(左 : 言論弾圧を命じるネタニヤフ首相 / 右 : 「煽動罪」容疑で逮捕されたイスラエル国民のダラル・アブ・アムネー)
パレスチナとイスラエルの紛争が勃発して以来、ヨーロッパやアメリカの主流メディアは中東アジア情勢に釘付けだ。正常な日本人だと「ウクライナ支援はどうなったのか?」と首を傾げたくなるが、ユダヤ人の“カネ”に牛耳られている歐米人だと、政治家も庶民も、ガザ地区での流血騒ぎに躍起となる。
しかし、ちょっと冷静に考えてみれば、この光景はかなり異常だ。どうしてヨーロッパ人やアメリカ人が、遠く離れた中東アジアの紛争にのめり込み、国内で民族対立に巻き込まれているのか? 地理に疎いアメリカ人でも、連日連夜、イスラエル情勢を伝える報道番組を観ているけど、地球儀でイスラエルが何処にあるのかさえ指すことができない人が多い。毎度のことだけど、イラクやアフガニスタンで戦争が起きた時も同じで、イラクとイランの位置が判らぬ人が少なくなかった。
(左 / ジョン・スヌヌ)
そう言えば、オイル・ビジネスで稼いでいたジョージ・H・W・ブッシュが大統領になった時、ホワイトハウスのミーティングでサウジ・アラビアとイラクの問題が話し合われたことがある。1990年、サダム・フセインがラジオ演説で、「メッカと預言者の墓を占領から守れ」と述べたので、大統領の側近達は様々な軍事オプションを討論していたそうだ。ところが、首席補佐官のジョン・スヌヌ(John H. Sununu)は唖然とする質問を口にした。彼は地理に疎かったのか、唐突に「メッカって何処にあるんだ?」と尋ねたらしい。(Geoff Simons, Saudi Arabia : The Shape of a Client Feudalism, London : Macmillan Press, 1998, p. 269.)
日本の帝国海軍に殺されかけたブッシュは、戦後、オイル・ビジネスで生計を立てるべく、テキサス州で「ザパタ石油(Zapata Petroleum Corporation)」を創設した。息子のジョージ・ウォーカーも石油商人で、このドラ息子は「アルブスト・エナジー(Arbusto Energy)」という石油の輸出会社を創っていた。彼の会社は後に「Spectrum 7」という会社に吸収されたという。商人上がりの大統領たるハーバト・ブッシュにしたら、スヌヌ補佐官の質問はあまりにも初歩的で、「えっ! 知らないのか?」と意表を突く質問であったはずだ。(信じられないけど、大学生でも世界地図に疎い者が多く、ビックリするようなエピソードがたくさんある。地理に関する話は別の機会で述べてみたい。)
話を戻す。西歐人や米国人というのは、高学歴で賢そうに見えても、根本的なところは愚かなようで、自ら進んで不幸を招いている。リベラル思想なんかはゴミ箱に棄てればいいのに、「寛容」とか「多様性」といった言葉に酔ったアメリカ人は、昔から異質なユダヤ移民を受け容れてきた。しかも、前世紀末からは大量のイスラム教徒やアラブ人を受け容れてしまったから、もうアメリカ社会は滅茶苦茶だ。ロンドンやパリでもヨーロッパ的風景は失われ、猥雑なカイロやイスタンブールみたいになってしまった。ユダヤ人が群がる「ジューヨーク(Jewish New York)」にも時代の変化が現れ、支那人や南米人のみならず、アラブ系の住民までが増えてしまった。
こんな状況になれば、親イスラエルのユダヤ・メディアと反シオニズムのアラブ・メディアが衝突するのも当然だ。案の定、歐米のマスメディアは両陣営の宣伝合戦となっている。いつもの通り、ユダヤ人の金貨に魅せられた主流メディアは、テロ集団のハマスによる悪逆非道を報じている。CNNやABC、NBCのキャスターは、高額な報酬と引き換えに、重役や株主の下僕か九官鳥になっているのか、しきりにイスラエルの安全を脅かすパレスチナを咎めていた。
