無敵の太陽

主要マスメディアでは解説されない政治問題・文化・社会現象などを論評する。固定観念では分からない問題を黒木頼景が明確に論ずる。

アメリカ政治

ウェスト・ポイントからの狼煙が上がる / 消えゆく伝統的アメリカ (前編)

大統領選挙は「不正」だった?

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  ジョー・バイデンが「ホワイトハウスの主人」、あるいは「養老院(介護施設)」と化した白亜館の入居者になってから、約5ヶ月が経とうとしている。しかし、彼の支持率は依然として低く、とても8千万票以上を獲得した「稀代の大統領」とは思えない。しかも、隠している痴呆症が悪化したのか、何かと物忘れが酷く、2月や3月になっても側近は記者会見を許さなかった。でも、さすがに「質疑応答無し」の蜜月期間とはいかないので、やむを得ず記者会見を開かせたが、バイデンの答えはシドロモドロ。痺れを切らした記者から普通の質問をされても、その趣旨が理解できず、豆鉄砲をくらった鳩みたいに「それ何?」と聞き返す始末。

  日本人でも呆れてしまうが、次々と大統領令にサインするバイデンは、自分が“何”に署名しているのか判らない。このお爺ちゃんは事態の把握ができず、ただ背後に控えるカマラ・ハリスから、「はい、これにサインして!」と催促されて筆を執るだけ。しかも、その「署名」すらホンモノかどうか怪しく、幾つかは「ジル夫人が代筆したんじゃないか」と思えるような「疑惑の署名」であった。とりわけ心配なのが、バイデンの独り言である。操り人形にしかみえないこの老人は、途方に暮れた表情で、「私はいったい何に署名しているんだ?」と呟いていた。

Joe Biden 62Kamala Harris 002








(左 : 痴呆症が進行するジョー・バイデン  / 右 : 大統領への昇格を待ち望むカマラ・ハリス )

  我々は外人なので“対岸の火事”を見るように楽しんでいるが、一連の報道を耳にするアメリカ国民は心配で堪らないだろう。多少なりとも“愛国心”を持ち合わせているアメリカ人なら、「おい、こいつヤバいんじゃなか?」と不安になるし、「こんな耄碌ジジイが四年間も大統領職にとどまるのか !」と天を仰いでしまうはずだ。在日米軍の将兵だって、CBSやCNNに惑わされず、インターネットで様々な情報を得ているから、「いくらなんでも、こんな奴が最高司令官なんて・・・・、そんな嘘だろう~」とぼやく。もしかすると、トランプに入れたはずの票が、ある“仕掛け”でバイデン票に移っていたかも知れないので、不満を募らせるアメリカ人は少なくない。

  こうした中、共和党系と思われる124名の退役軍人が、バイデンを批判する書簡を公開し、それを一部の保守派国民が取り上げたので、日本でも“静かな話題”となった。この公開書簡(Open Letter from Retired Generals and Admirals)を主導したのは、「Flag Officers 4 America」という団体で、主に高位高官の退役軍人で構成されているようだ。彼らは2020年の大統領選挙に強い疑念を抱き、「何らかの不正があったんじゃないか?」と怪しんでいる。合衆国憲法(Constitution)を守りたいと欲する元軍人は、民衆党による社会主義的政策に懸念を抱き、アメリカの國體(constitution)を浸蝕するマルクス主義思想に危機感を覚えている。書簡の中では「民衆党の議会と現政権のもとで、我が国は社会主義とマルキスト型の暴君政治へと左旋回している」と述べられていた。

Peter Feaver 1(左  / ピーター・フィーヴァー )
  ところが、この退役軍人達、しかも将校クラスの元高級軍人が連名で政治行動を起こした事に激しく異を唱えた学者がいた。それがデューク大学で政治学を教えるピーター・フィーヴァー(Peter Feaver)教授で、彼は「軍民関係(civil military relations)」の専門家である。フィーヴァー教授によれば、退役したとはいえ、将軍や提督クラスの軍人が大統領選挙の結果に疑問を投げかけ、その正統性に異議を唱えることは言語道断らしい。彼はジウィリアン・コントロールの原則を蔑ろにした、と署名者を批判している。フィーヴァー教授は、未だに鳴り止まない「陰謀論」に飽き飽きしているようだ。彼は「投票箱でトランプが負けたのは選挙不正によるもの」といった誤った主張を高名な政治家が堂々と表明し、退役軍人の一部もそれに同調し、「同じ神話」を信じ込んでいる、と嘆く。(Peter Feaver, "The military revolt against Joe Biden", Foreign Policy, May 12, 2021.)

  フィーヴァー教授によれば、この公開書簡はインターネットにある怪しげなサイトによく見られるもの、あるいは共和党にいる最悪な連中の戯言(たわごと)に過ぎず、党派的かつ誇張された、無茶苦茶な言いがかり(dog's breakfast)であるという。彼ら(署名した軍人)は2020年の大統領選挙が不正なもの、すなわち正統性の無い選挙とは明言していないが、それに近い見解を持っているそうだ。さらに、この退役軍人はバイデンの精神的および肉体的な状態に対しても危機感を持っている。この点については、外国人である日本人にも理解できるだろう。

  軍人の立場を弁えない署名者に怒りを覚えたフィーヴァー教授は、この書簡を“党派的”なものと見なしている。つまり、こんな書状は古参(高齢)の共和党員連中が叫ぶ愚論で、考慮に値しないものである、と。フィヴァー教授は原理原則を忘れた高齢軍人に疑問を抱き、「有権者が自由で公正な選挙でバイデンを選び、彼らが贔屓にするトランプじゃないから怒っているんじゃないか!?」、と推測した。軍民関係の専門家を自負するフィーヴァー教授は、特殊な軍人を非難する一方で、多数派の軍人を擁護している。確かに、ある種の軍人のは誤った見解を抱いているが、大多数の軍人は書簡に署名した軍人達よりも真摯で、名誉を大切にする人々である、と。要するに、『フォーリン・ポリシー』に投稿したフィーヴァー教授は、これらの軍人は合衆国憲法に忠誠を誓った人々なのに、彼らは自らの行動で自らを貶め、シヴィリアン・コントロールの原則を蹂躙している、と言いたいのだろう。

