無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

アメリカ合衆国

陰謀論者と白人極右を追跡せよ! / 「自由社会」の終焉 (後編)

「陰謀論者」にされるワクチン反対論者

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  合衆国政府の官僚はNewsGuardだけじゃなく、他の組織にも資金を流していた。国内の治安維持を図る司法省は、国内で増殖する過激派を撲滅すべく、その組織と要員、さらにテロリストの影響を受けて暴力行為に走る不逞の輩を取り締まろうとした。この目的を達成すべく、司法省は「Research on Domestic Radicalization and Violent Extremism」というプログラムを創設し、「国家正義研究所(NIJ / National Institute for Justice)」という部局が運営を任されたそうである。民衆党の政治色が強い司法省は、ここに150万ドルの公金をつぎ込んでいたというから凄い。(Oscar Buynevich, ‘The Department of Justice is Bankrolling the Censorship Industry', Foundation for Freedom Online, January 12, 2024.)

  このプログラムが発足した当初は、米国内に潜むアルカイダやISIS(イスラム国を目指す過激派)の共鳴者、これに加えてソマリア難民に紛れ込んだテロリストを捜索し、その活動を取り締まる目的であった。ところが、その矛先は徐々にアメリカ国民に向けられてしまう。例えば、保守派の共和党員や選挙不正を疑うトランプ支持者、ワクチン接種に反抗する者、移民を嫌う白人ナショナリストなどが監視対象になっていたのだ。

  学校の教育で朱色に染まった日本人は、1917年の移民法や1924年、1965年の移民法改正で滅茶苦茶になったアメリカばかりを観ている。ジョン・F・ケネディーやネイサン・グレイザー(Nathan Glazer)などの「アメリカ史」を鵜呑みにしているから、“変質”したアメリカしか頭に浮かばないのだろう。元々、アメリカ大陸にはイングランドやスコットランドの臣民が移住し、新たな大陸で地方自治を営んでいた。ところが、本国の政治家どもが「イングランド臣民の権利」を侵害したから、入植地の開拓者激怒し、母国に叛旗を翻す結果になったのだ。左巻きの大学教授は「人権」云々を口にするが、入植地のイギリス人が聞いたら、「無国籍浮浪者(コスモポリタン)の権利って何だ?」と尋ねてしまうだろう。

  しかし、ホレス・カレン(Horace M. Kallen)とかジョン・ハイアム(John Higham)、オスカー・ハンドリン(Oscar Handlin)、イスラエル・ゴールドシュタイン(Israel Goldstein)、ユージン・クリッシャー(Eugene Kulischer)、マーク・ウィシュニッツァー(Mark Wischnitzer)といったユダヤ人の影響もあって、いつの間にかアメリカ合衆国は「移民の国」と評されるようになった。それゆえ、「アングロ・アメリカ」や「ヨーロッパ・キリスト教文明のアメリカ」を望む西歐系アメリカ人は、「レイシスト」のレッテルを貼られ、「頑固者(bigot / 偏屈者)」と呼ばれしまう。また、「アイリス系やスラヴ系の移民なら受け容れてもいい」と述べる寛容な白人でも、「ユダヤ人やアラブ人、アフリカ系の移民とかは厭だ」と拒絶すれば、排他的な「外人嫌い(xenophobia)」と罵られる。

John Higham 21Horace Kallen 22Israel Goldstein 223Mark Wischnitzer 1








(左 : ジョン・ハイアム / ホレス・カレン  /  イスラエル・ゴールドシュタイン  /  右 : マーク・ウィシュニッツァー)

  国家の基本を忘れたアメリカ人は、ビザンツ帝国の「新ローマ人」と似ている。コンスタンティノポリスの「ローマ市民」といっても、ギリシア人とかシリア人、フェニキア人が混ざっているんだから、エトルリアやサビーニ系のローマ貴族じゃない。ディオクレティアヌス帝なんてオリエントの君主みたいだし、セプティミウス・セウェルス帝は父方の家系でフェニキア人だった。後継者のカラカラ(Lucius Septimius Bassianus)帝に至っては、母方の血筋でアラブ系、あるいはシリア系と言われている。東ローマ帝國は人種の坩堝で、民衆の中にユダヤ人やシリア人、トラキア人、スキタイ人、浅黒いアフリカ人が混ざっていても珍しくはない。

