど報告されている。

Hassan Jabareen 1(左  / ハッサン・ジャバリーン )
  異民族を抱えていると騒擾が絶えないようで、ハマスのテロ攻撃を称賛し、社会不安を引き起こしたという容疑で、約100名のアラブ系国民が拘束されたという。「アダラー(Adalah)」の代表を務めるハッサン・ジャバリーン(Hassan Jabareen)によれば、拘束された約9割の者は何の根拠も無く捕まったそうで、警察の逮捕は違法である、と語っていた。拘束された者の中には、インターネット上でパレスチナを擁護する書き込みを行っただけ、というケースや、「TikTok」でビデオ映像を流した者が含まれていたから、本来なら捕まるほどの犯罪者じゃない。まぁ、中東アジアだと街中での抗議デモや集会は、不穏な暴動と区別がつきにくいから、イスラエルの治安当局は予め暴力沙汰になりそうな不穏分子を排除したかったのだろう。

  アメリカ人だけじゃなく、日本人にとっても中東アジアは複雑怪奇で、厄介な紛争地帯となっている。ユダヤ人とアラブ人の民族紛争は、どちらかが皆殺しになるか、絶滅寸前の死闘になるまで終わることはないだろう。だから、「問題の火種」になるユダヤ人やアラブ人を受け容れてはならず、たとえ可哀想な戦争避難民でも心を鬼にして門前払いにすべきだ。

  特に、ユダヤ人は他民族を利用して自分の利益を図るから質(タチ)が悪い。彼らは「銭の力」を充分に弁えているから注意が必要だ。もし、イスラエルが危うくなれば、彼らは一致団結して大統領や上院議員を引っ叩く。札束ビンタに弱い議員は、直ちに資金や武器を提供するし、事によったらアメリカ軍の出撃だ。「馬鹿と異民族は徹底的に利用しろ!」というのがユダヤ人のモットーで、これを指摘する者は「レイシスト」や「ネオナチ」のレッテルを貼られて社会的地位を失ってしまうだろう。それゆえ、大半の知識人や政治家は知っていながら黙っている。今も昔も政治家は銭で動く。「東洋のユダヤ人」たる支那人は、日本の政治家を金と女で籠絡するが、「西洋の支那人」たるユダヤ人も同じ手口で現地人を操る。悔しいけど、狡猾な民族は侮蔑されても最後に勝つ。


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イスラエルは「心の祖国」 / シオニストが牛耳るアメリカ

就職先から「パージ」される学生

Jews in America 0213Harvard University students 8832








( 左 : アメリカに住み着くユダヤ人  /  右 : 昔のハーヴァード大学で青春を過ごしていた学生達 )
  イスラエルとパレスチナの戦争が勃発することで、再びアメリカ国内は親イスラエル派と親パレスチナ派で分かれてしまった。アラブ系イスラム教徒やパレスチナに肩入れする黒人は、イスラエル軍から“弾圧”を受けるパレスチナ人に同情し、ユダヤ人からの“迫害”を非難する。一方、ユダヤ人も負けてはおらず、イスラエルを“心の祖国”と考えるユダヤ人は、ハマスによる“テロ行為”を厳しく咎め、徹底的な殲滅作戦に賛成していた。

  アラブ人とユダヤ人の対立はメディア業界や大学だけじゃなく、ビジネス界にも波及していた。毎度お馴染みのウォール・ストリートには、グローバリストのユダヤ人が溢れているし、ワシントンD.C.ではイスラエル・ロビーが鷹のように目を光らせている。アメリカで銭儲けに邁進するユダヤ人には、“祖国”に戻らないという“罪悪感”があるようだ。彼らはその“罪滅ぼし”のために人一倍熱心な「シオニスト(あるいは親イスラエル派)」になる。金融業や投資会社で儲けた者は共和党や民衆党に巨額な政治献金を行うし、教育現場で人権を訴える反戦左翼は核開発を止めないイランへの先制攻撃を叫ぶ。

Bill Ackman 1(左  / ビル・アックマン )
  ユダヤ人の大富豪で、ヘッジファンド会社「パーシング・スクェアー・キャピタル・マネイジメント」(Pershing Square Capital Management)」を創業したビル・アックマン(William Ackman)も、熱心なシオニストの一人である。彼はハーヴァード大学で反イスラエルを唱える学生に鉄槌を下すことにした。何と、彼は“被害者”であるイスラエルを非難し、“加害者”のハマスやパレスチナを擁護する学生、および非難声明の書簡に署名する学生を雇わないよう、仲間のユダヤ人や企業経営者に呼びかけたのだ。

