無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

テロリズム

“ヤラセ”が横行する中東情勢 / 米国の裏稼業 (2)

“偽装”攻撃を仕組むトルコ

  2014年3月27日、トルコの放送局(Turkish Telecommunication Authority)は、トルコ諜報局のハカン・フィダン(Hakan Fidan)長官がインタヴューに応えている映像を遮断してまった。この映像は、エルドアン首相(後に大統領)とアフメト・ダウトオール(Ahmet Davutoglu)外務大臣(後に首相)が本物と承認している。YouTubeにも流れてしまった映像の何が悪かったのか? インタヴューの中で、フィダン長官が、トルコの「ヤラセ」攻撃計画を漏らしてしまったのだ。彼はこう語っていた。

  もしできるなら、シリアから4人の男を送り込むつもりだ。トルコにミサイル攻撃を命じることで、戦争の口実をでっち上げるつもりさ。もし必要なら、スレイマン・シャーの墓にも攻撃を加える準備もできてるんだ。(Jack Moore, Turkey YouTube Ban: Full Transcript of Leaked Syria ‘War’Conversation Between Eldogan Officials, International Business Times, March 27, 2014)

  これって典型的な「偽装工作(False Flag)」じゃないか。偽の旗か敵の旗を掲げて攻撃を加えることから由来する言葉で、味方を騙して開戦のきっかけを創る狂言である。大義名分を創るための偽装工作をアメリカもよく用いていた。トルコ政府も同じ事をしようとした訳だ。ちなみに、スレイマン・シャー(Suleiman Shah)とは、オスマン帝国初代皇帝オスマン1世の祖父。スレイマンの墓がシリアのアレッポ付近にあるので、そこを雇った偽装テロリストに攻撃させれば、トルコ国民は激怒するはずだ。でも、まさか本当に墓を破壊するわけにはいかないので、フィダンは墓の近くにある空き地にミサイルを撃たせるつもりであった。

  ヤラセ攻撃を仕組もうとしていたエルドアンは、オバマにシリア攻撃を急ぐよう尻を叩いたいたが、その裏で背任行為をしていた。米国はイランへの金(ゴールト)輸出を禁じる制裁措置を講じていたのだが、トルコはその抜け穴を利用してイランと取引を続けていたのである。俗に言う「黄金の抜け穴(golden loophole)」で、イランの私企業へ黄金を送ることが続いていた。トルコはイラン産の石油とガスの最大輸入国である。トルコは自国に開設されたイラン側の口座に、燃料代金を自国通貨リラで振り込む。するとこの代金でイランは、トルコのゴールドを購入するカラクリ。2012年から2013年の間で、130億ドル相当のゴールドがイランにもたらされたという。(Seymour M. Hersh, The Red Line and the Rat Line, London Review of Books, Vol. 36, April 2014) このスキャンダルがトルコでも暴露され、20名ほどが容疑をかけられ、大臣3名の辞任にもつながった。エルドアンの辞任も叫ばれたくらいだ。

テロリストを治療してあげるイスラエル

  ユダヤ人は自己利益のためなら何でもする連中である。ムスリム・テロの犠牲者を演じながら、裏でテロリストと結託している民族だ。シリアの内戦を監視している国連視察団(UNDOF)は、イスラエルが自由シリア軍(Free Syrian Army)の負傷兵を治療していることを報告した。(Regular conduct between Israel and Syrian rebels: UN report, i 24 News, December 7, 2014) イスラエルの保健省は、約1000名のシリア人が、イスラエルの病院で治療を受けたことを承認している。民間人がほとんどと言うが、本当は反乱軍の傷痍兵を治療することが主目的であろう。看護婦のラファト・シャーフは162名の患者を扱ったが、通常の怪我ではなかったと証言している。そりゃあ、交通事故とは違い、銃弾や砲撃による負傷だろうから、治療だって大変だったんじゃないか。イスラエル国防軍報道官のピーター・レルナー(Peter Lerner)中佐は、治療を直ちに必要とするシリア人を治療しているのだ、と述べていた。しかし、注目すべき点は、シリア人患者がとこから来たのか、彼らが民間人なりのか戦闘員なのかはチェックしていなかったという発言である。(Colum Lynch, Israel Is Trending to Wounded Syrian Rebles, Foreign Policy, June 11, 2014) イスラエル政府は、負傷したシリア人に治療を施す人道支援を装うが、けが人を救急車で搬送するとき、イスラエル国防軍の車輌が先導したというのだ。あり得ない。ユダヤ人がシリア人にそこまで親切にするわけないだろう。誰だって「冗談だろ?」て聞き直す。

