無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

日本の政治

詐欺をはたらく軍事大国ロシア / 騙される安倍政権

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黒木 頼景
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ロシアを甘く見る保守派の幻想

Abe & Putin 1Vostok 2018 002







( 左: 安倍総理とプーチン大統領/ 右: 2018年の合同演習 )

  先週、チャンネル桜の水島総社長が、自分のコーナーで北方領土問題について述べていた。水島社長は四島一括返還にこだわることが支那の対外侵掠を手助けする事になり、日本国内にはびこる「四島返還」で喰っている特殊利益勢力をも支えることになるのだ、と説教し、まづは二島返還で交渉を進めるべきだ、との趣旨で視聴者に語りかけていた。しかし、筆者はこの見解に同意できない。なぜならば、安倍総理がプーチン大統領に騙される危険性があるからだ。なるほど、日本はアメリカの属州だから、水島社長が言う通り、安倍総理の対露交渉は、合衆国政府による諒承があってのことだろう。ならば、それを許したトランプ大統領と、安倍総理と話をつけるプーチン大統領の「真意」は何処にあるのかを考えるべきだ。

  支那とロシアは一枚岩ではないが、日本に対する態度で共通している。つまり、日本を食い物にして肥え太ろうとする意思を持っている点だ。北京政府が日本企業を呼び寄せて、その資本や技術を吸い尽くそうとするのはよく知られている。クレムリンも同じで、北方領土を毛針にし、日本から大金をせしめようと謀っているので、我々は気を引き締めて用心しなければならない。日本人は平和条約の締結だ、と大はしゃぎしているが、ロシア人にとって約束は破るために存在する。だから、武力の背景無しにロシア人と交渉するのは愚かである。しかも、今回の件に関し、ロシアの在日エージェントに等しい鈴木宗男や佐藤優がプーチンの提案を支持しているから、なおさら胡散臭い。とりわけ、報道番組でロシアの提灯持ちを演じる鈴木宗男は、見るからにロシア諜報局の手下だから論外。

  問題は佐藤の方だ。テレビやラジオはロシア問題となれば、すぐ“元外務省”の佐藤を番組に招いて、「佐藤さん、プーチン大統領の意図はどんなものなんでしょうか?」と尋ねるけど、彼の「分析」と「判断」を鵜呑みにするのは危険である。ロシアに関して素人の番組司会者は、佐藤がロシアの情報に通じていると感心するが、その情報源が誰で、どんなものなのか判らないので非常に怪しい。例えば、FVR(対外工作・諜報機関)の日本ハンドラーから内部情報をもらって、それをあたかも「独自の人脈から得た情報」と称すれば、普通の日本人は「さすが、すごいですねぇ~!」と驚嘆する。そりゃそうだろう。ロシア人スパイから直接仕入れたネタなんだから。もし、佐藤の評判を高めるため、ロシア人の担当者が本当の情報をリークしてやれば、外務省でも摑めない特ダネを持つことになるじゃないか。だいたい、外務省を追い出されたノンキャリの下っ端が、上質な情報源を持つわけないだろう。佐藤はイスラエルのコネとか、ロシアの友人から得た情報をチラつかせているか、確かめようがないので幽霊の存在を信じるのと同じだ。また、過去の小さな体験を適当に脚色し、神秘さを水増しすれば「いかにも」といった感じになる。口八丁手八丁で“事情通”の演技をすれば、何も知らない一般の日本人なんかチョロいものだ。

  話を戻す。プーチン大統領は乗り気の安倍総理を相手に、「歴史的快挙」となる平和条約の話を持ち掛け、歯舞色丹の二島を返還するだけで、莫大な経済協力を引き出そうと狙っているはずだ。それゆえ、本当に北方領土が返還されるのか、今のところ誰にも判らない。もちろん、日露の交渉が順調に運べば、見かけだけの返還はなされるだろう。しかし、両島の主権は曖昧にされたままだ。もし、日本の領土となれば、自衛隊や米軍の基地を設置しても構わないははずだが、騙すつもりのロシアはこれを承知しないだろう。プーチンが懸念しているのは、北方領土を戦略拠点とする米軍の動きだ。これはロシア海軍にとって重大問題となるから、必ずやプーチンは現地の非軍事化を要求してくる。それに、国内で支持率低下に悩むプーチンにとって、“獲得領土”、すなわち戦利品の割譲となれば、自身の評判を損なう結果になりやすい。ロシアの民衆はいくら善良でも弱い指導者となれば嫌いである。たとえ、残酷でも強力な独裁者の方がいい。スターリンが未だに根強い人気を誇っているのは、イワン雷帝とかピヨートル大帝がロシアの理想的な君主であるからだ。プーチンが米国の反撥を覚悟でクリミア半島の併合を実行したのも、ロシア民族の気質を解っていたからからだろう。