  ユダヤ人というのは民族意識が強い。早速、アッカマンに同調するユダヤ人経営者が現れた。(何となく、暴走族の総長に呼応する元暴走族の自営業者みたい。) ここで賛同者の何人かを紹介したい。

 ・サラダ料理のチェーン店「スウィートグリーン(Sweetgreen)」を展開するジョナサン・ニューマン(Jonathan Newman)

 ・ヘルス・ケア・サーヴィスを提供する「イージーヘルス(EasyHealth)」のCEOを務めるデイヴィッド・ドュエル(David Duel)

 ・ブロックチェーン会社の「ブロック(Bloq)」を率いるマイケル・マックェイド(Michael McQuaid)

 ・メディア・ビジネス会社「ファブ・フィット・ファン(FabFitFun)」のCEOマイケル・ブロウキム(Michael Broukhim)

Jonathan Newman 3David Duel 11Michael Gripp McQuaid 2Michael Broukhim 1








(左 : ジョナサン・ニューマン  /  デイヴィッド・ドュエル / マイケル・マックェイド  /  右 : マイケル・ブロウキム )

 ・「マーケティング会社「インスパイアード(Inspired)」のCEOであるスティーヴン・レディー(Stephen Ready)

 ・建設会社「ディリージェント(Diligent)」の創業者ヒュー・モンタギュー(Hu Montague)

 ・支払仲介業会社「ブレックス(Brex)」を運営するアーサー・レヴィー(Arthur Levy)

 ・不動産や投資事業を扱う「ドーヴヒル・キャピタル・マネージメント(Dovehill Capital Mangement)」のCEOジェイク・ウルザック(Jake Wurzak)

 ・ハイテク企業を創設したり慈善活動に取り組むマーティン・ヴァルザフスキー(Martin Varsavsky)。彼はアルゼンチン生まれのユダヤ人だが、幼いときに米国へ移り住んだ。このユダヤ人ビジネスマンはバイオテック企業「Medicorp Sciences」の他にも「Ya.com Internet Factory」「EINSTEINet work」「Goggo Network」「Levere Holidays」などの企業を創り上げ、スペインで慈善活動を行っている。

Stephen Ready 11Hu Montague 1Arthur Levy 1Jake Wurzak 1








(左 : スティーヴン・レディー /  ヒュー・モンタギュー / アーサー・レヴィー  / 右 : ジェイク・ウルザック )

  ハーヴァード大学の卒業生はビジネスマンだけじゃなく、政治家や官僚、技術者、研究者、法律家、藝術家、メディア関係者など、各界で重要な地位に就く者が多い。しかも、優秀なユダヤ人は企業の最高責任者とか大株主、連邦議員、その他の高位高官になっいるから、アックマンの呼びかけに賛同する者が増えれば事態は深刻だ。そうじゃなくても、CNNやPBS、ABC、CBS、NBCなどの主流メディアにはユダヤ人が群がっている。報道番組の制作者にはシオニストのユダヤ人が陣取っているし、ユダヤ教から離れた世俗派やリベラル左翼も混じっているが、アングロ・サクソン系のアメリカ国民を擁護する連中じゃない。テレビ局の株主や重役だってユダヤ人が占めているから、アメリカの輿論が濁流のような「親イスラエル派」に飲み込まれていても不思議じゃない。

ユダヤ人が蝟集するアメリカのエリート大学

John Harvard 11(左  / ジョン・ハーヴァード )
  学歴重視の日本人はハーヴァード大学を超一流の教育機関と思っているが、実際はユダヤ人やリベラル派の知識人が支配する左翼の牙城になっている。しかし、ハーヴァードは元々キリスト教の「牧師」を養成する教育機関であった。創立メンバーの中心的人物であるジョン・ハーヴァード(John Harvard )は、イギリス人の両親から生まれ、イングランドで誕生したイギリス系入植者であった。彼はアン・サドラーと結婚してから、新大陸のニュー・イングランドへ渡ったそうだが、当時の「入植者」というのは国家運営を知る「イングランドの臣民」で、南米からやって来る貧乏移民とは“質的”に違っている。(日本の大学教授はアメリカを「移民の国」と呼ぶが、実際は本国を離れた臣民が統治する「海外の自治領」と考えた方がいい。)

  ピューリタン牧師のジョン・ハーヴァードが目指したのは、プロテスト版の神学校であり、ユダヤ人のラビ(宗教指導者)や商人を育成するための大学じゃなかった。今でこそアメリカの大学にはユダヤ人の教授とか学生がウヨウヨいるが、第二次世界大戦の前だと、アイヴィー・リーグの大学は“良きアメリカ人”を育成する教育機関で、非常識な学問の自由を主張する施設ではなかった。いくら「思想の自由」があるとはいえ、西歐文明を破壊する社会主義者とか、紳士に相応しくないユダヤ人は門前払いが当然だ。現在のユダヤ人は激怒するけど、不愉快なユダヤ人を制限することに異論は無かった。

