無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

偉人伝/人物評論

辻元には針ネズミを投げつけろ ! / 極左議員が見た現実は妄想だった

教科書に載せて全日本人に知らせたい現代史 支那人の卑史 朝鮮人の痴史
黒木 頼景
成甲書房


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憲法を用いた反日思想

Black Hawk Down 4











  先月、アホらしいけどセクハラ官僚に抗議する野党議員の「#MeToo(ミー・トゥー)」運動を取り上げた。この下らない騒動に賛同する女性議員の中に、立憲民主党の辻元清美を見つけた一般国民は、「また、あの女か !」と呆れ返ったことだろう。「女」が絡むと妙に興奮するのか、蠅のように飛んでくる辻元。「セクハラは許せなぁ~い !」と声を荒げる辻元のような議員を目にすると、「お前らはそんなに魅力的なのか?!」と野次を飛ばしたくなる。その上、ゴールデン・ウィークを含めて17日間もの「休暇」を取るなんて非常識だ。確かに、男から性的な嫌がらせを受けたり、尻や太腿を触られたりする女性は可哀想だが、女性の全員が被害者になる訳じゃない。中には一生“安全”な女性もいるはずだ。さらに、その中には嘘までついて、「私もセクハラを受けました !」と見栄を張る者もいるだろう。自由主義社会のみならず、不自由な共産主義国にだって、淫乱の自由はある。つまり、助平オヤジにも「選択の自由」があるということだ。辻元の顔を見れば、痴漢だって倫理的となり、女性から遠ざかる「紳士」になるだろう。

Tsujimoto 1( 左 / 辻元清美 )
  この辻元が世間に周知されたのは、テレ朝の名物番組「朝まで生テレビ」に登場したからである。田原総一朗が司会を務める長寿番組は、様々な論客が意見を戦わせる議場じゃない。無名の左翼活動家や野党の反日議員を紹介する宣伝番組である。初期の「朝ナマ」には渡部昇一、勝田吉太郎、中川八洋といった保守派の知識人が招待されたけど、本当は評論家の小沢遼子とか元社会党の伊東秀子、元北海道知事の横路孝弘、朝鮮人の姜尚中、ジャーナリストの青木理などを有名にするためだった。これだけでは娯楽性に乏しいから、映画監督の大島渚と作家の野坂昭如を喧嘩させて見せ場を作っていた。テレ朝が保守派論客として西部邁を重用していたのは、彼が元学生運動家であったからだ。革新派と保守派を揃えなければならないとしたら、元全共連の学者を呼んだ方がいいし、日米安保支持派を用意しなければならぬ時は、凡庸な森本敏を(元防衛大臣)拓殖大学から連れてくれば良かった。保守派論客はなるべく地味で魅力に欠ける人物にすべし、というのがテレ朝の鉄則だ。自民党議員として“ちょくちょく”招かれていた山本一太や大村秀章の顔を思い出せば分かるだろう。彼らのショボい外見を視聴者に見せれば、自民党のイメージ・ダウンは間違いなし。

Yamamoto Ichita 1Oomura Hideaki 1Morimoto Satoshi 1Nosaka 1








(左: 山本一太    /   大村秀章    /   森本敏    /   右: 野坂昭如 )


Tahara Souichiro 3(左  / 田原総一朗 )
  案の定、田原総一朗は司会者の地位を利用して、無名の辻元清美を「立派な市民活動家」に育てていた。(後に、「朝ナマ」で田原が辻元に献金をしていた事をバラすと、同席していた辻元は烈火の如く怒っていた。「なんでそんなことを言うの?!」と辻元は不満タラタラであったが、この「秘密」を聞いた方は愉快だった。「やっぱりね」、と。子供だって「内緒にしておきたかったんだろうなぁ」、と推測できる。) 傲慢不遜な田原は、このチンケな左翼活動家を有名な評論家や国会議員と一緒に並べて一端の論客扱い。当時、「ピースボート」なんて誰も知らなかった。「朝ナマ」の視聴者で、いったい何人が辻元を日本赤軍の情婦と知っていたのか? 一般視聴者はペラペラ喋る辻元を観て、「威勢のいいネエちゃんだなぁ」くらいにしか思っていなかった。ところが、当の辻元は「知識人」気取り。イラクがクウェートを侵略した頃、辻元は「朝ナマ」に出演した。すると、彼女はテレ朝の女性蔑視に不平を漏らしていたのだ。田原の横に坐っていた若い女性アシスタントが、素っ頓狂な声を上げ、「アタシ、ゼンゼン、ワカンナーイ」と述べた。そこで、司会の田原は「そうですねぇ、アラブの問題は難しいですね」と助け船を出したのだが、辻元はこれを気に入らないらしい。曰わく、

  いったい、これは、何なんだ !! 見ていた私はいっぺんに頭に血がのぼってしまった。(辻元清美 「情けない『ワカンナーイ』発言」、女性リレー・エッセイ、『サンサーラ』 1990年11月号、p.152)

  この「ヤング・ギャル」発言を聞いて、ピースボートの主催者たる辻元は相当苛立っていたのだろう。紛争問題に関心のある辻元は、エッセイの中で「視聴者にウケてみよう、なんて台本を書いた男はブッとばしてやりたい」と述べていた。さらに、この活動家は「女にクウェート危機が判らなくてもかまわないと思っている女」と「女はクウェート危機が判らない役をしていればいいと思っている男」に腹が立ったそうで、「こんな女と男ばっかりでこの国が充満しているのではたまらない」そうだ。へぇ~、たいそう御立派なことを言うじゃないか。国際政治に“通じている”辻元は、次のように書いていた。

  わたしは今回の日本政府の「中東貢献策」の大半がイラク対アメリカという対決構図のなかで、アメリカ側に一方的な軍事支援をすることになるという理由で批判的である。

  では、訊くけど、どうすれば良いの? 辻元の答えはスンバラシい。ピースボートで世界各国を廻ってみること、なんだって。単なる円高買い物旅行ではない「旅」をすることが、日本国憲法の趣旨に適うことであるという。(上掲エッセイ、p.153) 御立派な“辻元先生”によれば、この機に乗じて憲法を改正し、自衛隊を派遣するなんて「本末転倒の議論」であるそうだ。ほ~う。ナルホド。後に代議士「センセイ」となる人物は違うねぇ。オツムが我々と異なっている。