  そもそも、膨張主義はロシアの体質で、プーチンにとっては威厳の源になる。偉大なる皇帝を目指すプーチンにとり、ロシアの経済成長と軍事大国化は必須要件だ。ところが、プーチンは厄介な国内問題を抱え込んでいるから、領土の「削減」は人気を落とす元兇になってしまうだろう。只でさえ、この独裁者は年金の支給年齢を引き上げることでロシア国民の怒りを買っていのに、更なる失点を重ねることは自殺行為に等しい。とにかく、権力を集中するプーチンには課題が山積みだ。例えば、クリミア併合による米国の経済制裁を何とかしなければならないし、原油価格の下落でロシア経済はダメージを受けているから、打開策を模索しなければならない。その一方で、国内の軍需産業を育成するんだから実に大変だ。こうなれば、日本を利用して資金を稼ぐしかない。便利な馬鹿を利用して、ロシア経済を活気づかせ、自分の権力基盤を維持したいと考えても当然。たとえ、日本に歯舞色丹を“返還”となっても、主権を渡す訳じゃないから、プーチンとその側近は「いつでも取り返せる」と思っている。

Iskander 9K720Borei class submarines 2








(左: 9K720イスカンデル  /  右: ボレイ型原子力潜水艦)

  水島社長は支那を牽制するために、ロシアと提携することを主張しているが、ロシアと支那は軍事面で強力関係にあるから、一概に対立関係にあるとは言えまい。今年九月にロシア軍と人民解放軍が「ヴォストク(Vostok / 東)」というコードネームで知られる軍事演習を行った。五日間に亙って行われたこの合同演習には、約30万の兵力と1千機の航空機、3万6千輛の戦車が動員され、1981年の「ザパド(Zapad / 西)」以来の大規模演習になったらしい。(Franz-Stefan Gady, "Russia, Chinese Troops Kick off Russia's Largest Military Exercise Since 1981", The Diplomat, September 12, 2018) 日本の軍事オタクなら、ここぞとばかりにロシアの兵器をじっくりと観察したはすだ。例えば、陸上を移動する短距弾道ミサイルの「9K720イスカンデル(Iskander)」は、固形燃料推進で、「M」「K」「E」といったヴァリエーションがあり、「イスカンデルM」の射程距離は約400から500kmと目されている。(西側の呼称は「SS-26 Stone」) 海軍だと、核弾道ミサイルを搭載したボレイ型(Borei-class / ドルゴルキー級Dolgoruky-class)原子力潜水艦があったし、超長距離地対空ミサイル・システムの「S-400トリウームフ(Triumf)」も投入されていた。それに、「アルマータ(Armata)」シリーズのT-14戦車もあったから、自衛隊のアナリストにしたら興味深い演習だ。

T-14 Armata battle tank 2Sergei Shoigu 2








(左: T-14戦車  / 右: セルゲイ・ショイグ将軍 )

  ということで、九月に行われた「ヴォストク」は刮目すべきシュミレーションであったが、西側の軍事アナリストにとっては、さほど驚くような軍事演習ではなかった。なぜなら、ロシア軍は四年周期で演習を行い、西部(Zapad)・東部(Vostok)・南部(Kavakaz)・中部(Tsentr)の各地区で行っているからだ。今回、「ヴォストク」が注目を集めたのは、演習の規模を拡大し、そこに外国の軍隊を参加させたからである。だが、我々にとって重要なのは、クレムリンが北京と組んでユーラシア大陸を支配しようとする構想である。ロシア国防相を務めるセルゲイ・ショイグ陸軍大将は支那との合同演習に関して、「我々はレギュラー・ベースでこのような演習を行うことを合意した」と述べていた。("Russia says war games with China will be routine", The Military Times, September 12, 2018) 一方、支那軍も合同演習には積極的だ。北京政府の意向を受けた支那メディアは、この軍事演習に投入した第三世代の「99式戦車(ZTZ-99)」を自慢げに報道していた。毎回ウンザリするけど、日本のワイドショーは下らない藝能記事なら熱心に報道するが、日本への脅威となる支那の軍事力に関しては消極的である。これは視聴率を稼げないという理由もあるが、隠蔽工作の根源には局内に北京の指令を受ける人物が存在し、これに加えて支那で商売をするスポンサーがいるということだ。テレビ局の自主規制と検閲は、スポンサーからの圧力という要素も大きい。

