無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

アメリカ政治

遺伝子操作と世論操作 / 人間と作物の種 (前編)


恐ろしい科学技術

  以前、このブログで米国のTVドラマ・シリーズで『ジ・アメリカンズ(The Americans)』という作品を紹介したことがある。現在、第五シーズンが放映されているのだが、このスパイ・ドラマでは、ソ連の工作員夫婦たるエリザベス(ケリー・ラッセル)とフィリップ(マシュー・リス)が、あるウィルスを巡って暗躍することになっているのだ。米国政府がソ連経済を崩壊させるため、穀物を枯らすウィルスを開発したとの情報がソ連首脳を震撼させ、対外工作部は、米国に潜伏するエリザベスとフィリップに生物兵器のサンプルを奪取するよう命令を下したのである。ドラマの中ではそのウィルスは穀物を全滅させるものではなく、アフリカの飢餓を救う研究であることか判明したから一段落となっていた。

Keri Russell 13Keri Russell 10







(左: 「ジ・アメリカン」のポスター  /  右: ケリー・ラッセル)

  このドラマは冷戦時代の後半、すなわちレーガン政権時代が舞台設定になっていて、ワシントンの政府がソ連を食糧供給の面で苦しめようと画策したことが分かる。共産主義政権に対しては全面核戦争の脅しより、食糧不足による「揺さぶり」の方が効果的であるというのだ。確かに、クレムリンに従順なロシアの庶民も、マーケットにパンが無くなれば叛乱を企てる。食い物に関する恨みは恐ろしい。ゴルバチョフ時代にアル中対策としてウォッカの制約を試みたが、結局みんなの不満が爆発して取り止めになった。あんな寒いロシアでお酒を禁じたら庶民が暴動を起こすだろう。大統領になったボリス・エリツィンだってお酒を断念できず、晩年になると単なる酔っ払いになっていたから、ロシア人に禁酒法は無理である。まぁ、とにかくパンとバターとウォッカはロシアの必需品だから、その供給不足はクレムリンにとって西側の中距離核ミサイル配備よりも怖かった。

  戦争というのは何も銃弾やミサイルだけで行うものではなく、金融制度や貿易、食糧、資源、環境、謀略工作などを組み合わせて遂行するものである。したがって、西歐各国は他国からのコントロールを受けないためにも、命綱の資源を確保すると共に、国の基本となる食糧の自給を維持するために邁進するものだ。一次産業たる農業は環境保全の面ばかりではなく、国家の伝統や宗教とも密接に繋がっているから、保守派の国民は農民と農地の保護を「国防」と位置づけなければにならない。我が国の神道は自然崇拝にもとづくから、宗教防衛にもなるだろう。よく知られているけど、伊勢神宮の式年遷宮に用いられる檜(ヒノキ)は国産でなければならない。いくら安いからといって、東南アジアからの材木じゃ嫌だし、朝鮮で作ったベニア板など言語道断だ。紀州の大杉谷とか尾張の木曾谷で生育した檜は、日本の国土から栄養を吸収するだけではなく、先祖の霊魂をも宿す真正な木材である。古代ギリシアでは亡くなった親を畑に埋めたが、それは自分の土地が先祖の血と肉からなるものと信じていたからだ。したがって、猛毒の除草剤を撒いて苗を植えるなんて冒瀆だろう。神聖な神社を建てる時にも、神聖な樹木を用いるのが常識である。だから、農政はゼニ・カネの問題より、固有文化の存続に係わる国家の「大事」なのだ。

Roundup 2Monsanto herbicide 1








  売国奴が溢れる国会で、またもや反日政策が実行されている。すなわち、「主要農作物種子法」の廃止である。低脳議員たちは農業の自由化、民間企業の参入、地方経済の活性化などのお題目を並べて廃止の正当化を図っているが、要するに巨大企業のハンドラーが放った日本人エージェントの手先になっただけ。情けないけど、国会議員の大半は事情が分からない馬鹿と、多勢にくっついて「おこぼれ」をもらう浅ましい下郎であるから、グローバル企業の策略にホイホイと乗っかってしまうのだ。昔の士族だと幼い時から未来の統治者たる自覚を涵養されていたし、そうなるように教育を施されていた。だかから、立ち居振る舞いはもとより、忠君愛国を実践するのが当り前だった。自分の生命よりも名誉を重んじたから、国家の經綸が優先され、わざとじゃなくても失敗すれば切腹を受け容れたのだ。ところが、現代の国会議員だと幼い頃から日教組教育を受け、頭は受験勉強で老朽化、倫理道徳は試験科目に無いから無視。我が国の根幹を成す皇室と神道に関しては「極右科目」ということで無知。権限最大、責任最小が議員のモットーなので、無責任というより破廉恥になっている。彼らは「種子法の廃止が自由経済への前進だ」と思っているから、「それでいいんじゃない」といった程度の認識しかない。アホらしいけど、手放しで賛成を表明したのだ。大切な決議で「うん」と言うだけなら、「ワン」と吠える仔犬でも代役が務まるだろう。これじゃぁ、仔猫だって鼻で笑ってしまい、「ニャンとも言えない!」と呆れるぞ。

  ここで私的な感想を述べさせてもらえば、筆者が農業問題に関心を寄せたのはかなり古い。覚えている方もいるだろうが、1980年代に竹村健一が農業の過保護廃止と自由貿易による米価の引き下げを訴えていた。彼は半分自民党の代弁者だったから、筆者は話半分に聴いていたが、自由競争で日本の個人農家が国際競争に勝って、繁昌できるのか甚だ疑問だった。だいたい、日本の農民でセスナ機を使って農薬を散布しているのか? それに、穀物を大量に生産して国際市場を席捲することなど、夢物語にしか思えない。もそも日本の農業は大陸型ではないのだ。極端な譬えで言えば、日本の稲作は手間の掛かる藝術作品で、米国の穀物栽培は廉価な工業製品である。

  これは米国の食堂で出される料理を「堪能」すれば分かるはずだ。例えば、アメリカの野菜は素材の味がしないので、ドレッシングをかけて食べるしかない。日本とは常識が逆で、ドレッシングが「主体」で、トマトやキュウリが「添え物」なのだ。食パンでも同じで、サイズが大きい割に値段が安いけど、小麦本来の味と薫りが無いので、ピーナツ・バターをたっぷり塗って、甘い穀物製品にしてから食べる。また、野球場の外で売っているホット・ドッグも驚異の食物で、ソーセージの材料となっている肉には何が使われているのか判らない。正体不明な上に、ケチャップも怪しい原料で出来ている。トマトのはずが「トマト」ではなく、「赤いスライム」といった感じだ。筆者は米国で数名の友人に「ソーセージの中味は何の肉?」と尋ねたことがある。しかし、彼らはその質問に当惑し、友人の一人は「ウサギの肉かなぁ?」と自信なさげに答え、もう一人の友人は「馬の肉なんじゃないか」と笑いながら話していた。つまり、誰も中味を知らなかったのだ。まぁ、ウンコになれば同じだからねぇ~。