  だいたい、今世紀のアメリカは国家を構成する公民の「質」が劇的に変化している。これなら、「NIJ」が民衆党やグローバリストの意向を忖度しても当然だ。NIJの分析官からすれば、ヨーロッパ系の愛国者は「国粋主義の白人過激派(white nationalist extremism)」としか思えないし、保守派の集会や抗議デモに参加する白人は、「危険分子」でしかない。司法長官のメリック・ガーランド(Merrick Garland)や元下院議長のナンシー・ペロシ(Nancy Patricia Pelosi)からすれば、ドナルド・トランプ大統領は不倶戴天の敵である。となれば、トランプを支援する白人なんて、暴漢やテロリスト集団と一緒だ。普通の日本人が聞けば、こんな分類や判断は乱暴だが、左翼に乗っ取られたアメリカだと、ちっとも不思議じゃない。

  FBIやNIJの監視チームは、“不都合な事実”を暴露するジャーナリストや“忌々しい”評論家、バイデン政権やネオコンの政策に反対する“保守派国民”を撲滅したいのだろう。この目的を遂行するため、彼らは政治プロパガンダを用いることにした。インターネット上で検閲を実施する審問官は、三つのカテゴリー(MDM)を設けることにした。

  ① 誤った情報を伝える者(mis-information)
  ② 間違った論拠である出来事や人物などを報道し、毀損する目的で情報を捏造する者
            (dis-information)
   ③ 事実に基づくが偏見や憎悪、気概を加える目的で情報を拡散する者(mal-information)

  公的部門である「NIJ(国家正義研究所)」は、こうした有害情報を摘発し、世間に注意を喚起するため、教育機関を利用することにした。NIJはサウス・カロライナ州にあるクレムソン大学(Clemson University)に100万ドルの資金を流したという。この補助金を得たクレムソン大学は、「クレムソン大学メディア鑑識本部(Clemson University Media Forensics Hub / CUMFH)」を設立し、「ソーシャル・メディア調査センター(Social Media Listening Center / SMLC)」と組んでインターネット上の言論や情報を監視しているそうだ。

  最近、クレムソン大学は“過激分子”が撒き散らす“誤情報”や“偽情報”を効果的に探知する「Networks and Pathways of Violent Extremism : Effectiveness of Dis/Misinformation Campaigns」というプロジェクトを発足させたという。でも、こんな検閲機関を耳にすれば、何となくジョージ・オーウェルの「ビッグ・ブラザー」や「真理省」が頭に浮かんでくる。スケールが小さくなるけど、日本でも他人の詮索を好む人がいて、「分別ゴミ」の出し方にうるさいオバちゃんはやかましい。例えば、可燃ゴミの袋を開けて、中に金属片とかペットボトルが入っていると、誰が持ち込んだのかを詳しく調べる。もし、何らかの廃棄物(住所や名前が書いてある紙切れなど)が発見されれば、それが手掛かりとなって「違反者」が特定される。叱責された人は「どうして判ったの?」と驚く。オバちゃん探偵、恐るべし。

Patrick Warren 1Darren Linvill 11(左 : パトリック・ウォーレン / 右 : ダーレン・リンヴィル )
  話を戻す。都合の悪い偽情報を排除すべく、大学の研究室を取り仕切るのは、パトリック・ウォーレン(Patrick Warren)とダーレン・リンヴィル(Darren Linvill)という二人の専門家である。彼らは上院の諜報委員会や国土安全保障省、司法省の下部組織、陸軍のサイバー司令部で働いたことがあるというから、“色附”のエキスパートに違いない。また、ウォーレンの方は陸軍とか軍需産業と関わりが深い有名なシンクタンク、「ランド研究所(RAND Corporation)」の客員研究者を務めていたというから、政府の役人と“昵懇”なのは明らかだ。

  ウォーレンとリンヴィルはバイデン政権を支援するためなのか、検閲プロジェクトを発足させ、2021年に「国家科学財団(National Science Foundation)」から75万ドルの奨励金を受けていた。さらに、2022年には500万ドルの追加支援を受けていたから、“いかがわしい”サイトの摘発に熱心なのも頷ける。彼らの「CUMFH」は「ナイト財団(Knight Foundation)」からも380万ドルの献金を受け、国内の過激派分子に目を光らせている。

John & James Knight 3243Charles Knight 554Herman Ridder 22







(左 : ジョン&ジェイムズ・ナイト /  チャールズ・L・ナイト /   右 : ヘルマン・リッダー)