今や、アメリカのメディアからは反ロシアの報道は何処かに消えてしまい、今度は反パレスチナの報道でお祭り騒ぎだ。事件の真相は未だに明らかではないが、歐米では「」ハマスのテロリストによるユダヤ人の虐殺」というニュースがあった。10月の奇襲作戦が実行された時、ハマスの一部隊はクファ・アザ(Kfar Aza)のキブツ(kibbutz / ユダヤ人の共産主義的な農村)を襲撃し、赤ん坊や幼児の首を刎ねた、というのだ。
(左 / アシャー・モスコヴッツ)
しかも、惨殺した赤ん坊の死体を家のオーブンで焼いた、というから凄い。医療や救助活動を目的とするボランティア組織、「連合ハッツァラー(Hatzalah)」で働くアシャー・モスコヴッツ(Asher Moskowitz)によれば、ハマスに襲われた赤ん坊は“生きたまま”オーブンで焼かれた、というのだ。彼の証言によれば、遺体袋に収められた赤ん坊の体は高熱で焼かれたせいか、黒くなった肉が膨れ上がっていたという。 (Chris Jewers, ‘Hamas killers 'roasted babies in an oven' during October 7 terror attack, Israeli first responder claims,’Daily Mail, 2 November 2023.)
「連合ハッツァラー」の創設者であるエリ・ビアー(Eli Beer)氏も似たような証言を述べており、ハマスの連中が赤ん坊を竈(かま)の中に入れて焼いてしまった、と語っている。彼とそのボランティア仲間は、数時間後に黒焦げとなった幼児を発見したそうだ。モスコヴィッツやビアーの証言は直接的な目撃に基づく話じゃないから信憑性に欠ける部分がある。本当に、襲撃部隊が生きたまま赤ん坊を竈の中に入れたのかどうかは、実際にハマスのメンバーが逮捕されないと判らない。
これまた信じがたいが、ハマスのテロ部隊は幼児ばかりじゃなく、妊婦も襲ったそうで、この殺人鬼集団は、まだ生まれぬ胎児を虐殺したという。NGOの「Zaka」で救護活動を取り仕切るヨシ・ランダウ(Yossi Landau)によると、ハマスのテロリストは妊婦の腹を割いて胎児を抉り出したそうだ。臍(ヘソ)の緒が附いたままの胎児を取り出し、ナイフで刺すなんて人間のすることじゃない。救護隊は床に横たわっている妊婦を発見したというが、この母親は頭部を銃で撃たれていたそうだ。Rachael Bunyan, 'Israel releases images of babies murdered and burned by Hamas as 'verified photos' of others beheaded by terrorists are 'confirmed' by local media and rescue team reveals pregnant woman 'had child sliced from her womb', Daily Mail, 12 October 2023.)
(左 / ヨシ・ランダウ) ランダウ氏と彼の仲間は、近所でも虐殺事件を目にしたそうで、両手を後ろで縛られている夫婦を発見した。酷いことに、この夫婦の側には両手を背後で縛られた二人の幼児もいたそうで、この家族は全員焼き殺されていたという。殺害された母親は子供を抱きかかえるようにして死んでいたというから、本当に悲しくなる。被害者達は焼かれる前に銃で撃ち殺されていたから、死体を焼いたのは復讐か侮蔑のどちらかだろう。
ランダウ氏は他にも虐殺死体を見たそうで、20名もの子供が銃で撃たれたり、炎で焼かれたりしたそうだ。そして、これらの遺体は山のように積まれていたというからゾッとする。目撃者となったランダウ氏はひどく動揺し、恐怖で声を震わせていたという。ハマスによる虐殺行為は別の場所でも起きていた。アサルト・ライフルや手榴弾で殺されたユダヤ人の子供達は、腕や脚が吹き飛ばされていたし、血塗れの死体や黒焦げになった遺体もあったらしい。