支那とロシアの微妙な関係

Vostok 2018 004Vostok 2018 Putin & People's Liberation Army








(左: ロシアと支那の軍人  / 右: 支那軍人と握手するプーチン )

  確かに、ロシアと支那は反目する点が多いけど、軍事面では態度を変えて協力するようだ。水島氏は長い国境線を接する支那とロシアが対立していると述べていたが、支那人がロシアの政治を操れるとは考えにくい。悪党どもは経済面で競争相手になっていても、ちゃっかり水面下で助け合う場合がある。支那人はロシアが日本に食指を伸ばしても平気で、ロシアが日本の税金を巻き上げようとするんなら、自分たちは“もっと”ふんだくってやろうと考えるし、極悪人のロシアと対立するより、甘っちょろい日本や東南アジア、アフリカを先に侵蝕しようと目論む。日本がロシアと経済的な協力関係を築いたからといって、ロシアが支那人を日本から駆逐するわけではない。むしろ、ロシアと支那は2,600マイルの国境を平穏に保ちたいと考えている。 何はともあれ、両国とも敵に対する防禦で忙しい。ロシアはシリアとウクライナに軍事介入をしたせいで米国の批判を受けているし、拡張するNATO軍にも備えねばならず、出費が嵩(かさ)んで大変だ。支那の方はもっと切迫しており、トランプ政権の経済制裁が思った以上に深刻で、国内景気も減速となり意気銷沈どころか青色吐息。習近平は終身独裁官を目指すどころか、自分の将来すら危ない状態だ。

  地上波テレビしか観ていない日本人は気付かないが、ロシアと支那は経済的にも相互関係にある。ロシアは原材料の輸出国で、支那は大量に石油や天然ガスを必要とする輸入国だ。結果的に、支那は2010年以来ロシアにとって重要な得意先となっている。(Alexander Gabuev, "Why Russia and China Are Strengthening Security Ties", Foreign Affairs, September 24, 2018) 水島社長が言うように、ロシア人は支那人の入植(人口侵略)を嫌っているが、だからといって支那と軍事的な敵対関係になろうとは思っていない。これはヤクザ的な見方をすれば解る。例えば、日本という「獲物」を狙っているロシアン・マフィアとチャイニーズ・マフィアがいたとする。猜疑心に満ちた両者は、度々反目するが、実利で歩調を合わせることもある。たとえ、世界戦略で反りが合わなくても、特殊利益で協定を結ぶことは可能だ。もし、ヘロインを扱うロシア人が、コカインを輸出する支那人を嫌い、「あの野郎どもは、俺たちのシマを犯してやがる !」と激怒し、アメリカの警察にコカインの流通経路を密告しても、ロシアの極道が「善良な市民」という訳ではない。また、ヨーロッパの麻薬市場を牛耳るユダヤ人マフィアを撃退するために、ロシアと支那のマフィアが同盟を組み、武器や資金の調達で助け合うこともあるだろう。

  悪党は余程のことが無い限り、相手を殲滅しようとは思わない。たとえ、ロシア人が自分の縄張りを守ることがあっても、それは支那人マフィアを撲滅することには繋がらないし、自国の損害を考慮すれば、全面対決は得にならないと判断するはずだ。それよりも、同類の支那人を上手く手懐けてロシアの国力を温存し、日本から巻き上げたお金で経済発展を画策する方が利口である。ロシアが共産主義を捨てたからといって、ロシア人が日本人みたいに誠実になる訳じゃない。この野蛮人は正義よりも武力を重んじ、強い者が支配者になって当然と考える。いかにもモンゴル人の血が流れるロシア人らしい発想だ。そもそも、流血を伴う戦争で勝ち取った北方領土を、単なる端金(はしたがね)で日本に返すなど言語道断。もし、プーチンが主権まで譲渡すれば、反プーチン勢力の権力が増大し、せっかく築いた独裁基盤が揺らぐことにもなりかねない。だから、日本人には「たとえ二島でも北方領土が戻ったことは慶事だ」と思わせておく方がよい。いざとなれば、軍事行動で日本人を追い払えばいいから、ロシア人はお金だけもらって知らん顔だ。