  ちなみに、この財団はTVドラマ『ナイト・ライダー(Knight Rider)』に出てくる慈善団体じゃなく、「The Akron Beacon Journal 」紙を発行したジョン&ジェイムズ・ナイト(John Knight & James Knight)兄弟が創った財団だ。ホント、冗談に聞こえてしまうが、ジョン・ナイトが設立したメディア企業は、偶然にも「ナイト・リッダー(Knight Ridder)」という社名だった。これは共同創設者がヘルマン・リッダー(Herman Ridder)という相棒だったから、彼の名前を附けたという訳だ。でも、日本人の子供が聞けば「ナイト・ライダー」と勘違いするかも知れないぞ。とにかく、メディア業界の財団が、アメリカの言論弾圧に関与するなんて驚きだ。先代(父親)のチャールズ・L・ナイト(Charles Landon Knight)が聞いたら、どう思うのか。

Richard Lee Rogers 22(左  / リチャード・リー・ロジャーズ )
  司法省は他の機関にも資金を流しており、ヤングズタウン州立大学(Youngstown State University)のリチャード・リー・ロジャーズ(Richard Lee Rogers)教授が指揮を執る「COMEC / A Frame Analysis of Violence and Accelerationism in Cognitive Radicalization(つまり、過激行動に走る奴らの分析)」というプロジェクトに44万9千897ドルを渡していたのだ。ロジャーズ教授はこのプロジェクトを別のプロジェクトである「Frames of Misinformation, Extremism and Conspiracism」と合併させて任務に励んでいるそうだ。要するに、このプロジェクトは偽情報や過激思想に染まる者、あるいは馬鹿げた噂を真に受け、それを拡散する連中を特定し、「危険ですよ!」と知らせるパトロールなんだろう。
 
  「COMEC」がやっている具体例を挙げるとすれば、COVID-19(武漢ウイルス)に関する“偽情報”の分析と警告だ。民衆党や製薬会社の利益を忖度するロジャーズ教授は、トランプ支持者の陰謀論やワクチン接種に反対する”白人の過激派”を非難していた。つまり、彼の標的になるのは、MAGA(アメリカを再び偉大にする)運動に賛同する白人や福音派の白人キリスト教徒、非福音派のプロテスタント信者、ヒスパニックじゃない白人のカトリック信者などである。もちろん、共和党支持者や白人ナショナリスト以外にも「要注意人物」がいて、ワクチン接種に反対するロバート・F・ケネディー・ジュニア(Robert F. Kennedy, Jr.)なんかは、リベラル派であっても、アメリカ社会を毀損する有害人物だ。

Steve Kirsch 3456(左  / スティーヴ・カーシュ )
  武漢ウイルスやその変異株が世界中で猖獗を極めた時、新型ワクチン(mRNAワクチン)に対して疑問を投げかけたり、その副作用を懸念する者は、その社会的地位にかかわらず、一括して「陰謀論者」と評されることが多かった。例えば、シリコン・ヴァレーで財を成したスティーヴ・カーシュ(Steve Kirsch)は、典型的な「アメリカ社会への脅威」だ。彼はMIT(マサチューセッツ工科大学)で数学や工学を勉強したビジネスマンで、光学マウスの初期タイプを開発した人物。さらに、この起業家は「Frame Technology」社を設立し、それを売却後、「Propel Softwar社」のCEOになっていた。

  ところが、カーシュ氏は“ある事”が切っ掛けで、銭儲けの道から逸脱する。彼は100万ドルの私財を投じて「COVID-19早期治療財団(Covid-19 Early Treatment Fund /CETF)」を創設した。そもそも、カーシュ氏が遺伝子ワクチンに疑問を持ち始めたのは、彼が“異常な死亡例”や“深刻な副作用”を耳にしたからだ。疫病が流行した当時、カーシュ氏も政府や製薬会社を信じ、モデルナ社のmRNAワクチンを接種したそうだ。しかし、有り難い“お注射”を打ってから間もなく、彼は知り合いの女性から信じられない死亡例を耳にする。彼女の親戚三名は、接種後1週間で全員亡くなってしまったのだ。理系のカーシュ氏からすれば、「そんなのは統計的に有り得ない!」と言いたくなる。だが、“事実”だからしょうがない。