Jeffrey Smith 1(左  /  ジェフリー・M・スミス)
  アメリカ人の無神経さには独特のものがあった。例えば、「チューブ入り」のチーズをかけてホット・ドックを食べているアメリカ人も居たから、筆者は目眩がしたことを覚えている。チーズって固形物だと思っていた筆者が「時代遅れ」だったのかも知れない。ただ、その原料となるミルクはホルモン注射で“大量”に“安く”作ったものだろう。なぜなら、アメリカの企業はコスト削減が鉄則だから、できるだけ材料を安く抑えることはよくある。ちなみに、筆者は1990年代にジェフリー・M・スミス博士(Dr. Jeffrey M. Smith)の警告を聴いていたので、「セイフウェイ」などの食料品店で1ガロン・ミルク(3.7リットル容器入りの牛乳)を買えなかった。スミス博士は『偽りの種(Seeds of Deception)』を出版した著名な学者なので、理系の日本人なら知っているだろう。スミス博士の名を聞いたことがなくても、「ボヴァイン成長ホルモン(Bovine Growth Hormone / rBGH)」を注射された牛なら聞いたことがあるはずだ。たぶん、週刊誌でも報道されたんじゃないか。日本だとこうした「丈夫な」牛から取れたミルクを、我が子に飲ませる母親はいないはずだ。

  また、街角のデリ(デリカッセン/ 食糧雑貨店)で売られている、ポピュラーな「ターキー・ハム」サンドウッチだって、本当の七面鳥とは思えなかった。たぶん、屑肉を圧縮して作った整形肉だろう。昔、日本でもファミリー・レストランに「サイコロ・ステーキ」というメニューがあったけど、こんな合成肉を注文する親子が実際にいたのだ。アメリカでも「いかがわしい肉」が普通で、脂ぎったベーコン焼きや、正体不明の冷凍ハンバーグ、化学製造のチキンナゲットがメニューに載っており、みんな平気で食っていた。アメリカ人って、値段が安くてボリュームがあれば満足なので、プラスチックのハンバーガーでもケチャップを山ほどかければ、一気に食べてしまうんじゃないか。支那人はダンボールを細かく刻んで、「おいしい肉団子があるヨ!!」とお客に販売したから、あながち不可能でもあるまい。もう一つ言えば、アメリカのダイナー(大衆食堂)で出されるコーヒーは薄くて不味い。なんか「茶色の液体」を飲んでいるようで、ちゃんとした「薫り」が漂う日本のプレミアム・コーヒーが懐かしくなる。米国の食事に関しては驚きの事例が尽きない。

世界市場を支配するジャイアント・コーポレーション

  種子法の廃止については「チャンネル桜」の討論会に出ていた三橋貴明が詳しく説明していたので、筆者は別の点を述べてみたい。でも、ちょっとだけ何が問題なのか述べてみたい。

  米国には世界を股にかけた「農業ビジネス」を行う企業があって、「モンサント(Monsanto)」「カーギル(Cargill)」「アーチャー・ダニエル・ミッドランド(ADM / Archer Daniel Midland)」「バイヤー(Bayer)」「バンギ(Bunge)」などが有名である。もっとも、「バンギ」はヨハン・P・G・バンギ(Johann Peter Gotlieb Bunge)がアムステルダムで創業した会社だからアメリカ企業とは言いづらい。「バンギ」にいついて紹介すると、孫のエドワード(Edouard)が本社をベルギーのアントワープに移し、彼は兄弟のアーネスト(Ernest)を伴ってアルゼンチンやブラジルに進出したそうだ。彼らは南米で成功を収めた後、北米に移ったという経緯がある。たぶん、日本だとADMの知名度は低いと思うけど、米国では結構知られたた巨大企業である。TV広告も頻繁に流れていたから在米日本人なら馴染みの会社だろう。筆者も米国で「ディス・ウィーク」とか「ミート・ザ・プレス」を見ていた時、ADMが番組スポンサーになっているのに気がついた。「日本だとADMみたいなスポンサーは無いよなぁ」と思ったことがある。日本の番組なら「旭化成」とか「クボタ」、「ヤンマー」くらいじゃないか。

  日本の報道番組が、「バイオ農業ビジネス」に関心が無いのはいつものことだから驚かないけど、その実害には注目せねばなるまい。種子法廃止で遺伝子組み換え作物や除草剤が脚光を浴び、多くの日本人が目覚めたことは良いことだ。大まかに言って問題となっているのは、雑草を枯らす除草剤とそれに耐えるようデザインされた遺伝子操作の種子であろう。例えば、雑草剤の「グリホサート(glyphosate)」などは、素人にだって有害だと解る。ちなみに、これはアミノ酸系の「グリシン(glycine)」と「ホスホン酸(phosphonate)」が組み合わさって出来た名前である。一般には「ラウンドアップ(Roundup)」という名称で流通している「モンサント」商品である。この非選択性除草剤を畑に散布すれば、雑草を一括して排除出来るという。そして、遺伝子操作を受けた穀物だけは、この枯れ葉剤に耐えうるという仕組みになっている。だから「合理的」で「効果的」。こうした穀物は、「ラウンドアップに駆逐されない種子」という謳い文句で、「ラウンドアップ・レディーRoundup Ready」と名づけられ、一般に販売されているのだ。こうした科学技術により、農民は雑草をむしる手間が無くなった耕作地で、「素晴らしい」米、麦、大豆、トウモロコだけを収獲できるという。夢のような科学製品だが、悪夢が「おまけ」に附いていた。

Roundup 1Roundup 3







  何と言っても、自然界は甘くはなかった。この除草剤に耐えうる雑草が出て来たのだ。そこで、モンサントなどの会社は更に強力な除草剤を開発するが、こんどは穀物もその「毒」に対抗せねばならぬから、またもや遺伝子をいじくらねばならない。この悪循環がつづくと、サリンやVXガス並の猛毒にも耐えうる「スーパー種子」が誕生し、グロテスクな「キマイラ(畸形動物)」と同じ類いの植物を作ることになる。最先端科学のバイオ産業は儲かるからいいけど、「それを食べる人間はどうなんるだ?」という疑問が湧いてくるだろう。それにしても、枯れ葉剤の攻撃に耐えて、それに負けない性質を備えるんだから、雑草って驚くほどしぶとい。猛毒に耐えて更に強くなる雑草は、踏まれても「めげない」ブスみたいだ。「悪い虫」がつかない穀物なんて、男が寄りつかない女性みたいだから、高校生の諸君は口が裂けても、「まるで田嶋陽子みたい」なんて言っちゃいけないよ。もう、世間知らずの小学生じゃないんだから。

  バイオ企業は遺伝子組み換え穀物の長所を宣伝しているが、虫も食べない野菜や穀物なんて「安全」なのか? 個人的な話で恐縮だけど、筆者は約20数年前、ある農家のオッちゃんと色々雑談したことがある。その時、農薬について現場の「生々しい」話を聞いて気分が悪くなった。内容は公開できないけど、農薬が大量に保存された納屋の中で実情を聴くと納得が行くものである。印象的だったのは、そこのおばあちゃんが“可愛い”孫の為に無農薬野菜を独自に作っていたことだ。家族と他人は「別」ということなんだろう。でも、ちゃんとした「味」のする野菜っていいもので、スーパー・マーケットで販売される大量生産品とは違っていた。まぁ、虫も避けるトウモロコシを消費者が食べているんだから、人間の抵抗力は並外れているんだろう。

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(左: 死んだ蜂の写真   /  右: ジル・エリック・セラリーニ)

  しかし、か弱いミツバチは生き残れなかった。2012年、ポーランドでは大量の蜂が死んでしまったという。モンサント社の「MON810 GM」穀物とか、殺虫剤、除草剤などの影響により、害虫と一緒に大切な蜂までもが駆逐されてしまったのだ。3月には1500名もの養蜂家が抗議デモを起こして大騒ぎになった。(Ray Ananda, Poland's Monsanto Action Lays 1000s of Dead Bees on Government Steps, Food Freedom, 25 March 2012.) 古代からミツバチは重宝され、苺の受粉にまで利用されるんだから、農家にとっては貴重な生物である。アニメ・ファンだって、「ミツバチ・ハッチ」が何万匹も死んだら悲しいだろう。こうした遺伝子組み換え生物(Genetically Modified Organism / GMO)の被害は世界各地で報告されているし、深刻な社会問題となっている。興味のある人はフランスのジル・エリック・セラリーニ(Gilles-Eric Sélalini)博士の告発を調べてみればいい。一般の日本人には、博士の「なぜグリホサートはラウンドアップとの問題にならぬのか」という論文が、要点を纏めているので解りやすい。("Why glyphosate is not the issue with Roundup", Journal of Biological Physics and Chemistry, Vol. 15, 2015.) 高校生の読者は理科の先生に頼んで教えてもらってね。たぶん、セラリーニ博士による爆弾発言を詳しく説明してくれるから。