憲法を楯にする勇敢な迷論

  それにしても、世の中の「現実」を解っていらっしゃる辻元センセイは、どんな思想を持っているのか? あっ、そう言えば、誰も読まない岩波の『世界』という雑誌に紹介されていた。辻元センセイは立命館大学の君島東彦(きみじま・あきひこ)教授と対談し、目が覚めるような意見を述べていた。(高校生には勧めることが出来ないけど、岩波でしか味わえない、極左の香りがプンプンする驚愕の会話である。)

  つむじまで左巻きの辻元清美は、占領軍憲法の第九条をベタ褒めだ。センセイ曰く、

  「戦争ができないのはいいことじゃないか」という原点に、もう一度立ち戻るべきだと私は思います。(君島東彦×辻元清美 対談「どちらがほんとうに現実的なのか : 平和ボケの改憲論と9条のリアリズム」、『世界』、2005年6月号、p.83)

  辻元は続けてこう述べる。イラクで武力行使をしている英米の軍隊は、降伏させる相手すら判らぬ状態に突入しているから、「力で立ち向かおうとするのは、暴力の連鎖と拡散を生むだけ」であるという。だから、「こういう混沌とした時代だからこそ、力に頼らない解決の道を探っていかないといけません」と。「じゃあ、どうするの?」と問えば、「過去の戦争から考える」のではなく、「現代の戦争をリアルにとらえること」なんだって。だから「憲法九条がますます重要になる」らしい。はっ?

  辻元は「攻められたらどうするのか?」という質問に頓珍漢な答えで応じていた。圧倒的な軍事力を誇るアメリカでさえ、9/11のようなテロ攻撃を受けてしまうんだから、いくら武装しても無駄であるという。そこで辻元女史は別の安全保障を提示した。

  たとえば南北問題を解決し、貧困をなくしていくとか、エネルギーや環境の分野で共生をめざしていくということです。(p.83)

  一般の日本人なら、「えっ、テロリスト相手の対抗策なのに、貧民救済とか共生社会で解決しようとするの?」と驚き、あまりにも的外れな見解に唖然とするが、辻元センセイは真剣なんだよねぇ~。彼女はリスク(危機)を「力」で押さえ込もうとすると、却ってリスクが高くなると思っているそうだ。

ISIS 03ISIS invasion 1







(左: 武装したテロリスト  / 右: 改造車に乗り込むISISのテロリスト部隊 )

  憲法九条を錦の御旗にする辻元センセイだが、それを聲髙に叫ぶだけじゃ「不充分」であるという。そこで、憲法九条の体現として「ピースボート」をつくったらしい。(p.86) さらに、この元活動家はアメリカの要求に対して文句を垂れているばかりじゃダメ、と述べていた。「批判の後に具体的な代案を出さねば !」と痛感したんだって。そこでセンセイが言うには、単に反対するばかりじゃなく、若手の官僚や経済人にも積極に呼びかけ、具体的な「政策提案」をしていかなアカン、らしい。

  辻元センセイによれば、「出来る事はいっぱいある」という。左翼に好評なノルウェーを持ち出して、政府が出て行く前に学者とか医者、NGOが入って行って信頼を醸し出すプロセスがあるらしい。こういう「市民活動」に税金が使われるのは良い事なんだって。良い子のみんなは辻元の腹を探って、「なんだよ、結局、ピースボートに税金を渡せ、っていうことなのか !!」と怒っちゃいけないよ。左翼分子は元々お金が大好きなんだから。社会党や共産党に属する人は、他人のゼニで「善いこと」をする天使なので、自ら汗水を垂らして働き、その給金から弱者にカネを分け与えるなんて夢にも思わない。左団扇で税金を鷲摑みにするのが左翼の本性だ。辻元センセイはノルウェーが六万人のNGOを育てた、と褒めていた。ということは、日本にもそれ以上のNPOを作りたいのかなぁ?

  代議士となった辻元は、国際紛争の仲介役をしたノルウェーを高く評価し、その流れで占領憲法を持ち上げている。曰わく、

  憲法9条で「ウチは武力では紛争解決しまへん」って宣言している日本こそ、調停外交のような政策を「売り」にできると思うんですよ。(p.88)

  軍隊を持たない国が調停役だって? いったい、どの国が相手にするというのか。もし、紛争当事国が「うるさい、テメェーなんか、引っ込んでいろ !」と凄んだら「どう」するのか? 辻元は桜吹雪の刺青でも彫って、パレスチナ人やアフガン人に披露するのか? 遠山の金さんだってしないぞ!  血で血を洗う戦いに慣れた中東アジアの民族や、敵の首とか耳、鼻、ペニスを切り取ってトロフィーにするようなアフリカ人を相手に、「暴力はイケませ~ん」と言えば、素直に従うのか? (そんな奴は居らんやろう「チッチキチー」、と言ったら古いかなぁ ?) こんな寝言が通用すると思っているんなら、大阪の暴走族や暴力団に向かって言ってみろ ! 柄の悪いゴロツキどもがどう反応するか見物だ。

Muslim terrorist 1ISIS 12









(左: ムスリム・テロリスト  / 右: テロ組織に捕まり、処刑される寸前の捕虜)

  「現実派」を自称する辻元センセイは、我が国の武力を増強することに大反対で、紛争解決をお助けする日本は周辺国からの信頼を得ることが大事であるという。そこで、「自衛隊を三つに分割すべし」と提案した。

 (1) 専守防衛に徹する部隊。日本の外へ絶対に出ない。情報公開と軍縮を進めてゆく。
 (2) 国際協力専門の部隊。非軍事の人道支援を基本とし、NGOと共同で動く。
 (3) 災害救助の専門部隊。災害地からの要請で出動し、24時間以内に世界中へ派遣する。

  これって、「部隊」と呼んでいるが、中身は軍隊じゃないだろう。日本から一歩も外に出ない軍隊なんて有り得るのか ? 日本の領域外から飛んでくるICBMとか、原潜から発射されるSLBMはどうするんだ? 日本に向けて発射される前に、敵国の軍事基地を叩くのは世界の常識だ。それなのに、我が国は例外で、敵の核ミサイルが発射されるのを傍観して、東京や大阪が破壊されるのを期待する方が得策なのか? アホらしい。それにだ。もし、第一攻撃で自衛隊が全滅したらどうするのか? 生き残った少数の一般国民が野球バットやゴルフ・クラブを持って、「レジスタンスになれ !」とでも言うのか? 重武装の敵軍からすれば、そんなのは射撃ゲームの的に過ぎない。七面鳥を仕留める方が遙かに難しいぞ。だいたい、辻元は自衛隊の微々たる戦力の削減を提案しているが、厖大な軍事力を誇る支那やロシアの軍縮は無視するのか? そもそも、軍事力で劣る日本がロシア人に向かって、「お前が持つ核兵器や戦略爆撃機、戦車部隊、化学・生物兵器を全廃しろ」と言えるはずがない。