  ハーヴァードはイェールやプリンストンと同じく、「ユダヤ人の侵入(Jewish invasion)」を懸念しており、「ニュー・イングランド学長協会(Association of New England Deans)は、この「ユダヤ人問題」を議論していたようで、押し寄せてくるユダヤ人をどう排除・制限しようかと頭を悩ませていた。ハーヴァード大学に入ってくるユダヤ人の数は、全新入生の20%を占め、イェール大学の三倍、プリンストン大学の六倍であったらしい。(Jerome Karabel, The Chosen : The Hidden History of Admission and Exclusion at Harvard, Yale, and Princeton, New York : Houghton Mifflin Harcourtp, 2005, p.86.) トーラーヤミシュナの勉強を何時間も続けられるユダヤ人なら、入学試験など簡単にクリア出来るし、西歐白人の高校生がライバルとなれば数学でも語学でも楽勝だ。

Abbott Lawrence Lowell 22( 左 /  アボット・ローレンス・ローウェル)
  ちなみに、ハーヴァード大学の学長を務めたアボット・ローレンス・ローウェル(Abbott Lawrence Lowell)は、密かな反ユダヤ感情を持っていたようで、増え続けるユダヤ人の入学を快く思っていなかった。彼が目指したのはケムブリッジ大学のようなアングロ・サクソン系の学生が集まるキリスト教の大学だ。シナゴーグと間違えるような異人種のキャンパスじゃない。当時、ユダヤ人の増加を恐れた学長や理事が、大学の評判や名誉を守るべく、ユダヤ人の受験生を制限する「ユダヤ人枠」を設定したのも当然である。

  「ユダヤ人の侵入」に関し、アイヴィー・リーグの中で最も頭を悩ませていたのはコロンビア大学であった。何しろ、そのキャンパスはニューヨーク(「ジュー・ヨーク」?)のマンハッタンにあるから、アシュケナージやセファラディーのユダヤ人が怒濤の如く雪崩れ込んでくる。1910年代には次のような戯(ざ)れ歌があったらしい。

  ハーヴァードはミリオネアーによって運営され
  イェールは大酒飲みに
  コーネルは農夫の倅(せがれ)に
  コロンビアはユダヤ人に
  バクスター・ストリートに乾杯
  ペルにも乾杯
  小さなユダヤ人(little sheenies)が死ぬ時
  彼らの魂は地獄に落ちるだろう
  
  無知な日本人はブロードウェイ沿いにあるコロンビア大学を見て、「うあぁぁ~、これが名門のコロンビア大かぁ~」と感動するが、そこの学風や闊歩する学生を目にすると身震いするほど気分が悪くなる。この大学には全米や世界中から深紅や朱色の左翼が集まっているし、フランクフルト学派の残党が教授会を牛耳っている。赤い教師を輩出する教育学部では、社会主義者のジョン・デューイを崇拝するが、このデューイこそがドイツで迫害された共産主義者のユダヤ人を招き入れた張本人だ。ドイツから逃れてきたマックス・ホルクハイマー(Max Horkheimer)やヘルベルト・マルクーゼ(Herbert Marcuse)は、コロンビア大学の学生に批判理論を植え付け、西歐的アメリカを憎むよう飼育されていた。ここで洗脳された学生は大学教授になったり、赤いジャーナリストになって全米に害を撒き散らしている。

Frederick Keppel 111(左  / フレデリック・ケペル )
  コロンビア大学の「ユダヤ人問題」は1914年頃から深刻で、学長のフレデリック・ケペル(Frederick Keppel)は、大学の「汚点」をとても気にしていたという。なぜなら、当時でさえ、コロンビア大のユダヤ人比率は40%くらいに達しており、名家のアメリカ人から敬遠されていたのだ。しかし、ユダヤ人規制の効果があったのか、1921年までには22%にまで押さえ込むことが出来たという。(上掲書、p.87.) それでも、ニューヨークの上流階級はコロンビア大学を避けたそうで、大学の経営陣は西歐系白人学生の喪失、すなわち「ワスプの逃避(WASP flight)」に悩んでいた。