  ワシントン中東政策研究所のエフード・ヤリ(Ehud Yaari)は、イスラエルがシリアの村々に医療品や人道支援物資を供給していることを明かす。その支援物資は民間人と反乱軍を助ける目的だそうだ。自由シリア軍の司令官シャリフ・アス・サフォリ(Sharif As-Safouri)は、イスラエルに五回入国し、イスラエル政府の役人と接触していたことを認めている。そのイスラエル役人は後に、ソ連製戦車に対抗するための武器を供給してくれたという。また、医療品とともに、ロシア製ライフル30丁やRPGランチャー10丁、5.56ミリ弾48,000発を渡したらしい。(Syrian rebel commander says he collaborated with Israel, The Times of Israel, August 13, 2014) こうした裏取引を“イスラエル”のメディアが伝えているのだ。有名な「ハーレツ」紙もイスラエルとシリア反乱軍との関係を報道している。イスラエル国防軍の兵士が、シリアの反乱軍に何らかの箱を渡している場面を、国連監視団に目撃されていた。(Barak Ravid, UN reveals Israeli links with Syrian rebels, Haaretz, 7 December 2014) もう一つ気になるのが、ゴラン高原(Golan Heights)をイスラエルが狙っていることだ。この高原はイスラエルとシリアの国境沿いにある緩衝地帯である。イスラエルはシリア反乱軍に資金や軍需物資を供給する代わりに、勝利の暁にはゴラン高原をよこせ、と持ちかけていたのだ。(Syrian opposition willing to trade Golan claimd for Israeli military support, Haaretz, Mech 16, 2014) 要は軍事支援と領土獲得を交換する裏取引があったというわけだ。

腐ったイラクに資金を投入

  アメリカ合衆国は、軍人もその家族も有権者であるから、兵卒の命を無駄にできない。とくに国民の関心が薄い中東アジアに軍隊を投入する時だって、「テロだ、無差別殺人は許せない ! 」とマスコミが騒ぐから、一般国民は渋々軍隊の派遣を認めたのである。だから、大統領はなるべく将兵の負傷・死亡を出さずに、目的を達成したい。そこで、民間傭兵会社を雇ったり、地元のアラブ人民兵を使って、アメリカ兵の身代わりとする。アメリカ国防総省は、イスラム国兵士を討伐するために、イラク軍と現地部族を活用しようとした。でも先立つものはお金。その費用13億ドルを議会に要求した。ところが、イラク治安部隊のシャバン・アル・オベイディ(Shaaban al-Obeidi)大佐は、イラク軍に武器を供給しないよう警告をするのだ。大佐はイラク軍将校や部族長らが腐敗しているという。何とバグダッドのシーア派政府や部族長老らが、米国から支給された武器をブラック・マーケットに流すため、敵を倒すための武器が逆にイスラム国側に渡ってしまうらしい。

  兵卒の事を考えぬイラク軍高官は、低品質の安い武器を購入することで、不当な利益を懐に貯め込む。その一方、末端の兵卒は粗末な武器を渡されて戦う羽目になる。アメリカ製の武器がお金に交換され、安物の武器が現場の兵卒に渡される。武器の使用自体が、兵卒にとって命取りになるという、馬鹿げた事態が起こるのだ。アル・オベイディ大佐は、米軍から手に入れたオーストリア製のグロック拳銃を見せながら、「もし、これがイラク軍から支給されたら、二発撃っただけで、銃身が破裂するんだ」と記者に語っていた。(David Kirkpatrick, Graft Hobbles Iraq's MIlitary Fighting ISIS, The New York Times, November 23, 2014) ピンハネやキックバックが蔓延しているから、取り締まるろうとしても始末に負えない。綱紀粛正のイラク人官僚じたいが、腐敗軍人と結託している場合だってある。アル・オベイディ大佐によると、各兵卒が銃弾100発を支給されるはずのところ、兵は50発しか貰えず、上官が残りを取り上げて売却してしまうのだ。(Samuel Smith , ISIS Militant Are Already Getting Their Hands on Recently Supplied U.S. WQeapons in Iraq, The Christian Post, November 25, 2014)