  ところが、辻元は日本の“一方的な”軍縮を促進したいのだ。何と、在日米軍を整理・縮小する一方で、沖縄に国際協力専門の研究・訓練基地をつくるんだって。(p.88) 沖縄の米軍を排除したら、そこに紛争地域の若者とかNGOの人々を招き、紛争予防や人道支援の技術を学ばせ、本国に帰ってもらうそうだ。辻元センセイ曰わく「こういう行動こそ、日本の安全保障につながる」んだってさぁ。(血圧の高い高齢者は、卒倒しないよう薬を飲んでから読んで下さい。) もう、頭がふらつき、めまいがしてくる。反論するのも馬鹿らしい。イラクやシリア、チェチェン、アフガニスタンから若者を日本に連れてきて、沖縄の「辻元塾」で人道主義を学んで頂いたら、殺戮の嵐が治まるというのか? 無駄飯ぐらいの国連職員とかNGOの外人が沖縄に来たって、口先ばかりの理想論を滔々と述べるだけで、後は快適なホテルに泊まって豪華なディナーを堪能し、翌日はビーチで海水浴、というのがオチだ。彼らの接待費用は全部日本人持ち、つまり税金で賄われる、ということだろう。

  だいたい、こんなNGOの連中を招待したいなら、辻元が自分の財布から資金を出せばいいじゃないか。自分の選挙費用だってケチるのに、他人のゼニとなれば気前が良くなり、いくらかかるのかを“具体的”に示さない。つまり、辻元は税金からの捻出を何とも思っていないのだ。辻元は詐欺師と同じで、先に実質的な金額を提示せず、薔薇色の空論で世間を欺こうとする。辻元は一般国民を搾取せず、まず自身の左翼仲間から資金を募ったらどうなんだ? 資産家の福島瑞穂なら、2億円くらい貸してくれるかもよ。ただし、狡猾な弁護士上がりの議員だから、30%の高金利で貸し付けたりして。サラ金業者に強い弁護士を雇わなきゃ。「資本家はゆるせなぁぁい !」と叫ぶ社会主義者だって、自分のお金を貸すときには、シャイロックも真っ青になるくらい貪欲な金融資本家になる。社会主義者がどんな綺麗事を口にしようとも、自分の私有財産だけは「例外」にする左翼は信用できない。

「平和ボケ」はどっちなんだ?

  「現実主義(リアリズム)」を掲げる辻元は、紛争地での実体験を自慢していた。彼女はカンボジアに行った時、目の前で兵士の集団に発砲されたことがあるそうだ。(おいっ ! まさか税金を使った「大名旅行」、いわゆる「視察旅行」じゃないよなぁ ?) ところが、案内役のカンボジア人コーディネーターが「我々は丸腰で、あなたたちの敵ではない」と説明してくれたから事なきを得たという。しかし、冷や汗をかいたはずの辻元は、驚くような見解を述べていた。

  ああいう局面で武装なんかしている方が危ないですよ。・・・・あれでもし、こちらも武装していて、極限の緊張状態のなかで、どちらかが先に撃ってしまったら、どんなことになるか。(p.89)

  さぁ~すが、辻元センセイの「安全保障論」はスンバラしい。銃器で武装するより、丸腰の方が安全なんだって。でもさぁ、よもや自衛隊とか歐米の軍隊が付き添って議員センセイを警護していた、なんてことは無いよねぇ~。とにかく、辻元議員は「人道支援」が一番効果的である、とおっしゃっている。センセイ曰わく、

  自衛隊みたいな階級組織で、いかに効果的に人を殺すかという訓練を中心にしているような集団は、はじめから助け合いに向いていないんですよ。(p.89)

  あのさぁ~、そもそも、自衛隊は市民ボランティア団体じゃないんだよ。だいたい、ゲリラ兵がウヨウヨいるカンボジアに、政府が民間人を派遣できるのか? それに、いくら政府の役人が「みなさぁ~ん、カンボジアの貧民を助けてくださぁ~い」と呼びかけても、一般国民は「殺されるじゃないか !」と怯え、決して応じないだろう。もし、民間人への殺戮とか無差別攻撃が行われたら、いったい誰が責任を取るんだ? 辻元か? そんな訳ないだろう。「ワタシ知らない !」とそっぽを向くんじゃないか。

  辻元センセイは兇悪なテロリストやゲリラ部隊を前にするなら、軍事力よりも道義心の方が有効だと信じている。紛争が絶えないパキスタンに行っても、原爆攻撃を受けた日本の悲劇を語り、核兵器を持っていない事実を伝えると、「それだけですごい説得力」になるそうだ。(p.89) 一般国民なら「えっっ !! 戦争で負けた話が自慢になるの !!」と仰天するが、税金で食っている辻元センセイは、弱くなることが国防の要(かなめ)と考えているようだ。それじゃあ、イジメを受けている中学生の前で、同じ事を話してやれよ。「みんなぁ~、イジメっ子に出くわしたら、以前にもボコボコにされた事があるんだ、と伝えなさい。そうすれば悪ガキどもは手を出さないないから」、と。それに対し、子供たちはどう反応するのか? きっと「馬鹿じゃねぇ。このオバはん ! ちょっと頭がイカれているぞ !!」と吐き捨てるだろう。呆れ返る子供たちは、まさか、こんなボケ女が一億円も給料をもらっているとは想像できないはずだ。大人だって考えたくないんだから。

  でも、辻元「大先生」は自信満々なんだよねぇ~。我々と精神の構造が違っているのだ。センセイは続けて述べていた。

  (発展途上国の人々に向かって、日本は)「戦争しないって決めているんだよ」っていうと、「いい国だね」って、紛争地に行くとうらやましがられた。(p.90)