Rats 1Rat 2








(写真  /  腫瘍ができたネズミ )

  遺伝子操作の種子や除草剤の有害性については、あまたのレポートがあるので、一般国民でもちょっと記事を検索すれば解るだろう。問題なのは、こうした惨状を知らない政治家、知っていて隠蔽する売国議員や企業から雇われている科学者、スポンサーだけが「お得意様」の大手マスコミなどが存在する事だ。例えば、イブラヒム博士とオカシャ博士によって、「不都合な研究結果」が公表されているのに、日本の大手新聞社は一面で取り上げなかった。(Marwa Ibrahim and Ebtsam Okasha, "Effect of Genetically modified corn on the jejunal mucosa of adult male albino rat", Experimental and Toxicologic Pathology, Vol. 68, 2016を参照。)  彼らはネズミに遺伝子組み換え穀物を長期間与えて、どのような影響が出るのか実験してみたそうだ。すると、このネズミには大きな腫瘍が出来てしまい、その衝撃映像は全世界に発信され、大きな話題になったらしい。お腹が大きく膨れあがったネズミを見れば、誰だって遺伝子組み換え作物や除草剤の危険性に気づくじゃないか。

shanthu shantharam 1(左  /  シャヌー・シャンタラム)
  しかし、大手企業に雇われた「お抱え学者」は、違った意見を持っていた。例えば、ブリテンのインド系科学者であるシャヌー・シャンタラム(Shanthu Shantharam)教授は、遺伝子組み換え作物の安全性を述べていたが、どうも密かにGMOの製造会社とつるんでいるらしい。(Colin Todhunter, Genetically Modified Food and Crops. Behind the Mask of Pro-GMO Neoliberal Ideology, Global Resaerch, March 11, 2017) 一見すると、独立・中立を保っている科学者でも、裏で関連企業と癒着している場合もあるし、何らかの見返りを求めて媚びを売っている場合もあるのだ。例えば、潤沢な研究費を“間接的”にもらえたり、どこかの研究所に“移籍”できたり、と様々な「賄賂」があったりする。また、大手企業は「広告塔」を雇って宣伝に努めたりするから、我々は用心せねばならない。例えば、元「世界銀行」のコミュニケーション部門に所属していたヴァンス・クロウ(Vance Crowe)氏は、モンサント社に雇われて「ミレニアル・エンゲージメント(Millenial Engagement)」の責任者になって、若者にGMOの安全性を訴えていたのだ。曰わく、モンサントは全人類に尽くし、世界各国で食糧の供給に貢献しているんだってさ。「本当かよ!」と疑いたくなる。

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(左: ヴァンス・クロウ  /  右: バーバラ・マコルスキー)

  本来、政治家は国民の健康や食糧の安全性に目を光らせるべきなのに、何も勉強しないで役人に丸投げなんだから、税金泥棒の非難を免れない。米国ではちょっと知られた政治家に、メリーランド州選出の上院議員でバーバラ・マコルスキー(Barbara Mikulski)というオバちゃん議員がいた。彼女はポーランド移民の孫で、曾爺さんは地元ボルティモアのハイランドタウンでパン屋を営んでいたそうだ。それなら、ちょっとくらい小麦や穀物に関心があっても良さそうなものだが、議会でHR933(俗に言う「モンサント保護法」)が通過した時、彼女はそれを食い止めなかった。普段は環境保全や消費者保護を口にしていたのに、この時はアメリカ国民に背を向け、バイオ・テック企業に靡いてしまったのだ。マコルスキーのオバはんは、後に後悔していると告白したが、既に遅かった。まぁ、父親がアルツハイマー病を患っていたから、製薬会社や化学製造会社と昵懇になっていたんだろう。彼女は長年勤めた上院を引退して、悠々自適の隠居生活を送っていてるそうだ。「秕政のツケは国民に」、という典型例である。

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(左: ロイ・ブラント  /  右: ロイとアビゲイル・ブラント夫妻)

  だが、連邦議会にはもっと悪い奴が居た。その筆頭は共和党のロイ・ブラント(Roy Dean  Blunt)上院議員だ。彼は下院議員上がりだが、要職(Majority LeaderとWhip)を歴任したことがあり、保守派グループの「ティー・パーティー(Tea Party)」にまで属していたのである。こうした保守を騙って民衆を裏切る政治家は実に多い。モンサントの飼い犬になったブラントのお陰で、政府や裁判所は遺伝子組み換えの種子が有害と判っても、その販売を差し止めることが出来なくなってしまった。そして、彼の再婚相手(2番目の妻)であるアビゲイル・パールマン夫人は、ワシントンでも指折りの企業ロビーストである。彼女は大手食品メーカーの「クラフト(Kraft)」社やタバコ企業の「フィリップ・モーリス」社のロビーストを務めていたのだ。公式には「関与していない」との話だが、選挙中に
「大企業」と夫の関係をを支える妻としては頼もしい。夫婦共々、巨大企業と癒着して儲けていたんだから、何も知らないアメリカの有権者は憐れだ。

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(左: アビー・マーティン  /  右: フィオナ・ブネース)

  専門家でもない筆者がこれをよく覚えているのは、RTテレビのアビー・マーティン(Abby Martin)が真っ赤になって怒っていたからだ。彼女はブラント議員が大嫌いで、吐き捨てるように彼の行動を非難していた。RTという、このロシア系宣伝放送局は、米国のマスコミが取り上げない不都合なニューズを放送するので、時々だけど有益となる。それに、中年のオッさんより、美人キャスターの方かいい。BBCのイヴニング・ニューズだって美しいフィオナ・ブルース(Fiona E. Bruce)の出番だと嬉しくなる。あの独特なブリテン・アクセントで喋る英語が魅力的だ。テレビ画面を見ながら飲むコーヒーが旨い。でも、インド人やアフリカ人のアンカーだと気分が暗くなる。ブリテンのテレビ番組なんだから、イギリス人の方がいいよねぇ。

Amy Walter 2Amy Walter & Kathryn Hamm 1Tamara Keith 1










(左: エイミー・ウォルター  / 中央: キャスリン・ハムとエイミー  /  右: タマラ・キース)

  そう言えば、このHR933を問題なく容認して、気軽に署名したのが、あの人権派と呼ばれたバラク・オバマ大統領である。呆れてしまうけど、左翼のマスコミはトランプだと猛攻撃するくせに、黒人の大統領には甘かったのだ。公共放送のPBSテレビによく出てくる「クック・ポリティカル・レポート(Cook Political Report)」のエイミー・ウォルター(Amy Walter)や、その相棒たるNPRラジオのタマラ・キース(Tamara Keith)は、オバマを徹底的に批判したのか? この極左コメンテーターの二人はオバマを陰ながら応援していたから、「公共放送」であっても番組が左に傾いていた。ここでは関係無いけど、筆者は初めてエイミー・ウォルターを見た時、「レズビアンじゃないか?」と直感的に疑ったことがある。自慢じゃないけど当たっていて、彼女はキャスリン・ハム(Kathryn Hamm)という同性愛活動家と「パートナー」になっていたのだ。彼女の発言や雰囲気から「レズビアン」と判るなんて、我ながら洞察力の鋭さに嬉しくなった。話を戻すと、テレビ番組のコメンテーターはオバマを頻りに賞讃していたが、彼の行った功績など皆無に等しく、どちらかと言えば有害な政策の方が多かった。でも、「黒人」だから何をやっても「偉大な大統領」になるんだろう。肌が黒いだけで「偉大」になるんだから、これって、人種偏見じゃないのか?