一方、歐米諸国に住むパレスチナ人やその仲間達も負けてはおらず、彼らはユダヤ・メディアに対抗すべく、大学のキャンパスやインターネット番組でイスラエルの虐殺を咎めていた。日本でもワイドショーやニュース番組で取り上げていたが、イスラエル軍はガザ地区の掃討作戦を決行し、病院や住宅地を砲撃していた。もちろん、この報復で多くの女子供が「付随的犠牲者(collateral damage)」となっていたが、そんなのは「お構いなし」だ。イスラエル側の論理だと、「集団的懲罰(collective punishment)」となるから、民間人が犠牲になるのはしょうがない。
(左 / 黒焦げにされたユダヤ人の遺体 ) でも、これが正当化されると、ナチ・ドイツが民間のユダヤ人を殺したことも正当化されてしまうだろう。なぜなら、ユダヤ人のパルチザンや便衣兵がドイツ軍の将兵を襲撃したから、その“報復”として関係の無い村人でも、同じ“ユダヤ人”ということで虐殺が不問となる。たとえ、“鬱憤晴らし”でもOK。イラク戦争でもアメリカ兵は“気晴らし”や“仲間の敵討ち”という理由で、無関係のイラク人を殺しまくっていた。「不審な行動」と思ったくらいで撃ち殺していたから、普通なら「戦争犯罪」とか「人道上の罪」で絞首刑だ。
イスラエル軍の報復攻撃も酷いが、パレスチナ側の襲撃だって非難されるべきテロ行為である。だいたい、過激派のハマスが一般住民を「人間の楯」にしているんだから、被害者が増大するのも当然だ。おそらく、一般人を“生け贄”にすることでイスラエル側の罪悪を拡大さることが目的なんだろう。悲惨な映像が増えれば、反イスラエルのジャーナリストや言論人が騒ぎ、パレスチナに同情する民衆が増えるから、出来るだけ幼い子供の死体や血塗れの女性を撮した方がいい。
イスラエル政府もハマスの“遣り口”は百も承知だ。おそらく、ネタニヤフ政権これを解っていながら空爆を続けているのだろう。なぜなら、イスラエル政府、とりわけシオニスト勢力の戦略には、ガザ地区を“無人化”するという目標があるからだ。以前、紹介したように、イスラエルのシオニスト組織は「大イスラエル構想」があり、イラクやシリアにまで領土を広げるべし、との長期計画がある。だから、地下道を破壊する作戦と共に、居住地を空爆すれば、避難民のパレスチナ人は帰る家を失ってしまうのだ。瓦礫の山と化したガザ地区を目にすれば、どこか他の場所に住むしかない。「家なき子」となったパレスチナ人は、仕方なくエジプトに移り住むか、歐米諸国へ避難するかのどちらかだ。
しかし、一般のアメリカ人やヨーロッパ人にしたら大迷惑。只でさえ、シリア難民やイラク難民で社会が混乱しているのに、こうした異民族に加え、新たな避難民を受け容れるなんて正気の沙汰じゃない。ところが、歐米諸国にはリベラル派のユダヤ人団体やアラブ系の活動家があるから、“可哀想な避難民家族”を引き取ろうと奔走する。しかも、イスラム教徒の国民が居着いているから、地元の議員や有力者に働きかけて「難民枠」を拡大させたりする。こうなれば「人権」を掲げるNGOもしゃしゃり出てくるから、大量のパレスチナ人が雪崩れ込む危険性は常にある。
イスラエル擁護の大富豪
歐米諸国のみならず、日本にも親パレスチナの大学教授や人道主義を掲げる左翼分子は腐るほど居る。イスラム問題となれば同志社大学の内藤正典(ないとう・まさのり)とか中田考(なかた・こう)が頭に思い浮かぶが、最近だと放送大学の高橋和夫(たかはし・かずお)や東京大学の鈴木啓之(すずき・ひろゆき)、防衛大の江崎智絵(えざき・ちえ)などがテレビ番組に駆り出されて物議を醸している。一般国民でも左翼じゃないのに、ワイドショーに洗脳されたのか、イスラエル軍から殺されたパレスチナ人に同情する奴は結構多い。ユダヤ人組織が猛威を振るうアメリカでも、パレスチナを支援する学生や活動家が多いから、シオニストのユダヤ人はテロリストを擁護するリベラル派に腹を立てている。
(左 / レオン・クーパーマン)