  中間搾取があるなら、アメリカ人が直接ヘイラク軍兵卒や地元民兵に武器を渡せばいいじゃないか、と我々なら思うだろう。しかし、イラク政府の役人は米国政府が地元部族に直接武器を渡すと、イラクの主権を侵すことになるので、イラク政府に直接配達するよう求めていたのだ。何が「イラクの国家主権」だよ。国家の矜持(きょうじ)も無ければ、国民への責任も持っていない堕落官僚が、一人前の口をたたけるのか。いったん国家が破壊され、自尊心を無くした国民は再起が難しく、どうしても瀆職(とくしょく)の誘惑に勝てない。(一般に言う「汚職」は間違い。「汚い職」じゃなく「役職を冒瀆」する、が正しい。) 軍隊の士気は地に堕ちている。イラク軍には「チキン野郎」と呼ばれる将校がいるという。兵卒に支給される鶏肉を横領・売却して私腹を肥やすらしい。また、士官の身分を販売する将校がいて、みんなから「ズル将軍(General Defter)」と呼ばれている。こうなりゃ、“ちょろまかし”はキリが無い。イラク軍には「幽霊兵士(ghost soldiers)」までいるのだ。すでに軍隊からいなくなった兵士が、名前だけ残って在籍しているという。名簿だけ提示する軍司令官が、幽霊兵士の給料をポケットに入れるのだ。「ゴースト部隊」と言ったら、なんか恐ろしく強そうだが、たんなる兵員水増部隊である。法律家のモハメッド・オサマン・アル・カリディによると、イラク軍士官の30パーセントが幽霊軍人らしい。これじゃあ、ISISテロリストと戦っても勝てないわけだ。 

  アラブ人ってのは、プライドだけは異常に高く、実行力は桁違いに低い。彼らは屁理屈こねたり、値段交渉のときだけ有能で、地道な国家建設や行政管理となったら、からっきしダメになってしまう。アカンタレ国民は、まず精神から鍛え直さないと、いくらお金をつぎ込んでもザルで水を掬(すく)うようなものだ。しかし、彼らに武器を供給するためペンタゴンは、2015年度の予算として2410億ドルを要求している。軍隊はカネ喰い虫だと非難されるが、アメリカの軍需産業はイラクの実態を知りつつも、戦争特需で巨額の利益を得るから幸福なのだろう。米国の兵器工場だって、在庫は捌けるし、新たな製品を納入できるから、戦争萬歳だ。でも、アメリカ人納税者はカンカンに怒るだろうな。でも、いいか。足りなくなったら日本政府を脅迫(ゆす)ればいいのだから。

自作自演テロを用いるアメリカ人

  ユダヤ人と同じく、アメリカ人も国内テロを自分たちで起こして、輿論を操作しようとする性質をもつ。米西戦争の時のメーン号事件や第二次大戦時の真珠湾攻撃は有名だ。アメリカ政府がわざと攻撃されるよう仕組んでいた。ベトナム戦争の時には、トンキン湾事件が捏造で、今でも語り草となっている。9/11テロも、自作自演テロだろうが、まだその全貌が解明されていないから、確かなことは言えない。しかし、悪名高い「ノースウッド作戦(Operation Northwood)」は、機密文書が1997年に公開されたので、皆が知るところとなった。この極秘作戦は、ケネディ政権の時代に、統合参謀本部によって創案された陰謀である。国防総省やCIAもグルになって、キーバのカストロ政権を打倒するべく、アメリカ国内でテロ事件を起こそうという計画であった。この作戦では、ハイジャックや爆破事件が提案されていたのだ。肝心な点は、キューバ政府が起こしたと臭わせるような偽の証拠を残すことであった。9/11テロで、ハイジャック犯のパスポートがWTC建物の残骸から見つかったという、奇蹟的遺留品を思い出してしまう。