  日本では馬渕睦夫大使がYouTube番組でこの公開書簡を取り上げ、バイデン政権に対する批判が軍人の中でも起こっていると述べていた。一方、『アメリカ通信』を放送する奥山真司も、この書簡を話題にしていたが、彼はフィーヴァー教授の記事を紹介し、「とんでもない軍人が騒いでいる」と解説していた。奥山氏によると、書簡に共鳴した元軍人は、みんな高齢の白人男性ばかりであるらしい。「地政学者」を名乗る奥山氏は、軍人が政権批判を始め、軍民関係の原則を崩したら駄目だろう、という意見である。彼はこうした「80代のお爺ちゃん等」を「アホか !」と愚弄し、「軍人が自ら憲法の原則をぶち壊してどうするんだ ! こんなの有り得ない!」と叱っていたが、筆者は奥山氏に賛成できない。

  確かに、軍人が政治に容喙することは原則上、「禁止された行為」であり、立憲政治においては「御法度」である。「自分が嫌う政治家が最高司令官(大統領)になったから反対 !」というのは、軍人支配の独裁国と同じで承知できない。奥山氏は中南米の軍事独裁政権を引き合いに出し、正常で普通のアメリカ軍人は、あんな劣等国を蔑んでいるという。アメリカの軍人は政治に関わらないことを肝に銘じているから、奥山氏が知っている軍人の中には、選挙になっても中立性を守るため、敢えて投票しない軍人もいるそうだ。ただし、これはおかしな理屈で、軍人が「有権者」として特定の候補者に投票しても、シヴィリアン・コントロールの崩壊には繋がらないと筆者は思う。問題なのは、軍隊が「愛国心」や「国防」の大義名分で政治に介入し、軍人の意見で国家を動かしてしまうことだ。

  奥山氏は視聴者に向けて、「フィーヴァー教授は軍民関係専門家の中で著名な権威者ですよぉ~」と紹介し、それとなく自分の見解をみんなに刷り込もうとしているが、フィーヴァー教授の投稿記事を読めば、「なぁ~んだ、リベラル学者の原則論かよぉ~」と判るはず。しかし、大抵の日本人は専門家の“経歴”や“肩書”、学会での“評判”などに感服してしまうから、フィーヴァー教授がどんな立場で記事を書いたのか確かめない。YouTube番組をボケ~と観るだけで、一端の「知識人」や「教養人」になったつもりの一般人は、「軍民関係(civil military)」なんて勉強したこともないし、学校の先生から軍国主義や軍人支配の恐ろしさを叩き込まれ、「文民優位(civilian supremacy)」こそがデモクラシーの要諦とわめく。権威主義に凝り固まった日本人ほど、アメリカの学者にひれ伏し、「高学歴の著名人が言うことだから本当だ !」と鵜呑みにすることが多い。奥山氏のファンは「さぁ~すが、奥山先生は凄いなぁぁ~」と感心するが、彼らの中でフィーヴァー教授の『Armed Servants』(Harvard Univ. Press, 2003)を読んだ人や軍民関係論を勉強した人は、いったい何人いるんだ?

  筆者は地政学の素人だけど、奥山氏の「御意見」にひれ伏すことはない。なぜなら、学生時代にちょっとだけ軍民関係を勉強したことがあるので、デモクラシーにおける軍隊の位置づけなら理解できるし、シカゴ大学のモリス・ジャノウィッツ(Morris Janowitz)や、メリーランド大学のデイヴィッド・シーガル(David R. Segal)、ロヨラ大学のジョン・アレン・ウィリアムズ(John Allen Williams)、ノースウェスタン大学のチャールズ・モスコス(Charles Moskos)といった専門家は馴染みの学者である。一般人でも亡くなったサミュエル・ハンチントン(Samuel Huntington)は知っているだろう。彼も軍民関係の専門家で、若い頃には『The Soldier and the State』という本を書いている。この著作には日本語訳もあるので、図書館で見かけた人もいるんじゃないか。それでも、日本の大学生で軍事を勉強し、図書館で『Armed Forces and Society』といったミリタリー雑誌を読んでいる人は、相当なオタク族だけだ。普通の大学図書館だと購入すらしていないんだから、一般の日本人が目にすることは滅多にない。そう言えば、政治学者の小室直樹先生は生前、日本の大学で軍事学が欠如している惨状を嘆いていた。会津出身の元軍国少年にしたら、軍事音痴の学生を輩出する東大には嫌気が差していたんじゃないか。

Morris Janowitz 1David Segal 1John Allen Williams 2Samuel Huntington 1







(左 : モリス・ジャノウィッツ  /  デイヴィッド・シーガル / ジョン・アレン・ウィリアムズ  / 右 : サミュエル・ハンチントン )

  筆者も軍人が政治に容喙することには反対である。イスラエルを建国し、後に首相となったダビッド・ベン=グリオン(David Ben=Gurion)が述べたように、軍人(軍部)は行政府の腕に過ぎない。「シヴィリアン・コントロール(文民統制)」とか「シヴィリアン・スプレマシー(政治家の優位)」がなぜ大切なのかと言えば、それは政治家の方が大所高所からの判断を下せるからで、理論的には国家の命運を決定する立場にあるからだ。軍人は部隊の編成や派遣、兵站の手配、軍事作戦の立案から実行などに長けていれば良い。しかし、政治家は国家全体のバランスを考えねばならず、現実の経済を左右する財政や金融に通じ、微妙な駆け引きが必要とされる内政・外政に加え、国民感情への配慮とか戦争の後始末などを考慮して政治的判断を下さねばならないから、政治的責任を取らない軍人よりも大変だ。ドイツ帝国で名を馳せた参謀総長のヘルムート・モルトケと鉄血宰相と呼ばれたオットー・フォン・ビスマルクの関係を思い出せば判るだろう。

  それでは、なぜ「アホ」でもない高級軍人が現政権に叛旗を翻したのか? 簡単に言えば、「あまりにも酷すぎるから」だ。日本の庶民にもバレたように、去年の大統領選挙は稀にみる八百長選挙だった。ビックリするほど異常な事が多すぎて、「本当の出来事なのか?」と疑ってしまう程だ。まぁ、アメリカの選挙だから、多少のイカサマなら目を瞑(つむ)ってもいいけど、電子投票機器を使った組織的不正に加えて、幽霊が書いた郵送投票といったインチキが目立ちすぎたのだ。もし、「不正が無かった」のであれば、どうして民衆党は激戦州での再集計に異議を唱えるのか? ペンシルヴァニア州やミシガン州、ウィスコンシン州の民衆党員は、全ての投票用紙を揃え、一つ残らずデータを第三者機関に渡して、科学的な検査を許すべきだろう。それなのに、なぜ妨害するのか?