  政府の要人と業界の手先が「つるむ」ことは、米国でも日本でも同じである。日本のマスコミは米国の政権が交代した時、名前と顔くらいしか紹介しないけど、本来なら各長官の素性や支持者、裏の繋がりくらいは暴露すべきだろう。平民の筆者だってオバマの暗い過去を書いたんだから、高給取りのテレビ局員はもっと詳細な経歴報道をしてもいいはずだ。ということで、バイオ企業と繋がっていた有名人をちょっとだけ紹介したい。

  まず、意外なのは元国防長官のドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)が、大手製薬会社の「サール(G.D.Searle)」で最高経営責任者(CEO)になっていたことだ。この会社はモンサントに併合されたことがあり、現在は大手製薬メーカーの「ファイザー(Pfizer)」に買収されて、そこの子会社になっている。サール社は経口避妊薬とか睡眠薬、人工甘味料の販売を行っているから、知っている人も多いだろう。ただし甘味料の「ニュートラ・スウィート」は販売中止となった。おそらく、健康にとって有害だったのだろう。

Donald Rumsfeld 1Clarence Thomas 1Michael Taylor 1Michael Kantor 1








(左: ドナルド・ラムズフェルド  / クラレンス・トマス  / マイケル・テイラー /  右: マイケル・カンター)

  また、最高裁判事のクラレンス・トーマス(Clarence Thomas)は、以前「モンサント」の顧問を務めていたという。食糧と薬を扱うFDAで副長官を務めていたマイケル・テイラー(Michael Taylor)も、モンサントの顧問弁護士だった。さらに、ウィリアム・ラッケルズハウス(William D. Ruckelshaus)元司法副長官でさえ、モンサントの重役を務めていたのだ。政府の機関には他にもモンサントの手下がいて、具体名を挙げれば、マイケル・カンター(Michael Kantor)、アン・ヴェネマン(Anne Veneman)、ルフス・エルサ(Rufus Yerxa)、リチャード・マホーニー(Richard Mahoney)などがいたのだ。まぁ、巨額の利益を上げる企業だから、自分の配下を官庁に派遣するなんて造作もないことだろう。社長のヒュー・グラントなんか、一人で1300万ドルもの大金をつくってしまうんだから、研究者や弁護士、政治家が近寄ってくるのも当然だ。

  もっと凄いのは、食物市場をうごかすメガ企業の「カーギル」であろう。一般的には大企業としか知られていないけど、このカーギルは家族経営のプライベート企業なのだ。普通の人は「えぇぇっ!」と声を上げてしまうが、誰だって巨大な国際企業が一族経営なんて信じられないだろう。このファミリー企業は約1300億ドルから1400億ドルくらいの年商があって、14万3千人の雇用を創り出し、67ヶ国で幅広いビジネスを展開しているそうだ。創業者のウィリアム・ウォレス・カーギ(William Wallace Cargill)は、スコット系アメリカ人の家庭に生まれ、七人兄弟の三男だった。1865年(慶應元年)頃に、彼は兄弟を伴い、ミネソタ州で小さな穀物問屋を開業したそうだ。彼は相当な切れ者だったらしく、会社を大きくして二人の子供に事業を託したという。1909年にウィリアムが亡くなった時、会社の資産は200万ドルくらいであったらしい。今のレートで換算すれば、110億ドル(1兆2千100億円)に相当する金額であるそうだ。

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(左: ウィリアム・ウォリス・カーギル  / 中央: エドナ・カーギル / 右: ジョン・マクミラン・シニア )

  父の事業を継承した息子のオースティン(Austen Cargill)は、やはり息子のジェイムズと娘のマーガレットに株を引き継がせた。ウィリアムの娘であるエドナ(Edna)が、ジョン・マクミラン・シニア(John MacMillan, Sr.)と結婚したので、カーギル一族にはマクミラン家の子孫が役員になっている。二人の間には息子のカーギル・マクミラン・シニアとジョン・マクミラン・ジュニアが生まれていた。マクミラン家はもともとスコットランドから渡ってきた一族で、祖先のダンカン・マクミランは1815年に、アメリカではなくカナダへ移住したそうだ。三代にわたって商売人として成功を収めたマクミラン家は、ジョンの世代でカーギル家と結びついたのである。たぶん、ジョン・マクミラン・ジュニアの息子がホイットニー・ダンカン・マクミラン(Whitney Duncan MacMillan)と名づけられたのは、祖先のダンカンに因んでのことだろう。現在のカーギル社は6家族によって17名の理事会を構成しているそうだ。

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(左: ジョン・マクミランジュニア  / 中央: オースティン・カーギル /  右: ホイットニー・マクミラン)

  それにしても、日本人は何故か他国の惨状を参考にしないから、本当に脳天気である。アメリカの現状を見れば、国民が家畜のようになっているのが判るのに、それを無視して同じ轍を踏もうとする。アメリカ人は遺伝子操作された穀物や、遺伝子組み換えの飼料で育った肉を食べて満足しているが、人体にどんな影響があるのか不安でならない。米国では安くて保存の利く食糧が歓迎され、素材の風味が悪ければ、化学調味料で味付けをして、「美味しい」料理に変えてしまうのだ。たとえ、そうした廉価な食事で肥満になっても、医療が充実しているので表面的には困らない。でも、安い料理を食べて高額医療を払っているんだから、差し引き「損」になっているはずなのだが、そこは陽気なアメリカ人、そんなことを考えない。政府の医療政策が間違っているから国民が苦しむ、と考えてしまうのだ。それよりも、日本料理のような健康食を摂って、病気にならず、丈夫な体にする方がよっぽどマシなのに、それすら理解できないんだから手の施しようがない。

  安倍政権も米国の売国議員と同じで、僅かな利益の爲に国民の健康と未来の子供を犠牲にしてしまった。これは安倍首相だけが愚劣なのではなく、国会議員と一般国民に国家意識が無いからだ。保守派の知識人だって何を守っているのか判らない人が多い。抽象的に言論を弄ぶだけで、具体的に何なのかをはっきりさせないところが欠点なのだ。ロシアのプーチン大統領は、ロシアは西歐諸国と違って健康的で高品質の食糧を生産するんだと意気込んでいた。「ロシアは食糧の輸入国ではなく、輸出国なのだ」と宣言していたそうだ。(Putin wants Russia to become world's biggest exporter of Non-GMO food, RT, 3 December 2015) つまり、グローバル企業の餌食にならないぞ、と釘を刺していたのだろう。いゃ~、冷徹な元諜報員は悪党の手口を判っている。「悪人は悪人を知る」ってことだ。

  筆者は評判の悪い人種論や民族の遺伝を論じてきたが、それは国民意識を喚起するためである。だいたい、人間の種を守らない国民が穀物の種を守る訳がないだろう。日本の国土に遺伝子組み換え作物が持ち込まれれば、日本固有の米や大豆にGMOの花粉が附着し、品質が変わってしまうのだ。一度失われた国民の財産は取り戻せない。これでは祖先に申し訳ないし、子孫に対しても無責任である。次回は人間篇を述べるけど、我々は嫌な事実に目を背けず、未来のために覚悟を決めるべきである。