  なるほど、日本の事を知らぬアジア人やアフリカ人に、前提条件を教えないまま、都合のいい「部分」だけ選べば、「へぇ~、羨ましいなぁ」と答えるだろう。だが、日本は米軍の核戦略で守られ、自衛隊も最新兵器を取り揃えているんだから、いくら憲法で「戦争はしません」と書いても外人は信じない。事実、カンボシアやイラクの民衆が自衛隊を目にすれば、「あっ、日本の陸軍が来た!」と思うだろう。アメリカ人やフランス人だって、イージス艦を見て「豪華客船」とは思うまい。もし、空自のF-15(イーグル)戦闘機を眺めた社民党議員が、「あの飛行機は不経済だ。たった1人しか搭乗できないじゃないか !」と不平を述べたら、アメリカの女子供でも、「この、どアホ ! 遠足用の民間機じゃねぇんだ」と叱り飛ばすだろう。

  もう、開いた口が塞がらないけど、辻元センセイは、とにかく民間人のNGOが大好き。この元“市民”活動家は脳天気を通り越している。

  国同士は「国益」でぶつかり合いまかず、NGOにはそれはない。NGOは世界でいちばん大きなスーパー・パワーになってきていると思います。(p.90)

  えっ、NGOが世界で一番の「スーパー・パワー」だって?  もしかして、我々が思う「超大国」とか「軍事大国」の意味じゃないよねぇ? でもさぁ、いくらなんでも「丸腰非武装」の市民団体が、RPG(ロケット砲弾)やカラシニコフ銃を構えたゲリラより強いなんて、とても信じられない。辻元センセイには、せめて映画『ブラックホーク・ダウン』を観ていただきたい。この映画はマーク・ボウデン(Mark Bowden)による同名の小説(ノン・フィクション)が原作で、巨匠リドリー・スコット(Ridley Scott)監督が手掛けた作品だ。人気男優のジョシュメハートネット(Josh Hartnett)やユアン・マグレガー(Ewan McGregor)が出演していたから、日本でも観た人は多いだろう。この作品は1993年にソマリアのモガデシュ(Mogadishu)で起きた泥沼の市街戦を描いている。ソマリアのゲリラ兵により、米軍のヘリ「ブラック・ホーク」が撃墜され、窮地に陥ったアメリカ兵は現地民兵の猛攻撃を受け、悪戦苦闘するというストーリーになっていた。あのような血みどろのゲリラ戦なら、アメリカ人じゃなくても寒気がしてくる。

Black Hawk Down 2Black Hawk Down 1





(左: 「ブラック・ホーク・ダウン」の戦闘シーン  /  右: 映画の中で撃墜される米軍のヘリコプター)

  しかし、辻元センセイのNGO信仰に迷いは無い。もう、カルト宗教の域に達しているのだ。世界各地で起こる紛争を解決するには、武力行使じゃ駄目らしい。辻元が思うには、「なるべく早く危機を察知して、NGOが非暴力で介入する道をとるべき」なんだって。将棋界の天才、加藤一二三(愛称「ひふみん」)じゃないけど、「ひゃゃ~」と驚く解決策だ。タリバンとかISISのテロリストを前にして、「みなさぁ~ん、私たちは平和の使者なんですよぉ~」と呼びかければ、彼らが武器を地面に置くとでも思っているのか? 辻元をはじめとする「市民活動家」は全員“蜂の巣”にされるだろう。このアホ議員が提案する人道支援なる活動は、自国の軍隊がテロリストを壊滅し、治安を回復した後の“ママゴト”に過ぎない。重武装した将兵が市街地や建物を見張り、安全を確保した上で、民間人が人助けを出来る、という前提を省略して話を進めているんだから、辻元と君島の対談はボケ漫才よりも滑稽だ。

Mogadishu 1Somalia 2








(左: 現実のモガデシュ  / 右: 銃を担ぐソマリア兵 )

  だいたいさぁ、丸腰の民間人がしゃしゃり出て、凄惨な紛争や民族浄化が一掃されるなら、誰も苦労しないじゃないか。でも、辻元センセイは現実主義者を気取っているのだ。彼女の顔(ツラ)は鋼鉄製なのか、物凄い演説をぶっていた。

  憲法9条を選択する道はバラ色でもなんでもなくて、むしろ厳しい道です。自分は安全なところにいて、軍隊だけ行かせているほうがよっぽと楽でしょう。(p.91)

  おい ! こら ! 辻元。黙って聴いてりゃ図々しいことを言いやがって !! 「自分は安全にところにいて」だと ? お前が「安全な日本」にいるんじゃないか ! 他人の税金で海外旅行をして、お姫様のように扱われているのに、その議員特権を棚に上げて一般国民に説教すとは !! そんなに勇敢なら、自衛隊の護衛無しに紛争地帯を廻ってみろ ! 辻元の「ピースボート」はアフリカ沿岸にノコノコ赴いて、兇暴な海賊に襲われたそうだが、その時、ピースボートの連中は海上自衛隊に「助け」を求めたじゃないか。ご自慢の「非武装主義」はどうしたんだ? 話し合いで解決できるんじゃないのか?

  ところが、辻元議員は正常な日本人を罵倒する。

  紛争の現実を直視すれば、憲法9条は極めて現実的な選択です。むしろそれを、理想に過ぎないといって切って捨てるほうが思考停止、ほんとうの意味での「平和ボケ」だと思います。(p.90)

  亡くなった「横山やすし」じゃないけど、「こらぁぁ、ワレ、ナメてんのかぁ!!!」と叫びたくなる。憲法9条の“どこ”が“現実的”なんだ ? 戦争放棄を口にすれば、日本の安全を保証できるなんて、ペンギンだって信じないぞ。こんな頭をしているのに、我々を「平和ボケ」と呼ぶなんて辻元は宇宙人なのか? アフリカ人なら辻元に向かって槍を投げるし、パレスチナ人なら石を投げ、日本の子供だと針ネズミを投げつけるぞ。 仔猫だってサボテンを猫パンチすれば、その痛さで植物の種類を認識できるのに、人間であるはずの辻元は凄惨な戦闘状態を目にしても、一向に現実を理解できない。これは辻元の眼球ではなく、その精神に異常があるからだ。

  そして、日本の悲劇はこの「事実」に有権者が気付いていないことである。大阪の有権者だって普段は常識を弁え、まともな行動をとっているはずだ。しかし、一般人は岩波の『世界』なんていう珍しい雑誌を読まない。その存在すら知らないんじゃないか。だいたい、学校の図書館で埃(ほこり)を被っている印刷物なんて、インクで汚れた古紙に過ぎない。一般国民は国会で威勢良く政府批判を繰り返す姿や、街頭での絵空事演説を聴いて、「辻元っていうのは、面白そうなオバちゃんやなぁ」と思うだけ。国会で何をしているのか考えないし、探ろうともしない。でも、筆者のブログを呼んだ後で、「このアホ議員に年間1億もくれてるんですよ」と教えれば、巷のオっちゃんたちも「えっ、そんなに !」と仰天するはずだ。日本人には「報道されない情報」を得ることが重要だ。かつて左翼は自衛隊を「税金泥棒」と呼んだが、実際は左翼議員の方が「カネ喰い虫」なんだから、詐欺師というのは口がうまい。