  例えば、アリゾナ州のマリコパ郡では共和党の要請により再集計が行われるようになったが、当初、民衆党は百人近い弁護士を投入して再検査の妨害を画策した。しかも、電子投票機器に“いかがわしい点”があるのか、必死でサーバーやデータ記録の消去に努め、意地でも見せないという態度を取っていた。日本人には信じられないけど、アリゾナ州の民衆党員は投票結果の再確認を恐れていたのか、投票機器の科学的検証を妨害したのだ。しかも、機械を審査会に引き渡す直前、「手違い」という口実で保存すべきデータを消去したというから前代未聞である。(Tom Pappert,  "Maricopa County Deleted Election Databases Before Equipment Was Delivered To Arizona Auditors", National File, May 13, 2021) 幸い、データの修復がなされたから良かったけど、不安な点は他にも色々とある。例えば、大統領選挙の時、各激戦州では不審なIT業者が奇妙なアップデートを行ったので、オリジナルのデータが全部残っているのかどうか分からない。さらに驚くのは、投票機器が検査業者によって秘密裏にルーターに接続されていたいうから、インターネットに繋がっていた可能性もあるのだ。一般国民は「まさか !」と思ってしまうけど、アメリカでは何でも起こり得る。

  もう一つの激戦州であるジョージア州は悪の巣窟で、信じられない「事件」の連続だった。例えば、投票用紙は選挙後22ヶ月間保存されねばならないのに、一部の投票用紙は選挙直後に「組織的な抹殺」に廻され、証拠隠滅にされたらしい。何と、不審な投票用紙は軍隊で使うシュレッダーにかけられ、「粉々」にされてしまったのだ。通常のシュレッダーなら細長い紙となり、時間を掛けて貼り合わせれば、オリジナルを復元できるが、紙吹雪みたいにされたら不可能である。この粉砕作業はかなり組織的で、2020年12月30日の夜10時頃、搬送業者が大量の投票用紙をトラックで運び出したというから凄い。佐川急便も真っ青だ。以前、当ブログで紹介した通り、印刷技術の専門家であるピュリッツァー氏の検査により、電子投票機器が外部と繋がっており、容易にハッキングされることが判明した。この衝撃的事実を耳にしたアメリカ国民は、共和党員じゃなくても愕然としたばずだ。

Harrison Deal & Lucy Kemp 01(左  / ハリソン・ディールと恋人のルーシー・ケンプ )
  もう一つ言えば、ケンプ州知事の娘と恋人関係にあったハリソン・ディールは、謎の交通事故で死亡した。この一件は厳密な捜査もなく有耶無耶にされてしまったけど、クルマの衝突で大爆発が起き、車体が黒焦げになるなんて前代未聞である。まるでイラクの戦場を匂わせる事故現場で、「榴弾砲でも撃ち込まれたのか?」と勘違いしそうな惨状だった。最近ではフルトン郡にある保管庫に何者かが侵入し、投票用紙が保管されている倉庫の扉が開けられたという。幸い、アラームが鳴り響いたから窃盗事件にはならなかったが、もしかすると、何からの破壊工作だったのかも知れない。(Mark Niesse, "Alarm triggers concerns about ballot security at Fulton warehouse", The Atlanta Journal-Constitution, June 1, 2021) また驚く事に、倉庫の扉は重さが75ポンドから100ポンドの鉄製であったらしいが、そこには鍵が掛かっておらず、保安官が2時間ほど留守にした隙を狙っての犯行であったという。裁判所の命令で保安官は24時間の監視を義務づけられていたが、「大丈夫だろう」と油断したため、犯人が侵入するという事態を招いてしまった。

  大統領選挙に関しては様々な疑問や問題点が見られるが、主流メディアはそれらを悉く「根拠無き陰謀論」と斥け、馬鹿にしながら否定していた。しかし、こんな選挙を目にすれば、軍人じゃなくても「おかしい、何か臭うぞ !」と思うはずだ。筆者は「軍人の公開書簡だから重要だ」とは主張しないが、彼らが立ち上がった動機については理解できる。確かに、政権に対する不満は共和党や民衆党を問わず、他の軍人や民間人にもたくさんあるから、トランプ支持者の退役軍人だけが「注目に値する」という訳じゃない。ただ、「高齢の退役軍人だから、敢えて職業軍人の立場を逸脱し、選挙の不正を訴えたんじゃないのか?」と思えてしまうのだ。

  体を張って祖国を守る軍人は、ダラ~と生きている一般人よりも、国家の命運に敏感となる。やはり、国家の背骨となる軍隊に生涯を捧げる者は、自分と国家を重ね合わせることが多いし、イカサマに対する反応も本能的に鋭い。もし、去年の大統領選挙が憲法通りに行われていたら、バイデンに反撥する退役軍人も素直に従っていただろう。しかし、2020年の選挙はあまりにも異常だ。これは異国で観察する日本人にも判る。おそらく、多くの若い士官や壮年の将校だって、舞台裏で不正が行われていたことに気づいているだろう。とりわけ、諜報機関や特殊部隊に所属する軍人なら、「国内でブラック・オペレーション(極秘作戦)かよぉ~」とぼやいたんじゃないか? 彼らは諸外国で謀略工作に携わっているから、水面下での八百長に詳しい。