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「プロ・ライフ」のトランプ

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  連日連夜、日本ののマスコミは森友学園の件で騒いでいるようで、これといった決定的な証拠も無いのに、安倍晋三首相と昭恵夫人を叩いている。たぶん、民進党が蓮舫の国籍問題も含めて全般的に不人気だから、何が何でも首相の「口利き」を認めさせたいのであろう。日本のマスコミときたら、火の無い所に煙を立てるし、その火さえ無ければ放火するんだから根っこから腐っている。日本の「羽織ゴロ(新聞記者の旧称)」が政府与党を攻撃するのは毎度の事だけど、米国のジャーナリストも輪を掛けて酷い。特に、ドナルド・トランプが大統領に就任してからというもの、CNNやABC、ニューヨーク・タイムズの記者たちは、彼のやることなす事ほぼ総て、ネクタイの長さから髪型に至るまで気に入らないようで、さしずめ不倶戴天の敵といったことろだ。

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(左: ドナルド・トランプ  /  中央: マドンナ/  右: アレック・ボールドウィン)

  一方、主要メディアを「政敵」と見なすトランプ大統領は、危険と見られるイスラム教徒の入国を拒否したかと思えば、今度はヒスパニック系不法移民の追放を強行したり、と意図的にリベラル派の神経を逆撫でする。それどころか、社会正義と人権擁護を楯にするマスコミを蔑ろにし、彼らが掲げる錦の御旗が「偽善」であると暴露するんだから、対立するのも当然である。彼は従来の政治家と違い、大手メディアの「指図」に屈しない。これがまた左翼勢力を苛立たせるのである。だから、歌手のマドンナや俳優のアレック・ボールドウィンは、トランプ大統領を蛇蝎(だかつ)の如く憎み、彼の人格まで否定しようとする。しかも、NBCやABCが彼らの背後に回って「反トランプ」の炎を煽るから、全米各地に飛び火するのだ。「女性の為の大行進(Women's March)」に参加したフェミニストたちは、口々にトランプ大統領を罵り、女性を性的対象物にして愚弄する悪漢として描く。

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( 左: 生命尊重派「プロ・ライフ」のデモ行進 / 右: 胎児殺しを容認する「プロ・チョイス」の抗議集会 )

  情けないけど、それに追従するのが日本のマスコミだ。トランプ大統領の演説や発言を伝える時、民放各局は奇妙な吹き替えを用いる。トランプが冷静に話しているのに、日本の声優は下品な口調で、乱暴な言葉遣いでアテレコを行い、ディレクターの指図通り、視聴者に「深いな」印象を与えるよう努力していた。一般のアニメ・ファンなら、この悪質な吹き替えに眉を顰めるだろう。例えばだが、もし、クリント・イーストウッドの声を山田康雄(ルパン三世の声優)じゃなく、滝口順平(たきぐち・じゅんぺい / 『ぶらり途中下車の度』でナレーター役)が担当したら変だ。滝口氏には申し訳ないけど、声優にはそれぞれ適役があって、『ドラゴンボール』の占いババアや『タイムボカン』のドクロベーは彼以外に考えられない。ついででに言えば、『ドラゴンボール』のナレーションや『タイムボカン』のボヤッキーも八奈見乗児(ならみ・じょーじ)でないと“しっくり”こない。声優の件で意外なのは、『Dr.スランプ』でアラレの声を担当した小山茉美(こやま・まみ)が、『機動戦士ガンダム』ではキシリア・ザビを担当し、『チャーリーズ・エンジェル』ではシェリル・ラッドの声を務めていたことだ。でも、キャラクターに合っていたから文句は無い。

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(左: 山田康雄  /  故・滝口順平  /  小山茉美  /  右: シェリル・ラッド)

  脱線したので話を戻す。報道番組の制作者は表面上「中立・公平」を装うが、その実、トランプの印象を悪くしようと、裏から翻訳者と声優に指図して、わざと粗暴な口調にしていた。オバマ大統領の時は温厚な人柄を滲ませるような吹き替えだったのに、トランプになると急に乱暴な話し方になるなんておかしいだろう。オバマが「ユー(you)」と言えば「君は」と訳すのに、トランプだと「お前は !」と声を荒立てるなんて奇妙だ。ツイッターでトランプが「You're fired !」と書き込むと、声優が興奮気味の声で、「お前はクビだぁ~ぁ!」と喋る。普段、冷静な口調で話すトランプなのに、日本のテレビ局は故意に野卑なイメージを作り上げ、それとなく我々に植え付けているんだから悪質だ。しかも、大論争を招きそうな話題ばかり選抜して報道し、トランプの印象が良くなるようなニュースはなるべく流そうとしない。日本のマスコミは米国の主要メディアに盲従せず、第三者的立場からトランプ大統領について伝えるべきである。

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(左: 大行進に参加したジェーン・フォンダ  /  右: 大行進に参加した一般人)

  日本のテレビ局は女優のジェーン・フォンダやアシュリー・ジャッドが参加した「女性の為の大行進」を大々的に伝えたが、「命の為の大行進(March For Life)」は殆ど取り上げなかった。この大会にはマイク・ペンス副大統領が登場し、トランプ大統領も熱烈な応援メッセージを贈っていたのに、大半のテレビ局が無視。だから、大勢の参加者が集まった行進を見たトランプは、マスコミに対して「公平じゃないぞ」と述べたのだ。(Kate Scanlon, Trump blasts media for ignoring March for Life at GOP retreat, The Blaze, January 26, 2017) 筆者は全てワイドショーを観たわけじゃないけど、 テレ朝や日テレは素通りしたんじゃないか。恐らく反トランプのフジテレビも取り上げなかったはずだ。ただし、「アリバイ作り」のために多少は紹介したと思うけど、特集を組んで報道したとは思えない。「赤ん坊(胎児)の命を尊重するトランプ」なんて悔しいから報道したくないんだろう。

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(左: 息子のバロン君を抱くトランプ  / 中央: アシュリー・ジャッド /  右: ジェーン・フォンダ)

  左翼陣営のフェミニストは、何かと言えば「人権」を口にするが、どうもその「人権」とやらは「赤ん坊」だと適用しないらしい。というのも、「胎児」の状態にある赤ん坊は「人間」ではないからだ。彼女たちは胎児を殺す「人工中絶」を「選択」の問題であると位置づける。だから、彼女たちは「プロ・チョイス(Pro-Choice)」と自称し、グルになったマスコミも同様に、女性の「権利」であると共に「選択」でもあると、宣伝し続けてきた。過激なフェミニストになると、「私の性器をどうしようが、私の勝手でしょ。政府が容喙すべき事柄じゃないわ」と吐き捨てるから、もうお手上げである。しかし、日本人からすれば、この名称はおかしい。抵抗できない胎児を殺すことが「女性(母親)」の「選択」なら、病気で寝たきりの老人や障碍者をあの世に送る犯罪者だって、「殺すことを選択」したことになるじゃないか。妊娠中絶支持者は「選択派(プロ・チョイス)」と述べて誤魔化さず、正直に「殺人肯定派(Pro-Murder)」とでも自称すべきだ。

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(左: 娘のイヴァンカと一緒のトランプ  / 中央: 「内緒」を頼む子供 / 右: 選挙中に支援者の赤ん坊を抱くトランプ )