  水島社長と同じく、ロシア認識で甘いのが馬渕睦夫大使だ。馬渕大使はプーチンをグローバリストに対抗するナショナリストと評して、ロシアの国柄が変わったかのように述べていたが、それは誤解を招きやすい。確かに、プーチンは歐米諸国に巣くうグローバリスト勢力に反抗しているが、それはロシアの覇権を維持したいからである。アメリカの政界にはユダヤ人が跋扈し、天然資源が豊富なロシアを乗っ取ろうと狙っていた。しかも、ロシア国内にはユダヤ人のオリガルヒがいたから、歐米のユダヤ人がこの新興勢力と提携すれば、ロシアはユダヤ人の植民地になってしまう。プーチンがユダヤ系大富豪を石油業界やマスメディアから駆逐したのは、ユダヤ人の手口を熟知していたからだ。つまり、プーチンは自分の縄張りを守っただけ。これを以てナショナリズムと称するのは勝手だが、ロシアが正常な国家になって帝国主義を捨てたわけではない。ロシアは窮地に陥れば領土を返還するが、再び力を附ければ失った領土を奪いに来るし、新たな領土を求めて侵掠を開始する。「一歩後退、二歩前進」がロシアの法則で、これを前提とせず、日本人工作員の宣伝を信じて「プーチンは共産主義時代の政治家ではない」と考えるのは間違いだ。昔から、ロシア人は偽情報を流して外国人を攪乱させることに長けている。安倍総理は上手く外政をやっているつもりだろうが、側近や外務省の中にはロシアの手下が隠れているから注意すべきだ。「安倍外交は素晴らしい」と喜んでいる保守派は、安倍氏が行おうとしている愚行の中身をよく確かめてみるべきだろう。
  


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税逃れを謀った偽善ミュージシャン / 国内で搾取される一般人

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消費税がアップされる理由
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  ここのところテレビ局は消費税アップの話題を以て安倍政権を叩こうとしているが、果たして安倍総理は本気で消費税を10%に上げるつもりなのか? 来年の参議院選挙を考えれば、とうてい増税するとは思えない。第一、再選を迎える自民党の参議院議員が黙っちゃいないだろう。なぜなら、増税を掲げて当選できると信じる馬鹿はいないからだ。だいたい、今までのデフレ経済で日本人の消費マインドがどうしようもなく冷え切っているのに、更なる増税で経済成長が達成できるはずがないだろう。しかし、財務省は何としても増税したいから、「社会保障費を維持するためにも絶対必要です」と宣伝する。役人は日本人の国民性を知っているから、「増税しないと医療や福祉が大変になるぞ」と脅せば、渋々ながらも同意すると踏んでいるのだ。でも、老人への医療費は膨らむばかりで、ちょっとした消費税アップくらいじゃ足りないから、医療や介護に流れる支出を減らすしかない。高齢者は隠居して病気になるよりも、仕事を辞めず「一生現役」の方が幸せだ。

  そもそも、政府は消費税を上げることばかり口にするが、どうして国民は消費税を下げる「選択肢」を要求しないのか。消費税アップの背景には法人税の軽減が隠れており、法人税のパーセンテージがどのように推移したかを見れば分かる。消費税を導入した1989年には、42%から40%へ引き下げられたし、消費税を3%から5%に引き上げた1997年以降には、37.5%から34.5%へと引き下げられている。2012年になると、30%から25.5%へ落ちたし、消費税が5%から8%にハネ上がると、法人税は25.5%から23.9%へと下降した。更に23.4%へと引き下げられている。財務省は国民に知らせないけど、法人税を下げた事によるしわ寄せは、消費税アップに廻っているのだ。

  政府の御用学者は法人税を上げると企業が海外へ逃げ出し、国内の産業が空洞化するぞ、と一般国民を脅迫すればいいと考えている。しかし、法人税が高いからといって「じゃあ、外国に会社を移転しよう」と考える経営者は意外と少なく、海外進出を図る企業は外国に於ける市場の開拓だったりするのだ。(経産省「海外事業活動基本調査などを参照。) 中には「円高で苦しいから」とか「安い労働力を求めて」という理由で海外移転というケースもあるが、移った先の支那で痛い目に遭うことを考えれば、多少苦しくても日本国内で頑張った方がいい。もし、法人税が高くて「やってられない」というのなら、バブル期の1980年代に多くの企業が日本から逃げ出したはずだ。当時の法人税率は52%くらいだったから、今よりも遙かに高かった。