  それから1週間が経つと、カーシュ氏はカーペットの清掃人から再び「ワクチンの被害」を聞くことになった。たまたま、この清掃人がマスクをしながら仕事をしていたので、カーシュ氏は「ワクチン接種をしたんだから、マスクの必要は無いじゃないか?」と述べたらしい。すると、質問された清掃人は、自身の体験談を語ったそうだ。彼はワクチン接種後に心臓麻痺を起こし、直ちに病院へと搬送され、その夜は安全を考えて病院で過ごしたという。「今まで健康だったのに、注射を打ってから急に激痛が起こるなんて恐ろしい。もう御免だ!」と述べていたから、カーシュ氏は非常に驚いたという。

David Boulware 11(左  /  デイヴィッド・ボウルウェアー)
  こうした話に衝撃を受けたカーシュ氏は、ワクチンの“謎”を解明すべく、ウイルス学の研究者や医療の専門家を雇ったそうだ。ところが、招き寄せた科学者達は、新薬の正体を暴くどころか、むしろ調査を依頼したカーシュ氏の方を批判する有様だった。ミネソタ大学で研究に携わるデイヴィッド・ボウルウェアー(David Boulware) 氏は、CETFから12万5千ドルをもらって新薬の調査を行ったが、雇い主が期待する結果をもたらさなかった。ボウルウェアー氏はカーシュ氏の反ワクチン論と対立し、二人の間には軋轢が生じていたという。 (Cat Ferguson, 'This tech millionaire went from covid trial funder to misinformation superspreader', MIT Technology Review, October 5, 2021.)

Douglas Richman 324(左  /  ダグラス・リッチマン)
  病理学や医学を専攻するカルフォルニア大学教授のダグラス・リッチマン博士(Dr. Douglas Richman)も、カーシュ氏に対しては批判的で、薬学やウイルス研究の科学者気取りを窘(たしな)めていた。リッチマン博士はCETFの評議会に属していた元アドヴァイザーであるが、財団の姿勢には従わず、カーシュ氏の“誤った情報(misinformation)”は公共衛生にとって脅威である、と述べていた。(William Bredderman, 'Tech Tycoon Dangled a COVID Cure—Then Went Full Anti-Vaxxer', Daily Beast, October 01, 2021.) 

  日本でも2021年から2022年の間は、新型ワクチンに対する疑惑や拒絶は「タブー」とされ、YouTubeとかツイッターで反対論を表明すれば、ウィルス学者や大学教授、医療関係者、政治家、地政学者、評論家などから小馬鹿にされ、「無知蒙昧の輩」とか「陰謀論に嵌まったド素人」といったレッテルを貼られるのかオチだった。専門家の中には密かに疑問を抱く善人もいたけど、ほとんどは中立を装っていた。特に、若手の学者だと、所属先からの譴責や製薬会社からの“仕置き”が怖くなる。だから、「臭い物には蓋」ということで、ほとんどの者が“仏像”になり、口をつぐんでいた。現役のウイルス研究者で正直に見解を述べていたのは、京都大学の宮沢孝幸准教授くらいで、あとは現役を引退した井上正康・大阪市立大学名誉教授とか福島雅典・京都大学名誉教授など、ごく一部の勇気ある“異端者”だけである。

Oishi 7772(左  / 大石邦彦 )
  ところが、国民のワクチン接種が進むにつれ、ワクチンの副反応で死亡したり、身体障碍者になる人々が出てきたので、段々と「ワクチン反対!」の声が増えてきた。ローカル放送局のCBCは独特で、在京キー局とは大違い。局アナの大石邦彦は圧力をはねつけ、厚労省の統計や研究論文を以て疑問の声を上げていたから、本当に偉い。彼の番組はYouTubeでも視聴できる。大石氏と制作スタッフは、ワクチン接種の被害者を紹介し、国会議員や厚労省が隠蔽する“不都合な真実”を伝えていた。

  例えば、妻を亡くした吉田史郎(54歳)さんの悲劇は、聞いているだけでも辛くなる。夫人の吉田紀子(49歳)さんは、2021年7月15日にワクチン接種を受け、その後、急に具合が悪くなり、9日後の7月24日に息を引き取ったそうだ。それまで健康だった紀子さんは、なぜか「脳内出血」を引き起こし、医者も原因が分からぬまま“還らぬ人”に。担当医から「解剖しても無理でしょう」と言われた夫の史郎さんは、その言葉を信じてしまい、司法解剖を依頼せず、夫人の遺体を荼毘に付してしまった。しかし、後に彼は被害者の団体を知るようになり、何もしないまま火葬にしてしまった事を悔やんでいる。もし、何らかの検案がなされていれば、国家賠償を求める訴訟も可能になったはずだが、吉田氏は「後悔先に立たず」で泣き寝入りするしかない。この他にも様々な不幸があって紹介しきれないが、いくら「仕方ない」とはいえ、主流メディアしか知らない一般国民は本当に憐れだ。