  フィーヴァー教授や奥山氏は連帯署名の退役軍人を咎めるが、インチキ無しの選挙で選ばれた大統領なら、どんなに左翼的な人物でも、あるいは、憤慨するほどのリベラル政策を提案しても、「政治家の行為だからしょうがない」と諦め、沈黙を守って服従するだろう。しかし、不正選挙となれば話は別だ。老い先短い80歳前後の元軍人なら我慢できない。彼らは現役軍人とは違って、出世の野心や恩給の心配は無いから、批判されるのを覚悟で異議を表明できる。何しろ、片足を棺桶に突っ込んでいるオヤジ連中だから、「言いたいことを言って死にたい」と思ってもおかしくはない。

  奥山氏は「文民の優位」という原則があるので、不正があっても声を上げずに、軍人の名誉を守って死んで行くべきだ、と考えている。しかし、共和政の精神を考え、気骨のある軍人なら、あのバイデンに服従したまま「あの世行き」なんて“真っ平御免”だろう。死ぬ前に一矢報いて討ち死に、という選択肢だってあるはず。説明すると長くなるからここでは省略するが、軍人が政治に従属するのは、自国の制度が正常に動いていると信じているからだ。ここではジョン・トレンチャード(John Trenchard)やトマス・ゴードン(Thomas Gordon)の『Cato's Letters』、トマス・ジェファーソンの政治思想、ジェイムズ・ハリントン(James Harrington)に由来する新ハリントン主義者(Neo-Harrintonians)とか、ローマ人の統治や徳(virtù)については触れないが、共和国は常に腐敗の危機に曝されているから、誰がどのように徳を用いて共和政体を維持するのか、という問題が重要になってくる。

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(左 : 尊敬に値する建国の父祖  /  左 : 異常なほど子供を愛するジョー・バイデン )

  軍人支配は良くないが、英国や日本でも、昔は封建主義に基づく政治体制であった。イングランドでも国王が武家の棟梁みたいな元首で、ガーター騎士団の総長でもある。家臣の貴族だって、法務官だけじゃなく、軍官僚とか派遣軍司令官になっていたから、武人と役人の境目が曖昧だ。日本でも各地の大名が統治する武家社会で、行政と軍事が渾然一体となっていた。今から考えれば恐ろしい時代に見えるが、西歐や日本のデモクラシーは封建制が基盤となっていたから成功したのである。平民が寄り集まって法律を決めたからといって機能するものじゃない。(民衆政と封建制を論じたシドニー・ペインター<Sidney Painter>は注目すべき中世史家である。彼の『Feudalism and Liberty』は我々にとっても有益で、なかなか興味深い。) むしろ、デモクラシー(democracy)だと金権政治(plutocracy)に堕落する確率が高く、大富豪が黒幕となりやすいから何らかの防止策が必要だ。民衆が主体の政治制度だと、いくら腐敗が深刻になっても修正されることはなく、庶民は大切な祖国が自滅するのを見守るだけである。

  「戦略学者」を自称する奥山氏は、退役軍人の逸脱を咎め、お爺ちゃん達の愚行と笑っていたが、高齢の白人男性だかこそ、現在のアメリカに心底憤り、「一線を越える」と判っていながら署名したんじゃないか? 考えてもみよ。彼らが子供の頃のアメリカは、今とは随分違っており、意外な程“まとも”であった。ヨーロッパ系の白人が主体の「キリスト教国家」で、信仰と伝統に基づく倫理道徳が社会の根本規範となっていた。黒人や南米系の国民には不愉快な過去だろうが、どの州においても“ちゃんと”人種隔離がなされており、都会は別にして、白人女性が街中で気軽に強姦されることはほとんど無かった。路上で突然殴られる「ノックアウト・ゲーム」なんか有り得なかったし、不法入国者が堂々と福祉制度に与ることも無かった。ましてや、同性愛者が大手を振るって商店街を闊歩する事なんて論外。現在、多民族・多文化主義および政治的な圧力により、アメリカ軍の中には許認可を得たゲイやレズビアンが存在する。また、人種的配慮から黒人やヒスパニックの人材が上等な地位に配置されているから、不満に思う白人は少なくない。

  もちろん、こうした「時代の流れ」に不満だから軍人が政治に介入するというのは正当化されない。だが、ある程度の社会的地位を持つ人物が異を唱えないと、もっと酷い社会になってしまうだろう。原則上、軍人は国防に徹するべきだが、その国家が内部から腐敗したら、いったい誰が国家を修理すべきなのか? 肝心の政治家が大口献金者の子飼いとなり、外国勢力の手先になった奴もいるのだ。共和政体の国家には「核」となるべき貴族階級が欠落しているので、一旦、政治腐敗が進むと、それを阻止する人物はなかなか現れない。アメリカの場合、どんどん蛮族や異人種が流入するから、西歐系国民は危機感を覚えながらも、為す術が無い。彼らは「少数派」となり、有色人種や左翼の白人が「多数派」となる。建国の精神を引き継ぐ西歐国民は、“いつも”従う破目になるから苛立ちを隠せない。人種の坩堝と化したニューヨーク州やカルフォルニア州では、保守系の共和党員は上院議員になれず、いくら優秀な人物が出馬しても連戦連敗だ。「ヒスパニックの縄張り」と化したカルフォルニア州で、ロナルド・レーガンのような共和党員が知事に選ばれるのか?

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(左 : 米国の人種差別に抗議する黒人たち  /  右 : 2021年1月に議事堂に乱入した暴徒)

  日本でもそうだけど、アメリカの一般国民は政治に興味が無く、日々の仕事や家事で精一杯だ。国家が滅亡の道を歩んでいても、スーバーボウル(アメフトの試合)やリアリティー・ショウ(現実の生活を脚色した娯楽番組)の方が重要で、破滅の直前まで惨状に気づかない。一部の保守派国民だけが静かに崩壊するアメリカを予感している、というのが現実だ。もちろん、アメリカ合衆国が地上から消滅するという訳じゃなく、国民の質が徐々に変化し、「別の国」へと変質するから、「消えゆくアメリカ合衆国」なのである。かつて日本では保守派知識人が占領憲法の温存を嘆き、「憲法守って国滅ぶ」と述べていたが、アメリカ人も同じ運命にあるんじゃないか? 今は書簡に署名した軍人を「老害」と評し、巷で囁かれる選挙不正なんて「アホの陰謀論」と嗤っていられるが、100年後の未来になれば、別の評価になっているかも知れないぞ。