  現在、日本よりも法人税が高い国は五ヶ国あって、OECDの税率データベースによれば、2018年の法定実効税率 は以下の通り。
   1位  フランス       34.43%
   2位  ポルトガル      31.5%
   3位  オーストラリア   30%
   3位  メキシコ      30%
   5位  ドイツ         29.83%
   6位  日本          29.74%
  (アメリカ合衆国の法定実効税率は、断トツだった2017年の38.91%から25.84%へと落ちた。)

  とにかく税制の変化には色々な理由や要因があるけど、今になって法人税の引き下げ圧力が強いのは、強欲な株主が配当金をガッポリ貰いたいからだろう。「会社はオレのもので、社員は単なる家畜」というのが、「モノ言う株主」の考え方だし、外国人投資家にはグローバリストが多いから、日本人の労働者など眼中に無い。投資先から最大限の富みを吸い取ろうと考えるだけ。そして、政治家というのは彼らの資産形成を助ける執事のような役割を担っている。

租税回避を手助けする楽園

Paradise Papers 1Tax Haven 1








  お金持ちと貧乏人の違いは色々あって、大富豪は最小限度の税金しか払わず、国境を跨いで全世界的に商売を展開する。一方、500円玉貯金で小銭を貯める庶民は、きっちりと税金を搾り取られ、国外逃亡どころか他県への引っ越しすら困難だ。地球規模で儲けるビジネスマンは、「タックス・ヘイブン(tax haven / 租税回避地」などを使って“節税”に勤しむ。この軽課税地域については既に様々な書籍が出ているので、一般国民にも馴染みだろう。筆者も学生時代、アメリカの大富豪や財閥などが、どうやって課税を免れていたのかを勉強したことがあるので、富岡幸雄・中央大学教授が『サンサーラ』に連載していた「TAX爆弾発言」を楽しく読んでいた。カリブ海には法人税や相続税が全く無い極楽のような地域があって、バハマ、英領のヴァージン諸島やケイマン諸島、ジャマイカ、ネーデルラント領アンティールなどが有名だ。平成の初め頃、日本の企業もケイマン島で子会社を作り、日本に本店を置く会社が株主になっていたものだ。

  国境を越えた企業の課税は、相手国の税制が絡んでくるので何かと厄介で、国税の役人も追跡を諦めることが多い。富岡教授の連載で面白かったのは、1990年当時、調べたら80近くのタックス・ヘイブンがあったのに、大蔵省は41の指定地域しか把握していなかったのだ。(富岡幸雄 「大企業の『税金のがれ』のメカニズム」、『サンサーラ』 1990年12月号、p.139) まぁ、エリート官僚といっても、日本国内でしか睨みが利かないので、外国の租税回避地は管轄外だ。たとえ判っていても「無駄だよなぁ~」と諦めるのがオチである。富岡教授が規制地域外進出子会社を調べたら1418社もあったそうだ。指定地域には約3000社の日系外国企業があったと確認されたが、野放し地域の数は不明だった。そこで、富岡教授が大蔵官僚に質問すると、野放しの地域には日系企業が存在しないので、指定する必要はありません、との回答であった。しかし、お役人様の答弁には然(さ)したる根拠は無かった。要するに、お上は「面倒な事は訊くな!」と言いたいのだろう。

  脱線したので元に戻す。2017年に「パラダイス文書(Paradise Papers)」が明らかとなって、日本でも結構話題になった。この「パラダイス・ペーパーズ」というのは、タックス・ヘイブン取引に関する電子文書のことで、英領バミューダ島を拠点とする「アップルビー(Appleby)」から流出したデータであるらしい。(‘Paradise Papers : Tax haven secrets of ultra-rich exposed’, BBC News, 6 November 2017) 件(くだん)の「アップルビー」はオフショア投資で上等な顧客を抱える法律事務所。カタギの庶民は「オフショア云々って何?」と首を傾げるけど、簡単に言えば儲けている企業や個人が自国の規制をのがれて、税率の低い、つまり「恩恵」や「特典」がいっぱいの場所に金銭や資産、利益を持って行くことである。