例えば、ヘッジ・ファンドの大富豪で、「オメガ・アドヴァイザーズ(Omega Advisors)」のCEOや会長を務めるレオン・クーパーマン(Leon Cooperman)は怒り心頭だ。ポーランドからやって来たユダヤ移民の倅(せがれ)であるレオン殿は、ハンター・カレッジを卒業した後、コロンビア大学に進学し、そこでMBA(ビジネス修士号)を取得した。ところが、母校であるはずのコロンビア大でアラブ系やイスラム教徒の学生が親イスラエルの叛旗を振りかざし、テロ組織のハマスを擁護したから烈火の如く怒り狂っている。何しろ、ビジネスで成功したクーパーマンは、母校であるコロンビア大学に多額の寄附金(数年に亙り約5千万ドル)を渡していたから、反イスラエルの集会を開く学生に我慢がならない。
FOX TVの「Claman Countdown」に出演し、司会のリズ・クラマン(Liz Claman)からインタヴューを受けたクーパーマンは、見るからに不満の塊(かたまり)であった。司会者がコロンビア大学の反ユダヤ的学生に話が及ぶと、クーパーマンは不機嫌になってしまい、一応、質問に答えていたが、露骨な態度を取って「あのクソ餓鬼どもは頭がイカかれているだ!」と吐き捨てていた。(Kristen Altus, 'Billionaire Leon Cooperman pulling Columbia funding amid student protests: These kids have ‘s--- for brains’,FOX Business, October 26, 2023.)
「赤の巣窟」たるコロンビア大学には、旋毛(つむじ)までが“左巻き”の過激派がウジャウジャいる。学生ばかりか教授にも左翼が多いから、パレスチナ側のテロ行為を「レジスタンス活動」と考える輩(やから)が少なくない。例えば、現代アラブ政治を専攻するジョセフ・マサド(Joseph Massad)教授は、「ハマスvsイスラエル戦争」を指して「宗主国の軍隊(colonial army)」に対する「土着民のレジスタンス」だ、と評していた。Joshua Q. Nelson, 'Columbia University professor describes Hamas terrorist attacks as 'indigenous Palestinian resistance', Fox News, October 11, 2023.) でも、こうした左翼を育てていたのもユダヤ人であったから、彼らは予想外の「しっぺ返し」を喰らっていた、ということだ。
(左 : キャンパスないで親パレスチナを掲げるアラブ系の学生 / 右 : 親イスラエルを訴えるユダヤ人の学生 )
TBSやNHKに毒されていない日本人から観れば、ハマスやヒズボラの攻撃は「テロ行為」に過ぎない。しかし、パレスチナ人に同情するアラブ系知識人にしたら、ハマスの電撃作戦は痛快だ。何しろ、歐米諸国から武器や資金をもらい、近代兵器や核兵器まで所有するのがイスラエル軍だから、刑務所みたいなガザ地区のパレスチナ人には、まともな軍隊が無い。旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテじゃないけど、ユダヤ人から迫害を受けるパレスチナ人は、投石でしか抵抗できなかった。ところが、今回はイランから支援を受けている。しかも、ウクライナの闇市場から流れてきた武器で反撃できたから、ハマスじゃないパレスチナ人でも勇気百倍だ。
歐米のリベラル白人は「同化政策」を取ればアラブ人でもユダヤ人でも「西歐人」になると信じているが、肉体や先祖が違えば「同胞」にはならず、民族対立が起こればそんなものは一瞬で消えてしまうものだ。ガザに駆けつけることが出来ない歐米のアラブ人は、ある意味、現地のパレスチナ人よりも激しくユダヤ人を憎み、バーチャル戦争で勇猛果敢な闘士となる。アメリカに住むユダヤ人も、イスラエルに移住しない“引け目(罪悪感)”があるから、矢鱈と熱心なシオニストになる。