 

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ビル・ゲイツが持つ裏の顔とユダヤ人の慈善活動家

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支那を擁護する大富豪

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(左 : ビル・ゲイツと盟友のウォーレン・バフェット  /  右 : アフリカで慈善活動に従事するビル・ゲイツとメリンダ夫人)
 
  武漢ウイルス騒動は、グローバリズムの中断をもたらしたが、それと同時に、グローバリストの闇浮き上がらせる結果となった。世界規模の感染拡大で米国や西歐は膨大な被害を受けてしまい、激怒したアメリカ人とヨーロッパ人は、ウイルス感染の初期段階を意図的に隠した習近平を厳しく非難し、天文学的な損害賠償を求めている。ところが、我が国は痴呆症の楽園と化しているのか、連日連夜、アベノマスク、PCR検査、医療崩壊、特別給付金の話題ばかり。公共の電波で私腹を肥やすテレビ局は、北京政府への非難が沸き起こらないよう、下らない三面記事で時間を潰し、国民の怒りが習近平様に及ばぬよう努力している。ホント、テレビ局の重役は支那人の銭か女を貰っているんじゃないか、と思えるくらいだ。

  ところが、米国にも“おかしな”奴がいる。それも、只のチンピラじゃない。巨大企業のマイクロソフト社を創業したビル・ゲイツ氏だ。彼は4月26日、CNNの報道番組に出演し、司会のファリード・ザカリア(Fareed Zakaria)からインタビューを受けた。その会話の中で、ザカリア氏が支那を批判すると、ゲイツ氏は同調せず、むしろ、“擁護”する発言を述べていたから驚く。ゲイツ氏曰く、人々は後知恵で色々な事を言うけど、「支那はパンデミックが発生した初期段階で“正しい事をたくさん”したんだ !」、と。さらに、彼は世界保健機構(WHO)に関しても“代理人”のように振る舞い、「そりゃあ、後々になって振り返れば、WHOはもっとマシなことを出来たんじゃないか、と言えるけどさぁ」と弁護に廻り、WHOほどCDC(米国の疾病対策センター)と密接に連携して動いた機関は他に無いんだよねぇ」と述べていた。("Bill Gates defends China's COVID-19 response, says it did lot of things right", The Week, April 27, 2020.)

  もし、ビル・ゲイツのことを知らない日本人がいたら、「こいつ、朝日新聞に傭われたアメリカ人か?」と思ってしまうだろう。それも、そのはず。ゲイツ氏は支那を守るため反撃に転じ、武漢ウイルスに取り組んむ合衆国政府を批判し、その対応を「殊のほかマズかった(particulary poorly)」と評価した。さらに、彼は支那共産党を擁護すべく、北京政府への非難は「焦点ずらしだ(distraction)」、と述べていたのだ。("COVID-19 : Bill Gates defends China, calls blame-game a distraction", WION, April 27, 2020.) たぶん、支那人を庇いたいゲイツ氏は、習近平の責任をうやむやにしたかったのだろう。江沢民の傭兵みたいな河野洋平じゃないけど、彼はウイルスの発生源を曖昧にしたいのだ。リベラル派のアメリカ人は、習近平を槍玉に挙げるトランプ大統領に反撥しているが、「新型コロナウイルス」を「チャイナ・ウイルス」と呼ぶトランプ氏は正しい。

  ところが、ゲイツ氏はこれに反対し、3月19日、自分のツイッターに意見を投稿し、「我々はこれを支那ウイルスと呼ぶべきではない(We should not call this Chinese virus.)」と表明したのだ。もう、呆れる程の支那贔屓だが、北京政府にとっては“有り難い”著名人だ。早速、支那の対外テレビ局「CGTN(China Global Television Network)」はゲイツ氏をゲストに招き、その貴重な御意見を配信した。(この「CGTN」は、「中国中央電視台」が傘下に収める世界ネットワーク部門。つまり、対外政治工作用のプロパガンダTV局ということだ。)

  ついでに言えば、「武漢肺炎」とか「武漢ウイルス」という言葉を避ける日本人の方も間違っている。もし、このまま「コロナ」という省略語を用いれば、後の世代は、この流行病がどこで発生し、どこから拡散したのか判らなくなる。おそらく、北京政府に“弱み”を握られた幹部がテレビ局内にいるんだろう。一般国民は気づいていないが、支那人は自分の責任を曖昧にすべく、「日本病毒(ウイルス)」と呼んで他国に責任転換している。まったく、図々しいというか、芯から悪質な民族だ。

「チャリティー」に励むユダヤ人

  「慈善活動」と言えば“聞こえ”がいいけど、慈善家の全てが無償の愛を与えている訳じゃない。中には“更なる儲け”を求めてボランティア活動に勤しむ連中がいる。とりわけ、「銭ゲバ」から「天使」に変身したユダヤ人は何となく怪しい。ユダヤ人の大富豪は高邁な理想を掲げて貧しい人々に施しを授けるが、その根底にはグローバリズム(世界統一)やマモニズム(拝金主義)が流れているので、一般人はうっかり信用すると痛い目に遭う。「オープン・ソサエティ財団」を創設したジョージ・ソロスなどは、アメリカ以外でも慈善活動に熱心だが、彼の出身国であるハンガリーでは蛇蝎の如く嫌われている。ハンガリーの愛国者はソロスの危険性を察知し、政治家と共に「ユダ公は出て行け !」と大合唱していたくらいだ。

Mark Zuckerberg 1Dustin Moskovitz 2Justin Rosenstein 3








(左 : マーク・ザッカーバーグ / 中央 : ダスティン・モスコヴィッツ  / 右 : ジャスティン・ローゼンシュタイン )