  こう聞けば近所のオバちゃんだって「私もオフショアで税逃れをしたい」と考えてしまうけど、オフショア投資にかかる手数料を知れば「えっ!?」と腰を抜かしてしまうだろう。『Capital Without Borders : Wealth Managers and the One Percent )』を書いたブルック・ハリントン(Brooke Harrington)女史によれば、50万ドルの資産を持つ人でも手数料を払うには充分でないらしい。彼女の話によれば、オフショア投資は人口の1%を占める富裕層ではなく、たった0.001%しか存在しない超大富豪のためにあるという。ボストン・コンサルティング・グループの調べによれば、10兆ドルがオフショア投資に注がれているそうだ。これはブリテンとフランス、日本のGDPを合計した金額にほぼ匹敵する。ただし、この総額でも控えめな数字だという。

  タックス・ヘイブンの存在は我々にとってかなり深刻である。本来、英国や日本に落ちるはずの税金が、別の地域に消えているんだから、その不足分は庶民の懐から取って穴埋めするという事態になりかねない。名も無き庶民は「えぇっっっ!! そんな、ひど~い!!」と不満を口にするが、税務署のお役人様と政治家はお構いなし。色々な税金を乱立させて、チョコチョコ取ればいい。例えば、いきなり徴税人が個人のポケットから10万円を抜き取れば、「テメェ~、俺のカネだそぉ ! 何しゃがるんでぃ !」と喧嘩になるが、1,000円とか500円の課税項目を100個ないし150個作れば問題ないだろう。例えば、食堂で極上天丼を食べたら特別飲食税、クルマを買ったら何とか自動車税、新しい道路を歩いたら通行税、ウィスキーを店内で飲んだらドリンク・イン酒税、とすればいいし、狡猾な議員だと、綺麗な空気を吸ったから環境税、サイクリングをする人には道路通行税プラス自転車保有税、マラソンを楽しむ人にはスピード歩行税とかの課税を考えつくかも知れないぞ。(こうした課税は馬鹿らしいけど、庶民の所得なら半分くらいむしり取っても平気なのだ。)

Gerhard Schroder 1Brian Mulroney 1Charles Koch 1David Koch 2







(左: ゲルハルト・シュレーダー  / ブライアン・マローニー  / チャールズ・コーク  /  右: デイヴィッド・コーク)

  「パラダイス文書」が世界中に暴露されたことで、一般人は有名人の資産運用や租税回避を知ることになった。注目を浴びた人物と言えば、英国のエリザベス女王、ドイツのゲルハルト・シュレーダー元首相、カナダの元首相であるブライアン・マローニー(Brian Muroney)とポール・マーティン(Paul Martin)、ユダヤ人のカジノ王シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson)、マイクロソフト社の共同創業者であったポール・アレン(Paul G. Allen)、「コーク・インダストリーズ」を率いるリバタリアン慈善家チャールズ&デイヴッド・コーク兄弟(Charles & David Koch)などの名前が挙がっていた。藝能人では、女優のニコール・キッドマンやキーラ・ナイトレー、歌手のマドンナやシェリル・クロー、ジャスティン・ティンバーレイクなどがいたという。

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(左: ニコール・キッドマン  /  右: キーラ・ナイトリー)

  しかし、世間が驚いたのは、そのリストの中に「U2」のヴォーカリスト、「ボノ(Bono)」という名前があったことだ。日本のU2ファンなら知っていようが、彼は2007年のG8サミットで貧困に喘ぐ世界の人々について唄い、弱者に優しい善人をアピールしていた。しかし、その裏にある顔は別人で、こっそりと「税逃れ」に勤しんでいたのだ。本名を「ポール・デイヴィッド・ヒューソン(Paul David Hewson)」というアイリス人ミュージシャンは、マルタ島にあるタックス・ヘイブンに郵便箱だけの会社を設立し、そこにお金を流していたのである。そして、この「ヌード・エステイト・マルタ・リミテッド(Nude Estates Malt Limited)」はリトアニアの会社と合併し、ウテナにあるショッピング・センターを580万ユーロで買収していた。この商業施設は利益を上げていたのだが、現地のリトアニアでは税金を一銭も払っていなかったそうである。2012年には、ショッピング・センターのビジネスは、ガーンジー(Guernsey)島に創設された「ヌード・エステイト1(Nude Estate 1)」に移され、この新会社は先ほどのショッピング・センターを“たった”100ポンドで購入したそうだ。(Philip Goff, 'Tax rogues like Bono are harming the world's poorest people', The Guardian, 7 November 2017と'U2 frontman Bono named in Paradise Papers tax evasion leak' , Deutsche Welle, 6 November 2017.)