赤ん坊を抹殺する医師

  2011年、ペンシルヴァニア州にある中絶クリニックで、世にも恐ろしい「殺人」事件が発覚した。この診療所を運営するカーミット・ゴスネル(Kermit Gosnell)医師は、8件の中絶殺人と妊婦殺し1件の容疑で逮捕されたのである。また、彼の助手となっていた妻のパール・ゴスネル(Pearl Gosnell)と、9名の従業員も同様に連行されたという。これらの「助手」たちはいずれも無免許で医療行為を行っていたそうだ。一人の医師によって率いられた「素人スタッフ」は、正式に何らの訓練を受けぬまま、ゴスネルの命令に従って麻酔を投与したり、分娩を手伝っていたというから呆れてしまうじゃないか。(House of Horror alleged at abortion clinic, NBC News, January 19, 2011) 女房のパールに至っては、夫を支える看護婦かと思いきや、本職が化粧品を扱う美容師なんだから言語道断、決して赦せない。

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(左: カーミット・ゴスネル  / 妻のパール・ゴスネル / 職員のエリザベス・ハンプトン /  右: 職員のマデリン・ジョー)

  ところが、このモグリ診療所は口コミで噂が広がっていたので、広告宣伝を行わずとも周辺地域や遠方から「お客」が現れたそうだ。たいていは、密かに中絶を望む女性や、お腹が大きくなり過ぎた妊婦、いかがわしい素性の有色人種などであった。中絶料金はその度合いに応じて異なるようで、妊娠三ヶ月以内の初期妊婦だと325ドルで、30週(約7ヶ月)までの妊婦は1,600ドルから3,000ドルくらい。(約33万円 / 1ドルを110で換算) 一日の売上げは1万ドルから1万5千ドル(約165万円)くらいだったという。逮捕を以て警察が診療所を捜査した(「ガサ入れ」の)時には、約24万ドル(2千640万円くらい)の現金が押収されたそうだ。赤ん坊の命は虫けらの如く扱うゴスネルでも、ゼニだけは“命”だったとは、まるで松本清張の小説に出て来そうな医者である。まったく、「人間の子」より「虎の子」を大切にするなんて呆れた奴だ。

  それにしても、新聞広告も出していなかったゴスネルのクリニックが、何故こんなにも稼ぐことが出来たのか?  それは危険を伴う後期中絶も行っていたからである。人工中絶が合法化になった米国でも、幾つかの州で堕胎に関する「20週禁止法」が存在し、21週を越えた中絶手術は違法となっているので、妊娠3ヶ月を過ぎた妊婦は別の州へ出掛けて堕ろすことがあるそうだ。ゴスネルが行った中絶手術の中に、「ベイビー・ボーイA」というケースがあった。母親は17歳の未成年で、既に妊娠30週、つまり7ヶ月半を過ぎていたという。診療所の助手が赤ん坊を取り上げた時、その男の子は体重が6ポンド(約2,230g)もあり、まだ息をしていたそうだ。ところが、ゴスネルは信じられない事をしていたのである。彼は生まれた赤ん坊を掴み、ハサミを首の裏に刺し、赤ん坊の脊髄をちょんと切ってしまったのだ。(Conor Friedersdof, Why Dr. Gosnell's Trial should be a Front-Page story, The Atlantic, April 12, 2013)  日本人女性なら「えぇぇっっっ ! 何! 嘘でしょう!」と叫びたくなるだろう。男性でも背中に戦慄が走るだろうが、ゴスネルはルーティーン・ワークのように赤ん坊を殺していたのだ。

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(左: 子宝に恵まれた黒人夫婦  / 中央: アフリカ系メキシコ人の幼児  / 右: 赤ん坊を抱く黒人女性 )

  無慈悲にもゴスネルは赤ん坊の神経を切断すると、プラスチック製の靴箱の中に「遺体」を廃棄したらしい。そして、助手のカリーナ・クロスに向かって赤ん坊が大きかったという感想を述べ、「私を引っ張ってバス停にまで連れて行ってくれる程だったよ」と冗談を述べたそうだ。「エコー(超音波)」で胎児の様子を調べたことのあるクロスによれば、分娩を誘発するため妊婦の少女には「サイオテック(Cyotec / ミソプロストールのこと)」が投与され、赤ん坊が出てくるまでに13時間もかかったという。それなのに、ゴスネルは分娩後10秒から20秒で子供の首を切りつけたというから、何とも手慣れたものである。その場にいたクロスが見たところ、抹殺された赤ん坊は箱から手足がはみ出るほど大きかったそうで、脊髄を切断されてもまだ少しだけ動いていたという。すると、それに気づいたゴスネルは彼女に向かって、「それは反射的なもので、動いている訳じゃないんだ」と告げたらしい。しかし、法廷に召喚された専門家によれば、その発言は全くのデタラメで、赤ん坊が動いていたというなら、まだ生きていたという証拠になるらしい。したがって、哀れな赤ん坊は物凄い激痛の中で絶命したことになる。(Michael W. Chapman, FLASHBACK Abortionist Gosnell : This Baby Is Big Enough to Walk Around With Me or Walk Me to the Bus Stop, CNS News, May 13, 2013) そして、ふてぶてしいゴスネルは、殺した子の母親から中絶代として2,500ドルを受け取ったそうだ。

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(左: ティナ・ボールドウィン  / 職員のアドリネ・モートン / リンダ・ウィリアムズ / 右: アイリーン・オニール )

  闇医者同然のゴスネルは多くの後期中絶を行ったそうだが、以前の患者に関する資料が破棄されていたので、検察側は何名の妊婦を扱ったのか分からないという。何せ20年間も堕胎手術を手掛けてきたから、もしかしたら数百名もの胎児が殺されていたとも考えられるのだ。しかも、時折、妻のパールが素人のくせに、後期の中絶手術を行っていたというから噴飯物である。職員の一人であるティナ・ボールドウィンは、もちろん何の医療免許も有していないが、患者に麻酔を投与しており、15歳になる娘を連れてきて、その作業を手伝わせていたというからびっくり仰天。こんな調子だから他の職員だって似たり寄ったりだ。職員のリンダ・ウィリアムズも無免許の助手で、違法な中絶手術や麻酔投与を行っていたらしい。一方、ある中絶手術に加わった助手のアシュリー・ボールドウィンは、始末される前の赤ん坊が産声を上げていたことを証言している。彼女は生きている赤ん坊が殺されたことを認識していたので、内緒で携帯電話を取り出し、その証拠写真を撮ったという。息を引き取った赤ん坊は32週(約8ヶ月)の嬰児だった。(筆者はこの写真の映像を持っているが、ライブドア社の検閲により、掲載することができない。それに、余りにも“むごい”写真なので、筆者もためらいを感じている。)

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(左: カルナマヤ・モンガー  / 左: 「恐怖の館」と呼ばれたクリニック )

  ゴスネルの診療所は病院にあるまじき「不潔さ」をさらけ出しており、あまりにも杜撰な「医療行為」を行っていたので、死亡者が出ても不思議ではなかった。案の定、手術を受けた妊婦が死んでしまった。2009年、カルナマヤ・モンガーというブータン難民がクリニックを訪れ、主治医のゴスネルは外出中だったが、それでも中絶手術を受けたそうだ。堕胎を行うに当たって彼女は、素人の職員から多量の鎮痛剤やその他の薬を投与されたそうで、この過剰投与が原因となって死亡したらしい。このケースの他にも、無法職員らは麻酔投与の「医療行為」を行ったことがあるらしく、手術の前に麻酔を施されたフィラデルフィアの女性(22歳)は、血管と子宮に感染症を起こし、間もなく亡くなったそうだ。(Patrick Walters and Mary Claire Dale, West Philadelphia abortion doctor killed 7 babies with scissors,  ABC News, January 19, 2011) このクリニックでは医者が気軽にハサミで赤ん坊を殺し、その手下も高度な技術を要する麻酔処置で患者を死なせてしまうのだ。しかも、ゴスネルは子供の手や足をホルマリン漬けにして保存していたというから目眩がする。つまり、彼にとっては業績を示す「トロフィー」なんだろう。ゴスネルは少なくとも100名の赤ん坊を取り上げ、その首を突き刺して脊髄の神経を切断したと自白している。(Melissa Barnhart, Gosnell Abortion Clinic Employee Who Snipped Over 100 Babies Necks Gets 6 to 12 Years in Prison, The Christian Post)  まさしくホラー映画さながらの惨殺劇だ。彼のクリニックが「恐怖の館(House of Horror)」と呼ばれる所以である。