  当時、フロリダ州マイアミには亡命キューバ人が多く住んでいたから、共産主義者のキューバ人が、連続テロを起こす案が推奨されていたし、首都ワシントンでのテロも検討されていたのである。それに、とんでもないデロまで提案されていた。アポロ宇宙船の有名な飛行士ジョン・グレン(John Glenn)の暗殺まで、一連のテロ計画で提案されていたのだ。(グレン氏は後に上院議員となる。)やはり、大衆に強く訴えかける象徴的事件が必要なのだろう。一般人には難しい事が分からない。単純明快な理由が一番。だから、アメリカの仕掛人たちは、ヴィジュアル的事件を起こして、烏合の衆を誘導するのである。耳より目に訴えかける方が効果的。こう言うと一般人は唖然とするだろう。だが、偽装テロ殺人計画は、統幕議長のレイマン・レムニツァ(Lyman Lemnitzer)将軍により承認されていたのだ。1962年3月13日のメモランダムに、将軍の署名を見て、アメリカ国民は驚愕した。

  その作戦は国防長官のロバート・マンナマラに提出されたが、元フォード社長の民間人長官から承認を得られなかった。いくら何でも政府が自国民を殺すわけにはいかないだろう。それに、リベラル派大統領のジョン・F・ケネディが承諾するはずがない。草案段階で却下。軍部は何としてでもカストロを潰したかった。テロ事件でも起こさなければ、グズの国民はその重い腰を上げないと分かっていた。目的のためには手段を選ばない、というわけだ。一方、ケネディ大統領はレムニツァ将軍に直接会い、キューバに部隊を派遣する可能性は全くないことを告げたという。最高司令官の反感をかった将軍は、次の議長任期を取り消されれ、別の職へと左遷されてしまった。軍部の言いなりにならないケネディは、ペンタゴンやCIAの神経を逆撫でするような真似を数々犯したから、政敵がとても多かった。大統領暗殺が内部犯行説と推測されても不思議ではないだろう。

  我々は大手メディアの流す情報を鵜呑みにしてはならない。アメリカは早くから大衆社会だったので、心理操作の研究が進んでいた。北朝鮮や支那の報道なら、すぐ嘘と分かるが、自由社会を標榜するアメリカのマスメディアだと、嘘を見抜くのが困難だ。専門家がいかに大衆を操作すべきかを、日々研究しているのだから、視聴者はまんまと騙されてしまう。大手メディアは、見せたいものしか視聴者に見せない。重要なことは、事前にカット。イスラム教徒によるテロ事件でも、本当の偶発的事件も中にはあるが、しばしば計画された襲撃が混じっていたりする。イスラエルの偽装テロは巧妙だから要注意。また、ユダヤ人に不都合な事実は、イスラエル・ロビーの目も光っているから、放送するのはまず不可能だろう。経営陣だって、ユダヤ人かその仲間だから、自由な報道は編集局の筆先が終着点。「自由」とは報道機関の重役が持つもので、一般国民は「加工」された情報を聞くだけ。ニュースを調理している人物の素性や思想を検証して、テレビや新聞を見ている一般人なんかいないじゃないか。「ヤラセ」とは芸能界の専売特許ではない。毎日のニュースに、「ヤラセ」や「でっち上げ」「謀略報道」が混じっているのだ。バラエティ番組の不正を見抜けない一般人が、高度な謀略報道を嗅ぎ分けられるはずがない。こう考えると、平和ぼけの朝日新聞とNHKにお金を払っている日本人は、本当にお人好しの典型である。




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八百長の対テロ戦争 / 米国の裏稼業 (1)

疑惑だけでで攻撃か?

  「可愛い朝鮮娘には気をつけろ」、が日本人の常識になって良かった。南鮮には「美容整形手術」という魔法の顔面工事が流行(はや)っている。GDPの半分くらいを占めて、サムソンの売上げに匹敵するんじゃないか、と嘲笑されるくらいだ。スケベ心が胸一杯に詰まった日本人男性は、整形鮮人の娘にコロッと騙されて金銭を巻き上げられたりする。しかし、こんなのは人生の授業料だと思えばよい。結婚してから、鮮人女房の素顔を発見したら、悲劇の幕開け。ちゃっかり日本国籍を取得した朝鮮人は、亭主と別れたって痛くもかゆくもない。世間の親父(オヤジ)さんなら、ひっかかったスケベ亭主に、「朝鮮人をよぉ~く、確かめねえお前がマヌケなんだょ ! 」と叱るだろう。朝鮮人に対しては、日本人の間で、免疫力というか、警戒心が広まったから良かった。しかし、合衆国政府やブリテン政府に巣くうユダヤ人とイスラエルの陰謀に対しては、日本人の認識がまだまた、というより初心(うぶ)なままである。中東アジアには魑魅魍魎(ちみもうりょう)がウロチョロしているから一般国民は簡単に騙されてしまう。