  ちなみに、このガーンジー島は英仏海峡に浮かぶ英国王室領で、女王陛下の意向を受けた執行官が、代理で管轄する地域である。だが、連合王国には属していないという。ここは元々、第10世紀、ノルマンディー公ウィリアム・ロングソード(William Longsword)が治めていた島で、ブリテン王国の一部というよりノルマンディー公爵の私的領土と考えた方がよい。ウィリアムの父親はあの有名なロロで、ヴァイキングの血を引いていたことになる。この島では税金がほぼゼロで、あっても5%くらい。だから、ボノはここに会社を作って「節税」に励んでいたのだ。

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(左: ヴォーカリストのボノ  /  右: U2のメンバー)

  善人を演出するボノは遣り手の商売人で、「ヌード・エステイト・リミティド」はドイツでもビジネスを展開し、デュイスブルクに10階建てのビルをもっている。もう世間の人々は忘れているけど、世界的な売れっ子バンドのU2は、かつて税金問題で藝能雑誌を騒がせたことがある。2007年、アイルランドを本拠地とするU2は、大好きな祖国が楽曲税の免除を廃止すると、大金をもたらすヒット曲のカタログをアイルランドからアムステルダムに移した。なぜなら、ネーデルラントはミュージシャンへの課税が極めて低く、ほぼゼロに近いからである。(Paula Froelich, 'Irish Bono's boundless hypocrisy', The New York Times, November 11, 2017) ボノたちは祖国で多額の税金を納めてきたし、世界各国で音楽活動をしているんだから、ネーデルラントを納税地にしても違法ではないと反論した。しかし、アイルランドやイングランドの一般人は、U2の投資や節税を「課税逃れ」、あるいは納税の誤魔化しと考えていたそうだ。

  極左分子とも思えるボノは、矢鱈と第三世界の人々に同情的で、アフリカの黒人やアジア地域の下層民に優しかった。2012年、この慈善家もどきのミュージシャンは、家族や手下を連れてマリ共和国のトンブクトゥを訪れた。現地のトゥアレグ族から歓迎されたボノは、調子に乗って「我々は兄弟だ」と叫び、「音楽は戦争よりも強い !」と語っていたそうだ。ステージで天使を演じたスター歌手は、たっぷりと愛想をふりまいて満足しきったのか、さっさとジェット機に乗り込み、マリの首都バマコに向けて去って行った。

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(左: アフリカ人と一緒のボノ  /  右: ボノが乗ったジェット機)

  それから間もなく、トュアレグ族は反政府行動を起こすと宣言した。かくして三ヶ月が過ぎると、アルカイーダがトュアレグ族の叛乱軍を襲撃し、彼らの女を強姦すると、その手足を切断するという暴挙を犯した。さらに、アルカイーダは貴重な古い本を所蔵する図書館に火を点け、単なる灰にしてしまったのだ。ところが、西歐の報道機関は、この惨劇をまったく伝えず、ほぼ無視という状態だった。もっと赦しがたいのは、現地を訪れたボノが何も発せず、沈黙していたことである。普段、チャリティー・コンサートや国際イベントがあれば、「苦しんでいる人々を助けよう」とか「アフリカの貧困を直視せよ」と説教するくせに、マリで起きた虐殺には言及しないなんておかしい。「兄弟」と呼んでいた民族が悲惨な目に遭ったのに、それを知らんプリするなんて冷酷というか、あんまりじゃないか。タックス・ヘイブンや銀行口座に秘蔵する5億9千万ドルを使って可哀想なアフリカ人を助けてやればいいのに。ボノはプライベート・ジェット機を購入するほどの余裕があるのに、手足を失った黒人への人道支援はせず、白人を侮辱する映像制作に熱心だった。(つまり、有色人種のファンに媚びていたということだ。) 人気商売だから仕方ないけど、「アフリカを救え !」と他人に説教するなら、先ず自分の懐からカネを出せ !