ただ、1960年代と違うのは、現在の歐米社会には大量のイスラム教徒やアラブ系移民が存在することだ。デモクラシーの国家では「数」が「力」の源泉となる。第21世紀に入ると、アラブ系の政治家までが輩出され、大手メディアの報道番組にもアラブ系のキャスターが採用されている。こうなると、親イスラエル派の知識人やユダヤ・マネーに靡く政治家でも、そう簡単に輿論をユダヤ支援一色に染め上げることは出来ない。
でも、アメリカやヨーロッパの政治家やマスコミ業界は、札束ビンタやユダの金貨が大好き。たとえ、キャンパスやインターネットでイスラエル批判が猛威を振るっても、テレビ番組では依然として「親イスラエル」となっている。しかも、財界にはユダヤ人の大御所がゴロゴロいるから、スポンサーに弱いテレビ局はイスラエル批判をする事はない。新聞や雑誌でも広告主は「神様」だ。テレビ局の経営者や株主を見ると、ユダヤ人がズラリと顔を並べている。
例えば、巨大メディアの「ワーナー・ブラザーズ」はマイケル・デ・ルカ(Michael De Lucaに率いられているし、「ウォルト・ディズニー」社はボブ・アイガー(Robert Allen Igar)が君臨している。亡くなったサムナー・レドッドストーン(Sumner Redstone / 本名はレッドシュタインRothstein)は、これまた有名なViacomとCBSを仕切っていたけど、彼の跡継ぎは娘のシャリ・エリン・レッドストーン(Shari Ellin Redstone)となっている。CNNはスキャンダルで失脚したジェフ・ザッカー(Jeff Zuker)がCEOや会長に附いていたし、NBCの経営者はジェフ・シェル(Jeff Shell)となっている。シェルは「米国ユダヤ人委員会」から表彰されるほどの人物だ。
( 左 : マイケル・デ・ルカ / ボブ・アイガー / サムナー・レドッドストーン / 右 : シャリ・エリン・レッドストーン )
ニューヨーク・タイムズ紙もユダヤ・メディアで、この新聞社は代々ザルツバーガー家によって運営されている。今はアーサー・グレッグ・ザルツバーガー(Arthur Gregg Sulzberger)が会長に納まり、編集長には「Staples」の社長を務めたレオ・カーン(Leo Kahn)の息子であるジョセフ・カーン(Joseph F. Kahn)が就任している。英国のBBCもユダヤ人の巣窟となっており、今年、会長職を退いたリチャード・シャープ(Richard Sharp)はユダヤ人で、貴族院議員で男爵となったエリック・シャープ(Eric Sharp)の息子である。
( 左 : ジェフ・ザッカー / ジェフ・シェル / アーサー・グレッグ・ザルツバーガー / 右 : リチャード・シャープ)
ビジネス界もユダヤ人で溢れている。以前、ハーヴァード大学の卒業生でも、反ユダヤ主義者や親パレスチナの学生なら雇わないよう、仲間のビジネスマンに訴えたビル・アックマン(William Albert Ackmanを紹介したけど、彼の他にも親イスラエルの財界人、つまりユダヤ人の大富豪はかなり多い。
例えば、投資顧問会社の「アポロ・グローバル・マネージメント(Apollo Global Management)」を創業したマルク・ローワン(Marc Rowan)とか、有名な「エステー・ローダー(Estée Lauder)」社の相続人であるロナルド・ローダー(Ronald Steven Lauder)は、ドナルド・トランプにも献金した共和党支持である。ユダヤ人大富豪のローダー氏は、美術品の蒐集や慈善活動で名を知られているが、「世界ユダヤ人会議(World Jewish Congress)」の総裁や「アウシュヴィッツ・ビルケナウ記念財団(Auschwitz Birkenau Memorial Foundation)」の会長を務める大御所だ。
(左 : ビル・アックマン / マルク・ローワン / ロナルド・ローダー / 右 : ャック・シューマー )