  人気ギターリストのスラッシュが『World on Fire』リリースして、マイルズ・ケネディーが「世界に火をつける時だぞぉー(I think it's time to set this world on fire)」と歌っていた。(バンド名が「コンスピレイターズ<陰謀団>」だってさ。クスッと笑っちゃう。)イスラエルも中東アジア、特にシリアを火の海にしたいのだろう。アラブ諸国を弱小国とする一方で、イスラエルを中東の超大国にする「大イスラエル(Greater Israel)」構想を実現しようとしているのだ。そのために、イスラエル政府は米国のユダヤ人組織と連携し、アメリカ軍や国務省、CIAを利用したのである。「イスラム国(ISISとかISIL)」が、ひっきりなしにテロ行為を繰り返しているが、どうも“うさん臭い”のだ。このスキャンダルを有名なジャーナリストのセイモア・ハーシュが、レポートしている。(Seymour M. Hersh, The Red Line and the Rat Line : Erdgan and the Syrian rebels, London Review of Books, Vol.36, April 2014) 

  2013年8月21日、シリアの首都ダマスカス郊外にあるゴータ(Ghouta)で、アサド政権が反政府軍(つまり反乱軍)に対して、毒ガスのサリン攻撃を行い、多数の民間人が巻き添えで死亡した、と報道された。シリアは嘗てサリン使用の前科があるから、欧米の人々がまた毒ガス殺人を犯したのか、と思っても仕方ない。翌月の9月10日にオバマ大統領は、アサド政権に責任がある、と公式に非難を表明した。こんな“ひでえ”攻撃は戦闘じゃなく、“虐殺”じゃねえか、と息巻いたオバマは、シリアに対して軍事行動を計画したのだ。わぁ~、『破れ傘刀舟悪人狩り』で叶刀舟(とうしゅう/萬屋錦之介)が、「テメェたちゃ人間じゃねぇ。たたっ斬ってやる ! 」と啖呵を切り、悪人どもをメッタ斬り。オバマもこんな演技をしたのである。(でも、口先だけの操り人形にはガッツがない。)

  統合参謀本部は対シリア攻撃案を大統領に提出したが、ホワイト・ハウスの補佐官らは満足しなかった。重要軍事施設だけに絞った限定攻撃じゃ足りないよ、と突き返したのである。アサド政権が“悲鳴”を上げるには不充分だ、と。かくして妥当な計画は、次第に「猛攻撃(monster strike)」に発展した。定番メニューの空爆で一丁上がりとはいかないのだ。原子力潜水艦やイージス艦からトマホーク・ミサイルを発射するだけでは、シリアのミサイル基地は破壊できない。なぜなら、地下深く建設されたサイロまでトマホークの破壊力が及ばないからだ。そこで、2千ポンドの爆弾を搭載したB-52爆撃機を飛ばすことにした。待ってました、こんな攻撃は米軍の十八番(おはこ)。ワシントンの高級将校や現場の士官が張り切っちゃった。

  アメリカ人だけに任せておけない、とブリテンとフランスの両政府が助太刀に出る。英国のキャメロン首相は空軍(RAF)にタイフーン(Typhoon)戦闘機を6機キプロス島に展開するように命じ、トマホーク・ミサイル搭載の潜水艦もおまけに附けた。フランスも負けてはいられない。隣国のイギリス人がタイフーンなら、ウチは「ラファール(Rafale)戦闘機」だぞ、とオランド大統領は奮発した。(タイフーンはユーロファイターで、ラファールはダッソー社製の戦闘機。兵器とくれば、筆者は詳しく解説したくなるが、ここは我慢して後で。) ところが、オバマ大統領は、軍にGOサインを発する寸前になると、急に止めにしてしまった。えぇっ、中止なの?! やる気満々の軍人はさぞかしガッカリしただろうな。久々に大がかりな空爆が出来ると楽しみにしていたのに。公園の「ドッグ・ラン」で思いっきり走り回れるとウキウキしていた、ワンちゃんにご主人様が、公園の入り口で突然「今日は止めようね」と言うようなもんだ。犬だって「にゃ~んでだよ」と怒るだろう。