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(左: 赤ん坊の手や足が保存されている瓶  / 右: 遺体が詰まったビニール袋 )

  冷酷非情に赤ん坊を殺していたゴスネルは、「お客」の人種に応じて態度を変えていたそうだ。以前勤めていた職員の証言によれば、白人のお客だと黒人やアジア人の妊婦と違って汚い控え室で待たされることなく、クリニックで唯一の“清潔な”オフィスに通されたという。しかもその際、ゴスネル自らがエスコート役を務め、白人の妊婦がそのオフィスに入ると、テレビをつけてもてなしたそうだ。これでは有色人種の患者は腹の虫が治まらない。しかし、彼のクリニックを訪れる黒や茶色の妊婦は、たいてい低所得の下層民で他に行く当てもない弱者だから、ぞんざいな待遇を受けても我慢するしかないのだ。ゴスネルはこういった事情をよく弁えていた。そうでなければ、一旦使用した器具を清潔にせず、そのまま使い回しにした上に、いい加減な堕胎手術で“べらぼうな”料金を取る真似はできまい。たぶん、何も知らずに訪れたモンガーも、クリニックから「適当な」扱いを受けた結果、その命を失う破目になったのであろう。裁判でゴスネル医師には保釈無しの終身刑が求刑されたそうだ。

有色人種に多い堕胎数

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  妊娠中絶手術を受ける女性には、「やはり」と言っては何だが、人種間のギャップがあった。疾病予防制禦センター(Centers for Disease Control and Prevention)の調査によれば、黒人女性は白人女性の5倍も堕胎手術を受けるそうだ。(Zoe Dutton, Abortion's Racial Gap, The Atlantic, September 22, 2014) 黒人妊婦が中絶を受ける一番の理由は、端的に言って「お金」の問題であるという。白人家庭の平均資産は、ヒスパニック家庭のそれよりも18倍多いし、黒人家庭の財産より20倍も多い。とにかく、有色人家庭は貧乏人の子沢山にならぬよう、余計な妊娠があれば「間引き」を行うということだ。こんな具合だから、白人の母親なら何とかなる子育てでも、低所得の黒人やヒスパニックの母親だと難しいし、母子家庭となれば尚さら困難である。また、カイザー・ファミリー財団によれば、有色人種の女性だと健康保険だって満足に持っていないので、赤ん坊を背負い込むなんて自分の首を絞めるようなものである。だから、頼りになるのは避妊薬かコンドームくらいになってしまうのだ。

  それでも、下半身がだらしない黒人女性は、避妊など考えずに快楽のみを求め、気がつけば「あら、できちゃった」とばかりにお腹が膨れてくる。しかし、設備が整った高級施設に行くだけのお金が無いから、ゴスネルのクリニックみたいな「恐怖の館」を選ぶしかない。だが、悲劇はこれだけではなかった。黒人やヒスパニックの妊婦だと「すさんだ」家庭の出身者が多く、彼女たちの母親も十代で妊娠をして、子沢山の貧乏人だったりする。1970年代に話題となった「福祉依存の母親」という典型例で、子供に支給される福祉金や食券で生計を立てるといった母子家庭を想像すればいい。でも、肝心の「種」を植え付けた父親は、と言えば失踪か失業。最悪なのは麻薬中毒か、服役中、もしくは犯罪に巻き込まれて、先にあの世へ行ってしまったというケースもある。妊娠した娘の「男(ボーイ・フレンドもしくは「ヒモ」 )」だって、父親と同じ「ロクでなし」という場合が多く、子供の面倒を見るような連中じゃないから、養育費なんて高嶺の花。というより、父親自身が金欠状態だったりするから、逆に女房にお金を借りに来る。日本では父親を「大黒柱」と呼ぶけど、アメリカじゃ甲斐性無しの「疫病神」か、女房に金をせびる「寄生虫」の類いが少なくない。

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(左: 黒人の母親と息子  / 右: 黒人男性の群れ )

  疾病予防防禦センターの報告だと、2012年に14万8,971人の黒い赤ん坊が殺され、7万5,868人のヒスパニック系胎児が堕ろされたという。両者を合わせると堕胎総数の約55%を占めるそうだ。しかし、白人の赤ん坊も結構殺されていて、15万2,673件(全体の37.6%)の堕胎があったらしい。(Michael W. Chapman, CDC Report : 55.4% of Aborted Babies Black or Hispanic, CNS News, November 39, 2015) 妊娠中絶の実態を調査すると、地域によって人種や件数の違いが見られる。ニューヨーク州は全米で断然に多く、白人の堕胎は2万4,284件、黒人だと3万8,820件、ヒスパニックは2万6,821件となっていた。これ以外で白人の妊娠中絶が多いのは、テキサス州の2万717件で、ミシガン州の1万11件が続いている。次に、中絶をする女性の年齢を見てみると、意外にも10代の少女より20代の大人に堕胎が多いのだ。15歳から19歳までの白人女性だと1万7,079人で、20歳から24歳になると4万5,923人に増え、25歳から29歳では3万3,697人となっている。他方、15歳から19歳の黒人少女だと1万3,165人、20歳から24歳までの女性は3万7,370人、25歳から29歳だと2万7,896人となっていた。(Abortion Surveillance, Vol.64, 2012, Mobility and Mortality Weekly Report, U.S. Department of Health and Human Services) まぁ、黒人だと未婚の母も珍しくないから、夫が居なくても子供を育てるし、お金がかかる中絶手術を避けて、そのまま出産してしまうのだろう。

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(左と中央: 黒人の母子家庭  /   右: 福祉に頼るヒスパニックの親子)

  「プロ・ライフ」の支持者は、キリスト教の影響もあって極端に妊娠中絶を忌避するが、世俗の社会では強姦や近親相姦による「強制妊娠」もあるから、一概に堕胎は「罪」と呼べるものではない。トランプ大統領もこれらの要因や母胎優先を条件として中絶を認めているのだ。また、近年では出産前の検診で、難病を抱える胎児や奇形で生まれてくる赤ん坊を予測できるので、涙を忍んで中絶を選ぶ女性もいる。日本人の妊婦でも、主治医から「お子さんは障碍児として生まれてくる可能性があります」とか、「ジカ熱の感染により頭が変形した状態で生まれてきます」と告げられれば、子供の将来を鑑みて堕胎を決断することもあるんじゃないか。確かに、どうしても授かった子を生みたいという欲求があるが、ダウン症といった不治の病や神経の障害を持って生まれてくる子供は不憫でならないから、辛い人生を歩ませるよりは堕ろした方が良い、と考えてしまうのだ。もちろん、殺される胎児は可哀想だが、両親だって苦汁の選択であるに違いない。

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(写真  /  西歐系の若い女性)