  おそらく、永田町の政治家やキャリア官僚、および厚労省の技官、大企業の重役などは、事前にこの特効薬が危険であることを知っていたのだろう。岸田総理は7回も接種を受けたのに、なぜか元気溌剌、健康そのもので、副作用で悶え苦しんだという噂が無い。しかも、低支持率なのに意気揚々だ。あの注射に入っていた“液体”は、一般人が接種したワクチンと同じ成分だったのか? 御用学者とか河野太郎は、熱心にこの“注射”を世間に勧め、テレビを観た国民は矢鱈と有り難がるが、彼らが透明な液体の成分を肉眼で識別できるとは思えない。だいたい、新薬の実験結果を隠蔽し、医療訴訟にも一切応じないなんて怪しいぞ。

  娯楽番組の「お笑いウルトラ・クイズ」や「どっきりカメラ」なら“ヤラセ”でいいけど、ワクチン接種や大統領選挙、代理戦争、暗殺事件で情報操作や隠蔽工作なんて言語道断だ。今月、ロシアのアレクセイ・ナワリヌイが獄中で死亡したが、これだって誰が暗殺したのか判らない。歐米と日本のマスコミは「プーチン大統領の仕業です!」と報じていたが、あの計算高いプーチンが、わざわざ自分のイメージを悪くするような暗殺命令を発するのか? 日本の一般国民はテレビ局の報道を信じているが、「デルタフォース(合衆国陸軍特殊部隊)」や「シールズ(合衆国海軍特殊部隊)」の隊員だと「MI6の差し金じゃないのか?」と笑って答えるだろう。

  偏差値の高い大学を出た“お坊ちゃん”や“お嬢様”は、NHKの報道番組を鵜呑みにするが、戦争の裏舞台では様々な策略があるんだよ。テレビ局の裏側についてなら、バラエティー藝人、出川哲朗の方が詳しく、“どっきりリカメラ”と事前に分かっていても、制作者のことを考えて真剣に驚くんだから。テレビ局の「ヤラセ」に興味がある人は、ぜひテレ朝の「川口浩探検隊」を観てもらいたい。凄いんだから。さすが、慶應義塾の幼稚舎で育ったタレントは、本当に才能があった。
  
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密かな検閲が横行する米国 / 「自由社会」の終焉 (前編)

敵の資金源を絶て!

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  テレビと新聞が主な情報源だった第20世紀とは違い、今世紀はインターネットが普及し、一般人でも多種多様な情報を入手できるようになった。しかし、AI(人工知能)と連動したデジタル社会が発展すると、政府やグローバル企業によるインターネットの規制や弾圧がしやすくなる。また、Googleが“気に入らないサイト”を意図的に排除し、“推奨したいサイト”を優先的に提示すれば、一般人は無意識のうちに誘導されるし、情報操作や隠蔽工作にも気づかない。

  そもそも、大衆は真偽を見分ける能力が欠けているので、どうしても役所や大手メディアの情報に頼りがちだ。テレビの報道番組だって、どの事件を取り上げ、どのニュースを排除するかは、プロデューサーや局長の意向で決まるから、視聴者は重要な事件が意図的に無視されているとは思わない。それに、自ら選んでいるように思っても、巧妙な宣伝に左右されているから、「騙された!」と気づいた頃には手遅れとなっている。

  一般的に、普段の仕事で忙しい国民は、軍事・外政・金融・医療などに詳しくないから、テレビや新聞に出てくる大学教授とか、高度な知識を有する専門家の意見を拝聴する。よく中小企業のオヤジ達が、日経新聞を読んで景気の動向や株式市場の話を自慢げに語るが、そんなのは日経記者の勝手な見解に過ぎず、基本的には財務省の官僚から聞いたレクチャーを“ちょっと”だけ変えて記事にしているだけだ。この新聞は財務省のマウスピースを演じる民間の官報である。