  確かに、名門の家庭や上流階級の親なら、我が子をユダヤ人の級友にはしたくない。やはり、大切な息子は同じ種類の青年と一緒に学ばせたいし、将来の財産となる友人はアングロ・サクソン系のお坊ちゃんか、西歐系白人の好青年が相応しい。ユダヤ人なんかと付き合えば、知らない間に赤く染まって社会主義者になりかねないし、変な思想を吹き込まれて家門を穢すような「ロクでなし」に転落する虞(おそれ)がある。まさか、自分の娘がエマ・ゴールドマン(Emma Goldman)の如きアナーキストやベティー・フリードマン(Betty Friedman)みたいなフェミニストになったら大変だ。

Emma Goldman 1Betty Friedan 1Magnus Hirschfeld 1Harvey Milk 112








(左 : エマ・ゴールドマン / ベティー・フリードマン /  マグナス・ヒルシュフェルト /  右 : ハーヴェイ・ミルク)

  社交界で妻を娶る跡取り息子も心配だ。もし、大切な息子がマグナス・ヒルシュフェルト(Magnus Hirschfeld)の性科学に触発され、ハーヴェイ・ミルク(Harvey Bernard Milk)のようなゲイの政治家と親しくなったら一大事。そうじゃなくても、ユダヤ人の教授や秀才にはアレン・ギンズバーグ(Irwin Allen Ginsberg)やスーザン・ソンターグ(Susan Sontag)みたいな奴が多いから、ウブなお坊ちゃまが反戦文学者になったら、その両親は真っ青になるだろう。1970年代の学生を思い出せば判るはず。まぁ、ユダヤ人の親なら別に驚かないが、普通の白人家庭の親だと息子の左傾化は大問題だ。

  特に、新左翼の「SDS(Students for a Democratic Society)」に入ってしまったと聞いたら、血圧が上がってバカ息子をと怒鳴りつけるだろう。ジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティー財団」の名誉総裁になったアリエー・ナイアー(Aryeh Neier)は、「Human Rights Watch」の創設者として知られているが、元々は「SDS」の創設メンバーで、左翼団体の「アメリカ公民自由連盟(ACLU)」に務めていたユダヤ人。反戦運動で脚光を浴びたマーク・ラッド(Mark William Rudd)もコロンビア大学時代にSDSのメンバーになっており、SDSのトップはユダヤ人だらけだと述べていた。

Allen Ginsberg 11Susan Sontague 11Aryer Neier 1Mark Rudd 11








(左 : アレン・ギンズバーグ / スーザン・ソンターグ  / アリエー・ナイアー  / アリエー・ナイアー /  右 : ーク・ラッド)

  建前上、大学というのは研究機関だが、実質的には知識を身に付けるための教育機関となっている。普通の親は自分の息子や娘が大学教授になるとは思っていないし、上流階級の親だって、何が何でも我が子を物理学者とか生物学者にしたいとは望んでいまい。それよりも、ギリシア語を冠したプライヴェート・クラブ、すなわち学友会の「フラッタニティー(fraternity)」や「ソロリティー(sorority)」に入って素晴らしい友人をつくることを望んでいるんじゃないか。

Prescott Bush 1
(左  /  プレスコット・ブッシュ)
  例えば、ウィリアム&メアリー大学の「Phi Beta Kapp」とか、ハミルトン・カレッジの「Alpha Delta Phi」がアメリカでは有名だ。一部のアメリカ人からは評判の悪いイェール大学の「スカル&ボーンズ(Skull & Bones)」は秘密結社と呼ばれているけど、実際は毛並みの良い学生を集めたエリート・クラブである。歴代のメンバーを眺めてみれば判るけど、OBのリストには有力者や富豪の子息が名を連ねている。例えば、上院議員だったプレスコット・ブッシュ(Prescott Bush)も同クラブのOBで、息子のジョージ・ハーバート(Geoge Hebert Walker Bush)、孫のジョージ・ウォーカー(George Walker Bush)もボーンズのメンバーになっている。

Charles Taft 1David Acheson 1William Bundy 212MacGeorge Bundy 11








(左 : チャールズ・タフト2世 / デイヴッィド・アチソン  / ウィリアム・バンディー  /   右 : クジョージ・バンディー)

William Buckley 221(左  /  ウィリアム・バックリー)
   権力者は息子に強力な人脈(コネ)を持たせたいようで、ウィリアム・タフト大統領の息子であるチャールズ・タフト2世(Charles Phelps Taft II)やディーン・アチソン国務長官の息子であるデイヴッィド・アチソン(David Acheson)もメンバーになっていた。ケネディー政権で「ベスト&ブライテスト」の代表格と称されるウィリアムとマクジョージ・バンディー兄弟(William Bundy / McGeorge Bundy)もメンバーであったし、保守派雑誌の『National Review』を創刊したウィリアム・バックリー(William F. Buckley, Jr.)もボーンズであった。後に発覚するが、バックリーはCIAの協力者であった。CIAの長官を経て大統領になったジョージ・H・W・ブッシュを思い出せば判るが、CIAはよくイェール大学から新人局員をスカウトする。