  「銭が動くところにユダヤ人あり!」というのは歐米での常識だ。西歐人でも「銭儲け」となれば、ユダヤ人とツルむことは多い。こうした癒着はチャリティー活動でも同じで、ビル・ゲイツはユダヤ人の慈善家とも親しく、共同歩調を取っている。例えば、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)の相棒で、「フェイスブック」の共同創設者であるダスティン・モスコヴィッツ(Dustin Moskovitz)はゲイツと意気投合していた。不思議なことに、日本ではあまり知られていないが、モスコヴィッツ氏の純資産は約140億ドルもあるそうで、「フェイスブック」社を去った後、ジャスティン・ローゼンシュタイン(Justin Rosenstein)と一緒に「Asana」という会社を設立している。「もしかしたら・・」と勘ぐる読者は『無敵の太陽の』常連かも知れない。まさしく、このローゼンシュタインもユダヤ人。彼は「Asana」を創設する前、「グーグル(Google)」社に勤めており、生産管理を担当するソフトウェアー・プログラマーだった。テレビ局や映画・娯楽業界、金融街、出版業界などを見れば判るけど、ユダヤ人というのは同胞と組んで銭儲けをする場合が多い。

  十年くらい前のことだ。ビル・ゲイツと親友の大富豪であるウォーレン・バフェット(Warren Buffet)は、慈善活動を更に拡大すべく、他の大富豪に向かって「Giving Pledge(贈与の誓い)」への参加を呼びかけた。この運動が掲げる誓約は、賛同者は死ぬ前に少なくとも財産の半分を喜捨するという内容であった。アメリカの庶民だと、「資産の半分も他人にあげちゃうの?!」と唖然とするが、お金持ちは別。奇人、変人、宇宙人か鳩山由紀夫みたいな人種だ。彼らと比べればジミー大西なんか常識人。信じられないけど、この誓約に参加する者が続々と現れたので本当に驚く。でも、その賛同者リストを見ると、ユダヤ人がゴロゴロいるから更に驚愕だ。

Michael Bloomberg 2Charles Zegar 11David Rubenstein 3Ronald Perelman 1








(左 :  マイケル・ブルムバーグ  /  チャールズ・ゼガー  /  デイヴィッド・ルーベンシュタイン /  右 : ロナルド・ペレルマン)

  例えば、ニューヨーク市長を務めたマイケル・ブルムバーグ(Michael Bloomberg)、このプルムバーグと一緒に「Bloomerg L.P.」を創設し、自らの財団「Zegar Family Foundation」を率いるチャールズ・ゼガー(Charles Zegar)、「オラクル(Oracle)」社の会長を務めるラリー・エリソン(Larry Ellison)、「カーライル・グループ(The Carlyle Group)」の共同創設者で、「スミソニアン・インスティテュート」の会長を務めるデイヴィッド・ルーベンシュタイン(David Rubenstein)、「MacAndrews & Forbes Incorporated」を買収した金融資本家のロナルド・ペレルマン(Ronald Perelman)、「アイカン・エンタープライズ」の創設者で「Federal Mogul」の会長を務めるカール・アイカン(Carl Celian Icahn)、数学者にしてヘッジファンド・マネージャーとなった「ルネサンス・テクノロジー」社の創設者ジム・サイモンズ(James Harris Simons)などが挙げられる。

Larry Ellison 1Carl Icahn 2Jim Simons 1








(左 : ラリー・エリソン  / 中央 : カール・アイカン  /  右 : ジム・サイモンズ )

  他には「バーグルーエン・ホールディングス(Berggruen Holdings)」を率いる創設者のニコラス・バーグルーエン(Nicholas Berggruen)が挙げられる。彼はドイツ系ユダヤ人で、アメリカとドイツの二重国籍者であるらしい。この裕福な投資家は藝術家のパトロンらしく、アメリカ国内のみならずドイツでも美術館を支援しており、ベルリンにも「バーグルーウン・ミュージアム」を持っている。また、彼は政治活動にも深く関わっており、「外交評議会(CFR)」や「大平洋国際問題政策評議会(Pacific Council on International Policy)」、「ブルッキングス国際問題諮問委員会(Brookings International Advisory Council)」、「世界経済フォーラム(World Economic Forum)」のメンバーにもなっているのだ。

Nicholas Berggruen 2Michael Milken 8Cari Tuna 2








(左 :  ニコラス・バーグルーエン /  中央 : マイケル・ミルケン /  右 : カリ・トゥナ)

  ユダヤ人の慈善家はたくさんいるが、「Giving Pledge」に「ジャンク・ボンドの帝王」で知られるマイケル・ミルケン(Michael Robert Milken)が名を連ねているでギョッとする。日本でも彼の悪名は轟いているが、このミルケンときたら根っからの「悪人(ワル)」で、金融証券業界に身を置きながら、インサイダー取引、恐喝、詐欺、脱税幇助、とやりたい放題。しかし、こうした悪行がバレで裁判沙汰となり、10年の禁固刑を受けたが、様々な司法取引で2年に短縮されてしまった。また、トランプ大統領が誕生すると、ホワイトハウスの側近がミルケンを赦免するようトランプに働きかけたので、この悪徳ビジネスマンは大統領の恩赦を貰うことができた。暗黒面に堕ちたダースベーダー卿だって死ぬ間際に“やっと”改悛したというのに、ミルケンは端っから不正行為を気にせず、訴訟前から様々な非営利団体を作っていた。例えば、彼は1982年に兄弟のローウェル(Lowell)と共に「ミルケン・ファミリー財団」を創っていたし、「ミルケン研究所(Milken Institute)」も拵えていた。ミルケンは癌の治療に熱心で、癌研究に取り組む「Prostate Cancer Foundation」やシンクタンクの「Foster Cures」も創設していたというから、お金持ちは矢鱈と医療に食い込みたがる。そういえば、ロックフェラー財団も医療に多大な関心を寄せていた。野口英世の伝記を読むとよく分かる。

Cari Tuna & Dustin Moskovitz(左  /  ダスティン & カリ・モスコヴィッツ夫妻)
  「フェイスブック」の創設者であるマーク・ザッカーバーグとダスティン・モスコヴィッツも「Giving Pledge」に参加し、その財産の半分を贈与することを誓っていた。このダスティンには慈善活動におけるパートナーがいて、それが元の恋人で妻となったカリ・トゥナ(Cari Tuna)である。カリ夫人は元々ジャーナリストで、『Yale Daily News』や『Wall Street Journal』の記者を務めていた。イェール大卒の才女は、経済やテクノロジーのみならず、同性愛問題やエスニック文化も取り上げるリベラル派ときている。彼女は世のため人のために何か出来ないかと考える中で、ダスティンと出逢ったそうだ。ゴシップ雑誌によれば「ブラインド・デート」で知り合ったそうだが、ダスティンが持つ巨万の富を目にすれば、誰だって目が眩んでしまうだろう。カリは迷いもなく、このユダヤ人と結婚することにした。