  ソフトな全体主義に陥ったアメリカでは、主流メディアによる情報操作が有名だが、インターネット上でも政府や左翼陣営による大衆扇動が着々と行われている。

  例えば、日本ではあまり知られていないけど、「ニューズガード・テクノロジーズ(NewsGuard Technologies)」社は、政府機関と繋がり、天下り官僚を迎えてインターネット関連事業を展開している。この会社が提供する「ニューズガード(NewsGuard)」は、様々なニュース・情報サイトを評価するレイティング・システムで、誤報や偽情報を探知・追跡するサービスが「十八番(おはこ)」となっている。ニューズガード・テクノロジーズ社は、色々なサイトのレイティングを行うことで、お客様に“安全性”を提示するそうだ。インタールット広告を出す企業にとり、どんなサイトに広告を載せるかは重要事項である。もし、変なサイトに自社製品の宣伝広告を出したら、ブランドに傷がついてしまうので、事前にどんなサイトか確かめねばならない。「NewsGuard」はソーシャル・メディア・プラットフォーム、検索エンジン、サイバー・セキュリティー会社、政府機関に対しても、「安全性」のレベルを提示しているそうだ。

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  ところが、この「NewsGuard」は“中立・公正”な審査会社でしなかった。この会社は合衆国政府と親密な関係を持っており、ペンタゴンから約74万9千ドルの資金が流れていたのだ。(‘NewsGuard Strategy Revealed : Financial Throttling, Virality Suppression, Institutional Partnerships',  Foundation for Freedom Online, January 6, 2024. 「USASpendin.Gov」の「Award Profile」も参照。) 普通のアメリカ国民は知らないけど、「NewsGuard」は左翼リベラル派の“検閲機関”となっている。黒人やヒスパニック、アジア人、LGBTQの団体やリベラル派のサイトには妙に甘くて、密かな支援を与えているくせに、“保守派国民”や“右翼メディア”には非情に厳しく、レイティングを下げて排斥しようと躍起になっている。

  この策略を補強するため、NewsGuard Technologies社は“兵糧攻めの閻魔帳(financial blacklisting)”を用いている。つまり、「気に食わない連中」や「保守派の白人グループ」、「政府の方針に従わない頑固者」などが運営するサイトを見つけると、ご自慢のブラックリストに載せ、「危険思想のサイト」に指定するのだ。もし、NewsGuardから「偽情報・誤報のサイト」といったレッテルを貼られたら、保守派メディアや個人営業の発信者は広告収入が激減し、運営の危機に陥ってしまうだろう。日本のYouTuberでも意図的な“広告剥がし”で頭を悩ませる人はいるはずだ。

  こうした“嫌がらせ”や“間接攻撃”を受けた個人や弱小団体は堪ったもんぢゃない。企業からの広告収入だけで細々と営業している個人だと、直ぐに資金が枯渇し、サイトの閉鎖を考えることもあるだろう。米国の保守派言論人も窮乏化作戦に喘いでいる。彼らは「広告剥がし」だけじゃなく、電子マネーの決済も拒絶されるから大変だ。例えば、独立系の評論家やジャーナリストが、有料メール・マガジンを配信して資金を稼ごうとしても、PayPalやVISA、MASTER Cardなどが取引を拒否するから、一般読者は購読の振り込みが出来なくなる。

Peter & Lydia Brimelow 111(左 / 赤ん坊を抱くピーター・ブリメローとリディア夫人 )
  実際、ピーター・ブリメロー(Peter Brimelow)氏が運営する保守系サイトの「VDare」も被害に遭っている。ブリメロー夫妻のツィッターやフェイスブックは全て削除され、アカウントは凍結・閉鎖処分になっているのだ。リディア(Lydia Brimelow)夫人は最近、タッカー・カールソン(Tucker Carlson)の番組に出演し、様々な嫌がらせや妨害工作があったことを説明していた。

       かつて「Barron's」誌や「Fortune」誌で働いていたブリメロー氏と、「VDare」のレギュラー執筆陣は、発足当時から移民問題を取り上げ、不法侵入者や違法滞在者の批判を繰り返していた。それゆえ、彼らはNewsGuardや他の左派メディアから格好の攻撃目標にされ、様々な罵詈雑言を受けてきた。南米からの密入国者や強盗・殺人を平気で行う黒人を批判すれば、どんなアメリカ白人でも直ちに「極右(far right)」と見なされ、「白人至上主義(white supremacy)」の焼印を押されてしまうのだ。

Ann Coulter  22Patrick Buchanan 1233Sam Francis 4329Jean-Philippe Rushton 664








( 左 : アン・コールター / パトリック・ブキャナン  /  サム・フランシス  /  右 : ジャン・フィリップ・ラシュトン )