 


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ワスプ的家庭を築いた大統領夫人 / 古風なファースト・レディー

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東部エスタブリッシュメントのお嬢様

Barbara Bush 5Bush family 2









(左: バーバラ・ブッシュ   /   右: ジョージ・ブッシュ一家)

  今月の中旬、すなわち4月17日、元ファースト・レディーのバーバラ・ブッシュ(Barbara Pierce Bush)夫人が逝去した。享年92。今年で92歳となる英国のエリザベス女王と同じ世代である。亡きバーバラ夫人は政治一家の中心的人物であった。合衆国大統領ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(George Herbert Walker Bush)の妻であり、ジョージ・ウォーカー・ブッシ元大統領の母である。そして、三番目の子供である次男のジェブ(John Ellis Bush)はフロリダ州知事となった。彼女の舅に当たるプレスコット・シェルドン・ブッシュ(Prescott Sheldon Bush)、つまり亭主の父親も政治家で、コネチカット州選出の上院議員を務めていた。

      バーバラ夫人は前ファースト・レディーのナンシー・レーガン夫人やジャクリーヌ・ケネディー夫人とは違い、華麗なドレスで身を包み、派手さとセクシーさを全面に出すような女性ではなかった。化粧は薄く、髪は染めずに白髪のまま。ボトックスを使ってシワ伸ばし、なんて論外。1988年、亭主のジョージが大統領選挙に出馬したとき、当時の日本人はバーバラ夫人を「候補者の母親か?」と見間違うほどであった。アメリカ人がこれを聞けば、「何だと、失礼な !」と言いたいところだが、苦笑しながら「そうだよねぇ」とうなづいてしまうだろう。でも、バーバラ夫人は中西部でよく見かける堅実で賢い母親といった感じで、1991年から1999年にかけて放送されたコメディー・ドラマ『ホーム・インプルーブメント(Home Improvement)』に出演してもおかしくない、近所の気さくなオバちゃんであった。(このTV番組はティム・アレン主演のホーム・ドラマで、筆者が好きなドラマ・シリーズの一つだ。日本で放送されたかどうかは分からないけど、白人中流家庭の日常を面白く描いた作品である。)

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(左: ジャクリーヌ・ケネディー  / 中央: ナンシー・レーガン  /  右: バーバラトジョージ・ブッシュ)

  バーバラ夫人がなぜ質素だったのかは、彼女の育った家庭を見ればわかる。上院議員を輩出したブッシュ家に嫁ぐバーバラは、名門のピアース家に生まれた“お嬢様”だった。彼女の家系を遡ると、その祖先はトマス・ピアース(Thomas Pierce)にまで辿り着く。このトマスは1630年代、英国ノーフォーク地方にあるノーリッヂから米国に渡り、マサチューセッツのベイ・コロニー(Bay Colony)へ定住した入植者(settler)である。ちなみに、日本人は左翼知識人に洗脳されているから、「アメリカは移民の国(Nation of Immigrants)」と信じ込んでいるが、移民は合衆国を創った者ではない。政治学者の故・サミュエル・ハンチントン(Samuel P. Huntington)が述べたように、「移民」とはある国(社会)から別の場所へ引っ越す人を指す。一方、「入植者」は新たに国家や共同体を築いた人々と考えれば解りやすい。だから、南イタリアやポーランドからの百姓とか、ガリシア地方のゲットーからやって来たユダヤ人、スロヴェニアとかハンガリーからの持て余し者、エジプトやインドからの異教徒は、アメリカの自治州を築いたイギリス系入植者ではなく、既に建設された新共和国に潜り込んだ貧民に過ぎない。

  だいたい、祖国で厄介者だった下層民に国家建設能力があるのか? 東歐や南歐からの出稼ぎ人、中東アジアのイスラム教国ないし東南アジアからの移民などは、何人集まろうがアメリカのような立派な国家を建設できない。だから、左翼白人やヒスパニック活動家、黒人指導者が述べる「移民が創ったアメリカ」なる学説は妄想である。有色移民はプロテスタントのアングロ・サクソン人が建てた国家に移住できたから、祖国では実現できない“中流階級の生活”を実現できたのだ。つまり、彼らは上等な西歐民族の思考や言語、行動様式を“真似”したからこそ、輝かしい成功を収めることが出来たのである。不法な手段で潜り込んできたたヒスパニック移民は、何かに附けアングロ・アメリカに文句を垂れるが、彼らの祖先がつくったラテン・アメリカ諸国は腐敗と貧困が未だに続き、一向に改善される見込みがない。要するに、アフリカ系とインディオ系の雑種民族には国家運営の才能が無いということだ。

Franklin Pierce 1Benjamin Pierce 2American family 1








(左: フランクリン・ピアース  / 中央: ベンジャミン・ピアース / 右: 古き良き時代のアメリカ人家庭を描いた絵 )

  話が脱線したので、元に戻す。東部エスタブリッシュメントに属するピアース家には優秀な人物が多く、合衆国大統領になったフランクリン・ピアース(Franklin Pierce)も、その一員である。彼の父ベンジャミン・ピアース(Benjamin Pierce)は、独立戦争の時に陸軍中尉で、あの有名なバンカー・ヒルの戦いにも参戦したというから凄い。彼は後に政治家の道を歩み、連邦下院議員を経てニューハンプシャー州知事に就任したという。バーバラ夫人はこの血筋を受け継ぐ由緒正しい子孫。非西歐世界からの食いっぱぐれ移民からすれば何とも羨ましい。彼女の父マーヴィン・ピアース(Marvin Pierce)も高名で、「マッコール(McCall)」という出版社を経営するビジネスマンであった。彼は雑誌『マッコールズ(McCall's)』を刊行し、1929年には有名雑誌の『レッド・ブック(Redbook)』を買収し、姉妹雑誌として傘下に納めた。

Robert Stein 2Redbook 1926Redbook 1928Redbook 2007







(左: ロバート・シュタイン  / 「レッドブック」1926年の表紙 / 「レッドブック」1928年の表紙 /  右: 「レッドブック」2007年の表紙)