  しかし、中絶の理由は他にもある。ある母親は既に充分な数の子供がいるから、それ以上の子供は望まないと考えるらしい。また、経済的に余裕がないから堕ろそうとする者もいるそうだ。これは米国などの先進国で顕著なのだが、子供を出産することで人生が大きく変わってしまうから、という理由を挙げる女性が多い。特に高校生とか20代前半の女性だと、せっかくの大学進学を断念する破目にもなるし、会社員となった女性だとキャリアを積めなくなる、というケースが出てくるからだろう。安月給の若い女性だと生活が益々厳しくなるし、不倫の結果による妊娠だとシングル・マザーになる場合だってあるから、悩んだ末に仕方なく中絶を決めたりする。それなら「最初から姦通をするな」と言いたいところが、惚れた腫れたの世界では理性が利かなくなるから厄介だ。それに、中学生や高校生の妊娠だと、両親が世間体を気にするから、娘に堕ろすよう命令することだってある。名門校に通う白人娘でも、好きな男ができれはコンドームを使わずにセックスをするから、想定外の妊娠騒ぎとなってしまうのだ。でも、お腹の子供を殺すのはやはり可哀想だし、健康な白人女性が産む赤ん坊なら引く手あまたなんだから、恥じを忍んで出産すればいいのに、とつい思ってしまう。ただ、中絶を考えた少女でも、一旦出産すると母性が目覚めて、子供を養子に出すことを拒むから、問題は更にこじれてしまうだろう。

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(左: 父親と一緒の息子  / 中央: 養子縁組で取り合いになる少女のタイプ / 右: 高値の子供を産みそうな西歐系の女性 )

  アメリカでは白人の人口が減少傾向にあるから、アフリカ系やヒスパニック系、アジア系の女性による人工中絶はそのままにしておき、白人女性にだけは堕胎の恐ろしさや残忍性を伝えると共に、出産の素晴らしさを教えるべきだろう。(「プロ・チョイス」派だって何となく反対できないんじゃないか。まさか、「黒人や南米人に中絶を認めるとはけしからん」とは怒れまい。) 仮に、中絶を法律で禁止したところで、胎児を盲腸程度にしか思っていない女性には効き目が無いだろう。それよりも、道徳的観念を植え付けた方がいい。ヨーロッパ系の若い女性に、血の絆による愛情や、祖父母から受け継いだ命を継承し、種族の系譜を絶やさない重要性など、教える事はたくさんあるはずだ。こんな風に述べれば、すぐリベラル派やユダヤ人が「ナチズムの台頭だ !」とか「優生思想の復活に繋がる」と騒ぐだろう。しかし、国家や民族にとって大切なことなら、ナチスや右翼が何と言おうが考慮されるべきで、左翼の戯言(たわごと)は無視するに限る。

赤ん坊の声なき声

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(左: カヒーシャ・リー・ ジョウガン /  中央: 父親のマシューと一緒のカヒーシャ / 右: ベッドに括り付けられたロープ )

  母親による赤ん坊殺しは痛ましいが、父親による子供の殺害も悲しいことである。数年前、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズで幼児虐待の殺人事件が起こった。まだ三歳にしかならないカヒーシャ・リー・ジョウガン(Kyhesha-Lee Joughin)という幼女が、父親のマシュー・リー・ウィリアムズ(Matthew Lee Williams)によって殺されてしまったのだ。(Kim Stephens, Man extradited over Kyhesha-Lee Joughin's death, The Brisbane Times, 30 August 2013) この父親は不潔な部屋に娘を閉じ込めたばかりではなく、ロープに結びつけて部屋から出られないようにしていたのである。彼は妻のダニエルと別れていたが、娘の親権を握っていたようで、子供の死亡を聞いた母親はショックを隠しきれなかった。カヒーシャが父親と一緒の写真を見ると、本当にこんな虐待が起こったのかと疑いたくなる。見るからに可愛らしい幼児で、オーストラリアの国民も衝撃を受けていたそうだ。それにしても、親に殺される子供は本当に不憫である。

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(写真  /  モデルのロビン・ロウリー)

  強姦や近親相姦による妊娠中絶は議論の分かれるところだが、経済的理由や仕事優先で子供を堕ろすなんて、倫理的に間違っているんじゃないか。しかし、中絶が普通になった社会だと、「出産で太っちゃうから厭だな」と考える女性まで出てくる。でも、可愛い子供を持てるなら、ちょっとくらい体型が崩れたっていいじゃないか。オーストラリアで初の「プラス・サイズ・モデル」、つまり太めのフッション・モデルとなったロビン・ロウリー(Robyn Lawley)は、娘のリプリーを出産して大喜びだった。娘のリプリーも母親に抱きついて幸せそうにしていたから、周囲の人間も思わず顔がほころぶ。やはり、天真爛漫な子供の笑顔は人の心をなごませる。そもそも、子供はママにだっこされている時が一番幸せなんだよねぇ。幼い時に母親の愛情を充分に受けなかった子供は、成長してから薄情になったりする場合があるから、フェミニストは反対するだろうけど、子育ては本当に重要な仕事である。「育児なんか学歴の低い劣等生だって出来るじゃない」と馬鹿にするキャリア・ウーマンがいるけれど、人生に於ける幸福度や充実感を考慮すれば、専業主婦の方が良い場合だってあるはずだ。出世や経歴を優先させて妊娠中絶を選ぶ女性は、晩年になって後悔するかも知れないぞ。

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(写真  /  娘のリプリーと一緒のロビン)

  今や人工中絶は社会の一部のようになっている。これに異を唱える者は、視野の狭い頑固者と見なされるようだ。そう言えば、米国の主要メディアは大統領選挙中、プロ・ライフ派を宣言するトランプにきつい質問を浴びかけていた。顰めっ面のジャーナリストたちは、トランプに向かって「ローvsウェイド判決(中絶合法化のきっかけとなった裁判)を覆すつもりなんですか?」とか、「あなたは中絶をした女性たちを罰する方針なんですか?」としつこく質問し、トランプを「知的で独立した女性」の敵にしようと躍起になっていた。高慢ちきな大卒のリベラル派は、妊娠中絶に賛成する事が知識人の証しと思っている。だから、彼らは中絶反対者を「宗教に狂った奴ら(church freaks)」と蔑んだり、分からず屋で頑固な「田舎者(country bumpkin)」と見下したりするのだ。でも、母親に殺される胎児を守ろうとするトランプは、いくら政治的計算の上だとしても、人間としたら立派なんじゃないか。少なくとも、一貫して後期中絶まで支持するヒラリー・クリントンと比べれば、人情に厚いオヤジと映るだろう。

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  手ぐすねを引いて待ち構えるジャーナリストを前にして、トランプは中絶をした女性にも「何らかの罰が必要だ」と口にしたから、記者から「それはどんな刑罰なんですか?」と質問され困っていた。そして、目くじらを立てた記者から「中絶に反対する最高裁判事を指名するするつもりなんですか?」と責められていたので気の毒である。トランプは明言を避けていたが、筆者なら次の様な罰を提案したい。例えば、妊娠中絶をこのまま合法にするけど、子宮から出た赤ん坊は母親がメスで刺し殺すか、紐や手で絞殺することにしたらいい。子供を殺す「選択」をする母親は、我が子の目を見つめながら手に掛けるべきだ。もし、その瞬間、赤ん坊の目から涙が流れれば、その表情は母親の脳裡に焼き付いて、一生消えることはないだろう。また、生まれたての赤ん坊は口を利くことができないから、鬼のような母親に抵抗することはできまい。しかし、何らかの意思疎通で、「ママ、痛いよぉ」と叫ぶ赤ん坊の微かな声が聞こえれば、首を絞める手が緩むんじゃないか。それでも心を鬼にして我が子を殺(あや)める女性なら、元から母親の資格が無いのだ。だが、もしも恐怖で正気に戻るなら、その母親には愛情の「かけら」があることになる。我々は「ごめんね」と泣きながら我が子を抱きしめる母親を見たいものだ。


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