  「アメリカン・ルネッサンス(American Renaissance)」を運営するジャレッド・テイラー(Jared Taylor)氏も同様で、彼とその仲間はKKKやネオナチの類いと規定されているのだ。左翼分子や黒人、ヒスパニックからすれば、「VDare」に寄稿するパトリック・ブキャナン(Aptrick Buchanan)やアン・コールター(Ann Coulter)、「アメリカン・ルネッサンス」に賛同したサム・フランシス(Samuel Todd Francis)やジャン・フィリップ・ラシュトン(Jean-Philippe Rushton)教授も優秀で紳士的な知識人であったのに、「白人至上主義者」のレッテルを貼られてしまった。テイラー氏は主流メディアからの取材も受けるが、大半の取材記者は彼を「極右」扱いにして、視聴者に否定的な印象を植え付けようとする。

  また、テイラー氏もYouTubeから排除され、動画配信で稼ぐことが出来なくなった。さらに、テイラー氏は「広告剥がし」だけじゃなく、Googleの検索エンジンからも阻害され、通常の検索では彼の主張記事や動画サイトは現れない。ただし、彼を批判する大手メディアや左翼記事なら優先的に表示される。日本育ちで日本語を流暢に話すテイラー氏は、非常に知能が高く、理性的に話をする人物だから、SPLCが宣伝するような極右分子じゃない。(以前、筆者はテイラー氏から連絡をもらい、彼が来日した時に東京のホテルで会ったけど、「紳士的なアメリカ人」という印象しか持たなかった。)

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(左 : ジャレッド・テイラー  /  右 : ケヴィン・マクドナルド)
  「Occidental Observer」を運営するケヴィン・マクドナルド博士(Dr. Kevin MacDonald)も被害者の一人で、彼はユダヤ人の民族意識や反西歐的言論、そしてユダヤ人の独特な左翼活動を批判したので、「反ユダヤ主義者」のレッテルを貼られてしまった。彼もクレジッカ・カード会社から排斥されてしまい、電子マガジンや学術雑誌の販売が困難になってしまった。NewsGuardが狙った通り、マクドナルド氏のサイトは資金繰りが難しくなっている。彼を苦しめるのは金融業者だけでなく、極左組織の連中も様々な手段で攻撃を繰り返している。例えば、「SPLC(南部救貧法律センター)」で中心的役割を担っていたハイディ・ベイリッチ(Heidi Beirich)とマーク・ポトック(Mark Potok)は、マクドナルド氏を執拗に攻撃していた。(ベイリッチとポトックはユダヤ人の極左分子。別の機会で述べたいが、SPLCは警察にも攻撃を仕掛ける過激派を抱えていた。) また、全米で絶大な影響力をふるうユダヤ人組織の「ADL(名誉毀損防止同盟)」も総攻撃に加わっていた。元会長のエイブラハム・フォックスマン(Abraham H. Foxman)がADLを引退すると、後継者のジョナサン・グリーンブラット(Jonathan Gleenblatt)が新たな糾弾者となっていた。

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(左 : ハイディ・ベイリッチ/  マーク・ポトック / エイブラハム・フォックスマン /   右 : ジョナサン・グリーンブラット)

Steven Brill 11(左  /  スティーヴ・ブリル)
  検閲と排除を商売にする「NewsGuard Technologies」は、2018年に二人のユダヤ人、スティーヴ・ブリル(Steven Brill)とルイス・ゴードン・クロヴィッツ(Louis Gordon Crovitz)によって創設された。(註 / クロウィッツ氏が自身の民族性に触れることは滅多にない。) ブリル氏は一応「ジャーナリスト」を名乗っているが、どちらかと言えばメディア商人で、彼は1970年代に月刊誌の「The American Lawyer」を創刊し、1990年代には犯罪ドキュメンタリーや裁判とか法律の番組を放映するケーブル・チャンネル「Court TV」を運営していた。さらに、彼は政治問題を監視・糾弾する「Brill's Content」なる雑誌を発行し、「Contentville」というサイトで書籍販売も手掛けていたそうだ。

Gordon Crovitz 11(左  /   ルイス・ゴードン・クロヴィッツ)
  共同創設者のクロウィッツは元々、「ウォール・ストリート」紙の編集や「ダウ・ジョーンズ」の副社長を務めていた人物である。後に、彼は「Consumer Media Group」を創設し、インターネット報道や広告、マーケティング、出版などの営業に精を出していた。クロウィッッはダウ・ジョーンズを去ると、2009年に「Journalism Online」を創設するが、2011年にはこの会社を「RR Donnelley」に売却した。