  ところが、ピアース社長の雑誌もユダヤ人の毒牙にかかってしまった。1958年にロバート・シュタイン(Robert Stein)というユダヤ人が編集長となって『Redbook』を変えてしまったのだ。それまで、マッコール社は決してユダヤ人を編集部に入れなかったのだが、時代の流れで警戒心を緩めてしまったのだろう。(Kathleen L. Endres anf Therese Lueck, eds., Women's Periodicals in the United States : Consumer Magazines, Greenwood Press, Westport, 1995, p. 302) 以前は上品な記事が主体だったのに、シュタインは「ちょっと知的で高学歴の女性をターゲットにする」という名目で、フェミニズムとリベラリズム路線に舵を取り、あろうことかベティー・フリーダン(Betty Friedan)やグロリア・シュタイネム(Gloria Steinem)といったユダヤ人フェミニストに文章を書かせる始末。

Betty Friedan 1Gloria Steinam 23Rachel Carson 2Margaret Mead 1







(左: ベティー・フリーダン  / グロリア・シュタイネム  / レイチェル・カーソン  / 右: マーガレット・ミード )

  その他の執筆者も左巻きが多く、性革命やウーマンリブ運動で名を馳せた文化人類学者のマーガレット・ミード(Margaret Mead)、環境問題を訴えた生物学者のレイチェル・カーソン(Rachel Carson)、『アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)』でピューリッツァー賞を獲得したハーパー・リー(Nell Harper Lee)、左翼に転向したベンジャミン・スポック博士(Dr. Benjamin Spock)、公民権運動の指導者であるマーティン・ルーサー・キング牧師(Rev. Martin Luther King)の名を見れば、如何に変質したかが分かるだろう。サモア人などの南方土人を研究したことで知られるマーガレット・ミードは、インチキ学説を用いて西歐社会を非難した詐欺師だし、ハーパー・リーは南部の白人が持つ黒人への人種差別を糾弾し、偽善的な白人インテリから称讃を受けていた。バーバラの愚息ジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領は、この左翼作家に「大統領自由勲章(Presidential Medal of Freedom)」を授けたんだから、どこが保守派の共和党員なのか、と吐き捨てたくなる。この小説は後に映画化され、名優グレゴリー・ペックが弁護士の「アッティカス・フィンチ」役を演じたから、日本でも多くのファンが観たはずだ。

Harper Lee 33Martin Luther King 2Gregory Peck 6









(左: ハーパー・リー  / マーティン・ルーサー・キング / 右: 『アラバマ物語』で弁護士役を演じたグレゴリー・ペック )

  余談だが、日本の雑誌も編集長が替わると内容が激変することがある。例えば、月刊雑誌の『新潮45』は硬派なクウォリティー・ペーパーで、筆者も学生時代に愛読していたが、編集長が亀井龍夫から中瀬ゆかりに替わったら、女性週刊誌のようになってしまった。以前は、保守派の重鎮である会田雄次先生とか物理学者の志村史夫教授、脚本家の石堂淑朗などが教養人向きの原稿を書いていたのに、少女漫画の担当者みたいな中瀬編集長になると、男女間のトラブルとか三面記事の殺人事件などを目玉記事とするようになったのだ。元々、『新潮45』という雑誌名は、45歳以上の読者をターゲットにして創られた雑誌であったという。個人的なことだけど、この由来を知ったのは筆者が18歳くらいの頃で、「えっ、中高年向きの雑誌なのか!」」と驚いたことがある。今は保守派メディアの没落期で、『正論』や『Hanada』『WiLL』『Voice』は週刊誌並になってしまった。元気な頃の『諸君 !』や廃刊になった『月曜評論』『国民新聞』『ザ・ビックマン』が懐かしい。

Barbara Bush 4(左  / 若い頃のバーバラ・ピアース )
  話を元に戻す。上流階級に属するバーバラ・ピアースは1925年6月8日に生まれ、16歳の時、将来の夫となるジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(George Herbert Walker Bush)と出逢ったそうである。このジョージ青年は上院議員の嫡男にして、名門校のフィリップス・アカデミー(Phillips Academy)に通うお坊ちゃん。ピアース家のご令嬢は、18歳でブッシュ家の御曹司と婚約するが、第二次大戦が勃発したことでフィアンセのジョージは戦闘機パイロットになる。彼が自分の戦闘機に「バーバラ」の名を記したことは日本でも有名だ。上流階級の若きパイロットは、58回も出撃し、日本軍に撃墜されるも一命を取り留め、無事に終戦を迎える事ができた。こうして、二人は1945年1月に結婚式を挙げることができたという。挙式はバーバラが通うプレスビテリアン教会で行われたそうだ。(ジョージの方はエピスコパリアン教会の信徒だったが、米国ではあまり違いが無いので問題とはならない。息子のジョージは父親の教会を離れて、女房が通う「ユナイテッド・メソディスト教会」に鞍替えた。) 1945年に除隊したジョージは、東部の名門大学イェールに入り、三年生の時「スカル・アンド・ボーンズ(Skull & Bones)」という秘密結社に属した。一方、愛する軍人と結婚するためだったのか、バーバラは名門のスミス・カレッジ(Smith College)をさっさと中退し、ジョージとの夫婦生活を優先したらしい。当時のお嬢様たちは研究者を目指して大学に入った訳じゃないから、素敵な男性が現れれば未練も無く退学することができた。いつまでも大学に残り、教授を目指す女学生は鮮度が落ちた「売れ残り」とか、独身を貫く「行き遅れ(spinster)」と同じ類。ケーキと乙女は良い品から売れて行くものだ。

 Bush 4 Bush & Barabra 2







(左: 軍服姿のジョージ・H・W・ブッシュ  / 右: 若い頃のジョージとバーバラ )