  オバマが攻撃中止を決定したのは、アサド政権がサリンを使用した証拠が無いからだ。悪魔に尻尾が無かった。ヘビだと思っていたら、ウナギだったみたいな話。そもそも、シリア軍が毒ガス攻撃を本当に実行しのかさえ怪しい。そんなことより、アサド政権を何としても打倒したいオバマだが、ジョージ・ブッシュの二の舞だけは踏みたくないのだ。ブッシュ大統領は大量破壊兵器をサダム・フセインが隠しているとの口実で、無理矢理イラク戦争を決行してしたのである。だが、後から大量破壊兵器の情報が「ガセ」てあることが判明し、コリン・パウエル国務長官は赤っ恥をかいてしまった。オバマは攻撃決定前に、英国諜報筋がもたらしたサリン調査報告を知らされたのである。ゴータの戦闘で使用されたという科学物質のサンプルを、ロシア軍諜報部が回収し、分析していたのだ。ロシア軍はそれを英国諜報部に渡し、MI6は再検査してみたという。英国諜報部はその毒ガスがサリンだと判明したと言うが、公表は控えた。なぜかと言えば、その毒ガスがどうもシリア軍がつかっているものと違うらしいことが分かったからだ。というのも、英国はシリア政府から軍で使用している化学ガスのリストをもらっていたので、採取された毒ガスのサンプルとすぐに照合できたのある。こんな分析報告を受けたから、当然ペンタゴン内部でも、攻撃への疑念が湧いてきたのだ。それで困ったオバマは、アサド政権と交渉を始めるプランBを、いやいやでも、選択せざるを得ない。アサド大統領は国連視察団のもと、化学兵器を総て破棄することに合意したのである。

トルコ政府のテロ支援

  シリア軍の化学兵器使用疑惑の裏には、もっと厄介なスキャンダルがあった。トルコのレジェップ・エルドアン(Recep Erdogan)首相が、反シリア反乱軍のテロリストと関連していたのである。トルコ首相がジハード戦士一派の「アル・ヌスラ・フロント(al-Nusra Front)」を支援していたのである。この聖戦グループは、アルカイーダと同類の過激派テロ集団であるが、こともあろうに化学兵器を製造していたのだ。アメリカ国防諜報局(DIA)のデイヴィッド・シェド(David Shedd)次官補によれば、アル・ヌスラはサリン製造施設を所有しており、トルコやサウジ・アラビアもその製造計画に一枚噛んでいた。「まさか、そんな」と驚く人は、国際政治の素人。その情報を裏付けるような事件が起きてしまった。トルコ南部で、地元警察がアル・ヌスラのメンバーを10名ほど逮捕したという。あろうことか、または運が悪いというか、2キログラムのサリンが押収されたのである。何も知らない、下っ端の警察官が余計なことをしちまった。親分のエルドアンも頭を抱えたことだろう。駐露トルコ大使のアイディン・セジン(Aydin Sezgin)は、記者会見で押収されたサリンについて聞かれ時、あれは「単なる解氷剤」だと言いのけた。えっ、「サリン」ってクルマのフロント・ガラスにこびりついた霜を解かすスプレー剤だったのか。 「へ~え」 じゃあ、タモリの『トリビアの泉』に教えてあげよう。特番ないのかな? あっ、そうだ、『ホンマでっかTV』に通報しよう。