ユダヤ人のチャック・シューマー(Charles Schumer)上院議員みたいに、イスラエルの代理人みたいな政治家は多いけど、民衆党の支持者にもユダヤ人が多く、「スーパーPAC(政治資金管理団体)」に巨額の献金を行うユダヤ商人は、ほとんどが親イスラエル派か熱心なシオナストである。例えば、「サムソン・エナジー(Samson Energy)」社の会長を務めるステイシー・シュスターマン(Stacy Schusterman)や「サバン・キャピタル・グループ(Saban Capital Group)」の総帥であるハイム・サバン(Haim Saban)、製造業や不動産開発、金融業で有名な「クラフト・グループ(Kraft Group)」のCEOや会長を務めたロバート・クラフト(Robert Kraft)、ヘッジ・ファンドの「スリー・ポイント(Three Point)」のCEOを務めるダニエル・ローブ(Daniel S. Loeb)などである。
(左 : ステイシー・シュスターマン / ハイム・サバン / ロバート・クラフト / 右 : ニエル・ローブ)
ワシントンで蠢くイスラエル・ロビーも強力で、ユダヤ人のネットワークは日本の創価学会や経団連とは桁違いに大きい。テル・アビブの人脈は、ロンドンやパリ、ベルリン、ウィーン、ローマ、アムステルダム、アントワープ、ニューヨークなど、世界各国の都市に結びついている。アメリカ国内のユダヤ人団体もほとんどがシオニスト支持組織だ。「名誉毀損防止同盟(ADL)」の会長であるジョナサン・グリーンブラット(Jonathan Greenblatt)や「米国ユダヤ公共問題委員会(AIPAC)」の会長に就任したベッツィー・ベルン・コーン(Betsy Bern Korn)が、イスラエル支持を表明するのは当然である。
(左 : ジョナサン・グリーンブラット / ベッツィー・ベルン・コーン / リンゼイ・グラム / 右 : ッチ・マコーネル)
民衆党は当たり前だけど、共和党にもシオニスト議員が多く、上院議員のリンゼイ・グラム(Lindsey Graham)やミッチ・マコーネル(Mitch McCornnell )のようなRINO(名前だけの共和党員)は、大口の献金に平伏し、恥ずかしくもなく親イスラエルに傾いている。しかし、その“とばっちり”で劣勢のウクライナ軍は窮地に立たされているようだ。兵員が足りないうえに、資金や武器の供給が無くなれば、失地恢復どころじゃなく、ゼレンスキー大統領の再選だって危うくなるだろう。(もっとも、ウクライナで大統領選挙があればの話だが。)
パレスチナを批判するレオン・クーパーマンは、イスラエルが“デモクラシー”であるからパレスチナ人とは違うんだ、と強調するが、そのイスラエル国内では“非民主的”な政策が公然と行われている。クーパーマンら親イスラエルのユダヤ人が宣伝する、“自由で西歐的なイスラエル”というのは嘘っぱちだ。瀆職まみれのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、豪腕を以て司法組織を行政側に取り込もうとしていた。それゆえ、彼はイスラエル国民の間で非常に評判が悪く、大勢の国民が抗議デモに参加していたのである。アメリカのユダヤ人は「表現の自由」とか「思想の自由」、「言論の自由」を主張するが、ネタニヤフ政権のイスラエルでは“都合の悪い情報”は隠蔽され、うっかり“言論の自由”を行使すると「疑惑」だけで逮捕されてしまうのだ。
(左 / ダラル・アブ・アムネー)
例えば、アラブ人社会で有名なダラル・アブ・アムネー(Dalal Abu Amneh)は、インスタグラムで30万人のフォロアーを持つ人気歌手である。ところが、今回、彼女は自身のSNSでガザ地区のパレスチナ人を擁護し、ガザで活動する慈善団体のサイトに繋がるようリンクを附けてしまった。さらに、彼女は「主よ、我に救いと慈悲を与えたまえ! 天主のもとに勝者無し」と書き込んでしまったから、さあ大変。間もなく、彼女のもとにはイスラエルの治安組織が現れ、「煽動罪」の容疑でダラルは引っ張られてしまった。(‘Israel-Palestine war: Israeli forces arrest Palestinian singer Dalal Abu Amneh’, Middle East Eye, 17 October 2023.) 二人の子供を育てるアムネーは、以前からイスラエルの入植者による嫌がらせを受けていたそうで、彼女の逮捕はイスラエル国内のアラブ系住民に衝撃を与え、新たな不満を惹起した。