大地に根を張る国民が最も大切だ

  ミュージシャンや映画俳優の偽善なんかは珍しくないけど、我々が注目すべき点は、富裕層が国境を跨いで資産を動かすことだ。人気ミュージシャンともなれば、世界各地でコンサートを開き、好きな所で納税を済ませば、合法的に大金を蓄積することが出来る。グローバリストの金融資本家ともなれば、優秀な会計士や脱税アドヴァイザーを雇って、税務署の網をくぐり抜けてしまうだろう。そして、違法な資金を貯め込んだマフィアは、アメリカの大富豪やヨーロッパ貴族から脱税の方法を学びとり、秘密を守る外国に財産を移している。一方、企業に雇われるサラリーマンは、所得の総てを税務署に把握され、根こそぎ税金をむしり取られる。小売店のオっちゃん達はタックス・ヘイブンに売上金を移したくても、外国語がチンプンカンプンだし、第一どうやっていいのか分からない。大根や人参を作っている農民も国際貿易なんか知らないし、金融商品を売買して利益を得るなんて考えたこともないだろう。

  大抵の庶民は日本に根を張り、喜びや悲しみを家族、友人、同胞と分かち合う。そして、人生のほとんどを祖国で暮らし、灰になった肉体は祖国の土に還る。渡り鳥の如き華僑やユダヤ商人とは根本的に違っているのだ。税制で基本となるのは、国家の主体となる一般国民を第一に考えることである。人口の1%を占める者が「節税」で巨額の資産を形成し、残りの90%が苦しい家計に喘ぐ社会は間違っている。中流家庭が豊かになってこそ、繁栄する国家と言えるのではないか。日本が素晴らしいのは、健全な庶民が中心となって国家を支えているからだ。日本の魅力は普通の国民にある。支那をみれば分かるじゃないか。支那が地上最低の国家であるのは、それを構成する支那人が下劣で、近寄りたくない鼻つまみ者であるからだ。なるほど、支那には大富豪がいるけど、その金持ちには人間的な魅力が無い。大金を持っているのに、人格を比較すると、素朴な日本人に及ばないのだ。我が国は皇室と武士と庶民が一体で、互いに「思いやり」を持ちながら暮らしてきたから、高度な文明を築くことができた。重税で民衆を窮乏化させれば、日本の「良さ」は徐々に失われて行くだろう。支那人や朝鮮人並にギスギスした日本人など見たくはない。

  グローバリストが推進する税制は、平民を貧困にする促進剤に等しい。国境の無い世界では、大企業が安い労働者を世界各地から寄せ集め、税金が低い便利な場所で働かせる。外人労務者を輸入する口利き屋、あるいは仲介業者、および移民をこき使って収益を上げようとする経営者は、多民族社会を歓迎するが、そのコスモポリタン的な地域に住もうとしない。莫大な利益を得たグローバリストや株主は、下層民が近づくことが出来ない高級住宅地や、森に囲まれた田園地帯、快適な環境を有する外国の一等地に豪邸を構えたりする。タックス・ヘイブンで儲けた高額所得者は、汗臭い労働者が集う大衆食堂で飯を喰わないし、満員電車に揺られて通勤することもない。また、アジア人やアフリカ人がたむろするドヤ街、支那人が群れる賭場、フィリピン人やタイ人が密集する中古団地とは縁が無く、たとえ目にするにしてもリムジンの窓越しから、といった具合だ。

  ある特定の階級に有利な税制が固定化し、国民の間に所得格差が開くと、富裕層は自らの地位を守るために、多額の献金を通して政治家を買収しようとする。アメリカだと規制の緩い「ソフト・マネー」が人気で、政治家個人にではなく、彼らの政党に振り込まれるから、“いかがわしさ”が薄くなるし、いくらでも大歓迎という「寄贈」になってしまうのだ。100万ドルを献金する投資家と、20ドルくらいしか渡さない平民が対等な訳がない。支持者からの「お願い」は金額によって違ってくる。日本でも対岸の火事ではない。移民を輸入する大手企業は一般国民を犠牲にして儲けようとする。アジア人並の給料になった日系社員は、低所得のアジア帰化人のために更なる社会保障税を払い、貯金すら出来なくなってしまうだろう。そして、支那系や朝鮮系の政治家が台頭し、同胞への優遇政策を実現するから、バラバラな日系有権者はもっと惨めになる。日系日本人は華僑に支配されるフィリピン土人のようになってしまうだろう。一昔前は「アジア人」と「日本人」は別の種族だった。しかし、これからは日本人も重税を払う為に生きる「アジア人労働者」になってしまうかも知れないぞ。
  
 


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