  兇悪犯なのに逮捕された一味は、ちっと拘留されたのち釈放されてしまった。主犯格のハイサム・クァサブ(Haytham Qassab)に対して、検察側は25年の懲役刑を要求したにもかかわらず、この犯罪者は釈放されてしまったのだ。背後ででエルドアンが手を回したんじゃないか、との憶測が流れた。拘留中、クァサブはアル・ヌスラのメンバーだと自認したし、軍需物資を製造しているアブド・アル・ガニ(Abd-alGhani)とも繋がりを持っていたのだ。しかも、彼はハリット・ウナルカヤ(Halit Unalkaya)と一緒に活動していた事も白状していた。このハリットは、トルコ企業のザーヴ・エクスポート(Zirve Export)に雇われていていたのだが、この会社はサリンを供給していたのである。アメリカ国防諜報局も段々と反シリア勢力の実態が分かってきた。アル・ヌスラなどのシリア反乱軍は、どうもサリンを戦闘で使用していたらしい。シリアのアレッポ付近の村で、シリア反乱軍がサリンを使ったため、民間人19人とシリア兵1名が犠牲者となった。

  アメリカの諜報機関は実態を把握していたのだ。エルドアン首相は、オバマが危険な一線(Red Line)を超えるよう仕組んでいたのである。アサド政権がサリンを使ったことにすれば、国際的非難が巻き起こり、オバマはアメリカ軍投入をしやすくなるだろう。DIAをはじめとするアメリカの諜報機関は、サリンがトルコから反乱軍に渡っていたことを察知していた。トルコが反政府軍のテロリストどもにサリンの製造や扱い方を教えていたのだ。これって、テロ支援国なんじゃないか? いやいや、アメリカの共犯者だから、正義の味方である。アメリカも傭兵会社を使ってテロリストを訓練していたじゃないの。ヨルダンで訓練したテロリストはどこに行ったのか? ユーロ・ディズニーランドでないことだけは確か。『北斗の拳』のジャギみたいに、シリアで大暴れしていた。でもこれは勘違い。だって、「独裁政権」を倒す志(こころざし)に燃えた「自由の戦士」であるから、テロリストなんて呼んじゃイケねえよ。ものは言いようである。国防総省は、「SYRUP」という毎日配布される極秘報告書で、化学兵器に関する情報を載せていたのだが、ホワイト・ハウス首席補佐官のデニス・マクドノウ(Denis McDonough)の命令で、大幅に削除されたという。都合の悪い情報は黒く塗りつぶす。和製英語の「マッジック・ペン」が大活躍。オバマ政権の主要目的は、シリアの化学兵器撲滅ではなかったことが分かる。軍人たちはさぞ困惑しただろう。

  シリア攻撃は大統領の一存で実行できない。どうしても議会の承認が必要なのだが、オバマは議員連中を説得できなかった。第一、統合参謀本部議長のマーティン・デンプシー将軍(Gen.Martin Dempsey)は、オバマ政権がアサド大統領を何としても有罪に持って行こうとしているのに疑念を持っていた。アサドのシリア軍は優勢だったのに、わさわざ国際的非難を受けるサリン攻撃をする必要があったのか? 軍人なら誰だって疑問に感じるだろう。デンプシー将軍は連邦議会に、アメリカ軍介入の危険性を警告したのである。だからマクドノウ首席補佐官は苛立ち、急に空爆の件を推し進めようとしたのである。しかし、議会はイラク戦争開戦決議の時、ブッシュ大統領のイカサマによって騙された経験があるから、オバマが提案するシリア空爆に慎重だった。こんな具合に、行き詰まりとなったので、オバマは空爆中止をせざるを得なかったわけ。オバマ、残念。(そういえば、波田陽区はどこに行っただろう?)

ベンガジ事件の裏側

  トルコとアメリカの陰謀は、テロリストへのサリン供給だけではなかった。2012年頃から、CIAが蛇道(じゃどう/邪道?)ならぬ「ネズミ道(Rat Line)」と呼ぶ、裏通りが開通していたのである。このルートを通って、武器弾薬がリビアからトルコ南部を経由して、シリア国境の反乱軍に流れていたのだ。この反乱軍はジハード兵団であり、彼らの中にはアルカイーダと繋がりを持つ者が混じっていた。リビアが供給源、と聞いてピンときたかたは、勘が鋭い。そう、あのカダフィー大佐が殺されて、アメリカの傀儡政府が支配する国である。そこの武器庫に残っていた兵器を横流し、あっ、ひと聞きの悪い言葉を使ってしまった。下品な表現を慎んで、上品に言わなくちゃ。アメリカ様は再利用なさったのでござる。「もったいない精神」を発揮されたわけですな。どおりでシリア反乱軍が地対空ロケット・ランチャーやRPG(携帯ロケット砲)を装備してた訳である。そしてもう一つ重大な殺人があった。「ベンガジ事件」である。