  クロウィッツは如何にもリベラル派のユダヤ人らしく、国境の無い自由な社会を好んでいた。彼がまだウォール・ストリート・ジャーナル紙に勤めていた頃、同社は1984年に移民問題を取り上げ、いくつかの記事を載せていた。その時、クロウィッツは“匿名”で「In Praise of Huddled Masses」(1984年7月3日)という記事を書いていた。それから30年経った2014年、彼は同紙に「The Case for Open Borders」というオピニオン記事を寄稿し、30年前から国境開放を唱えていたのだ、と打ち明けていた。それなら、1984年当時に堂々と本名を明かして、「移民歓迎」を主張すればよかったじゃないか! 正体を隠したまま無責任な記事を撒き散らすなんて卑怯だ。

    つくづく厭になるけど、ユダヤ人には渡り鳥みたいな民族で、「世界市民(地球規模の浮浪者)」を理想とする者が多い。例えば、「The New Colossus」という詩で有名な作家のエマ・ラザルス(Emma Lazarus)も、同胞の利益を擁護する民族主義者だ。彼女はロシアでポグロム(ユダヤ人への迫害)に苦しむユダヤ人に同情したので、米国の門を緩くすることに熱心だった。ラザルスは地元のNYに「Hebrew Technical Institute 」を創り、英語が不得意なユダヤ移民のために言語レッスンを与えていたという。

  1998年に亡くなったジュリアン・サイモン(Julian Lincoln Simon)教授も、国境を越えた非西歐人を温かく迎えるユダヤ人学者であった。彼は経済学を専門としたが、移民問題にも関心があり、『Newsweek』誌(1984年2月27日号)に「国境を閉じるな(Don't Close Our Borders)」という記事を寄稿し、世間に対し「移民が激増することはない、大丈夫!」という催眠術を仕掛けていた。しかし、移民は減少することなく、合法目非合法を問わず非西歐系の移民は増え続け、今ではムスリム難民や不法移民が当たり前となっている。

Emma Lazarus 3244Julian Simon 001Jacon Javitz 222Frank Lautenberg 32








(左 : エマ・ラザルス  / ジュリアン・サイモン  /  ジェイコブ・ジャヴィッツ /  右 : フランク・ラウテンバーグ )

  その他にも、移民法の改正に取り組んでいた下院議員のジェイコブ・ジャヴィッツ(Jacob Javitz)や、ソ連から逃れてきたユダヤ移民を大量に受け容れた上院議員のフランク・ラウテンバーグ (Frank Lautenberg)、移民推進八人衆の一人であった民衆党のチャックシューマー(Charles Schumer)上院議員、昔からユダヤ難民を呼び寄せているHIAS(ヘブライ移民支援協会)、戦後のユダヤ難民を支援していたAmerican Jewish Joint Distribution Committeeなど、目が眩むほど多くの組織や個人が存在していた。

Michael Hayden 324( 左 /  マイケル・ヘイデン)
  話を戻す。NewsGuardはツィッターやフェイスブックとダッグを組んでいたが、この左翼組織には有力な顧問団が控えていた。アドヴァイザーの中には、NSA長官やCIA長官、National Intelligence長官を歴任したマイケル・ヘイデン(Michael Hayden)が混じっているんだから、誰だって「なぜ国防総省からの資金が入っているのか」が分かるじゃないか。プーチン大統領とのインタヴューを実行したタッカー・カールソンが怒っていたけど、彼の電子メールはNSA(国家安全保障省)に傍受され、“極秘”にしていた交渉や友人との私的な会話は政府に“筒抜け”となっていた。

  一応、米国では国民が有する「言論の自由」や「個人のプライヴァシー」は保護され、不当な干渉を受けないはずだが、カールソン氏のインタヴューを危惧したNSAは、民間人の通話を盗聴し、自由なはずの取材活動まで邪魔していたのだ。冷戦時代、米国は「自由主義世界のリーダー」を誇っていたが、冷戦が終わると皮肉な事に「豊かなソ連」になっていた。ロナルド・レーガン大統領の時代なら、盗聴なんかは許されない暴挙、あるいは権利の蹂躙と判断され、NSAの長官や担当者は厳しく叱責されたであろう。でも、今はバイデン政権だから、いくら嘆いても無駄である。

  後編へ続く。

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