  目出度く惚れた男と結婚できたバーバラは、中流階級のように産児制限などせず、授かった子宝を堕胎せずに産み育てた。面白いことに貴族と乞食はよく似ている。どちらも他人を気にせず、己の欲することを成す。人の噂を気にして躊躇するということがない。両者とも見事なまでの自由人。バーバラは先ず第43代合衆国大統領となる長男ジョージ・ウォーカー(George Walker)を身籠もった。この「ウォーカー」というのは、バーバラの姑、すなわち夫ジョージの母親ドロシー(Dorothy Bush)の旧姓だ。ドロシーの父はジョージ・ハードート・ウォーカー(George Herbert Walker)という名前だから、第41代大統領のパパ・ブッシュは母方の父親が持つ名前を受け継いだわけである。ちなみに、大統領となったブッシュ親子がホワイトハウスを離れて、休暇をメイン州のケネバンクポート(Kennebunkport)で過ごす事が多かったのは、父親(祖父)のジョージがこの地に豪華な静養所(Walker's Point)をもっていたからだ。そして、ドロシー・ウォーカーの弟ジョージ・ジュニア(George Herbert Waler, Jr.)は、有名な球団「ニューヨーク・メッツ(New York Mets)」の共同創設者であった。彼もイェール大学に進み「スカル・アンド・ボーンズ」に属していた。こうして見ると、ブッシュ親子がそれぞれ野球選手になったのも、家風なのかも知れない。

Dorothy & Prescott Bush 1Pauline Robinson Pierce 1Bush George & son & Barbara






(左: プレスコットとドロシー・ブッシュ夫妻  / 中央: ポーリン・ロビンソン・ピアース  /  右: 息子のジョージと一緒に撮影されたブッシュ夫妻 )

  次に生まれたのは、悲劇の長女であった。二番目の子であるポーリン・ロビンソン(Pauline Robinson)は、白血病を患い幼くして息を引き取る。彼女の名前は、バーバラの母ポーリン・ロビンソン・ピアース(Pauline Robinson Pierce)から取った名前である。三番目の子は後にフロリダ州知事となるジョン・エリスで、周囲から「ジェブ」と呼ばれている。学校の成績は長男のジョージより弟ジェブの方が良かったんじゃないか。父や兄と違ってテキサス大学を選んだジェブは、学者のようにかなりの読書家で、第二位の成績(magan cum laude)で卒業し、優等生しか許可されない友好会「フィ・ベータ・カッパ(Phi Beta Kappa)」に入ることができたのだ。一方、兄貴のジョージは「紳士のC」でご卒業。つまり、本来なら「F(赤点)」だが、先生の恩情で「C(ぎりぎり成績)」をもらえたということだ。しかし、アメリカの選挙では学校の成績よりも、軍歴とか愛嬌が評価されるので、ジョージは大統領になれた。

  四番目の子はニール・マロン(Neil Mallon)で、後に「シルヴァラード貯蓄組合(Silverado Savings & Loans)」の理事となるが、そこが倒産した時に、怪しい貸付で不祥事を起こしたことがある。裁判で解決したが、黒い噂の絶えない人物だ。ちなみに、バーバラが自分の名を冠した「バーバラ・ブッシュ識字財団(Barbara Bush Foundation for Family Literacy)」を創設したのは、ニールが「難読症(dyslexia)」と呼ばれる発達障碍に苦しんだからである。これは先天的な障碍らしく、文字と音を組み合わせて読むことができなかったり、単語の繋がりが認識できず、何を意味しているか分からないという。例えば、「クルマ」という言葉を見たとき、「ク」「ル」「マ」と発音できても、それを“ひとまとまり”の単語と認識できないから、何が何だか解らないのである。五番目の子は、マーヴィン・ピアース(Marvin Pierce)で、成人しても政治には係わらず、保険会社に勤めていた。末っ子のドロシー・ウォーカー(Dorothy Walker)は、ウィリアム・ルブロンドと離婚後、ロバート・コッチと再婚したそうだ。コッチはカルフォルニアのワイン業界を宣伝するロビー団体「ワイン・インスティテュート」の代表取締役である。

Jeb Bush 11Neil Bush 3Marvin Bush 1Dorothy Bush 2







(左: ジェブ・ブッシュ  / ニール・ブッシュ  / マーヴィン・ブッシュ /  右: ドロシー・ブッシュ)

 <ブッシュ家の家系図>

サミュエル・P・ブッシュ(父)---フローラ・シェルドン(母)/  ジョージ・H・ウォーカー(父)----ルクレチア(母)
                 ↓                                                                                              ↓                 

  プレスコット・シェルドン・ブッシュ(父)------------------------------- ドロシー・ウォーカー・ブッシュ(母)
                                                                  ↓
                                                                     ↓                      
                                                                    ↓         マーヴィン・ピアース(父)------ポーリン・ロビンソン(母)
                         ↓                        ↓   
                                                                   ↓                                                              ↓                       
                          ↓                                                              ↓
          ジョージ・ハーバート・ブッシュ(父)---------------------バーバラ・ピアース(母)
                                                                                                      ↓
         -----------------------------------------------------------------------------------------------------------
   ↓                                          ↓          ↓             ↓       ↓                           ↓  
ジョージ・ウォーカー  ポーリン・ロビンソン   ジェブ    ニール   マーヴィン   ドロシー


息子の自慢話を素通りする母親

  ワスプの上流階級に育ったバーバラは、お嬢様らしく保守的な考えを持ち、夫人に仕える献身的な妻であるが、たまに率直すぎる発言で世間の注目を浴びることがあった。例えば、1984年、ロナルド・レーガン大統領のもとで副大統領を務めていた夫が、再選のキャンペーンを行っていた時、対立候補の副大統領候補ジェラルディン・フェラーロ(Geraldine Ferraro)について訊かれたことがある。バーバラは自分達の裕福さを隠さず、私たちがリッチ(rich)ならフェラーロはウッチ(witch /魔女)ね、と韻を踏んで暗に悪口を仄めかし、後に謝罪することになった。(当時、民衆党の大統領候補になっていたのは、後に駐日米国大使となるウォルター・モンデール。彼はレーガンの地滑り的勝利を喰らって完敗した。) また、ファースト・レディーとなったヒラリー・クリントンに対するコメントを求められた時、バーバラは記者たちの扱いについてアドヴァイスを与えたという。彼女は「そうね。彼らを疫病(plague)と思って避けなさい。そして、もし彼らがあなたの言ったことを引用するなら、それは彼らがあなたの言ったことに耳を傾けたのだ、とみなしなさい」と述べた。("Barbara Bush : In her own words, frompolitical prognostication to rhymes with rich", USA Today, April 17, 2018) それにしても、ホワイトハウスにやって来るジャーナリストを伝染病や害虫の類いに譬えるなんて、ちょっと正直すぎるというか、言い得て妙である。だから、「ひどいなぁ」と思うけど、つい笑ってしまう。 

Geraldine Ferraro 1Walter Mondale 1Ronald Reagan 3








(左: ジェラルディーン・フェラーロ /  中央: ウォルター・モンデール / 右: ロナルド・レーガン )