  2012年9月11日、リビアに派遣されていた特命全権大使のクリス・スティーヴンズ(John Christopher Stevens)が、ベンガジ(Benghazi)領事館内で、炎に包まれて死亡した。地元のテロリストに襲撃されて殺されたのだが、国務省は充分な安全対策を取っていなかったし、CIAもアメリカ軍に警告を発していなかったのである。こうした失態について議会は、当時のヒラリー・クリントン国務長官をやり玉に挙げていた。どうしてだ、と聞かれたって、ヒラリーが「それでは、ご要望に応えて」と本当の事をゲロするわけないだろう。アメリカ国民に対して後ろめたいことをしていたのだから。元CIAオフィサーのフィリップ・ジラルディ(Philip Giraldi)によれば、ベンガジのアメリカ領事館は、名ばかりの外務施設で、情報収集の国務省職員と現地通訳官数名がいるだけの派出所みたいなものだった。実は隣にCIAの別棟があり、その秘密基地は二つの任務を帯びていたのである。一つは、現地のアルカイーダ・グループの監視で、もう一つがカダフィーがため込んでいた武器の横流しであった。そこの警備といっても、CIAの軍人もどきと地元の民兵が護っているだけだった。スティーヴンス大使は、だいたいのことしか知らされておらず、実質上CIAが極秘任務を取り仕切っていたのである。(Philip Giraldi, CIA's Benghazi Role, The American Conservative, November 29, 2012)

  これならベンガジ領事館襲撃事件を、オバマとヒラリーが揉み消したかったわけである。2012年にオバマ大統領とエルドアン首相は、秘密協定を結んで、カダフィーの武器を密輸しようとした。偽装会社がリビアに設立され、なかにはオーストラリア企業の仮面をつけたダミーもあったらしい。武器の調達と輸送はアメリカの退役軍人が雇われて、事情を知らぬまま操業していたという。CIAがMI6と協力して武器を流していたのは、両国がイスラエルの支配下にあることを考えれば、大変興味深い。ちなみに、このオペレーション(極秘作戦)を指揮していたのは、あのデイヴィッド・ペトレイウス(David Petraeus)長官であった。皆様ご存じの、不倫で辞任した将軍です。自分の評伝を書いてくれるパウラ・ブランドウェル(Paula Brandwell)陸軍中佐と恋仲になってしまった。いやーぁ、わかるなぁ。将軍だって男盛りだもん。ウェスト・ポイント士官学校卒のインテリ軍人で、しかもちょっとセクシーな女性が度々自分のオフィスを訪ねてくるのだ。笑顔と好奇心で自分に興味を持って話を聞いてくれるのだから、中年男はいけないと思いつつ恋心を抱く。中高年の危機(midlife crisis)というが、男らしい軍隊勤めだと、鍛えた身体が疼くよねぇ。糟糠(そうこう)の女房には悪いが、魔が差すこともあるよなぁ。(あっ、これは男の理屈でした。女性の皆さん怒らないでね。)

  真面目な話に戻ろう。この秘密作戦はどうも議会要人にも知らせていなかったらしい。ある元CIAオフィサーによれば、法律で議会に報告しなくてもいい特例が長年認められていたという。極秘作戦のレポートは8名の議会要人(民衆党や共和党のリーダーたち)にだけ見せていた。襲撃事件の後、ワシントンの政府はCIAの横流し作戦を閉鎖してしまった。しかし、シリア反乱軍に渡った武器は回収できないのだから、彼らの誰が他のテロリストに横流しにするだろう。そうしたら、その武器が米軍に対して使われることだってある。とくに携帯型地対空ミサイル・ランチャーは脅威だ。シリア軍のヘリコプターがこれで撃墜されたが、米軍のヘリや民間飛行機だって標的にされてしまうのだ。アメリカ政府は責任がとれるのか?

  シリア内戦はイスラム教徒のテロリストだけが戦っているのではない。彼らの背後で各国が暗躍しているのだ。次回は、イスラエルも交えた裏事情を紹介したい。
  


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