Peter Singer 2(左  / ピーター・シンガー  )
  そのカリ夫人が暗中模索の中で手にしたのが、ピーター・シンガー(Peter Singer)による『The Life You Can Save』という書物だ。(Marc Gunther, "Giving in the Light of Reason", Stanford Social Innovation Review, Summer 2018.) シンガーは「効果的な利他主義(Effective Altruism)」の提唱者で、ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットを称讃している。ただし、彼もユダヤ人ときている。高邁な理想を掲げるユダヤ人とくれば「山師」のような匂いが漂ってくるが、シンガーは最大公約の善を理想とする功利主義者。しかも、無神論の哲学者であるというから、如何にもユダヤ人らしい。そして、「またかよぉ~」とウンザリするが、彼はホロコーストで亡くなった祖父母を「売り」にしていた。もう、ユダヤ人は「ホロコーストの犠牲者」が両親や祖父母、親戚にいれば矢鱈と自慢するが、死因が銃殺なのか病気、事故なのか、それとも“とばっちり”で死んだのかを明確にせず、一色単に「悲劇の民族」に仕立て上げるからタチが悪い。多くの場合、死因が不明なので、ガス室で殺された事を臭わせている。

Holden Karnofsky 1Eli Hassenfeld 1









(左 :  ホールデン・カルノフスキー / 右 : エリ・ハッセンフェルド )

  ユダヤ人がユダヤ人の思想に影響を受けるのは納得できる。女房とタッグを組むダスティン・モスコヴィッツは、シンガーの本を読んで自分の財産を有意義に使おうと決心したそうだ。そこで、モスコヴィッツ夫妻は「Good Venture」という組織を創設し、慈善活動に乗り出した訳だが、彼らのチャリティーには「GiveWell」という別のユダヤ人組織が加わってきた。この「GiveWell」という慈善団体は、2007年にヘッジファンド会社に勤めていたホールデン・カルノフスキー(Holden Karnofsky)とエリ・ハッセンフェルド(Eli Hassenfeld)により創設された。(当初は「GiveWell Labs」という名称だったという。) もう紹介するのも厭だけど、カルノフスキーとハッセンフェルドは共にユダヤ人。彼らはヘッジファンド会社の「Bridgewater Associates」で働いていた時、「The Clear Fund」という基金を創って慈善活動を始めていたという。その後、二人は会社を辞めて慈善活動に専念するが、2012年に「Good Ventures」と提携したことで、モスコヴィッツが主要な献金者となった。やがて「Good Venture」と「GiveWell」は共同作業を始め、「オープン慈善プロジェクト(Open Philanthropy Project)」という事業を設立し、世界中の貧困、犯罪防止への改革、科学技術の促進、農業分野の改善、動物愛護、人権問題などに取り組んでいるそうだ。

David Roodman 2Ruth Levine 1George Soros 001Karl Popper 1








(左 :  デイヴィッド・ルドマン / ルース・レヴィン  /  ジョージ・ソロス  /  右 : カール・ポッパー)

  ちなみに、ハッセンフェルドが影響を受けた本もシンガーの『The Life You Can Save』であったという。その他だと、デイヴィッド・ルドマン(David Roodman)の『Due Diligence : An Impertinent Inquiry into Microfinance』やルース・レヴィン(Ruth Levine)の『Millions Saved : Proven Success in Global Health』であるそうだ。(Nico Pitney, "That Time A Hedge Funder Quit His Job And Then Raised $ 60 Million For Charity", THe Huffington Post, March 26, 2015.) 偶然なんだろうが、ルドマンもレヴィンもユダヤ人の知識人で、ハッセンフェルドばかりじゃなく多くのリベラル派を魅了している。そういえば、ジョージ・ソロスが影響を受けた『開かれた社会とその敵(The Open Society and its Enemies)』を書いたカール・ポッパー(Karl R. Popper)もユダヤ人だった。(ソロスの財団名「オープン・ソサエティー」はこの書名から由来する。) ホッパーはオーストリア・ハンガリー帝国時代のウィーンに生まれユダヤ人。彼はユダヤ人の親を持っていたが、キリスト教に改宗していたので、信仰の面ではプロテスタントのキリスト教徒になっていた。ドイツでナチスが台頭すると、危険を察知したポッパーはニュージーランドへ逃れカンタベリー大学で研究生活を送り、その後、ブリテンへ渡ってロンドン大学(London School of Economics)を生活の拠点としていた。

ビル・ゲイツのチャリティーには裏がある

Bill & Melinda Gates 2Warren Buffet 3








(左 :  ビル&メリンダ・ゲイツ夫妻 / 右 : ウォーレン・バフェット )

  ユダヤ人の大富豪と連帯するビル・ゲイツ夫妻は世間の賞賛を浴びているが、ゲイツ氏の温情は必ずしも「無償の愛」ではない。「ビル&メリンダ財団」はこれまで1万9千件もの寄附を行ってきたが、その中には「利益目的」らしい献金もあるそうで、税控除の対象となる20億ドルが私企業に流れていたのだ。例えば、製薬会社の「グラクソ・スミス・クライン(GlaxoSmithKLine)」、日本にも支社がある食品や家庭用品の大手メーカーである「ユニリーヴァ(Unilever)」、有名なコンピューター会社の「IBM」、「NBCユニヴァーサル・メディア」などである。ゲイツ財団は表面上“非営利的”な慈善活動に勤しむが、その裏で関連企業に投資を行い、財団の運用資金を増やしている。例えば、2014年、ゲイツ財団はデジタル金融システムを促進するため、ケニアのマスター・カード関連会社に1千900万ドルの献金を行った。一般人からすれば、この慈善行為は後進国の経済支援に思えるが、巨大クレジット・カード会社の「マスター・カード」からすれば、未開拓地域における顧客の獲得に他ならず、裏口からの市場独占になりかねない。また、マスター・カード社に対する献金は盟友のウォーレン・バフェットへの支援にもなっていた。というのも、バフェット氏が運営する投資会社「バークシャー・ハザウェイ(Berkshire Hathaway)」が、恩恵を受けるマスター・カード社の株を保有しているのだ。 (詳しくはLinsey McGoey著『No Such Thing as a Free Gift』を参照。) これじゃあ、親しい会社を通しての間接的な投資じゃないか。