  上流階級の婦人は庶民とは違った感覚を持っているようだ。バーバラの亭主ジョージ・ハーバートを産んだドロシー・ブッシュ(Dorothy Bush)夫人もまさしくワスプ(WASP)のレディーらしかった。ワスプの研究でブッシュ家に言及したリチャード・ブルックハイザー(Richard Brookhiser)がある面白いエピソードを紹介している。イギリス系の上層中流階級および上流階級では、自分の事をあれこれ言いふらしたり、己の業績をひけらかすことを“はしたない”と考える。自分自身の事よりも、周りの者とか友人、あるいは下々の者に対する配慮を重視するらしい。ブッシュ家では自己抑制を躾の項目にしていた。例えばもし、野球をしている息子のジョージが急いで帰宅し、「母上。僕、今日の試合でホームランを打ったんだ !」と自慢げに話したら、母親のドロシーは落ち着いた様子で優しく「チームのみんなはどうだったの?」と尋ねたそうだ。つまり、自分が素晴らしい活躍したことより、他のチームメイトがどのようなプレーをしたのか、仲間に対して何をしたのか、の方が重要なのである。

 Bush 1Prescott & George Bush 1Dorothy & George Bush 2







(左: イェール大学でに野球選手だったジョージ・ブッシュ  /中央:  父のプレスコット・ブッシュと息子のジョージ /  右: 母のドロシーと息子のジョージ)

  この逸話を聞いたリチャードは、ユダヤ人の妻とその友人でイタリア系のアメリカ人に話したそうだ。すると、二人とも腰を抜かして驚いたという。(Richard Brookhiser, The Way of the WASP : How It Made America, and How It Can Save It, So to Speak, The Free Press, New York, 1991, p.3) イタリア人やユダヤ人の小倅(こせがれ)なら、「かあちゃん、ただいま!! ねぇ、聞いてよ。オレ、今日の試合でホームランかっ飛ばしたんだぜ !! すごいだろう!!」と自慢するに違いない。これを聞いた母親だって、「そうかい !!! すごいねぇ!! さすが私の子だよ ! そうだ、夕飯はご馳走にしてあげるね !」と言うのが一般的だろう。親子揃ってニコニコ顔というのが当り前。冷静沈着に「チームの状況はどうだったの?」と質問するなんてあり得ない。悲しいけど、優越民族のイギリス人と劣等民族のユダヤ人とか南欧人は、生きている次元が違うのだ。そう言えば、我が国の武士も自分の自慢話を良しとせず、己の功績に関しては寡黙に徹し、他者への心遣いを重んじていた。立派な民族には共通する美徳があるようだ。

  バーバラ・ブッシ夫人は古き良き時代のアメリカを代表する良妻賢母であったが、息子の教育には失敗したようだ。長男のジョージは飲んだくれの出来損ないで、愛想がいいだけのボンボン。アル中から立ち直るも、オヤジの七光りで球団(テキサス・レンジャーズ)のオーナーに就任し、ついでにテキサス州の知事にまでなれた。大統領選挙の時も、危ない投票結果と怪しい再検証(リカウント)で危機を乗り切ったが、それも父親の親友である元国務長官のジェイムズ・ベイカー三世、ならびに共和党にいる重鎮たちのお陰である。9/11テロではその首謀者組織に加わっていたとの疑惑を持たれ、サダム・フセインを倒したイラク戦争は大失敗。ブッシュ大統領のテロ関与は一般的に「陰謀論」と見なされるが、数々の疑問や証拠隠滅により、限りなく黒に近い容疑者である。(これに関しては充分な根拠がある。「陰謀論」と嘲笑う者は、テロ事件の全貌を科学的に考えてみるべきだ。ユダヤ系アメリカ人のクリストファー・ボルンの綿密な調査や、物理学者ジュディー・ウッド博士の研究書は興味深い。ウッド博士の『タワーは何処に行った?(Where Did the Towers Go ?)』が未だに和訳されていないのは不思議だ。下らない左翼の洋書ならドンドン翻訳されているのに。有益な洋書は無視。)

Barbara Bush & son 19 11 terrorism 002









(左: バーバラとジョージの親子  /  右: 攻撃されるワールド・トレード・センター)

  バーバラ夫人は子育ての点で苦労したと言えるが、少なくとも夫婦生活を円満に送り、たくさんの孫にも恵まれたのだから、幸せな人生だったのかも知れない。1941年に17歳だったジョージ・ブッシュは、16歳のバーバラとクリスマス・ダンスを楽しみ、そこで初めてのキスをしたそうだ。ジョージは1942年、母親宛の手紙で最初のキスを報告したという。今の時代では考えられない純情さだが、当時のアメリカ社会は道徳を重視することが当り前だったので、男女の交際も健全なものであった。バーバラ夫人によると、彼女が“知っている”男性は夫のジョージのみで、他の男性とは付き合ったことがないという。彼女は浮気も一切せず、72年も連れ添った亭主を晩年まで愛していたという。(ヒラリー・クリントンなら大粒の涙を流して、「私もこうなりたかった !」と呟くんじゃないか。亭主のビル・クリントンときたら、イタリア人でも驚くほど下半身が「遊び人」なんだから。)

  邪険にされている日本の亭主にとっては、何とも羨ましい夫婦愛である。定年を迎えた旦那は家でゴロゴロしていると、カミさんに疎まれるし、かといって再就職しようとすればロクなものがない。日曜日になると女房は友達と一緒に芝居見物に出掛けてしまい、亭主はひとり自宅でお留守番。外出の支度をする女房に、「母さん、俺の夕飯は?」と尋ねれば、「あっ、冷蔵庫にチャーハンが入っているから、それをレンジで温めてね!」と軽く言われてしまう。さらに、「遅くなるかも知れないから」との声が聞こえ、遠くからでも虚しく響く。仕方なくテレビでゴルフ中継をポツンと観ている亭主は、「お前だけがいつも俺と一緒に居てくれるんだよなぁ」と飼い猫のミーちゃんに語りかける。ご褒美として、パリパリの味附け海苔を与える姿が侘(わび)しい。世間のおカミさんたちは「亭主元気で留守がいい」と言うけれど、隠居の旦那は「女房元気で今日も留守 !」と愚痴るだけ。それでも日本の男は頑張るんだから偉い。おっと、話が長くなりそうだから、ここらでお後が宜しいようで。

  

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