逮捕から二日後、アムネーは釈放されて自宅軟禁となったが、彼女の弁護士(Abeer Baker)によれば、この人気歌手は45日間も戦争について語ることを禁止されたそうだ。(Henriette Chacar, 'Israeli Police Crack Down on Arab Citizens Expressing Solidarity With Gaza’, Reuters, October 20, 2023.) 彼女に対する容疑と罪状は明らかにされなかったが、イスラエル側の態度は頑なで、リベラル派の非難に面しても揺るぐことはなかった。警察署長を務めるコビ・シャタイ(Kobi Shabtai)によれば、国家やその象徴に対する扇動は、如何なるものであっても、決して赦してはならない行為であるという。イスラエルの治安当局は「寛容ゼロ(zero-tolerance)」の姿勢を貫くそうだ。
とはいっても、イスラエル人口の約20%はアラブ・パレスチナ系の国民だから、ハマスの攻撃に理解を示す者も少なくない。日頃からユダヤ人の圧迫に怒りを募らせているアラブ人だと、自分の立場を危うくしてもイスラエルの攻撃を糾弾したくなるそうだ。実際、83名の大学生が親パレスチナを表明して大学側から譴責処分を受けていた。民間企業でも騒ぎが起きたようで、職場を解雇されそうになったケースが40件ほど報告されている。
(左 / ハッサン・ジャバリーン )
異民族を抱えていると騒擾が絶えないようで、ハマスのテロ攻撃を称賛し、社会不安を引き起こしたという容疑で、約100名のアラブ系国民が拘束されたという。「アダラー(Adalah)」の代表を務めるハッサン・ジャバリーン(Hassan Jabareen)によれば、拘束された約9割の者は何の根拠も無く捕まったそうで、警察の逮捕は違法である、と語っていた。拘束された者の中には、インターネット上でパレスチナを擁護する書き込みを行っただけ、というケースや、「TikTok」でビデオ映像を流した者が含まれていたから、本来なら捕まるほどの犯罪者じゃない。まぁ、中東アジアだと街中での抗議デモや集会は、不穏な暴動と区別がつきにくいから、イスラエルの治安当局は予め暴力沙汰になりそうな不穏分子を排除したかったのだろう。
アメリカ人だけじゃなく、日本人にとっても中東アジアは複雑怪奇で、厄介な紛争地帯となっている。ユダヤ人とアラブ人の民族紛争は、どちらかが皆殺しになるか、絶滅寸前の死闘になるまで終わることはないだろう。だから、「問題の火種」になるユダヤ人やアラブ人を受け容れてはならず、たとえ可哀想な戦争避難民でも心を鬼にして門前払いにすべきだ。
特に、ユダヤ人は他民族を利用して自分の利益を図るから質(タチ)が悪い。彼らは「銭の力」を充分に弁えているから注意が必要だ。もし、イスラエルが危うくなれば、彼らは一致団結して大統領や上院議員を引っ叩く。札束ビンタに弱い議員は、直ちに資金や武器を提供するし、事によったらアメリカ軍の出撃だ。「馬鹿と異民族は徹底的に利用しろ!」というのがユダヤ人のモットーで、これを指摘する者は「レイシスト」や「ネオナチ」のレッテルを貼られて社会的地位を失ってしまうだろう。それゆえ、大半の知識人や政治家は知っていながら黙っている。今も昔も政治家は銭で動く。「東洋のユダヤ人」たる支那人は、日本の政治家を金と女で籠絡するが、「西洋の支那人」たるユダヤ人も同じ手口で現地人を操る。悔しいけど、狡猾な民族は侮蔑されても最後に勝つ。
人気ブログランキング