Fraternity Ivy League 2112sorority 0021








(左 :「フラッタニティー」のOB達 /  右 :「ソロリティー」の女子学生達)

  とにかく、イスラエル対パレスチナの闘争が今後どうなるのか、部外者の日本人にはよく解らない。しかし、アメリカの輿論がイスラエル支援の方向に固定されるのは確かだろう。なぜなら、一般国民の考えを左右するマスメディアはユダヤ人がコントロールしているし、中東アジアからもたらされる情報だってイスラエル寄りのジャーナリストから発進されているからだ。しかも、こうした現地報告の何割かは、イスラエル政府かモサドの「手」が加えられているから、そのまま信じると危険である。

  一般的に、中東アジアの戦況報告というのは、事実と虚偽がごちゃ混ぜだ。例えば、未確認の情報だけど、歐米諸国のマスメディアは、パレスチナ人によるユダヤ人の虐殺を報じていた。何と、ガザの国境沿いにあるケファ・アザ(Kfar Aza)のキブツ(kibbutz)で赤ん坊や幼児の惨殺死体が発見され、その首が刎(は)ねられていたというのだ。(Matthew Chance, RichardAllen Green and Joshua Berlinger, 'Israeli official says government cannot confirm babies were beheaded in Hamas attack', CNN, October 12, 2023.)

David Ben Zion 2(左  / デイヴィッド・ベン・ジオン )
  豪州のTV局「i24 News」のレポーターが現地に赴き、イスラエル兵の側で報道していたけど、約40名の幼児が首を切断されていたとは驚きだ。あまりにも酷すぎる。ただし、この虐殺行為を拡散していたのが、イスラエル軍の第71部隊で副隊長を務めるデイヴィッド・ベン・ジオン(David Ben Zion)だから、何となく怪しいし、もしかすると政治プロパガンダかも知れない。このベン・ジオンというのは熱烈なシオニストで、ガザ地区やヨルダン川西岸地区からアラブ人を追放せよと熱心に説く“狂信的右翼”らしい。(Max Blumenthal and Alexander Rubinstein, 'Source of dubious ‘beheaded babies’ claim is Israeli settler leader who incited riots to ‘wipe out’Palestinian villege', The Grayzone, October 11, 2023.) 

  こんなユダヤ人が口にする「虐殺事件」なのに、英国の大衆紙である「Metro」は大々的に報道していた。事件の真相は未だに不明だが、こうしたショッキングな虐殺は人々の頭にこびりつく。大衆というのは正確でも細かな情報には無頓着で、あやふやな情報でも衝撃的な事件に飛びつく性質を持っている。ユダヤ人がニュースの情報源だと、その人物は“調理人”かも知れないし、その“味付け”だって自由自在だ。

  もう一つ気になるのは、イスラエル側の攻撃である。たぶん、ネタニヤフ政権は宿敵のハマスを壊滅させるまで戦い、パレスチナの住民が再び帰宅できないようにガザ地区を徹底的に破壊するはずだ。ハマスのようなテロリストが勢いづくのは、彼らを支援するパレスチナ人がいるからで、火種となるガザ地区は空爆や砲撃で更地にした方がよい。そして、パレスチナ人が焼け野原や瓦礫となった街に絶望すれば、その空き地にユダヤ人が入植し、商業ビルや学校を建てて「イスラエルの領土」にする可能性が高い。もしかすると、イスラエル政府はテロ行為を誘引して、ガザ地区の占領を目論んだのかも知れない。

  中東アジアでの戦争だと、様々な陰謀が張り巡らされているので、日本に住む我々には理解できない。アメリカの一般国民と同じく、日本の一般国民も知らず知らずのうちに「親イスラエル」の意見に染まってしまう危険性がある。もっと恐ろしいのは、パレスチナ人の難民がドイツやフランス、ブリテン、アメリカなどに「居住地」を求めることで、歐米諸国の庶民は戦争が起こる度に厄介な異民族を迎える破目になっている。そのうち、我が国にもパレスチナ難民が来たりして。宗主国のアメリカで民衆がパレスチナ人を厭がれば、その「移転先」は日本になることもある。アメリカ国務省の高官が睨みを利かせ、「お前も世界平和に貢献せよ! ごちゃごちゃ言わずに難民を受け容れろ!」と脅してくれば、岸田総理は黙って従うしかない。悲しいけど、属州の政治家と国民は親分に逆らえない運命にある。


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