  確かに、継続的な慈善活動を展開する為には、財団の資金を維持しなければならないが、ゲイツ財団の“献金先”を調べてみると首を傾げたくなる企業名が目につく。例えば、ゲイツ財団が渡した「寄附(投資額)」は以下の通り。(Tim Schwab, "Bill Gates' s Charity Paradox", The Nation, March 17, 2020.)

  LG                      5,300万ドル
    Takeda                2,300万ドル
    Pfizer                  1,650万ドル
    Novartis              1,150万ドル
    Teva                   1,140万ドル
    Merck                    940万ドル
    Sanofi                    350万ドル

  税控除待遇を受ける慈善団体は、非営利活動の寄附が原則なのに、ビル・ゲイツは法の網を潜り抜けて利益を狙っているんだから悪質だ。ゲイツ氏は医療活動ばかりでなく、教育分野への寄附も行っていたが、大量の資金を流す先が利害関係者なんだから、眉を顰めるアメリカ人がいても不思議じゃない。例えば、「レイクサイド校(Lakeside school)」への寄附は注目に値する。ワシントン州のシアトルで生まれたゲイツ氏は、同州にあるプレップ・スクールの「レイクサイド校」に通っていた。コンピューターに興味を持った少年は、同校の先輩でワシントン州立大学に通っていたポール・アレン(Paul Allen)と出逢う。そして、1975年、この二人は後に世界企業となる「マイクロソフト」社を設立する。ゲイツ氏はこの母校を気に入っていたのか、長女のジェニファー(Jennifer)と息子のローリィ(Rory)、次女のフィービィ(Phoebe)を通わせ、4千万ドルの寄附金を渡していたのだ。(Tanza LOudenback, "Bill Gates' kids may not inherit his fortune, but he is setting them for success in other way", Business Insider, November 28, 2017.) ゲイツ氏はその莫大な財産を娘達には相続させないと公言していたが、やはり我が子は可愛いから、子供への投資は当然だろう。もしかしたら、将来、この子供達が財団の管理者になるかも知れない。

Bill Gates & children 3Lakeside school 5








(左 : ゲイツ夫妻とその子供達  / 右 :  レイクサイド校の校舎と校庭)

  ゲイツ氏が後進国の庶民を病気や貧困から救おうと考えるのは理解できるが、その心意気には薄汚い下心が隠されているようだから、全面的には肯定できない。なるほど、彼が武漢ウイルスを予防するワクチンの開発や医療設備に大金を投じるのは素晴らしい。だが、その慈善行為には製薬会社との連携が見え隠れする。もし、ゲイツ財団が投資する製薬会社が新薬の開発に成功すれば、全世界の市場で販売することになるから、企業の株は高騰するし、配当金だって高額になるだろう。また、各国の政府が購入者になるから大量のワクチンや治療薬が捌けるし、貧乏な第三世界だってその「おこぼれ」に与ることができる。国連やNGOに巣くう左翼分子が救済の輿論を喚起するから、彼らは濡れ手で粟の支援金を得ることができるだろう。何しろ、歐米諸国には人道主義を唱える知識人や科学者、銭は出さないが口は出すリベラル派もウジャウジャいる。ちょいとピンクなミュージシャンも売名行為で「アフリカ人を救え !」と合唱するから、巨額の海外支援金が拠出されてしまうのだ。医療物資を販売する国際企業は、こうした掩護支援を受けるから、黙っていても大儲けとなる。

Paul Allen & Bill Gates 1Paul Allen & Bill Gates 3








(左 : 学生時代のビル・ゲイツとポール・アレン  / 右 : 「マイクロソフト」 が巨大企業になった頃のゲイツとアレン)

  ゲイツ氏のような慈善活動家は、美しい言葉で西歐諸国の輿論を動かす。美辞麗句に酔った民衆は、ここぞとばかりに「善人」を演じるから、地元の議員もこれに反応する。かくして、一票乞食の票田を狙う政治家が重い腰を上げ、人道支援に邁進する。しかし、そこには「甘い蜜」もあるから、その香りを嗅ぎつけた議員は、積極的に国家予算をアフリカやアジアへ献上し、支援金は天井知らず。たとえ限界があっても、基本的に鰻登り。(何となく鈴木宗男を思い出す。) 公金という砂糖に群がる蟻は他にもいる。例えば、大手の医療機器メーカーは高額な機械を輸出できるし、「ボランティア」を自称するNGO職員も、その海外援助にタカって放蕩三昧。ところが、先進国の民衆は一旦流出した税金には関心が無いから、第三世界でどんな使い方をされているのか分からない。国連の黒人職員なんか、一族郎党で支援金にタカるから、アフリカの庶民に届くお金は極僅かになっていたりする。

  ビジネスマンを引退して慈善活動家になる人が全て「いかがわしい者」ではないが、こうした善人は往々にして、巨額の資金で他人を動かす喜びに魅了されてしまう。政治家でも同じ世論操作を味わえるが、選挙という厭な洗礼を受けねばならないので、「こうしたドブ板選挙は御免だ !」となる。だから、財団を創って上空から支配した方がいい。財団というのは租税回避の有効な手段であるが、自分の意思で他人を動かせるという醍醐味があるし、神様になったような気分も味わえるから最高だ。特に、リベラル派の大富豪は革命家に近い感情を持っているので、社会改革に没頭する性癖がある。したがって、左翼思考の強いユダヤ人が、ビジネスマンや大富豪に飽きて慈善家になるのも当然だ。

  次回はゲイツ氏が関与した医療活動と彼に同調するリベラル派を紹介したい。



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